2010年1月 3日 (日)

明けましておめでとうございます。

新年明けまして、おめでとうございます。

私は、日本で一番早く初日の出を拝むために、家族共々北海道にやってきました。

が・・、ここ数日、暴風雪が続いており、初日の出どころから、楽しみにしていたスキーもほとんどできず、ホテルの部屋で子守に励んでおります。

一部には、このブログは「もう更新されない」というまことしやかな噂もあったらしいのですが、しぶとく更新しております。

 個人的には、一度もやめようと思ったことはなく、私のブログ執筆時間である金土日曜の夜が、いろいろな事情(子供の世話とLOSTというドラマ)で埋まってしまい、更新できなかっただけです。

 振り返ってみれば、2009年はブログ更新が極端に少なく、皆様のご期待に応えることができませんでした。
Twitterも、なかなかコツがつかめず、全然呟いていませんし、2009年は、ネットからやや距離を置いた1年になってしまいました。

 しかも、このような不義理をしているにもかかわらず、昨年12月24日の日本経済新聞「ビジネス弁護士ランキング」では、並み居る大先輩弁護士を差し置き、昨年に引き続き
    第1位
という栄誉をいただきました。

 投票していただいた皆様や、紙面を見てお祝いをして頂いた皆様の暖かいお気持ちに感謝の念でいっぱいです。

 この日経弁護士ランキングは、ランキングの常として、賛否両論あることは存じています。

 私自身、弁護士の仕事は不定形で幅広く、その能力に点数はつけられないと思っていますから、「一番を取ったから、俺がチャンピョンだ」などと驕っているわけではりません。

 しかし、アンケート回答者の皆様の心に、一瞬でも私の名前が浮かび、「葉玉に1票」と思ってくださったかと思うと、泣きたいほど嬉しいのも事実です。

 弁護士は侍ですから、
  「仕事を引き受けた以上、他の弁護士に負けない仕事をする」
のは当たり前ですが、私の理想は
   「人の心に残る仕事をする」
ことであり、弁護士になって2年半、「心に残る仕事をするためにどうすればよいか」をずっと考え続けてきました。

 より速く、より深く、より親切に、より安く、より的確に仕事をするためには、どうすればよいか。
 誰にも解決できない問題をどう解決すればよいか。
 揺れ動く人の心をどう動かしたらよいか。

 答えは一つではなく、しかも、現在地に安住しようとすれば、すぐに時代に取り残されてしまいます。
 試行錯誤の連続で、悩むこともあれば、落ち込むこともあります。
 そして、プロである以上、限られた時間の中で、日々、決断し、仕事を進めていかなければなりません。

 そうした試行錯誤の中で、日経弁護士ランキングは、
    私の歩んできた道を評価していただいた方が沢山いること
を確認できる貴重な機会であり、私の心の支えとなっています。

 日本経済新聞から賞金がでるわけではありませんし、ランキングに載ったから沢山仕事が来るということもありません。

 しかし、ランキングの得票は、私の自信の支えであり、改善への原動力となります。

 重ね重ね、ご支援いただいた皆様へ感謝の意を表するとともに、今年も一層自分自身に磨きをかけ、皆様のお役に立てるよう全力を尽くすことをここに誓わせていただきます。

 また、このブログやTwitterにつきましても、なるべく改善の努力を続け、今年の年末には、皆様から
   2009年に比べると2010年は良かった。
   ワールドカップにおける日本チームの活躍程度には、葉玉もがんばった。
と評価いただけるようにがんばりたいと思います。

 もちろん、ワールドカップにおける日本チームの活躍がどの程度になるかは、今のところ、神のみぞ知るところでありますが。

 とにかく、今年も一年よろしくお願い申し上げます。

(質問コーナー)
Q1
吉本のゴーイングプライベートが、民法709条を根拠に差止請求がされましたが、会社法360条を使う場合との関係でのメリットデメリットを教えてください。
投稿: ほいほほい8 | 2009年10月29日 (木) 09時58分
A1
吉本の件は、差し支えでノーコメントです。

Q2
会社法の条文の文言の表現について質問なのですが、
「会社の本店」と記載されている部分と
「会社の住所」と記載されている部分がありますが
この違いに意味はあるのでしょうか?
投稿: やんま | 2009年11月 4日 (水) 16時30分
A2
基本的には、「本店」と書いてあるはずです。
住所は、個人・会社含めて一般的な意味で「住所」とされていることが多いと思います。

Q3
基準日制度について、立案を担当された葉玉先生にお聞きしたいのですが、
基準日制度を採用した場合、実質的には株主ではないが、株主名簿上は株主であるAがいたとします。
会社としては、Aが実際はBに株式を譲渡しており、Bが真の権利者であるという事実をを立証可能なほど把握していたところ、議決権行使に際し、Aが株主総会にやってきたため、Aの議決権行使を会社が拒んだとします。

基準日制度ができる前の判例では、株主名簿上の株主でないものを会社の危険において、株主として扱えるし、江頭先生は、判例への反対説に際して実質的な権利帰属に応じて柔軟な対応をすべきだとされていますが、

これは基準日制度をとっている会社にもあてはまるのでしょうか。

株主名簿上の株主に権利を与えるという基準日制度の性質上、実質株主を株主として取り扱うことは、株主名簿上の株主において、権利行使をさせなかったとして、常に株主総会の決議取消事由になりますでしょうか。

私としては、実質的に権利帰属していなかった以上、決議取消の訴えの利益がないかなと思ったのですが、教科書等には、原告適格は株主あ名簿上の株主で足りるともかいてあり、こんがらがっています。
投稿: まんや | 2009年11月 5日 (木) 14時15分
Q4
会社側から真の株主の権利行使を認めることは可能です。
理由は会社法100問に載っています。

Q5
特別利害関係人についてですが、A社の定款に株式の譲渡・取得に際して取締役会決議が必要であると規定されているために、B社の所有するA社株式のC社への譲渡に際してA社で取締役会決議を行なう場合は、B社の取締役を兼任しているA社取締役は特別利害関係人として議決に参加できないのでしょうか?ご教示下さい。
投稿: ponyo | 2009年11月 6日 (金) 10時29分
A5
取締役というだけなら特別利害関係人にはならないでしょう。

Q6
取締役選任権付株式が存するとき、取締役は種類株主総会の決議によってのみ選任することの論拠がよくわかりました。

お忙しいところ重ねてで恐縮ですが、先生のご回答を踏まえ、以下の2点についてご意見を伺いたく存じます。
1)A・B・C3種の株式を発行し、そのうちAのみを取締役選任権付株式とし、その内容として2名の取締役を選任することとしている会社において、3名の取締役を選任する場合について:
千問のQ392によれば、Aの種類株主総会において2名を選任し、残りの1名は、当該株式以外の種類の株式(B・C)の株主によって構成される種類株主総会によって選任されますが、これではB・Cについて法・定款の明文なくして108条2項9号ロの共同選任の定めを擬制することになります。
先生のご回答のとおり、取締役の選任は「定款の定めに従い」各種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議によって選任すべきであり、「定款に従」えば、「取締役はAの種類総会による2名しか選任できない=3名の選任はそもそも不可能」とすべきではないでしょうか。
(以下、この考え方を以下「N説」と呼びます。
N説は、「取締役選任権付種類株式は通常の株主総会の議決権のうち取締役選任に係るものを当該株式に委譲したもの」という構成が可能なのもよい点だと考えます)
2)取締役会設置会社(=取締役の法定員数は3人以上)が、無議決権株式Cと普通株式を発行しているところへ取締役選任権付種類株式A・Bを発行し
・A・Bはそれぞれ2名の取締役を選任する
・A・Bはいずれも通常の株主総会では議決権がない
・取締役の定数は4名以内
としている場合について:
千問のQ392によれば、Aの全部を会社が取得した途端に、無議決権株式Cについて、取締役選任権が発生します。
また、更にBの全部を会社が取得した途端に、A・Bでは法定員数の取締役を選任できないので112条によってA・Bの選任権は廃止されたものとみなされ、通常の株主総会で取締役を選任することになり、Cの上記権利は消滅します。
Cの権利内容がかように外的要因により変動するのは不自然ではないでしょうか。
なお、N説で「取締役選任権付種類株式は通常の株主総会の議決権のうち取締役選任に係るものを委譲したもの」と構成すれば、通常の株主総会の議決権が消滅したり復活したりするのは説明容易です。
しかし、N説は取締役選任権付種類株式の取得シチュエーションにおいては千問説より一層不自然で、Aの全部を会社が取得した場合、Bでは法定員数の取締役を選任できないので112条によってその選任権は廃止されたものとみなされ、通常の総会で取締役を選任することになります。すなわち、Bは通常の総会で議決権を持たないので、本来の権利である2名の取締役選任権までも失う(オフサイドトラップ?!)という問題があります。
上記の問題は定款の設計によって解決可能ですが、かなりテクニカルですね。
(千問説では、1)においてAを取締役選任権付株式と定めれば反射的にB・Cも取締役選任権付株式となるということですから、Bの取締役選任権を排除するには、Aを取締役選任権付株式と定める一方でCが残りのすべての取締役を選任すると規定するしかないということですね)
よい弁護士さん・司法書士さんを選びコストを払わないと大穴ができそうです。
法務局さんも大丈夫でしょうか??
いずれにしても、千問説とN説の両立はあり得ませんので、ぜひご見解を伺いたく存じます。
投稿: ラッシャー木村 | 2009年11月 6日 (金) 23時12分
A6
すいません。質問の趣旨が分かりません。
法務局については、法務局に直接問い合わせをする方がよいと思います。

Q7
葉玉先生は挫折を感じられた事はありますか? もし感じられる時は、どうやって乗り越えられてこられたのでしょうか?お聞きしたいです。 それから、やはり高学歴(東大卒)で良かった…と思われる時はどんな時ですか?
投稿: コスモス | 2009年11月 7日 (土) 12時13分
A7
「挫折」の定義次第ですが、失敗は多いです。
やりたかったことを諦めたことも多いです。
でも、沢山のことを諦めたからこそ、人は高いところに上っていけるのです。
子供のころは、沢山の選択肢がありますが、その代わり、何もできません。
挫折を繰り返し、自分のパワーを注ぎ込めるところを見つけることが成功の秘訣だと思います。

なお、高学歴で良かったと思うことは、あまりありません。親が喜んでくれたのは、良かったと思いましたが。
高学歴をめざすプロセスで、様々な方法論が身につくことが最大の財産なのではないでしょうか。

Q8
設立の無効確認とかの828条は「訴えをもってのみ」と書かれておりますけども以降829条、830条、831条と、いずれも「訴えをもって」としか書かれておりません。株主総会の決議取消とかは訴え以外でもできるということでしょうか。
投稿: | 2009年11月 8日 (日) 03時47分
A8
決議取消は、訴えでなければできません。
決議無効・不存在は、訴えがなくても、主張できます。

Q9
株式の配当ですが、特に定款の定めのないなかで、株主総会の決議で株式の配当を抽選で行い(持株数に応じてくじをひく回数をきめるような状態)、当選した株主だけに配当するのは株主平等原則、その他法令に反し取消事由となるのでしょうか。

投稿: 現役マジシャン | 2009年11月 8日 (日) 22時35分
A9
配当を抽選でやるのは、違法とされる可能性が高いでしょう。
方法を工夫すれば、似たようなことをやれないわけではありませんが。

Q10
特例有限会社の役員変更について教えてください。
取締役2名、代表取締役1名の特例有限会社において、現在の代表取締役が代表取締役の地位のみを辞任し、もう一人の取締役を代表取締役にしたいと考えています。
現在の定款は、会社法改正に対応しておらず、「取締役会の決議をもって社長一名を選任する。社長は会社を代表し~」となっております。このような規定がある場合、代表取締役の地位のみの辞任および新代表取締役の選任はどのような方法によればよいのでしょうか。
これを機に会社法対応の定款に改め、それにしたがって新代表取締役を選任するのがよいのではとも考えます。その場合、代表取締役の選任方法は「株主総会で選任する」とするつもりです。
もしこのように改めた場合には、現代表取締役の代表取締役の地位のみの辞任にあたり、辞任を承認する株主総会の決議が必要となるのでしょうか。取締役会で選任するとの旧規定に従って選任された代表取締役の辞任であっても、定款変更後は辞任の意思表示のみで辞任することはできないと考えますがいかがでしょうか。
投稿: 新人 | 2009年11月13日 (金) 09時15分
A10
 質問が沢山絡み合っていて、何をやりたいのかよく分かりません。
 代表取締役が代表者を辞任して、取締役の協議で代表者を選定すればよいのではないでしょうか。
 詳しくは、商事法務の私の論文を見てください。

Q11
随分時間がたってしまい、恐縮なのですが、
2007年2月16日の記事についてお伺いしたいことがあります。
http://app.m-cocolog.jp/t/typecast/221025/188743/16858064?page=2

以下、引用です。

「Q3 以下のケースで、どの時点の株主名簿記載の株主をもって、権利を行使させるべき株主と扱うべきかを記載してみました。
②剰余金の配当請求権者
→剰余金の配当決議を承認した株主総会開催日

A3 
②剰余金の配当の効力発生日の株主です。」

上記先生のご回答の根拠について、自分なりに調べたのですが、
文献等がなく、大変困っております。
もしよろしければ、思考過程を教えていただけないでしょうか?
投稿: 初学者 | 2009年11月13日 (金) 23時42分
A11
 基準日を定めなければ、常に「現在の株主」が権利者となります。
そして、具体的な配当請求権が生ずるのは、効力発生日なので、効力発生日の株主に剰余金が配当されます。

Q12
A株式会社(資本金額10億円の公開会社・監査役会設置会社)は、2007年度決算において、実際には剰余金の額が5000万円しかなかったにもかかわらず、架空の売り上げを計上する等の違法な会計処理によって、5億2000万円の剰余金があるとして、株主に対して1株あたり600円、総計3億円の剰余金配当を実施するとともに、剰余金のうち2億円を資本金に組み入れて、株主に対して1株につき0.2株分の株式の無償割当を行った。
この場合の法律関係を先生はどのようにお考えになりますか。
投稿: つっぴー | 2009年11月15日 (日) 22時35分
A12
すいませんが、その5億2000万円の計算書類が確定したかどうかが、問題文からは読み取れません。
 確定していなければ、配当は違法配当になり、資本金の増加は、無効事由が生じる(ただし、資本金の増加無効の訴えが必要)、株式無償割当は有効ということでしょう。

Q13
会社法326条1項は、「1人又は2人以上の取締役を置かなければならない。」となっていますが、「1人以上の取締役を置かなければならない。」としておけば、日本語として2人以上も含んだ規定になるのではないでしょうか!?

そうすると、326条1項の「2人」という文言は必要ないということにはならないでしょうか!?わざわざ「2人」という文言が入っているのはなぜでしょうか!?
投稿: 学部弐年生 | 2009年11月19日 (木) 11時04分
A13
法律の用例に従ったに過ぎません。

Q14

こんにちは、司法試験の受験生31歳です。
今後のこと悩んでます。現在試験に合格できてないので、本当に試験に合格できるか、そしてほんとうに法律家の仕事をしたいのかどうかということです。

仕事を辞めて3年挑戦したのに受からないので、諦めようかなとも思っています。
でも、このまま諦めてるのはもったいないとも考えてもいます。
また、自分の生活の糧を得るために働かねばならないわけですし。
実際、法律家が向いてるのかなんて自分にはわからないのですが
何か良いアドバイスがあればお願いします。
投稿: 悩み中の受験生 | 2009年11月24日 (火) 00時35分
A14
法律家になりたければ、がんばる。
なりたくなければ、やめる。
それ以上でも、それ以下でもありません。
法律家に向いているのか向いていないのかなんて、あなたにも、私にも、他のだれにも分かりません。
私だって、自分が法律家に向いているかどうかなんて、考えたこともありません。
法律家になりたかった。だから、試験を受けた。それだけです。
「なりたい」という気持ちが薄いのならば、やめればよいでしょう。
それとも、誰かが、あなたに「法律家になってほしい」と期待しているのでしょうか?
もし、そうならば、その人のために、法律家になりたいのかどうかを考えればよいだけです。

Q15
優先株の普通株転換は良く聞くのですが、普通株の優先株転換(ex.自己株式を優先株に転換して割り当てる)というスキームは法律上可能なのでしょうか?商売上、可能な範囲で教えてください。
①資本金を増やしたくないので自己株式の割り当てで対応したい、②議決権をとられたくないため、優先株での割り当てしたい、③現在保有している自己株式はすべて普通株、の3点が要望と前提です。
投稿: | 2009年11月25日 (水) 18時18分
A15
可能です。

Q16
取締役選任権付株式の件。
平成14年商法改正に関する参考書を見ると、
・取締役選任権付株式を発行すると、通常の株主総会で取締役を選任することはない
・取締役選任権付株式を発行する場合は、取締役選任権を持つすべての株式についてその内容を規定する必要がある
というような記述がありました。
やはり、千問の説明に無理があり、取締役選任権付株式の株主の種類株主総会で2名の取締役を選任できるとだけ決めた場合は3名以上の取締役選任は無理、というのが妥当な結論と考えます。
投稿: ラッシャー木村 | 2009年11月29日 (日) 18時55分
A16
14年改正と会社法は規定ぶりが違います。

Q17
11月25日のセミナーに参加させていただきましたが、あまりの構想の薄っぺらさに唖然としました。

どの項目についても、「経済界からは○○という反対意見もあったが、我々としてはこのように整理しました」と根拠なしに結論のみを述べるだけ。なぜこれまでの制度の修正ではダメなのか、なぜ新たな仕組みが必要なのか、なぜ新たな制度で現下の課題に対処できると言えるのか、まったく説明がありません。

また、マスコミ的に大変注目を浴びた従業員代表監査役についても、講師曰く「定年間近の従業員から選ぶことになるのではないか」。会場からも「そんな人が経営陣に意見できるはずない」と呆れた質問が出る始末。それに対する回答が「従業員と言っているだけだから、局長や部長から選べばよい」。え?何ですかそれ?

全体的には、結局は、いかに海外投資家の歓心を得るか、支持基盤たる労働組合の要望を(表面的に)叶えるか、にだけ着目した机上の空論としか思えません。

検討内容の実態を知るという意味では貴重な機会であり、このような企画自体には感謝しておりますが、TMIのような立派な法律事務所の創立20周年を記念するには極めて不適切だったように思われます。
投稿: y | 2009年11月29日 (日) 23時49分
A17
TMIは、公開会社法案に賛成しているから、この講演会を開いたのではありません。
皆さんが情報を早く知ること、そして、それに対する意見を立案プロセスにそそぎこむことが重要であるという考え方から、講演会を開催させていただきました。
私は、大久保先生は、聞く耳をもった政治家であると思いますし、講演会の質問にも誠実に回答されていました。
ですから、ぜひ、公開会社法案の問題点を民主党にぶつけてください。
私が手伝えることがあれば、お手伝いしていきたいと思います。

Q18
都道府県の条例とその都道府県下の市町村の条例で違いがあったらどっちが勝ちますか
投稿: 内藤 | 2009年12月10日 (木) 00時14分
A18
都道府県の事務と、市町村の事務は異なりますので、単純に「どっちが勝つ」ということはありません。
市町村の条例が勝つことは十分ありえます。

Q19
監査役の退職慰労金について質問させてください。
100問の76問における総会決議は具体的な金額等を取締役会に委ねているので387条1項に違反する、とあります(442頁)。
それでは、施行規則84条2項に基づいて、一定の基準に従い一任することが許される場合とはどのような場合なのでしょうか。
具体的な金額等を取締役会に委ねなければ許されると思われますが、それは具体的にどういった一任の仕方なのでしょうか。
投稿: hicka-chin | 2009年12月10日 (木) 00時39分
A19
監査役の独立性を害さない一任の方法を具体的に考えるのは、大変、難しいです。

Q20
刑事訴訟法の判例百選を読めば読むほど、伝聞例外の絶対的特信情況の特信性(特に信用すべき情況でされたもの)のあてはめの相場観(違法適法の判断)が分かりません。
答案を書く際、受験上、これを参考にすれば良いというものはございますでしょうか。
参考となる良い基準(相場観)がありましたら御教授頂けますでしょうか。
投稿: 最後の旧司受験生 | 2009年12月12日 (土) 12時08分
A20
相場観というのは、特にないですね。
調書の作成時期や作成状況等を具体的に検討するというだけです。

Q21
12月13日の日経朝刊1面の記事「株主配慮の増資促す」の最後あたりに「会社法は株主の保有株と同じ数の新株予約権を割り当てることを義務づけている」とあります。またその直前に「新株予約権を使った株主割当増資は今もルール上は実施できるが、2006年施行の新会社法の影響で資本を倍に増やす増資しかできなくなった」とあります。しかし教科書や関連条文(241条)あるいはブルドックソース事件のことを考えても、東証規則はともかくとして、会社法でそのようになったという根拠がわかりません。たいへん恐縮ですが、この記事の成否と根拠をお教えいただけませんか(日経には訂正が出ていないことを電話確認済みです)。よろしくお願いいたします。
投稿: | 2009年12月14日 (月) 09時27分
A21
 会社法は、株主割当てについて、株主に割当を受ける権利を与える方法と、新株予約権の無償割当てを行う方法を用意しています。後者は、株主が新株予約権を譲渡できるという点にメリットがありますが、端数処理規定がないという点をどう考えるかが問題となりました。
 私は、「1株につき1.2とか、0.2の新株予約権を割り当てることもできる」と思うのですが、当局は、1株につき「1.2」はいいけど、「0.2」は駄目ではないかという見解を取ったのです。
 それで、実務的には、1株につき0.2新株予約権を割り当てるということができず、1株につき1新株予約権を与えるが、その新株予約権を行使しても0.2株しかもらえないという方法を採ることになり、その調整が必要であったということです。

Q22
しつこく取締役選任権付株式です。
あらためて旧商法を見直すと、第222条第7項で
「全部の種類の株式に付・・・定むることを要す」
「その種類の株主が取締役・・・を選任することの”可否”」
となっており、取締役を選任できない種類の株式を含め全種類につき選任権の内容を規定すべきことや、通常の株主総会で選任しないことが明確になっていたのですね。
この点、会社法の規定は不十分だと思います。
千問のQAはその穴を解釈でカバーしようとしたのでしょうけれど、商法からの継続性を考えても前記コメントのN説を採るべきだったと考えます。
(会社法第112条は旧商法第257条の5と同内容とわかりました。ある種の取締役選任権付株式が取得されると別の種類の取締役選任権付株式がその選任権を失う可能性は旧商法時から潜在したのですね)
投稿: ラッシャー木村 | 2009年12月21日 (月) 22時16分
A22
会社法の規定を不十分と見るか、フェイルセーフを置いたと見るかの違いだと思います。

Q23
少し古いですが、11月13日開催のTMI「企業不祥事と報道対応」に出席させて頂きました。先生のパワフルな93分間の熱烈なセミナーに感動、抱腹しました。御多忙でしょうが、このような機会を増やすことにより、クライアントは増え続けることと思います。
投稿: K2 | 2009年12月25日 (金) 16時56分
A23
ありがとうございます。
このセミナーは、リアルな対応方法が多いため、ご好評を頂いていますが、例が具体的過ぎて、不祥事の例としてあげた会社さんに失礼な言動をしているのではないかと心配になることも多いのが玉に瑕です。

Q24
来年からローの既習者コースに入学する者です。
新司法試験の選択科目の選び方について質問させてください。
私は、企業再生を専門にする弁護士を目指しています。
なので、倒産法を選択するとおそらくその関係の事務所の就職では
有利かと思います。
ただ、労働法が一番人数も多く実力が反映されやすいと思われる事、
あまり労働法が大好きな人もいなさそうな事、という2点の理由から
新司法試験に受かりやすいのは労働法だと考えています。
この場合どちらを選択するのがいいでしょうか?
労働法を選択しても、就職活動の時に
「試験的な受かりやすさから労働法を選択しました。倒産法は修習中に
勉強します。」
と言えば、企業再生専門の法律事務所の就職において不利になる事は
ないでしょうか?
あるいは労働法の方が試験に受かりやすい、という前提から間違っている
のでしょうか?
ご教示して頂けると幸いです。
投稿: F | 2009年12月25日 (金) 18時26分
A24
倒産法を仕事でやりたいのならば、倒産法を勉強すべきです。
実務にでて体系的な知識を身につけようとすると大変です。
就職には、別に何をとっても関係ないと思いますが。

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2009年8月24日 (月)

Twitterを始めてみました

最近、少し気になっていた「Twitter」を始めてみました。
http://twitter.com/MHADAMA

Twitterをご存じない方のために簡単に説明すると
 登録者が140字以内で「つぶやく」(書き込みをする)と、それを「フォロー」している登録者に、そのつぶやきが伝わる
というものらしいです。

私も、どういうものか、よく分からないので、この2日ほど試してみましたが、なんとなく楽しそうなので、本格的にやってみることにしました。

興味ある人は、twitter.com に登録して、私をフォローしてみて下さい。

このシステムの最大のポイントは、1回140字という字数制限ですね。

ブログだと、それなりのちゃんとした文章を書かなければならないと思って、書き込みの精神的ハードルが高いのですが、140字だと、どうせ1-2文しか書けないので、とりあえず思いつきを書き込める。

この書き込みハードルの低さが、今の私には心地よいです。

私が連載していた脱時空勉強術の「10分勉強法」のようにハードルを下げることにより、少しでも前に進むという発想が活発な議論を生み出すのかもしれません。

「ブログの書き込み頻度が落ちているのに、余計なものを始めるな!」
という声が聞こえそうです。もっと聞こえそうなのは
「先生、そんな暇があったら、ちゃんと原稿をあげてください。8月20日が締め切りだったでしょ」
という京美人編集者の声ですが、ちょっと現実逃避しながら、原稿は書きますので、許して下さい

(質問コーナー)
Q1
商事法務さんのHPの近刊案内によれば、
「一問一答新・会社法」の改訂版が出るとの
ことですが、「論点解説新・会社法 千問の
道標」についても、改訂の予定はありますで
しょうか?
差し支えない範囲でお教えいただけると幸い
です。
投稿: 独眼流 | 2009年8月21日 (金) 15時36分
A1
たぶん、今、お話しするのは、商事法務的に差し支えがあります。

Q2
葉玉先生、こんにちは。
先日、『なぜ、デンマーク人は幸福な国をつくることに成功したのか どうして日本では人が大切にされるシステムをつくれないのか』(ケンジ・ステファン・スズキ著)を読み、民主党など現野党が掲げる大きな目標のひとつである「福祉の充実」程度では今とあまり変わらないのではないかと思っています。
それはさておき、実際に旅行されてみていかがでしたか?
旅先で起こった面白いお話など、お聞かせいただければ嬉しいです。
投稿: ruru | 2009年8月21日 (金) 17時41分
A2
デンマークは、旅行者にとっては、必ずしも幸福な国ではなかったです。
なにせ、物価が高いです。おまけに、間接税25%。これを経験すると、日本の消費税の5%がすごく軽く思えます。
福祉の国は、そこに住んで、年を取ったり、病気をしたりしたときに幸せを感じられるんでしょうね。

Q3
はだま先生は、いろんな事件や、トラブルを解決されてきたと思うのですが、困難を乗り越えてきている精神的強さはどこからきているのですか?またどうすれば強くなれますか?
 弁護士やサラリーマンでも最近うつ病などにかかってしまう人が増えています。うつ病やストレスをためない秘訣あれば教えて下さい。
 実際わたしの知り合いでもうつ病の人いるんですが、怠けているように見えるのですが、なんて声かけてればよいのでしょうか?
投稿: 受験生 | 2009年8月21日 (金) 18時56分
A3
 私は、自分で言うのもなんですが、人並み以上に悲惨なトラブルに巻き込まれてきましたが、それを乗り越えられたのは、守るべき人がいたからだと思います。

Q4
利息に関係ある話なんですが、
弁護士業や税理士業は、商行為になるのですか??
私は、士業は、営利性がないから商行為に該当しないと考えるのですが。
A4
商行為には該当しません。

Q5
質問が、錯綜しますが、423条の任務懈怠は、何年前の任務懈怠まで追求できるのでしょうか??5年でしょうか、10年でしょうか??
同様に、士業の債務不履行も5年前までの責任しか追及できないでしょうか??
投稿: 質問 | 2009年8月21日 (金) 23時03分
A5
10年です。

Q6
 会社分割については、828条1項により一定の期間内に訴えをもってのみ主張することができると規定されていますが、同条の期間経過後に、債権者が民法に基づいて会社分割を詐害行為だとして取り消したり、破産管財人が破産法に基づいて会社分割を否認することはできるのですか?立法に携わった葉玉先生のご意見はどうでしょうか?
投稿: 法科大学院生 | 2009年8月22日 (土) 16時58分
A6
債権者異議手続きの対象となっている債権者は、詐害行為取消はできません。
その対象となっていない債権者については、争いあるものの、私は、詐害行為取消の対象になると考えます。ただ、それは、特定の財産の取り戻しのための制度であり、会社分割の効力を全体的に否定することはできません。

Q7
過払い訴訟の場合、払い過ぎた分は、不当利得で返還請求できると思うのですが、
これも時効が適用されて、10年前に払いすぎた分までしか、返還請求できないのでしょうか??
それとも、30年間、払い続けてきた場合、30年分請求できるのでしょうか??
時効と不当利得の関係がよくわかりません。
投稿: 過払い | 2009年8月23日 (日) 21時56分
A7
 基本的には、30年分請求できると考えられているようです。

Q8

 こんにちは。僕は今年東大に入学した者です。僕は昔から検事に興味があったのですが、経済的事情と法曹界の将来性が不透明なことから司法試験ではなく行政公務員を目指そうと考えていました。しかし、最近予備試験の存在を知り、色々と予備試験の事を調べた結果、今から公務員試験と予備試験を併願して、学部生のうちに予備試験に合格できれば検事を目指し、駄目なら当初の予定通り公務員又は企業に一般就職するという計画なら、お金や時間がかからないし失敗したときの進路変更も容易なのでいいのではないかと考えました。(こういう事を考えているのは僕だけかなと思ってましたが、周りの友人に聞いてみたところ同じようなことを考えている人が他大の人も含めて数人いました。)

ところがある日、とある機会に某大学の某教授が予備試験について予想外の事をおっしゃっていました。

「これからはロースクールの教育を受けたというプロセスを経ることが重視されるから単に一発試験に早く受かっただけでは評価されない。」
「ロースクールの歴史が長いアメリカでも、単に司法試験に受かっただけでは全く評価されず、出身ロースクールとロースクールの成績が重視される。」
「予備試験は政治的妥協でやむを得ず出来た制度で本来必要のない制度だ。大学生が予備試験を目指すのは好ましくない。」
「ロースクールが出来たのは旧司法試験のような一発試験に合格するために予備校で丸暗記型の勉強をする者が多かったからだ。プロセスを経ていない一発試験型の人が駄目なので今の制度になった」
「法曹を目指したいのなら予備試験の事など考えずに、奨学金を使ってでもロースクールを目指すべきだ。」

 というようなことをその教授はおっしゃっていました。一発試験に早く受かれば検事任官に有利になると思っていたので、教授の意見だと僕の計画は全然駄目だということになりそうです。前置きがかなり長くなりましたがここで質問です。

 仮に学部在学中に予備試験に合格して、翌年新司法試験に高順位で一発合格した場合でも、有名ロー出身者と比べて就職面で不利なのでしょうか?僕は特に検事に強く興味があるのですが、検事を志望する場合、予備試験出身者がロー出身者と比べて不利益に評価されるということはないのでしょうか?弁護士の場合も事務所によっては有名ロー出身者じゃないと面接すらしてもらえないとか、ロー在学中に内定を出す事務所が多いので合格発表後に事務所訪問しても手遅れだという話を耳にしますし…。

 もし予備試験ルートの合格者がロー出身の合格者と比べて不利だとしたら、学部在学中に予備試験に合格した場合でもローに進学しなければ検事になるのは難しいのでしょうか。あくまでも予想で構わないのでよろしければコメントお願いします。

投稿: 大学1年生 | 2009年8月23日 (日) 22時34分
A8
予備試験に関することは、今は、誰も分かりません。
ただ、私の感覚では、予備試験や司法試験の成績が良ければ、検事にはなれると思います。

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2009年8月21日 (金)

利息制限法等の改正

お盆前後に夏休みをとって、家族でオランダとデンマークに行ってまいりました。

どちらの国も、最高気温が20度前後で、湿度も低く、過ごしやすい恰好の避暑地でした。
もっとも、子供4人の世話でクタクタになるので、夏休みというより、夏の重労働という感も無きにしもあらずでしたが・・・・。

さて、本日は、普通の企業にはあまり関係のない話ですが、利息制限法と出資法の改正についてお話をいたします。

 営業的金銭消費貸借の制限利率を年20%に統一すること等を内容とする利息制限法・出資法等の改正法が、遅くとも来年6月まで(当時の国会答弁によれば今年の12月ころを目処)に施行されます。

 この改正法は、制限利率の統一のほか
 1みなし利息となる契約締結費用等の制限
 2 保証料の制限
等も内容となっており、特に1については、金融機関の実務上、かなり深刻な問題が生じています。

「みなし利息」というのは、金銭消費貸借に関して債権者が債務者から受領した手数料等を利息とみなして、制限利率を超えるかどうかを判断するものです(利息制限法3条)。

 ただし、3条但書によって、契約の締結及び債務の弁済の費用については、みなし利息とならない旨定められており、従来は、この3条但書を柔軟に解釈することにより、様々な手数料等をみなし利息の認定から外すことができました。

 ところが、悪徳金融業者にとっては、3条但書は、悪用のしがいのある規定であり、契約締結費用や債務の弁済費用名目で、法外な手数料等を徴収し、実質的に制限利率を超える金利を取っているととの批判も強かったのです。

 そこで、改正法は、営業的消費貸借については、この3条但書の範囲を制限し
1 公租公課の支払に充てられるべきもの(印紙代など)
2 強制執行の費用、担保権の実行としての競売の手続の費用その他公の機関が行う手続に関してその機関に支払うべきもの
3  債務者が金銭の受領又は弁済のために利用するATM等の利用料(利息制限法施行令で定める額の範囲内のものに限る。)
の3つ以外は、すべて「みなし利息」となることとし、利息制限法施行令は、ATM等の利用料を1回の受領額又は支払額が
    1万円以内の場合 105円
    1万円を超える場合 210円
と定めました。

 この利息制限法は、サラ金のみならず、銀行、証券、保険会社等の金融機関の金銭消費貸借にも適用されますから、現在、金融機関は、ATM等の利用料についての見直しを迫られています。

 もちろん、理論的には、ATMの利用料がみなし利息になっても、制限利率を超えないのならば、難の問題もありません。

 しかし、総合口座貸越や繰上償還が可能な貸付の場合、債権者が、少額の貸付金を超短期間(たとえば、1日)で返済する場合もありうるので、たとえ、210円という利用料であったとしても、年利換算すれば、制限利息を超えるリスクがあるため、
   ATM利用料がみなし利息とならないような工夫
が必要となっています。

 特に最近は、債権者である金融機関とは異なる金融機関のATMを利用して貸付や返済が行われる場合があり、その場合のATM利用手数料は、ATMを設置している金融機関(ATM設置銀行)の指示により、一旦、債権者である金融機関(カード発行銀行)が管理している債務者の口座から引き落として、カード発行銀行が一旦受領する形を採っていることが多いため、対応が難しいのです。

 私は、この問題の解決策について、以前
「ATM利用に関する利息制限法・出資法改正への対応」(週刊金融財政事情 2009年6月22日号 32頁)
という論文を書きました。

 詳しく書くと面倒くさいので、要点だけ言えば
  解決策1 ATM利用料を105円又は無料にする
  解決策2 みなし利息となる可能性がある場合には、ATM利用を拒否する。
  解決策3 ATM設置銀行が手数料の引き落としを指示するのではなく、カード発行会社が、みなし利息とならない手数料を引き落とす
   
という解決策があるという内容です。

 このうち、解決策1は、本来利息制限法とは関係のない預金の預け入れや引き出しについてまで、利用料を下げざるをえなくなるため、収益への影響が大きく、なかなか採用しづらいと言われています。

 解決策2は、シンプルな方法であり、私の知る限り、いくつかの金融機関は、この方法を採用しようとしているようです。
 もっとも、ATM利用を拒否するということは、現状よりも顧客の利便性の低下をもたらすことになります。特に債務者が借入金の返済をするためにATMを利用しようとしたときに拒否されると、債務者としては
  期限までに返済しようと思ったのに、なんでATMが利用できないんだ!
と怒ることもあるでしょう。

 その点、解決策3は、利用者の利便性を損なわず、かつ、収益へのインパクトも最小限に抑えられる点で優れていますので、お勧めです。

 ただ、解決策3をもう少し細かく分類すれば、ATM設置銀行がカード発行会社に指示するときに
  解決策3-1 手数料抜きの金額の引き落としを指示する
  解決策3-2 手数料込みの金額の引き落としを指示する
という2つの方法があり、金融機関によって、どちらを採るのか分かれているところです。

 解決策3-1が、法的には最も問題のない、私の一押しの解決策であり、カード発行銀行徴求方式と言われています。

 しかし、このカード発行銀行徴求方式は、ATM設置銀行が「手数料抜き」で指示をするという点で、現状とは違う取り扱いをすることになるため、ATM設置銀行が承諾してくれないと実行することができません。

 そのため、解決策3-2を取ろうとしている銀行も多数あります。

 この方法は、ATM設置銀行は、従来どおり、手数料込みの金額を指示するので、たとえば、顧客が1万円の出金を依頼したときに、手数料が210円だとすれば、ATM設置銀行はカード発行銀行に「1万210円」を引き落とすよう指示を送ります。
 他方、カード発行会社は、1万円で105円を超える手数料をとると、みなし利息となるので、顧客の口座から「1万105円」を引き落とすわけです。

 この方法は、実務上は、実現しやすい方法なのですが、問題なのは
  実際には105円しか手数料を取っていないのに、顧客が、ATMから発行を受けるレシートには、手数料が「210円」と表示されてしまう
ことです。
 もし、顧客が、そのレシートを証拠として、帳簿上、「210円」を経費としてしまうと、実際には105円しか経費が生じていないので、顧客に税務上の問題が生じてしまうリスクがあります。
 また、そのような場合、顧客の帳簿上の預金残高と、実際の預金残高が異なることになるため、顧客が混乱する可能性もあります。

 こうした問題は、ATM設置銀行が顧客のクレームに対する対応を迫られることにもなりかねず、ATM設置銀行としては避けたいという気持ちもあるのではないでしょうか。

 以上のように現時点においては、どの対応策も一長一短であり、なかなか先行きが見えません。実際に金融機関間の契約・規則の見直しやシステム対応が必要となることもあり、金融庁や法務省が中心となって混乱を避けるための措置を講じてくれると助かります。

 また、ATM利用料の問題以外にも
  海外ATMの利用料の問題
  繰上償還手数料の問題
  残高証明書の問題
など、みなし利息をめぐる問題は山積している割には、検討が遅れている金融機関も多いように見受けられます。

 なかには大変対応が難しい問題もあり、早めに検討を始めなければ、施行日までに対応できないということにもなりかねません。

 最近、金融機関は、割賦販売法の改正に伴う提携ローンの問題など、法改正時にはあまり予想していなかったような問題への対応を迫られていて、若干、可哀想な感じですが、コンプライアンス重視のご時世のなか、無視するわけにもいかないので、粛々と対応策を実施していくしかないでしょう。

(質問コーナー)
Q1
「監査のための文書化は、必要悪である」というのは、まったくそのとおりだと思うのですが、実際に監査を受ける立場の人間からすると、法定され、監査が義務付けられると、膨大な手間とコストがかかるが法律は守らなければならないのでいかんともしがたく、方やCPAも監査基準があるため、そのとおりにやらなければサインできないという実体があり、サインされなければ、上場会社として上場の維持はできないという厳しい現実があります。
弁護士はクライアントの意向に沿った意見書を無責任に(失礼ながら金さえ出せば何でも解釈で片付けられるのか、社会正義というものはどこにあるのかという意見書を多々見たことがあります)書きますが、会計の世界はがんじがらめでどうにもならないということもご理解ください。
事態の改善はどこの会社も腐心しているところでしょうが、行うは難しとが現状ではないでしょうか。
投稿: 廣嶋精一 | 2009年8月11日 (火) 09時58分
A1
お気持ちはよく分かります。
ただ、私は、「CPAも監査基準があるため、そのとおりにやらなければサインできない」「会計の世界はがんじがらめでどうにもならない」という問題ではなく、個々の監査人が、金融商品取引法の内部統制報告制度の趣旨を理解し、自己の責任逃れのために過剰に保守的な対応を取らなかったら、事態はかなり異なっていたと思います。
 金融庁が、監査人の過剰対応に対し、火消しに回ってからは、それなりに沈静化しましたが、制度論としては、監査人が神様のごとく各企業に過剰な文書化を求めるような場合には、企業が、金融庁に対し、「監査人の監査の適正性についての審査」を求められるような歯止めがあったら面白いかもしれません。

Q2
2009年8月 2日 (日)
今まで、会社成立後の代表取締役に司法書士報酬を請求して、定款に記載がないからといって断られたことはありません。そのため、①成立後に代表取締役に請求すれば、払ってくれると思います。 という回答はその通りだと思います。
ただ、代表取締役が定款に会社法28条4号の株式会社の負担する設立に関する費用の記載がないから払わないと主張すれば司法書士報酬を請求することはできないのでしょうか?会社法28条4号の壁を乗り越える法律構成はどのようにすればよいのでしょうか?
A2
 乗り越えられません。発起人に請求してください。

Q3
②の回答は、28条=発起人の権限の範囲を規律したもの なので定款に記載のない設立に関する費用を払込金から支払った場合は定款違反である。しかし、それは内部的なものであり発起人と会社との関係にすぎない。そこで、司法書士はあまり気にする必要はないという意味だと解してよいでしょうか?
投稿: 登記職人見習中 | 2009年8月11日 (火) 21時45分
A3
 違います。成立後の代表取締役が発起人の支払うべき債務について第三者弁済することはできるということです。

Q4
会社法100問の私の理解だと、
2と3が駄目(株主平等原則違反)な理由は
「株式の数に着目した合理的な取扱いでないから駄目!」
ということでしょうか。
A4
 そうです。

Q5
こんにちは、司法試験受験生ですが、質問させてください。
最近、従来会社法では認められなかった利益の資本組入が計算規則の改正で
認められるようになったと聞きました。
しかし、受験生としては計算規則までフォローしていないので、よくわかりません。
会社法で認めていないものを規則の改正で認められるようになる意味も
なんだかちょっと納得できないです。
わかりやすく解説して頂けないでしょうか。
投稿: 受験生 | 2009年8月18日 (火) 14時38分
A5
その他利益剰余金の資本組み入れの可否は、もともと会社法上、省令委任されているものであり、「会社法で認めていないもの」ではありません。

Q6
Twitterをやってみるおつもりはありませんか。
投稿: こやぎ | 2009年8月20日 (木) 09時44分
A6
試しにやってみたいと思いますが、とんでもないことを口走りそうで、やや怖いところです。

Q7
・非公開の小会社です。(譲渡制限)
・取締役会はあり、定期開催をしてます。
・合併の話があり、手法として株式の移転(譲渡)で
 行うとしてます。
・株の売買は100%で考えています。

この場合、取締役会での株式の譲渡承認の決議で
すむことになりますが、全役員(3名)がそれぞれ株主
である場合、全員が利益相反に該当してしまうことに
なりますが、全員が該当する場合は相反にはならずに
全員が決議参加できると考えて良いのでしょうか。
投稿: ご苦労さん | 2009年8月20日 (木) 15時38分
A7
 ABCが取締役として、Aのときは、BCで決議すればよいでしょう。

Q8
商法15条には、「商人」が商号を譲渡する場合について定められていますが、
会社法にはそれに相当する定めはありません。(定めがありましたら、すみません。)
株式会社が商号を譲渡することは可能でしょうか?また、譲渡できるとした場合、商法15条のように「事業とともに譲渡」する必要はないのでしょうか?
投稿: ご教示ください | 2009年8月20日 (木) 17時09分
A9
 株式会社も商号を譲渡することは可能です。この場合、事業とともに譲渡する必要はありません。

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2009年8月 2日 (日)

クローズアップ現代に出演します

先週の金曜日に「株式懇話会」の懇親会に参加させていただきました。
日頃からお世話になっている方にご挨拶をしてまわったのですが、皆さん口をそろえたように
  最近、ブログの更新が遅いぞ―。
という趣旨のことをおっしゃいますので
    ぐっ・・すいません。がんばります。
と頭を下げっぱなしでした。

 それで、帰宅後、ブログを書こうと思ったものの、正直
   最近は、会社法に関する実務も固まってきて、若干ネタ切れきみ
ではあります。正確に言うと
   ネタがないわけではないが、テクニカル過ぎて、分かる人にしか分からない
というものが増えた
というところでしょうか。T&Aマスターで連載しているSammy's Cafeも
   「パンデミックに対する法的対応」
という会社法とは無関係のネタになってしまいましたし、最近の商事法務を見ても、会社法よりも金商法とかのネタの方が多いような気がします。

 「会社法であそぼ。」も、少し範囲を広げて、金商法や独禁法でも遊ばないといけないかなあ、という感じでしょうか(今までもインサイダー等若干やってきましたが)。

 何はともあれ、本日は、「お知らせ」をさせていただきます。
 
 本日(8月3日)月曜日の夜7時30分からの
   NHK クローズアップ現代
に、なんと
  私がスタジオゲストとして生出演
いあします。

以下「http://www.nhk.or.jp/gendai/yotei.html」からの引用です。
8月3日(月)放送予定
“内部統制”って何だ?
~不正やミスと闘う企業の模索~(仮題)

「情報漏洩を防ぐためUSBメモリーは決して社外に持ち出さない」。「贈収賄の疑いを避けるため取引先から来た贈り物は必ず送り返す」...。今、全国の企業や組織で、不正や不祥事、ミスなどのリスクを未然に防ぐためのルール作り、「内部統制」が進められている。背景にあるのは、日本企業の中で相次いだ数々の不正や不祥事の結果、企業に対して周囲から向けられるようになった厳しい目線がある。たった一度の不正や不祥事が企業の信頼を一気に失墜させかねないのだ。ところが、経営側が内部統制を押し進める一方で、現場からは、"過度な内部統制"は業務効率を落としたり、人間関係を悪化させかねないといった疑問の声も出はじめているという。「リスク管理」と「業務効率やクリエイティビティの維持」をどう両立させるのか。あるべき内部統制を模索する企業の取り組みを紹介する。
(NO.2776)

スタジオゲスト : 葉玉 匡美さん
    (弁護士)

テレビ出演というと、私は、先日、こっそり
  「ウチくる」に、本村健太郎先生の昔なじみとして出演
しましたが、本業ではなかったので、特に告知をしませんでした。ただ、このブログでは
    事前に教えて欲しかった。
という声をいただきましたので、今回は、本業に関連することでもあり、事前に宣伝させていただきます。

テーマは、上にもありますとおり
  内部統制
です。

 私も知らなかったのですが、クローズアップ現代は、「生放送」であり、私が明日何を語るかは、神のみぞ知るところです。

 先日、立案担当者の飲み会で、某公認会計士に対し、
   「今度、内部統制についてクローズアップでコメントするんだけど、『内部統制で、どこそこの監査法人は・・・と企業に要求して金融庁から怒られた」とか、「どこそこの監査法人の系列コンサルが・・・・・とかやってボロもうけしていた』とか爆弾発言したら、まずい?」
と言ったところ、某公認会計士から
    「そこは、ピーッっていれてもらってください」
と言われました。
 それで、私は
   「生放送なので「ピーッ」って入れられないんだけど」
と言うと、某公認会計士は
   「じゃあ、私は、そのことを聞かなかったことにしてください。放送後に協会から「なんでお前は体を張って止めなかった」って言われるかもしれない。」
とおっしゃっいましたので、もし、本番で、私が、不適切な発言をした場合には、某公認会計士は事前に聞かなかったということにしてあげてください。

冗談はさておき、内部統制報告制度元年をなんとか乗り切った企業さんも、乗り切れずに「重要な欠陥」を指摘された企業さんも、一度
      内部統制って何のための制度なんだろう
と冷静に振り返り
   業務の効率化のための内部統制
という切り口で内部統制を改善するためのきっかけにしていただければと思います。

 放送後にスタジオ見聞録をアップさせていただきますね。

(質問コーナー)
Q1
 発起設立についての司法書士報酬を成立後の株式会社に請求する方法について疑問点があります。(今まであまり考えずに仕事をしてきましたが、考えだすとわからなくなりました。)
 司法書士報酬は会社法28条4号の株式会社の負担する設立に関する費用にあたると考えています。そして、大審院の昭和2年7月4日判決の考え方にたつと、定款に株式会社の負担する設立に関する費用につき記載がない限り債権者(司法書士)は成立後の株式会社に報酬を請求できないこととなります。
 しかし、この報酬請求をするだけのために定款に費用額を記載し且つ検査役を選任して設立登記を申請することは現実的ではないと考えます。
(※ 検査役の選任は変態設立事項の要件ではないが、選任しないと設立登記の申請は不可能という理解を前提)
①上記の不都合性を回避し、成立後の株式会社に適法に司法書士報酬を請求するいい構成はないのでしょうか?
 また、上記と関連してもうひとつ質問させてください。
 設立前に、設立費用等を支払う方法として払込取扱銀行(ホーム銀行)の発起人名義の口座から現金を下ろしてきて、発起人が設立費用を支払うことが考えられます。
②この場合も、定款に設立費用につき記載があるからこそ、発起人の権限内の行為となり現金をおろして設立費用を支払うことができるという理解で正しいでしょうか?つまり、定款に設立費用の金額記載のないまま、発起人が口座から現金を引き出し設立に関する費用を支払うことはできないですよね?
以前の記事にもありましたが、
http://kaishahou.cocolog-nifty.com/blog/2007/01/1_d401.html
自分の理解が正しいのか自信がないのでご教示ください。
投稿: 登記職人見習中 | 2009年7月17日 (金) 01時36分
A1
①成立前に発起人が払込金から出したり、成立後に代表取締役に請求すれば、払ってくれると思います。
②発起人が、定款に記載のない設立に関する費用を払込金から支払った場合は、発起人と会社との関係になるので、司法書士の皆さんはあまり気にする必要はないと思います。

Q2
行政書士の業務についてです。
 わたしは行政書士の資格をもっているのですが、「この資格で食えないよ」「いややり方次第だよ」とか色々きくのですが、実際のところどうなんでしょうか?
 弁護士のみが訴訟代理できる、行政書士はできないというの違いだと思うんですが。それほどこの違いは大きいものででしょうか?

 また、法律の実務の経験がないのですが、いきなり開業するよりも、他の事務所で経験させてもらったほうがよいのでしょうか?
投稿: 質問者 | 2009年7月17日 (金) 19時09分
A2
 弁護士でも司法書士でも行政書士でも、資格だけでは食べられない時代ですね。
 なお、行政書士と弁護士の違いは訴訟代理だけが問題なのではなく、行政書士は、紛争に関して法律のアドバイスをすると弁護士法違反になるというところが大きいのだと思います。

Q3
こんにちは。いつも拝見しています。
今回の記事もとても勉強になります。
> もっとも、振替口座簿では、B社の有するA社株50株が、Xの口座に記録されてい
> るので、B社は、Xに対し、A社株50について、B社の口座を振替先口座とする振
> 替の申請を求めることになるでしょう(不当利得返還請求権)。
ウワサですが、実務上の扱いとして、買い取り請求の事案では
ホフリさんは反対株主Xへの増加記録をしない扱いをしてくれる(らしい)、
と耳にしたことがあります。
先生のおチカラで、ホフリさんの正式な取り扱いという言質をとっていただけると
発行会社の実務担当者は喜ぶと思うのですが・・・(笑)
投稿: 読者R | 2009年7月18日 (土) 15時26分
A3
この問題は、保振に持ち込まれるタイミングにもよるので、一律な取り扱いは難しいところでしょう。困ったときは、相談してください。

Q4
会社法マスター115講座 第3版について

P17 会社の機関設計(1)-総論 図表7-1
会社:「会計監査人設置会社」※委員会設置会社を除く
義務づけられる機関:「監査役(327Ⅲ)」
上記項目が記載されていないのはなぜでしょうか。何か意図ないし意味
があったりするのでしょうか。
投稿: LAW | 2009年7月21日 (火) 23時35分
A4
特に意図はないように思います。
会計監査人は、業務監査ができる監査役がいないとおけないです

Q5
先生が執筆された商事法務1778号の「代表取締役の就任・退任」がすごく役に立っております。その中で、一つ分からないことがありますので、何とぞご教示ください。
定款の定めに基づき取締役の互選により選定された代表取締役が退任する場合のご説明において、「取締役の互選により、●●を解職する決議」、「取締役の互選により、解職を決定した場合」といった表現があり、「互選」という字面からは「取締役全員一致で“選ぶ”」というイメージがあり、「互選により解職」という表現がスッと頭に入ってこなかったのですが、「互選」とは、会社法348条2項と同じく「(取締役の)過半数の決定」と置き換えてもよろしいものでしょうか?

また、その場合、解職を決める互選においては、解職対象の取締役が参加しなくても問題ないでしょうか? 会社法348条2項によれば、非取締役会設置会社では、利害関係を有する取締役も過半数の決定に参加できると読めるため、気になっております。
投稿: 悩める株式課員 | 2009年7月22日 (水) 13時58分
A5
349条は、互選で代表取締役を定めるという規定しかないので、解職も法律上は「互選」によることになりますが、過半数の決定と置き換えるのは、かまいません。
 解職の際に、利害関係を有する取締役を互選から排除することができるかどうかは、なかなか難問ですね。
 定款で定めれば、よさそうですが。

Q6
予選された取締役(監査役)の任期についての質問です。
【前提】
1.いずれも弊社の完全子会社であるX社(存続会社)とY社(消滅会社)が、平成22年4月1日を効力発生日とする吸収合併を行う。
2.合併を機に役員体制を変更するため、X社において3月中に臨時株主総会を開催し、効力発生時期を4月1日とする取締役(監査役)の追加選任決議を行う。
3.X社の事業年度末は、3月末日である。
4.X社の定款には、「定時株主総会は6月に開催する」との規定がある。
5.X社の定款には、取締役の任期が「1年」であることのほかには別段の規定はなく、当該追加選任決議においても、任期について別段の決議はされていない。

上記前提において、平成22年3月開催のX社臨時株主総会で、同年4月1日付で追加選任された取締役(監査役)が同日から就任した場合、当該取締役(監査役)の任期は、A,Bのどちらなのでしょうか。

A:取締役(監査役)の任期は、平成22(25)年6月定時株主総会終結の時まで。
⇒ 株主総会で選任したのが3月××日である以上、任期の起算点は3月××日。

B:取締役(監査役)の任期は、平成23(26)年6月定時株主総会終結の時まで。
⇒ 選任決議の効力発生が4月1日である以上、任期の起算点は4月1日。

先生編著の「千問の道標」のQ390を参照したところ、同書では「株主総会の決議で、選任決議の効力発生時期を遅らせることとしたとしても、任期の起算点については、選任決議の日と解すべき」とあることから、Aが正解なのだと思います。

しかしながら、同書には「会社法では、任期の起算点を株主総会のコントロールが及ぶ「選任時」とすることとした」ともあることから、「4月1日効力発生」という停止条件付であることを株主が承知して決議している以上、「任期の終期が株主総会の意思に反する事態が生じ」ているとは言えず、Bでも良いような気がします。それでも、やはりAが正解なのでしょうか。

なお、株式会社を事業年度初日(4月1日)に設立登記する場合、設立時取締役の選任は3月××日でしょうから、上記と同様の問題が発生するのでは(特に、取締役の任期が「1年」のケースは?)…と思うのですが、この場合はどのように解したら良いのでしょうか。
投稿: ツェーベーツェー | 2009年7月23日 (木) 21時42分
A6
Aです。決議の効力発生日を5年後にすれば、そこから選任の効力が生じるというような制度は妥当ではない(取締役はそのときの株主が選任すべきです)ので、選任時を起算点にしています。
設立前に選任されても、1年以内に事業年度は終了しないので、そのときは、最初の事業年度の終了に係る総会の終結時まででしょう。

Q7
すいません。私の考え方が間違えではなかったかと思いご質問です。
公開会社が第三者割当増資を行なう場合において、割当先から予め定められた払込期日当日に、金銭が用意できないとの連絡があったので、社長は取締役会を開き、払込期日を翌日に変更しようとしたのですが、可能だったでしょうか。
私は払込期日の2週間前までに株主通知、公告又は金商法4条届出が必要なことを考えると、期日を変更する場合も通知等が必要であり、2週間の期間をとる必要があると考え、反対したのですがいかがでしょうか。
投稿: スポーティーひげ | 2009年7月26日 (日) 00時01分
A7
 当初の募集手続きと、変更後の募集手続きは同一性が認められるので、払込期日を後ろにずらすことは、可能です。
 その場合、払込期日は、通知・公告・届出事項なので、変更後の内容を通知・公告・届出が必要ですが、安全を取るならば、スポーティーひげさんが考えられたように、プラス2週間後に払込期日を変更した方がよいと思います。
 実際に発行されてしまえば、必ずしも、株式発行の無効原因にはならないと思います()判例は、通知・公告を欠く場合には、無効事由になるとしていますが、この事例では差し止めの機会は与えられていますので)。

Q8
私は,司法試験の受験生です.私は社会人なので,旧試験を受験している者です.
私から先生へ,3点質問させてください.
よろしくお願いいたします.
1.
現在私は,いま(7月下旬),秋からの答案練習会に向けて,各科目の基礎固めをしています.
基礎は,何度も繰り返すものだと思います.確かに少し飽きてきていますが,我慢して身につけようと努力中です.
具体的な内容は,受験指導校等の論証を,自分の覚えやすい言い回しや接続詞を使いながら加工しつつ,実際に自分の手でノートに書き,同時に記憶をすることを繰り返すというものです(毎年同じ内容ですが・・・)
そこで
・上記の学習方法は,基礎固めとしてふさわしい内容でしょうか?
・今の時期に行うべき足りないものがあるとしたら,それは,何でしょうか?
2.
私は,上三法では民法の債権総論・各論,刑法では刑法全般(すみません)が苦手です.
ですが,商・訴訟法も今の時期からどんどん進めないとというあせりもあり,私の心は空回りしています.
なので,私は6科目を平均的に学習しています.
学習内容は,上記の1.に述べた内容を行っております.
そこで
・6科目を平均的に勉強すべきか・・・それとも,
・上三法の復習が先で,商・訴訟の基礎固めはその後・・・か
先生のご経験もあわせて,アドバイスいただけますでしょうか?
3.手形法についてです.
商法の論文試験対策において,私は,手形法は一番手薄です.
(自慢できません.反省しております)
そこで・・・
商法の科目において,手形法は,十分出題可能性があるので気合を入れて勉強すべきか?
について,教えていただけますでしょうか?
(聞くは一時の恥.そんなの「当たり前だ」という回答も承知で質問させていただきます.)
投稿: ミナミアルプス | 2009年7月29日 (水) 10時46分
A8
1 まあ、いいんじゃないでしょうか。ただ、択一も解いた方がいいと思います。
2 商法訴訟法に力を入れた方がいいと思います。
3 手形法は、やるべきです。ただ、会社法の3分の1くらいの時間でしょうか。

Q9
おそれいりますが、取締役会の実務について、ご教授いただけないでしょうか。
A社の代表取締役Xが、B社の取締役に就任することになりました。
A社、B社ともに取締役会が組織され、事業内容が同業種であり、営業地域も近接しております。
また、A社はB社より、例年、A社の売上高の2~3%を占める規模の取引があり、今後も同様の取引が見込まれます。
B社にとってA社との取引は、売上高の20~30%程度を占めます。
取引内容としては、A社からみて、B社への業務委託や、B社の派遣労働者の受け入れです。

この場合、Xは、A社B社の両方の取締役会で、競業取引の承認や報告(会社法356条1項1号、365条2項)が必要でしょうか。
それとも、承認と報告はB社のみでよろしいでしょうか。
また、作成する取締役会議事録は、包括的な承認や報告でよろしいでしょうか(規則101条3項6号イ)。
投稿: PHS派 | 2009年7月31日 (金) 10時04分
A9
Xが、B社で業務執行を行わないという前提ならば、356条1項の報告と承認はB社だけです。その際は、包括的な承認で結構です。
ただし、A社との関係で忠実義務違反等の問題もありますから、A社においても類似の報告と承認は取った方がよいのではないでしょうか。

Q10
弁護士の先生の恋愛事情って、今迄勉強しかしてこなかったので、
経験が少ないよう勝手に思ってるんですが、実際のところどうなんでしょう?
美人秘書と恋愛ができたりするものなんでしょうか?
受験生の間に恋愛なんてなかなかできないし。。
投稿: まめしば | 2009年7月14日 (火) 18時41分
A10
恋愛経験の少ない弁護士もいれば、恋愛経験が多すぎて秘書の間で要注意との申し送りがされる弁護士もいます。
秘書と結婚する人もいますから、それは人それぞれではないでしょうか。

<女か?、女性か?>
番外Q1
「女」と呼ばなければ感情がこもらないという辺り、男社会だなぁと思いました。そして、弁護士というのはこれほど一般人と感覚が異なるんだと思い、改めて司法制度改革の必要性を感じた次第です。こういう感覚を持ってる弁護士には、絶対相談したくないと思います。早く改革が進んで市民と同じ感覚を持った弁護士が増えることを祈るばかりです・・・(無理っぽいですけど)
投稿: 通りすがり | 2009年7月16日 (木) 23時57分

>市民と同じ感覚を持った
「女」と呼ぶほうが感情がこもるというほうがよっぽど市民感覚に近いとおもうんですけど。。演歌の世界もそうですし。
フェミニストって呼称などの形式だけをおもんじるようなきがします、
投稿: 通りすがり2 | 2009年7月17日 (金) 19時01分

添削です
「女」と呼ばなければ感情がこもらないという辺り、男社会だなぁと思いました。

→①「女」と呼ばなければ感情がこもらないという辺り、先生も男だなぁと思いました。

  または

→②「女」と呼ばなければ感情がこもらないという辺り、弁護士の世界も男社会だなぁと思いました。

そして、弁護士というのはこれほど一般人と感覚が異なるんだと思い、改めて司法制度改革の必要性を感じた次第です。

→①そして、先生はこれほど一般人と感覚が異なるんだと思い、改めて司法制度改革の必要性を感じた次第です。

  または

→②そして、弁護士というのはこれほど私達女性と感覚が異なるんだと思い、改めて司法制度改革の必要性を感じた次第です。

こういう感覚を持ってる弁護士には、絶対相談したくないと思います。

→①私は先生には、絶対相談したくないと思います。

   または

→②現在の弁護士には、絶対相談したくないと思います。

早く改革が進んで市民と同じ感覚を持った弁護士が増えることを祈るばかりです・・・(無理っぽいですけど)

 → ①の文脈ならば、相談可能な弁護士は存在するので、この文章は不要です。②の文脈ならば、「早く改革が進んで私達女性と同じ感覚を持った弁護士が増えることを祈るばかりです・・・(無理っぽいですけど)」となります。

 論理的に破たんしている文章を見てしまうと直したくなるのが癖なので、すいません。
            よう
 ①、②ともに、私自身の考えではありません。

 私自身は先生の考え、好きですよ。

 白夜行の書き込みも、法律家としては、これに感動してしまうとか言ってしまうのはリスキーなのではないかと思うのですが・・・余計な御世話ですね。

 暑いですけど、がんばってください。

 では 
投稿: 文章が破綻してますよ(笑) | 2009年7月17日 (金) 22時32分
番外A1
 「女」と「女性」は、ほぼ同義であり、そこに人それぞれが思いを込めるから、言葉の面白さがあるのだと思います。
 私は、自分の感じる語感が、それほど社会的常識から外れているとは思っていませんが、そう感じる人がいることを否定するものでもありません。不愉快になられたのであれば、申し訳ないと思います。
 ただ、一定の思想のもとで「言葉狩り」をされるのは、好きではありません。

番外Q2
「女」と書くこと自体は問題ないと思いますが、

「女にフラれることが、自らの間違いの証明であるならば、私は、数え切れないくらい間違いを起こしてきたことになります。」

という文章からは、女性蔑視的なものが感じられない訳でもありませんね。

まぁ、この先生は、本人も認めていらっしゃいますが、外見的にはぜい肉も多く、決して良い先生ではありません。他にも、女性関連のことでは、このブログで、変な発言を、多数繰り返しておられます。
あまり、ピリピリしてもしなくても、と思いますが。
投稿: うーん・・・ | 2009年7月27日 (月) 01時33分
それじゃ、
「男にフラれることが、自らの間違いの証明であるならば、私は、数え切れないくらい間違いを起こしてきたことになります。」

と女が書いたら男性蔑視なのですか?

「男」「女」で十分です。いちいち「性」をつけて何になるんでしょうか。
どう思われますかK俣先生。
投稿: はあ? | 2009年7月28日 (火) 11時47分

番外A2
 私は、女性を崇拝する傾向にあるものの、女性蔑視は全くないと自分では思っています。
  女性の社会進出にも賛成ですし、女性が社会的に受け入れられにくい部分があるという現実の中で、少しでもお手伝いができたらと思っています。
 実際、妻が医師として働いている姿を見てうれしく思いますし、妻が三男を出産したときには、出産直前から約1ヵ月間、自宅勤務をしながら、食事を作ったり、育児をしたりしていたこともありました。
 私は、小さい頃から、働く母の後姿を見て育ち、女性が家庭と仕事を両立する難しさを垣間見てきたから、「女性を助けたい」と思うのかもしれません。

 外見的にぜいにくが多いのは、妻からも常々指摘されていますので、ダイエットに励みたいと思います。

また、検事時代・弁護士時代を通じ、事件の解決のために、いろいろと策謀を巡らせることから、よく仲間から「腹黒いですねえ」と言われますので、「良い先生ではない」といわれると、返す言葉もありません(笑)

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2009年6月16日 (火)

2ヶ月間のご無沙汰でした。

皆様、お久しぶりです。
ふと気づくと2ヶ月近く更新していませんでした。このブログ史上、最長不更新記録であります。

更新しようという気持ちはあったものの、土日は家事育児で疲れ果て、たまに早く帰ることがある平日の夜は、ついドラマにはまってしまい、ブログを書く心の力が枯渇していました。

特に最近は、「白夜行」というドラマにはまり、「花より男子」に続き、DVDBOXを大人買いして、深夜に涙を流しながら見ていました。
「白夜行」は、視聴率はとれなかったものの、私の見た日本のドラマの中では、3本の指に入る傑作です。

白夜行は、11歳の男の子が、初恋の女の子を買春していた自分の父親を殺し、その女の子は男の子を守るため、その犯行を自分の母親がやったように偽装して母親を殺し、二人は。その後も、その時の犯行を隠すため、次々と犯罪を重ねながら大人になっていくという悲惨な話です。が、二人の心のつながりが純粋で、悲惨さや無残さを超えた切なさを感じるドラマでした。
 雪穂という主人公を演じる綾瀬はるかは、これまで、いまいち表現力が不足している女優という印象を持っていました。しかし、このドラマでは、雪穂が残酷な行為を繰り返しても、彼女の持つ変わらない清廉な美しさにその残酷さが飲み込まれてしまい、見る者は「理性では許せないけど、感情としてはつい許してしまう」という不思議な感覚を覚えます。まさにキャスティングの妙です。

「11歳の時の二人の殺人事件」というこの物語の背骨となるエピソードについては
「刑事未成年だし、少年法があるんだから、時効なんか待たなくても、さっさと警察に自首すれば、すぐに太陽の下で二人で手をつないで歩けるのに」
という法律家ならすぐに気づく大きな穴があるのですが・・。
まあ、無粋なことを言わずに見ると、得がたい感動が得られると思います。

さて、本日は、長期間の不更新により、質問がたまりまくっていますので、とりあえず、それに回答し、心の負担を軽くしたいと思います。

次回から会社法ネタを考えますので、今後ともご愛読のほどよろしくお願い申し上げます。

(質問コーナー)
Q1
さっそくですが、本日のQ1後段に対するご回答は、合併対価として、本合併により承継した自己株式ではなく、別途、新たに株式を発行して交付した場合を想定されたものでしょうか?
自己株式(本合併により承継したものを含む。)のみを交付した場合、発行済株式総数は増加しないものと理解しております。
投稿: まーや | 2009年4月22日 (水) 17時40
A1
もちろん自己株式のみ交付すれば、発行済株式総数は増加しません。

Q2
株式併合の結果、単元株式数の上限規制に抵触する場合、①そもそもそのような株式併合が制限されるのか、②それとも単元株式数の効力に影響(無効又は一部無効)が生ずるのか、③いずれにも何ら影響はないのか、どうなのでしょうか。

投稿: 猫太郎 | 2009年4月23日 (木) 10時47分
A2
株式の併合を制限する条文はないので、単元株式数の定款の定めが188条2項違反で無効になると解します。

Q3
私は、法科大学院に進学したばかりなのですが、先日、自動車を運転していて、不注意にもオービスにやられてしまいました(スピード違反)。その場所だけ制限速度が低く設定されており、赤切符確実な状態です。

青切符は反則金ですみますが、赤切符だと、罰金刑を受け、犯罪者として扱いを受けることになります。

法務省の管轄する司法試験に影響するのかが心配ですが、どうなのでしょうか?
検察庁の保管する記録に前科が永遠に残ってしまうのでとても心配です。
投稿: 地方人 | 2009年4月24日 (金) 00時03分
A3
司法試験には影響しないと思います。

Q4
自己株式を銀行借入金の担保として、差入れることに問題はないでしょうか。?
また、差入れに際して、取締役会決議等の手続は不要でしょうか。
担保権が実行されれば、発行済株式数が増加するため、取締役会の決議等が必要かと思ったのですが・・・・・。
投稿: | 2009年4月24日 (金) 20時16分
A4
自己株式の担保差し入れは、難しい問題です。
担保差し入れも、自己株式の処分ですから、本来、199条の手続が必要ですが、質権の場合、払込みを想定できません。譲渡担保なら、工夫することで、やれないことはありませんが、結構テクニカルです。

なお、自己株式の処分は、発行済株式総数は増加しません。

Q5
このたび、A社の事業を全部B社(A社はB社の100%子会社)に譲渡して、A社は解散することになりました。
簡易+略式事業譲渡に該当するケースなのですが、この場合、Aは解散するため株主の株式買取請求権の行使は不可となりますが、譲受会社であるB社の株主には買取請求権の行使が可能なのでしょうか?
事業の一部ではなく全部を譲受けるため条文を見ると必要のような気もします。
ただ、必要とする根拠もわかりません。
投稿: 法務部員 | 2009年4月26日 (日) 02時07分
A5
事業の全部の譲り受けは、「事業譲渡等」に該当し、469条によりB社の株主も、株式買取請求権を行使することができます。

Q6
会社法444条3項で連結計算書類の作成義務が規定されていますが、該当する会社であっても子会社がいない場合は連結計算書類を作成しなくてもいいのでしょうか。それとも、大会社である有報提出会社に子会社がいないとは法は考えてないという理解で正しいでしょうか。あるいは、連結の対象となるべき子会社がない旨を連結計算書類に記載するのでしょうか。
投稿: 短答が近くて忙しい50歳 | 2009年4月27日 (月) 13時41分
A6
連結計算書類の作成義務はあると考えざるをえないでしょう。

Q7
適格合併における株式端数の処理について質問させてください。(市場価格のない株式であることが前提です。)
 合併においてはその比率によりどうしても株式端数が生じてしまうと考えております。
 その場合、まずは、消滅会社側で株式分割 無償割当等の処理を行い端数がでないようにすべきと考えております。
 ただ、上記の処理にもかかわらず適格合併において端数が生じる場合はどうすべきなのでしょうか?
 私見では、会社法234条2項に基づき、市場価格のない株式を裁判所の許可を得て売却し、同条4項により買い取ろうとも考えております。また、この場合は法人税基本通達1-4-2により合併対価とはならないので適格合併には抵触しないことも理解しております。
 ただ、小規模の合併において裁判所の許可を得てまでして競売に代わる許可を得なければならないとすれば費用が多大になってしまいます。だからといって、端数処理につき234条の手続きによらず金銭等ですましてしまえば適格合併の要件にあたらないように思われます。
 このような、適格合併における端数処理について何か良い知恵はないのでしょうか?ご多忙のところ大変申し訳ありませんが、どうぞご教示いただけませんか?よろしくお願いします。
投稿: 登記職人見習中 | 2009年4月27日 (月) 22時15分
A7
 端数の生じ方によって対応策が異なりますので、一般論として教えるのは難しいですね。

Q8
僕は,検察官を目指していた修習生ですが,検察官になることができませんでした。今は志望者が多く,競争が激化しているようです。うまく気持ちを切り替えることができず,少し悩んでいます。何かアドバイスをいただけませんか。
投稿: poi | 2009年4月28日 (火) 23時46分
A8
自分の希望職種につけない人は、日本全国に山のようにいます。
現実を見てください。

Q9
善管注意義務違反と過失の区別について質問させてください。
葉玉先生の立証責任の分配論、すなわちどちらがどのような事実を立証するかという点については、概ね共感することができました。

しかし、そのような観点のみから任務懈怠と過失の区別の議論を進めることが果たして妥当なのか疑問があります。
つまり、先生の指摘される立証責任の分配の観点は、「間接反証」の問題や「事実上の推定」の問題として解消可能な点ばかりであり、かならずしも先生のいう帰結(善管注意義務違反と過失はあらゆる場合に区別可能であり、区別しなければならないという帰結)を導かないように思います。つまり、善管注意義務と過失とを(一定の場合に)同じく考えたとしても解決可能な問題と思います(つまり、②、③の類型に関しましては、善管注意義務と過失とを同じく考えたとしても、先生のおっしゃるような妥当な結論を導くことは可能だと思います。)。

葉玉先生は、暗黙のうちに民法にいうところの善管注意義務の意味と会社法にいうところの善管注意義務の意味とを区別しているように見受けられますが、会社法330条の「委任に関する規定にしたがう」との規定の存在により、条文上厳しいように思います。

民法上の委任契約における善管注意義務違反は、個別具体的な事情をもとに判断されることと解されており、まさに過失の問題と重なるように議論されていると思います。このことからすると、会社法においても、善管注意義務違反の意味は、同じように解釈されるのが本来的なところではないでしょうか。

先生のご説明は、おそらく、会社法の場面においては、民法と異なり、善管注意義務違反の判断を、「取締役が具体的に把握していた情報ではなく、会社が把握していた情報を前提とすべきである」との見解に立ち、取締役が具体的に把握していたかどうかなどの点は過失の問題で議論すべきとのお考えだと思います。

しかし、この問題も結局は、会社が把握していた情報を前提として著しく不合理な決定がされた場合には、個々の取締役についても民法上のものと同じ善管注意義務違反が一応推定されるが、個々の取締役に関する事情について取締役側が主張・立証をすることによって、その推定を妨げることができるという説明で十分であると思います(つまり、あえて会社法上の善管注意義務を民法のものと別異に考える必要はないと思いますし、善管注意義務を民法のものと同義で捉えれば善管注意義務と過失の区別はやはり困難と言わざるをえないと思います。)。

以上のように考えると、おそらく、民法の善管注意義務と会社法の注意義務とを別異に捉える実質的な理由(ある意味形式的ですが)は、会社法428条が「任務懈怠」と「責めに帰すべき事由」を分けているという点を説明できるという点です。しかし、428条にとらわれると今度は以上に述べたような330条との整合性を欠いてしまう結論を招く気がいたします。

とりとめがなくなってしまい申し訳ございませんが、何かしらのレスをお願いいたします。

投稿: AAA | 2009年4月28日 (火) 23時52分
A9
任務懈怠と過失を分けて考えない見解でも、実質的に立証責任の転換を図ることは理論的に可能ですが、間接反証にせよ、事実上の推定にせよ、ある事実から経験則によって導かれる事実があるからこそ、できることであり、取締役の責任が問題となる事例で、本当にそのような経験則が存在するか、微妙です。
 また、当該見解は、会社が法令違反行為を行った場合についてまで、「過失」として一体的に考えるのでしょうか。私は、簡単に分けられる事例についてまで、一体的にとらえた上、過失の立証責任を請求者側に負わせるのはおかしいと思います。
 330条は強行法規であり、契約自由を前提とする善管注意義務とは異なります。もし会社法が民法の議論をそのまま適用するつもりならば、330条など不要のはずで、なぜ330条が置かれているのかを考える必要があります。
 善管注意義務の内容は、民法では、第一次的には、契約の内容に関する当事者の意思解釈から導かれるのに対し、会社法330条は、そのような考え方を採りません。民法における善管注意義務の議論が、強行法規を前提としたときにどれほど通用するのかを検討する必要があると思います。
 また、「428条にとらわれると今度は以上に述べたような330条との整合性を欠いてしまう結論を招く気がいたします。」という考え方はおかしいと思います。会社法の善管注意義務を解釈するのですから、428条や330条が存在することを前提に解釈すべきであり、428条や330条と矛盾する解釈をすることは採用できません。

Q10

はじめまして,取調の可視化に関するお答えに疑問があります。
>可視化するならば、短時間の取調べに留める必要があります。これは、録画コストだけではなく、録画した取調状況を、裁判関係者(検事・弁護士・裁判官・裁判員)が見るコストを考えると不可避です。

とありますが,すべての取調を録画しても,それをすべて見る必要はないはずです。可視化は,任意性を疑わせるような取調があったか無かったかを判断するためですから,被告人が不当な取調があったと主張する時期の取調の録画だけを見ればよいはずです。取調の最初から最後まで任意性を失わせる不当な取調べをすることは考えがたく,仮に最初から最後まで不当な取調であったのなら,最初だけ見ればわかるはずです。
取調の全過程が可視化されると,不当な取調は抑制されるはずですから,任意性がないとの主張自体なくなり,録画を見る機会そのものは不要になると思います。

投稿: インビーム | 2009年4月30日 (木) 02時15分
A10
そんなに単純なものではありません。
まず、被告人が、時期を特定できるとは限りません。特定できなければ、全部見ていくしかありません。
また、一言で任意性が飛ぶことは希であり、任意性を疑わせるような言動を丹念にたどってはじめて取調官の言動が被告人の自白に与えた影響を明らかにすることができます。
 また、取調の全課程が可視化されても、自白したことが不利だと考える被告人が任意性の主張をすることは、絶対になくならないと思います。すべての被告人が合理的な行動をとるわけではないのえす。もし抽象的な任意性の主張をする被告人がでてきたら、検事も弁護士も裁判官も全部見なければならなくなります。

Q11
そこで、ひとつ教えて頂きたいのですが、新会社法では、株主総会後の決算の訂正が認められるけれど、いくつか条件を満たさないといけないと聞いたのですが、どのような条件かご存知でしょうか?

私の勤めている日本支社の、親会社が子会社を作り、その子会社と契約を結ぶことになったのですが、そこが2008年度分のサービス料を払うと言ってきたのです。 もう決算も株主総会も終わった今ごろになって。 (もともとそういう契約だったのですが、12月の締めになっても何も言ってこないので)
投稿: 利絵子 | 2009年4月30日 (木) 15時42分
A11
おっしゃるような事例では、決算の訂正は無理だと思います。

Q12
①847条で212条1項の支払を求める訴えが規定されているのに、なぜ462条の支払を求める訴えは規定されていないのか?
②212条1項2号については取締役の支払義務が規定されている(213条)のに、なぜ212条1項1号について、取締役の支払義務が規定されていないのか?
投稿: さとう | 2009年5月 2日 (土) 16時39分
A12
①462条は、債権者保護のための責任だからです。462における株主は、平等に配当をもらった立場であり、責任を追及する立場ではありません
①1号は、取締役と通じることが要件となっているので、何も規定しなくても423条の責任が生じるからでしょう。

Q13

葉玉式方法論マニアです。脱時空勉強術などの先生独自の方法論はどのようにつくり上げたのですか?そのような方法論は実践の中でつくり上げられるとしても、単に試行錯誤を繰り返しているだけでは方法論は生み出されませんよね。なにかヒントをください。なにかの本を読むべきでしょうか。

投稿: デューイ | 2009年5月 3日 (日) 00時13分
A13
私は、中学高校時代の試験勉強に始まる試験人生の中で身につけました。
本を読むよりも、人から聞いた話などが多かったです。

Q14

【個別株主通知の受付票について】
大変お忙しい中恐縮ですが、前々回の記事「会社訴訟・非訟と個別株主通知」に関して、質問させてください。

この記事の中で、

>受付票は、振替法が義務づけている制度ではありませんが、
>株主が口座管理機関に個別株主通知の請求をしたときには、
>必ず交付される実務になっていますので、
>  個別株主通知をしたこと
>  請求日
>  株式数
>等を確認するには最適です。
とあります。
しかし、受付票に、「株式数」は記載されないように思えるのですが、いかがでしょうか??

私が何か基本的なところで勘違いしているだけかもしれないのですが、実務で悩んでしまっているので、なにとぞ御教示をお願い申し上げます。
投稿: HH | 2009年5月 4日 (月) 15時00分
A14
すいません。確かに株式数は受付票には記載されませんでした。

Q15
これまではずっと就職をするつもりだったのですが、どうしても医療過誤の問題に関わりたいとの思いを抱いたことから、今年になって法律の勉強を始めました。
1月から勉強して今やっと七法を一回ししたところです。

質問なのですが、今年未習コースを受験し入学すべきでしょうか?

私としては、司法試験の基礎はロースクールで習っても自分で勉強しても同じように身に付くのではないかと思うこと、また来年の旧試と既習を受験するという身近な目標を立てることでより危機感をもって勉強できるのではないかと思うことから、今年も無謀ながら既習のみチャレンジしてみようかと思うのです。

ただ、既習のみの受験だと浪人の可能性が高まるのも事実です。親は私に学生の身分がなくなるのは嫌だという思いが強いこと、浪人して一人で勉強するよりもロースクールに入学したほうが勉強がはかどるのではないかということ、入試や就職で不利になるのではないかということから、今年の未習受験を薦めています。

特にロー入試の段階で大学既卒者は不利に扱われるのかを考えると、私も不安になります。(就職についてはGPAや新試の成績での挽回も可能かと思うので)
投稿: aki | 2009年5月 5日 (火) 20時58分
A15
akiさんの実力が分からないので、適切なアドバイスをすることは困難ですが、浪人するより、未習に入った方がいいと思います。

Q16
会計監査人設置会社における計算書類の承認特則要件の件です。

会社計算規則が平成21年4月1日に改正されたことにより、同規則135条(改正前163条)が規定する承認特則要件は、「次の各号(監査役設置会社であって監査役会設置会社でない株式会社にあっては、第3号を除く。)のいずれにも該当すること」とされ、改正前同規則と比較すると(括弧書き)が追加されました。

改正前においては、改正前163条が規定する承認特則要件は「次のいずれにも該当すること」とされ、改正前163条3号に「会計監査報告に係る監査役会又は監査委員会の監査報告に付記された内容が前号の意見でないこと」とあるため、計算書類について定時株主総会の承認を要しない株式会社は、監査役会設置会社または委員会設置会社に限定されている、と解されていたように思います。(それとも、改正前においても、監査役会設置会社でない監査役設置会社は、承認特則を適用することが可能である、と解されていたのでしょうか。)

この度の改正によって、「監査役設置会社であって監査役会設置会社でない株式会社にあっては、第3号を除く」と確認的に記載がされたことにより、監査役会設置会社でない監査役設置会社においても、会計監査人設置会社であって、かつ、改正後135条1,2,4,5号の要件すべてに該当すれば、承認特則の適用が可能である、との認識でよろしいでしょうか。
投稿: ツェーベーツェー | 2009年5月 5日 (火) 22時43分
そうです。

いつもどんな質問にも答えてくれる葉玉先生に甘えて、ひとつ知恵をお貸しください。

Q17
まったく勉強もしないし、人格向上の努力もしない親が子供に向かって「勉強しなさい!努力しなさい!」といいます。
子供は「自分だって勉強も努力もしないくせに!」といいます。

このとき、親と子供はどちらが正しいのでしょうか?理由は?
私はやっぱり親のほうが正しいと直感的に思うのですが、理由がはっきりしません。
知恵をお貸しください。

投稿: 相談者 | 2009年5月 7日 (木) 04時30分
A17
親が正しいでしょう。
親は、子供に向かって「お父さんのような人生でよければ、勉強も努力もいらないよ。でも、結構、悲しいよ」と言えば、子供はゾッとするでしょう。

Q18
3年ほど前からこのブログを楽しませていただいているものです。
特例有限会社の株式の譲渡承認のことでどうしてもわからないことがあり、ここでお伺いしても良いものかどうか迷ったのですが、お伺いさせていただきます。

甲さん:特例有限会社Xの株式を100%所有している。
Cさん:甲さんの子供
特例有限会社X:取締役は代表者の甲さんとその妻乙さん

このたび、甲さんの所有しているX株をすべてCさんに贈与しようと考えているのですが、
この場合、甲さんはX社に対して譲渡承認申請をすると思うのですが、
その申請を受けたX社は特別利害関係者である甲さんしか株主がいないので、
決議が出来ないと思うのですが、この場合どのようにすれば合法的にX株を贈与できるのでしょうか?
投稿: 会社法を独学で勉強しているサラリーマン | 2009年5月 7日 (木) 22時29分
A18
株主全員の同意があるから、贈与できます。

Q19
市民運動的な株主代表訴訟の提訴を行ない、訴訟の追行過程において政治的、社会的目的の達成に拘泥する訴訟活動を行なう場合、「悪意」(847条8項)が認められるとともに、提訴請求権の濫用(847条1項但書)にも当たるのでしょうか?提訴請求権の濫用と担保提供の関係がよくわかりません。

投稿: ただし | 2009年5月 8日 (金) 01時10分
A19
847条8項は、取締役に対する損害をあたえる場合、847条1項ただし書は会社に対する損害を与える場合です。

Q20
葉玉先生の母校の、東大法学部の最優秀層(及びそれに準ずる方々)は、予備試験がスタートすれば、

・学部3年時に予備試験に合格
・学部4年時に新司法試験に合格

というルートを経由して法律家を目指すであろうことは想像に難くなく、それ故にこそ、旧司浪人や3振法務博士の方々にとって、予備試験につけ入る隙は、残念ながら、微塵も残されていないのではないかなぁ、と危惧しています。

この点について、先生はどのようにお考えでしょうか。

投稿: 石田三之介 | 2009年5月 8日 (金) 12時28分
A20
私の頃の旧司法試験では、東大法学部の3年4年がかなり受験していましたが、現役で合格する数は一握りで、その多くは、他大学を含む浪人でした。あまり心配はいりません。

Q21
答案練習会に参加すべきかどうかの相談です。
 ロースクールで無料の択一が月に2回の頻度で答案練習会があります。参加すべきでしょうか。頭に入ってないものを練習しても仕方ないように思う一方、強制的に問題を解くことはいいことだと思い決めかねています。先生はどう思われますか。
 ちなみに、私はロースクール未修2年生です。普段の勉強内容は、授業の予習復習に加えて、基本書や問題集等を使って会社法100問の巻末に紹介されているような勉強をしています。ですから、択一はほとんど手をつけていません。
投稿: tora | 2009年5月11日 (月) 20時01分
A21
参加してください。書くことにより、何を学ぶべきかを実感できます。

Q22
ひとつ教えていただきたいのですが,会社法106条本文の「権利を行使することができない」との規定ぶりからすると,株主が亡くなり相続人の共有状態にあるが,相続人が紛争中で会社法106条本文の通知がなく,かつ,会社の方から同条但書の同意をしない場合,当該共有株式については,定足数算定の基礎となる「議決権を行使することができる株主の議決権」(会社法309条1項他)に算入しないという考え方でよろしいでしょうか?
投稿: ポケット | 2009年5月12日 (火) 13時05分
A22
あまり考えたことはありませんでしたが、理屈の上ではそうなりそうですね。
ただ、相続時の名義書換請求で、共同相続ならば、必ず代表者を記載させるように実務上工夫しているので、あまり起こらない問題かもしれません。

Q23

択一試験の勉強方法で質問です。

解答への到達スピードが遅いのが今悩みです。
その原因として、憲法や刑法の穴埋めの事務作業が遅いんですが、
どのような勉強が効果的でしょうか?
1問3分以上は確実にかかっています。

INPUTが足りないのか、output足りないのでしょうか?

択一の合格レベルというのは各肢の○、×を即答できるレベルをさすのでしょうか?

投稿: 択一受験生 | 2009年5月13日 (水) 12時52分
A23
outputが足りません。それと、穴埋めについての解き方のノウハウが足りないのでしょう。

Q24
 葉玉先生、こんばんわ。論文答練の選び方について質問させてください。

 以前、「添削の内容はあまり気にしなくてよい」との回答をいただきましたが、解説講義についてはどうでしょうか。
 受講を考えていた答練の解説をストリーミングで見てみたのですが、そこでの解説は「論点の知識」は講義してくれますが、一番重要な「どのような処理手順で解いていくか」についてはストリーミングの中では説明がありませんでした。
 葉玉先生は添削の内容と同様、解説講義についても内容はあまり気にしなくてよいとお考えでしょうか。
投稿: 不孤 | 2009年5月14日 (木) 19時59分
A24
講義は、誰が講師かによって、ぜんぜん違います。論点解説でも、いい講義なら受けた方がよいと思います。

Q25
①見せ金について払込取扱い機関が悪意・重過失である場合に
かかる機関が保管証明責任(64条2項)を負うとの見解があります。
保管証明責任は64条2項の文言を見ると、
「金銭の返還に関する制限」を
「成立後の株式会社に対抗できない」と書かれており、
例えば預け合いの場合に払込金の返還を拒否できないと事だと思います。
しかし、見せ金の場合には、預け合いと異なり
借入金を返済するまでは払込金を引き出せない
との特約がないため
もともと拒否できないのではないでしょうか?
とすれば、見せ金の場合の保管証明責任とは何を意味するのでしょうか?
A25
その考え方は、私は取りえないと思っています。

Q26
②対内的にも対外的にも取締役のような業務をしているが取締役ではない
いわゆる事実上の取締役に429条1項を類推する見解があります。
しかし事実上の取締役に対会社の場合にも、
423条1項を類推し責任追及する
事は可能でしょうか?

ちなみに私はできないと考えてます。
第3者にはその者が取締役かわかりにくいので保護する必要があるのに
対して
会社にとってはその者が取締役であることは明らかだからです。
このような理解で正しいでしょうか?
投稿: F | 2009年5月15日 (金) 19時31分
A26
そういう考え方でもよろしいと思います。

Q27
「89年版私の司法試験現役合格作戦」の中に葉玉先生の体験記「『今年はだめだ。来年に賭けよう』では一生受からない」を発見しました。体験記の中では、論点ブロックのカード化、参考答案の論理の流れのまとめが具体的な勉強方法として挙げられていましたが、カードの内容や論理の流れを答案等に再現できるレベルまで記憶するためにはどのような方法をとられたのでしょうか?(6月4日のセミナーでお会いできるのを楽しみにしています。)
投稿: ポニョ | 2009年5月17日 (日) 09時53分
A27
キーワードと流れは繰り返しカードを見て暗記し、あとは、たくさん論文を書いて文章化するという方法で記憶しました。

Q28
葉玉先生は、条文の素読は不要と考えていらっしゃるようですが、会社法・商法で択一9割以上を確実に確保するためには、どのような勉強方法が有効だと思われますか。
投稿: もも | 2009年5月17日 (日) 10時47分
A28
条文と関連づけながら、INPUT、OUTPUTを行う。
資料を限定し、繰り返し勉強する。たとえば、会社法100問を繰り返しやれば、たいていの問題は解けるようになるはずです。

Q29
A社を存続会社とし、B社・C社を消滅会社とする吸収合併をする場合、B社(又はC社)の吸収合併契約承認議案には、C社(又はB社)の最終事業年度に係る計算書類等の添付は不要となると考えてよろしいのでしょうか。
会社法施行規則182条6項1号を見る限り、存続会社(A社)の最終事業年度に係る計算書類等だけで良いように思うのですが...
投稿: 一服 | 2009年5月18日 (月) 14時36分
A29
そうです。

Q30

特別損失を計上した会社において、役員報酬を減額することは、当然のような気がしますが、各社のリリースを見ると、ほとんどの場合、監査役も報酬を返上しているようです。減額ではなく、自主返上ではありますが、会社が大きな損失を被るような状況に至ったのは、監査役にも責任があると考えるべきなのでしょうか?

投稿: ポニョ | 2009年5月18日 (月) 17時29分
A30
監査役には責任はないでしょう。

Q31
監査役が4名いて、補欠監査役を1名予選している(誰の補欠までかは定めていない)大会社において、任期を2年残している監査役と、任期を1年残している監査役が全く同時に辞任したという場合、補欠監査役はどちらの後任となるのでしょうか? 定款に、補欠として選任された監査役の任期は退任した監査役に任期の残存期間と定めている場合、どちらの補欠になるかにより、任期が違ってくるので、非常に気になりました。どちらの後任とするか、会社が選ぶことができるのでしょうか?
投稿: 悩める株式課員 | 2009年5月18日 (月) 20時26分
A31
補欠選任時の株主総会決議の趣旨によりますが、会社が選ぶことになると思います。

Q32
はじめまして。ロースクールのゼミで、356条の「承認」とは事前承認のことであり、事後承認は駄目だとの、生徒による発言がありました。理由は?と聞いたところ、『神田の基本書にそう書いてある。』でした。ただ、『神田の基本書に、理由の記述はない』とのことでした。事後承認はどうして駄目なのでしょうか?同条は、取締役に対する行為規範でもあるからという理由でよいのでしょうか?
投稿: 桜井 | 2009年5月19日 (火) 22時38分
A32
条文の書き方からして、事前承認です。事後承認は通常「追認」でしょう。
実質的にも356条の承認をえずに利益相反取引等をやれば、それが任務懈怠になり、取締役に損害賠償責任が生じます。取締役の責任は、株主全員の同意がなければ免除できませんから、取締役会の事後承認で責任が消えるのはまずいです。

Q33
インサイダー取引に関し、お教え願います。
従業員持株会における退職時の買取請求権(払い戻しをうける権利)の行使は、インサイダー取引の適用除外には該当しない、という理解で良いのでしょうか。
例えば、従業員が退職するに伴い、従業員が持株を持株会に戻し、払い戻しを時価でうけるとします。規約には特に定めがないため、たまたま従業員が退職する時期が重要事実の公表前であり、時価が重要事実の公表後には下がることが予見されていたにもかかわらず、退職したら自動的にそのときの時価で払い戻す、という運用がなされていた場合です。
こうした場合にはインサイダーに該当しないように、あらかじめ規約で時価の算定時期と、その払い戻し時期を制限し(1ヶ月後に払い戻す等)ておくことが賢明なのでしょうか。
それとも、そもそもインサイダーの適用除外に該当するから、特に定めておかず自動的に払い戻す、という運用でも問題ない、ということになるのでしょうか。

http://shoko-hajime.cocolog-nifty.com/blog/2008/06/post_e61c.html

こちらの見解では(単元未満株の買取請求権の場合ですが)、適用除外に該当しないと考えられるため、規約でインサイダー防止のための規定を定めておくべきだとは感じましたが。
投稿: | 2009年5月20日 (水) 11時09分
A33
時価で払い戻すのは、インサイダーになりえます。
ただし、規定の仕方によっては、知る前契約で適用除外になる可能性もあります。

Q34
423条3項3号による任務懈怠推定は、取締役会の承認決議に特別利害関係人が参加していた結果決議が違法無効である場合にも、依然として働くのでしょうか?
投稿: XYLA | 2009年5月20日 (水) 12時33分
A34
任務懈怠の推定は、いつでも働きます。

Q35
株主の死亡後の株主数のカウント方法について教えていただけませんか?
例えば、株主総数ABCの3名の会社があったとします。この場合において、株主Cが死亡し、Cの法定相続人がDE2名、遺産分割協議は成立しておりません。
 このとき、株主総数は3名とカウントするという理解で正しいでしょうか?
投稿: 登記職人見習中 | 2009年5月23日 (土) 01時02分
A35
「株主総数」は何のための数でしょうか?
名義書換がなければ、会社にとっては、3名です。

Q36
未修1年ですが、先生は論文を書く勉強がよいということなので、今は論証ノート作成と論文を書く勉強をしています。

これと並行して択一の勉強もすべきでしょうか?
去年から択一の配点が下がりあまり択一の勉強に比重を置くべきでないと思うので迷ってます。それとも、択一の勉強の過程で論文の能力も磨かれるのでしょうか。

また、ほぼゼロからですが来年の旧試を受けるという選択肢はどうでしょうか?先生のいうとおり試験勉強をする過程で能力がつくとも思えるのですが、いかんせん合格者数が低すぎて現実味がなさすぎて…。
投稿: ニシコイ | 2009年5月23日 (土) 21時13分
A36
択一は、1年のときから、習った分野の問題をどんどん解いてください。

旧司法試験は受ける必要ありません。

Q37
漢検協会理事が背任罪というニュースをみました。
自己(A)のペーパーカンパニー(B)に、会計事務の処理権限がある社員(A)が
自社(C)の通帳やカードを使って金を振り込んだならば、横領というより、背任でしょうか?
投稿: 新司法試験受験生 | 2009年5月24日 (日) 11時46分
A37
理論的には、背任が素直だと思いますが、実務では、業務上横領にすることもあります。
銀行預金というのは、難しくて、たとえば、預金者をだまして振り込み送金させれば、2項詐欺ではなく、1項詐欺で起訴している例がほとんどです。
この点については、私は、河上和雄古希記念論文集で、新しい「財物」概念が必要であるという論文を書いたことがあります。」

Q38
書面による議決権の行使と、委任状による議決権の代理行使が重複してなされた場合、これをどのように取り扱うべきでしょうか?
基本書や100問に記述が見当たらず、質問させていただきました。
投稿: ついでに | 2009年5月25日 (月) 01時27分

A38
最新の意思が優先するので、委任状による議決権代理行使の方が優先するのが原則です。
もっとも、委任状に議決権行使書面を添付させる等の方法により、重複行使を防止することも可能です。

Q39
昨日(5/26)日本監査役協会主催の経営リスクマネジメント講座で有意義で楽しいお話をありがとうございました。

さて、資本勘定の振替え(資本準備金⇒その他資本剰余金⇒損失の処理)には株主総会の決議が必要と理解していますが、ある会社で下記のような事例があることを発見しました。どんな問題があるでしょうか。

H17年3月期の株主総会(H17年6月)に「資本準備金をその他資本剰余金に振替える議案」が提出され決議されています。その結果、H18年3月末のBSでは資本準備金が減少し、その他資本剰余金が同額増加しています。

H18年3月期の株主総会(H18年6月)には資本勘定の振替えに関わる議案は提出されていませんが、H19年3月末のBSでは、その他資本剰余金が取り崩され、繰越利益剰余金の補填に充てられています。

株主総会の決議を経ず、「その他資本剰余金」を「その他利益剰余金」に振替えるというようなことができるのでしょうか。会社法違反のような気がするのですがいかがでしょうか。違反の場合、どのような是正が必要になるのでしょうか。

A39
その他資本剰余金を、その他利益剰余金に振替ることはできません。

そうした処理が故意に行われたとすれば、そもそも、当該計算書類は確定していないことになるかもしれません。
そうでなくても、過年度修正をする必要はありそうです。

Q40
私は公認会計士試験の受験生ですが、
利益相反取引規制について質問させてください。
会社が利益相反取引を行う場合で、株主総会または取締役会の承認がない場合の取引の効果については明文規定がなく論点となっていますが、私が使っている専門学校のテキストには
「この点、原則として無権代表行為として無効であると解する。なぜなら、承認を経た場合は民法108条を適用しないとする356条2項の反対解釈から承認を経た場合には民法108条違反の場合と同様、無権代表行為になると解されるし、取締役・執行役が地位を利用して会社利益を犠牲にすることを防止しようとした本条の実効性を確保するために、無効と解する必要があるからである。」
と、記述されています。
確かに代表取締役が承認を受けずに直接取引を行う場合には、
民法108条の適用により無権代表行為になりますが、
それ以外の場合、例えば代表権を有しない取締役が直接取引を
行う場合には民法108条の適用を受けず無権代表行為にはならない
ので上記の論証はあまりよくないのではないかと思うのですが、
投稿: 受験生 | 2009年5月27日 (水) 21時44分
A40
おっしゃるとおり、利益相反取引は、自己取引や双方代理より広いので、それを理由に無権代表とするのは、あまりよくないと思います。
判例・通説は、相対的無効説です。

Q41
特別決議は、3分の2以上の賛成多数で可決だと思います(会社法309条2項)。

そこで、当該会社での3分の2が4万であるときに、3万9千950の賛成票しか集まらず、反対票が2万であるとどうなるのでしょうか?

否決ということなのでしょうか??
しかし、そうすると賛成者の方が反対者より多くても事実上、反対者の意見が採用されたのと同じことになってしまい不当にも思えるのですが・・・・

投稿: 学部2年生 | 2009年5月30日 (土) 17時10分
A41
特別決議は、過半数ではなく、3分の2の賛成で決議が成立する以上、賛成者より反対者の数が少なくても、否決されるのは当然です。
その結論は、反対者の意見が通ったというよりも、「現状維持」となったというだけで、別に不当ではありません。

Q42
従業員持株会について質問です。
T&A №304の『SAMMY'S Cafe』拝見しました。

そのなかで、「重要事実を知っている者が、持株会からの退会することはインサイダー取引に該当しない。持株会が当該従業員のための株式の購入を行わないため」とコメントされていますが、退会時に、単元未満株式の買取・買増行為がある場合は、インサイダー取引に該当するという理解で宜しでしょうか?

該当する場合、インサイダー取引を回避するためには、退会時期を遅らせる措置をとる必要があるかと思いますが、これでは従業員にとって持株会の利便性が低くなります。退会時の単元未満株式の買取・買増行為をインサイダー取引に該当しないようにする方法はありますでしょうか?
(持株会と当該従業員のクロ・クロ取引といったことはできるのでしょうか?)
投稿: 紫陽花の時期 | 2009年5月31日 (日) 17時47分
A42
理論的には、単元未満株式の買取・買増がインサイダー取引に該当することはありえます。
回避手段は、いくつかありえますが、どの方法にしろ、丁寧に工夫しないとインサイダー取引と評価されるおそれがあるので、ここで紹介するのは差し控えます。
クロクロ取引も、一つの手段です。ただ、持株会の代表者に未公表の重要事実を完全に伝えきれるのか、守秘義務との関係は大丈夫か、代表者が持株会以外で取引できなくなるがそれでよいか等の問題はあります。

Q43
先日、新会社法の本を探しておりまして、先生の「論点解説 新・会社法 千問の道標」が、各論点間のリンクなどとても細やかに整理されて書かれていて、感動して買わさせていただきました。

私は今、昔に出来た合資会社について調べておりまして、恐縮ですが先生に質問させて下さい。

明治や大正時代に設立された合資会社の場合、今と貨幣価値が違いますので、会社の資本全部が「1000円」で、そのうち「100円」を有限責任社員Aさんが出資した、というような場合があると思います。

Aさんが今、この合資会社から退社する場合(Aさんご長命です)、この合資会社が成功してその企業価値が10億円相当になっていて、外部からの債務が0円ならば、Aさんは持分払戻で1億円を合資会社からもらえる・・・と思います(あってますでしょうか?)。

では、この合資会社が経営を失敗していて、債務が10億円ある場合、Aさんは、100円の責任を取ればよろしいのでしょうか?1億円なのでしょうか?それとも別個の法律か何かがあるのでしょうか?

稚拙なことを伺って申し訳ありません(むしろ、めちゃくちゃアホなことを伺っておりますような気が・・・(ノ_-。))。
ですが、何を見ましても、「千問の道標」Q769を拝見いたしましても、「出資の価額」という言葉しか見つけられないのです。
本当に100円でよいのでしょうか??
投稿: 六月 | 2009年6月 1日 (月) 18時20分
A43
100円の出資をすでに行っているのならば、Aさんは、既に責任を果たしており、何の責任も負いません。

Q44
株主総会を控え、剰余金の分配可能額のチェックをしていたところ、以下の疑問が出てきました。

・投資有価証券の含み損の場合は、「その他有価証券評価差額金」のマイナス金額を分配可能額から控除します。
・一方で、ヘッジ会計を適用中のデリバティブが評価損となった場合、評価換算差額金の「繰延ヘッジ損益」の値はマイナスとなりますが、こちらは控除しなくてもよいのでしょうか。
・計算規則の条文を見ても、有価証券と土地の再評価差額金が出てくるだけで、繰延ヘッジ損益は出てきません。
・レベルの低い質問で恐縮です。既出かもしれませんが、よろしくお願いいたします。
投稿: Tax | 2009年6月 4日 (木) 14時52分
A44
繰延ヘッジ損益は、分配可能額からの控除対象とはなっていません。

Q45
可視化に関する議論で、
「現在、自白の任意性で、「強要」に該当するような主張がされること自体非常に少なく、」
とおっしゃっておられるのですが、素朴な疑問として、であれば、録画しても、コストをかけて、裁判官や弁護士が見ることも少ないように思います。

足利事件のような事件で、自白の任意性や取調べの適法性を証言のみで争うことの方が遥かにコストがかかるし、勿論、無実の人を有罪にする可能性も高まるような気がするのですが・・・
投稿: ぞう | 2009年6月 9日 (火) 14時53分
A45
強要に該当するような主張がされないのならば、すべての刑事事件について録画する必要がないのではないでしょうか。
また、任意性の争われた事件で、20日にわたって取り調べられた被疑者の取調録画を全部見るのは、普通は、無理です。裁判員を20日間缶詰にして、毎日、被疑者の取調録画を見せるのが非現実的であるのと同じように、多数の事件を処理している裁判官、検事、弁護士にそれを全部確認させるのは非現実的です。
もし、そういう制度にするのならば、財務省が、録画の反訳の予算をつけてくれることが必要不可欠でしょう。

Q46
可視化とラフジャスティスのお話、大変興味深く拝見しました。

こちらに比べれば、マイナーな論点かもしれませんが、私個人としては、
「取調べ時の弁護士同席を認めること」のほうが、コストの点でも、より現実的かつ有効な人権保障の手法ではないかと思っております。
葉玉先生は、「取調べ時の弁護士同席の可否」をどうお考えですか?ご意見お聞かせ下さい。
投稿: しんじろう | 2009年6月11日 (木) 15時20分
A46
個人的には、取調時の弁護士同席を許したって構わないと思いますが、実際には、問題が山積みでしょう。たとえば、20日間にわたり弁護士を同席させることができる富裕な被疑者はいいですが、その資金のない被疑者は、どうにもなりません。
 そのため、この制度を機能させるためには、弁護士立ち会いのない取調べの拒否権を被疑者に与えることが必要ですが、取調受忍義務というイデオロギー的な問題の解決抜きに、そうした制度を採用することは困難です。

Q47
会社法改正前の,会社が不法行為責任を負う場合の適用条文について質問です。附則2条により,会社法350条が適用されるということでよいのでしょうか。裁判例においても,会社法350条を適用するものがあったり,旧商法261条3項等を適用するものがあったり,まちまちで,ぜひ御教示願いたいです。
投稿: KI | 2009年6月14日 (日) 23時18分
A47
会社法350条であると考えます。

Q48
司法試験の勉強に、音読は有効でしょうか?
ノートを作ることに、意味を感じなくなってきたのです。
先生のお考えをご教授いただけたらとても嬉しいです。
投稿: 音読マン | 2009年6月15日 (月) 21時39分
A48
長時間勉強するためには、五感を適宜使い分けしながら勉強するのが効果的です。
したがって、音読も有効な勉強法の一つです。

しかし、ノートを作ることも重要です。

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2009年3月 6日 (金)

記者会見のコツ

 確定申告の申告期限が近くなってきたので、申告の準備をぼちぼちしていま
す。

 同僚の弁護士の中には、税理士に依頼している人もいるのですが、私は、税
金関係の仕事をすることも多いので、申告の肌感覚を失わないように自分で帳
簿をつけて申告書も書いています。

 このように私は、自分の収支を全て管理しているので、入出金の詳細もすべ
て把握しているのですが、小沢代表ほどの人になると、そういうわけにもいか
ないようですね。

 秘書の政治資金規制法違反被疑事件で、大揺れに揺れています。

 この事件は、非常にシンプルな話であり
   政治家個人の資金管理団体は、企業から政治献金を受けることができな

というルールがあるにもかかわらず、
   政治家個人の資金管理団体の会計責任者が、企業からの政治献金である
と知りつつ、ダミーの政治団体から政治献金を受けた
という疑いがあるというものです。

 小沢代表は、この逮捕に対し、昨日、記者会見を開きましたが、本日は、こ
の記者会見をネタに
   不祥事発覚時の記者会見
についてお話をします。

 私は、企業向けにマスコミ対策のセミナーをやったことがあるせいか、企業
の不祥事が起こったときに
  企業の法的責任を最小化しつつ
  報道被害を被らないような報道対策をアドバイスする
という仕事を依頼されることが比較的多いように思います。

 また、私は、以前、義父に対する深刻な報道被害に対し、義父を助けながら
週刊誌・テレビ・夕刊紙・スポーツ新聞と、数年にわたって戦い続けたことが
あるので、その時の経験から
  各種マスコミが、取材対象に対し、どのような対応を取るのか。
ということをそれなりに理解しているつもりです。

 私のこうした経験に照らして考えれば、今回の小沢代表の記者会見は
  失敗だった
と思います。

 不祥事が発覚し、マスコミ対応を迫られるときの最大のポイントは
   過剰な連鎖的報道を防止すること
です。
 なぜならば
  1回ないし短期間の報道ならば、レピュテーションは対して低下しないが
  長期間にわたる連鎖的報道は、致命的な風評被害や社会的な死をもたらす
からです。
 
 マスコミで報道されると、報道された人は、多かれ少なかれ、ショックを受
けるのですが、単発の報道であれば、世間の多くの人は気付かないか、気付い
てもあっと言う間に忘れます。

 それに対し、連鎖的報道がなされると、本当は大した不祥事ではないにもか
かわらず、世間の人は、重大事件のように感じて、報道された人に「悪人」の
レッテルを貼り、そのうち、
   見ず知らずの人が、根拠のないデマをあたかも見たことのように喋りは
じめたり
   違法ではない行為を、極悪非道の行為のように評価されたり
するようになります。

 こうした連鎖的報道が企業を倒産に追い込むことすらあることは、昨今の各
種「偽装」事件で明らかとなっているところです。

 では、そうやったら連鎖的報道を予防できるのでしょうか。

 そのコツは、ケースバイケースではあるものの、大雑把に言えば
   1 マスコミから完全に隠れる
   2 とことん謝る
   3 他のもっと重大な事件に関心を移させる
のどれかということになるでしょう。

 たとえば、1の「完全に隠れる」というのは、あまり有名でない人や企業の
場合には、有効な手法です。

 マスコミは、国民が感心を持ちそうな事件を報道することで飯を食っている
ので
  「人」又は、その人がやった「行為」
のいずれかで関心を引く必要があります。

 このうち「行為」は、一度報道してしまうと、他に報道するに値するような
「行為」を見つけてこない限り、すぐにネタ切れになってしまうので、連鎖的
報道には向きません。大量殺人や猟奇的殺人のような場合は、行為そのものに
対する関心で、それなりに長期間報道されますが、それでも「行為」だけなら
ば、通常1週間が限度でしょう。


 これに対し、国民が、その「人」自体に関心を持ってくれると
  その人の生い立ち、知人友人からの評価等、比較的取材しやすいネタで間
を持たすことができるし
  その人に突撃取材をすれば、その人の取材に対する対応自体がネタになる
という点で、長期間、報道を継続することができます。

 逆に、国民が、その「人」に対する関心を持つことができなければ、報道は
、比較的短期間で収束します。

 そのため、あまり有名でない人や企業の場合、マスコミの取材から完全に隠
れ(場合によっては海外に身を潜め)ていると、ネタがなくなり、報道はすぐ
に収束に向かいます。

 この場合、大事なのは、「完全に隠れる」ことであり、渦中の人が、中途半
端に記者の質問に答えたり、ぶら下がりの取材に捕まったりすると、思わず
  テレビカメラの前で、視聴者の怒りを買うような言動をしてしまい
いきなり
   「有名人」に格上げ
されてしまいます。

 もっとも、今回の小沢代表のようにもともと有名人の場合には、「完全に隠
れる」という方法は採れません。

 有名人が隠れると、朝青龍のときのように、その所在探し自体が、ネタにな
るので、かえって連鎖的報道を誘発します。

 ですから、有名人や有名企業の場合には、不祥事が発覚したら、すみやかに
(できれば、その日のうちに)、記者会見を開く方がベターでしょう。

 その際、できる限り、「目立たない」「無個性」な言動で、冷静な会見を行
うことに気をつけるべきです。

 テレビの視聴者にとって、記者会見は、一種のショーです。

 面白ければ、何度でも見たくなるし、型どおりならば、一度見れば十分です
。きっと、二度目からは、別のチャンネルに回したくなるでしょう。

 だからこそ、有名人の記者会見でも、連鎖的報道を避けるために、目立たな
い、無個性な会見を心がけるべきなのです。

 ところが、小沢代表は、今回の逮捕について、怒りを露わにし

   政治的にも法律的にも、非常に不公正な国家権力、検察権力の行使だ

等と、かなり目立つ会見を行いました。

 この会見は強烈で、今後、事件の進展の度に、テレビで何度でも報道される
でしょう。
 その一点だけを考えても、不祥事発覚時の記者会見としては、あまり適切な
対応とはいえません。
 小沢代表は、強面のおじ様なので、テレビ的には、非常に悪役にしやすいキ
ャラですから、
    沈痛な面持ちで、誠実な回答
を心がけないと、視聴者の反感を買うだけです。

 また、秘書の行為が適法である旨断言した点については

    記者会見前になすべき基礎的な事実調査をやっていないか
    事実認定の見通しが甘いか

のどちらかであり、後日、マスコミから
    適法であると断言したこと自体を非難される
のは、ほぼ確実であるように思われます。

 本件は、報道を見る限り
   客観的にダミーの政治結社からの献金であるという点は反論できないだ
ろう
と思われ、そうすると、政治資金規正法違反かどうかの分水嶺は
   秘書が、西松建設からの企業献金であるということを知っていたか
という点になります。

 このように、客観的事実については争う余地がほとんどなく、秘書の主観に
よって左右されるような状況で、小沢代表が

   何ら政治資金規正法に違反する点はない

等と断言するのは、危険です。

 案の上、今日になって
   秘書が西松建設宛てに送った請求書
という主観的要素を裏付ける客観的証拠が存在することが明らかになり、たっ
た一日にして
 
  小沢代表の昨日の発言は、何だったの?

ということになってしまいました。

 請求書の内容にもよりますが、そのような請求書が実在するとすれば、起訴
される可能性は極めて高く、しかも、否認事件であれば
   次の衆議院議員選挙までに、判決が確定しない可能性
も、かなり高いです。

 この請求書の存在は、逮捕前からマスコミはある程度知っていたようであり
、小沢代表サイドが
   そのような重要証拠の存在を知らなかったとすれば、調査が甘く
   知っていたとすれば、見通しが甘かった
というほかないでしょう。

 いずれにせよ、この事件は、自白事件にでもならない限り、長引くのはほぼ
確実であり、今後、小沢代表は、マスコミと接する度に
  「何ら政治資金規正法に違反する点はない」と断言したことについて、厳
しいツッコミがされる
でしょうし、起訴されたり、有罪判決が出たりすれば、
  「今でも、不公正な国家権力、検察権力の行使だと思われていますか?」
などという答えるのが大変むずかしい質問が浴びせられるでしょう。

 私は、
   客観的事実について確実に争うことができる証拠を握っているとき
ならば、小沢代表のように

   あえて潔白を強く主張することにより、ピンチをチャンスに変える

という方法を採るかもしれませんが、本件のように客観的事実を争うことが難
しい場合において、秘書が被疑者となっている事件について
   断定的な発言をすること
は、絶対にしません。

 たとえば、本件ならば
   秘書が逮捕されたことにより、世間をお騒がせして申し訳ない。
   秘書からは企業献金とは知らなかったと聞いており、私としては、長年
、一緒にがんばってきた秘書を信じたい気持ちで一杯である。
しかし、秘書の主観がどうであれ、実質的な企業献金だったすれば、今
回の献金は許されないことであるから、事実関係を調査の上、もし企業
献金であった場合には、即刻、返金する。
   また、万が一、秘書が本当に政治資金規正法違反を犯しているとすれば
、私は責任逃れをするつもりはない。
   私は、私の目で、検察の主張が正しいのか、秘書の主張が正しいのかを
確認し、政治資金規正法違反の事実があったと判断すれば、当然、その責任を
取る。
とでも答え、基本的には
    とことん謝る
という路線をとるの正解であるように思います。

 部下が悪いことをしたときに、責任逃れをせず、しっかり謝る上司は、評判
があがるので、今回のケースでは、小沢代表が思いっきり謝った方がよかった
のではないでしょうか。

 おそらく、小沢代表が強気の発言に終始したのは
   責任問題に言及すれば、秘書の起訴と同時に、どんな責任を取るのかと
いう点に関心が集まってしまう
ということが念頭にあったのかもしれません。

 しかし、小沢代表がどのような発言をしようとも、党首の秘書が政治資金規
正法違反の刑事裁判を抱えたままで、政権をかけた選挙に突入するというのは
、民主党にとっては、考えにくいシナリオであり、起訴がほぼ確実であるとみ
るのならば
    引き際の好感度をどう高めるのか
を考えた方が得策ではないでしょうか

(私なりに好感度を高めるシナリオは考えているのですが、実際に進行中の事
件に関することなので、自粛します)

 いずれにせよ、この件を短期間で幕引きさせることができれば
    献金問題が他の党に飛び火して
いつの間にか、この件の印象が薄くなったり、
    別の問題で与党が沈んだり
して、選挙までに盛り返すことも不可能ではないでしょう。

 私は、民主党の味方でも、自民党の味方でもありませんが、今回のような不
祥事においては
   迅速な調査により、希望的観測ではなく、事実を見すえ
   今後の検察や裁判の動きについての正確に予測し
マスコミを早く落ち着かせる
ことが大事なのに、小沢代表は、今のところ、どれもうまくやれてないように
見えるのは、私だけでしょうか。

追伸

 DVD「会社法と実務」全10巻は、おかげさまで、大変、好調な滑り出し
を見せております。
http://www.lotus21.co.jp/works/streaming/kaisha115/kaisha115_DVD.html

 企業の法務研修用に1セットあれば、今後、低コストで、かつ、担当者が楽
をして(笑)、研修を実施できますので、ぜひご検討ください。
 よろしくお願いします。

(質問コーナー)
Q1
 私は不真面目な法学部卒で、未修としていわゆる一流の法科大学院に通って
おります。恥ずかしながらGPAの数値も、それ以外での評価もそれなりに高
いものをいただいております。司法試験の過去問にあたっても、客観的に判断
してもいい勝負をしているのではないかと思えます。

しかし、私自身、「私は法律をマスターした、または、マスターしつつある」
という実感を全く持てておりません。司法試験が法曹資格を得るための試験で
あることを考えると、合格レベルに達したときには、そのような実感が得られ
るはずだと思っていたのですが、このような理解は誤りでしょうか。

また、葉玉先生ご自身が、法律をマスターしたと感じられたのは、いつ頃でし
ょうか。

投稿: 未修2年系男子 | 2009年3月 3日 (火) 01時22分

A1
 法律を「マスター」した実感なんて、実務に出て、自分で何件か事件を解決
してはじめて生まれてくるものでしょう(しかも、その事件と同種の事件につ
いてだけ)。
 合格レベルに達しただけでは、マスターなどほど遠いと思います。

 
Q2
ご多忙の中、ブログ更新、楽しみにしています。
法曹を目指す私にとって、新司すら高いハードルですが、先生は、日経弁護士
ランキングに載るなど、数多いる普通の弁護士の中でも、他にはない優れた特
質をお持ちだと思っています。(先生ご自身は否定されるかもしれませんが。

そこで、下記についてどのようにお考えか、これからの勉強も含めた指針にな
るような言葉をいただければ幸いです。いつか、どこかでお会いしたり、一緒
に仕事できる日を目指して。。。

○優れた法律家として持つべき特質(複数回答可。←偉そうにすみません。た
だし、下記と重複しないような、法律家特有の思考・法解釈の姿勢・視点等の
観点から)。
○クライアントの信頼を得て、満足してもらえるために持つべき特質。

投稿: 希望を現実に | 2009年3月 5日 (木) 11時14分
A2
とりあえず、次の記事を読んでください。

http://kaishahou.cocolog-nifty.com/blog/2007/07/post_7d09.html

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2009年2月11日 (水)

捜査と弁護

 長男の中学受験が終わりました。
 長男の表情を見ていると、この数ヶ月間つらく、苦しいこともあったと思います。
 ただ、自分の一番行きたかった中学に合格したことで、今は憑き物が落ちたように穏やかな表情が戻ってきました。
 私も、ここ数ヶ月、何かと心にひっかかっていた中学受験のことから解放されて、のびのびと仕事に集中できる環境が整いました。

 ところで、ザ・ローヤーズという雑誌の最新号の表紙に、私が偉そうに載っております。
http://www.fujisan.co.jp/Product/1281681227/b/233116/
 
 突如、インタビューの申込みがあって、何を聞かれるかよく分からないまま、インタビューを受けたのですが、会社法のことより、検事時代の経験やコンプライアンス系の話が多くなりました。そして、つけられたタイトルが
 「特捜検事の経験から言える「社長のひとことで会社は変われる」」。

 私は、特捜部の在籍期間は、あまり長くないので、「特捜検事」と言われると、気恥ずかしいのですが、特捜部に在籍していないときも、沢山の特捜事件の捜査に携わってきましたし、自分自身でそれなりの数の独自捜査をこなしてきましたから、そうした経験から感じたことを率直に話しました。

 検事は、警察等から送致された事件を処理する場合と、独自捜査(自分自身がつかんだ情報から事実を解明して事件を立件すること)の場合がありますが、私は、どちらかと言えば、独自捜査が好きでした。

 独自捜査では、どういう犯罪が誰に成立するかということもハッキリしない状態で、秘密裏に事実を明確にしていき、被疑者が捜査が行われているということに気付く前に、事件の本筋が動かないように固めておくことが重要です。
 捜索差押をやるタイミングや逮捕状をとるタイミングを図りながら、
    動かない事実と
    動く事実と
    判明していない事実
を徐々に確定していき、
    動く事実を固定し
    判明していない事実を減らしていく
ことによって、事件の本筋が固まります。

 刑事弁護や刑事訴訟法の本などでは、捜査官が「事件の絵を描く」ことについて、予断に基づく捜査として非難されることがありますが、証拠は最初から捜査官の目の前に並べられているものではありませんから、限られた証拠をもとに
    このような事実があったのではないかと推論し、
    その推論が正しければ、必ず残っているはずの証拠を探していく
というのが捜査の王道です。

 たとえば、私が1年生検事のときに、覚せい剤の自己使用で逮捕されたXが、「別の男Yと一緒に、同じ注射器を使って回し打ちしていた。その時、Yは3回左腕に注射した」と供述したので、Yを逮捕しましたが、残念ながら、使用日から日数が経っていたため、Yの尿からは覚せい剤が検出されませんでした。

 私は、Xの供述の信用性を立証するために、Yの左腕に注射痕が残っていないか目視してみたのですが、Yは、覚せい剤の前科を多数持っている常習者であり、古い注射痕だらけで、Xと一緒に注射したときの痕があるのかどうか、分かりませんでした。

 「Yが3回左腕に注射した」という事実は、この時点では、まだ目撃証拠しかない「動く事実」です。覚せい剤使用者のXの供述だけでは、裁判所は信用してくれませんから、その事実は、このままでは、「存在しない」と判断される可能性が大です。
 かといって、「新しい注射痕が3個ある」という立証の仕方など、どの本を見ても、検事仲間に聞いても、分かりませんでした。

 しかし、この「動く事実」は、間違いなく、存在する事実であると確信していたので、医師等と相談したところ、
   オキシフルを塗れば、まだ皮膚が固まっていない注射痕からは、泡が出る
というアドバイスを受けました。

 そこで、Yの同意を得て、Yの左腕にオキシフルを塗ってみたところ、3個の泡が確認できたのです。
 これにより、「動く事実」が「動かない事実」になりました。

 また、私は、Xから、Yが覚せい剤を打つまでの行動について、細かく聞き出しているとき
   Yは、コップの裏に覚せい剤を乗せて水を入れ、注射器でかき回していた
という供述を得たので、
   コップをすべて押収して、その裏を顕微鏡で確認させたところ、1個のコップから針のようなものでかき回した痕跡
が検出されました。

 そのほかにも、
   もしYがこのとき覚せい剤を使用していたとすれば、どういう行動を取ったのだろうか
ということをできるだけ具体的に想像し、Xから情報を聞き出し、具体的事実を証明する方法を考えることを繰りかえしていくうちに
   「動く事実」が動かなくなり
    判明していない事実が減っていき
やがて事件の本筋が固まったのです。

 これは、ひとつの例ですが、こうした捜査を何度も経験すると
   証拠が少ない時点で、事件の大筋が見えてきて
   その大筋をより具体的に事実にしていくために必要な証拠の採集方法も見えてくる
ようになります。

 私は、今は、弁護士として、刑事事件の弁護や証券取引等監視委員会・公正取引委員会の調査に対する弁護などもやりますが、弁護の本質も、独自捜査のときも同じです。

 おおざっぱにいえば、弁護の方法には
  捜査機関の捜査結果を否定する弁護

  捜査機関よりも先に真実にたどり着き、真実をもって対抗する弁護
の2種類があると思います。

 私は、検事・弁護士の双方の経験から、前者の弁護方法は、あまり効果的ではないと感じます。
 それは、捜査機関の捜査の方法や事実の見方について、その非を主張するだけでは、捜査機関の手の内で暴れているだけで、捜査機関側も、そうした主張に対する防御策を用意しているからです。

 私は、真実をもって対抗する弁護が、有効で正義に叶う弁護方法であると信じています。
 よく「捜査機関は、国家権力による強大な捜査権を持っているのに対し、弁護士は、捜査権がない」ということを言いますが、私は
    権力があるかどうかなんて、真実の解明においては大した意味はない
    真実を解明しようとする者の洞察力と想像力と実行力が真実を解明する
と思います。
 弁護士は、クライアントという最も真実を知る者から率直な供述を得ることができるのですから、その点において、捜査機関よりも数段有利な立場にあります。

 捜査機関が捜査しているのだから、当然、クライアントには、犯罪等を行った疑われる証拠があるはずです。

 弁護人として大事なことは、そうした証拠から目をそらさず、
  不利な事実のうち、何が「動く事実」で「動かない事実」か
  動かない不利な事実を、有利な事実に転換するには、どういう事実が必要か
を考え付くし、
  犯罪等を行っていないという事実を「動かない事実」にすること
です。

 私は、犯罪事実について「検察官が立証責任を負っている」などということを考えながらやる弁護は、負け戦であると思います。

 弁護士であろうと、検事であろうと、
    より具体的な真実に近づいたものが勝つ
のです。

 ところで、2月3日に村上ファンドの控訴審判決で

「重要事実にあたるかどうかは、企業の計画や対外交渉などの状況を総合的に検討し、個別具体的に判断すべきであり、投資家の判断に影響を及ぼす程度の相応の実現可能性が必要である」

との判断をしました。
 この控訴審判決は、一審判決が「実現可能性があれば足り、可能性の高低は問題とならない」と判断していたことからすれば、弁護側にとって有利な解釈です。
 しかも、故意の内容として「実現可能性の認識」が必要になるわけですから
    被疑者がどの程度の実現可能性を認識していれば、故意が認められるか
という検察側にとっては、やっかいな法律問題を抱え込むことになります。

 しかし、私は、実際には、インサイダー取引の捜査や弁護の実務において、「投資家の判断に影響を及ぼす程度の相応の実現可能性」という抽象的な要件の有無で結論が分かれるようなことはないと思います。

 実際、控訴審判決は、有罪判決にした上で、「違法性の認識が薄い」ということを情状として斟酌したにすぎません。

 インサイダー取引の事件では
  「重要事実の認識」
が最大の争点になりますから、弁護において最も重要なのは、被疑者が
  どんな具体的事実を、誰から、どのような方法で伝えられたか
  どんな理由で株式の売買を行ったか
という点について、捜査機関より先に真実にたどり着くことであり、
  被疑者が具体的事実を何も知らなかった又は大したことを聞いていなかった
  被疑者が、その時期に売買をした理由が重要事実と無関係なものであった
ということが客観的に立証できれば、これまでもインサイダー取引として立件されることはあまりなかったと思います。

 控訴審判決の解釈は、刑法理論的には
  167条の規定から、「実現可能性」という規範的な要素を導かれる根拠は何か
  規範的構成要件要素の認識は、故意の要素か
等という面白い問題を含んでいますが、この解釈によって
  違法性の意識のない「うっかりインサイダー」が無罪になる
というわけでもないので、過大な期待は禁物です

(質問コーナー)
Q1
僕は京大生ですが、
「京大生のノートの8割は例外なく汚い・読めない。
 2割ぐらいきれいな人もいて、残りの8割はそんな美しいノートを借りていた。」
と言う感じでした。
 かといって、そのキレイな2割が成績がいいかと言うとそうでもないんですよね。
 自分が読める最低限のレベルで字を書けば早くたくさんの情報を書き取れるし、ほかの人にはわけわからんぐらいに必要なエッセンスだけを集約したノートが情報素材としても、ベストのように考えているのですが。。。
葉玉先生の御考えもまたお教え下さい。
投稿: たけし | 2009年2月 1日 (日) 18時46分
A1
 私は
「自分が、何も見ず、何も意識せず、使いこなせるようになった知識だけが、知恵となる」
と考えています。
 ノートは、自分の中に知識を染みこませるための道具に過ぎません。
 だから、時間をかけて、綺麗なノートを作るような無駄なことはせず、自分の頭に入りきらないものを断片的に記録していました。
 イメージとしては、
   ノート+自分の頭の中=必要な知識
という感じでしょうか。
 だから、知識が身についたら、そのページはバインダーから外して捨てていました。

Q2
>好きだからやっているだけです
弁護士の仕事を始めて、好きだと気づいたことなんでしょうか?
受験生のころから検察官、弁護士の仕事についてどのようにかんがえていらっしゃいましたか?
また、他の職業を選択する際には、仕事をしたことのない場合どのレベルまで調べたうえで志望すべきなのでしょうか?
投稿: 受験生 | 2009年2月 1日 (日) 23時46分
A2
 「好き」というのは、瞬間瞬間、自分の心の中に生じる「こういうことをやってみたいな」という程度のものです。
 検事の仕事も弁護士の仕事も、目の前の仕事を「葉玉流」に片付けるのは楽しいから、あまり「弁護士の仕事だから楽しい」ということでもないです。
受験生のころは、検察官がどんな仕事をしているのか知りませんでしたし、弁護士だって、あまり具体的なイメージは持っていませんでした。
 仕事の面白さなんて、実際に仕事をしてみなければわかりませんし、多くの人は、漠然としたイメージで仕事を選んでいるんじゃないでしょうか。
 実際に働いている人から話を聞くのが、一番いいでしょうが、あれこれ悩む前に勉強した方が建設的かなと思います。
 私は、弁護士も検事も裁判官もこなせる「法律家」でありたいし、法律家の仕事なら何でも面白いです。

Q3
前回いただいた回答「監査役監査規定、監査役監査基準、監査役会議事録は、監査役会ないし監査役が作りますが、それは、会社法の善管注意義務や議事録の作成義務を果たすために作成するものであって、金商法の内部統制整備の一環として行うものではありません。」からすると、監査役は金商法の内部統制整備とは完全に一線を画し、統制環境中の監査役に関わる評価項目の評価についても社内のどこかの部署が規程類のチェック、監査役へのヒアリングを通じて行うべきであり、監査役は監査役監査に専念した方が良いということでしょうか?
投稿: hiro | 2009年2月 2日 (月) 10時29分
A4
 禅問答のようになっていますが、金商法上は、内部統制の評価は、経営者がやるべきものであり、監査役は、金商法上の評価義務を負っていません。
 他方、監査役は、会社法上、監査権限を持っており、その監査権限を適切に行使することができない事情があれば、経営者に対しその事情を取り除くことを求めるべきでしょう。それが監査役の内部統制整備なのだと思います。

Q5
非取締役会設置会社の取締役(2人以上いて、定款により取締役の互選で代表取締役を選定することとしているケース)は、原則として、代表取締役として選定されている者以外の取締役も業務執行取締役となります(会社法348条1項)が、いろいろな事情で実態としては業務執行していないご意見番あるいはアドバイザー的な取締役がいる場合の対応として、定款で、「当会社の業務は、代表取締役のほか、取締役の互選により業務を執行する取締役として選定された取締役が執行する」と定めた場合、この規定およびこれにより運用することは有効でしょうか? すなわち、会社法348条1項の「定款に別段の定めがある場合」に該当しますでしょうか?(間接的なので厳しいでしょうか)
ひな形などでは、「専ら代表取締役が執行する」としているものもあるようですが・・・。
投稿: スケジューラ | 2009年2月 4日 (水) 10時53分
A5
よろしいと思います。

Q6
質問というか、元立法担当官に問いたいのですが、
何で持分会社なんかあるんですか??
株式会社が1円で設立できるならば、
持分会社、特に合同会社なんぞ不要じゃないですか。
人的保証の強化というならば、
社長に個人保証(連帯保証)させればいいだけでしょう。
持分会社の意義は何でしょうか??
特に合同会社なんて、へんちくりんなものの存在意義は??
あと、加えて株式会社でも委員会設置会社の意義は何なんでしょうか??
アメリカに上場するために必要なだけなんでしょうか??
まあ、立法担当官も自分の意思だけではなく、多方面から、いろいろ事前に注文つけられて妥協の産物が会社法だと思うので
投稿: | 2009年2月 4日 (水) 18時05分
A6
持分会社は、多数決ではなく、社員の全員一致によって重要な意思決定をする点に意味があり、実際に、合同会社は、沢山、利用されています。
社員の責任は、持分会社と株式会社を区別する指標にはなりません。
委員会設置会社は、ガバナンスの強化と業務執行の自由度を増すことを同時に実現するために設計された会社ですが、使うか使わないかは、好みです。

Q7
素朴な疑問ですが、取締役会設置会社においては、株主提案権は原則、総会の8週間前までに行使しなければならないことになっていますが、よくよく考えれば、8週間も前となると、定時株主総会にしてもそれが何月何日に開かれるかは通常機関決定されていないので、株主に分かるはずがなく、会社に問い合わせたとしても、機関決定されていないことについて会社は回答しないはずです。

例年集中日に開催している会社に対し、株主が例年通りの日程で開催するとの思惑でギリギリに提案権を行使した場合、その対応をしたくないので、3日前倒しで開催することを機関決定して期限オーバーで不受理扱いにし、株主には「実は、その日しか会場であるホテルの空きがなくてずっと以前から決まっていたんです」とでも回答しておくような荒業もでき得ると思われます。それは極端すぎますが、逆に、意図的でなく、本当に会場が取れなくてやむなく3日前倒しで開催するケースもあり、厳密にルールを適用しようとすれば不受理扱いとせざるを得ない、ということも起こり得るかと思われます。
投稿: にっち | 2009年2月 5日 (木) 12時42分
A7
 理論的にはそうでしょうが、実際には、8週間よりもずっと前から提案権を行使していることが多いので、あまり問題にはならないでしょう。
 また、故意に総会の日を前倒しすれば、権利乱用で、総会手続自体の瑕疵を主張される可能性が高いでしょう。

Q8
吸収分割について質問させて下さい。
完全子会社Aが完全親会社Bの株式を保有しています。
この状況を解消するために、Aを分割会社、Bを承継会社として吸収分割を行い、B株式のみをAからBへ移動させることは可能でしょうか。
簿価のまま親会社株式を移動させることが目的なのですが、そもそも、親会社株式が「事業に関して有する権利義務」と言えるかどうか、先生はどのように考えられますでしょうか。
投稿: hana | 2009年2月 6日 (金) 21時02分
A8
親会社株式だけだと、税務署も会計士も納得しないでしょうね。

Q9
資産60、負債70、資本金40の会社が
①100%減資をして、
②負債額すべてデッド・エクイティ・スワップ
した場合の仕訳はどのようになるのでしょうか。
投稿: ほいほほい6 | 2009年2月 6日 (金) 22時00分
A10
仕分けは、会計士に聞いてください。
ちなみに100%減資というだけでは、何をやろうとしているかは、必ずしも明確になっていません。

Q11
「発行可能株式総数」について教えて下さい。
会社法113条3項によって、公開会社の「発行可能株式総数」は、「発行済株式総数」の4倍までと規定されています。
また、同4項で、権利行使期間の到来した新株予約権の目的となる株式の数は、
「発行可能株式総数」から「発行済株式総数」を控除して得た数を超えてはならないと
あります。
転換期の到来した転換社債等の新株予約権の行使によって発行される株式の数が、
発行可能株式総数を越えてしまう様な場合、超えてしまう転換社債等の新株予約権は行使できないと考えて宜しいのでしょうか?
A12
行使できません。

Q12
将来、新株予約権を全部行使すると、その新株予約権の目的となる株式の数が、
現在の「発行可能株式総数」の上限(「発行済株式総数」×4)を超えてしまう場合、
あらかじめ公開会社は「発行可能株式総数」を、新株予約権を全部行使できるような上限まで引き上げることはできるのでしょうか?
A12
できません。

Q13
会社法113条4項は、
①「予め新株予約権や転換社債を発行するときは、
その目的となる株式の数が発行済株式総数内にしなければならない」
と読むのか、
②「権利行使期間が到来した新株予約権や転換社債は、
発行可能株式総数内でのみ権利行使できる」
と読むのか教えてください。
A13
行使期間の到来した新株予約権の潜在株式数が発行可能株式総数内でなければならないということです。
たとえば、行使期間が到来していない新株予約権ならば、いくらでも発行できます。

Q14
昔、旧商法時代だったかと思いますが、
何かのセミナーで、
「発行可能株式総数(会社が発行する株式の総数)」=
(発行済株式総数+潜在株式)×4
もOKと聞いたような気がします。
考えてみれば、商業登記の際に却下されそうな気もしますが、潜在株式を考慮して発行可能株式総数を定めるのは、会社法113条3項の違反になりますよね?
投稿: UR | 2009年2月 7日 (土) 22時10分
A14
113条3項に書かれているとおりです。

Q15
先生の中学受験に関する記事を読み、一人っ子の長男の受験を思い出しました。なんとか受験を通過し、今は高校受験がないため、世の中が受験シーズンであることを尻目に高校の部活に一足早く参加してサッカー三昧の毎日ですが、4年前は私が仕事を終えた後、塾通いをする長男の帰りを待ち受け、帰りの電車内で宿題を教えながら(1時間ほど)、帰宅するということを1年間続けていました。メネラウスの定理など、中学受験の内容を自分が結構覚えていることに驚き、幼い頃の記憶は何と強固なのだろう・・・と思ったものです。
それに引き換え、最近はなかなか「強固な記憶」といかないことが多いのですが、先生は受験勉強中、定義・趣旨・条文番号・論証のキーワードといった知識については、特に記憶の時間を確保されたでしょうか?記憶の方法を意識されたでしょうか?また記憶のためのツールは用意されたでしょうか?あるいはそういったものをただ繰り返し読むうちに自然に記憶していったというような感じでしょうか?司法試験合格には相当量の知識が必要になると思われますが、それらをどう会得されたのでしょうか?
投稿: hiro | 2009年2月 9日 (月) 15時43分
A15
記憶と記憶の喚起の訓練は、必ず真一に1時間以上行うようにしていました。
記憶方法は
①まず書いてみること
②書いたことを覚えているかどうかを確かめてみること
③①と②を繰り返すこと
という程度です。
詳しくは、脱時空勉強術をお読みください。2×4です。

Q16
(旧司法試験の受験生です)
1.民法の親族相続の択一問題練習について
 過去問の中でも、親族相続の部分は、暗記が主体だという固定観念が私の中にあるのです。 直前期にやるよりも、平素からどんどん繰り返し過去問・択一模試の復習などを練習してもかまわない・・・ですか?
2.刑法の各論について
 すべての犯罪について、学習できていないのが素直な現状です。
 出題傾向を考え、優先順位をつけて学習すべきか・・・
 それとも、ある程度は抜け目なくやるべきか・・・
 ちょっと悩みが生じてきました。
 でもやはり、メリハリ付けをつけたほうがよいかな・・・という気がするのですが、いかがですか?
3.憲法の統治について
 統治の問題で落とすのは、非常にくやしいのですが、点にならないことも多いです。
 確認のために質問させていただきたいのですが、条文の正確な知識と徹底した問題練習しかない・・・ですよね?
投稿: ミナミアルプス | 2009年2月 9日 (月) 17時24分
A16
 択一で苦労するのは、勉強量が絶対的に不足しているからです。
 勉強時間を増やし、ボーッとしている時間をなくし、徹底的に勉強してください。
 
Q17
従来の配達記録郵便が諸事情により廃止され、今後は特定記録郵便という
ものに生まれ変わるようです。ただ、特定記録郵便によると受取人側が受領した
ということまでは明らかとなるわけではなく、従来の配達記録郵便の代替としては十分ではないような気もしているのです。企業実務について従来の配達記録郵便と同等の効果を得ようとする場合には、簡易書留による方が良いのでしょうか。
投稿: smoky | 2009年2月 9日 (月) 17時58分
A17
ケースバイケースとしか言いようがない問題です。
確実性を求めるならば簡易書留になるでしょう。

Q18
三角合併における合併対価の割り当てについてです。
存続会社Bと消滅会社Cの合併において、Bの完全親会社であるA社(国内の株式会社)の株式をCの株主に割り当てる計画ですが、Cの株主の一部にAが存在します。このとき契約書に定める合併対価と割り当ての規定を
「Bは、合併に際してBの完全親会社であるA社の普通株式を交付することとし、効力発生日前日最終のCの株主名簿に記載されたCの株主(但し“Aを除く”)に対して、C株式1株に対しA社の普通株式●株の割合で割り当てる」とすることは、割当に関する株主平等の原則には反しないという理解でよろしいですよね?
株式交換の場合に完全親会社が有する完全子会社の株式に対しては割当不可(会社法768Ⅲ)を根拠にそう思いました。よろしくお願いします。
投稿: ヤサオトコ | 2009年2月 9日 (月) 17時58分
A18
駄目でしょう。750条3項に反します。

Q19
さて、会社法100問の92問目(司法試験平成14年)について質問させてください。
解答例には、「Xは、①株主総会の決議の取消しの訴えを提起するとともに、②取締役の違法行為の差止め請求権(360条)を本案として、吸収合併の差止めの仮処分を申立てることができる。」
とありますが、取締役の違法行為に該当するのは、どの行為でしょうか。
合併契約の締結手続は、合併契約を締結する→合併契約に関する書類等の備え置き等→株主総会の特別決議による承認→合併する旨の通知・公告→反対株主の株式買取請求権の行使→会社債権者の意義手続→合併の効力発生という流れになると理解しています。
この中で、差止めの対象となる「取締役」の「行為」(360条1項)は、どれになるのか、良く分かりません。
投稿: まほろば | 2009年2月10日 (火) 22時15分
A19
法定の手続に限らず、合併に関する事実行為も行為になりうるでしょう。


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2009年1月 9日 (金)

遅ればせながら、おめでとうございます。

「明けましておめでとうございます」というには、若干、遅いのですが、昨日は、商事法務の賀詞交換会に行ってきて、沢山、「明けましておめでとうございます」とご挨拶をしてまいりましたので、ヨシとしましょう。

商事法務の賀詞交換会には、様々な年齢層の、様々な立場の方がいらっしゃるので、ご挨拶がてら雑談をしていても大変勉強になります。

ただ、竹下守夫先生と名刺交換させていただいたときに、先生が
 「会社法であそぼ。」見てますよ。
とおっしゃったときには、感激するとともに、ドキッとしました。
 実は、私は、昔、ある民事訴訟法学者の先生から、冗談まじりに
   民訴学者は葉玉さんのこと怒ってますよ。
   会社法で「訴訟」を雑則に入れたから。
と言われ、民訴学者の皆さんに若干引け目を感じているからです。
   まさか、竹下先生から怒られたりしないよな・・
と思ったのですが、(当然のことながら)、竹下先生は、大変お優しい方で、楽しく談笑させていただきました。
 また、来年も賀詞交換会に参加させていただきたいと思います。

 さて、正月明けそうそうなので、何かおめでたい話をしたいのですが、最近は、経済面では悲観的なニュースが続いています。
 上場企業の業績は、下方修正の嵐。派遣切り・内定取り消しが相次ぎ、社会問題化していて、気がめいりそうになります。

 中身を見ると、下方修正の直接の原因は、円高による外貨ベースの売上高の評価減や保有株式の値下がりによる評価損だったりすることも多いものの、そうしたマイナス評価が実態経済に大きな影響を与えているのが昨今の経済実態です。
 会計上の評価方法は、ある会社を見る場合の一つのものさしに過ぎず、しかも、そのものさしが毎年変更されているのですから、投資家も金融機関も決算を見る目を徐々に変えていかなければならないはずですが、世の中の多くの人は、「黒字か赤字か」というところにしか興味がありません。

 その結果、「風が吹いたら桶屋が儲かる」という因果関係よりもずっと希薄そうな「アメリカで住宅ローンを返せない人が増えると、日本で派遣切りが増える」という因果関係が現実になるところに現代社会の怖さがあります。

 実際、年末年始にかけて、「年越し派遣村」の話題が何度もマスコミに取り上げられ、生々しい声を聞かされると
  世の中の厳しさ
を感じさせられます。
 ただ、マスコミが
  「派遣切りは、ひどい。派遣労働者を継続雇用しろ。」
という風潮を形成しつつあるのは、気になります。

 GMやクライスラーの例をあげるまでもなく、売上が減って、人件費が削減できなければ、会社の利益が減ったり、損失が出たりするのは当然であり、何よりも優先される人件費の支払いのため、資金繰りがつかずに倒産する会社だって沢山あるあけです。

 とすると、売上が急激に減っているときに、派遣切りをせず、かつ、企業を正常に存続させるという難問を解くためには
   正規雇用者も含めて給料を切り下げる
というのが最も現実的な選択肢になりますが、それはそれで法律上も事実上も難しい。

 「大企業は潰れないのだから、可哀そうな人を助けろ。」という情緒的な考え方は、前提自体が間違っていて、
  小さくなったパイを、働く者の中で、どう分けるか
という話を抜きに派遣切りの問題は語れないはずです。
 ワークシェアリングが、検討されながら、なかなか実現できないのも、この問題が
   資本家vs労働者
のイデオロギー対決ではなく
   労働者vs労働者
の利害調整だからだろうと思います。

 そういう意味で、現在、政治の世界で、派遣労働者の契約期限内解雇の制限等が論じられていますが、本当に、それが正しい方向なのか、個人的には疑問です。
 
 製造業務を派遣対象業務に加え、派遣受入期間を延長した労働者派遣法の改正(平成16年3月1日施行)は、当時の厳しい雇用状況を打開し、働き方の多様化に対応するために、派遣労働者が正規労働者よりも不安定ではあることを前提に働く場を提供するものとして行われたものでした。
 1年を超える派遣を受け入れるときは労働組合等の意見を聞き、また、会社が派遣受入期間を超えて雇用する場合には正規雇用の申し込みをしなければならない義務を課すなど、会社、正規労働者、派遣労働者のバランスをとった上で改正されました。
 
 誤解をおそれずに言えば、「雇いやすい」というのを売りにして、雇用を創出しようというのが、労働者派遣法改正の根底にあったはずです。
 そうした労働者派遣法のもとで派遣労働者として働いていた以上、景気後退の場面で派遣が解消されるのは、やむをえないことです。
 もし、現時点で派遣労働者の調整ができないような法律改正がされれば、法律の施行前の駆け込み派遣切りが増える可能性もあり、また、「生活が苦しく、短期間でいいから働きたい」というニーズも満たせなくなるのではないでしょうか。

 また、派遣切りの問題と下請け切りの問題は紙一重であり、問題を「派遣切り」に矮小化してしまうことはできません。現在、下請け会社も苦しんでいますが、かといって、法律で、受注を強制することはできないわけで、「苦しそう」「可哀想」ということと、その人たちをどうやって救うのかという議論を混同してはならないと思います。

 私は、派遣切りにあった派遣労働者の悲惨な現実に目を向けることは大切なことですから、国や地方自治体が、
  一時的居住スペースを用意する。
  炊き出しを行う
  生活保護の申請に積極的に対応する
等ということをやれるような法制及び行政上の手当をすることは必須だと思います。
 国が、「年越し派遣村」を作ったっていいんです。
 また、失業者への就職斡旋や雇用創出を積極的に行うことも重要でしょう。

 しかし、昨年秋以降に急激に訪れた不況の中で、企業が生き延び、企業で働く者の生活を守っていくためには、何らかの雇用調整は避けられません。

 だからこそ、政治の世界でも
  雇用調整の手段として、どのような制度が適切か。
  セーフティネットとしてどのようなものを用意するか。
という点を正面から議論して救済策を策定すべきだと思いますし、マスコミも
  派遣切りを制限することにより、誰が不利益を被るか
ということを伝えて貰いたいところです。
 
 年明けそうそう会社法と全く関係のない話になってしまいましたが、次回からは、真面目に会社法の話をします。

 今年もよろしくお願い申し上げます。

(質問コーナー)
Q1
30秒のキスはしてもらえたのでしょうか?
さらに、その先に良いことはあったのでしょうか?
教えて下さい!
投稿: 受験生 | 2008年12月25日 (木) 18時33分
A1
この質問の回答には、チャージが必要です

Q2
貸借対照表の「純資産の部」を「資本の部」と呼ぶのはもはや間違いといってもいいのでしょうか?
投稿: 受験生 | 2008年12月26日 (金) 11時13分
A2
今は間違いです。

Q3
千問の道標のQ99の関係条文が107条となっていますが,108条のほうが適切ではないでしょうか。
投稿: | 2008年12月31日 (水) 02時00分
A3
どちらでもよさそうです。

Q4

検事任官志望のものです。
検事をしていて良かった点とつらかった点を教えていただけると幸いです。

投稿: お正月はHERO見ました | 2009年1月 4日 (日) 22時12分
A4
<良かったこと>
コストがいくらかかっても、上司が何を言おうとも、自分でとことん事実を追求できること
<つらかったこと>
内閣法制局で参事官が3時間も一言も口を開いてくれず、じっと、参事官の前で座っていなければならなかったこと

Q5
1.論文作成について
規範の中に、登場人物(A,Bや、甲、乙)が出てくる答案例や論証をたまに見るときがあるのです。
ですが、規範(Rule)の部分には、登場人物が出てくることは無い・・・と思うのですが、お間違いは無いでしょうか?
当てはめの部分には、問題文の事実を使うため、出てこざるを得ないと考えるのですが・・・。
A5
 そのとおりですが、紙数や、時間の関係で、あてはめと規範定立をまとめて書くこともあります。

Q6
択一試験は、長時間のため、集中力の維持が難しいです。
人によっては、途中でトイレに行ったり、体操する方もいらっしゃるようですが、私にはとてもその時間の余裕もありません。
勉強不足で解くスピードが遅いのだなあと反省しております。
問題を解く順番(憲法→民法→刑法or刑法→民法→憲法など)を、変えてみたりなどを、模擬試験で試行錯誤・工夫をしてみましたが、なかなかうまく行かず疲労困憊です。。。
葉玉先生は、あの3時間半をぶっ続けで回答していらっしゃいましたか?(また、その持久力養成の訓練をしていましたか?)
それとも途中でブレイクをとっていたりしましたか?
A6
私は、ぶっ続けでした。
トイレに行く時間があったら、解答精度をあげる時間に使います。

Q7
また、先生が解いていた科目の順番(民法→刑法→憲法など)は、どの順番でしたか?
投稿: ミナミアルプス | 2009年1月 5日 (月) 10時47分
A7
1番から順に解きます。
その方が、回答欄を間違えたりする可能性が低く、かつ、効率的です。

Q8
公認会計士は、独立性というものがよく強調されます。その趣旨は、財務諸表利用者が、財務諸表が適正に作成されてるかどうかに対する心証を確保するためだと理解してます。その現れの一つとして、二親等以内の親族が被監査対象会社の株を保有してはならないという規定が公認会計士法にあります。
一方、世の中の流れとして反社会的勢力の排除があると思います。
以上の二つの事等を考慮しまして、監査法人で法定監査業務を行う職員の親族に反社会的勢力に該当する者がいた場合、関連諸法に規定されていないとはいえ、問題がないことはないと思います。
投稿: 会計士志望の会計士試験合格者 | 2009年1月 5日 (月) 14時14分
A8
親族がヤクザだからといって反社会的勢力と即断することはできません。

Q9

以前弁護士の仕事で税務・会計は必須ということを仰っていらしたとおもうのですが、具体的には簿記2級の勉強の他やっておくべきことはありますでしょうか。

投稿: | 2009年1月 7日 (水) 16時17分
A9
所得税法・法人税法・相続税法です。

Q10
248の回答の1・2段落
「発行可能株式総数は定款記載事項であり(37条)、これを減少す
るためには、別段の定めがある場合を除き、株主総会の特別決議
を要する(309条2項11号)。
 自己株式の消却を行う場合については、会社法上発行可能株式
総数の取扱いについての別段の定めは設けられていないことから、
別途、株主総会の特別決議により、発行可能株式総数を減少させ
る旨の定款変更を行わない限り、自己株式の消却によって発行可
能株式総数が減少することはない」

以上の記述は、立案担当者による新・会社法の解説(別冊商事法
務No295)P28の上段の記述と同趣旨であると考えますが、立案
担当者による新・会社法の解説の方には千問の道標Q248の回答
の3段落目
「ただし、定款に自己株式の消却をした場合には消却した株式の数
について発行可能株式総数が減少する旨の定めがある場合には、
当該定めは有効であるものと解される」の記述は見当たりません。

会社の中には、立案担当者による新・会社法の解説のみを根拠とし
千問の道標の3段落目に相当する定款の但書を削除する会社もあ
った旨耳にしておりますが、千問の道標のQ248の1・2段落目が原
則であり、例外的に(合理性があるから)、3段落目の様な定款規定
を置くことも許されるとの理解で良いのでしょうか?

よって、立案担当者による新・会社法の解説の記述と千問の道標の
Q248の記述は上記の様な理解により矛盾はしていないと考えれば
良いのでしょうか?

投稿: 独眼流 | 2009年1月 8日 (木) 12時56分
A10
矛盾はしていません。
書いた時期が千問の方が遅く、商事法務の連載後に、質問があったので、付け足したんだと思います。

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2008年12月25日 (木)

【御礼】日経弁護士ランキング第1位

 12月24日に日本経済新聞で発表された
   2008年に活躍した弁護士ランキング
におきまして、私が
   企業法務部門第1位
に選ばれてしまいました。

 皆様、本当に、本当に、ありがとうございました。
 最高のクリスマスプレゼントでした。
 普段、子供達は、私のことを「おむつ代え係」「お皿洗い係」としか認識していないような不安がありましたが、子供達が、今回の第1位で
   「パパ、すごい」
と言ってくれたのは、個人的には大変な収穫であります。

 また、企業票においても、第1位だったのが、何よりも嬉しいです。

 昨年3位だったときに、クライアントの皆様から
   今年は銅メダルだったから、北京オリンピックの来年は「金メダル」を目指しましょ。
と励まされたものの、さすがに超一流弁護士が多数いるなか金メダルはありえないと思い
   ロンドンオリンピックを目指します。
とお答えしていました。
 それが、皆様のおかげで、4年も早く夢を実現させていただきました。

 アンケートにお答えいただいた企業の中には、私のクライアント様も多数含まれていましたので、私に1票を投じていただいた方の中には、きっと、私が一緒にお仕事をさせていただいた方もいらっしゃると思います。
 また、セミナーを受講していただいた方や、このブログを通じて私を知っていただいた方もいらっしゃると思います。
 私を支持していただいた皆様に対し、感謝の気持ちで一杯です。

 様々な出会いの中で、少しでも、人のお役に立てるように、全力を尽くし、睡眠時間を削り、身を削り、ぜい肉だけはあまり削れなかった、この1年でしたが、それが報われたような気がします。

この1年、振り返ってみれば、自分でも数え切れないほど色々な仕事をさせていただきました。
  TOB、株式交換、会社分割
  株主総会対策、プロキシーファイト、買収防衛策の策定、定款・株式取扱規則の策定
  利益相反取引など取締役の責任回避方法の考案、株式買取価格決定の申立事件
  株券電子化への対応、取引約款の策定
  特殊な退職金制度・ストックオプションの設計等役職員のインセンティブ構築
  不祥事・事故時のマスコミ対策、善後策の策定
  TAXプランニング・国際課税事件
  種類株式の発行、社債発行、シンジケートローン、不動産流動化
  有価証券担保提供証書のひな型、電子記録債権
  契約締結前書面等の作成、本人確認義務の履行等金融行政対応
  独禁法(私的独占)・カルテル
  労災事件、解雇、安全配慮義務
  インサイダー取引、風説の流布その他証券取引等監視委員会の調査対応
  特別背任等の刑事裁判
  土地土壌汚染・反社会的勢力への対応
  交通事故、離婚、相続
  etc.

 こうして思い出すままに書いてみると、それぞれの苦労が走馬燈のように、よみがえってきます。
 私の仕事は、定型的なものよりも
   前例のない分野に新しい道筋をつけるもの
 or 修羅場を果敢に切り抜けるもの
が多く、どのケースも、知恵を絞り、汗を流し、がっぷり四つで組み合わなければならないものばかりでしたが、それが私にとって貴重な経験ともなりました。

 来年も、今年以上に、精進し、迅速で高品質のリーガルサービスを提供できるよう努力いたしますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。

 なお、日経の記事では、「セミナーやブログを通じた法律相談」で企業法務担当者の支持を集めたと書かれていました。
 最近はブログの更新頻度が落ちているので、心苦しい限りです。
 最大の原因は
    商事法務の美人京女編集者が、株券電子化の実務本の執筆を
    私とAMTの仁科弁護士に、強要・・いや、強く依頼し、それに応諾してしまった
ところにあります。
 自分で言うのもなんですが、非常に役に立つ本になると思います。
 来年早い段階で出版予定なので、近々、本の題名と中身くらいは紹介できるはずですので、ご期待のほどを。

とか、書いているうちに、今日も午前2時半を回ってしまいました。
明日は、8時半に拘置所で接見なので、そろそろ寝ます。
おやすみなさい。

(質問コーナー)
Q1
ローの授業で定款規定による取締役の責任の免除制度について取り上げられたのですが、取締役の責任免除にはいくつかの方法が定められ、上場企業では多くの会社が導入していると思うのですが、実際に免除した事例はあるのでしょうか。某肉まん事件など個人では到底支払える額ではないと思うのですが。。。
投稿: ローで奮闘中 | 2008年12月14日 (日) 14時21分
A1
私は、聞いたことはありません。

Q2
先生のご勤務されている事務所を始め、大手事務所では、毎日朝まで働いていると聞きますがそれは本当ですか?
入所年数やパートナー、アソの区別なくそうなのでしょうか?
また仮に本当だとして、日々の仕事に支障は出ないのでしょうか。
投稿: ろー生 | 2008年12月14日 (日) 19時46分
A2
ごくたまに朝まで働くことはありますが、滅多にありません。
毎日、クオリティーの高い仕事をするためには、睡眠時間も大事です。

Q3
> 私は、検事・法務省・私生活のどの側面でも修羅場ばかり生きてきたので
> 笑って修羅場を切り抜けよう。
弁護士は前向きじゃないとつとまらない仕事なんでしょうか?
人が困っているところを助ける仕事ですから。
人の役に立つというの意味では仕事全般についていえますが、人の役に立ちたいという気持ちが弁護士には強く必要なんでしょうか?
修羅場の時こそチャンスってわかってるつもりですけど、修羅場に直面すると前向きでいられるかどうかなあって思ってしまいます。。
恋人のケンカ、試験落ちた時とか。
先生が、前向きでいられるコツを教えて下さい
投稿: 進路悩んでいる受験生 | 2008年12月15日 (月) 18時53分
A3
前向きでいられるコツですか?
  鈍感であること
  忘れっぽいこと
  マゾヒストであること
・・・でしょうか?
 それから
  苦しいときに、笑ってみること
  自分の勇気を奮い立たせるドラマ(小説・漫画等を含め)を見つけること
  自分のためではなく、他人のために頑張ること
かなあ。

Q4
いつも楽しく拝見しております。
特別取締役による決議と通常の取締役会の決議について教えてください。
千問Q516(374~375ページ)に、同一事項につき、異なる決議をした場合において、「両決議の先後関係の問題として処理される」とありますが、後の決議が優先すると考えてよろしいのでしょうか。
投稿: ろっき~ | 2008年12月16日 (火) 15時42分
A4
基本的にはそうです。
ただ、取締役会は、特別取締役の解職をすることができるので、とことんケンカすれば、は取締役会が勝つことにはなります。

Q5
株券電子化の、みなし定款変更の説明する備置書類作ってて思ったんですけど、次の株主総会で定款変更議案が否決されたら、「単元未満株券不発行」とか「実質株主」などの「無効な定め」は、その次の株主総会までそのまま持ち越しになるんですかね。
また、票読みでダメだと思って、議案撤回したら法令違反でしょうか。
投稿: こやぎ | 2008年12月17日 (水) 18時40分
A5
私は、空振りの規定は、株主総会の決議なくても削れるという説ですが、株主総会の決議がなければ削れないという説ですと、残るのは仕方がないです。
撤回しても、法令違反ではないでしょうが、あまり勧められません。

Q6
取締役会の決議要件について質問させてください。
 監査役に取締役会の出席義務がある会社の場合に、監査役が出席していない取締役会の決議は「取締役過半数出席、過半数賛成」の要件を満たしている限り、有効ということでよいのでしょうか?
 具体的には、利益相反行為(不動産取引)の承認決議を監査役出席なしで決議した場合の有効性について取引先(会社の相手方)から質問されています。
 この場合、決議自体は有効(取引=所有権移転の効果は覆らない)で、監査役が出席していないことの効果は損害賠償責任等が生じるだけと、私は理解しているのですが、それで正しいでしょうか?
投稿: XYZ | 2008年12月18日 (木) 05時18分
A6
監査役に招集通知は出したのでしょうか?
出していれば、決議は有効です。

Q7
今回は、株式の相互持合い構造について質問させてください。
仮に3社間で各社が他の2社の50%の議決権をそれぞれ完全に
持ち合っている構造では、なにか法務上の疑義はあるのでしょうか?
会社法では相互持合いの解消を義務付けているわけではないと
思われますし、会社法第308条第1項のカッコ書に当たるため
議決権は停止するとも見えますが、すべての議決権が停止する
と議決権のない会社が存在することとなるため、会社法施行規則
第67条により停止した議決権はそれぞれ復活するものと思います。
つまり、各社の議決権を有する株主は他の2社という構造となり
法務上は疑義がある状態ではないとも解されるされるような気も
しますが・・・如何でしょうか?
投稿: MAT | 2008年12月18日 (木) 15時34分
A7
株式会社ですと、ちょっと難点があります。
67条で復活するかどうかは、ぐるぐる回って、どうなるかよくわかりませんね。

Q8
会社法100問の73問目のP424~423にある監査と損害との因果関係について質問させていただきます。
イの任務懈怠は定期的に監査実施計画がされたとしても因果関係がないけど,ロの任務懈怠は因果関係があるということです。
これは,監査の時期が重要ということでしょうか。
でも,イについても定期的に監査実施計画がなされていたのなら,Bの詐欺行為を防げたといえるのではないでしょうか。
これはもう,個人個人の事実認定の違いなのでしょうか。
それとも,イとロで何か法的な違いがあるのでしょうか。
お手数をおかけいたしますが,よろしくお願いいたします。
投稿: こんにちは | 2008年12月18日 (木) 22時25分
A8
そこは、あてはめの部分ですので、適宜自分の信じた道で論証してください。

Q9
旧司法試験について質問させてください。
私は、来年(平成21年)から未修で法科大学院に進学することになりました。今まで約3年近く司法試験の勉強をしてきましたが、既修の方には合格することができませんでした。
このような状況であるにもかかわらず(法科大学院の既修コースにすら合格できないのに)、来年の旧司法試験を受験することは無謀過ぎるでしょうか??ちなみに、私は、旧司法試験の択一も本年度、不合格であり、択一試験に合格した経験はありません。
来年(平成21年)における旧司法試験の合格者は100人程度と法務省が公表していることから、かなりの実力のある人でしか合格できない試験と言われていますし、私も、今年の旧司法試験の論文合格の合格率をみるとかなり難しいのではないかと思っています。
葉玉先生は、これから(現在の12月)、来年の4月までの間、新司法試験に向けた法科大学院での勉強に軸足を移すべきと思いますか??それとも、今からでも旧司法試験の勉強に力を入れ、旧司に向けた勉強をすべきだと思いますか??
なんだか、受験指導のような内容になってしまし、大変恐縮ですが、少しでも参考にしたいと考えていますので、お願いいたします。
投稿: まんごー | 2008年12月19日 (金) 00時58分
A9
受験者全体のレベルも下がっていますから、100人だから難しいかどうかは微妙なところですね。
新司法試験に向けた勉強と、旧司法試験に向けた勉強がそんなに違うとも思えません。
人間は1年必死で勉強すると別人のように実力がつくので、受けたければ受ける、受けたくなければ受けない。受ける以上は勉強する。ということでよいのではないでしょうか。

Q10
会社法の条文上、「過半数」と「半数以上」で使いわけがされていますが、これはどのような趣旨によるものでしょうか?
投稿: 受験生 | 2008年12月19日 (金) 16時50分
A10
各条文ごとに趣旨が違いますが、結局は、立法時の政治的妥協点につきます。

Q11
葉玉先生、こんにちは。
地方で未修1年のロー生をしています。
ローに入って驚いたのは、旧試の勉強歴十数年という方がけっこういるという事実です。しかも同級生です。
勉強歴が長い分、彼らは教科書を丸暗記しているくらい知識は豊富なのですが、
問題や事実に合わせて知識を修正されていないように思えます。
先生の予備校講師や検事としての経験をもとに、
一般的に、必要なときに必要な分だけ知識をアウトプットするにはどのような勉強法がよいでしょうか。また、的外れな解答をしないように気をつけることはあるでしょうか。
投稿: | 2008年12月19日 (金) 17時29分
A11
会社法100問の最後を見てくだい。勉強の仕方が載っています。

Q12
弁護士事務所で企業法務につくにあたって有利になる、また、ならないとしても、その勉強が実務につながるような資格などはあるでしょうか??
来年度から法科大学院既修者に進学する者ですが
先月簿記2級を取得しました。あとは、TOEICを勉強しています。
こういうのをやっていたら、役に立つみたいな資格、勉強があれば教えていただきたいです。

投稿: ほいほほい4 | 2008年12月22日 (月) 10時23分
A12
税務・会計が必須、英語はケースバイケースでしょうか。
資格が合った方が就職には有利ですが、弁護士の仕事上は、資格はいりません。

Q13
会社法471条1項3号の株主総会で解散の特別決議が可決された際、反対株主は、買取請求権あるのでしょうか?

投稿: こんばんわ | 2008年12月23日 (火) 20時10分
A13
ないです。

Q14
持分会社について再度質問があります。ご教授よろしくお願いします。
1.代表権のみ辞任については、定款で定められた代表社員の場合、通常は不可能と思いますが、591条4項を類推して正当事由がある場合には、代表社員のみの辞任は可能と考えますがとうでしょうか。
2.無限責任社員が退社した場合、当該社員に帰属している、マイナスの利益剰余金が出資額を上回る場合には、持分の払い戻しを受けることができず、逆に払い込みの義務が生じると考えますがどうでしょうか。
3.持分の払い戻しと資本金の関係がよく理解できません。
(1)持分会社は、家族経営の会社が多く、退社しても払い戻しをしないことが多いと思います。この場合でも、、当該社員に計上されていた、資本金及び利益剰余金(払戻持分相当)を取り崩す必要があるのでしょうか。またその場合、会社から見ると払い戻しの免除を受けたと考えて、取り崩した後、雑収入または債務免除益に振り替えることが適当でしょうか。
 それとも社員が退社したとしても、計算規則どおり払い戻しをする場合のみ資本金等を減少させればよいのでしょうか。
(2)もし、資本金等を減少させる必要がないとすると、退社員に計上されていた資本金及び、利益剰余金は、出資の価額に応じて残存社員に分配されると考えるのでしょうか。
 
以上の払い戻しの質問は、持分を全部譲渡して退社する場合ではない場合を想定しています。以上細かいことばかりで恐縮ですが、よろしくお願いします。
投稿: 会社法愛好家 | 2008年12月24日 (水) 11時30分
A14
1 代表権のみ辞任という想定については責任ある答えができません。
2 会計の問題と債務の問題が混在しているので、なんともいえません。マイナスの利益剰余金は一体どういう理由で生じたのでしょうか。資本剰余金はどうなのでしょうか。
3 難問ですが、「退社したのに持分の払戻をしない」ということについて、どのような法的構成でそのような処置をしたのかで、会計処理が代わるように思います。
 

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2008年10月29日 (水)

貯まった質問を一掃します

ここしばらく、更新をサボっていたところ、質問が貯まってしまいました。
質問が貯まりすぎると、それだけで更新の気力がなくなるので、本日は、質問を一掃させていただきます。


(質問コーナー)
Q1
今回は新司法試験対策についていくつかご質問させてください。
①短答対策について。旧司択一の問題を解いて間違えたところを復習→正解するまで解くというやり方と、新司法の択一は条文・判例が重視されていると思われることから条文と判例を読んでまとめる→それを何度も読むというやり方と、どちらか一方を選ぶとしたら葉玉先生はどちらを選びますか。理由もお聞かせください。
A1
 択一の問題ですね。暗記ではなく、自分に対して問いを投げかけてもらえるということが知識の定着の上では重要です。

Q2
②論文対策について。旧司法におけるいわゆる論証パターンは新司法においても必要でしょうか。新司法における上位答案を見ていると、規範部分が非常にあっさりしており、判例そのままなものも多数あります。これならリーディングケースといわれる判例の事案と判旨をそのまま覚えて、後は関連判例を読んであてはめのやり方を研究したほうが効率的なように思われるのですが、先生はどう思われますか。(実は旧司用の論証あてはめ講座の教材が家にあるのですが、それをやるかどうかで迷っています。紹介されている規範が判例と異なるので。)
投稿: 新司受験予定者 | 2008年10月14日 (火) 18時36分
A2
論証パターンの丸暗記は、旧試験でも不要だと思います。
他方で、論証がすらすらできるようにトレーニングすることは、旧試験でも新試験でも必要です。
 新司法試験が、判例の規範を覚えていれば合格する試験だとすれば、それは新司法試験が嫌っている「予備校的勉強」=「丸暗記」を推進する効果しかありません。

Q3
①抵当権のついた不動産の現物出資は可能であるとのQ&Aがありましたが、その不動産の評価額は、抵当権で把握された価値を差し引いたものでよろしいですか?
②ロータス21のDVDはいつごろ完成予定でしょうか。
投稿: アンナ | 2008年10月14日 (火) 19時06分
A3
1 一般的には、抵当権で把握された価値を引くということでいいと思いますが、根抵当なのか、どうか、被担保債権の弁済可能性がどうか等によって評価が変わると考えることも可能でしょう。
2 現在編集中です。すいませんがしばらくお待ちください。

Q4
吸収合併の消滅会社の株主への通知が効力発生20日前まで(会社法785条3項)であるのに対し、新設合併の消滅会社の株主への通知は決議から2週間以内(同806条3項)となっています。
もちろん吸収合併と新設合併は異なりますが、消滅会社の目線で見るとどちらも消滅することに変わりは無く、このように区別されている理由が解りません。何故このように区別されたのでしょうか?
投稿: 会社法漫遊 | 2008年10月14日 (火) 22時55分
A4
新設合併は、登記によって効力を生ずるところ、登記の時期が不明確であり、効力発生日の20日前という定め方が難しいからです。

Q5
主観的に自分の学歴をどう思うか、ということと、客観的に自分の学歴がどのように写り、どのように扱われるか、ということとがごっちゃですね。
投稿: | 2008年10月15日 (水) 08時37分
A5
ごっちゃにはしておりません。
 よく読んでいただければ分かりますが、主観的に自分の学歴をどう思うかという点に学歴の意味があり、客観的に自分の学歴がどのように写り、どのように扱われるかというのは、大した問題ではないと言っております。

Q6
会社法111条1項に関してなのですが、
取得条項付種類株式及び取得請求権付種類株式の取得対価の種類株式に取得条項を付す場合において、当該取得条項付種類株式及び取得請求権付種類株式の種類株主に会社法111条2項による保護規定が無いのは何故なのでしょうか?
投稿: T。 | 2008年10月15日 (水) 09時34分
A6
まあ、種類株主総会の決議ではなく、全員の同意を得なければならないというルールに、どこまで拘るかというバランスの問題ですね。
従来の取扱い等からバランスをとってそういう決め方をしているというほかありません。

Q7
葉玉先生こんばんは。総務部で法務担当二年目の24歳会社員です。
たびたびこちらのブログや先生の株券電子化の講演で勉強させていただいてます。
会社の剰余金処分案が否決され、株主提案または修正動議が可決された場合の対応についての質問です。会社は事前に会社案に基づいて、配当金の計算や配当金領収証等の作成を行っているため、想定外に株主提案側が可決されてしまった場合、配当金の支払いに大幅な遅れが生じる恐れがあります。
この場合、会社は遅滞遅滞等の責任に問われるのでしょうか?株主提案の場合、予め会社提案と株主提案の両方の書類等を作成しておくという手もあるかと思いますが、修正動議の場合には予め作成しておくことは不可能なので配当金支払いの遅滞は免れません。
仮にこうした事象が発生した場合、どういった対処を行うことが会社にとって最も適切でしょうか?
その他の議案の場合、会社提案が否決された場合に、一度会社案が可決されたと記載した決議通知を発送した後に、訂正の決議通知を発送するという手段が実務上は採られているようですが、剰余金処分案については分かりません。
先生のご意見を伺わせてください。
投稿: 嵯峨 | 2008年10月15日 (水) 21時14分
A7
金銭債権なので、効力発生日から遅延損害金が生ずるのは、通常、仕方がないですよね。
ただ、実務的には、配当金だけ払って、遅延損害金については、請求があったら払うというやり方でもおかしくはないと思います。親切心を出すならば、支払日を先に確定させて、その分の遅延損害金だけは上乗せして支払うということになるでしょう。

Q8
わたくしが通ってるロースクールの生協の本屋で、会社法100問は、来春改定予定と掲示してありましたが、本当ですか?
投稿: 某ロー生 | 2008年10月17日 (金) 00時55分
A8
嘘です。

Q9
株主総会議事録の本店備置義務についてご質問させてください。会社は議事録の原本を10年間保管しなくてはいけませんが、自社が消滅会社となる吸収合併の際にはこの義務はどうなるのでしょうか。
消滅会社の権利義務は存続会社に承継されるので、消滅会社は過去の議事録を存続会社に渡して、合併後は存続会社が保管するのか、そもそも会社そのものが消滅してしまっているので、保管など必要ないのか、考え込んでしまいました。
投稿: おせんべい | 2008年10月17日 (金) 13時43分
A9
存続会社が義務を引き継ぐと考えた方がよいでしょう。

Q10
私は今年の旧試験に落ちました。
私にとっては最後のチャンスと思って
挑んだ試験だったため、何ともいえない辛さを感じています。
そして私は法科大学院に行くことはできない現実を
未だ素直に受け止められないようです。
そのため、私は法科大学院制度と戦うことを
考えていますが、どのように思われますか?
投稿: 司法戦士 | 2008年10月17日 (金) 18時17分
A10
あなたに、子供がいるとしましょう。
その子供が、立派な大学を卒業して、司法試験で頑張っていたにもかかわらず、ある日、「司法試験に落ちたから、法科大学院制度と戦う」と言ったら、どんな気持ちがするでしょう。
 亀田興毅とは戦えても、「制度」と戦うことなんてできません。
 きっと、「そんな無意味なことに貴重な青春を費やすな」というのではないでしょうか。
 旧司法試験に落ちたという経験をプラスにするのもマイナスにするのも、あなた自身です。
 恨みは、何も生みません。

Q11
①優先株式・劣後株式の内容として、次のような停止条件又は解除条件を規定することは可能でしょうか。
「A株式については、●●が発生しない限り、剰余金配当金額の全てを受けることができるが、●●が発生した場合には、剰余金配当金額の一切を受けることができない。」
「B株式については、●●が発生しない限り、剰余金配当金額の一切を受け取ることができないが、●●が発生した場合には、剰余金配当金額の一切を受けることができる。」

②上記と同じ条件を、全株式譲渡制限会社において、属人的定めとして規定することはできるのでしょうか(すなわち、上記の「A株式」が「A株主」となり、「B株式」が「B株主」ということになるということです。)。

いずれについても、株主は二者のみであることを想定しております。
投稿: ボストン万歳 | 2008年10月18日 (土) 02時55分
A11
条件の書き方は、もう少し工夫を要しますが、やろうとしていることは、できると思います。
属人的な定めでも可能でしょう。
ただし、どちらも残余財産分配請求権は認めてください。

Q12
こんにちは。 今日の記事は、法律外のことなのでそれにぴったりの質問をさせてもらいます。
葉玉先生は、正解のない事で奥さんと口論になった場合、どのように対処しますか?
私は話が好きなのでよくしゃべり、するとどうしても付き合っている女性との間でつまらないことでもめる羽目に陥ってしまいます。
投稿: 独身男性 | 2008年10月20日 (月) 00時11分
A12
正解のない事であろうと、正解のあることであろうと、奥さんの言うことが正解です。
我が家も夫婦で「もめる」ことはありますが、
 「法は家庭に入らず」=家庭は無法地帯である(笑)
という原則に従い、私は、夫婦間のもめごとを、法や理屈ではなく
  「和をもって尊しとす」という聖徳太子の精神
で、妻のすべての受けいれる、というようにしようと心がけております。

Q13
この前、とある試験を受けて、自分が条文構造を全く理解できてないことに愕然としました。
「条文を大切に」とはよく言われますが、どう勉強すれば条文構造をしっかり理解でき、
条文を大切にする姿勢が身に付くでしょうか。
一応、基本書に出てくる条文は六法で参照して、
マーカーでチェックを入れたりはしてるんですが…
投稿: 明 | 2008年10月20日 (月) 19時06分
A13
 条文構造を分かっている先生に、条文構造を教えてもらってください。
 それが一番の早道です。

Q14
1 ストックオプションの付与の場面において、行使期間の異なる新株予約権を発行するにはいかなる手続を踏む必要があるのでしょうか。
2 また、同様にストックオプションを従業員に付与する場面において、同一部門内での従業員相互の譲渡は自由であるが、その他の場合には譲渡を禁止するという内容の、株式における属人的種類株式のような新株予約権を発行するにはいかなる手続を踏む必要があるのでしょうか。
投稿: civil | 2008年10月21日 (火) 10時17分
A14
1 行使期間が異なるということは、2種類以上の新株予約権を出すことになるので、議案を分けて、それぞれ決議してください。
2 新株予約権の内容に、譲渡制限を付せばよいです。

Q15
ロースクール進学が決まりましてこれから頑張って勉強していきたいと思っているのですが、私は検察官志望でして来春の入学前に法律は勿論ですが、簿記会計の勉強をしてみたいと思っています。もちろんあくまで余裕があればですが…。
そこで葉玉先生は修習時代に会計の勉強をされていたと聞いたのですがどのような勉強をされましたか(簿記何級であるとか)?
また弁護士として企業法務をやるなら役立つのは勿論ですが、検事として捜査する上で(主に特捜部でということになるのでしょうが)会計の知識は役立ちましたか?むしろ基本的な知識は持っていて当然という世界なのでしょうか?
投稿: あざらし | 2008年10月23日 (木) 00時03分
A15
 私は、修習時代、大原簿記学校の税理士講座で、簿記2級、3級、会計、法人税、所得税、相続税を勉強しました。
 会計の知識は、特捜部に限らず、また、検事に限らず、法曹としての基礎力であるとお思います。

Q16
振替法161条および会社法201条3項に関するご質問です。
振替法の施行に伴い、株主への募集事項の通知(201条3項)は適用除外になります。この場合、次のいづれの取扱いになるのか解りません。①従来どおり、上場会社(振替株式を発行してます)は、201条5項の適用を受け通知、公告とも不要、②201条3項の適用除外は201条5項にも及び公告をしなければならない。②と解釈しないと振替法161条で201条3項を適用除外した意味がないと考えるための質問です。また、②であれば、なぜ、こんな変更をしたのでしょうか。
投稿: 株券電子化くん | 2008年10月23日 (木) 16時18分
A16
改正の順番は、電子化が先で、201条5項が後ですね。
振替株式発行会社では、株主名簿は総株主通知により名義書換をするので、期中に、株主名簿を基準に通知しても、その時の真の株主に通知される蓋然性が低いので、公告を必須としたものです。
その後の会社法の改正で、有価証券届出書等を提出している場合には、投資家に広く開示されるので、通知・公告は不要とされ、現在に至っているのですが、結論としては、振替株式発行会社は、実際には、有価証券報告書提出会社となるので、201条5項が適用される場面では、「通知すべき事項」=公告すべき事項がないとして、公告を不要と解釈することができると考えます。

Q17
 今年の新司法試験で失敗し1振りした者ですが、今まで一回で合格するつもりで全力で勉強してきたので、正直、燃えつき感があり、現在、次回の試験への意欲が具体的に沸かないのですが、今の状況をどのように打開すべきでしょうか??ただ、不合格に対しては大変、悔しい思いがして、リベンジをしたいとは思うのですが、どうも現時点では心と頭と体がうまく一体化しないみたいです。
 あと、このような質問は無礼であることを承知しているのですが、あえて聞きたいのですが、葉玉先生は挫折の経験はあるのでしょうか??先生のコメントを見ると常勝のような感じがしてうらやましい限りです。
投稿: 吉事 | 2008年10月23日 (木) 17時08分
A17
 1回、司法試験に不合格になったくらいで、燃え尽きるのなら、もうやめたらどうでしょう。
 こういうことを言われて、「葉玉は、なんと不親切な奴だ。みかえしてやるぞ」と思って、勉強を始めるのなら、それでよし。「そうだなあ。やめようかなあ」と思うのならば、本当にやめましょう。
 やる気とか、悔しい思いとか、どうでもよいのです。
 来年、司法試験を受けるかどうかをまず決断し、受けるのならば、やる気がなかろうと、なんだろうと、無理矢理にでも勉強しなければならないというだけです。
 ちなみ、私は、自分の望んだことの10%くらいしか実現していないので、「挫折」経験は多いです。「常勝」どころか、オリックスよりも勝率が低いと思います。ただ、どんなときも
 「前を向いて生きるために、やるべきことはやる。絶対に逃げない。」
という精神で生きていると、当初望んだことではない結論になっても、それなりに良い結論になるものです。

Q18
特例有限会社では、会社法295条により、株主総会において、会社法に規定する事項および会社の組織、運営、管理その他会社に関する一切の事項について決議をすることができる一方で、整備法31条により会社法348条3項・4項の適用がなく、取締役に支配人の選任・解任、支店の設置・移転・廃止などを委任できることとなっており、それゆえに、会社法上絶対に総会にかけないといけない案件以外は、果たして会社のどういう案件については株主総会ではかるべきか、取締役の多数決で決める(複数いる場合)べきか、各取締役に委任するべきか、つまり決裁基準をどのように設定すべきか、非常に悩んでおります。

株主が、法人である場合など、株主=取締役でないケースです。

勝手に取締役サイドで決めて株主から文句を言われないか気にするくらいなら、なんでも総会にかけたほうが無難という気もしますが、さすがにそんなことをしていたら円滑に業務を運営できないと思われます。

会社の規模等に応じて適切と判断できる区分で設定したらよいものなのでしょうか?
投稿: 会社法実務に悩む者 | 2008年10月23日 (木) 19時47分
A18
定款や内規で決めればよいことですが、心配ならば、普通の株式会社と同じ仕切りにすればよいのではないでhそうか。

Q19
423条について質問があります、よろしくお願いします。
423条の会社に対する取締役の責任を過失責任と捉えた場合、取締役に善管注意義務違反という任務懈怠が認められると、善管注意義務違反から過失が常に導かれることになるのでしょうか。

投稿: ブルー | 2008年10月25日 (土) 03時03分
A19
 違います。任務懈怠と過失は、別のものとです。

Q20
会社の支配人は会社が解散すると代理権が消滅するようです。
しかし、会社法10条にも商法506条が適用(準用?)されるはずだから、消滅してはいけないのではないかとも思います。
ただ、支配人が代理人と言っても会社内部の組織構造の一部なので、会社解散の時に代理権が消滅するとしても、妥当な結論だとは思います。
そこで、消滅すると言う結論は正しいとして、その根拠はどこに求めればいいのでしょうか?
会社法506条を飛び越えて民法111条が根拠になるのでしょうか?あるいは、組織内部の構造であることを根拠に解釈するべきなのでしょうか?
投稿: 混迷 | 2008年10月26日 (日) 15時17分
A20
支配人は、支店の事業に関する包括代理権のみを持っています。
 解散によって、清算会社は、清算目的の範囲内でのみ権利能力を有することになり、その結果、事業に関する包括代理権は消滅すると考えるのではないでしょうか。

Q21
今現在、私は来年の新司法試験に向けて勉強中です。
しかしながら、生来の性格が心配性のためか、勉強をしていても
「はたして今の勉強法で大丈夫なのだろうか・・。」
「もっと有効な勉強の仕方があるのではないのだろうか・・。」
「今やっていることは試験には大して役に立たないのではないだろうか・・。」
といった不安が頭をよぎることが頻繁にあり、なかなか勉強に集中できません。

もし仮に先生がローの教員もしくは予備校の講師であるとしたら、こんな奴にどんな言葉を投げかけますか?
投稿: 悩み人 | 2008年10月26日 (日) 18時38分
A21
 受験生は、合格するまで、皆、悩み人さんと同じ悩みを持っています。
 悩みをもちつつ、勉強できる人は合格し、
 悩みのために勉強できない人は不合格になる。
 真実は、これだけです。

Q22
 葉玉先生が、新会社法100問の最後で本書を使った勉強法を執筆しておられます。ここで、論文試験突破のためにはオウムの力・キリンの力・サイの力をつけることが必要と書かれています。
 そこで、キリンの力・サイの力についてはほかの司法試験論文対策の本にも記載されていましたので、どんなことをすればよいのかということがわかりました。しかし、オウムの力についてはあまり触れられていないため、いま一つわかりません。
 オウムの力とは、「問題分の末尾をオウム返しにしてみて、端的に問いに対する答えを述べる能力をいう」とされています。
 たとえば、「会社に効果が帰属するか」と問われれば、「会社に効果が帰属するためには~の要件を満たす必要がある」という部分を抜き出すことだと思いますが、要件を満たすか否かについて論点となっており、論証をしなければいけない場合も多いと思います。このような場合、論証の部分も抜き出すのでしょうか。
投稿: 不孤 | 2008年10月26日 (日) 21時06分
A22
 オウムの力は、端的に問いに答える能力というくらいの意味です。
 「論証の部分も抜き出す」という質問の意味がよく分かりませんが、あまり深く悩まず、問いに対して、一言・一文で答えを言えるかどうかをチェックしてください。

Q23
第140条(株式会社又は指定買取人による買取り)についての質問です。

5  前項の規定による指定は、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない。

取締役会設置会社においては指定買取人を取締役会決議にて指定できることが定められていますが、この場合においても、「一  対象株式を買い取る旨、二  対象株式の数」の決定は株主総会決議によらなければならない(同条2項)のでしょうか?

つまり、会社が譲渡承認をしない場合においては、会社が買い取るときも指定買取人に買い取らせるときも、どちらの場合も株主総会の開催が必須となるのでしょうか?
投稿: ツェーベーツェー | 2008年10月27日 (月) 10時51分
A23
1項が適用除外されているので、取締役会決議で決定して良いと考えます。


Q24
完全親子会社間で親会社から子会社へ債務超過の事業を分割しようとしております。
このときに、いわゆる無対価で行おうとしております。
この場合、会計では分割対象の資産と負債の差額を払込資本の増減で処理するらしいのですが、 とすると債務超過の場合には払込資本を増加させることになってしまいます。
この場合の増加する払込資本の内訳は任意で決めてしまっても会社法では問題ないのでしょうか?
そもそも、払込資本を増加させるような(剰余金を増加させるような)分割は会社法では適法なのでしょうか?
投稿: ジョゼッフォ | 2008年10月27日 (月) 21時37分
A24
 分割する事業内容によっては、分割会社の純資産が増加する場合もありえます。もちろん、適法です。

Q25
会社が剰余金の配当の決議をして、この配当金支払いの効力が発生したにも拘らず
支払われない場合に、この配当金を債務承認契約をもって期間が到来した債権として
現物出資することは可能でしょうか?
投稿: とっぽ | 2008年10月28日 (火) 10時41分
A25
「債務承認契約」の意味がわかりませんが、会社に対する金銭債権ですから、現物出資はできます。

Q26
2006年10月24日に次のようなQ&Aがありました。

Q1 会社法782条などの「吸収合併契約等備置開始日」についてお尋ねします。例えば、11月1日に、合併契約を締結する旨の取締役会決議を行って当該合併契約を締結した後、同日、会社法300条の規定に基づき(あるいは全員出席総会で)招集手続を経ずに臨時株主総会を開催してその合併契約を承認したとします。この場合、当該臨時株主総会の2週間前の日が会社法782条などの「吸収合併契約等備置開始日」に当たるとすると、その日にはまだ備置すべき合併契約書が存在しません。このような場合には、次のどれが正しいのでしょうか。
1.備置すべき書類が完成した日から備置すればよい。従って、11月1日から備置する。
2.上記のような事例では、会社法300条の規定に基づく(あるいは全員出席総会による)招集手続を経ずに開催する臨時株主総会は不可となる。
3.その他
A1 782条2項1号に「第三百十九条第一項の場合にあっては、同項の提案があった日」とあります。したがって,提案の日から備置を開始すれば足ります。

上記Q&Aに関連して、次の質問です。

1.319条(決議の省略)の場合は「提案の日」から備置すれば足りるということは明文があるので理解できますが、同様に300条(招集手続の省略)の場合も「第三百十九条第一項の場合」にあたるのでしょうか? つまり、「298条の規定により「株主総会の目的である事項」を定めたとき」が「第三百十九条第一項の提案があった日」となるのでしょうか?
… 弊社は一人株主会社なので、2006年のご質問の方と同様、できれば吸収合併締結に係る取締役会決議の同日に(その取締役会で招集決定をして)株主総会を開催して承認をするのが、実務上大変都合がいいのです。 …

2.319条規定による書面決議で吸収合併契約の承認を行う場合に、吸収合併存続会社において795条2項(または3項)の「説明」を行わなければならないときは、取締役はその「提案」の際に「説明」をすれば足りるのでしょうか?

投稿: ツェーベーツェー | 2008年10月28日 (火) 14時33分
A26
300条の場合はどうかと聞かれると、NOと言わざるを得ないですね。
319条のときの説明は、提案で説明すればよいと思います。

Q27
①会社法の施行により、剰余金の配当も、自己株式取得も、どちらも剰余金の分配として同様の財源規制を受けると整理されましたが、剰余金の配当もしていない会社が、自己株式の取得を行うことについては、特に問題ないのでしょうか? (それで株価が上がれがよいですが、下がろうものなら、株主は無駄に財源を減らしやがったと怒りそうですが・・・)
A27
問題ありません。自己株式の取得についても、株主平等の原則は守られています。

Q28
②会社法156条1項には、自己株式を取得する期間は1年を超えてはいけないとだけあり、起算日は特に明記されていませんが、これは、株主総会(or取締役会)から1年というわけではなく、任意に取得可能期間を設定し(もちろん決議日からだいぶ離れた日を起算日にするのはよくないと思いますが)、それが1年を超えてはいけないという理解でよろしいのでしょうか?
投稿: 百衛門 | 2008年10月28日 (火) 16時14分
A28
あまり考えたことがありませんでしたが、期間が1年を超えてはいけないと書かれているので、そのとおりだと思います。

Q29
「Q 株式(取締役会設置会社)分割の手続きについて
 普通株式及び各種優先株式(A優先株式を除く)の1株を100株とする株式分割並びにA種優先株式の1株を1000株とする株式分割を行う時、取締役会の決議に加え、各種優先株式の種類株主総会の決議が必要か?
A A優先株式の種類株主総会の決議を要する。」これは某法務局内で出されている質疑応答ですが正しいでしょうか?むしろ逆のような気がするのですが・・・
 そもそも、種類株式会社がある行為を行うに対して、特定の種類株主に損害を及ぼす恐れがあるときに種類株主総会が必要になるのかどうか、法務局が株式の内容だけで確定的に判断できるのでしょうか?債権者異議の時の「当該債権者を害する恐れがないとき」と同じで、結局、会社が損害を及ぼす恐れがないと判断すれば、その恐れがあったとしても種類株主総会議事録がないことで却下はできないのではないでしょうか?
投稿: サル頭 | 2008年10月28日 (火) 21時07分
A29
すいませんが、その通達は、私のやった案件に関連して出されたものなので、コメントを控えさせていただきます。

Q30
旧司法試験合格を目指して今夏から勉強をスタートしました。
現在予備校では論文の勉強をメインにしています。
自宅で択一対策をするのに過去問中心の勉強を考えているのですが、
葉玉先生オススメの択一過去問集・択一参考書を教えていただけないでしょうか。
投稿: トム | 2008年10月28日 (火) 21時53分
A30
択一については、予備校の出しているものならば、なんでもよいです。

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