« 2009年8月 | トップページ | 2010年1月 »

2009年10月29日 (木)

公開会社法講演会など

ご無沙汰しております。
「あっ」と気づくと前回更新から2ヶ月たっておりました。
仕事も色々やっていて、それなりに忙しいのですが、このブログを書く時間と決めている週末が、子供のための時間で埋められてしまうと、本当に更新中断期間がすぐに延びてしまいます。子供が4人いると、運動会に3回でなければならなかったり、成績が下がると即席家庭教師に早変わりしたり、本当に忙しいです。まあ、子供のための時間は、きつい時間ではありますが、楽しい時間でもあるので、削ろうという気持ちにはなれませんが。

さて、本日は、お知らせと近況報告をいくつか。

1 公開会社法講演会

まずは、公開会社法講演会のご案内です。
題して
 民主党公開会社法プロジェクトチーム事務局長が語る
      「公開会社法」

ご承知のとおり、、民主党政策集に盛り込まれている「公開会社法の制定」が注目を集めています。
IFRSへの対応で戦々恐々としている上場企業にとって、公開会社法がどういうものになるのか、内容が明らかになっていないだけに不安いっぱいというところであり、私も、上場企業のクライアントの皆様とミーティングのたびに、
「葉玉先生、公開会社法どうなっているか、知っていますか?」
という話題がでます。

民主党は、公開会社法プロジェクトチーム(PT)を結成し、2-3年以内には公開会社法を制定する方向で検討を進めていますが、実は、その検討結果は、いまだ公表されていません。

巷では、日本取締役協会が公表した
  「公開会社法要綱案」
の解説を行うセミナーが開催されているものの、
民主党の「公開会社法」と「公開会社法要綱案」は、似て非なるもの
です。
 私も、様々な筋から民主党の公開会社法案の情報を集めて,内容をそれなりに掴んでいますが、もし、公開会社法が成立すれば、上場企業の実務はかなり大きな変更をよぎなくされると思います。

そこで、私は、「上場会社の皆様の不安を少しでも和らげることができたらいいな」という思いから、
    私が、不正確な情報を皆さんにお伝えするより、
  民主党公開会社法PTの事務局長である参議院議員の大久保勉先生に直接公開会社法を語っていただくことが一番よいのではないか
と思い、大久保先生と親しくされているTMIの坂井豊弁護士と一緒に、このセミナーを企画し、大久保先生の快諾を得て、このたび、実現の運びとなったわけです。

詳細やお申し込みは、TMIのホームページを見ていただきたいのですが
http://www.tmi.gr.jp/information/topic/20091027.00002002.html?PHPSESSID=d79ff623baea845d4083dc8f33f47814

開催日時やプログラムの内容は次のとおりです。

【開催日時】
平成21年11月25日(水)午後4時30分 開場
【場所】 
アカデミーヒルズ タワーホール
東京都港区六本木6丁目10-1 六本木ヒルズ 森タワー49階
【プログラム】
1. ご挨拶にかえて(午後5時~午後5時10分)
  ~ 公開会社を取り巻くコーポレートガバナンスの現況 ~
  TMI総合法律事務所 弁護士 葉玉 匡美
2. 講演(午後5時10分~午後6時30分)
  「公開会社法がめざすもの」
  民主党公開会社法プロジェクトチーム事務局長
  参議院議員 大久保 勉 先生
3. 質疑応答(午後6時30分~午後7時)
4. 懇談会(午後7時~午後9時)
【お申込期間】
10月27日(火)午後2時~11月5日(木)午後6時

当日は、大久保勉先生からPTにおける検討状況について語っていただくだけでなく、質疑応答により、参加者の皆様の不安や疑問を一掃していただく時間を設ける予定です。
また、講演会後には、大久保勉先生や当事務所の公開会社法研究チームの弁護士との懇談会を開催し、
より詳細な情報交換をしていただくこととしております。

公開会社法セミナー数あれど、大久保先生が直接語り、しかも、参加者が大久保先生と直接対話できるセミナーは、TMI総合法律事務所のこのセミナー以外にはありません。

しかも、無料。

しかも、六本木ヒルズの49階というすてきな空間で、美しい夜景を見ながら熱く公開会社法を語り合う懇談会あり(もちろん、これも無料)。

TMI総合法律事務所が創立20周年を記念して送る今年最大の企画です。

テーマの性質上、参加者は、上場企業又はその子会社の役職員の方に限定させていただきますし、応募多数の場合は抽選とさせていただきますが、
 「この講演会に参加せずして公開会社法を語ることなかれ」
と言われるような充実した講演会にしたいと考えておりますので、ふるってのご参加をお待ちしております。

2 日経ネットプラス「法務アリーナ」

 日経ネットプラスにおいて、最近、「法務アリーナ」というコーナーができました。
 岩倉先生や三宅記者という有名人が、すでに法律に関するホットなテーマについて記事を書かれていますが、私も、
「鳩山政権は納税者の権利守れ」
http://netplus.nikkei.co.jp/forum/law/t_560/e_2258.php
という税務訴訟等に関連する記事を書きました。

登録が必要なので、若干、面倒ではありますが、無料ですし、記事の内容も非常に充実しています。
コメント欄もあって、記事の内容について自由にコメントがつけられるというところが、ネットらしいおもしろさ。

私は日経新聞の回し者ではありませんが、登録されても損はないと思います。

3 「略式株式交換と株式買取請求権」
 以前、このブログでも取り上げました略式株式交換と株式買取請求権について論文を書きました。
 旬刊商事法務10月5日15日合併号
 「略式株式交換と株式買取請求権」

この分野については、弥永先生や郡谷先生の優れた論文があるものの、私もその論戦に参加したいと思い、裁判の経験を踏まえて執筆させていただきました。

 なお、この論文では、私は、弥永先生と違う見解を採っており、昔、違法配当の論文でも弥永説を批判していたので、私と弥永先生は仲が悪いのではないかという噂もありますが(笑)、そんなことはありません。
もちろん、私が一方的に弥永先生とは懇意にさせていただいていると思い込んでいるだけの可能性は否定しません。

弥永先生は、実務の動向に敏感で、誰よりも早く実務の関心の高いテーマの論文を書かれる素晴らしい先生であり、それ故に、私が関心領域について論文を書こうとすると,自ずと弥永先生の論文を引用し、弥永先生のご意見についての見解を示さざるをえないということであります。

M&Aの実務において、株式買取請求権の問題が大きくクローズアップされているので、興味ある方はぜひご一読ください。

<質問コーナー>
Q1
ポルシェが行ったワーゲンに対するTRSを利用したスキームについてどのように思われますか?
投稿: busynary | 2009年8月24日 (月) 23時50分
A1
ちょっと語れない事情がありますので、ご勘弁を。

Q2
過去記事に、未修に進学した人の3年間の勉強進度の目安がありますが、既修の場合は異なるのでしょうか?
投稿: 瑠璃 | 2009年8月25日 (火) 01時53分
A2
3年と2年では違いがありますが、基本的には、卒業後の司法試験の時に、どのような力が必要かを考えて、その時点から遡る形で計画を立てればよいと思います。

Q3
一般民事の事務所に就職しようと思っているのですが、司法改革の大混乱の中にあるため、まともな就職口はほとんどない状況で、仮に就職できたとしても、その後の顧客開拓はかなり厳しい状況のようです。

以前先生は、スーパーマーケットのような法律事務所(誰でもできるたぐいの案件を安くこなす事務所)が今後できるだろうとブログで述べられておりましたが、私もそのように思っています。

今のところ、それに近い事務所は、債務整理を大量の事務職員を私用して大量に処理している事務所であるように思われますので、そういう事務所に就職して、法律業務のシステム化を学ぶと共に、債務整理以外の他分野についても業務を広げていけたらいいなと思っております。

ただ一方において、そういう債務整理系の事務所は、非弁まがいの事務所として、法曹仲間からはきわめて評判が悪いです。

葉玉先生は、そういう債務整理系の事務所に就職することについて、どのようにお考えでしょうか?
投稿: bengoshi | 2009年8月25日 (火) 02時23分
A3
 債務整理は、通常の法律事務所でも収入源になっていますので、何をもって債務整理系の事務所というか難しいのですが、評判の悪い事務所には就職しない方が安全だと思います。

Q4
>私は、自分で言うのもなんですが、人並み以上に悲惨なトラブルに巻き込まれてきましたが、
>それを乗り越えられたのは、守るべき人がいたからだと思います。
とのことですが、このことについてお伺いしたいことがあります。長文ですし、何を書いているのか全く分からなければ申し訳ありません。
私も、家のことで非常に悲惨なトラブルにあっております。そして、その問題は、法律的要素が相当大きくからむ問題です。(建物や土地として、純粋に家の問題ということではなく、血縁や親戚の問題の方が大きく占めております。)それがさらに具体的に何かは、法律相談も数名の弁護士に受けておりますのでここでは書きません。

しかし色々と、法律相談に不満があります。弁護士の前では言えませんが、数名の弁護士に相談しましたが、みな、アドホックなその場限りの採算性のみを見て、長期的視野が欠落している解決(仮にA案とする)を出してきます。しかし、このA案は、私には、ローカルオプティマイズ、部分最適のように思います。(無論、私の方に、法律的知識が全くなく、依頼の仕方がまずかった部分もあります。)私のやって欲しい解決(仮にB案やC案とする)を言うと、「B案やC案をやれと言うなら法律的にできないことはないが弁護士の費用の費用倒れだ。この案件はA案でやるしかない。」「A案でやらないなら辞任する」の類の意見です。やってくれというならやると言った弁護士もいましたが、A案しかないと言っているような方で、どうもやりたくなさそうでしたから、そんな方に頼むとどんなやり方をされるか分からないので、その人にはお願いしませんでした。しかし、A案は、私の人生という長期的視野に立った場合、全くのローカルオプティマイズ、部分最適のように思え、むしろ弊害の部分もあるように思え、人生トータルで見たら、B案、C案に私には思えるのです。

 こうしたことを、何度か繰り返すうちに、私は思いつきました。私が弁護士であれば、もっと自分にあった方法を思いつくのではないか、と。
 直感としては、弁護士の数人に相談した感じからとしては、私が弁護士あったならば、短期的な視野に基づく解決ではなく、長期的視野にたった解決を取れそうな気がします。
  しかしながら、そもそも、私は、弁護士を職業にすることなんて全く考えていませんし、ご存知の通り、弁護士の資格を得るためには、膨大な手間がかかりますので、普通の家は、普通にうまくいっているのに、なんで、うちの家の場合だけが、あんなやつのために、私だけがそこまで尋常ならざる労力を割かなければならないのか、という思いもあります。

(無論、弁護士の資格を取れば、そのプライベートの問題の解決の手助け以外にも、ちょっとは色々良いことがあるかもしれませんが、それを差し引いても、手間がかかりすぎます。)

 長くなってしまいましたが、先生にお伺いしたいのは、「弁護士であった」からプライベート上でも、色々、問題が防げた、と感じられたことはありましたでしょうか。
投稿: 質問 | 2009年8月25日 (火) 19時15分
A4
私は弁護士生活3年目なので、「弁護士」というより「法律家」としてお答えしますと、法律家であったことが、プライベート上で起こった極めて大きな困難をいくつも乗り越えることができたと感じられたと思います。
ただ、あなたが、自分の問題を解決するために弁護士になるのは本末転倒であり、そのコストがあれば、弁護士に沢山のお金を払ってあなたの思う理想的な解決を図ればよいと思います。
 実際、弁護士費用を考えると金銭的には割にあわないが、どうしても解決しなければならない問題(たとえば、名誉毀損など)も沢山あります。

Q5
会社法354と908①の関係の論点です。
僕は354は908①の例外規定とする説を採ってます。
この問題が生じる典型例は、
代取を退任したAがいて退任登記は完了している。
しかしAに社長の名称がついていて、Aが取引した場合ですよね。
この場合にAが退任していて代取でないことについて、悪意擬制されるので
(911③14号、908①)、この論点が問題になるのはわかります。
事案
Bが代取で登記(911③14号)されている。
この場合に社長の名称を付されたAが取引をした。
(Aは代取ではなく、代取の登記もされていない。)
筋①
この場合、Aについては登記がされていない以上
第三者に悪意擬制(同条項号、908①)がされるのは
「Bが代取」
ということだけで、
「Aが代取ではない」
という悪意擬制はされない。
そうすると本件の論点は問題にならない。

筋②
Bが代取の登記をされていることをもって、
「Aが代取ではない」と登記がなされているのと同じと考える。
そうするとAが代取でないことについて悪意擬制がなされるので
本件論点が問題となる。

僕は筋①が正しいのかなと考えているのですが、
筋②を前提にした参考答案を見た事があるので
よくわからなくなっています。
投稿: 大学生F | 2009年8月28日 (金) 00時23分
A6
一般には、筋②と考えているように思います。

Q7
試験に受かるまでは、彼女をつくらないほうがいいですか?
投稿: ロー生 | 2009年8月28日 (金) 08時33分
A7
溺れなければ、つくってもいいと思います。

Q8
私は行政書士をやっていて、先生のブログで勉強させてもらっています。
ところで、法律に関する質問じゃないのですが、お聞きしたいことがあります。それはご長男をどのように教育をされていたかということです。
私にも8歳、5歳の子供がいるのですが、先生のご長男のように難関に向かっていく子供になってもらいたいと思い、いろいろ自分なりに教育しているつもりなのですが、彼らは未だに甘ったれです。上の子は今(8/28)泣きながらたまった夏休みの宿題をやっているありさまで、親として実に情けなく思っております。
先生はご長男をどのようにして、そんな頑張る子に育て上げたのか、教えていただけないでしょうか?
投稿: 一行書 | 2009年8月28日 (金) 19時49分
A8
うちの子も甘ったれなので、ご質問を見て戸惑っている次第です。
私には、まだ子育てについて語るほどの実績も自信もございません。
子供を、励ましたり、甘やかしたり、脅したり、怒ったり、日々、戸惑いの中で子育てしています。

Q9
自分は様々な論点の論証を作成して暗記し、本番ではそれを使うという風に勉強していたんですが、合格者の答案を検討すると新司法試験だと規範、論証をがっちり書くという風な答案は求めていないように思えます。(実際に期末試験でそうでした。)
今後もこのような勉強方法を続けていくべきでしょうか。
それとも判例の理解などを中心にして、旧司ではやった論証暗記は捨てるべきでしょうか。
今後の方針に悩んでいます。アドバイスお願いします。
投稿: | 2009年8月28日 (金) 23時29分
A9
論証の「暗記」という発想が私にはありません。
キーワードは暗記すべきでしょう。
判例の結論も暗記すべきでしょう。
しかし、新司法試験でも論証が不要になったわけではありません。
論証を訓練することにより、リーガルマインドが身につくので、論証の勉強は必要不可欠でしょう。

Q10
 会社法とは関係が無いですが最高裁裁判官の国民審査について、弁護士さんが意見広告に名前を連ねておられましたので此処に書き込みさせたいただきまして御意見御批評をいただければ幸いです。
  そこで意見として出されていた一票の価値ですが、
 学説では、1:2程度は是認し得る範囲とする意見が有力説ですが、広告主さんたちはこれを支持しなかった(と云うか1人1票を認めなかった)裁判官たちに罷免の投票行動を呼びかけていましたが
 これって良いの?と疑問を感じました。
1. 裁判官の良心の独立を脅かす事ではないのか
  (裁判官も思想信条は自由でしょう。広告打つのも自由ですが、結論が気に食わないからと云って、ああ云った広告は不適切かと思います)
2. 国民の生活に根ざした意見か?
    と云いますのも、サミーさんも既に御存じとおり、健康保険は 政府管掌
   健康保険から協会管掌健康保険に制度替えしています。
   この場合(来年以降ですが)各都道府県ごとに一般保険料が定められ、
   最大3.3倍の差が、保険料額に生じ得る事となります。
   同じ、療養の給付・高額療養費etc.の給付を受けるのにです。
    協会の都道府県ごとにおかれた各支部は、財政の均衡を保つために毎
   事業年度ごとに見直しを行う事とされていて、私どもの奈良をはじめとする       高齢化が進みつつある地域と、東京・南関東周辺の様に若年労働者が
   集まり、他地域と比較してサミーさんの様に高額所得者がたくさんいる地域
   とではその保険料に、今後差が生じて来るのは明らかです。
    もし仮に広告主の主張通り、単純平等の定数を割り当てれば東京・南関
   東地域選出の議員比率が高くなり、如上の健康保険上の不平等は完全に
   固定化され、益々、地方は疲弊する事と為るように思えてなりません。
    TMI所属の高名な弁護士さんも広告主に居られましたが、弁護士として運動を
   するのなら、自らの利便だけに捉われず、国民全体の平等を少しは頭にお
   いて頂きたいと思います。
    (高給取りだから、医療費に限らず湯水の如くお金を使える立場にある方
   にはチョット分かりにくいかも知れませんね)
投稿: 行書 | 2009年9月 1日 (火) 10時53分
A10
 私は、個人的には、1:3くらいは格差があってもよいという見解を採っており、意見広告の立場には反対ですが、意見広告そのものについては、別段、何の問題もないと思います。
 表現の自由ですから、いろいろな意見が国民の目に触れ、国民が自分で考える機会となることが一番重要です。

Q11
株式会社で譲渡制限のある会社で、平成18年2月期決算にあたり、
・平成16年4月に就任した任期2年内の最終決算期の定時株主総会終結のときまでが任期の取締役
・平成16年4月に就任した任期4年~の監査役
の役員について、定款では3ヶ月以内に定時株主総会をすることになっているので、会社法の施行を待って平成18年5月1日に臨時株主総会を開き、定款でそれぞれの任期を10年とする定めをした後、(同日中に)定時株主総会を開催しました。
自分の中では、こうしたことにより平成16年4月の就任時点から10年の任期に伸長されたものと考えていますがどうなのでしょうか?
最近登記簿を見直して急に不安になったので…。
投稿: kさん | 2009年9月 2日 (水) 11時55分
A11
よいです。委任契約が延長されることを監査役が承諾しているかは一応問題となります。

Q12
利息制限法の関係なのですが,
金融機関が1000万円の融資手数料として実行日に5万円徴求した場合,
利息制限法の範囲内である4109円を超える4万5891円は元本に充当される
と思うのですが,どうなのでしょう?
5万円×365/1÷1000万円×100=182.5%の利息の問題もあると
思うのですが・・・
投稿: jm | 2009年9月 2日 (水) 16時24分
A12
元本からの天引きですので、995万円を元本として以後の制限利息を計算します。
その時点での5万円は、利息の徴求とは考えません。

Q13
現在、欠損状態の会社なのですが、配当は当然、財源規制にかかり無理ですが、そのような会社が資本減少をして、その全額をその他資本剰余金とすることは可能でしょうか?
投稿: 会社法実務家 | 2009年9月 2日 (水) 17時54分
A13
できます。

Q14
法文学部4回生の会社法ゼミ所属の者です。会社法にちなんだ卒業論文のテーマとしておすすめなものはありますか?また、参考にするような文献があれば教えてください。
投稿: てんこ | 2009年9月 4日 (金) 19時05分
A14
自分の好きなことをやるのが一番です。

Q15
政権交代の興奮の中、「公開会社法」「従業員代表の監査役選任義務付け」という話が地味に現実化していますが、先生の意見を聞かせてください。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-11313220090902
個人的には、「従業員の利益を守りましょう」という目的から、「従業員代表を監査役に入れる」という手段になっている点に、論理の飛躍がある気がします。
「従業員の利益は、本来、労働法で規制すべき分野であり、なぜ会社法という分野で規律する必要があるのか」という法律のすみわけの問題もありますし、「多数組合の意を受けた監査役が、非正規労働者の利益を害し、正規労働者の利益を守る判断をする場合には、どうするのか」という疑問、「日本の会社法では、会社の経営をするのは、取締役なのであるから、監査役に選出してどんな意味があるのか?」という原理的な疑問、「代表訴訟の対象になる監査役になりたがる従業員代表がどれだけいるのか」などなど。
「事務所のセミナーで答えるぜ」という場合は、セミナーの予定を教えてください。
投稿: ぐうたらP | 2009年9月 6日 (日) 17時35分
A15
セミナーで大久保先生に答えてもらいましょう。

Q16
会社法332条により、1年内に決算期が2回来る会社であれば、通常4回目
(最終)の決算期に関する定時株主総会までが任期となる、との理解で良い
でしょうか。
 先日、332条の「2年」は「事業年度2期」と言う意味なので、1年に2回決算期
が来る会社は任期は約1年になる、との回答を他で聞いたもので混乱しております。
A16
4回目です。

Q17
1月末が決算期の会社の決算期を平成18年7月に「2月末」に変更した場合、従前からの役員(平成18年3月就任)の任期は、本来、平成20年1月末の決算期に関する定時株主総会の終結までのところ、平成20年2月末の決算期に関する定時株主総会の終結まで、と少し伸びてしまう、との理解で良いのでしょうか。
投稿: 補助人 | 2009年9月 8日 (火) 18時20分
A17
会社法的にはできますが、税法上、ある事業年度を1年1か月にするのは難しいのではないでしょうか。

Q18
私の会社と権利能力なき社団とで締結した契約書がありまして、これは有効なものと言えるのでしょうか。債務は権利能力なき社団の構成員に総有的に帰属するから、実害はないのかもしれませんが。この団体とはさらに別の契約を締結する話もあり、どうしたらよいものやら悩んでます。
投稿: 荒木 | 2009年9月 8日 (火) 23時21分
A18
権利能力なき社団としての実体があれば、有効です。

Q19
昨日新司法試験の合格発表があったようですが、
合格者数は前年から減員となったようです。
当局によれば、
「合否の判定基準は変わっていない。能力のある人が2043人にとどまった」と述べているようですが、
これについて先生はどうお考えになりますか?
受験生のレベルがあちら側の要求水準に達していれば、
当初の予定通り2500人~受からせていたと思いますか?
投稿: ファン | 2009年9月11日 (金) 10時46分
A19
まあ、大人の事情でそうなったのでしょう。

Q20
会社法の条文・規則を通読していると、グッタリと疲れ切ってしまうのですが、葉玉先生は、すべての条項をすべて覚えていらっしゃるのでしょうか?
投稿: 都市丸 | 2009年9月12日 (土) 22時09分
A20
会社法の条文を暗記するほど暇ではありません。

Q21
私は、今年の新司法試験択一で落ちた者です(一回目です)。
択一試験に落ちていることがわかってからは、必死になって勉強してきました。
私は現在40歳であり、合格しても就職状況が厳しいと思われることから、来年はどうしてもどうしても上位合格したいのです。
上位合格するには何が一番必要ですか?
投稿: いち | 2009年9月12日 (土) 23時29分
A21
基礎があり、かつ、現実を見据えた説得力を供えた答案でしょうね。

Q21
わたしは再来年の新司法試験を受験する者です。
新司法試験についての質問があります。
論文過去問(等)を時間を計って解く(実際に書く)という勉強をしはじめたのですが、その際何か気をつけるべきことがあったら教えてください。

特に、解いた後どうすればよいかが気になります。
私は大学の教授や予備校の先生や新司法試験合格者といった方に答案を見てもらったり、ましてや添削をしてもらったりといった環境にありません。
そこで、受験生同士でゼミを組んで答案を見せ合い良い点・悪い点を指摘しあうという方法を採ろうと考えています。
しかし、私はその方法を採用することに少し不安を感じています。私が危惧しているのは、
①ゼミを組むのはみな受験生ということなので、答案を見せ合って検討しても正しい指摘ができないのではないか。
②他人との能力の違いがあり自分のレベルに合わない
③無駄なおしゃべりなどをしてしまう
④他人に合わせなければならなくなり、自分の計画に支障をきたす
といったおそれがあるんじゃないかと思うからです。先生はどのように考えられますか?上記のような受験生だけのゼミを組んで答案を見せ合うことに大きな価値があると思われますか。それとも、出版や公表されている解答例・出題趣旨等を見て自分で検討したほうが効率がよいと思われますか?
投稿: jukensei | 2009年9月12日 (土) 23時41分
A21
友達同士で添削し合えばよいと思います。
実力はともあれ、他人の答案を採点することに大きな意味があります。
また、ペースメーカーにもなります。

無駄なおしゃべりをするかどうか、自分の計画に支障を来すかどうかは、あなた次第です。

Q22
私は検察官になることを目指しています。
そのきっかけはドラマなど些細なものですが、以来検察官という職業に興味を持ち、裁判傍聴に赴いたり、法学部に進学し、進路決定において就職活動と法科大学院のいずれにするか悩んだときも、検察官という職種を知ってから抱いていた「なりたい」という気持ちが払拭されず、就職活動という選択肢を納得のいく形できるまで考え抜き、その選択肢を切る、という作業を行いました。

そして、現在は大学院の2年生となったわけですが、これから大切なことは新司法試験へ向けた勉強はもとより(というかこの道を選んだ以上落ちたときのことを考える暇はないです)、合格後、短い修習期間で、検察官という仕事を自分が本当にやりたいのか、ということを改めて考え直し、かつ、その気持ちを検察の方たちに言葉と行動で示すということが具体的に求められてくると思っています。

そこで、、大学院生の段階でも検察の方と会える機会には積極的に赴く、そして、何よりも社会で起きている具体的な事象と大学院生で想像できる範囲内になる検察官像とを見比べて、検察官に何ができるのかを考え抜く、といことをしていこうと思っています。

ですが、なかなか検察にできること、検察がやるべきでないこと、という点について自分なりの具体的な考えに行き着く(大学院生段階で求められるレベルで)には至っていません。
なにか、この点について先生からアドバイスありましたら、ぜひよろしくお願いいたします。
投稿: 法科大学院生 | 2009年9月14日 (月) 10時56分
A22
あまり深く考える必要はないので、まずは司法試験に合格してください。
そして、検事に応募してください。
検事にならないと、検察ができることも、やるべきでないことも、具体的に考えることはできません。

Q23
私は,問題を読んで,ウンウン考えながらできる限りの答案の構成を考え,答案例をじっくり読んでいます.
ですが,答案例を読むだけだと今ひとつ頭に入りません.

過去問の答練は,上記のようなドロナワの記憶だけで点数を取って来ました.
なので,この勉強方法では自分の実力だとはいえない不安な気持ちで一杯です.

答案例を丸写し(模写する)する勉強は,力が付くと思いますが,自分で作ってきた論証や語句の言い回しの違う部分があり,頭に入れるのが大変です.
また,ただやみくもに覚えるものを増やしてしまう心配があり,単なる模写では効率的だとは思えない,という固定観念があります.

そこで,葉玉先生に「私はどうしたらいいですか」と言うのも,ちょっと自主性に欠けるなと思い,どうしたらよいか少し考えてみました(笑;).

・私が答案例を読んでいく中で,自分の用意ししている論証の部分をピックアップする
・上記部分は,自分の言い回しに変える.
・記憶しやすいように答案例の長さを短くする
・上記3つを念頭に,答案例を何度も書いて覚える.

考えた割には,これしか浮かびません.

そこで
(1)葉玉先生が論文の勉強で,上記以外に工夫されていらっしゃったことがありましたら教えていただけますでしょうか?

(2)葉玉先生は,「答案例」としてではなく,「構成」の形にとどめておいた問題のほうが多かったでしょうか?
 それとも逆に,「構成」の形にまとめるのがほとんどで「答案例」の形にしたものは重要問題(自分の苦手な問題など)・・・という風に,じぶんなりに臨機応変に変えていらっしゃいましたか?
投稿: ミナミアルプス | 2009年9月15日 (火) 16時31分
A23
答案例の丸暗記なんて、意味がないです。
答案構成をたくさんやること。
個別の論証については、キーワードと論理の流れ、結論を覚えること。
答案を沢山、書き捨てること。
(自分が書いた答案は捨てていました。二度と読まないので。)

Q24
組織変更について質問させてください。
Ⅰ 持分会社から株式会社への組織変更
組織変更をする持分会社の社員に対する株式の割当て(746条6号)は、
①株式会社に組織変更する前なので株主平等原則が働かない
②199条5項のような規定(「均等」)がない
ことから
社員の出資の額にとらわれる必要はなく均等に定めなくとも良い
という理解で正しいでしょうか?
※ 持分に代わる金銭等の交付はなし という前提です。

これに対して
Ⅱ 株式会社から持分会社への組織変更
では、
①199条5項のような規定(「均等」)はない、ものの
②株主平等の原則(109条1項)が働くので
社員の出資の価格(744条1項3号ハ)は
株主の持株数に比例して定める
という理解で正しいでしょうか?
※ 種類株式発行会社ではない、金銭等の交付はない(744条1項5号)という前提です。
投稿: 登記職人見習中 | 2009年9月18日 (金) 02時28分
A24
 株式会社から持分会社への変更は、株主全員同意なので、株主平等の原則は気にしなくてよいと思います。

Q25
会社法第750条では「吸収合併存続株式会社は、効力発生日に、吸収合併消滅会社の権利義務を承継する。 」 とありますが、
存続会社には契約の申込みの意思表示までも包括承継されるのでしょうか?
もしされるならば、承諾者は存続会社に承諾をすれば有効に契約は成立することとなるのでしょうか??
ぶしつけで申し訳ありませんが、根拠等も含め教えていただければ幸いです。
投稿: zetman108 | 2009年9月23日 (水) 14時50分
A25
包括承継という概念は、消滅会社に生じているすべての法的効果が存続会社に承継されるということなので、申込みの意思表示も包括承継されます。

Q26
利益相反取引と取締役の責任について質問させてください。

A社が関連会社のB社に貸付をした場合にB社を代表した代表取締役甲が
A社の取締役を兼ねていたのであれば利益相反取引としてA社において取締役会決議が必要になると思います(365条1項・356条1項2号)。

そしてその貸付が焦げ付いて返済不能になった場合にA社を代表して貸付けた取締役と甲に対して423条1項責任を問おうとするのであれば、貸付の当否について経営判断原則を考慮するまでもなく任務懈怠が推定されることとなると思います(423条3項1号、2号)。

この場合において429条1項責任を問おうとしたときには
任務懈怠は推定されないのでしょうか?429条1項も会社に対する任務懈怠であって、この場合の423条1項と同じ内容なのではないかと思うのです。
投稿: 白くまさんの友達 | 2009年9月25日 (金) 03時59分
A26
429条1項の責任については、直接には,推定規定は適用されませんが、事実上のすいていは及ぶでしょう。

Q27
今回は、法科大学院卒業生の需要について質問があります。
司法試験に合格しておらず(三振含む)、かつ正社員としての就業経験がない法科大学院卒業生について、法務職の需要というのはどの程度あるのでしょうか。企業や業界の雰囲気などはどうなっているのでしょうか。
投稿: べしべし | 2009年9月26日 (土) 07時27分
A27
普通の大学院卒並でしょう。

Q28
法曹としての有能さと、順位は、どれほど関連があると思われますか。当然、成績もよし、それにプラスアルファが理想と思いますが、有能とされる弁護士の方は、司法試験の順位も、よかったのでしょうか。仮に、順位以外に気をつけるべきことがあるとするならば、何を伸ばすことを、修習中、心がけたらよろしいと思いますか。
投稿: | 2009年9月26日 (土) 11時22分
A28
順位は、結果ですから、順位を上げるよりも、実力をあげる方が大事です。
修習では、「証拠から見える事実」が何かを知り、「今、証拠はないけど、きっと将来証拠が見つかるはずの事実」を見抜く努力をしましょう。

Q29
TMIは、予備試験組から採用する場合、何を重視するのでしょうか。
また一般に、司法試験と修習時の成績ではどちらを重視するのでしょうか。
投稿: | 2009年9月26日 (土) 19時08分
A29
予備試験だからといって、何か特別な考えはないと思います。
なお、修習前に採用しているので、修習時の成績はみていないですね。

Q30
ネット上で様々な会社の合併公告を見ると、「吸収合併存続会社:『会社法第796条第3項』に基づき合併承認総会は開催しません。吸収合併消滅会社『会社法第784条第1項に基づき合併承認総会は開催しません。」とされているのが非常に多く、吸収合併消滅会社について796条「第1項」を根拠に総会が不要としているものは皆無にも見えます。

吸収合併消滅会社が784条1項ならば、存続会社は796条「3項」ではなく「1項」とするほうが、総会承認が必要という例外(同条1項および3項の但書)にあたらないことが多いのが通常と思われるところ、なぜ「3項」を根拠にあげる公告が多く、「1項」を根拠にあげている公告が皆無なのか(または極端に少ないのか)疑問です。

私は、吸収合併消滅会社が被支配会社の場合、消滅会社においては784条1項で総会不要、存続会社においては796条「1項」で総会不要という理解なのですが、この理解が間違っているのでしょうか?
投稿: | 2009年9月29日 (火) 11時40分
A30
その理解は間違っています。
796条1項は、消滅会社が存続会社の株式の90%以上を有している場合(支配会社の場合)です。

Q31
金商法167条は、例えばA社がB社株式を公開買付することを決定した場合、その情報を知っている者X(A社社員)は、公表されるまで、B社の株式を買ってはいけないということを定めているものであって、XによるA社株式(自社株式)の購入は規制されていない・・・という認識であっていますでしょうか?

感覚的に、実際に公開買付をすることを決定したA社にとっても重要事実のような気がするので、XはA社株式(自社株式)も買ってはいけないんじゃないかと何となく思えてしまいました。

あるいは、このケースでのXによるA社株式(自社株式)の購入の規制については、一つ前の166条でカバーできているのでしょうか?

投稿: 金商法 初心者 | 2009年10月 2日 (金) 16時15分
A31
167条で禁止されるのは、B社株式の購入です。
もちろん、A社が他社について公開買付を行うことが、A社にとっての166条の重要事実となる場合はありえます。

Q32
100問3版が発売予定というのを聞いたんですが、年内には出るんでしょうか。
投稿: K | 2009年10月 2日 (金) 18時10分
A32
出ません。
発売の具体的予定もありません。

Q33
判例百選における判旨解説を読むべきか否かの選別基準はありますか?
また葉玉先生の受験時代と現在とでその違いがあれば、それもご教示ください。
投稿: 学部3年 | 2009年10月 4日 (日) 17時10分
A33
解説は不要です。良い解説もありますが、10秒くらい読んで、意味不明ならば、無視でもかまいません。

Q34
特別利害関係株主が株主総会で議決権を行使すると著しく不当な決議となる可能性が高い場合について質問させてください。

 特別利害関係株主は一般の株主と同様に株主総会において議決権を行使してなんら差し支えありません。しかし、決議を行使すると著しく不当な決議となるならば決議取消しの訴えを提起されかねません。(会社法831条1項3号)
 それでは、特別利害関係株主が議決権を行使したら著しく不当な決議となりそうな議案にたいして他の株主は全員賛成することが分かっている場合、且つ、特別利害関係株主が出席しないと定足数をみたさない場合(会社法309条1項)にはどのように対処すれば良いでしょうか?
 議決権自体を行使できるからといって行使すれば、取消しの可能性がうまれてしまう、だからと言って、議案を承認する必要性が高い場合です。
(他の株主はすべて賛成しているので株主からの取消し訴訟提起は考えられない、しかし取締役や監査役からの提起の可能性はあるという前提です。)

定足数を排除する定款変更決議を事前に行っておけば、特別利害関係株主以外の賛成で議案は成立しますし、議決権を行使しないので取消しの恐れもありません。ただ、やはりこういう方法は技巧的な気もします。
なにか良い手はありませんか?
投稿: 登記職人見習中 | 2009年10月 8日 (木) 22時38分
A34
 決議の結果が著しく不当にならないようにすればよいのです。取消の可能性に必要以上におびえる必要はありません。

Q35
以前、「代表訴訟の対象となる責任」の稿で、代表訴訟で勝訴判決を得ても、株主が強制執行する手段がないという代表訴訟の致命的欠陥と書かれておられましたが、そこのところを、もう少し詳しくお教え願えないでしょうか。
稿: 色即是空 | 2009年10月13日 (火) 16時22分
A35
そのまんまですが、民事執行法には、代表訴訟の規定が適用されないので、株主が債権者でない以上、強制執行手続きをすることができないということです。

Q36
「入門」募集株式の発行(3)(2007年2月14日)の最後の説例について質問させてください。
まず確認ですが、この例で、配当優先株式を著しく安い価格で割当を受ける権利を与えるのは、松真さんのみですよね。湯水さんにも同じ権利を与えるとすれば、当該株主の有する種類の株式と同一でない種類のものを割当てることになるため、202条1項の適用対象外となりますよね。
そうだとすれば、このケースでは、平等に扱うべきでない種類株主について、全株主を平等に扱ってしまうことにはならないのではないでしょうか?
また、仮に、湯水さんにも同じ権利を与えることにすれば、322条は気にしなくてよいことになるのでしょうか?
投稿: 色即是空 | 2009年10月16日 (金) 14時58分
A36
すいません。問題意識がわかりません。
なお、湯水さんに同じ権利を与えると,他の種類株主に不利になりますので、322条が適用されると思います。

Q37
経営判断の原則は、法令違反について適用されないということでしたが、法令の要件が抽象的な場合はどうなるのでしょうか。

例えば、定款の目的の範囲外の行為として民法34条違反であることを理由に、423条1項の任務懈怠責任を追及されたような場合が挙げられます。

この場合、目的の範囲内かどうかは取締役にとって明らかではありません。
そこで、目的の範囲について経営判断の原則が適用されるのではないかという疑問が友人との議論において生じました。

私は、この問題については善意・無過失で争えばよく、経営判断の原則は登場しないと考えるのですが、いかがでしょうか?
投稿: 別の法科大学院生 | 2009年10月20日 (火) 15時53分
A37
目的の範囲内か否かは、客観的に裁判所が認定することなので、経営判断原則は関係ありません。

Q38
ある種類の株式の発行済の全数が自己株式となっている場合において、この株式について分割を行うことは許されるでしょうか?
(発行可能株式総数・発行可能種類株式総数には余裕があるものと仮定します)
動機はご明察とは存じますが、近い将来自己株式を処分する構想があり、そのために自己株式の数を増やしておきたいというものです。

発行済の一部のみが自己株式の場合は分割の効果が自己株式にも及ぶと解されており、上記を妨げる規定はないと思いますが、いかがでしょうか。
自己株式を分割することへの法的な意味づけは困難で、上記のような姑息な動機しか考えられないのがネックだと思いますが。
投稿: えぬ | 2009年10月20日 (火) 23時15分
A38
株式の分割は可能です。

Q39
千問のQ392について疑問があります。
(先般、司法書士の内藤卓先生のブログで話題になった点です---内藤先生にいろいろとお教えいただきましたが、千問の記述については疑問がありますので、葉玉先生に伺います)

上記Qには、「3人の取締役を選任する場合において、ある取締役選任権付株式の内容として2名の取締役を選任することとされている場合、当該株式の種類株主総会において2名を選任し、残りの1名は、当該株式以外の種類の株式の株主によって構成される種類株主総会によって選任される」という例が記載されております。

この例が、「A・B・C3種の株式が発行されておりAのみが取締役選任権付株式」のような設定を想定しているとすれば(素直に読めばそう読めます)、上記記述は以下の点で不適当であると考えます。
1)B・Cについて明文なくして108条2項9号ロの共同選任の定めを擬制することになる(会社法のどこを読めばそのような擬制ができるのでしょう?)
2)Cが無議決権株式の場合も、取締役選任についてだけ突然議決権が発生することになる

「取締役選任権付株式が存在するときは通常の株主総会で取締役が選任されることはない」という前提であれば、「Q392の例でA・B・C3種の株式が発行されておりAのみが取締役選任権付株式ならば、取締役はAの種類総会による2名しか選任できない=3名の選任はそもそも不可能」ということになろうと思います(内藤先生のご見解もそうであると理解しております)。
いかがでしょうか?

もっとも、商法時代からの流れを知らずに素直に会社法を読めば、「取締役選任権付株式の種類総会によって選任される以外の取締役は通常の株主総会で選任される」ということになると思いますが(私もそう読みましたし、実務界が取締役選任権付株式を使う意図とも整合すると思います)。
投稿: ラッシャー木村 | 2009年10月21日 (水) 22時00分
A39

347条1項で、329条1項を読み替えますと

 役員(取締役、会計参与及び監査役をいう。以下この節、第三百七十一条第四項及び第三百九十四条第三項において同じ。)及び会計監査人は、株主総会(取締役については、第百八条第二項第九号に定める事項についての定款の定めに従い、各種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会)の決議によって選任する。

となります。

さらに、取締役の部分だけ抜き出しますと

 取締役は、第百八条第二項第九号に定める事項についての定款の定めに従い、各種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議によって選任する。

となります。
 つまり、種類株主総会の決議によってのみ、選任するわけです。条文上、株主総会の決議で選任することはありません。

Q40
お忙しい先生の状況を察しますが、そうではなくて、先生の体調不良とかいうことはないですよね。
あまりの更新のなさに心配になります。
投稿: 常連 | 2009年10月22日 (木) 08時57分

更新のないのが元気な証拠でしょう。
それだけ渉外弁護士というのは激務だということですよ。
長文のエントリーを推敲したり種々雑多な質問に応えたりする余裕などなく、できるのはつぶやく程度だと思います。
葉玉先生、お仕事がんばってください。
ブログはいいですから、睡眠の確保と家族サービスを優先してくださいませ。
投稿: ロム専ですが・・・ | 2009年10月24日 (土) 01時53分
先生は激務なんですよ…
でも忙しいという言葉は 使われないのでは!? 何故なら忙しい…は心を亡くすとも言いますね。
きっと先生はお元気ですよ私はお見かけしましたから。更新して頂けたら皆様も安心されるし喜ばれるとは思っています。
投稿: 佐倉 | 2009年10月24日 (土) 23時57分
つまり、…
「現在、本業が忙しくてブログを更新できる暇がありません。
 コメントや質問して頂いた方々には申し訳ありませんが、
 今しばらくお待ち下さい。」
程度の内容の更新もできない程、激務なのですね。30秒ぐらいあればできるとは思うのですが、それすらもできない程、激務なのか。凄いね。
確かにブログなんて義務じゃないけどね、それまでここでコメントや質問等に応えてきたという自らの行動による事実があり、そこに対する信頼があるからこそ、ちゃんと礼儀を尽くした上で質問等をしてきている人達がいる(たとえ全員でなくても)。
だったら、その信頼ぐらいは裏切らないようにするというのが、これまで自分のとってきた行動に対する責任じゃないのかな(あくまで道義上の話ね)。
何も、全部質問に答えてくれなんては言ってない。それこそ義務があるわけじゃないんだから。でも、上記のように、忙しくてできないんです、ぐらいあれば、そういった人達もちゃんと理解してくれるでしょう。「先行行為」みたいなもんですかね。
いろいろ価値観は人それぞれかもしれないけど、そういう行動が人と人との信頼を基礎づけるものなんじゃないかなと思うけどね。
投稿: うるさ型 | 2009年10月25日 (日) 01時08分
A40
 どうもご心配をおかけしてすいません。
 仕事もそれなりに忙しいのですが、ブログの更新ができなかったのは、プライベートや本の執筆が忙しいというのが本当のところです。
 このブログは、通常、金曜の夜から日曜のどこかで書くのですが、ここ最近、子供の勉強を教える時間に膨大な時間を取られたり、運動会(子供が四人もいるので、幼稚園、小学校、中学校と3回もありました)やら学校の行事が多かったり、冠婚葬祭が続いたりで、書く気力がわいてきませんでした。
 なお、私は、道義的責任などと考え始めると、書くのがおっくうになるので、うるさ型さんのような考え方はしていません。
 好きなときに書くというのがブログの良さですから、最近、会社法のネタも少なくなっているので、何が何でも更新しようという感じにならないのも、更新しない理由のひとつでしょうね。
 商事法務を見ていても、「これは、面白い」と思えるネタがあまり見つからなくて。

Q41
新会社法100問の51問目(新司法試験サンプル問題)なのですが、
資料4の3.会議の目的事項に貸借対照表及び損益計算書"報告"の件とありますが、
資料2の定款には会計監査人設置会社であることが読み取れません。
つまり会社法第439条の会計監査人設置会社の特則の"承認"の省略は使えないはずなのでそこも問題とするべきではないでしょうか。
A41
まあ、問題文から会計監査人設置会社と読み取るのでしょう。

Q42
これは素朴な疑問なのですが、会社法96条では定款は創立総会(つまり募集設立の場合)では自由に変更はできるのに対し、会社法30条では発起設立の場合は定款の変更には公証人による再認証を必要としています。
この違いはどこからくるものなのでしょうか。
例えば、商号の変更等の場合でも発起設立の場合は定款の再認証(高額!)を受けなければならないのは酷な気もしますが...
投稿: アボガド | 2009年10月25日 (日) 02時07分
A42
96条は、募集設立では、原始定款の作成に加わっていない引受人がいるので、不服があれば変更できるようにしているだけで、間違い直しや、思い直しのための規定ではありません。

| | コメント (35) | トラックバック (0)

« 2009年8月 | トップページ | 2010年1月 »