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2009年8月24日 (月)

Twitterを始めてみました

最近、少し気になっていた「Twitter」を始めてみました。
http://twitter.com/MHADAMA

Twitterをご存じない方のために簡単に説明すると
 登録者が140字以内で「つぶやく」(書き込みをする)と、それを「フォロー」している登録者に、そのつぶやきが伝わる
というものらしいです。

私も、どういうものか、よく分からないので、この2日ほど試してみましたが、なんとなく楽しそうなので、本格的にやってみることにしました。

興味ある人は、twitter.com に登録して、私をフォローしてみて下さい。

このシステムの最大のポイントは、1回140字という字数制限ですね。

ブログだと、それなりのちゃんとした文章を書かなければならないと思って、書き込みの精神的ハードルが高いのですが、140字だと、どうせ1-2文しか書けないので、とりあえず思いつきを書き込める。

この書き込みハードルの低さが、今の私には心地よいです。

私が連載していた脱時空勉強術の「10分勉強法」のようにハードルを下げることにより、少しでも前に進むという発想が活発な議論を生み出すのかもしれません。

「ブログの書き込み頻度が落ちているのに、余計なものを始めるな!」
という声が聞こえそうです。もっと聞こえそうなのは
「先生、そんな暇があったら、ちゃんと原稿をあげてください。8月20日が締め切りだったでしょ」
という京美人編集者の声ですが、ちょっと現実逃避しながら、原稿は書きますので、許して下さい

(質問コーナー)
Q1
商事法務さんのHPの近刊案内によれば、
「一問一答新・会社法」の改訂版が出るとの
ことですが、「論点解説新・会社法 千問の
道標」についても、改訂の予定はありますで
しょうか?
差し支えない範囲でお教えいただけると幸い
です。
投稿: 独眼流 | 2009年8月21日 (金) 15時36分
A1
たぶん、今、お話しするのは、商事法務的に差し支えがあります。

Q2
葉玉先生、こんにちは。
先日、『なぜ、デンマーク人は幸福な国をつくることに成功したのか どうして日本では人が大切にされるシステムをつくれないのか』(ケンジ・ステファン・スズキ著)を読み、民主党など現野党が掲げる大きな目標のひとつである「福祉の充実」程度では今とあまり変わらないのではないかと思っています。
それはさておき、実際に旅行されてみていかがでしたか?
旅先で起こった面白いお話など、お聞かせいただければ嬉しいです。
投稿: ruru | 2009年8月21日 (金) 17時41分
A2
デンマークは、旅行者にとっては、必ずしも幸福な国ではなかったです。
なにせ、物価が高いです。おまけに、間接税25%。これを経験すると、日本の消費税の5%がすごく軽く思えます。
福祉の国は、そこに住んで、年を取ったり、病気をしたりしたときに幸せを感じられるんでしょうね。

Q3
はだま先生は、いろんな事件や、トラブルを解決されてきたと思うのですが、困難を乗り越えてきている精神的強さはどこからきているのですか?またどうすれば強くなれますか?
 弁護士やサラリーマンでも最近うつ病などにかかってしまう人が増えています。うつ病やストレスをためない秘訣あれば教えて下さい。
 実際わたしの知り合いでもうつ病の人いるんですが、怠けているように見えるのですが、なんて声かけてればよいのでしょうか?
投稿: 受験生 | 2009年8月21日 (金) 18時56分
A3
 私は、自分で言うのもなんですが、人並み以上に悲惨なトラブルに巻き込まれてきましたが、それを乗り越えられたのは、守るべき人がいたからだと思います。

Q4
利息に関係ある話なんですが、
弁護士業や税理士業は、商行為になるのですか??
私は、士業は、営利性がないから商行為に該当しないと考えるのですが。
A4
商行為には該当しません。

Q5
質問が、錯綜しますが、423条の任務懈怠は、何年前の任務懈怠まで追求できるのでしょうか??5年でしょうか、10年でしょうか??
同様に、士業の債務不履行も5年前までの責任しか追及できないでしょうか??
投稿: 質問 | 2009年8月21日 (金) 23時03分
A5
10年です。

Q6
 会社分割については、828条1項により一定の期間内に訴えをもってのみ主張することができると規定されていますが、同条の期間経過後に、債権者が民法に基づいて会社分割を詐害行為だとして取り消したり、破産管財人が破産法に基づいて会社分割を否認することはできるのですか?立法に携わった葉玉先生のご意見はどうでしょうか?
投稿: 法科大学院生 | 2009年8月22日 (土) 16時58分
A6
債権者異議手続きの対象となっている債権者は、詐害行為取消はできません。
その対象となっていない債権者については、争いあるものの、私は、詐害行為取消の対象になると考えます。ただ、それは、特定の財産の取り戻しのための制度であり、会社分割の効力を全体的に否定することはできません。

Q7
過払い訴訟の場合、払い過ぎた分は、不当利得で返還請求できると思うのですが、
これも時効が適用されて、10年前に払いすぎた分までしか、返還請求できないのでしょうか??
それとも、30年間、払い続けてきた場合、30年分請求できるのでしょうか??
時効と不当利得の関係がよくわかりません。
投稿: 過払い | 2009年8月23日 (日) 21時56分
A7
 基本的には、30年分請求できると考えられているようです。

Q8

 こんにちは。僕は今年東大に入学した者です。僕は昔から検事に興味があったのですが、経済的事情と法曹界の将来性が不透明なことから司法試験ではなく行政公務員を目指そうと考えていました。しかし、最近予備試験の存在を知り、色々と予備試験の事を調べた結果、今から公務員試験と予備試験を併願して、学部生のうちに予備試験に合格できれば検事を目指し、駄目なら当初の予定通り公務員又は企業に一般就職するという計画なら、お金や時間がかからないし失敗したときの進路変更も容易なのでいいのではないかと考えました。(こういう事を考えているのは僕だけかなと思ってましたが、周りの友人に聞いてみたところ同じようなことを考えている人が他大の人も含めて数人いました。)

ところがある日、とある機会に某大学の某教授が予備試験について予想外の事をおっしゃっていました。

「これからはロースクールの教育を受けたというプロセスを経ることが重視されるから単に一発試験に早く受かっただけでは評価されない。」
「ロースクールの歴史が長いアメリカでも、単に司法試験に受かっただけでは全く評価されず、出身ロースクールとロースクールの成績が重視される。」
「予備試験は政治的妥協でやむを得ず出来た制度で本来必要のない制度だ。大学生が予備試験を目指すのは好ましくない。」
「ロースクールが出来たのは旧司法試験のような一発試験に合格するために予備校で丸暗記型の勉強をする者が多かったからだ。プロセスを経ていない一発試験型の人が駄目なので今の制度になった」
「法曹を目指したいのなら予備試験の事など考えずに、奨学金を使ってでもロースクールを目指すべきだ。」

 というようなことをその教授はおっしゃっていました。一発試験に早く受かれば検事任官に有利になると思っていたので、教授の意見だと僕の計画は全然駄目だということになりそうです。前置きがかなり長くなりましたがここで質問です。

 仮に学部在学中に予備試験に合格して、翌年新司法試験に高順位で一発合格した場合でも、有名ロー出身者と比べて就職面で不利なのでしょうか?僕は特に検事に強く興味があるのですが、検事を志望する場合、予備試験出身者がロー出身者と比べて不利益に評価されるということはないのでしょうか?弁護士の場合も事務所によっては有名ロー出身者じゃないと面接すらしてもらえないとか、ロー在学中に内定を出す事務所が多いので合格発表後に事務所訪問しても手遅れだという話を耳にしますし…。

 もし予備試験ルートの合格者がロー出身の合格者と比べて不利だとしたら、学部在学中に予備試験に合格した場合でもローに進学しなければ検事になるのは難しいのでしょうか。あくまでも予想で構わないのでよろしければコメントお願いします。

投稿: 大学1年生 | 2009年8月23日 (日) 22時34分
A8
予備試験に関することは、今は、誰も分かりません。
ただ、私の感覚では、予備試験や司法試験の成績が良ければ、検事にはなれると思います。

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2009年8月21日 (金)

利息制限法等の改正

お盆前後に夏休みをとって、家族でオランダとデンマークに行ってまいりました。

どちらの国も、最高気温が20度前後で、湿度も低く、過ごしやすい恰好の避暑地でした。
もっとも、子供4人の世話でクタクタになるので、夏休みというより、夏の重労働という感も無きにしもあらずでしたが・・・・。

さて、本日は、普通の企業にはあまり関係のない話ですが、利息制限法と出資法の改正についてお話をいたします。

 営業的金銭消費貸借の制限利率を年20%に統一すること等を内容とする利息制限法・出資法等の改正法が、遅くとも来年6月まで(当時の国会答弁によれば今年の12月ころを目処)に施行されます。

 この改正法は、制限利率の統一のほか
 1みなし利息となる契約締結費用等の制限
 2 保証料の制限
等も内容となっており、特に1については、金融機関の実務上、かなり深刻な問題が生じています。

「みなし利息」というのは、金銭消費貸借に関して債権者が債務者から受領した手数料等を利息とみなして、制限利率を超えるかどうかを判断するものです(利息制限法3条)。

 ただし、3条但書によって、契約の締結及び債務の弁済の費用については、みなし利息とならない旨定められており、従来は、この3条但書を柔軟に解釈することにより、様々な手数料等をみなし利息の認定から外すことができました。

 ところが、悪徳金融業者にとっては、3条但書は、悪用のしがいのある規定であり、契約締結費用や債務の弁済費用名目で、法外な手数料等を徴収し、実質的に制限利率を超える金利を取っているととの批判も強かったのです。

 そこで、改正法は、営業的消費貸借については、この3条但書の範囲を制限し
1 公租公課の支払に充てられるべきもの(印紙代など)
2 強制執行の費用、担保権の実行としての競売の手続の費用その他公の機関が行う手続に関してその機関に支払うべきもの
3  債務者が金銭の受領又は弁済のために利用するATM等の利用料(利息制限法施行令で定める額の範囲内のものに限る。)
の3つ以外は、すべて「みなし利息」となることとし、利息制限法施行令は、ATM等の利用料を1回の受領額又は支払額が
    1万円以内の場合 105円
    1万円を超える場合 210円
と定めました。

 この利息制限法は、サラ金のみならず、銀行、証券、保険会社等の金融機関の金銭消費貸借にも適用されますから、現在、金融機関は、ATM等の利用料についての見直しを迫られています。

 もちろん、理論的には、ATMの利用料がみなし利息になっても、制限利率を超えないのならば、難の問題もありません。

 しかし、総合口座貸越や繰上償還が可能な貸付の場合、債権者が、少額の貸付金を超短期間(たとえば、1日)で返済する場合もありうるので、たとえ、210円という利用料であったとしても、年利換算すれば、制限利息を超えるリスクがあるため、
   ATM利用料がみなし利息とならないような工夫
が必要となっています。

 特に最近は、債権者である金融機関とは異なる金融機関のATMを利用して貸付や返済が行われる場合があり、その場合のATM利用手数料は、ATMを設置している金融機関(ATM設置銀行)の指示により、一旦、債権者である金融機関(カード発行銀行)が管理している債務者の口座から引き落として、カード発行銀行が一旦受領する形を採っていることが多いため、対応が難しいのです。

 私は、この問題の解決策について、以前
「ATM利用に関する利息制限法・出資法改正への対応」(週刊金融財政事情 2009年6月22日号 32頁)
という論文を書きました。

 詳しく書くと面倒くさいので、要点だけ言えば
  解決策1 ATM利用料を105円又は無料にする
  解決策2 みなし利息となる可能性がある場合には、ATM利用を拒否する。
  解決策3 ATM設置銀行が手数料の引き落としを指示するのではなく、カード発行会社が、みなし利息とならない手数料を引き落とす
   
という解決策があるという内容です。

 このうち、解決策1は、本来利息制限法とは関係のない預金の預け入れや引き出しについてまで、利用料を下げざるをえなくなるため、収益への影響が大きく、なかなか採用しづらいと言われています。

 解決策2は、シンプルな方法であり、私の知る限り、いくつかの金融機関は、この方法を採用しようとしているようです。
 もっとも、ATM利用を拒否するということは、現状よりも顧客の利便性の低下をもたらすことになります。特に債務者が借入金の返済をするためにATMを利用しようとしたときに拒否されると、債務者としては
  期限までに返済しようと思ったのに、なんでATMが利用できないんだ!
と怒ることもあるでしょう。

 その点、解決策3は、利用者の利便性を損なわず、かつ、収益へのインパクトも最小限に抑えられる点で優れていますので、お勧めです。

 ただ、解決策3をもう少し細かく分類すれば、ATM設置銀行がカード発行会社に指示するときに
  解決策3-1 手数料抜きの金額の引き落としを指示する
  解決策3-2 手数料込みの金額の引き落としを指示する
という2つの方法があり、金融機関によって、どちらを採るのか分かれているところです。

 解決策3-1が、法的には最も問題のない、私の一押しの解決策であり、カード発行銀行徴求方式と言われています。

 しかし、このカード発行銀行徴求方式は、ATM設置銀行が「手数料抜き」で指示をするという点で、現状とは違う取り扱いをすることになるため、ATM設置銀行が承諾してくれないと実行することができません。

 そのため、解決策3-2を取ろうとしている銀行も多数あります。

 この方法は、ATM設置銀行は、従来どおり、手数料込みの金額を指示するので、たとえば、顧客が1万円の出金を依頼したときに、手数料が210円だとすれば、ATM設置銀行はカード発行銀行に「1万210円」を引き落とすよう指示を送ります。
 他方、カード発行会社は、1万円で105円を超える手数料をとると、みなし利息となるので、顧客の口座から「1万105円」を引き落とすわけです。

 この方法は、実務上は、実現しやすい方法なのですが、問題なのは
  実際には105円しか手数料を取っていないのに、顧客が、ATMから発行を受けるレシートには、手数料が「210円」と表示されてしまう
ことです。
 もし、顧客が、そのレシートを証拠として、帳簿上、「210円」を経費としてしまうと、実際には105円しか経費が生じていないので、顧客に税務上の問題が生じてしまうリスクがあります。
 また、そのような場合、顧客の帳簿上の預金残高と、実際の預金残高が異なることになるため、顧客が混乱する可能性もあります。

 こうした問題は、ATM設置銀行が顧客のクレームに対する対応を迫られることにもなりかねず、ATM設置銀行としては避けたいという気持ちもあるのではないでしょうか。

 以上のように現時点においては、どの対応策も一長一短であり、なかなか先行きが見えません。実際に金融機関間の契約・規則の見直しやシステム対応が必要となることもあり、金融庁や法務省が中心となって混乱を避けるための措置を講じてくれると助かります。

 また、ATM利用料の問題以外にも
  海外ATMの利用料の問題
  繰上償還手数料の問題
  残高証明書の問題
など、みなし利息をめぐる問題は山積している割には、検討が遅れている金融機関も多いように見受けられます。

 なかには大変対応が難しい問題もあり、早めに検討を始めなければ、施行日までに対応できないということにもなりかねません。

 最近、金融機関は、割賦販売法の改正に伴う提携ローンの問題など、法改正時にはあまり予想していなかったような問題への対応を迫られていて、若干、可哀想な感じですが、コンプライアンス重視のご時世のなか、無視するわけにもいかないので、粛々と対応策を実施していくしかないでしょう。

(質問コーナー)
Q1
「監査のための文書化は、必要悪である」というのは、まったくそのとおりだと思うのですが、実際に監査を受ける立場の人間からすると、法定され、監査が義務付けられると、膨大な手間とコストがかかるが法律は守らなければならないのでいかんともしがたく、方やCPAも監査基準があるため、そのとおりにやらなければサインできないという実体があり、サインされなければ、上場会社として上場の維持はできないという厳しい現実があります。
弁護士はクライアントの意向に沿った意見書を無責任に(失礼ながら金さえ出せば何でも解釈で片付けられるのか、社会正義というものはどこにあるのかという意見書を多々見たことがあります)書きますが、会計の世界はがんじがらめでどうにもならないということもご理解ください。
事態の改善はどこの会社も腐心しているところでしょうが、行うは難しとが現状ではないでしょうか。
投稿: 廣嶋精一 | 2009年8月11日 (火) 09時58分
A1
お気持ちはよく分かります。
ただ、私は、「CPAも監査基準があるため、そのとおりにやらなければサインできない」「会計の世界はがんじがらめでどうにもならない」という問題ではなく、個々の監査人が、金融商品取引法の内部統制報告制度の趣旨を理解し、自己の責任逃れのために過剰に保守的な対応を取らなかったら、事態はかなり異なっていたと思います。
 金融庁が、監査人の過剰対応に対し、火消しに回ってからは、それなりに沈静化しましたが、制度論としては、監査人が神様のごとく各企業に過剰な文書化を求めるような場合には、企業が、金融庁に対し、「監査人の監査の適正性についての審査」を求められるような歯止めがあったら面白いかもしれません。

Q2
2009年8月 2日 (日)
今まで、会社成立後の代表取締役に司法書士報酬を請求して、定款に記載がないからといって断られたことはありません。そのため、①成立後に代表取締役に請求すれば、払ってくれると思います。 という回答はその通りだと思います。
ただ、代表取締役が定款に会社法28条4号の株式会社の負担する設立に関する費用の記載がないから払わないと主張すれば司法書士報酬を請求することはできないのでしょうか?会社法28条4号の壁を乗り越える法律構成はどのようにすればよいのでしょうか?
A2
 乗り越えられません。発起人に請求してください。

Q3
②の回答は、28条=発起人の権限の範囲を規律したもの なので定款に記載のない設立に関する費用を払込金から支払った場合は定款違反である。しかし、それは内部的なものであり発起人と会社との関係にすぎない。そこで、司法書士はあまり気にする必要はないという意味だと解してよいでしょうか?
投稿: 登記職人見習中 | 2009年8月11日 (火) 21時45分
A3
 違います。成立後の代表取締役が発起人の支払うべき債務について第三者弁済することはできるということです。

Q4
会社法100問の私の理解だと、
2と3が駄目(株主平等原則違反)な理由は
「株式の数に着目した合理的な取扱いでないから駄目!」
ということでしょうか。
A4
 そうです。

Q5
こんにちは、司法試験受験生ですが、質問させてください。
最近、従来会社法では認められなかった利益の資本組入が計算規則の改正で
認められるようになったと聞きました。
しかし、受験生としては計算規則までフォローしていないので、よくわかりません。
会社法で認めていないものを規則の改正で認められるようになる意味も
なんだかちょっと納得できないです。
わかりやすく解説して頂けないでしょうか。
投稿: 受験生 | 2009年8月18日 (火) 14時38分
A5
その他利益剰余金の資本組み入れの可否は、もともと会社法上、省令委任されているものであり、「会社法で認めていないもの」ではありません。

Q6
Twitterをやってみるおつもりはありませんか。
投稿: こやぎ | 2009年8月20日 (木) 09時44分
A6
試しにやってみたいと思いますが、とんでもないことを口走りそうで、やや怖いところです。

Q7
・非公開の小会社です。(譲渡制限)
・取締役会はあり、定期開催をしてます。
・合併の話があり、手法として株式の移転(譲渡)で
 行うとしてます。
・株の売買は100%で考えています。

この場合、取締役会での株式の譲渡承認の決議で
すむことになりますが、全役員(3名)がそれぞれ株主
である場合、全員が利益相反に該当してしまうことに
なりますが、全員が該当する場合は相反にはならずに
全員が決議参加できると考えて良いのでしょうか。
投稿: ご苦労さん | 2009年8月20日 (木) 15時38分
A7
 ABCが取締役として、Aのときは、BCで決議すればよいでしょう。

Q8
商法15条には、「商人」が商号を譲渡する場合について定められていますが、
会社法にはそれに相当する定めはありません。(定めがありましたら、すみません。)
株式会社が商号を譲渡することは可能でしょうか?また、譲渡できるとした場合、商法15条のように「事業とともに譲渡」する必要はないのでしょうか?
投稿: ご教示ください | 2009年8月20日 (木) 17時09分
A9
 株式会社も商号を譲渡することは可能です。この場合、事業とともに譲渡する必要はありません。

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2009年8月11日 (火)

「内部統制って何?」出演後記

予告どおり、先週月曜日に「クローズアップ現代」に出演してまいりました。

おかげさまで、クライアントの皆様をはじめ、事務所のスタッフから遠い親戚まで様々な方に見ていただいたようで、出演後、メールや電話を沢山いただきました。

本番前に、NHKのスタッフの方から
  「すいませんが、携帯の電源を切っておいてください。この番組が生放送ということを知らずに、本番中に「お前がテレビに出てるよ」とかけてくる人がいるので。」
と注意されたことが身にしみてよく分かりました。

演劇少年だった私としては、本番の3時間前まで
   生放送なので、過激な発言をしても誰も止められない。
   企業の監査法人やコンサルへの不満をぶちまけた方が盛り上がるだろうか。
という「盛り上げ至上主義」に傾きつつあったのですが、本番の1時間半ほど前から行われた国谷さんやスタッフとの打ち合わせの中で、皆さんが「内部統制について少しでも視聴者の方にわかりやすく問題点を伝えたい」という視点から、真剣に議論しているのを聞いているうち
   「この熱意に誠実に応えたい」
という気持ちの方が強くなり
   要点を簡潔にわかりやすく話す
ということを重点にして発言しました。

 なにせ
   一般視聴者には「金融商品取引法」という言葉はなじみがないから、使わない方がいいです。
など専門家の私にとっては、なかなか厳しい縛りもありましたし、私の性格を知る人は
  葉玉にしてはおとなしすぎる。
  NHKだから台本どおりなのだろう。
と感じられたかもしれません。

 しかし、実は、ぜんぜん台本というものはなく
  1 本番前の打ち合わせで、国谷さんの色々な質問に私が答えていく
  2 私の答えの中で番組の趣旨に沿った質問と答えを選んでいき、大まかな順番を決める。
  3 スタッフが、その流れを簡単にメモする
というのが、番組前の準備で、その後、
  生放送で、国谷さんの質問に対し、メモに書かれていることについて、その場で回答する
という、ほとんどブッツケ本番に近い感じの真剣勝負が行われているのです。

 しかも、前半と後半、それぞれ4分強という絶対的な時間制限があり、しかも、国谷さんも、事前の打ち合わせとは違う即興的な発言をされるので
  国谷さんとの会話の中で、メモにあがっている内容を、時間内にきっちり話す
というのは、かなりの職人芸を要するところです。

 本番中の私は、残り時間を示す時計をチラチラみながら
   あと2分30秒で、国谷さんの質問があと2問あることを考えると、この話は30秒くらいで切り上げよう。
とか
   うっ、ディレクターから、あの話は入れてほしいといわれたが、最後に国谷さんに10秒は渡さなければいけないだろうから、あの話は5秒くらいで終わらせなければ間に合わない。
とか、自分の頭脳の80%程度は、時間管理に使用されていましたから
  とても、冗談を言えるような心理状況ではなかった
というのが正直なところです。

 ただ、私が、番組を通していいたかったことは
   内部統制は、企業の円滑かつ適正な運営のために、会社の風通しをよくすることに目的があり
   監査のために内部統制があるのではない。
ということでした。

 昨年からの「文書化騒動」について企業の方から質問を受けるたび
  文書化は手段であって、目的ではないのに・・
という歯がゆい思いをしてきました。

 理想的にいえば、内部統制に対する監査というのは、非破壊検査のように、現在効率的に動いている業務の流れを阻害しないような形で監査するべきであり、「監査のための文書化は、必要悪である」という自覚が必要だと思います。

 内部統制は、会社内部の風通しを良くして、トップの指示が末端に迅速に届き、末端の把握したリスクがすぐにトップに伝わってくるようにするシステムなのですから、業務の性質にかかわらず、現場に「監査するために、こういう文書を作れ」と押し付けるのは、本末転倒です。

 番組でも申し上げましたが
   「風通しを良くするための内部統制において、紙を要求することにより、紙が風を遮っている」
という状態を改善することが、今年の内部統制の課題であろうと思います。

(質問コーナー)
Q1
会社法100問に関する質問がございます。
183ページの承認を得ずに行われた譲渡制限株式の譲渡の効力についての
記述で、「当事者間では有効であり…会社に対抗することができないに
とどまる。」とあるのですが、これは相対的無効説、有効説いずれの見解に
立脚した記述なのでしょうか?
百選20事件の北村先生の解説などを見ると有効説のように思えたのですが、
「当事者間『では』有効」という部分にひっかかり、質問させていただきました

投稿: 引き続き受験生 | 2009年8月 5日 (水) 14時21分
A1
この部分は、すでに立法的に解決済みであり、承認なく譲渡制限株式を取得した
者も「取得者」という地位を有することとなります。
 この取得者という地位は、会社に対し、譲渡により株主たる地位が移転したと
いうことは主張できない(その意味では、会社との関係では譲渡の効力を対抗で
きない)が、譲渡承認請求はすることができる(会社や指定買取人が買い取る場
合には、取得者から買い取るという意味では、会社との関係でも譲渡は有効と主
張できる)というものです。
 これを相対的無効説というか、有効説というかは、言葉の問題に過ぎません。

Q2
葉玉先生、はじめまして。
株主平等原則の適用範囲を考え出したらよくわからなくなりました。
もしよろしければご回答ください。

株主平等原則(109①)は
株主を、数及び内容に応じて、平等に取り扱うものとされますが、
例えば以下のような場合なら、どう考えるのでしょうか。
(株主平等原則に反するか否か)
●1.種類株式を一方的に不利にする
A種類株式=1株5円  100株1議決権
B種類株式=1株10円 1株1議決権

→内容に応じて平等なのでOK?(株式を購入するのは自己責任)

●2.株主総会の質問時間を株式数に比例させる
1株=1分
1株の所有者は1分
100株の所有者は100分

→数に応じて平等(かつ比例的)なのでOK?

●3.株主総会の席順を株式数に応じて決める
株式数が多いほど前の席に座れる

→株式数に応じて平等なのでOK?
投稿: てつを | 2009年8月 5日 (水) 23時31分
Q2
会社法100問を見てもらえば、分かります。
1は、OK。
2と3は、駄目です。

Q3
前回、これを書いたの私なんですが、

>実際、妻が医師として働いている姿を見てうれしく思いますし、
それは、この人が結婚してくれたからでしょう。
またこの人にも嫌われていたら、その人についても、
「女にフラれることが・・・」となっていたことは容易に予測できます。

まぁ、言い合っても仕方ないことなのですが、
先生は、恋愛がからむと、感情をこめて「女」と言っていると言っておられます
が、
「女にフラれることが、自らの間違いの証明であるならば、
私は、数え切れないくらい間違いを起こしてきたことになります。」という
文脈の場合でこめられている感情は恋愛というよりも、
「自分をふったこ憎たらしいやつめ」という
憎しみのようなもののように思えてならないんですよ。
ふられた原因としては、先生の方に問題がある可能性も排除できないのに。
投稿: うーん・・・ | 2009年8月 6日 (木) 01時00分
A3
「うーん・・」さんと私の恋愛観は、全く違うようです。

私にとって女を愛するということは、
「裏切られても、傷つけられても、その人のために尽くし続ける」
ということです。

「うーん・・」さんの発言を見ていると
  相手が自分を好きになってくれたから、自分も相手を好きでいられる。
  相手が自分を憎んだら、自分も相手を憎くなる。
ということを前提にされているようですが、その愛は、「自分が相手から好かれ
たい」という欲を充たすための自己愛ではないでしょうか。

 私は、ふられたからといって、嫌いになることはありませんし、まして憎むこ
となどありません。
 むしろ、「かなえられない愛」「傷つついた愛」ほど、振り返ると、純化され
、心に刻み込まれるように感じます。

 「愛されるより、愛する方がよい」という私にとっては、「愛がかなえられな
いから、憎たらしい」というような発想は、あまりなじめません。

 若干、マゾっぽいですが、「踏まれても蹴られても愛し続ける」方が幸せなよ
うに思います。

Q4
新株予約権の行使に際しての現物出資につき、会社法281条2項後段と285条1項3号
は以下のような理解で正しいでしょうか?

 新株予約権者は、現物出資をする場合において当該財産の価額が236条1項2号の
価額に足りないとき、その差額に相当する金銭を払い込まなければならない(281
条2項後段)。
 そして、検査役の調査により(284条)、当該財産の価額が236条1項3号の価額
に著しく不足する場合には当該不足額を支払う義務を負う(285条1項2号)。
 すなわち、281条2項後段は、そもそも出資された財産の価額が出資される全体
の財産の価額(236条1項2号)を下回るときに、その不足分を金銭で補わせるもの
である。他方、285条1項2号は、募集事項決定後に出資財産が値下がりすること等
によって、募集事項決定の際に見込んでいた価値(236条1項3号)を有さなくなっ
たときに、その不足分を填補させるものである。
投稿: きむ | 2009年8月 9日 (日) 11時44分
A4
285条1項2号は、不公正な払い込み価額であることについて、通謀がある場合ですから、募集事項決定後の値下がりは予定していません。

281条2項後段は、現物出資財産の時価を問題にしているわけではなく、「第2号の額」が1000万円で、定められた現物出資財産の価額が「800万円」なら、200万円を現金で払い込めと言っているだけです。

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2009年8月 2日 (日)

クローズアップ現代に出演します

先週の金曜日に「株式懇話会」の懇親会に参加させていただきました。
日頃からお世話になっている方にご挨拶をしてまわったのですが、皆さん口をそろえたように
  最近、ブログの更新が遅いぞ―。
という趣旨のことをおっしゃいますので
    ぐっ・・すいません。がんばります。
と頭を下げっぱなしでした。

 それで、帰宅後、ブログを書こうと思ったものの、正直
   最近は、会社法に関する実務も固まってきて、若干ネタ切れきみ
ではあります。正確に言うと
   ネタがないわけではないが、テクニカル過ぎて、分かる人にしか分からない
というものが増えた
というところでしょうか。T&Aマスターで連載しているSammy's Cafeも
   「パンデミックに対する法的対応」
という会社法とは無関係のネタになってしまいましたし、最近の商事法務を見ても、会社法よりも金商法とかのネタの方が多いような気がします。

 「会社法であそぼ。」も、少し範囲を広げて、金商法や独禁法でも遊ばないといけないかなあ、という感じでしょうか(今までもインサイダー等若干やってきましたが)。

 何はともあれ、本日は、「お知らせ」をさせていただきます。
 
 本日(8月3日)月曜日の夜7時30分からの
   NHK クローズアップ現代
に、なんと
  私がスタジオゲストとして生出演
いあします。

以下「http://www.nhk.or.jp/gendai/yotei.html」からの引用です。
8月3日(月)放送予定
“内部統制”って何だ?
~不正やミスと闘う企業の模索~(仮題)

「情報漏洩を防ぐためUSBメモリーは決して社外に持ち出さない」。「贈収賄の疑いを避けるため取引先から来た贈り物は必ず送り返す」...。今、全国の企業や組織で、不正や不祥事、ミスなどのリスクを未然に防ぐためのルール作り、「内部統制」が進められている。背景にあるのは、日本企業の中で相次いだ数々の不正や不祥事の結果、企業に対して周囲から向けられるようになった厳しい目線がある。たった一度の不正や不祥事が企業の信頼を一気に失墜させかねないのだ。ところが、経営側が内部統制を押し進める一方で、現場からは、"過度な内部統制"は業務効率を落としたり、人間関係を悪化させかねないといった疑問の声も出はじめているという。「リスク管理」と「業務効率やクリエイティビティの維持」をどう両立させるのか。あるべき内部統制を模索する企業の取り組みを紹介する。
(NO.2776)

スタジオゲスト : 葉玉 匡美さん
    (弁護士)

テレビ出演というと、私は、先日、こっそり
  「ウチくる」に、本村健太郎先生の昔なじみとして出演
しましたが、本業ではなかったので、特に告知をしませんでした。ただ、このブログでは
    事前に教えて欲しかった。
という声をいただきましたので、今回は、本業に関連することでもあり、事前に宣伝させていただきます。

テーマは、上にもありますとおり
  内部統制
です。

 私も知らなかったのですが、クローズアップ現代は、「生放送」であり、私が明日何を語るかは、神のみぞ知るところです。

 先日、立案担当者の飲み会で、某公認会計士に対し、
   「今度、内部統制についてクローズアップでコメントするんだけど、『内部統制で、どこそこの監査法人は・・・と企業に要求して金融庁から怒られた」とか、「どこそこの監査法人の系列コンサルが・・・・・とかやってボロもうけしていた』とか爆弾発言したら、まずい?」
と言ったところ、某公認会計士から
    「そこは、ピーッっていれてもらってください」
と言われました。
 それで、私は
   「生放送なので「ピーッ」って入れられないんだけど」
と言うと、某公認会計士は
   「じゃあ、私は、そのことを聞かなかったことにしてください。放送後に協会から「なんでお前は体を張って止めなかった」って言われるかもしれない。」
とおっしゃっいましたので、もし、本番で、私が、不適切な発言をした場合には、某公認会計士は事前に聞かなかったということにしてあげてください。

冗談はさておき、内部統制報告制度元年をなんとか乗り切った企業さんも、乗り切れずに「重要な欠陥」を指摘された企業さんも、一度
      内部統制って何のための制度なんだろう
と冷静に振り返り
   業務の効率化のための内部統制
という切り口で内部統制を改善するためのきっかけにしていただければと思います。

 放送後にスタジオ見聞録をアップさせていただきますね。

(質問コーナー)
Q1
 発起設立についての司法書士報酬を成立後の株式会社に請求する方法について疑問点があります。(今まであまり考えずに仕事をしてきましたが、考えだすとわからなくなりました。)
 司法書士報酬は会社法28条4号の株式会社の負担する設立に関する費用にあたると考えています。そして、大審院の昭和2年7月4日判決の考え方にたつと、定款に株式会社の負担する設立に関する費用につき記載がない限り債権者(司法書士)は成立後の株式会社に報酬を請求できないこととなります。
 しかし、この報酬請求をするだけのために定款に費用額を記載し且つ検査役を選任して設立登記を申請することは現実的ではないと考えます。
(※ 検査役の選任は変態設立事項の要件ではないが、選任しないと設立登記の申請は不可能という理解を前提)
①上記の不都合性を回避し、成立後の株式会社に適法に司法書士報酬を請求するいい構成はないのでしょうか?
 また、上記と関連してもうひとつ質問させてください。
 設立前に、設立費用等を支払う方法として払込取扱銀行(ホーム銀行)の発起人名義の口座から現金を下ろしてきて、発起人が設立費用を支払うことが考えられます。
②この場合も、定款に設立費用につき記載があるからこそ、発起人の権限内の行為となり現金をおろして設立費用を支払うことができるという理解で正しいでしょうか?つまり、定款に設立費用の金額記載のないまま、発起人が口座から現金を引き出し設立に関する費用を支払うことはできないですよね?
以前の記事にもありましたが、
http://kaishahou.cocolog-nifty.com/blog/2007/01/1_d401.html
自分の理解が正しいのか自信がないのでご教示ください。
投稿: 登記職人見習中 | 2009年7月17日 (金) 01時36分
A1
①成立前に発起人が払込金から出したり、成立後に代表取締役に請求すれば、払ってくれると思います。
②発起人が、定款に記載のない設立に関する費用を払込金から支払った場合は、発起人と会社との関係になるので、司法書士の皆さんはあまり気にする必要はないと思います。

Q2
行政書士の業務についてです。
 わたしは行政書士の資格をもっているのですが、「この資格で食えないよ」「いややり方次第だよ」とか色々きくのですが、実際のところどうなんでしょうか?
 弁護士のみが訴訟代理できる、行政書士はできないというの違いだと思うんですが。それほどこの違いは大きいものででしょうか?

 また、法律の実務の経験がないのですが、いきなり開業するよりも、他の事務所で経験させてもらったほうがよいのでしょうか?
投稿: 質問者 | 2009年7月17日 (金) 19時09分
A2
 弁護士でも司法書士でも行政書士でも、資格だけでは食べられない時代ですね。
 なお、行政書士と弁護士の違いは訴訟代理だけが問題なのではなく、行政書士は、紛争に関して法律のアドバイスをすると弁護士法違反になるというところが大きいのだと思います。

Q3
こんにちは。いつも拝見しています。
今回の記事もとても勉強になります。
> もっとも、振替口座簿では、B社の有するA社株50株が、Xの口座に記録されてい
> るので、B社は、Xに対し、A社株50について、B社の口座を振替先口座とする振
> 替の申請を求めることになるでしょう(不当利得返還請求権)。
ウワサですが、実務上の扱いとして、買い取り請求の事案では
ホフリさんは反対株主Xへの増加記録をしない扱いをしてくれる(らしい)、
と耳にしたことがあります。
先生のおチカラで、ホフリさんの正式な取り扱いという言質をとっていただけると
発行会社の実務担当者は喜ぶと思うのですが・・・(笑)
投稿: 読者R | 2009年7月18日 (土) 15時26分
A3
この問題は、保振に持ち込まれるタイミングにもよるので、一律な取り扱いは難しいところでしょう。困ったときは、相談してください。

Q4
会社法マスター115講座 第3版について

P17 会社の機関設計(1)-総論 図表7-1
会社:「会計監査人設置会社」※委員会設置会社を除く
義務づけられる機関:「監査役(327Ⅲ)」
上記項目が記載されていないのはなぜでしょうか。何か意図ないし意味
があったりするのでしょうか。
投稿: LAW | 2009年7月21日 (火) 23時35分
A4
特に意図はないように思います。
会計監査人は、業務監査ができる監査役がいないとおけないです

Q5
先生が執筆された商事法務1778号の「代表取締役の就任・退任」がすごく役に立っております。その中で、一つ分からないことがありますので、何とぞご教示ください。
定款の定めに基づき取締役の互選により選定された代表取締役が退任する場合のご説明において、「取締役の互選により、●●を解職する決議」、「取締役の互選により、解職を決定した場合」といった表現があり、「互選」という字面からは「取締役全員一致で“選ぶ”」というイメージがあり、「互選により解職」という表現がスッと頭に入ってこなかったのですが、「互選」とは、会社法348条2項と同じく「(取締役の)過半数の決定」と置き換えてもよろしいものでしょうか?

また、その場合、解職を決める互選においては、解職対象の取締役が参加しなくても問題ないでしょうか? 会社法348条2項によれば、非取締役会設置会社では、利害関係を有する取締役も過半数の決定に参加できると読めるため、気になっております。
投稿: 悩める株式課員 | 2009年7月22日 (水) 13時58分
A5
349条は、互選で代表取締役を定めるという規定しかないので、解職も法律上は「互選」によることになりますが、過半数の決定と置き換えるのは、かまいません。
 解職の際に、利害関係を有する取締役を互選から排除することができるかどうかは、なかなか難問ですね。
 定款で定めれば、よさそうですが。

Q6
予選された取締役(監査役)の任期についての質問です。
【前提】
1.いずれも弊社の完全子会社であるX社(存続会社)とY社(消滅会社)が、平成22年4月1日を効力発生日とする吸収合併を行う。
2.合併を機に役員体制を変更するため、X社において3月中に臨時株主総会を開催し、効力発生時期を4月1日とする取締役(監査役)の追加選任決議を行う。
3.X社の事業年度末は、3月末日である。
4.X社の定款には、「定時株主総会は6月に開催する」との規定がある。
5.X社の定款には、取締役の任期が「1年」であることのほかには別段の規定はなく、当該追加選任決議においても、任期について別段の決議はされていない。

上記前提において、平成22年3月開催のX社臨時株主総会で、同年4月1日付で追加選任された取締役(監査役)が同日から就任した場合、当該取締役(監査役)の任期は、A,Bのどちらなのでしょうか。

A:取締役(監査役)の任期は、平成22(25)年6月定時株主総会終結の時まで。
⇒ 株主総会で選任したのが3月××日である以上、任期の起算点は3月××日。

B:取締役(監査役)の任期は、平成23(26)年6月定時株主総会終結の時まで。
⇒ 選任決議の効力発生が4月1日である以上、任期の起算点は4月1日。

先生編著の「千問の道標」のQ390を参照したところ、同書では「株主総会の決議で、選任決議の効力発生時期を遅らせることとしたとしても、任期の起算点については、選任決議の日と解すべき」とあることから、Aが正解なのだと思います。

しかしながら、同書には「会社法では、任期の起算点を株主総会のコントロールが及ぶ「選任時」とすることとした」ともあることから、「4月1日効力発生」という停止条件付であることを株主が承知して決議している以上、「任期の終期が株主総会の意思に反する事態が生じ」ているとは言えず、Bでも良いような気がします。それでも、やはりAが正解なのでしょうか。

なお、株式会社を事業年度初日(4月1日)に設立登記する場合、設立時取締役の選任は3月××日でしょうから、上記と同様の問題が発生するのでは(特に、取締役の任期が「1年」のケースは?)…と思うのですが、この場合はどのように解したら良いのでしょうか。
投稿: ツェーベーツェー | 2009年7月23日 (木) 21時42分
A6
Aです。決議の効力発生日を5年後にすれば、そこから選任の効力が生じるというような制度は妥当ではない(取締役はそのときの株主が選任すべきです)ので、選任時を起算点にしています。
設立前に選任されても、1年以内に事業年度は終了しないので、そのときは、最初の事業年度の終了に係る総会の終結時まででしょう。

Q7
すいません。私の考え方が間違えではなかったかと思いご質問です。
公開会社が第三者割当増資を行なう場合において、割当先から予め定められた払込期日当日に、金銭が用意できないとの連絡があったので、社長は取締役会を開き、払込期日を翌日に変更しようとしたのですが、可能だったでしょうか。
私は払込期日の2週間前までに株主通知、公告又は金商法4条届出が必要なことを考えると、期日を変更する場合も通知等が必要であり、2週間の期間をとる必要があると考え、反対したのですがいかがでしょうか。
投稿: スポーティーひげ | 2009年7月26日 (日) 00時01分
A7
 当初の募集手続きと、変更後の募集手続きは同一性が認められるので、払込期日を後ろにずらすことは、可能です。
 その場合、払込期日は、通知・公告・届出事項なので、変更後の内容を通知・公告・届出が必要ですが、安全を取るならば、スポーティーひげさんが考えられたように、プラス2週間後に払込期日を変更した方がよいと思います。
 実際に発行されてしまえば、必ずしも、株式発行の無効原因にはならないと思います()判例は、通知・公告を欠く場合には、無効事由になるとしていますが、この事例では差し止めの機会は与えられていますので)。

Q8
私は,司法試験の受験生です.私は社会人なので,旧試験を受験している者です.
私から先生へ,3点質問させてください.
よろしくお願いいたします.
1.
現在私は,いま(7月下旬),秋からの答案練習会に向けて,各科目の基礎固めをしています.
基礎は,何度も繰り返すものだと思います.確かに少し飽きてきていますが,我慢して身につけようと努力中です.
具体的な内容は,受験指導校等の論証を,自分の覚えやすい言い回しや接続詞を使いながら加工しつつ,実際に自分の手でノートに書き,同時に記憶をすることを繰り返すというものです(毎年同じ内容ですが・・・)
そこで
・上記の学習方法は,基礎固めとしてふさわしい内容でしょうか?
・今の時期に行うべき足りないものがあるとしたら,それは,何でしょうか?
2.
私は,上三法では民法の債権総論・各論,刑法では刑法全般(すみません)が苦手です.
ですが,商・訴訟法も今の時期からどんどん進めないとというあせりもあり,私の心は空回りしています.
なので,私は6科目を平均的に学習しています.
学習内容は,上記の1.に述べた内容を行っております.
そこで
・6科目を平均的に勉強すべきか・・・それとも,
・上三法の復習が先で,商・訴訟の基礎固めはその後・・・か
先生のご経験もあわせて,アドバイスいただけますでしょうか?
3.手形法についてです.
商法の論文試験対策において,私は,手形法は一番手薄です.
(自慢できません.反省しております)
そこで・・・
商法の科目において,手形法は,十分出題可能性があるので気合を入れて勉強すべきか?
について,教えていただけますでしょうか?
(聞くは一時の恥.そんなの「当たり前だ」という回答も承知で質問させていただきます.)
投稿: ミナミアルプス | 2009年7月29日 (水) 10時46分
A8
1 まあ、いいんじゃないでしょうか。ただ、択一も解いた方がいいと思います。
2 商法訴訟法に力を入れた方がいいと思います。
3 手形法は、やるべきです。ただ、会社法の3分の1くらいの時間でしょうか。

Q9
おそれいりますが、取締役会の実務について、ご教授いただけないでしょうか。
A社の代表取締役Xが、B社の取締役に就任することになりました。
A社、B社ともに取締役会が組織され、事業内容が同業種であり、営業地域も近接しております。
また、A社はB社より、例年、A社の売上高の2~3%を占める規模の取引があり、今後も同様の取引が見込まれます。
B社にとってA社との取引は、売上高の20~30%程度を占めます。
取引内容としては、A社からみて、B社への業務委託や、B社の派遣労働者の受け入れです。

この場合、Xは、A社B社の両方の取締役会で、競業取引の承認や報告(会社法356条1項1号、365条2項)が必要でしょうか。
それとも、承認と報告はB社のみでよろしいでしょうか。
また、作成する取締役会議事録は、包括的な承認や報告でよろしいでしょうか(規則101条3項6号イ)。
投稿: PHS派 | 2009年7月31日 (金) 10時04分
A9
Xが、B社で業務執行を行わないという前提ならば、356条1項の報告と承認はB社だけです。その際は、包括的な承認で結構です。
ただし、A社との関係で忠実義務違反等の問題もありますから、A社においても類似の報告と承認は取った方がよいのではないでしょうか。

Q10
弁護士の先生の恋愛事情って、今迄勉強しかしてこなかったので、
経験が少ないよう勝手に思ってるんですが、実際のところどうなんでしょう?
美人秘書と恋愛ができたりするものなんでしょうか?
受験生の間に恋愛なんてなかなかできないし。。
投稿: まめしば | 2009年7月14日 (火) 18時41分
A10
恋愛経験の少ない弁護士もいれば、恋愛経験が多すぎて秘書の間で要注意との申し送りがされる弁護士もいます。
秘書と結婚する人もいますから、それは人それぞれではないでしょうか。

<女か?、女性か?>
番外Q1
「女」と呼ばなければ感情がこもらないという辺り、男社会だなぁと思いました。そして、弁護士というのはこれほど一般人と感覚が異なるんだと思い、改めて司法制度改革の必要性を感じた次第です。こういう感覚を持ってる弁護士には、絶対相談したくないと思います。早く改革が進んで市民と同じ感覚を持った弁護士が増えることを祈るばかりです・・・(無理っぽいですけど)
投稿: 通りすがり | 2009年7月16日 (木) 23時57分

>市民と同じ感覚を持った
「女」と呼ぶほうが感情がこもるというほうがよっぽど市民感覚に近いとおもうんですけど。。演歌の世界もそうですし。
フェミニストって呼称などの形式だけをおもんじるようなきがします、
投稿: 通りすがり2 | 2009年7月17日 (金) 19時01分

添削です
「女」と呼ばなければ感情がこもらないという辺り、男社会だなぁと思いました。

→①「女」と呼ばなければ感情がこもらないという辺り、先生も男だなぁと思いました。

  または

→②「女」と呼ばなければ感情がこもらないという辺り、弁護士の世界も男社会だなぁと思いました。

そして、弁護士というのはこれほど一般人と感覚が異なるんだと思い、改めて司法制度改革の必要性を感じた次第です。

→①そして、先生はこれほど一般人と感覚が異なるんだと思い、改めて司法制度改革の必要性を感じた次第です。

  または

→②そして、弁護士というのはこれほど私達女性と感覚が異なるんだと思い、改めて司法制度改革の必要性を感じた次第です。

こういう感覚を持ってる弁護士には、絶対相談したくないと思います。

→①私は先生には、絶対相談したくないと思います。

   または

→②現在の弁護士には、絶対相談したくないと思います。

早く改革が進んで市民と同じ感覚を持った弁護士が増えることを祈るばかりです・・・(無理っぽいですけど)

 → ①の文脈ならば、相談可能な弁護士は存在するので、この文章は不要です。②の文脈ならば、「早く改革が進んで私達女性と同じ感覚を持った弁護士が増えることを祈るばかりです・・・(無理っぽいですけど)」となります。

 論理的に破たんしている文章を見てしまうと直したくなるのが癖なので、すいません。
            よう
 ①、②ともに、私自身の考えではありません。

 私自身は先生の考え、好きですよ。

 白夜行の書き込みも、法律家としては、これに感動してしまうとか言ってしまうのはリスキーなのではないかと思うのですが・・・余計な御世話ですね。

 暑いですけど、がんばってください。

 では 
投稿: 文章が破綻してますよ(笑) | 2009年7月17日 (金) 22時32分
番外A1
 「女」と「女性」は、ほぼ同義であり、そこに人それぞれが思いを込めるから、言葉の面白さがあるのだと思います。
 私は、自分の感じる語感が、それほど社会的常識から外れているとは思っていませんが、そう感じる人がいることを否定するものでもありません。不愉快になられたのであれば、申し訳ないと思います。
 ただ、一定の思想のもとで「言葉狩り」をされるのは、好きではありません。

番外Q2
「女」と書くこと自体は問題ないと思いますが、

「女にフラれることが、自らの間違いの証明であるならば、私は、数え切れないくらい間違いを起こしてきたことになります。」

という文章からは、女性蔑視的なものが感じられない訳でもありませんね。

まぁ、この先生は、本人も認めていらっしゃいますが、外見的にはぜい肉も多く、決して良い先生ではありません。他にも、女性関連のことでは、このブログで、変な発言を、多数繰り返しておられます。
あまり、ピリピリしてもしなくても、と思いますが。
投稿: うーん・・・ | 2009年7月27日 (月) 01時33分
それじゃ、
「男にフラれることが、自らの間違いの証明であるならば、私は、数え切れないくらい間違いを起こしてきたことになります。」

と女が書いたら男性蔑視なのですか?

「男」「女」で十分です。いちいち「性」をつけて何になるんでしょうか。
どう思われますかK俣先生。
投稿: はあ? | 2009年7月28日 (火) 11時47分

番外A2
 私は、女性を崇拝する傾向にあるものの、女性蔑視は全くないと自分では思っています。
  女性の社会進出にも賛成ですし、女性が社会的に受け入れられにくい部分があるという現実の中で、少しでもお手伝いができたらと思っています。
 実際、妻が医師として働いている姿を見てうれしく思いますし、妻が三男を出産したときには、出産直前から約1ヵ月間、自宅勤務をしながら、食事を作ったり、育児をしたりしていたこともありました。
 私は、小さい頃から、働く母の後姿を見て育ち、女性が家庭と仕事を両立する難しさを垣間見てきたから、「女性を助けたい」と思うのかもしれません。

 外見的にぜいにくが多いのは、妻からも常々指摘されていますので、ダイエットに励みたいと思います。

また、検事時代・弁護士時代を通じ、事件の解決のために、いろいろと策謀を巡らせることから、よく仲間から「腹黒いですねえ」と言われますので、「良い先生ではない」といわれると、返す言葉もありません(笑)

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