善管注意義務
1か月ほど前は、原稿書きの仕事が多くて死にそうだったのですが、その成果
が、また1冊の本になりました。
会社法マスター115講座【第3版】
(ロータス21)
本体 2400円+税
であります。
先月出た
株券電子化ハンドブック(商事法務)
は、実務本、特に弁護士に必携の本にしようという発想で作ったのに対し、会
社法マスター115講座【第3版】は、初学者から専門家まで、誰でも手軽に
利用できる本をめざした本です。
【第3版】は、私は、昨年、上智のロースクールで第2版を使って授業をした経
験を生かし、学習上も実務上も重要であるにもかかわらず、第2版では記述が
薄かった
○代表取締役
○善管注意義務と忠実義務
○役員などの報酬
○利益相反取引
○利益供与
○事業報告
を補充しました
また、
「学習の効率化のために、本当に必要な判例だけを厳選した判例要旨集が欲
しい」
というロー生の要望を取り入れ、超重要判例集を巻末に載せています。
しかも、編集中に、会社法施行規則・会社計算規則のパブコメが始まったも
のですから、
日本で一番早く会社法施行規則・会社計算規則の改正に対応した本にし
よう
という野望に燃え、最新の会社法施行規則・会社計算規則に対応しました。
会社法マスター115講座第2版は、会社法の教科書では3本指に入るくらい
売れている定評のあるテキストですし、実務家が会社法の全体像を知るために
必要十分な内容が詰まっているので、私が講師をしているDVD「会社法と実
務」
http://www.lotus21.co.jp/works/streaming/kaisha115/kaisha115_DVD.html
でもテキストにしていました。
この第2版をパワーアップした第3版は、幅広い層にお勧めできる本ですので、
会社法の本をお探しの方は、ぜひ書店で手にとって検討対象の一つに加えてい
ただければ幸いです。
さて、本日は、会社法マスター115講座【第3版】発売を記念いたしまし
て、第3版で加筆した項目の一つである
善管注意義務
についてお話ししたいと思います。
善管注意義務については、取締役の責任(423条、429条)との関係を含め、
会社法で最も熱い議論がされているところです。
取締役の責任の発生要件である任務懈怠は、一般に
善管注意義務違反のことをいう
と理解されており
○ 任務懈怠と過失は、同一要件か、別の要件か
○ どんな場合に善管注意義務違反となるか
○ 経営判断原則の内容と位置づけ
○ 内部統制構築義務との関係
等の重要な論点が目白押しです。
しかし、司法試験受験生を見ていると、これらの論点をバラバラに理解してい
ることが多いので、今日は、こうした論点の相互関係を踏まえながら解説しま
す。
まず、「任務懈怠と過失は、同一要件か、別の要件か」という論点です。
この論点については、契約責任論や任務懈怠と過失の区別の困難性を理由とし
て、これらを同一要件と見る見解もありますが、私は、会社法423条では、任
務懈怠と過失は別要件であると解するのが当然だと考えています。
会社法の善管注意義務は強行法規であり、契約自由の原則を基礎とする契約責
任論を適用する前提が欠けていますし、任務懈怠と過失は、明確に区別するこ
とができるから、同一要件と考える必要はないからです。
私は、任務懈怠と過失の区別について議論が錯綜している理由は
1 業務執行・意思決定・監督という異なる性質を持つ職務を区別しないま
ま、業務執行の面ばかりが強調されて議論されていること
2 任務懈怠とは何か、ということを明確にしないまま議論されていること
の2点にあると思います。
会社の業務の執行は、
①取締役会等の意思決定機関が意思を決定し
②代表取締役・業務執行取締役等の業務執行機関が、その意思決定に従って
業務を執行する
というプロセスで行われます。
そして、①や②について、取締役は
③他の取締役や従業員の行為を監督
しなければなりません。
①から③の職務のうち、よく問題にされるのは、②の業務執行ですが、取締
役の責任の要件を考える上では、①や③に関与した取締役の任務懈怠も統一的
に考える必要があります。
任務懈怠は、取締役の①から③の権限の行使が
①会社法その他の法令・定款・株主総会の決議に違反する場合(逸脱)
②自己又は第三者の利益を図る目的又は会社に損害を与える目的で行使される
場合(濫用)
③関連業界の通常の経営者を基準として事実に基づく判断が著しく不合理であ
った場合(著しく不合理な判断)
に認められます。
任務懈怠と過失の区別が最も付きやすいのは、①の権限逸脱の場合です。
たとえば、食品会社の代表取締役Aが、取締役会の決議に基づき、無許可で
医薬品を販売したとしましょう。
この場合、代表取締役による販売行為は違法であり、任務懈怠となります。
また、その販売行為は、取締役会の決議に基づくものですから、その取締役会
の決議において賛成した取締役も、任務懈怠は認められます。
しかし、例えば、その取締役会の決議で、提案した取締役が、その医薬品を、
医薬品であると説明せず、他の取締役に対し、「外国で見つけてきたおいしい
お菓子です。」と説明していた場合はどうでしょうか。
そのように虚偽の説明がなされた場合、取締役ごとに事実に対する認識の差が
出てくるわけですが、取締役がどのような主観的意図をもっていたにせよ、薬
事法上の許可をえずに医薬品を販売したという違法行為に賛成したのですから
、客観的には任務懈怠を構成するものと考えるべきです(善管注意義務の一内
容である忠実義務(法令、定款等に従って職務を行うべき義務)に違反します
)。
また、任務懈怠と過失を区別するということは、423条の立証責任の分配を
任務懈怠=損害賠償の請求者が負担する
善意・無過失=取締役が負担する
とすることを意味します(逆に区別しない見解では、取締役の悪意・有過失に
ついて請求者が立証責任を負担するということになります)。
この立証責任の分配という点についても、会社の稟議書や説明資料等にアク
セスすることができない請求者(例えば、代表訴訟における株主)が、各取締
役の認識という主観的要素についてまで、立証責任を負うというのは酷であり
、任務懈怠と過失を区別する方が公平であると思います。
したがって、①の権限逸脱場面では、任務懈怠と過失は、会社の行為が、客観
的に法律に違反しており、取締役がその違法な行為を直接行ったり、その意思
決定に賛成したりしたか否かで、任務懈怠を判断すればよいわけです。
①の権限逸脱を、より細かく分類すれば、
①-a 行為そのものが法令等に違反する場合
①-b 法令等の定める手続に違反して行為が行われる場合
の2つになりますが、いずれにしても、ある行為が法令等に違反しているかど
うかは、客観的に判断することができますので、この点については、経営判断
原則が出てくる余地はありません。
次に②の権限濫用については、外形上は法律違反の行為ではないが、主観的
意図により任務懈怠となる場合です。
たとえば、代表取締役が、愛人関係の維持を目的として、取締役会の決議に
基づき、愛人の経営するクラブに適正な利息を付し、かつ、担保をとって多額
の融資を行ったところ、クラブの経営が傾き、担保も値下がりしたため、貸付
が焦げ付いたという事例を考えます。
この場合は、代表取締役の「愛人関係の維持を目的」がなければ、③の「著
しく不合理な判断」という類型に入りますが、そのような下心がある場合には
、いくら適正な利息・担保を取っていたとしても、「善良な管理者」というこ
とはできず、善管注意義務違反になると解されます。
つまり、請求者が、「愛人関係の維持を目的としていること」を立証するこ
とにより、代表取締役による融資が権限濫用による任務懈怠行為だと主張する
ことができます。
この場合、代表取締役は、自己の濫用目的を立証されてしまっているわけで
すから、無過失の反証は、ほぼ不可能ですが、取締役会の決議に賛成した取締
役についても、「代表取締役の愛人関係の維持を目的とした融資」に賛成して
しまったのですから、任務懈怠が認められると考えるべきだと思います。
取締役が、代表取締役が、他の取締役に対し、その主観的意図を隠していた
場合もありえますが、裁判所で濫用的意図があると立証されるような取引は、
不自然な取引であることが一般的であり、その主観的意図が立証されたときに
、その取引に賛成した取締役に任務懈怠を認めても過酷とはいえません。
また、取締役は「そのような目的があるとは知らなかったし、実際に知るこ
ともできなかった」という事実を反証すれば、善意無過失で免責されるのです
から、取締役が無過失の立証責任を負担する方が公平であると思います。
最後に、③の「著しく不合理な判断」の類型についてお話しします。
この③が、「任務懈怠と過失の区別が困難である」と言われる典型的な類型
です。
たとえば、代表取締役が、通常人ならば絶対にやらないような高リスク低リ
ターンの取引を、取締役会の決議に基づき、行ったという事例を考えます。
この場合、代表取締役は、法令等に違反する行為を行ってもいないし、権限
乱用の意図もありませんが、
「関連業界の通常の経営者を基準として事実に基づく判断が著しく不合理であ
った場合」
には、その行為は善管注意義務に違反するものと評価されます。
よく経営判断原則という言葉を耳にしますが、この原則は
取締役の判断が、関連業界の通常の経営者を基準として事実に基づく判断が
著しく不合理であると認められない限り、善管注意義務に違反しない
という原則であり、③を裏から表現したものです。
この③の類型で「任務懈怠と過失の区別が困難」という話が持ち出されるの
は
法律には、取締役が、どの程度のリスクファクターを認識すれば任務懈怠
が認められるかという明文の要件がない
ということに起因しています。
すなわち、任務懈怠と過失を区別することができないという論者は
取締役が、通常の経営者ならば、その行為を中止するほどのリスクファク
ターを認識していたのならば任務懈怠も過失も認められるし、
それほどのリスクファクターについて認識がなかったのならば、任務懈怠
も過失も認められないはずである
と主張しているわけです。
しかし、私は、この考え方は、各取締役の認識という過失の要素を「任務懈
怠」の判断要素に先取りしているため、区別ができなくなっているだけだと思
います。
会社の業務執行は、代表取締役、業務担当取締役、取締役、部長、課長等沢
山の役職員の関与を経て行われるのが一般的であり、ある会社の行為について
、役職員が知っている情報や執行への関与の仕方はバラバラです。
この認識や関与形態がバラバラな役職員が、決裁規程等に基づき、稟議をあ
げ、場合によっては、取締役会や株主総会の決議を得ることによって、「会社
としての」意思決定や業務執行が行われるわけです。
このように、ある業務執行や意思決定が、取締役の任務懈怠となるかどうか
を判断する際には、当該業務執行が、集団的な意思決定プロセスを経て集団的
に執行されていることに鑑み、
①まず、業務執行自体や意思決定の内容が、会社が把握していた情報を前提
として著しく不合理なものであったかどうかを検討し、そのように客観的に著
しく不合理な意思決定や業務執行に関与した取締役については、任務懈怠を認
め
②各取締役が、当時自分に与えられていた情報や権限等を主張して善意無過
失を立証すべきである
と考えます。
以上のように「任務懈怠」と「過失」の判断プロセスを理解すれば、任務懈怠
と過失を混同することはなくなりますし、実際に行われている裁判も、このよ
うなプロセスで判断されていると思います。
なお、取締役の監督責任についても、①から③の善管注意義務違反の類型が妥
当します。
ただし、監督権の行使は、多くの場合、不作為による善管注意義務違反が問
題となるため、若干、ひねりが必要で、次のように考えます。
① 権限逸脱 法令等に定められた具体的な監督義務に違反する場合
(例) 取締役会への出席義務に違反し、欠席した。
② 権限濫用 自己の利益を図る目的で監督を怠った場合
(例) 取締役が、代表取締役から賄賂を受け取り、代表取締役の行為に
ついて詮索することをやめた。
③ 著しく不合理 取締役が、通常の経営者であれば、当然に行使する監督権
の行使を行わず、その監督権の不行使が著しく不合理であるような場合
(例)代表取締役の背任行為を知ったにもかかわらず、監査役や取締役会
に報告をしない場合
部下が会社に損害を与える事実を知りながら、これを放置した場合
なお、内部統制システムの構築は、③の著しく不合理な監督権の不行使と言わ
れないようにするために行うもので、具体的には
その企業の規模等に応じて、適切な内部統制システムが構築され、かつ、そ
のシステムが機能していることを監督すれば、個々の取引について具体的な監
督を行っていないとしても、監督責任を負わない
というものです(内部統制システムの構築については、経営判断原則の適用が
あると言われているのは、内部統制性システムの構築も、③の分類に属する事
項だからです)。
以上のような任務懈怠と過失の判断プロセスは、取締役の責任に関する条文
構造とも整合的ですし、裁判実務にも沿っていると思います。また、経営判断
原則や内部統制システムの構築の位置づけを合理的に説明することもできます
。
「任務懈怠と過失の区別ができない」と嘆くのは簡単ですが、きちんと整理
すれば、区別するのは簡単で、理論的にもすっきりするので、特に司法試験受
験生の皆さんは、頭を整理しておいてください。
(質問コーナー)
Q1
突然の質問で申し訳ありません。
100パーセント子会社による親会社の合併の場合、吸収合併される親会社が持
っている子会社の株式は、合併により存続会社たる子会社の自己株式となり、
子会社の株式資本から控除されるとされています。
合併に際し、吸収合併される親会社の株主に、存続する子会社の株式を付与す
る場合、登記事項としての発行済み株式総数は、子会社の自己株式の消却が行
われない限り、子会社の発行済み株式総数と合併に際して吸収合併された親会
社の株主に付与された株式数の合計になると考えますが、いかがでしょうか。
会計上の処理がなかなか理解できず、悩んでおります。
投稿: さぬきうどん | 2009年4月 1日 (水) 02時06分
A1
そのとおりです。
前段は、会計上の金額の問題、後者は株式数の問題です。
Q2
今回の論点について
「取引債務限定説は捨てました。」「今回の最高裁判決は、ある意味、ほっと
しています。」
とのことですが,本最高裁判決が
『土地の所有権に基づくAへの真正な登記名義の回復を原因とする所有権移
転登記手続請求(主位的請求)』
について却下した原審判断を結論において是認し,
『Aとその取締役である被上告人との間で締結された被上告人所有名義の借
用契約の終了に基づく,Aへの真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転
登記手続請求(予備的請求)』
を適法としたのであれば,取引債務限定説のように読めてしまうと思ったので
すが,読み方が間違っているのでしょうか。。。
会社法100問初版第1刷318頁では肯定されているCに対する移転登記請求も甲
株式会社の所有権に基づく請求とすれば,本最高裁判決に照らすと不適法却下
となってしまうのでしょうか?
投稿: 受験間近 | 2009年4月 1日 (水) 04時57分
A2
最高裁の射程をどう考えるかは難しいところです。
ただ、取引を取り消した場合の不当利得返還請求権には、代表訴訟を認めない
と都合が悪いでしょうし、物権変動的移転登記請求権も認めないと都合が悪い
でしょうから、真の意味での「取引債務限定説」は採れないんじゃないでしょ
うか。
Q3
4月1日の(質問コーナー)A12でご回答いただきありがとうございました。ご
回答は、「理論的にはおっしゃるとおりです。ただし、事業報告で書くべきと
きに書かなかったということで、独禁法違反行為のあった事業年度の事業報告
について不記載の違法があったことになります。また、処分があったときに重
要事実として書くべきであるという考え方もあるでしょう。」 ということで
すが、次の2点について確認させていただければと思います。
①「書くべきときに書かなかった・・・不記載の違法があった」とされており
ますが、当局の調査が入ったということを 『法令又は定款に違反する事実そ
の他不当な業務執行が行なわれた事実があるとき』 と判断しなければならな
いということになるのでしょうか。 調査に入られた時点では、会社は違法な
行為があったと考えておらず、処分があったときや調査の過程のなかで違法行
為と判断せざるを得ない状況になって初めて「違法行為があった」と考えると
思うのですが。
②「処分があったときに重要事実として書くべきである」という考え方は、
124条4号ニの内容として記載するのではなく、120条1項9号の内容として記載
するということでしょうか。
投稿: Oh NO! | 2009年4月 1日 (水) 09時32分
A3
① 主観をベースにするか、客観をベースにするかという問題です。私は、客
観的に独禁法違反行為があったとすれば、事業報告に書くべき義務はあるが、
違法性の認識がない場合には、記載者の悪意・過失の問題として処理するべき
だと思います。
OhNO!さんのように考えるのならば、会社が違法性を認識した処分時に
事業報告に記載すべきであると考えるのが素直でしょうが、私は、客観説を採
ります。
② そうですね。
Q4
今回、ご質問させていただくのは、ロースクールの成績と就職についてです。
現在、私は、某都内私立ロースクールに通っています。先日今年度の履修科目
が決まったところです。
履修の際には、多くの学生が、GPAをあげようとして、いわゆる楽勝科目(
出席と1、2回の発表で履修者のほぼ全員にAがつく)をとろうとします。
そういう科目を中心に履修すれば、必修科目でミスをしてもGPAははねあが
ります。
ところで、いわゆる大手の事務所は、新司合格発表前に募集をするのでローの
成績を大きな考慮要素にしていますよね?
そうすると、上述したような楽勝科目でGPAをあげた人が有利になりはしな
いのでしょうか??
私は、はっきりいって楽勝科目の履修は、Aという成績は残るが、得られるも
のは少ないと思います。
私は、一年間ローで過ごしてみて、ローでは有能な先生の授業に真剣に取り組
めば、法的思考力はかなり研かれると実感しました。これは、新司のみならず
、二回試験にも役立つ土台になるものと考えています。
そのため、今期の履修も、楽勝科目とかではなく、思考力が研かれるであろう
授業を中心に履修しました。
しかし、そういった科目は、いわゆる楽勝科目ではないため簡単にAはつきま
せん(その中でAをとろうと努力するからこそ、力がつくのでしょうけど)。
っていっても、もう履修が決まってしまったので、後戻りはできないのですが
(笑)
先生は、採用に際して、ローの成績はどういった位置付けにあるとお考えです
か??
新司の順位は考慮なさらないのですか??
投稿: 新司まであと一年 | 2009年4月 1日 (水) 13時45分
A4
ローの成績も、新司法試験の順位も、当然、考慮の対象でしょう。
GPAをあげた人に有利なのは当然です。
あなたが、思考力が研かれる授業に取り組むのは、就職のためなのでしょうか
?自分に実力がつくのならば、就職とは関係なしに、その授業に没頭すればよ
いと思います。
GPAはあがらないけれども、就職で思考力が研かれる授業を受けたことを評
価してもらいたいということであれば、それを就職先に説得的にアピールすべ
きですが、相当難しいでしょう。
Q5
私は、今年ロースクール既習を卒業し、本試験を目前に控えているのですが、
ここにきて燃え尽き気味です。
ロースクール入学後すぐ母親の癌が発覚しまして、去年の夏季休講期間中に亡
くなりました。
1年目はそれなりに勉強したつもりでしたが、振り返ってみれば、やはり不足
だったかもしれません。
2年目は春から母の体調が悪化し、介護、通院により、時間が制約され、精神
的にも集中できず、春から開始した選択科目(労働法)の授業についていくの
がやっとで、それ以外は特にしていません。
夏休みはじめに入院し、危篤状態が続きましたので、家族で交代して病室に通
いつめたため、夏休みは全く勉強できませんでした。
葬儀終了後、2週間ほどで後期授業が開始し、やはり勉強不足と思われた労働
法と苦手意識のある行政法、会社法を中心に勉強し、1月の定期試験終了後は
総復習・記憶喚起を行ってきましたが、3月いっぱいで全科目を回し終えたま
した。
ところが、一通りやり終えたところ、今になってやる気喪失してしまいました
。いまさらですが、母が生きているうちに、部屋に引きこもって勉強などせず
に、もっと一緒にいてやればよかったなどと、考えても仕方のないことを考え
たり、他の受験生が勉強していないときに充分勉強していなった自分が受かる
わけないと客観的でないことを考えたりしてしまいます。
司法試験に受かるには客観的に実力も必要ですが、精神的な勢いも重要と思い
ます。先生なら、どう精神コントロールしますか。
投稿: ネネム | 2009年4月 1日 (水) 17時41分
A5
私の母が末期ガンの宣告を受けたとき、私は、検事3年目でした。
母は、会社を経営しており、急に入院となったため、私は、検事をしながら、
母親の看病と、実家の会社の経営の手伝い(資金繰り等)、そして、会社の売
却を同時にしなければなりませんでした。
私は、母が亡くなった後も、会社のM&Aがクロージングを迎えるまでの約5
年間は、「母が生きていたら、自分に何を望むのか」を考えて、自分や家族の
幸せ、そして、会社の従業員の幸せを実現するためにガムシャラにがんばりま
した。私は、会社の銀行借入で10億円の連帯保証をしていましたし、従業員
50人の生活を守らなければならず、「精神をコントロールする」という余裕
もなく、「やるべきことを精一杯やる」しかありませんでした。
ネネムさんが、受からないと思うならば、受からないでしょう。
でも、私の教え子には、試験の前年にお父さんが亡くなって、それでも旧司法
試験に合格した大学3年生の女の子がいました。
肉親の死があったからこそ、やるべきことをガムシャラにやったのだと思いま
す。
Q6
先生のポリシーは、「目の前の仕事を楽しんでやること」とおっしゃっていま
すが
その楽しみ方はどのような方法ですか?
成果か出て結果として楽しいと思うのか。それとも自分なりの楽しくするため
のグッツなどかあるのかなと思い質問させていただきます。
投稿: トモ | 2009年4月 1日 (水) 22時03分
A6
自分の立てた作戦を確実に遂行するのは楽しいですし
思う通りにいかないときに、苦しみ、工夫して、なんとかやり遂げるのも楽
しいです。
楽しくするためのグッズは、「苦しさを楽しむ」マゾヒズムです。
Q7
司法試験論文試験において、法的三段論法が重要といわれていますが、あまり
よくイメージがわきません。
①法的三段論法とはどのようなものでしょうか。
②また、法的三段論法についてわかりやすく解説している本をご存知でした
ら、ご教示ください。
投稿: 不孤 | 2009年4月 2日 (木) 00時07分
A7
会社法100問の最後にある勉強の仕方を見てください。
Q8
さて、私は「5月には二度目の新司挑戦」という立場の者ですが、私も質問
させていただきたく思います。
新司法試験について、予備校データによれば、現役組と浪人組の合格率にほ
とんど差がないということです(既修も未修も)。
個々人の能力の差はあるにしても、手持ちの時間に大きな差がある以上、全
体として見れば浪人組の方が合格率が上がるに決まっていると思っていたので
、正直驚きです。
例えば、時間をかけてもどうにもならない「何か」があり、司法試験では「
それ」が問われる側面もあるということなのでしょうか。
是非、葉玉先生のご意見(できればそれについての対策も)をお聞かせ下さ
い。
投稿: べあ | 2009年4月 2日 (木) 01時04分
A8
司法試験で1番になるかどうかは、才能もあるかもしれませんが、合格する
かどうかは、勉強時間によって決まります。
通常、頭が良いと言われる人ほど沢山勉強し、才能がないと嘆く人ほど勉強
しません。
未習か、既習か、司法試験受験歴があるかないか、など様々な要素が入り交
じっている現時点で、浪人と現役で比べるのはあまり意味はないです。
Q9
このたびの小沢代表公設秘書の逮捕につき、代表の検察批判には首肯しがたい
ところが多くあるのは同感です。
しかし、より一般的に、検察の問題として、
①政治資金規正法上の虚偽記載程度の被疑事実で、48時間+10日+10日の起訴
前勾留、そして起訴後勾留という長期の身柄拘束を続ける正当性につき、重大
な疑問があります。刑訴法上の要件を満たしているとは到底思えません。
付言すれば、自殺の可能性を危惧してのことと考えられますが、それが身柄拘
束を正当化できないことは当然で、脱法行為に他なりません。
次に、
②検察がマスメディアを通じて情報をリークし、世間に有罪の雰囲気を醸成す
る正当性も批判されるべきと考えます。
起訴前にも拘らず、記者クラブを通じ、情報を欲しがるマスコミを手玉にとっ
て、捜査状況・内容をリークし続ける行為は、著しく攻撃防御方法を欠く被疑
者・弁護人側に比して、極めてアンフェアでしょう。今回はこの傾向が顕著で
、不起訴や無罪が許されない(と思い込みすぎている)検察の自信のなさの表
れと思えます。
以上2点につき、お考えをお聞かせ願います。
投稿: そろそろ | 2009年4月 4日 (土) 18時29分
A9
① 政治資金規正法の虚偽記載「程度」という点が理解できません。法定刑も
軽いものではなく、また、企業献金を隠蔽するための虚偽記載であるならば、
罪状としても悪質です。刑訴法上の要件を充たしているからこそ、勾留状が出
たのだと思います。
ちなみに、勾留されたのは、自殺の可能性を危惧したのではなく、罪証隠滅
のおそれがあったからだと思います。
② 検察が、捜査中にどの程度の事実をマスコミに公表するのかは、大変、難
しい問題です。検察が、マスコミからの取材を完全にシャットアウトすれば、
国民の知る権利を害するとして、批判されるでしょう。また、弁護人の中には
、マスコミのインタビューに答える人もおり、その点でアンフェアだとは思い
ません。
ちなみに、刑事裁判は、捜査段階のマスコミ情報によって結論が左右される
ことはあまりないので、検察が「有罪の雰囲気を醸成」しても無意味です。
また、被疑者・弁護人が「著しく攻撃防御方法を欠く」というのは誤った固
定観念です。被疑者は、一番、事件の核心部分を知っており、弁護人が適切に
被疑者から事情を聞き出せば、検察以上の証拠収集も可能な場合も多いのです
。実際、私は、刑事弁護もやりますが、必ずしも検察や警察より不利だとは思
いません。
Q10
私が今回の事件で一番疑問なのは,果たして今回の事件が(実質的な)刑法の
構成要件に該当するのか,ということです。
政治資金規正法では,個人献金は禁止しているが,政治団体からの献金は禁止
していないと理解しています。そうだとすると,仮に資金の拠出元が個人であ
ったとしても,それが政治団体を経由して献金されており,それが政治団体名
義で報告書に記載されている以上,少なくとも刑事罰に処するのは困難なので
はないでしょうか。
確か,だいぶ前の記事で,見せ金について預け合いの刑事罰の規定を「類推」
することはできない,とおっしゃっていましたが,実質的に云々というのが,
刑事法においても妥当するのかどうか疑問に思います。
政治団体からの献金を政治団体からの献金として政治資金収支報告書に記載し
ている場合に,その政治団体が形骸化していて実質的には個人からの献金と同
視でき,それを認識している場合に,刑事罰を科せられるのはなぜなのでしょ
うか。
資金拠出元に関しては,普通は形式説(名義説)をとると思うのですが,こと
政治資金規正法の解釈においては,「法の趣旨を没却する」という言葉で刑事
罰を科すことが正当化されるものなのでしょうか。
投稿: 巷 | 2009年4月 5日 (日) 09時14分
A10
私は、経済事件の捜査経験が長いせいか、特捜部の法律構成には、違和感を
感じません。政治資金規正法の趣旨が、真実を正確に記載することである以上
、ダミーにより形式的な要件を整える行為は、処罰の対象となると考えます。
Q11
>可視化はラフジャスティスの採用とバーターです。
この意味がよくわかりません。もう少し噛み砕いてお教えいただけないでしょ
うか?
操作・取調べの可視化が、裁判コスト(弁護側・検察側ともに)増加とバータ
ーであると言うのであればわかります。
しかし、なぜラフジャスティスとバーターになるのでしょうか?
むしろ可視化されれば、自白や検面調書の正当性などが高まるでしょうし、正
確な裁判に繋がるというのが一般的な考え方のように思います。
それとも、「捜査の可視化なんかされたら、弁護サイドからの突っ込みどころ
満載になってしまう。強引な自白強要もばれちゃうだろ!だから、ラフジャス
ティスにしてもらわんと、全員無罪になっちゃうじゃないか!」と言う意味な
んでしょうか?
(別に皮肉でもなんでもなく、純粋な疑問です)
捜査の可視化の是非、というのは、多くの一般人が疑問に思う部分ではないか
と思うので、ぜひ葉玉先生のお考えをお聞かせください。
投稿: きたろう | 2009年4月 6日 (月) 12時54分
A11
私がイギリスに在外研究にいったとき、可視化の最も進んだイギリスの被疑者
の取調べは、重大な殺人事件であろうと、30分くらいしか行われないことが
多いと聞きましたし、実際に裁判の証拠を見せて貰ったら、日本ではとても有
罪にならないような証拠で有罪になっている例が多数ありました。
可視化するならば、短時間の取調べに留める必要があります。これは、録画コ
ストだけではなく、録画した取調状況を、裁判関係者(検事・弁護士・裁判官
・裁判員)が見るコストを考えると不可避です。たとえば、20日間連続で10時
間ずつ取調べをしたビデオを、裁判関係者が全部見るのは現実的ではありませ
ん。かといって、反訳させると、さらに莫大なコストがかかります。
短時間の取調べで、事実認定しようとするならば、少ない供述証拠で(犯行に
至る経緯や動機等が不十分でも)、被疑者や参考人の供述の矛盾や変遷等もあ
まり気にせずに、事実認定をしなければなりません。
これがラフジャスティスです。
現在、自白の任意性で、「強要」に該当するような主張がされること自体非常
に少なく、私は、そのような観念論ではなく、より良い事実認定のプロセスを
確保するためには、可視化などない方がよいと思います。
Q12
非上場子会社の80%の株式を親会社が持っており、子会社の取締役3名のうち
、2名が親会社の取締役です。(子会社代表取締役は親会社取締役です。)こ
の場合、子会社取締役会で親会社に対する配当の決議ができるのでしょうか?
投稿: 細マッチョ | 2009年4月 6日 (月) 17時53分
A12
配当の決議は可能です。配当との関係では特別利害関係はないと考えます。
Q13
「剰余金の配当議案」の記載についての質問ですが、会社法454条1項1号では
「配当財産の種類」を決議しなくてはならない、とされています。
この点について、一般的には「1株当たり金○円」など記載することによって
、種類を金銭とすることを特定されていますが、これについて「金○円との記
載では、配当財産の種類を金銭と特定したことにはならない」とする見解が存
在するようです。
「金○円」と記載した場合でも、「金銭で○円」という意味を含む表現であっ
て、配当財産の種類は特定されていると思いますが、いかがでしょうか?
投稿: | 2009年4月 7日 (火) 17時13分
A13
「金○円」で、当然、金銭として特定されています。
Q14
司法試験の勉強をしているものです。
勉強しながら、法律家は紛争解決を仕事にするものだと思っています。
自分はほとんど日常では争いごとやケンカをしたことありませんから、紛争の
中に自らはいっていって仕事をできるのかな・・と思ってしまい不安になるこ
とがあります。もし、紛争解決できればとてもやりがいが感じられる仕事だと
思っていますけど
そうはいっても資格をとってから考えるのもよいでしょうか?
投稿: 受験生 | 2009年4月 8日 (水) 10時51分
A14
資格をとってから考えてください。
Q15
金商法上の内部統制におけるリスクマネジメントは、会社法上の内部統制にお
けるリスクマネジメントに包含されると考えても良いのでしょうか?もし、包
含されると考えた場合、金商法上のリスクマネジメントも、弊社の「内部統制
システム構築の基本方針」中の「損失の危険の管理に関する規程その他の体制
」で定められた方針に従って整備されることになると思うのですが、いかがで
しょうか?
投稿: ゴリマッチョ | 2009年4月 9日 (木) 15時22分
A15
基本的には、そのとおりです。
詳しくは過去の記事を見てください。
Q16
いわゆる取締役選解任権付株式により選任された取締役の任期は,選任後2
年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時
までなのでしょうか?
選任・解任は,種類株主総会で行うにもかかわらず,会社法上は,定時株主
総会の終結時が任期満了の時点とされていることに疑問を感じています。
投稿: 司法書士X | 2009年4月11日 (土) 16時20分
A16
そのとおりです。種類株主総会は、定期的に行うものではないので、任期の
基準には向かないんです。
今の規範であれば、定時総会と同時に種類株主総会を開くので、問題ありま
せん。
Q17
代表取締役(A)を同じくする甲、乙会社間で土地の売買契約を締結する場合
に、取締役の決議においてその代表取締役Aは議決権を行使できるかにつき質
問させてください。
この場合当然に利益相反になりますが、代表取締役Aが特別利害関係人にあた
り議決権を行使できるか否かにつき疑義があります。
登記実務では、この場合は会社間の取引なので(会社と取締役の取引ではな
い)Aは特別利害関係人にあたらないと解しているようです。(日本法令 事
項別 不動産登記のQ&A200選 登記研究139号49項 454号131項)
また、特別利害関係人の具体例としては基本書には取締役と会社間の取引と
記載しており、代表取締役を共通する会社間の取引における代表取締役と記載
したものを目にしたことはありません。
ただ、私見としては、本事例のAは「決議」(会社法369条)に利害関係を持
たないわけがないこと、会社を代表して行う場合にも 取締役の忠実義務違反
をもたらす恐れのある個人的利害関係(特別の利害関係)があると言えるので
はないかと考えております。
現状の登記実務のあり方及び私見の是非につきご意見を伺えれば幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
投稿: 登記職人見習中 | 2009年4月12日 (日) 03時46分
A17
代表取締役が共通の場合、利益相反取引になるのですから、特別利害関係が
あると考える方が素直だと思います。
実務上は、一人会社の一人社長みたいな場合が多いので、特別利害関係の範
囲を広げると、違法な議事録ばかりが出てきて大変ですから、緩い方が楽です
が、コンプライアンスの見地からすれば、自分の利益相反取引について、自分
で一票投じるのは、あまりよろしくないので、特別利害関係があるとして処理
する方がよいと思います。
Q18
早速ですが、新司法試験の勉強の仕方について質問させて下さい。
私は、択一の会社法・商法9割(今は、5割にも届かない状態ですが。)を目
指して、判例六法の素読を始めました。
引用条文が多い章は、なかなか次の章に行けず、大変です。
時間を掛けてやっているのだから、漫然と読むのではなくポイントを押さえて
読みたいと思っています。
私なりに、
①主体(ex.「取締役」なのか「取締役会」なのか)
②ただし書き
③文末(「できる」なのか「しなければならない」なのか)
に気を付けて読んでいますが、その他素読をする際に気を付けることがあれば
、アドバイスを頂ければと思います。
投稿: もも | 2009年4月12日 (日) 14時07分
A18
素読はしなくていいんじゃないでしょうか。
Q19
取締役の責任について質問させてください。
423条も429条も任務懈怠が要件だと思うのですが、
文言上、423条は「任務を怠った」と直接的に書いてあるのに対し、
429条は「職務を行うについて」としかありません。
このように表現が違うのはなぜでしょうか?
投稿: くそべて | 2009年4月14日 (火) 09時28分
A19
歴史です。
Q20
「特別の利害関係」は取締役候補者としての欠格事由に該当するのでしょうか
?
また「特別の利害関係」を整理して理解するためには、どの条文を取り上げれ
ばよいでしょうか?
投稿: ポニョ | 2009年4月14日 (火) 18時28分
A20
欠格事由ではありません。
後段の質問はよく分かりません。
取締役会の議決権と、利益相反取引と、計算書類等ですか?
Q21
現在未修1年のロー生です。
ロースクールの教授は予備校本は論理が見につかないと口をそろえて言います
がそれは本当ですか?
私としては予備校本のほうがわかりやすいので新司対策として問題ないのなら
予備校本メインでやりたいのですが…。
科目ごとの意見や予備校本を使うとき気をつける点などもできればお伺いした
いです。
投稿: SS | 2009年4月15日 (水) 01時09分
A21
基本書でも論理が身につかないものが多いので、予備校本メインでも良いと思
います。
Q22
わが社は中小の同族会社ですが、親族の役員が退職する際は、その役員が保有
する株式を会社がいったん買取り、会社がその子息等に売渡してその者が役員
に就任するといった形をとっています。
そういった決まり事が、定款にではなく、取締役会が規定する株式取扱規定で
定められています。
しかも、その規定には「株式保有資格」という項目があり、株主が死亡したと
きや株主が役員の場合はその退任時に「保有資格」がなくなり、会社指定の譲
受人に譲渡する義務が盛り込まれています。
さらに、会社の決算が赤字でも一期限りなら株式の配当を行うという規定まで
あります。
最近総務?になったばかりなので、正直こういった株式取扱規定が通常のもの
かどうかもわかりませんが、これをこのまま会社法下の現行法規にも通用する
ものなのでしょうか?
また訂正するにしても定款で定めるような株主の権利義務などを株主総会の下
位機関である取締役(取締役会非設置)が定める株式取扱規定にゆだねる事は
適切なのでしょうか?
投稿: 中小企業の総務かな? | 2009年4月15日 (水) 15時56分
A22
その株式取扱規則は、法的には、効力がなさそうですね。
定款できちんと定めれば、法的に有効なものも作れそうですが。
Q23
会社法100問について質問させていただきます。
今,100問の各問題を1枚の紙にまとめて,短時間でざっと復習できるようにし
ております。なので,合計100頁になる予定。
そこで,質問です。
①会社法100問の使い方として,このような方法は適切でしょうか。
②まとめるにあたって,パソコンでも良いのでしょうか。パソコンのほうが早
いし見直すのにきれいだし。答案を書くわけではなく,ノートだからパソコン
でもいいのかなと。
投稿: こんにちは。 | 2009年4月16日 (木) 15時28分
A23
①②ともよろしいと思います。
Q24
強制わいせつ罪の上告審判決で逆転無罪判決がありました。
警察庁で痴漢捜査の検討会議もするそうです。
これまでは目撃者がなくたとえ立証が難しい場合であっても、無実の証明に成
功しない限り、有罪になることが多かったと思います。
今後冤罪のおそれが減るのは良いことですが、同種の事件の場合に、捜査がい
っそう難しくなりそうです。
痴漢の被害に会われた方は大変な心の痛み・苦しみをもっているのはわかりま
す。しかし、満員電車で間違われるのだけは勘弁して、と思ってしまいます。
痴漢捜査のあり方について先生のお考えをお聞かせください。
(疑われた場合の有効な対処も教えていただけますとなお嬉しいです!)
投稿: 満員電車 | 2009年4月17日 (金) 00時34分
A24
痴漢に限らず、被害者の証言しかない事件は沢山あります。私は、被害者の供
述の信用性も、事件ごとに異なるのだから、今回の最高裁判決も、「被害者の
供述しかなければ、無罪」という話ではないと理解しています。
私の捜査の経験上も、被害者の供述だけで起訴したときもありますし、被害
者の供述だけでは無理と判断して不起訴にしたときもあります。このあたりは
、捜査側で、妙なルールを作らずにケースバイケースで対応した方がよいと思
います。
Q25
会社法マスター115講座第3版を丸沼書店で購入した者です。臨時計算書類
の承認についてご教示賜りたくお願い申し上げます。
千問のQ713で「臨時計算書類が株主総会の承認を経ずに確定した場合、株主
総会への報告をすることも要しない」とありますが、会社法マスター115講座
第3版 P.179では、一定の要件を満たせば報告で足りるとの記載があります
。441条4項ただし書の法務省令の要件に該当する場合には株主総会の承認は
不要だということはわかりましたが、この場合株主総会への報告は必要なので
しょうか。
投稿: 短答が近くて忙しい50歳 | 2009年4月17日 (金) 16時48分
A25
報告は不要です。
Q26
最近、条文との付き合い方に悩んでおります。
どんな問題であっても、条文があれば先に一言でも触れておかないと、どうし
ても気がすまないのです。
例えば、違法な逮捕に引き続いて勾留請求できるかという論点がありますが、
参考答案などでは、「・・・勾留請求が認められるかが問題となる」と、いき
なり論点の問題提起に入っています。
でも自分の場合、まず勾留請求の条文を指摘しておかないと、どうしても気が
すまないのです。
条文を指摘すること自体は大事なことだと思うのですが、例えば訴訟物が売買
代金支払請求である場合でも、民法555条に一言だけでも必ず触れてしまい
ます。
条文があるなら条文を指摘して、
解釈はそのあとだと思うのです。
しかしこれは、論文の書き方という観点からは妥当でしょうか?
わざわざ民法555条まで挙げたりするのは細かすぎますかね?
投稿: ぶるぼん | 2009年4月17日 (金) 21時16分
A26
条文を書くことは良いことです。
Q27
今年の4月1日付の施行規則、計算規則の改正を受けて、4月16日付で、日
本監査役協会の「監査報告の雛形」が一部改正されていますが、その解説では
「今年の3月決算会社が作成する監査報告については、計算規則の条数改正(
具体的には「会計監査人の職務の遂行に関する事項(159条→131条)」
)によって、改正後の条数を記載することになるが、施行規則の改正による条
数変更(具体的には「支配に関する基本方針(127条→118条)」)につ
いては、事業報告作成の経過措置により、改正前の条数を記載する」と言及さ
れています。
この内容について、計算規則の改正については、特段の経過措置が存在しない
ことから、対応が必要となることは理解できるのですが、施行規則の改正につ
いては、あくまで「事業報告の作成」について、従前の例によるとされている
ことから、事業報告作成後の監査報告で記載すべき条数については、監査報告
作成時の条数(118条)を記載すべきと考えるのですが、いかがでしょうか
?
投稿: naga | 2009年4月18日 (土) 07時23分
A27
難問ですね。監査報告は、事業報告を監査した結果を記載するので、事業報告
の記載と揃えるべきだという考え方もありえます。
分かりやすければ、どちらでもいいと思いますが。
Q28
株主提案権が行使された際の招集通知の記載について、会社法305条では、
その「議案の要領」を招集通知に記載する旨規定されていますが、書面投票に
よる場合にも、「狭義の招集通知」には「議案の要領」の記載が必要となるの
でしょうか?
施行規則93条は「株主提案」による議案の記載を定めていますが、これによ
り参考書類にその内容が記載されるので、同74条4項の「重複記載を避ける
」規定によって、狭義の招集通知には要領の記載は不要と考えますが、いかが
でしょうか?
投稿: | 2009年4月18日 (土) 07時42分
A28
招集通知の記載は、省略できません。
Q29
今度新司法試験を初めて受けるロー卒業生です。
既修なのですが旧試験の経験はありません。
択一の勉強について質問させてください。
これまで、択一は新試験の過去問(民法は旧もやりました)で勉強しました。
刑法や憲法について、新試験の過去問であれば、8~9割とれるのですが、
模試では、なかなか伸びず、平均点を下回るほど悪いです。
新試験は過去問がまだ量が少ないためにそういった穴ができてしまうのかもし
れませんが、予備校の問題や旧試験の問題を今からでもやり始めたほうがいい
のでしょうか。
記憶力が良くて、過去問を何回も解きなおしているうちに問題を覚えてしまっ
たようなのです。
傾向が旧と新ではかなり違うので、悩んでいます。
あともう20日前後しかないのも悩みですが。
投稿: まよまよ | 2009年4月20日 (月) 17時58分
A29
新試験の過去問だけでは、全く足りません。
予備校や旧試験の問題もやりましょう。
時間が足りませんが。
| 固定リンク | コメント (54) | トラックバック (5)
最近のコメント