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2009年1月 9日 (金)

遅ればせながら、おめでとうございます。

「明けましておめでとうございます」というには、若干、遅いのですが、昨日は、商事法務の賀詞交換会に行ってきて、沢山、「明けましておめでとうございます」とご挨拶をしてまいりましたので、ヨシとしましょう。

商事法務の賀詞交換会には、様々な年齢層の、様々な立場の方がいらっしゃるので、ご挨拶がてら雑談をしていても大変勉強になります。

ただ、竹下守夫先生と名刺交換させていただいたときに、先生が
 「会社法であそぼ。」見てますよ。
とおっしゃったときには、感激するとともに、ドキッとしました。
 実は、私は、昔、ある民事訴訟法学者の先生から、冗談まじりに
   民訴学者は葉玉さんのこと怒ってますよ。
   会社法で「訴訟」を雑則に入れたから。
と言われ、民訴学者の皆さんに若干引け目を感じているからです。
   まさか、竹下先生から怒られたりしないよな・・
と思ったのですが、(当然のことながら)、竹下先生は、大変お優しい方で、楽しく談笑させていただきました。
 また、来年も賀詞交換会に参加させていただきたいと思います。

 さて、正月明けそうそうなので、何かおめでたい話をしたいのですが、最近は、経済面では悲観的なニュースが続いています。
 上場企業の業績は、下方修正の嵐。派遣切り・内定取り消しが相次ぎ、社会問題化していて、気がめいりそうになります。

 中身を見ると、下方修正の直接の原因は、円高による外貨ベースの売上高の評価減や保有株式の値下がりによる評価損だったりすることも多いものの、そうしたマイナス評価が実態経済に大きな影響を与えているのが昨今の経済実態です。
 会計上の評価方法は、ある会社を見る場合の一つのものさしに過ぎず、しかも、そのものさしが毎年変更されているのですから、投資家も金融機関も決算を見る目を徐々に変えていかなければならないはずですが、世の中の多くの人は、「黒字か赤字か」というところにしか興味がありません。

 その結果、「風が吹いたら桶屋が儲かる」という因果関係よりもずっと希薄そうな「アメリカで住宅ローンを返せない人が増えると、日本で派遣切りが増える」という因果関係が現実になるところに現代社会の怖さがあります。

 実際、年末年始にかけて、「年越し派遣村」の話題が何度もマスコミに取り上げられ、生々しい声を聞かされると
  世の中の厳しさ
を感じさせられます。
 ただ、マスコミが
  「派遣切りは、ひどい。派遣労働者を継続雇用しろ。」
という風潮を形成しつつあるのは、気になります。

 GMやクライスラーの例をあげるまでもなく、売上が減って、人件費が削減できなければ、会社の利益が減ったり、損失が出たりするのは当然であり、何よりも優先される人件費の支払いのため、資金繰りがつかずに倒産する会社だって沢山あるあけです。

 とすると、売上が急激に減っているときに、派遣切りをせず、かつ、企業を正常に存続させるという難問を解くためには
   正規雇用者も含めて給料を切り下げる
というのが最も現実的な選択肢になりますが、それはそれで法律上も事実上も難しい。

 「大企業は潰れないのだから、可哀そうな人を助けろ。」という情緒的な考え方は、前提自体が間違っていて、
  小さくなったパイを、働く者の中で、どう分けるか
という話を抜きに派遣切りの問題は語れないはずです。
 ワークシェアリングが、検討されながら、なかなか実現できないのも、この問題が
   資本家vs労働者
のイデオロギー対決ではなく
   労働者vs労働者
の利害調整だからだろうと思います。

 そういう意味で、現在、政治の世界で、派遣労働者の契約期限内解雇の制限等が論じられていますが、本当に、それが正しい方向なのか、個人的には疑問です。
 
 製造業務を派遣対象業務に加え、派遣受入期間を延長した労働者派遣法の改正(平成16年3月1日施行)は、当時の厳しい雇用状況を打開し、働き方の多様化に対応するために、派遣労働者が正規労働者よりも不安定ではあることを前提に働く場を提供するものとして行われたものでした。
 1年を超える派遣を受け入れるときは労働組合等の意見を聞き、また、会社が派遣受入期間を超えて雇用する場合には正規雇用の申し込みをしなければならない義務を課すなど、会社、正規労働者、派遣労働者のバランスをとった上で改正されました。
 
 誤解をおそれずに言えば、「雇いやすい」というのを売りにして、雇用を創出しようというのが、労働者派遣法改正の根底にあったはずです。
 そうした労働者派遣法のもとで派遣労働者として働いていた以上、景気後退の場面で派遣が解消されるのは、やむをえないことです。
 もし、現時点で派遣労働者の調整ができないような法律改正がされれば、法律の施行前の駆け込み派遣切りが増える可能性もあり、また、「生活が苦しく、短期間でいいから働きたい」というニーズも満たせなくなるのではないでしょうか。

 また、派遣切りの問題と下請け切りの問題は紙一重であり、問題を「派遣切り」に矮小化してしまうことはできません。現在、下請け会社も苦しんでいますが、かといって、法律で、受注を強制することはできないわけで、「苦しそう」「可哀想」ということと、その人たちをどうやって救うのかという議論を混同してはならないと思います。

 私は、派遣切りにあった派遣労働者の悲惨な現実に目を向けることは大切なことですから、国や地方自治体が、
  一時的居住スペースを用意する。
  炊き出しを行う
  生活保護の申請に積極的に対応する
等ということをやれるような法制及び行政上の手当をすることは必須だと思います。
 国が、「年越し派遣村」を作ったっていいんです。
 また、失業者への就職斡旋や雇用創出を積極的に行うことも重要でしょう。

 しかし、昨年秋以降に急激に訪れた不況の中で、企業が生き延び、企業で働く者の生活を守っていくためには、何らかの雇用調整は避けられません。

 だからこそ、政治の世界でも
  雇用調整の手段として、どのような制度が適切か。
  セーフティネットとしてどのようなものを用意するか。
という点を正面から議論して救済策を策定すべきだと思いますし、マスコミも
  派遣切りを制限することにより、誰が不利益を被るか
ということを伝えて貰いたいところです。
 
 年明けそうそう会社法と全く関係のない話になってしまいましたが、次回からは、真面目に会社法の話をします。

 今年もよろしくお願い申し上げます。

(質問コーナー)
Q1
30秒のキスはしてもらえたのでしょうか?
さらに、その先に良いことはあったのでしょうか?
教えて下さい!
投稿: 受験生 | 2008年12月25日 (木) 18時33分
A1
この質問の回答には、チャージが必要です

Q2
貸借対照表の「純資産の部」を「資本の部」と呼ぶのはもはや間違いといってもいいのでしょうか?
投稿: 受験生 | 2008年12月26日 (金) 11時13分
A2
今は間違いです。

Q3
千問の道標のQ99の関係条文が107条となっていますが,108条のほうが適切ではないでしょうか。
投稿: | 2008年12月31日 (水) 02時00分
A3
どちらでもよさそうです。

Q4

検事任官志望のものです。
検事をしていて良かった点とつらかった点を教えていただけると幸いです。

投稿: お正月はHERO見ました | 2009年1月 4日 (日) 22時12分
A4
<良かったこと>
コストがいくらかかっても、上司が何を言おうとも、自分でとことん事実を追求できること
<つらかったこと>
内閣法制局で参事官が3時間も一言も口を開いてくれず、じっと、参事官の前で座っていなければならなかったこと

Q5
1.論文作成について
規範の中に、登場人物(A,Bや、甲、乙)が出てくる答案例や論証をたまに見るときがあるのです。
ですが、規範(Rule)の部分には、登場人物が出てくることは無い・・・と思うのですが、お間違いは無いでしょうか?
当てはめの部分には、問題文の事実を使うため、出てこざるを得ないと考えるのですが・・・。
A5
 そのとおりですが、紙数や、時間の関係で、あてはめと規範定立をまとめて書くこともあります。

Q6
択一試験は、長時間のため、集中力の維持が難しいです。
人によっては、途中でトイレに行ったり、体操する方もいらっしゃるようですが、私にはとてもその時間の余裕もありません。
勉強不足で解くスピードが遅いのだなあと反省しております。
問題を解く順番(憲法→民法→刑法or刑法→民法→憲法など)を、変えてみたりなどを、模擬試験で試行錯誤・工夫をしてみましたが、なかなかうまく行かず疲労困憊です。。。
葉玉先生は、あの3時間半をぶっ続けで回答していらっしゃいましたか?(また、その持久力養成の訓練をしていましたか?)
それとも途中でブレイクをとっていたりしましたか?
A6
私は、ぶっ続けでした。
トイレに行く時間があったら、解答精度をあげる時間に使います。

Q7
また、先生が解いていた科目の順番(民法→刑法→憲法など)は、どの順番でしたか?
投稿: ミナミアルプス | 2009年1月 5日 (月) 10時47分
A7
1番から順に解きます。
その方が、回答欄を間違えたりする可能性が低く、かつ、効率的です。

Q8
公認会計士は、独立性というものがよく強調されます。その趣旨は、財務諸表利用者が、財務諸表が適正に作成されてるかどうかに対する心証を確保するためだと理解してます。その現れの一つとして、二親等以内の親族が被監査対象会社の株を保有してはならないという規定が公認会計士法にあります。
一方、世の中の流れとして反社会的勢力の排除があると思います。
以上の二つの事等を考慮しまして、監査法人で法定監査業務を行う職員の親族に反社会的勢力に該当する者がいた場合、関連諸法に規定されていないとはいえ、問題がないことはないと思います。
投稿: 会計士志望の会計士試験合格者 | 2009年1月 5日 (月) 14時14分
A8
親族がヤクザだからといって反社会的勢力と即断することはできません。

Q9

以前弁護士の仕事で税務・会計は必須ということを仰っていらしたとおもうのですが、具体的には簿記2級の勉強の他やっておくべきことはありますでしょうか。

投稿: | 2009年1月 7日 (水) 16時17分
A9
所得税法・法人税法・相続税法です。

Q10
248の回答の1・2段落
「発行可能株式総数は定款記載事項であり(37条)、これを減少す
るためには、別段の定めがある場合を除き、株主総会の特別決議
を要する(309条2項11号)。
 自己株式の消却を行う場合については、会社法上発行可能株式
総数の取扱いについての別段の定めは設けられていないことから、
別途、株主総会の特別決議により、発行可能株式総数を減少させ
る旨の定款変更を行わない限り、自己株式の消却によって発行可
能株式総数が減少することはない」

以上の記述は、立案担当者による新・会社法の解説(別冊商事法
務No295)P28の上段の記述と同趣旨であると考えますが、立案
担当者による新・会社法の解説の方には千問の道標Q248の回答
の3段落目
「ただし、定款に自己株式の消却をした場合には消却した株式の数
について発行可能株式総数が減少する旨の定めがある場合には、
当該定めは有効であるものと解される」の記述は見当たりません。

会社の中には、立案担当者による新・会社法の解説のみを根拠とし
千問の道標の3段落目に相当する定款の但書を削除する会社もあ
った旨耳にしておりますが、千問の道標のQ248の1・2段落目が原
則であり、例外的に(合理性があるから)、3段落目の様な定款規定
を置くことも許されるとの理解で良いのでしょうか?

よって、立案担当者による新・会社法の解説の記述と千問の道標の
Q248の記述は上記の様な理解により矛盾はしていないと考えれば
良いのでしょうか?

投稿: 独眼流 | 2009年1月 8日 (木) 12時56分
A10
矛盾はしていません。
書いた時期が千問の方が遅く、商事法務の連載後に、質問があったので、付け足したんだと思います。

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コメント

新司法試験に向けた学習について、質問させていただければ幸いです。
先生はよく、「基本書を通読したことはない(不要)」と仰っておりますが、その趣旨は、基本書を通読するのは、かえって有害だ、というところまで含んでいないとの理解でよろしいでしょうか。
最近、基本書を読むことの有用性を解く合格者の方も多く、場合によっては積極的に評価すべき点があるようにも思われます。(一貫した視点からの解釈に学ぶ、そこから応用力を養う、穴を作らない、等)
ただ、基本書を読むことが目的のようになって、これを通読することでかえって効率的な勉強が妨げられるならば、本末転倒である、という意味なのでしょうか。あるいは、もっと積極的に、基本書通読に落とし穴があることを指摘するものなのでしょうか。

投稿: 受験生 | 2009年1月 9日 (金) 17時23分

ご回答ありがとうございます。(前回のQ8の質問者)
反社会的勢力というテーマについて、本気で悩んでいた時期があり、またどっちつかずの宙ぶらりんという形に耐えることを覚えたことで悩みをある程度乗り越えれました。「生命の危機」は感じなかったのですが、「人生の危機」を常に感じ、また周囲に理解されないことに絶望(誰にでも話せるような内容でもないので、それもきつかったです)もしていましたが…、本当によく乗り越えたな~という感じを抱いているこの頃です。

投稿: 会計士志望の会計士試験合格者 | 2009年1月 9日 (金) 22時46分

昨年、恥ずかしながら法科大学院に落ちてしまい浪人が決定してしまいました。
学部の学歴がパッとせず、しかも今年上位といわれるローに受かっても学部浪人・ロー浪人という2年のマイナスがある状況ですが、英米資本の事務所を熱烈に志望しています。
このような経歴では上位ローに受かり、新司法試験に合格しても夢への道はかなり厳しい戦いになると予想しています。
そのため、この1年を使って法律以外にアピールできる武器を手に入れたいと思っているのですが具体的にはどのようなものが武器となりえるでしょうか。
先生のブログでTMIにおいては「一芸に秀でた」人は強いというアドバイスを参考にしていますが、なかなか思いつかず考えあぐねています。
TOEICは900点台まであと少しなので、それ以外に何かありましたら是非アドバイスをお願いいたします。

投稿: 受験生 | 2009年1月11日 (日) 07時53分

大変お世話になっております(ブログ上で)。
会社法100問についてご質問させていただきます。

P525の(四)(1)の第2段落「間接取引にも該当しない」
とありますが,P355(三)の第2段落の「監査役は取締役と異なり,…業績連動報酬を受け」ないから,監査役の会社との取引は間接取引に当たらないとあります。
ということは,P525のところでは業績連動報酬を強調して間接取引に当たると認定することは可能ですか?

仮に可能なら,自社の取締役が相手方会社の取締役である場合,利益相反の間接取引にあたるのが有力なのでしょうか。それとも当たらないのが有力でしょうか。有力かどうかが不明であれば,葉玉先生のご意見で結構です。

お手数をおかけいたしますが,よろしくお願いいたします。

投稿: こんにちは | 2009年1月13日 (火) 00時12分

明けましておめでとうございます!
恐縮ですが質問させて頂きます。

訴外Aは、本件建物をXから賃借していたが、AはXの承諾を得ることなく、本件建物の賃借権をYに転貸し、現在はYが本件建物に居住している。Xは、Aの無断転貸を理由に賃貸借契約を解除し、Yに対して建物収去土地明渡請求の訴えを提起した。この訴訟において、「Xの同意」ならびに「賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない特段の事情」という事実の有無が争点となった場合に、
これらの事実についての証明責任の所在について、どのように論じればよいのでしょうか??

投稿: | 2009年1月13日 (火) 17時54分

本日、買収防衛策のセミナーを受講させていただきました。
非常にわかりやすいご説明をいただき、ありがとうございました。

さて、ひとつ確認させていただきたいことがございます。

買収防衛策発動時には株主総会決議を得ておくことで適法性を高めうる、
というご説明があったかと思いますが、
大規模買付者が東京高裁4類型に該当すると考えられるとして、
取締役会で新株予約権無償割当て決議をした場合に、
裁判所で差し止められるリスクは高いとお考えですか?

投稿: msm | 2009年1月13日 (火) 22時34分

内部統制(全社統制)に関して、監査役との間に見解の相違があります。
内部統制のQ&A3では、「監査役が監査役の取締役職務執行に対する監視機能の状況について、監査人(監査法人)の確認を受ける。」とされていますが、ここで「確認を受ける」ということは、その前提として、監査役には監査人から確認を受ける事項について整備の責任があり、その根拠は、会社法施行規則上の「監査役に監査役監査の環境整備責任がある」旨の規定(100、105②)である、と考えています。
また、監査人(監査法人)から確認を受ける内容はQ&A3の(注)に記載されており、この点は全社統制の評価項目の一部に取り込まれています。
そこで、監査役が実際に整備を担当している監査役規程等の整備状況の評価の一部を監査役に依頼したところ、「内部統制整備の責任は取締役にあり、監査役が内部統制の評価に関わるわけにはいかない。」とのことでした。
上記回答の根拠には「金商法上、内部統制整備に監査役が責任を負うとは書いてない。」という主張があるようですが、冒頭のような考え方からするとこの主張には実質的に意味がなく、また、監査役が評価に関わることは内部統制整備の責任が取締役にあることと矛盾するものでもなく、かつ実際に整備を担当している監査役こそ整備状況を最も把握しており、全社統制上、監査役監査の環境整備に関して監査役も取締役の評価を受ける立場にある以上、むしろ環境整備の状況について表明すべき立場にあるのではないか。と思われますが、いかがでしょうか?
※弊社では整備状況の評価については、整備担当者による自己評価+独立的モニタリングで行うこととしています。

投稿: hiro | 2009年1月14日 (水) 11時26分

2008年7月1日付のブログ(競業避止義務における名義説、計算説に関して論じた部分があるもの)に関連して、質問させていただければ幸いです。

その1:次のような事例で、名義説、計算説から、自分なりに検討したのですが、葉玉先生はどのように考えられるでしょうか。念のため、自分は、現在は計算説に立ちつつも、名義説のほうが実は優れているのではないかと思えてきたところ、単純な事例ながら、計算説・名義説のいわんとしているのは、実は何なのか(バリエーションがあるのでは)、と思い始めているところです。

事例「A社の取締役Bが、C社の取締役となって、C社の名義において、A社と競業取引となる取引を行ったが、Bは、C社の代表取締役Dの夫であったような場合。」

名義説①:C社が名義であるので、取引の結果、Bが利益を得たとしても、規制の対象とならない。Bは、自分が利益を得られると思いつつも、法的効果としては、C社に帰属させようと思っているので。
名義説②:この場合、BとDは、経済的一体性があるので、名義説によっても、実質的には、B名義と同視できる。
計算説①:Bが実質的な損益の帰属主体となるので、規制の対象となる。
計算説②:Bは、Dとは経済的に一体的とはいえない経済・生活実態を有しているので(なお、別産制)、計算説にたっても、承認が必要とはいえない。

その2:名義説が優れている点の一つとして、形式的な基準を提供しているところと思われます。(承認を得るかどうか、事前に判断する必要がある。)その点、計算説は、実質的な損益の帰属主体をみるので、競業避止規制が、予防的・形式的に規制を課したとするならば、名義説をとるのが簡明とも思われます。そこで、逆に計算説の立場にたったとすると、どのような反論が考えられるでしょうか。

投稿: まんじゅう | 2009年1月14日 (水) 23時34分

五月雨で質問するつもりはなかったのですが、先ほどの続きで質問させていただければ幸いです。

先ほどの事例、「A社の取締役Bが、C社の取締役となって、C社の名義において、A社と競業取引となる取引を行ったが、Bは、C社の代表取締役Dの夫であったような場合。」で、仮に、Bは、C社の代表取締役Dの夫ではなく、ただの取締役であったとしても、C社からは報酬を得られます。

そこで、計算説にたったとしても、(間接的に)報酬を得られることで、損益の帰属主体とみられるのでしょうか。若干、主体というにはためらわれます。(規制が広くなる)。他方、そうでないとした場合、競業避止義務をかけられないとなれば、A社の取締役であるので、A社の営業秘密も知っており、C社に間接的に貢献して、A社に損害を与える可能性もあるので、やはり、規制すべきようにも思われます。立法趣旨としては、いずれの説に立つかは別として、取締役が、自己・第三者に、いかなる程度で損益が帰属するならば、規制の対象とする趣旨である、とお考えでしょうか。このような場合には、忠実義務違反のみで捕捉しようとしているのでしょうか。

投稿: まんじゅう | 2009年1月15日 (木) 00時06分

司法試験合格後に税理士試験か公認会計士試験のどちらかを受験しようと私は考えています。
葉玉先生なら、どちらを勧めますか?

投稿: こんちゃん | 2009年1月15日 (木) 05時57分

直接損害・間接損害について、ご質問させていただければ幸いです。直接的には、百問27問の問題です。
いちおう、ネットで検索して、2006年1月7日のブログに、間接損害も含まれる、その損害は、端的には株価の下落である、とありました。

そこで、間接損害について、もしかしたら定義の問題に過ぎないかもしれませんが、(百問27問を下敷きにして)

「親会社Pが、子会社Qに不当な影響力を行使して、廉価で製品を買い入れ、Q社に損害を与えた場合、P社(および代表取締役・取締役)との関係では、Q社の株主Aに生じた損害は、直接損害になるのか、間接損害になるのか。」

ということで頭を悩ませています。
Q社の取締役に任務懈怠があれば、間接損害となりそうですが、P社にとってみれば、Q社の株主は、第三者であり、Q社に株価の下落が生じても、P社への代表訴訟によるわけにもいかず、「P社」との関係では、直接損害になるようにも思われます。

そうすると、一般の教科書で、間接損害につき、「取締役の悪意・重過失による任務懈怠から会社が損害を被り、その結果第三者に損害が生ずる場合」とありますが、ここでの、「会社」は、任務懈怠をした取締役が属する「会社」であって、「第三者」も、当該「会社」が損害を被ったことにより、損害が生じた第三者であって、「他の会社」に損害を与え、当該「他の会社」の株主に損害が生じた場合は、間接損害にあたらず、「直接損害」にあたる、と考えることになりそうです。

議論の実益、前提に誤解があるかもしれませんが、考え方をご教示いただければ幸いです。

投稿: 論文は辛いよ | 2009年1月15日 (木) 15時47分

新年&弁護士ランキングおめでとうございます(遅ればせながら)。

ブログの趣旨とは若干異なりますが、よろしければお願いします(ダメならスルーしてください)。

刑法の学説は、行為無価値と結果無価値に大別されますが、実務ではどちらに立ってるのでしょうか。

法律の勉強を始めて、約1年になります。
実務は行為無価値だと聞いていましたが、実務家は行為無価値や結果無価値にとらわれることなく、妥当な結論を追求しているっていう人もいます。

個人的には、学説(理論)は虫眼鏡のような、物事を分析するための道具であり、行為無価値的な立場から検討している(=事実を行為無価値に合わせるのではない)と想像します。


投稿: | 2009年1月16日 (金) 21時58分

完全子会社が債務超過の場合に、完全親会社と合併する場合のことで
御教授ください。増資で債務超過を解消してから合併する場合と債務超過の
まま合併する場合でそれぞれメリット・デメリットを教えてください。
なお、簡易合併ではありません。

投稿: 不景気 | 2009年1月17日 (土) 23時00分

>30秒のキスはしてもらえたのでしょうか?
>さらに、その先に良いことはあったのでしょうか?
>教えて下さい!
>投稿: 受験生 | 2008年12月25日 (木) 18時33分
>A1
>この質問の回答には、チャージが必要です

この質問のチャージ料は、いくらですか?
面白そうなので、100円だったら送るので、100円でよろしい場合は、
振込先口座も合わせてご回答して下さい。

投稿: 質問者 | 2009年1月18日 (日) 14時49分

略式合併について質問です。
784条1項本文における略式手続において総会特別決議が不要とされることの例外として同ただし書が規定されていることの意味は,譲渡制限への定款変更と同じ(=特殊決議を要する)だからと説明されており,それは理解できましたが,

796条1項本文の例外である同ただし書について,その趣旨がよくわかりません。
基本書には,非公開会社が株主割当以外の新株発行をするのと同じだから,という説明があったのですが,非公開会社が第三者割当をする場合にも,特別決議で足りるのが通常のはずで,なお承認総会を要求しても,承認されることは明らかであり,あえて特別決議を要するとする意味はないように思えるのですが…

投稿: ビギナー | 2009年1月18日 (日) 20時36分

葉玉先生こんばんは。
この度、地方国立LSに未修枠で進学することとなりました。
そして合格者のブログ等で情報収集した結果、入学後は判例百選等判例を中心とした勉強をしようと考えております。
そこで質問です。
効率よく学習するにはどのように判例を読み進めるのがよろしいでしょうか?
できればオウム、キリン、サイの力を前提に、①初学者②中級者③上級者の利用法に分けてご教授ください。
もし過去に書いてある場合は「○年○月あたりに書いてます」と教えていただけませんか?過去ログも読んだのですが見逃した可能性があるので。
よろしくお願いします。

追伸、
ブログ更新が滞りがちで寂しいです。
親父ギャグの一行でもよいので、しょこたんブログ並みの更新期待してます!

投稿: noah | 2009年1月19日 (月) 01時26分

株主総会における定足数等について質問させて下さい。

 代表取締役である筆頭株主が死亡し、相続人は相続放棄を行なうかどうかの熟慮期間中のため、名義書換も、議決権行使の代表者届も行なわない場合、

1.上記の状態のまま、死亡者あての招集通知を送って欠席扱いとした場合、会社は善意無重過失と言えないので免責されないことになりましょうか?
2.上記の場合も、死亡者の株式は「議決権を行使することができる株主」として扱わざるを得ず、定足数には算入するしかない。従って、他の株主の議決権で定足数が満たされない場合は、議決ができないことになりましょうか?
3.上記1、2の結論は、実際に相続放棄が行なわれ、相続人が不存在となり相続財産管理人が未選任の場合も同じことになりましょうか?

投稿: genmai | 2009年1月20日 (火) 06時54分

葉玉先生がロータス21さんから出される予定のDVDは、
いつ頃発売になるのでしょうか??
ロータス21のHPではかれこれ半年ほど編集中になっております。
地方のローに通っていますと、
どうしても会社法や知的財産系など新しい法律の授業がいまいちになり、
理解度も浅くなります。
選択科目は労働法とかをとればいいのですが、
会社法は避けて通れません。

そこで、先生のDVDで予習・復習しようと考えています。
来年度の授業のために聞くには2月中に手元に欲しいのですが、
それくらには発売されるのでしょうか?
また、内容は実務よりでローの授業・新試対策には向かないのでしょうか?

先生やロータスさんの懐事情もあるでしょうが、
購入者の何割かはロー生だと予想されますので、
貧しいロー生の懐にありがたい価格でとうれしいです。

投稿: | 2009年1月20日 (火) 14時54分

葉玉せんせー、あけましておめでとうございます。

某国立大未修一年の者です。
さて、今日はTMIの大御所、升永英俊先生についての質問です。
以前に升永先生のお話を伺ったことがあり、ものすごく情熱的で、半端じゃない人だなーと思っていたのですが、弁護士としては、イチロー並に凄い方ですよね。

TMIの同僚として、葉玉先生がプロの視点で、間近でごらんになっていて、どんな努力をしたらあそこまでいけるのか、とか、何が普通の弁護士と違うのか、とか、と升永先生の凄さについて感じられた点があれば、その辺をお教えいただけないでしょうか。

私が、世界で二番目に尊敬し、目標としている弁護士が升永先生なので、良かったら葉玉先生のコメントをお聞きしたいです。

(ちなみに、一番は、もちろん葉玉先生でございます( ̄▽ ̄)。)

投稿: はるくん | 2009年1月21日 (水) 15時14分

>> この質問の回答には、チャージが必要です

>この質問のチャージ料は、いくらですか?
>面白そうなので、100円だったら送るので、100円でよろしい場合は、
>振込先口座も合わせてご回答して下さい。


個人的には僕も聞きたいところですが、
葉玉先生の回答は、きっと、
「妻子ある身で、そんなもんこたえられんわい」と言う趣旨(だと思う)ですよね。

遠まわしに、やんわーり、ユーモアを込めて、
回答を拒絶してるんだから、「もう突っ込むなよ」
というのが、多くの読者(&葉玉先生)の感覚ではないか、
と思いますが。

まあ百歩譲れば、
「葉玉も、突っ込まれるようなネタ振るなよ!」
とは、言えるかも知れませんけど。

投稿: ふもふも | 2009年1月21日 (水) 15時36分

>>> この質問の回答には、チャージが必要です

>>この質問のチャージ料は、いくらですか?
>>面白そうなので、100円だったら送るので、100円でよろしい場合は、
>>振込先口座も合わせてご回答して下さい。

>個人的には僕も聞きたいところですが、
>葉玉先生の回答は、きっと、
>「妻子ある身で、そんなもんこたえられんわい」と言う趣旨(だと思う)ですよね。

良いじゃん。100 円!

投稿: そうかなぁ? | 2009年1月21日 (水) 20時55分

株券電子化について質問いたします。
信託銀行が株主から上場企業の株券を提出された場合、無効になったからといって穿孔して細断廃棄してしまってもよいものでしょうか。あるいは株券はあくまでも株主の所有物なのだから返却すべきでしょうか。ご教示ください。

投稿: さかしら | 2009年1月21日 (水) 21時06分

 いつも楽しく拝見しております。上場会社の一担当者です。
 以前、インサイダー取引に関して、
「売買を禁止された役職員の不満のはけ口(代替措置)が必要」
とおっしゃってましたが、具体的にはどのようなものでしょうか。
 その後の世の中の状況も大して変わっていませんので、
会社としての実のある取組みの必要性を感じる今日この頃なのですが。。。
 チャージ料もお支払いできず不躾で申し訳ございませんが、
よろしくご教示くださいませ。

投稿: 悩んでいます。 | 2009年1月21日 (水) 21時39分

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投稿: datings4u | 2009年1月28日 (水) 21時28分

葉玉先生は、法科大学院の現状をどのようにとらえ、問題があるとしたらどのような解決策があると葉玉先生個人はお考えでしょうか?

私は、アメリカで学部、大学院修士留学していたので、新司法試験合格者が修習後就職できなくて困っていると事実が社会問題化されていること自体が不思議です。なぜなら、アメリカでは大学、大学院、また法科大学院には、学生の就職の面倒を見ることが含まれていないからです。学生に教育を施すことを終えると、後は各自自分の進む道を自分で開拓しなさい、というような感じです。

弱者救済や社会のために役立ちたいと高い志を持った人が法曹になりたいと、先日まではよく聞きました。 ところが、法科大学院卒業後の新司法試験合格率が落ちて、また修習後の就職も難しいとなるとなると、めっきり法科大学院への入学を希望する人が減ったのは、上記の志望理由は建前だったのかと疑ってしまいます。

アメリカの新大統領オバマ氏は、つい最近までハーバード法科大学院の学費のローンを返済していたと聞きます。高い志を持つ人は、立ちはだかる困難にも向き合っていけるはずだと思います。

日本では、法科大学院にかかわる状況の悪さを社会が問題視しすぎで、法科大学院の入学者定員を減少させるという、司法改革の目的(開かれた身近な法曹)の反対を進みはしないかと危惧しています。

私は、3,000人の新司法試験合格者目標を維持すべきで、法科大学院や修習機関は実務法曹に入ろうとしている人の就職保証の義務はまったくないと考えます。
法科大学院や修習機関は、教育を施す施設でありハローワークではないのですから。

投稿: まるまる | 2009年1月29日 (木) 11時50分

アメリカでは大学、大学院、また法科大学院には、学生の就職の面倒を見ることが含まれていないからです。学生に教育を施すことを終えると、後は各自自分の進む道を自分で開拓しなさい、というような感じです。
  ↓
アメリカでは、弁護士が自分の道を進みました
  ↓
http://www.business-i.jp/news/bb-page/news/200901290021a.nwc
相談料暴騰 1時間1110ドルも 弁護士、破産案件に高笑い?

債権者が融資を全額回収しきれていないというのに、米法律事務所カークランド・アンド・エリスの弁護士たちは破産案件の相談で1時間1110ドル(約9900円)もの料金を請求している。

米格付け会社ムーディーズが、景気後退の影響で債権者の融資回収率は22%下落すると予想しているというのにである。

カリフォルニア大学で破産法を教えるリン・ロプッキ教授が試算したところ、破産案件の相談料はインフレ率の実に4倍のペースで伸び続けているという。1998年から2007年の間に消費者物価指数は25%程度しか上がっていないのに、破産に関連して弁護士や会計士、その他の専門家に払わされた料金の総額は2倍に跳ね上がっている。

ロプッキ教授は、「景気が悪くなるにつれ、破産弁護士たちは料金を引きあげている。」と述べた。

投稿: | 2009年1月29日 (木) 12時15分

「会社法と実務」の第6回の講義内容について質問させてください。

先生は、「違法行為差し止め請求権を定める会社法360条の『法令違反』には、善管注意義務違反は含まれないないのが通説である」とおっしゃっていました。

江頭先生や最近出たリーガルクエストでの教科書の記述をみると善管注意義務を含むと書かれています。

今年の司法試験での出題で類似論点が出題され、試験後、大学の先生に質問しましたが、上記『法令違反』に善管注意義務が含まれるということは当然の前提として解答されました。

『法令違反』に善管注意義務を含まないという見解は、1000問などにも書かれていなかったのですが、他に論文として書かれているか、ご教授お願いします。

投稿: 平成21年司法試験 | 2009年6月16日 (火) 22時37分

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