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2008年8月25日 (月)

医者の注意義務

 本日、「ウチくる」という番組に本村健太郎弁護士がゲストとして登場したのですが、私は、その友人として出演させていただきました。
 前回のコメント欄に「テレビ出演おめでとうございます。」とあるのは、その件です。
 弁護士業務と何の関係もない脇役でのテレビ出演ですので、それほど「おめでたい」わけではなく、番組を見ていただいた方は
  「へえ、これが葉玉かあ。」「へんなおじさんだなあ」
と思っていただいたのではないかと思います。

 さて、今日は、会社法ネタに飽きてきたので
  「大野病院医療事故無罪判決」
にインスパイアされ、医療過誤ネタを書きます。

 この大野病院医療事故事件については、とりあえず
http://mainichi.jp/area/fukushima/news/20080821ddlk07040172000c.html
を見てください。
 この事件は
   医者が、治療行為をして患者が死亡した
という点では、よくある医療事故事件ですが
   それで、医者が逮捕された
という点では、特異な事件です。

 このような医療事故については、これまでも、山のように損害賠償の判例があります。

 多くの医者にとって患者の死はそれほど珍しい経験ではなく、「患者が死んだからといって、自分に責任を押しつけらたらたまらない」というのが偽らざる実感だと思いますが、実際には、多くの病院で、医療過誤について損害賠償を求められたり、医療過誤についてのクレーム処理を迫られているのが現実です。

 特に産科や小児科は、「親が子を思う心」の強さや、「子供の幸せな将来を奪った」という思いから、常に訴訟リスクにさらされています。

 刑事事件の捜査でも、おそらく産科や小児科の事故については、相対的に入念な捜査がされているのではないでしょうか。
 私が、若い頃、交通事故の事件を沢山やっていたときも、被害者が「年を取ったお爺さん」のときは、遺族は
  「最近、うちの爺さんは、目が悪くなっていたので、信号をみずに、車道に飛び出したんでしょう」
などと言うのですが、被害者が「小学生」のときは、遺族は
  「うちの子が飛び出しなんかするはずない。相手を厳罰に処してほしい。」
と言われることが多かったですね。客観的証拠から子供が飛び出したことが明らかでも、なかなか納得してくれず、証拠上、必ずしも事実が明らかでないときは、なおさらです。

 だから、捜査機関にとっては
   「子供」が被害者の事件は、徹底した捜査をしないと遺族の納得を得られない
というのが常識であり、被害者や遺族に対する説明責任を果たすために捜査に力が入る傾向にあります。

 問題は、そうした民事責任や刑事責任の追及が、医者にとって耐え難いリスクと捉えられていることをどう捉えるか、です。

 特に民事責任は、医師賠償責任保険でそれなりのリスクヘッジがされるのに対し、刑事事件は保険ではカバーできないので、萎縮効果が高く、刑事政策や法律の解釈が、医療政策にも大きな影響を与えています。
 大野病院医療事故事件は、治療行為をやって「逮捕された」というのが医者にとってはとてつもなくショッキングだったようです。

 この問題を、より深く分析すれば、次の3点がポイントとなります。

 (1)刑事責任の過失と、民事責任の過失は、同じか。
 (2)医者がどの程度の行為を行えば、予見義務・回避義務を果たしたといえるか。
  (3)医療行為についての業務上過失致死について、どのような場合に「逮捕」すべきか。

(1)刑事責任の過失と、民事責任の過失は、同じか。
 刑事の業務上過失致死罪は、被告人が、注意義務(結果予見義務及び結果回避義務)に違反し、その注意義務違反行為によって結果が発生した場合に成立します。
 民事の不法行為に基づく損害賠償責任も、抽象的には、ほぼ同じ要件ですが、刑法の謙抑性から、一般には、刑法上の注意義務違反の成立の方が厳格に解されるべきであると言われています。
 もっとも、具体的に、どのような事実をもって注意義務違反とするかを考えはじめると、刑事と民事で有意的な差はないような気がしてなりません。
 大野病院医療事故事件でも、判決を見る限り、民事事件で示される注意義務の要件とほとんど変わらないように思います。

(2)医者がどの程度の行為を行えば、予見義務・回避義務を果たしたといえるか。
 
 医者の注意義務は、一般的には、診療当時の臨床医学の実践における医療水準に照らして判断されます。この点は、民事も刑事も変わらないと思います。

 この注意義務は
 ① 診療後に、治療方法が進化したとしても、あくまで診療時を基準時とする
 ② 「学問としての医学水準」「研究者としての医学水準」ではなく、「臨床における医療水準」である
 ③ 臨床における医療水準についても、治療を行った医療機関の性格(大学病院か、個人病院か等)、その所在する地域の医療環境の特性等の諸般の事情を考慮して決する
という点がポイントです。

 そのため、実際の裁判では
 ① 診療時の患者の状態
 ② 診療時の治療行為の内容
 ③ 治療行為と患者の死亡等との因果関係
という客観的事実を立証した上で
 その治療行為が、診療時の医療慣行に反するものでないか
という点を、他の医師による鑑定や証言等により、明らかにしていくという手順をとることが多いわけです(もっとも、治療行為自体が医療慣行に反するという立証はなかなか大変なので、最近は
  ④ 治療にあたって説明に虚偽・誇張・不備がなかったか。
  ⑤ 治療方法が選択可能である場合に、患者に選択させたか。
という手続的な不備を問題にするケースも多いですね)。

 大野病院医療事故事件の無罪判決も、端的に言えば、被告人の治療行為が医療慣行に反するものではないことを理由としています。

 私は、この「医療慣行」重視の判断手法については
  医療慣行に従って治療を行えば、責任を問われない
という点では高く評価しているのですが、
 ① 医療慣行には従っていない最先端の治療行為や高い技術水準を持つ医者だけが行うことができる治療行為について、免責の根拠になりえないこと
 ② 医者が、うっかり医療慣行に反する診療をした場合に、その全てについて刑事責任を認めるのは、酷であること
の2点については気になっています。

 法律家は、「人の命に影響を与える行為を行うものには、高度の注意義務が課される」と考えるのが普通ですが、私は
  自動車事故における自動車の運転や労災事故における労働は、注意義務違反をした者の利益のために行われたものであるのに対し
  医療事故における医療は、被害者の利益のために行われたもの
ということに、もっと配慮すべきであると思います。

 医者は、病気や怪我をした患者を相手にしています(治療をしなければ、そのまま死ぬ人だっています)。医者は、患者の状態を問診や検査で把握するものの、神様ではないので、把握するのが難しい場合もあります。
 しかも、患者の身体に何の影響も与えずに、治療するのは不可能であり、常に、患者の容態を悪化させるリスクを背負いつつ、治療します。

 医者が、患者の状態を見誤っているリスクや、患者の様態を悪化させるリスクを背負いつつ、治療を一生続けていくことを考えると
   99.99%の治療は医療慣行に従っていたが、0.01%だけ医療慣行に従わない治療を行ってしまった
というときに
  業務上過失致死で有罪
を問うのは、かなり酷です。
 人間は、完全な生き物ではないことを前提に、医師の注意義務を考えれば
  医療慣行に従わない治療であっても、患者の病状を改善する可能性があった場合には、注意義務違反とはならない
という考え方をすべきであるように思います。

(3)医療行為についての業務上過失致死について、どのような場合に「逮捕」すべきか。
 「逮捕」は、罪証隠滅のおそれがあるために被疑者の身柄を確保する処分です。警察にとっては、自動車の死亡事故でも逮捕するのが当たり前なので、「逮捕」を軽く考えがちですが、普通の医者にとっては、医療行為について逮捕されるというのは、「人生の終わり」と感じるほど重いことです。
 医師が逮捕されれば、その医師が主治医となっている患者への悪影響も懸念されますし、現在の保険診療制度のもと、医者が突然いなくなると、医者の定数割れになり、病院に深刻な経済的打撃を与えることもあります。
  殺人事件ならばともかく、通常の治療行為に伴う過失犯の場合の逮捕は、相当慎重に行わなければならないように思います。

 私は、故意や重過失の医療過誤に対し刑事責任が及ぶのは当然だと思っています。
 医者を含む医療関係者が、「慣れ」や「未熟」に起因する怠慢により、患者の生命や身体に危害を与えることも厳に回避しなければならないでしょう。
 また、刑事民事問わず、医療過誤における証拠保全は適切に行われなければなりません。医者の「学閥」「仲間意識」によって、真実を曲げることは許されません。

 他方で、捜査関係者は、治療行為に対する刑事責任の追求が、医療行政に大きな悪影響を及ぼすことを認識しなければならないとも考えます。

 私は、妻が医者であり、親戚や友達にも医者が沢山いるので、「医者寄り」のバイアスがかかっていると思われるかもしれません。
 しかし、私は、母が健康診断でガンが発見されていたにもかかわらず、1年以上も、告知されなかったため、末期ガンになってしまったという経験をしたことがあり、母が死んで10年経ったいまでも、そのことを思い出すと、胸が締め付けられる思いがします。ガンの告知を怠った医師に対する憤りは今も消えていません。

 ただ、一法律家として冷静に考えれば、法解釈が、「産科医」「小児科医」不足を生み、医者の過度に保守的な診療を生んでいるという現実に目をそらすこともできません。

大野病院の無罪判決を契機に、法と医療が、一歩ずつ歩み寄るような動きになればよいと思っています。

(質問コーナー)
Q1
私は企業法務に関係する活動をしたいと考え,ある程度以上の規模の事務所を目指していましたが,TMIを含め現時点でオファーを頂いている事務所はありません。
合格発表前に決まるのは難しい状況だと思います。
ですが,現在も企業法務に関係する活動をしたいという思いは変わりません。(むしろお話を伺うと益々その気持ちが強くなりました)
そこで,最近話題の(?)インハウスロイヤーという道も考えているのですが,法曹としてのキャリアを考えるにあたって,葉玉先生が考えるインハウスロイヤーのメリット・デメリット,また最初からインハウスロイヤーとなることについてどう考えるかについて伺えればと思います。
A1
 インハウスロイヤーは、会社ごと、部署ごとに役割が全く違いますので、一般化してお話しすることは難しいです。
 ただ、短期間の腰掛けのつもりでインハウスロイヤーになるのは、法曹としての力を養うという点では、あまりプラスにはならないように思います。
 インハウスロイヤーになるのならば、その会社に骨を埋めるつもりで仕事に精進し、法律の力でその会社に貢献し、インハウスロイヤーの地位を向上させるくらい頑張りましょう。そうすると、法曹としても、よいキャリアになるでしょう。

Q2
これは質問というよりお願いなのですが,先生のいらっしゃるTMIを含め面接後何の音沙汰もないという事務所が多いです。
先生方やスタッフの方も通常業務に加え,就職活動の相手をするのはとても大変なこととは思いますが,就職活動をしている側も合格発表を控え不安定な気持ちなのに,事務所から何の連絡もないのは非常に落ち着きません。
周囲の人が連絡を受けていて,自分に連絡が来なければ大体の想像はつきますが,それでも全く連絡がないのは精神衛生上良くないので簡単でも「今回はお断りします」というメールを頂ければと思います。
(もしくは大体○日以内には連絡します,としていただくか)
是非来年以降の後輩達の就職活動の際にはご検討ください。
投稿 合格&就職未確定者 | 2008年8月10日 (日) 17時24分
A2
お気持ちは非常によく分かるのですが、なかなか難しいところです。
「今の時点では呼べないが、定員が足りなければ呼びたい人」をどうするかということです。
「駄目でした」と言えば、もう呼べませんし、かといって、「来てください」とも言えないし。どうするのが一番良いのか、よく考えます。

Q3
百問p273の6によれば、「非取締役設置会社になることにより、混乱を回避することができる」と書かれていますが、たとえばもし出題の設定が公開会社の場合、取締役会は設置義務ですから、当該会社が公開会社でありつづけたい場合、あてはまらない理由付けではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

また、そもそも、先生は、p270で定款変更を行えば、取締役会を廃止することができると述べられていますが、やはり公開会社等では、取締役会は設置義務ですから、汎用性のない理由付けかと思うのですがいかがでしょうか。

もし、私の疑問が適切な場合、公開会社において、選任解職権を株主総会に委譲し、かつ、取締役会に選任等の権限を残した場合における、他の許容性的な理由付けはございませんでしょうか?

新司法試験では公開会社又は取締役会設置会社(の形態を維持したいと当事者は思っている)のケースが出題されるかと思うので、先生の理屈付けは試験との関係ではリスキーでしょうか?

なるべく、条文に忠実な先生の解釈を自説にしていきたいので、ご教示お願いいたします。
投稿 だっち | 2008年8月12日 (火) 20時14分
A3
だっちさんは、「理由付け」についての考え方を変えた方がよさそうです。
ちょっと問題意識にずれがあります。

Q4
会社法による内部統制と財務報告に係る内部統制の調整に苦慮しています。
将来の上場を視野に入れた、未上場会社のスタッフです。会社法の法定項目に関する内部統制システムの整備項目は、取締役会にて決議し、粛々と整備を進めていますが、その整備と金商法上の内部統制の具体的「整備項目」の区別がわかりません。(COSOや経済産業省の枠組みよりさらに具体的に)
最新の情報として、参考となる書籍やサイト等のご推薦をいただけると助かります。
投稿 内部監査人 | 2008年8月14日 (木) 17時58分
A4
そこら辺は、みんなの飯のタネなので、具体的なものを取得するのは難しいんじゃないでしょうか。

Q5
吸収合併や吸収分割では、差損が生じる場合、承継会社側で株主総会が必要です(795条2項)。
事業の一部の譲り受け場合でも、承継する債務が大きければ差損が発生するケースはありえると思いますが、事業の一部の譲り受けでは特に承継会社側で株主総会は求められないのでしょうか。
求められない場合、その理由があればご教示ください。
投稿 ご質問 | 2008年8月15日 (金) 14時27分
A5
 一部譲り受けならば、総会決議は不要です。
 会社法は、差損が出るかどうかという点で、総会決議の要否を決めていません。もしそうならば、寄付は、全部総会決議にしなければならなくなります。
 合併や会社分割は、総会決議を要するのが原則であり、差損が生ずる場合には、簡易合併という例外的な取扱いを認めないにすぎません。

Q6
 取締役が会計監査人の報酬等を定める場合には、監査役(会)の同意を得なければなりません(会社法399条)。
 また、会計監査人の報酬等については、事業年度に係る報酬等の額を事業報告の内容とすることになっています(会社法施行規則126条)。
 3月決算の会社であれば、5~7月頃に取締役が「年額○円」と定め、監査役(会)が同意しているケースが多いと思います。
 その後、期中において、取締役が、会計監査人の監査内容を増加させ、報酬等の額を増加する場合には、監査役(会)の同意は必須でしょうか。それとも、少しの額の増加であれば、同意は不要と考えてよいでしょうか。(弊社のケースについて言いますと、監査役会による報酬等の額の同意に際しては、会計監査人の監査内容と報酬額とを相対的に検討したうえで、額の妥当性を判断しましたので、監査内容が少し増加し、その分だけ額が少し増加するような場合には、監査役会の妥当性の判断も変わらないと考えられます。したがって再度の同意は不要と考えますが、いかがでしょうか。)
 また、取締役が、報酬等の額を単価(監査1時間あたり△円)により定め(同時に監査時間数についても定め)、単価のみについて監査役(会)の同意を得てもよいのでしょうか。
投稿 はる | 2008年8月17日 (日) 14時47分
A6
厳密に言えば、増加分についても、監査役の同意は必要でしょう。
もっとも
1 最初に報酬をタイムチャージ制等弾力的なものにして、それについて同意を得る
2 業務の内容によっては、会計監査人の報酬ではなく、会計監査以外の報酬として支払う
等の方法はありうると思います。
なお、「取締役が、会計監査人の監査内容を増加させ」というところが気になります。
会計監査人が決定するものであり、取締役が増加させたり、減少させたりするものではありません。

Q7
取締役会設置会社で取締役が3人いるところ、うち1人が自己破産しました。
この場合、委任契約が終了して、取締役の地位を失うことになるかと思います。
このとき、自己破産した取締役は会社法346条1項の取締役として権利義務を有する者にあたるのでしょうか?
「任期の満了又は辞任により退任した」とはいえない気もするのですが。
よろしくお願いいたします。
投稿 浜っ子 | 2008年8月18日 (月) 13時13分
A7
 346条1項は適用されません。

Q8
会社法370条による取締役会決議の省略を行おうとする場合、提案する決議事項について利害関係を有する取締役(=議決に加わることができない取締役。例えば、自己取引の承認決議に関する提案を行う場合において、その取引を実際に行う取締役)が自ら提案を行うことについては、問題ないでしょうか??
投稿 某社法務実務担当者 | 2008年8月19日 (火) 12時15分
A8
提案は、禁止されていません。

Q9
今旧司法試験合格を目指して勉強しています。仕事もあるせいか勉強時間が一日5時間程度しかありません。このような少ない勉強時間の中ではやることも限られてきてしまいますがどのような勉強をするべきでしょうか。問題を解く、基本書を読む、論証を覚えるなどありますがどの順番で優先すべきか教えてください。ちなみに択一試験には合格しています。
投稿 とむくるーず | 2008年8月21日 (木) 23時09分
A9
現時点で、どの程度の実力があるかによって、やるべき勉強が違います。
択一試験に合格しているので、それなりの実力であるとは思いますが、問題は、現時点での論文の能力です。
答案練習で、23点以下しかとれないのならば、予備校の授業をインターネットなどで聞くべきです。
24点くらいなら、実践的なノートができていないのだと思います。
論証を覚える必要はないので、各論点について、条文、問題提起、理由、結論のキーワードが抑えられているかどうかを確認してください。
また、問題を解く量が足りないので、1日2問くらい書きましょう。
5時間もあれば、なんとかなります。土曜日曜もあるのですから。

Q10
委員会設置会社は三委員会に限らず、訴訟委員会など、新たな委員会を設置してもいいんですよね。
とすれば、その委員会に委任できる権限の限界はどこまであるのでしょうか。
あるとすれば、その根拠条文は何でしょうか。
投稿 ロー志望 | 2008年8月22日 (金) 16時26分
A10
任意の委員会は、作るのはいいですが、法的な権限はありませんので、取締役に委任するのと同じ限界があるだけです。
ちなみに訴訟委員会など作ってもあまり意味はないのではないでしょうか。

Q11
暗記や記憶のやり方についての質問です。
私は、民法や憲法の定義・条文・趣旨などを書き込んだ『暗記カード』を作成し、知識の記憶の定着を行っております。
ここで二点ほど質問です
①先生は受験生時代に、このようなカードを作成しましたか?
②暗記だけの時間を作りましたか?
投稿 こんちゃん | 2008年8月23日 (土) 00時32分
A11
 条文番号は、暗記カードを作りました。
 定義は、一応、作りましたが、むしろ論証のポイントを示したカードの中で覚える方がよいように思います。
 暗記だけの時間は、トイレとお風呂の時間です。

Q12
Q1に関してA1のような回答を頂いたものです。いつもお世話になっております。
お忙しいところ大変申し訳ないのですが、もうしばし質問させてください。
=================================
Q1
合同会社の設立登記における資本金の決定について質問させてください。そもそも株式会社では、設立時の資本金の額に関する事項を定款または発起人全員の一致により決定するのだと理解しております。(32条)しかし、合同会社においては資本金が登記事項になっているにも関わらず、会社法本体には資本金の額に関する事項の決定方法につき具体的条文がありませんよね?そして、合同会社においては設立時の資本金の額に関する事項は会社計算規則75条をもとに社員になろうとするものが決定するのですよね?そもそも、私のこの理解は正しいのでしょうか?正しいとして、なぜ合同会社では、会社法本体に設立時の資本金の額の決定方法につき具体的条文をおかず会社計算規則に定めを置いているのでしょうか?
投稿 登記職人見習中 | 2008年7月28日 (月) 00時33分
A1
株式会社よりも、資本金の額に関する自治を重視しているからでしょう。
資本金の額を小さくすることが経済的に大事な場合もありますから。
=================================
合同会社で、会社法本体に設立時の資本金の額の決定方法につき具体的条文をおかず会社計算規則に定めを置いていることと 資本金の額に関する自治を重視していること はどのように関連しているのでしょうか?
投稿 登記職人見習中 | 2008年8月23日 (土) 13時57分
A12
 資本金の最低組み入れ額が法定されていれば、その分自治が制限されます。

Q13
8月9日のQAのNO23等業務執行取締役について何度も質問している者です。NO23についてはおっしゃるとおりでした。
また、何度もすみませんが、教えてください。
使用人兼務取締役のことです。

1.QAのNO23にも入っているので、念のための確認にはなりますが、使用人兼務取締役は業務執行取締役であるという認識で正しいですか?
2.使用人兼務取締役は、業務執行の「権限」はない(が、代表取締役の手足として業務執行している)との理解は正しいでしょうか?
3.(1が正しいとして)業務担当取締役と使用人兼務取締役とが、213条等において同じ責任を問われるのはなぜなのでしょう?
使用人としての業務執行しかしておらず、権限もないのならば、単に使用人としての責任を問われるべきなのではないのか?取締役会で選定される、法定の取締役(業務担当取締役)と、代表取締役の指名で決まる使用人兼務取締役とが同じ責任を問われるのは変ではないか、という意味です。
投稿 | 2008年8月23日 (土) 17時21分
Q13
1 そうです。
2 使用人としての権限はあると思います。
3 取締役が、業務執行に関与した以上、誰が選任したかは、特に区別する必要はないでしょう。

Q14
会社法100選(1版)のNO42の「株券発行前の株式譲渡」に関してです。
この場合、会社に対してはなんらの効力も生じないが、譲渡の当事者間では債権的効力を発生させる(のみ)とあります。
ところでこれに関して会社法判例百選のNO14(S47年11月8日最判)についての解説を読んでいたところ(P33の右側)、①債権的効力を発生させる(のみ)という説と、②当事者間では有効とする説がある、と書かれています。
そこで質問ですが、この2説はどう違うのでしょうか(同じじゃないのか?と思ってしまうのですが)。
もしこの質問にお答えしにくければ、具体的にどのような効果の違いがあるのか、例示してもらえませんでしょうか?
投稿 | 2008年8月23日 (土) 17時45分
A14
文字通り、当事者間で株式譲渡の効力が生ずるかどうかが変わります。
それを前提に、当事者間で、配当の受領等を原則としてどちらに帰属させるかも変わるのですが、所詮、契約の意思解釈で修正可能なので、たいして違いはありません。

Q15
会社法2条9号は、「又は」以後には会計限定監査役を除外する旨規定されていません。監査役を置かなければいけない会社も会計限定監査役にできる場合が有ると思うのです。法の趣旨から考えると、この後段も会計限定監査役を除外するものと思うのですが、どこからそれを導くのでしょうか?
投稿 会社法漫遊 | 2008年8月24日 (日) 08時20分
A15
監査役を置かなければならない会社は、通常、監査役を置いています。
後段は、監査役を置くべきなのに、監査役を置く旨の定めがない会社です。
とすると、その会社には、会計監査限定の定めもありません。

Q16
テレビ出演、おめでとうございます。
かっこよかったです。
ただ、びっくりしてお昼の盛りそば噴出しました(笑
芸能界入りしても応援します
投稿 スポンジ | 2008年8月24日 (日) 13時02分
A16
ありがとうございます。
テレビに出演しても、あまり「おめでとう」という感じじゃありませんが。
芸能界入りは、ないと思います(笑)

Q17
お疲れ様です。
バシいっとスーツが決まってた割りに,
ずいぶんとコメントがおとなしかったような・・・
投稿 ぉぃぅ | 2008年8月24日 (日) 13時04分
A17
主役は、健太郎なので。

Q18
テレビ出演おめでとうございます。
先月、事務所の講演会に参加させていただきました。
電子化で証券代行の役割が変わってしまうのでしょうか?
証券会社で株式事務の手続きが円滑に進むのでしょうか?
(証券会社に・・関係がありますので・・)
まあその前に証券システムの問題もありますが・・
投稿 あっ!と法 無 | 2008年8月24日 (日) 17時51分
A18
株券電子化によって、証券代行の役割は、かなり変わりますが、証券会社が株式事務の手続をするのは一部なので、それほど深刻な問題は起きないかなあと予想しています。

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2008年8月 9日 (土)

金商法の内部統制と善管注意義務

 金商法の内部統制報告制度が本格始動しているせいか、最近、内部統制に関するアドバイスや勉強会の講師を頼まれることが増えました。
 特に内部統制報告書を、どういう方針でどう書くのかという点については、本番に備えて具体的な検討が進んでいますので、質問を受ける内容もどんどん具体的になっています。

 そうした、内部統制関係でよく聞かれる基本的質問が、金商法の内部統制と取締役の責任の関係であり、より具体的には、「重要な欠陥があった場合、善管注意義務違反となるのか?」ということです。

 この論点については、同質説とか異質説とか議論がありますが、私は、そもそも、そのような問題提起の仕方自体、意味がないような気がしてなりません。

 善管注意義務の問題は、通常、取締役の損害賠償責任の有無の判断において検討されます。
 損害賠償責任を検討する場合には
  ①どんな損害が生じたのか
  ②その損害をもたらした行為は何か(因果関係)
  ③その行為は、任務懈怠といえるか(違法)
  ④その行為を行った取締役に過失があるか(責任)
というプロセスをたどるのが通常でしょう。

 損害に結びついていない行為を検討しても仕方がないし、そもそも損害に結びつく可能性のない行為を義務違反ということもできないでしょう。

 たとえば、財務報告を信頼した人が損害を被ったとします。
 すると、その損害に因果関係のある行為は、「財務報告の作成行為」ということになりますが、それが③任務懈怠になるかどうかという検討においては
  財務報告が、客観的に法令に従っていない虚偽のものならば、内部統制に重要な欠陥があったかどうかにかかわりなく、その作成行為は、任務懈怠になる
と考えられます。

 任務懈怠と故意・過失の関係については議論があるところですが、私は、
  任務懈怠=法令違反(善管注意義務違反を含む)
と考えた上、いかなる事情であれ、取締役が法令違反の財務報告(虚偽の財務報告)を作成した以上、任務懈怠は免れないと考えます(この考え方は、会社法429条2項や金商法上の有価証券報告書の虚偽記載責任の趣旨と整合的です)。

 その上で、④の取締役の過失の有無において、当該取締役にとっての予見可能性・回避可能性を検討するのです。

 このようなプロセスの中で、「重要な欠陥」はどんな意味を持つのでしょうか。
 (1)重要な欠陥があって、財務報告も虚偽だった
 (2)重要な欠陥はなかったが、財務報告は虚偽だった
 (3)重要な欠陥はあったが、財務報告は虚偽ではなかった
という3つのパターンについて考えると、それぞれ、次のようになります。

(1)の場合
  → 財務報告が虚偽だから、任務懈怠です。

(2)の場合
  → 重要な欠陥がなくても、財務報告が虚偽である以上、任務懈怠です。

(3)の場合
  → 重要な欠陥はあっても、財務報告が虚偽でなければ、それを信じたことによる損害というのは生じません。したがって、重要な欠陥自体を善管注意義務違反かどうかを論ずる意味がありません。
 また、重要な欠陥を放置し続けても、客観的に財務報告が正確ならば、通常、重要な欠陥と因果関係のある損害は生じないので、重要な欠陥の放置を善管注意義務違反と構成することもできないと思います。
 もし、「重要な欠陥があること自体が善管注意義務違反である」「重要な欠陥を放置するのが善管注意義務違反である」という論点を論ずる意味があるとすれば、重要な欠陥から、直接、会社・第三者に損害が生ずる場合(財務報告が正確であっても損害が生ずる場合)ということになります。
 しかし、そのような事例というのは、想定することは困難です。
 たとえば、重要な欠陥があるだけで、課徴金を課されるような制度があれば、重要な欠陥から直接損害が生じることになりますが、金商法は、そのような課徴金を課していません。金商法は、内部統制の「報告」義務を課しているだけで、内部統制の「構築」義務は課していないのです。
 翻って考えれば、金商法上の内部統制というのは、財務報告の正確性を確保するためのものなのですから、その目的である財務報告が正確なのに、内部統制の重要な欠陥から直接損害が生ずるというのは、論理的におかしいといわざるをえません。

 結局、(1)から(3)までの検討を通じて言えるのは、「重要な欠陥があった」「重要な欠陥を放置した」という事実は、任務懈怠の要素になることはないのです。

 次に、④の取締役の過失の有無について考えます。

 財務報告に虚偽記載があり、任務懈怠となる場合をさらに分類すると
 (1)重要な欠陥が存在した
 (2)報告書に記載すべき不備が存在した
 (3)報告書に記載する必要のない程度の不備が存在した
 (4)不備が存在しなかった
という4つの場合が想定されます。

(1)の場合
→ 虚偽記載に因果関係のある重要な欠陥があれば、その重要な欠陥の存在についての予見可能性・回避可能性を検討することになります。
 この場合、事前に、当該欠陥について内部統制報告書や内部統制監査報告書で指摘されていれば、当然、予見可能性・回避可能性は認められるでしょう。

 この点を捉えて、「重要な欠陥の是正義務がある」という捉え方をする方もいらっしゃいますが、それは、ちょっと違います。取締役は、「虚偽のない財務報告の作成義務」に違反したことを責められているのであって、重要な欠陥自体を是正していないことを責められるのではないのです。
 たとえば、コンピュータープログラムにバグがあり、それを重要な欠陥として指摘されたとしましょう。この場合でも、そのバグにより虚偽記載が生じた部分を、人力で再検証し、財務諸表の正確性を確保すれば、バグ自体を放置しても任務懈怠ではありません。
 重要な欠陥の指摘は、財務報告の正確性を確保するためのきっかけを与えただけであり、法的には、指摘された重要な欠陥自体の修正義務を課したわけではないのです。

 違った方向から検討してみましょう。客観的に重要な欠陥が存在したが、取締役も監査人も気付いていなかった場合を考えます。この場合、財務報告の虚偽記載に結びついた重要な欠陥の存在が通常の注意義務をもってしても気付かないのならば、虚偽記載についても予見不可能だったのでしょうし、逆に、重要な欠陥の存在について通常人なら気付くような場合には、取締役や監査人には、過失が認められるでしょう。
 また、取締役の立場からすれば、監査で重要な欠陥を指摘されなかったからといって、過失がないとはいえません。
 結局は、重要な欠陥が内部統制報告書等で指摘されているという事実は、財務報告が虚偽であり、かつ、その虚偽がその欠陥によって引き起こされた場合に、取締役の予見可能性を基礎づける事情の一つにすぎないのです。

(2)(3)の場合
→ 虚偽記載に因果関係のある不備が存在する場合、それが、報告書に記載すべきものかどうかにかかわらず、虚偽記載の予見可能性・回避可能性を基礎付ける要素になります。
 たとえば、監査人から、事前に内部統制の不備が指摘されていれば、その不備が軽微なものかどうかにかかわらず、虚偽記載についての予見可能性が高まります。
 
 「重要な欠陥じゃなくて、単なる不備だから、予見可能性はなかった」
という抗弁は裁判官には通用しなさそうです。

 そもそも、「重要な欠陥」「不備」という概念は、どのような報告をするかという視点からの基準が設定されているにすぎず、具体的な損害との関係で任務懈怠の大きさや深刻さを示す概念ではありません。
 Aという不備が利益の3%の虚偽記載を生む不備である場合、Aだけなら単なる不備ですが、さらにBという3%の虚偽記載を生む不備があると、AとBは重要な欠陥になります。この場合、Aのみを原因として虚偽記載が生じたときの過失について、Bがあるのか、ないのかで結論が変わるのはおかしいですよね。

 結局、善管注意義務違反が問われる場面では、すでに財務報告の虚偽記載という形でリスクが現実化しているのですから、その虚偽記載が「重要な欠陥」によって生じたものか、「不備」によって生じたものかなどどうでもよいのです。
 検討すべきは、虚偽記載の原因についての予見可能性・回避可能性だけなのです。

(4)の場合
→内部統制について、金商法上の重要な欠陥・不備が存在しなくても、虚偽記載が生ずることはあります。その場合でも、取締役に過失がないとは言い切れません。虚偽記載が生じた原因が何かを特定し、その原因について予見可能性等があれば、過失はあります。

 以上をまとめると、「重要な欠陥」、「記載される不備」、「記載されない不備」、「不備なし」という金商法の概念は、過失の有無とは直接の関係がない概念であるということがわかります。
 せいぜい、重要な欠陥や不備を指摘されたことが、取締役の予見可能性を基礎付ける間接事実になるという程度のことであり、それをもって「重要な欠陥が善管注意義務になる」「重要な欠陥を是正する義務がある」という表現をするのは、法的には、不正確であるといわざるをえないと思います。

(質問コーナー)
Q1
合同会社の設立登記における資本金の決定について質問させてください。そもそも株式会社では、設立時の資本金の額に関する事項を定款または発起人全員の一致により決定するのだと理解しております。(32条)しかし、合同会社においては資本金が登記事項になっているにも関わらず、会社法本体には資本金の額に関する事項の決定方法につき具体的条文がありませんよね?そして、合同会社においては設立時の資本金の額に関する事項は会社計算規則75条をもとに社員になろうとするものが決定するのですよね?そもそも、私のこの理解は正しいのでしょうか?正しいとして、なぜ合同会社では、会社法本体に設立時の資本金の額の決定方法につき具体的条文をおかず会社計算規則に定めを置いているのでしょうか?
投稿 登記職人見習中 | 2008年7月28日 (月) 00時33分
A1
株式会社よりも、資本金の額に関する自治を重視しているからでしょう。
資本金の額を小さくすることが経済的に大事な場合もありますから。

Q2
私は将来的に企業法務に携わりたいと考えていまして
そこで会社法はしっかり勉強しよとしているのですが、
どうも計算の分野が、教科書を読んでもなかなか理解できません。
会社法の本だけでは私にはイメージがつかめず、
ロースクールの講義も、単調な説明を受けただけで
制度をしっかり理解することができませんでした。
計算に関する理解を深めるにはどうしたらよいのでしょうか?
葉玉先生は修習生時代に会計の勉強をなされたという話を聞いたのですが、
やはり、会計の勉強をすべきでしょうか?
投稿 べってる | 2008年7月28日 (月) 00時44分
A2
とりあえず、会社法マスター115のビデオ講座の第2回を見ましょう。
それから、簿記2級を取りましょう。
その後に税理士用の法人税の勉強をしましょう。
最後に、M&Aとか、ストックオプションとか、ちょっと特徴的な会計を勉強しましょう。

Q3
持分会社の業務執行権について、どうしても分からないことがあります。
業務執行社員の加入と退社は登録免許税が1万円ですむのですが、退社を伴わずに業務執行権の消滅のみをする場合、3万円が必要なのはなぜなのでしょうか?
また、加入を伴わない業務執行権の授与のみの場合の登録免許税は想定されていないのでしょうか。
業務執行権だけ変更するという事態が滅多にないために、こういう風になっているのでしょうか?
投稿 kuro | 2008年7月28日 (月) 01時00分
A3
うーん、なぜでしょう。

Q4
一点、ベンチャー・キャピタル条項に関係して質問があります。
上場しているA社・Aの子会社B社・B社の投資先C社があるとします。(C社のマジョリティーをB社は保有しています。)
財務諸表規則上ベンチャー・キャピタル条項「財務上又は営業上若しくは事業上の関係からみて他の会社等意思決定機関を支配していないことが明らかであると認められる会社等はこの限りでない」を適用し、C社はB社の子会社ではないとし、これについて監査法人のお墨付きもいただいております。
一方で、会社法上「財務上又は事業上の関係からみて他の会社等の財務または事業方針の決定を支配していないことが明らかであると認められる場合は除かれる」という規程があります。
財務諸表規則と会社法の規定が同じだとすれば、C社がB社の子会社でないと考えることもできます。それであるならば、C社は、会社法上の子会社の規制も関係ないということになるのでしょうか?具体的には、上場しているA社の株式を取得できるのでしょうか?
日本版ベンチャー・キャピタル条項が出たばかりで実務上定着していないため、監査法人担当者に確認しても回答がない状況です。
投稿 PE | 2008年7月28日 (月) 10時38分
A4
C社がA社の子会社に該当しないのならば、当然、A社株式も取得できるでしょう。
ただ、C社がA社株式を取得すると、「A社の支配下にないというのは、本当かよ?」という感じを受けますが。

Q5
100問やストリームングの中で先生が用いられているバッファという言葉なのですが
日本語に置き換えるとどういう意味になるんでしょうか。
投稿 三毛猫 | 2008年7月28日 (月) 15時52分
A5
「余裕」「あそび」でしょうか。

Q6
私は都内のロースクールに通う学生です。
仕事を持ちながらということもあり、まだまだ初学者の域を出ない状態です。
演習問題に取り組むに当たって以下の質問にお答えいただけましたら幸甚です。
①演習は、問題集を自宅で解くことで足りるか?その場合の注意点は?
②初学者の段階で、予備校の答案練習会に参加することに意義はあるか?
投稿 こぐちゃん | 2008年7月29日 (火) 14時48分
A6
①足りません。誰かに見て貰ってください。
②意味は大いにあります。強制的に書く機会を作るべきです。

Q7
先日、株券電子化に関する講演会に参加させていただきました。
講演での、買収防衛策の株券電子化対応についてのお話の中で、信託型の買収防衛策については対応が必要と仰っていましたが、具体的にどのようなことを株券電子化に向けて対応していかなければならないのでしょうか。
また、他の買収防衛策についても株券電子化に関する問題点等はあるのでしょうか。お忙しいところ恐縮ですが、ご教授願います。
投稿 TJ | 2008年7月30日 (水) 14時48分
A7
 信託型が、どんな設計をしているかによって変わりますので、一言では語れません。
 事前警告は、どうせ法的意味はないので、関係ないでしょう。

Q8
私は10年間企業で仕事をした後、今年から都内ローの既修に入学しました。
弁護士の就職難の話をいたるところで聞いて、とても不安で仕方がありません。
先生にお伺いしたいのですが、もちろん若いに越したことがないというのは分かっているのですが・・・
就職の際に年齢というのは重要な項目なのでしょうか。
投稿 年配ロー生 | 2008年7月30日 (水) 23時27分
A8
年齢が重要な項目であるのは確かです。
ただ、年齢だけで決めるわけではありません。
他のロー生よりも10年長く生きているだけの武器を年配ロー生さんが持っているかどうかということです。

Q9
株券電子化で、株券は紙切れ(株券としては無効)になると聞きますが、無効となった紙切れは、いったい誰の所有物になるのでしょうか?
株主が、収集家に「記念品」として売ってしまっても問題ないでしょうか?
投稿 コレクター | 2008年7月31日 (木) 02時56分
A9
その問題は、非常にデリケートな問題ですので、ノーコメントです。

Q10
公開大会社です。438条1項の解釈に悩んでます。
まず437条については、取締役会の承認を受けた計算書類・事業報告 等を定時株主総会の招集通知に同封して郵送することにより株主に対する提供義務を果たしていると判断しています。問題は438条の定時株主総会への提出義務です。437条を履行している場合、何をどのように行えば、438条1項3号の計算書類・事業報告の定時株主総会への提出義務を履行したと認められるのでしょうか。ご教授ください。
投稿 | 2008年8月 1日 (金) 11時55分
A10
 内容を説明し、承認を取れば(または報告すれば)、提出義務は履行されたと認められるでしょう。

Q11
前回のQ5
 合資会社で既存の社員が、無限A・有限B
  Bが死亡。その相続人たるCおよびDが遺産分割をし、Cのみが社員の持分を承継可能でしょうか?
  また、もし、Bが出資の一部未履行であった場合も遺産分割をし、Cのみが社員の持分を承継可能でしょうか?
投稿 たかだ | 2008年7月23日 (水) 08時18分
前回のA5
 608条1項の定めがあれば、可能でしょう。
 また、一部未履行分は、Cのみが債務を負うと考えるべきでしょう。

 旧法ですが、認められないと先例があります
投稿 みうら | 2008年8月 1日 (金) 18時54分
A11
 その先例は、どういう理由で否定したのでしょうか?
 その先例の合理性に疑いがあります。

Q12
譲渡制限株式会社の株主AがBに自己の保有する株式を譲渡したとします。
Bが会社に承認請求(137条1項)をし、会社が不承認決議をしたとします。
そして、会社がその株式を自己株式として取得する場合(140条)、株主として議決権を行使するのは譲渡人のAなのでしょうか。
140条3項の規定で譲渡等承認請求権者の議決権行使が排除されていることからすると、Bのような気もします。
Bだとすると株主だと擬制することになるのでしょうか。
投稿 kawai | 2008年8月 1日 (金) 21時53分
A12
 名義書換未了である以上、議決権行使をするのは、Aです。

Q13
現在、司法試験、合格目指して勉強しています。
法曹になるための現在の制度は、法科大学院に進学し、新司法試験を受けて、司法修習に行くというのが、主流です。しかし、旧司法試験もあと2年ほど継続され、その後も、予備試験を経れば、法科大学院を卒業しなくても司法試験の受験ができます。
このような中、私自身、法科大学院に進学しなくても、予備校などを利用し、旧司法試験が行われている間は、旧司法試験にチャレンジし、その後は、予備試験を経て司法試験の受験という方を選択した方が、一年でも早く法曹としてのスタートを切れるのではないかと思っています。
先生は、しっかりと、法科大学院に進学し、新司法試験を受験した方がいいと思いますか?それとも、多少は、リスクもありますが、予備試験を受ける方が賢い方法だと思いますか?
司法試験に合格するには、自分の努力が一番重要ですし、努力しなければ、どんな方法も意味がないと思います。ですが、私自身、すでに、大学を卒業し3年たっており、年齢を気にしていますし、また、私は法学部出身でもなく、法科大学院でどのような授業等が行われているのか、情報がなく、法科大学院に進学することに、二の足を踏んでいる状況です。
投稿 まんごー | 2008年8月 4日 (月) 00時17分
A13
 予備試験については、まだ十分に煮詰まっていないので、それだけを当てにするのはリスクがあります。
 お金と時間に余裕があれば、ロースクールに進学する方が現時点では正しいと思います。
 予備試験の方が早く資格が取れるなら、途中でロースクールを退学してもいいので。

Q14
「唯一、代用有価証券の取扱いについては、すべての証券会社が問題意識をもって、金融庁と折衝しないと大変なことになると思います。」
とは具体的にはどのようなことを仰っているのでしょうか??
投稿 一投資家 | 2008年8月 4日 (月) 12時37分
A14
 今の金融庁のパブコメへの回答どおりだと、証券会社は、代用有価証券についてのシステム対応が大変だということです。

Q15
私は現在26歳で、会社に勤務しながら司法試験の勉強をしております。
さらに、人と接する仕事、社会に意義の強い仕事がしたく、弁護士を志しました。旧司法試験、あと2回のチャンスに向け勉強中です。
合格後は、企業での経験、海外勤務の経験を生かして、渉外弁護士として働きたいと思っています。
企業を取り巻く環境も劇的に変化して、海外の企業が日本にも押し寄せてきています。将来的には、M&A、特に敵対的買収へ防衛策を講じる案件を扱うチームに入りたいと思っています。

そこで、TMIをはじめとする渉外事務所に勤務しようと思えば何歳までが好まれますか。
また、社会人経験のある人は好まれますか。
当方は、慶應大(非法学部卒)、企業勤務です。
投稿 ぽむj | 2008年8月 4日 (月) 20時18分
A15
 「社会人経験」という抽象的なものは評価されず、「どんな仕事をしていたか」で評価されると思います。
 年齢は、若い方が好まれると思いますが、30歳以上でも、特に優秀ならば採用します。
 30代後半になってくると、だんだん難しくなりますよね。結局、経験10年の法曹と同等の魅力がその人に備わっているかということが判断されるようになると思います。

Q16
私は某ロー未修者コース3年次に在籍する者ですが、最近、私の周囲でも就職のことがちらほら話題になっております。
そこで、先生にお伺いしたいのですが、
ローでの成績は必ず法律事務所に提出しなければならないそうですが、採用に当たってはどれほど重視されるのでしょうか?
もし、他に考慮要素があれば、どのようなことを考慮されるのでしょうか?
私は恥ずかしながら、訴訟法関係(特に民事訴訟法、要件事実)が非常に苦手で、ローでの今までの成績も良くなかったのですが、これでは就職が厳しいでしょうか(上3法、行政法は比較的高評価を頂いております)?
訴訟法関係の成績が芳しくないと、任官は更に厳しいでしょうか?
投稿 まゆまゆ | 2008年8月 4日 (月) 22時02分
A16
「どれほど」というのが難しいですが、まゆまゆさんが採用担当になったつもりで評価すると分かります。
 AさんとBさんがいて、Aさんは成績がよく、Bさんは悪い。その他があまり代わり映えしないならば、Aさんを採用するでしょう。
 また、司法試験の合格率も、一般的には、学校の成績に比例しますから、自ずと成績は重視されます。
 なお、各科目の成績の高低は、それほど気にしてないと思います。

Q17
はじめまして。「業務執行」の意義に関して、質問させて下さい。
過去のエントリ「業務の執行と職務の執行」を読んで、眼からウロコが落ちる思いでしたが、学習が進むとかえってわからなくなり困っています。以下の質問にお答えいただけますと幸甚です。
①「業務の執行」には「監査・監督」や「意思決定のプロセス(招集等)」は含まれないが、原則として法律行為のみならず会社運営にかかる事務全般が含まれる・・・と考えていましたが、持分会社の「常務」(590条3項)は業務執行権がなくてもできると知り、混乱しております。「常務」とはどのような行為を指すのでしょうか?
A17
 業務執行者社員を定めた場合には、常務も業務執行社員しかできません。

Q18
②以前、他の方の質問に対する答えとして、「業務執行しない取締役」の例として就任したばかりの平取締役を挙げておられましたが、新聞報道を見る限り平取締役でも職掌を決めた上で選任する企業が多いですし、取締役会における発言・議決権行使のためだけに役員報酬を支払う企業は少ないのではないかと思います。
 個人的には、業務執行しない取締役というものは(社外取締役or委員会設置会社を除けば)ほとんどいない(つまり大抵の取締役は業務担当取締役である)、と認識していましたが、この認識は誤っていますでしょうか?
A18
 取締役に業務執行権を与えている、または使用人兼務取締役が多いのは、事実上でしょうが、それは、会社が、取締役を業務担当取締役としているから、そうなっているだけであり、法律論としては、取締役であるというだけでは、業務執行権はありません。

Q19
③監査役設置会社の取締役は支配人を兼任できるのに対し、委員会設置会社の取締役は支配人を兼任できないのはなぜでしょうか?前者は業務担当取締役に選定された上で兼任しているということでしょうか?
A19
 取締役は、執行役を監督する立場なので、執行役の指揮下にある支配人にはなるのは、ガバナンス上問題があるという思想です。

Q20
以前の記事で「その他資本剰余金」というのは,
出資に関連して会社に入ってきた財産の価額のうち,資本金にも,資本準備金にも計上されていないものとあったのですが、どのようにして生じるのかよく分かりません。
例えば,1000万円出資して,800万円を資本金にしたら,残り200万円が資本準備金。このままだとその他資本剰余金は0円なの200万円のなかから計上しない額を決めるのでしょうか。
また「その他利益剰余金」というのは取り崩して、資本にあてることができないとうことは溜まる一方ということになるのでしょうか。
投稿 桜鯛 | 2008年8月 5日 (火) 00時47分
A20
 たとえば、自己株式の簿価が200万円で、それを300万円の払込を受けて交付すれば、100万円がその他資本剰余金となります。
 私のビデオの第2回をみて勉強してください。

Q21
会社法第427条第1項の責任限定契約を締結できる旨の定款変更を行った後に責任限定契約を締結する場合に、責任限定契約の締結について取締役会決議が必要でしょうか?会社法第362条第4項の「その他の重要な業務執行」に当たるのでしょうか?
投稿 ロニー | 2008年8月 5日 (火) 09時36分
A21
私は、当たらないと思います。

Q22
論文試験の学習方法について、葉玉先生は常々「答案を書け」「答練を受けろ」とおっしゃっておりますが、私も同様に考えます。
ただ、経済面等の諸事情により、予備校等の答練あるいは合格者・研究者による添削を受けることができない状況にあります。
そこで、答案練習を一人で行わなければならない状況であるのですが、一人で答案練習をするにあたって注意点ないし効果的な方法がありましたら、ご教授願います。
投稿 おそらく二振目 | 2008年8月 5日 (火) 23時33分
A22
 ① 定期的にやる
 ② 時間を絶対オーバーしない
 ③ 誰かに見てもらう。
でしょうか。

Q23
ここ数度「業務執行取締役」についてご質問させていただいたものです。ご回答により、ようやく頭の整理ができてきました。大変ありがたく、お礼申し上げます。
念のためですが私の理解が正しいか、ご確認させていただきたく、再度質問させていただきます。
業務執行取締役等を、以下のとおりにまとめたのですが、正しいでしょうか?
①代表取締役           業務執行できる   業務執行取締役
②業務担当取締役        業務執行できる   業務執行取締役
③使用人兼務取締役      業務執行できる   業務執行取締役
④かつて業務執行をし、 
 現在は①~③ではない
 取締役              業務執行できない  業務執行取締役
⑤社外取締役
 ⑤‐1 将来的にも業務執行を
    予定しない取締役     業務執行できない  not業務執行取締役
 ⑤‐2 将来、業務執行を予定
    する取締役         業務執行できない  not業務執行取締役
⑥従業員からの持ち上がりで
 まだ①~③になったことがない
 取締役               業務執行できない  not業務執行取締役

以上が正しいとしてですが、④は業務執行取締役なのに業務執行できない、というなんだかややこしい結果になるのですね。
また、社外取締役でも、典型的な社外取締役(⑤-1)もいれば、社外から招聘し、まだ業務執行権を与えていないが近い将来使用人兼務にするなどして業務執行権を与えることを予定している社外取締役(⑤-2)というのもありうる、ということですね。
細かい話ですが、この⑤-2で、使用人兼務取締役を任命されたがまだ業務執行していない、という状態(例えば入院中に任命され、入院中は事実上社長が直接業務執行した)というときは、業務執行はしようと思えばできるが業務執行取締役ではなく、依然として社外取締役である、ということになるんでしょうか?(これはあまりに細かい話ですが……)
投稿 | 2008年8月 6日 (水) 12時38分
A23
 使用人になったら、社外取締役の定義中の「使用人でなく」の要件を欠きますので、社外取締役ではありません。

Q24
会社法の立案に際して、民法の諸規定に問題を感じた部分はありましたか?
また、現在の実務で、何か問題を感じる部分はありませんか?
現在、旧商法・旧証券取引法に続いて、債権法の改正のための下準備が行われていると聞いております。内田貴先生(法務省民事局参与)の特別講義を2度拝聴して、特に興味をもっております。
投稿 一般法の民法 特別法の会社法 | 2008年8月 6日 (水) 19時03分
A24
民法の債権法分野は、基本的に任意規定なので、問題はあまり感じませんでした。
実務上も、特に問題を感じるようなことはありません。

Q25
100問の19問目の発行可能種類株式総数について教えてください。
発行可能種類株式総数は
発行可能株式総数より多くさだめることは可能
とありますが定めが可能なだけであって
実際に発行された場合は
発行可能株式総数の制限を受けるという理解でよいのでしょうか。
投稿 白玉 | 2008年8月 7日 (木) 20時19分
A25
発行可能種類株式総数の「合計数」が、発行可能株式総数を超えることができるという話でしょうか?
 いずれにせよ当然、発行可能可能株式総数の枠内でしか発行できません。

Q26
合併交付金の解釈についてご教示下さい。
合併比率が1(存続):0.001(消滅)という場合に、
消滅会社の株主に対し、比率に応じた合併交付金を支払うことを予定しております。
この場合、合併交付金を会社法234条の端数処理として支払ったという解釈は可能でしょうか?
このように解釈できた方が、税務的に有難いようです(経理担当曰く)。
如何でしょうか?
投稿 pin | 2008年8月 8日 (金) 10時21分
A26
合併交付金を支払うという合併契約ならば、234条の端数処理ではないです。
そういう約束がないならば、234条の端数処理が行われます。

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