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2008年6月22日 (日)

新しいことを効率的に勉強する方法

 株主総会のシーズンです。
 私も、株主総会の準備等の業務をやっています。でも、最近は、総会屋の威迫的活動がほぼ全滅状態なので、リハーサルも、昔とは大分様変わりしていますね。
 私は、元柔道部・元演劇部・元暴力係検事・元利益供与事件担当検事・元会社法担当局付なので、「総会屋」の役をやらせば、かなりハマる演技ができるのですが、リハーサルで総会屋が暴れるというシナリオはやらないのが一般的で、得意技を披露できません(笑)。
 「リハーサルで手強い総会屋が欲しい」という会社がいらっしゃいましたら、一度、お声がけください。
 
 このブログの読者のマジョリティーである法務部の皆様は、株主総会でお忙しでしょうから、今日は、会社法の話は質問コーナーだけにして、勉強法についてお話しします。

 yamadaさんから、次のような質問をいただきました。
「今日は勉強のやり方について教えてください。実務に携わっていると、当然に経済学の知識であるとか、たとえば、成年後見制度、裁判員制度、必要性に応じて、専門外(会社法以外)のことについても勉強をしなくてはならないことがあるかと思います。お聞きしたいのは、先生は、新しく勉強を始める時、いかなる順序で、いかなる材料をもって勉強をなされるのかということですか。よく薄い本から、徐々に厚く、より専門的な本へ、など言われることがあるかと思いますが、先生のように、お忙しい場合、必ずしも十分な時間をとることができない場合、そもそも受任等をしないという選択肢もあるかと思いますが、どうしても、それを勉強せざるを得ない場合、どのような選択をするのかをお聞かせいただきたいと思います。王道なし、はもとより、その中でも、効率的とお考えるになる文章の読み方、知識の習得の仕方、記憶の仕方などをお聞かせいただけると幸いです。」

 私は、昭和最後の年に司法試験に合格したとき
  「ああ、これで、法律の勉強をせずに済む・・」
と、開放感にひたったものです。
 しかし、実際には、LEC、修習生、検事、弁護士と、受験時代以上に、勉強に次ぐ、勉強の日々。
 「お金をいただいて、法律サービスを提供する」という仕事をしている以上
   知らないことは、きちんと調べ
   知っていることも、間違いがないよう、きちんと調べ
というのは、当然のことですが、時間には限りがありますから、自ずと
   効率的に知識を身につけ、使いこなす秘訣
を確立せざるをえません。

 その秘訣は
  1 知っている人に、概要と調べるべき資料を聞くこと
  2 調べたことを、どんどん自分の言葉で文章化し、声に出して読んでみる
  3 自分の考えを、知っている人に検証してもらうこと
です。

1 知っている人に、概要と調べるべき資料を聞くこと
 自分が知らないことについて、闇雲に資料を収集しようとしても、無駄な時間ばかりかかり、しかも、穴だらけのリサーチしかできません。
 知っている人に聞けば、そのあたりのカン所を把握しているので、大幅に無駄が省けます。
 当たり前のようなことですが、「知っている人に聞く」ということができる人って、本当に少ないです。LEC時代から数えると、かれこれ20年間、司法試験受験生を教えていますが、「分からないことを先生に聞くことができる生徒」は5パーセントくらいじゃないでしょうか。
 優秀で効率的な勉強ができる生徒は、ほぼ例外なく、先生を活用しています。
 逆に、先生と会話のできない生徒は、無茶苦茶勉強しているように見えても、伸びないです。

2 調べたことを、どんどん、自分の言葉で文章化し、声に出して読む。
 私は、資料をざっと読んだら、必要そうな部分を、ワープロに打ち込みます。
 「読む」ことしか頭にないと、意識が散漫となり、効率的な知識の吸収ができません。
 時間を決め、アウトプットすることを自分の中に義務づけた上で、読みましょう。

 また、引用する場合を除き、資料中の記載を、自分の言葉に言い換えて打ちこみます。
 これにより、その情報を自分が理解しているかどうかが分かります。
 丸ごと書き写すだけでは、頭を使わないので、知識が定着しません。
 うまく書けないのなら、理解不足・調査不足ですから、その部分をよく勉強しましょう。

 それから、声に出して読んでみると、「なんかおかしい」と思うところが出てきます。その点は、調査を深めたり、表現を変えたりしましょう。
 声に出して、自分の言葉で、説明することができる状態になれば、だいたい、その知識は身についています。

3 自分の考えを、知っている人に検証してもらうこと
 最後に、知っている人に、自分の書いたものを見て貰ったり、自分の説明を聞いてもらったりして、検証しましょう。
  不思議なもので、人間は、知っている人に自分の説明を聞かせようとすと、自ずと
  「正確かつ論理的に説明しよう」
という意識が働くので、自分の考え方の「穴」が分かることが多いのです。

 以上、非常にシンプルですが、私が、実践し、効果的であると実感している勉強法です。
 たとえば、金融商品取引法の改正内容を調べたいというときには

1 改正内容を知っている人のセミナーを聞く
2 そのセミナーで聞いたことをもとに、資料を集め、自分でレジュメを作り直す。
3 自分で他人に説明してみる

ということをやれば、あっという間に身につきます。

(質問コーナー)
Q1
会社法施行規則63条7号について質問させてください。7号の括弧書(議案が確定していない場合にあってはその旨)からすると、総会招集取締役会において取締役を選任するが候補者が決まっていない場合、候補者が確定していない旨も議事録に記載しなければならないと読めます。しかし、実務上、候補者が確定していない事を招集通知に書くことはあるようですが、取締役会議事録に記載したものをみたことがありません。これは、なにか理由があるのでしょうか?もしくは、私の条文の読み方が違うのでしょうか。ご教授いただけるとありがたいです。
投稿 ジャングルダンス | 2008年6月14日 (土) 02時50分
A1
施行規則63条7号は、決定事項と招集通知への記載事項を一緒にしたため、7号カッコ書の部分は、若干、解釈に工夫が必要でしょう。
 議案が確定していないということは、取締役会で何も決定しなかったということであり、「確定しない」という決定をするわけではありません。
 何も決定しなかった場合、そのことを議事録に書いてもいいですが、書く義務まであるとはいえません。だから、議事録には記載しないのが通例になっているのでしょう。
 他方、招集通知の記載事項という点では、決定していなければ、その旨書いた方が株主を惑わせないので、書くことにしましょう、というのが7号括弧書きの趣旨です。

Q2
残業代の心配は同感ですが,ビールに関しては,???です。
世間?は,ビールをサービスしたことを問題視しているのではなく,ビールなどのサービスを道具として,料金の水増しをし,運転手と公務員が違法な利益を得たことと,税金の無駄遣いをしたということを問題視しているのだと思います。
投稿 ぉぃぅ | 2008年6月14日 (土) 09時51分
A2
 「水増し」の問題と、「ビール」の問題を混同しているようです。
 「水増し」は、倫理の問題ではなく、国に対する詐欺の共同正犯であり、犯罪です。
 他方、正規の料金(通常、メーターで料金を算定しているはずです)を支払ったときに、タクシーから、ビールやおしぼりをサービスとしてもらうのは、犯罪でもないし、「倫理に反している」といって目くじらを立てるのは、馬鹿馬鹿しいことだと思います。
 なお、海外出張時に、マイルをつけるのも禁止になったようですね。
 これは、民間企業でも、いろいろな考え方のある部分でもありますし、「公務員に得をさせたくない」という気持ちも分からないではないですが、禁止したから、国庫が潤うわけではありません。
 ちなみに、私は、法務省時代、何度か海外の会議に出席しましたが、たとえば、会議が1日しかないと、会議の前日夜に入国し、時差ぼけのまま会議に出席し、その日に帰らなければならないというルールになっており、死ぬ思いをします。
 翌日が日曜であろうと、出張前後で休日を過ごすのは、許されません。
 これも、「国の旅費でいくんだから、遊びに使わせない」という気持ちはわかりますが、エコノミーで15時間飛行機に乗っていても、残業代も食事代も、公用旅券に貼るための写真代もでません。何より、弾丸旅行は、身体がきつい。公務員のつらい面もきちんと報道してあげないとかわいそうです。

Q3
組織再編行為の中止について質問があります。
組織再編行為の効力は、それを中止したときは生じない旨の規定があります(745条6項、747条5項、750条6項、752条6項等)。

この「中止」をするための要件はどうなるのでしょうか?
(1)業務執行の決定をする機関(取締役会など)が決定する
(2)上記に加えて株主総会の決議、総株主の同意など当該組織再編行為を承認した機関、要件によって承認する

またあわせて株式会社がする組織変更のように総株主の同意が求められている場合、一度同意した株主が効力発生前に同意を撤回することはできるのでしょうか?
許されるのか、許されないのか、それは総株主の同意が得られる前、得られた後で異なるのか、など良く分かりません。
投稿 業務執行者 | 2008年6月14日 (土) 11時34分
A3
 中止には、総会の承認は不要です。取締役会の決定で可能です。
 (実際、総会を開催する時間的余裕がない場合がほとんどでしょう。)

 同意の撤回は、あまり考えたことはありませんでしたが、少なくとも総株主が同意した後は、組織変更の手続を適法化する効力が生ずるので、撤回はできないと考えます。
 総株主の同意が採られる前は、微妙ですね。

Q4
東京高裁決定に賛成とは唖然。
私は会社法の規定が間違っていると思うので、決定に賛成ですが、立案担当者なら、決定に反対というべき。法律家としては、黒を白と言いくるめてまで自説が正しいというのではなく、素直に謝って欲しかった。
投稿 閲覧拒否事由 | 2008年6月15日 (日) 01時44分
A4
 おっしゃることが全く理解ができません。以前の私の記事を見ていただければ、「黒を白と言いくるめている」わけではないのは、明らかです。
 もし、閲覧拒否事由さんが、会社法の規定が間違っているというのならば、3号に効力を認める東京高裁決定に反対すべきでしょう。
 なお、私は、株主名簿の閲覧請求権は、「他の株主に自分の氏名・住所を知られたくない」という利益に対する配慮に欠けており、個人情報や企業秘密の保護を重視する現代社会では、時代遅れであると思っています。少なくとも、株主が閲覧を承諾しない場合には、閲覧請求の対象とならないという規定は必要だと思います。

Q5
いわゆる名目取締役についての質問です。
ここでは、業務執行・監督及び代表権限をいずれも持たない取締役を、「名目取締役」と呼ばせてください。
会社法は、取締役会設置会社については、名目取締役を認めていないと思います。
362条は、1項2項で、「定款の定めのある場合を除き」という規定を置いていないので、全ての取締役が、少なくとも取締役会にかかわり、業務執行の決定・監督に関わることになると考えるからです。
他方、取締役会非設置会社においては、348条1項が業務執行権について、
同条2項が業務執行決定権について、349条1項が代表権について、
それぞれ、「定款に別段の定めがある場合」を除いています。
ということは、定款で別段の定めを置けば、何ら権限のない取締役も置けそうな感じがします。
そして、何ら権限が無い以上、任務懈怠責任も負わないことになりそうです。
とすると、取締役非設置会社においては、名目取締役を会社法が認めていると解釈できそうに思います。
以上の解釈は間違っているのでしょうか。
投稿 受験生 | 2008年6月15日 (日) 09時12分
A5
 定款で、取締役の善管注意義務や報告義務等を排除することはできないので、監督権すらない取締役は、置けません。

Q6
要は国会質問の答弁を作るために中央官庁の残業は発生しているとのことですが、そもそも無理して答弁を間に合わせる必要があるのでしょうか。
残業は10時までとかに決めて、間に合わない答弁は民事裁判みたいに、「追って返答する」ということにすれば税金も無駄にならずにすむのではないでしょうか。
常々税金の無駄遣いを批判している民主党とかは賛成してくれませんかね?
投稿 修習マン | 2008年6月15日 (日) 15時57分
A6
 「追って返答する」という答えが、委員会期日の引き延ばしに使われないならば、いいんですが。
 単に、質問者が、早く質問を教えてくれ、かつ、各省庁の内部決裁を早くしてくれれば、税金の無駄使いはなくなります。
 どうせ、質問者も、そのとおりに質問しないし、大臣や副大臣は、想定問答どおりに回答してくれないこともよくあるので、一字一句に拘っても仕方がないのです。

Q7
「Solicitor(事務弁護士)」なんて訳されますが、法務省や実務界において司法書士というのは、どういう位置づけなんでしょうか?
最後はその人の「能力」によりけりだとは思うのですが、本Blogでも話に出てこないことを考えると、あくまで登記においてのみの存在なのでしょうか?
弁護士事務所が司法書士を雇っているという話も聞きませんので、公認会計士と税理士との関係みたいなものと考えていまます。
葉玉先生は商業登記との関係で係わり合いが深いと思うのですが、実態をお聞かせ願えませんか?
投稿 CD | 2008年6月15日 (日) 23時00分
A7
TMIには、司法書士が確か5人くらいはいると思います。
司法書士は、登記が中心であるとは思いますが、訴訟代理権も認められていますし、活躍の幅は広がっています。現にクレサラの大量処理は、司法書士が主流になっていますね。

Q8
新司法試験受験生です。
この夏、旧試験の過去問を1人で勉強していこうと思っていますが、
その場合の留意すべきポイントを教えてください。
投稿 かもなす | 2008年6月16日 (月) 11時30分
A8
1 くじけないこと。
2 問題分析の手法を確立させること
3 解答例を見てもよいが、長い解答例は短くする。短い解答例は長くするよう心がける

Q9
先生は、条文・判例至上主義であると、どこかの記事で書かれていたかと思いますが、たとえば、民法における、学問としての法体系というものをどうお考えでしょうか。実務においては、学説というものにそこまでの配慮がないなどとの指摘があるかと思いますが、他方で、理論に裏打ちのない法解釈は、場当たり的なものであり、法解釈の在り方として褒められたことではないとの指摘があるかと思います。実務家である先生にとって、学問としての法律、法律を体系化することの意味をどのようお考えなのでしょうか。端的に質問に代えさせていただくと、先生は、基本書の通読などを、現在においても行うことがあるのでしょうか、時間の都合次第では、行っていきたいという気持ちはおありなのでしょうか。
投稿 tai | 2008年6月16日 (月) 15時53分
A8
  条文や判例は、普通の学者が太刀打ちできないほど、理論的・体系的です。
 もちろん、アホな裁判官が、アホな判決を出すこともありますが、実務に定着している解釈は、多くの法律家を納得させる理論的背景があります。
 学問として「法律を体系化する」ということがどういうことなのか、よく分かりません。
 昔ならばともかく、判例実務が蓄積し、複雑な契約や事実関係が氾濫している現代社会で、民法の基本書で、民法全体についての「法体系」を語るのは無理があるでしょう。
 まあ、「法体系」的なものは、法律の趣旨を上手く説明でき、妥当な結論を導けるのならば、便利ですが。
 ただ、「法体系」だけで、すべての条文を説明することはできませんから、結局は、説明の仕方の問題だと思います。
 私は、受験生以来、基本書の「通読」というのを、一度もまともにやったことはありません。だからといって、通読した人や基本書を書いた人と比べて、場当たり的な解釈や場当たり的な立法をしているとも思いません。

Q9
会社計算規則158条4項の特定取締役について質問です。
特定取締役の選任方法は、どのように決定されるのでしょうか?
158条4項2号によれば、監査対象の計算書類の作成にあたった取締役がいる場合には、特に選任することなく当該取締役が特定取締役となるように読めます。
一方で、選任方法は必ずしも役会の決議は必要としない、すなわち、通常は役会の決議が必要であるという見解もあるようです。
迷うようであれば、役会で決議した方が無難なように思いますが、
そんなの158条4項2号で自動的に決まるじゃん!!
っていうくらい当り前のことなら避けたいのですが。。
投稿 法務担当者 | 2008年6月16日 (月) 18時20分
A9
 条文どおりです。2号で決まるじゃん、という感じです。

Q10
勉強方法の質問をさせてください。
ロースクールを卒業し、授業の予習復習・課題に追われることなく自分の勉強ができる!と半分引きこもりのような生活をしていたところ、弁護士をしている先輩から「モチベーション維持と理解を深めるためにはグループ学習が必須だよ!一人で勉強してて合格した人なんていないよ!」と言われてしまいました。
この意見について葉玉先生はどう思われますか?
また、一人で勉強していると、教師や仲間の指摘等により誤った理解が修正される機会がないことが怖いと思います。
でも、グループ学習をしても、全員で誤った理解に陥る可能性もありますよね。
この不安についてはどのように克服したらよいのかご教授いただければ幸甚です。
よろしくお願いいたします。
投稿 新司受験生 | 2008年6月16日 (月) 20時11分
A10
私は、グループ学習はしませんでしたが、予備校の授業や答案練習会を活用していました。
独学のみは、やめた方が無難でしょう。
なお、グループ全員が間違うことを心配をする必要はありませんが、時間を限定することだけは気をつけた方がいいでしょう。

Q11
新会社法下での会社の機関設計について質問させてください。
株式会社において、二つの会社が、50パーセントずつ株式を保有し、同数の取締役を出す場合、共同代表取締役制度等の定款による内部的制限以外に、片方の会社の暴走を食い止める仕組みとして、どのようなものが考えられるでしょうか?
投稿 法務担当 | 2008年6月16日 (月) 22時06分
A11
 拒否権付株式や取締役選任権付株式をうまく活用すれば、よいでしょう。
 
Q12
 会社法423条「1項」が民法415条と別に設けられている理由は何なのでしょうか?会社法423条「1項」それ自体に特別法としての意味はあるのでしょうか。
投稿 s-k | 2008年6月17日 (火) 09時59分
A12
 会社法423条の責任は、委任契約に基づく義務違反だけではなく、法定の任務の懈怠についても生じることや、免除・一部免除について特別な手続が必要なこと等において独自に規定する意味があります。
 
Q13
先生は常々守秘義務に気をつけてブログをご執筆されていると思います。私たち会社員が、裁判員となってブログを書けば罰則か懲役、それなのに修習生は厳重注意ですむのは、不公平に思います。それとも、注意で住むのなら、裁判員制度の守秘義務は名目だけで、あまり気にしなくてもよいのでしょうか(会社の月報に体験記をのせる等)?
投稿 早稲田ロー卒 守秘義務違反事件 | 2008年6月20日 (金) 08時48分
A13
 会社の月報に、審議の内容を書くのは駄目でしょう。公開されている範囲では、問題ないでしょうが。
 守秘義務は名目だけではありませんが、守秘義務違反について、どの程度の懲戒・罰則を科すかは、ケースバイケースでしょう。

Q14
4月1日から施行された会社法施行規則121条と124条に、
当該事業年度において受け、又は受ける見込みの額が明らかとなった「会社」or「社外」役員の報酬等(前号の規定により当該事業年度に係る事業報告の内容とする報酬等及び当該事業年度前の事業年度に係る事業報告の内容とした報酬等を除く。)
と規定されています。
1.
この開示は、今まで開示した報酬等を除くとありますので、例えば会社法が施行されてから、その事業年度に係る退職慰労金を毎年開示しているような会社は、功労加算分と旧商法下の在任期間中に対する退職慰労金を記載すれば宜しいのでしょうか?
2.
今まで開示した報酬等を、支払った又は支払う予定額から控除するのは大変ですので、開示分を控除せずに、支払った又は支払う総額を事業報告に記載する方法も考えられると思うのですが如何でしょうか?
投稿 UR | 2008年6月20日 (金) 13時57分
A14
1 当該事業年度にどういう報酬請求権が生じたのか、これまでどういう開示が行われていたのかによって、異なるので、明言はできませんが、おそらくURさんのおっしゃるのは、正しいでしょう。
2 その開示方法は、条文に反しますので、開示分が含まれているならば、せめて、「含まれている」という開示が必要でしょう。

Q15 
100問の85で、自己株取得が会社支配の公正害するという弊害が、「取得した自己株式の譲渡について特段の規制がなかった」から主張された→156条で対処、のくだりです。
この主張というのは「会社が取得した自己株は、規制がないので自由に好きな人に交付できるので、自分に都合のいい人に交付して、議決権行使させれば取締役が不公正に支配できた」っていうことですか?
他の本だと、この弊害への対処は、「議決権行使をみとめないことで充分」等と書いてあり、100問とニュアンスが違うのでずっと気になっていたんですが・・。
投稿 アンナ | 2008年6月20日 (金) 22時37分
A15
質問の意味がよく分かりません。

Q16
会社で株式担当になったのですが、会社法の条文を読んでもその言わんとしていることが理解できないことがしばしばあります。私は法学部でもなかったのでリーガルマインドというのがわからないようです。そんな私ですが会社法であそぼ。に一番考え方で刺激をいただいていて感謝しています。ずうずうしく質問までさせてください。
質問1 株式・株主名簿の管理について実務上のわからないことはどのように調べれば良いでしょうか?ex法定記載事項の"法定を満たす記載の仕方"等
質問2 株式名簿の閲覧または謄写の請求による株主名簿の写しを交付することと、残高証明(登録証明書)を出すことは法的にどう異なるのでしょうか?
(会社は株券発行会社なので、第百二十二条の株主名簿記載事項証明の適用外という認識です)
投稿 ひよこ | 2008年6月20日 (金) 22時44分
A16
質問1 上場会社でしょうか?株式懇話会や経営法友会に加入して、知っている人から情報をもらうのが一番よいと思います。特に株券電子化後は、株式事務が大きく変わりますので文献は宛になりません。
質問2 株券不発行会社は、株主名簿が第三者対抗要件なので、「コピー」ではなく、会社の代表者による「証明書」(原本)を得られるようにしたのです。

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2008年6月14日 (土)

株主名簿の閲覧拒否

 お役所の「居酒屋タクシー」が叩かれています。
 私は、法務省時代、数え切れないほど深夜タクシーに乗りましたが、一度も、ビールも商品券ももらえませんでした。
 そもそも、法務省は、タクシーの予算が少ないせいか、実質「自腹」で帰らざるをえないときもありました。
 今回のニュースでビックリしたのは
   財務省は、タクシーに全額予算がついているんだ。スゲーッ
ということです。
 世間の人は、ビールを「キックバック」したと言うことで相当、公務員を非難してます。大臣も非難しています。
 私は、ちょっと貰いすぎの人は別として
    もらった公務員は、ちゃんと残業代を貰っていたのだろうか
ということを考えると、サービスのビールくらいで大騒ぎするのもどうかなあと思います。
 とはいえ、霞ヶ関における深夜タクシーの利用は、エコの観点からも減らすべきです。
 たぶん
    国会議員(特に野党)は、夕方5時までに、質問を明らかにする
    午後11時までに想定問答の決裁が終わらない場合には、決裁官だけ残して、下っ端はみんな帰宅する。修正は、家からメールで役所に送る
ということにすれば、相当減ります。

さて、今日は、株主名簿閲覧請求権について、原弘産 vs 日本ハウズイングの注目すべき裁判が出ましたから、その点についてお話ししましょう。

株主名簿閲覧請求権の拒絶事由(125条3項)については、会社法で新設されたわけですが、次の全5号のうち、3号について、よく批判を耳にします。

一 請求者がその権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき。
二 請求者が当該株式会社の業務の遂行を妨げ、又は株主の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき。
三 請求者が当該株式会社の業務と実質的に競争関係にある事業を営み、又はこれに従事するものであるとき。
四 請求者が株主名簿の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求を行ったとき。
五 請求者が、過去二年以内において、株主名簿の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき。

実際、このブログでも、大杉先生やIKさんと議論し、なぜ3号に合理性があるのかということを論じてきました。
http://kaishahou.cocolog-nifty.com/blog/2007/11/post_a7f9.html
http://kaishahou.cocolog-nifty.com/blog/2007/11/post_0736.html

この一連の議論の中で、私が主張したのは、
  「3号は、合理性がある」
  「3号だけを、極めて限定的に解釈するというのは、解釈上無理でしょう」
  「不当な閲覧拒否は、閲覧拒否権の濫用という構成なら取れるんじゃないか」
ということでした。

 つまり、要件事実的に整理すれば
  請求原因 閲覧請求権(125条1項)
  抗弁   拒否事由(同条3項3号)
  再抗弁  拒否権の濫用を基礎付ける事実
ということです。

 今回の東京高裁決定も、判断構造は、私の見解に似ているのですが、若干、違います。
 つまり、
  請求原因 閲覧請求権
  ①抗弁1  閲覧請求権の濫用を基礎付ける事実(解釈上の拒否事由=最高裁判例)
        (1号・2号は、その確認規定)
  ②抗弁2  拒否事由(3号)
  再抗弁  請求権の濫用ではないことを基礎付ける事実
というように
  3号の正当性を認めた上で
  3号は、解釈上の拒否事由について、立証責任を請求者側に転換する規定
と解したのです。

 「拒否権の濫用を基礎付ける事実」と「請求権の濫用ではないことを基礎付ける事実」は、中身は同じなので、私は、この東京高裁決定の結論や基本的な発想は賛成です。

 ただ、当該決定に対しては
 (1) 3項の5つの拒絶事由以外に、解釈上の拒絶事由を認めるという解釈は正しいのだろうか?
 (2) 当該決定は、3項1号・2号に該当する場合には、拒否権の濫用という再抗弁は許さないということのようだが、本当にそれでいいのだろうか。
 (3)4号や5号では、再抗弁は許されるのであろうか。たぶん、4号は、駄目っぽい。5号で、再抗弁が許されると面倒くさそうだなあ。
 (4)3項各号の中に、立証責任転換と、そうではないものが混ざっているという解釈は、テクニカル過ぎるかなあ。
 (5)会計帳簿の閲覧拒否事由の解釈も同じように考えるのだろうか?
などという疑問がふつふつと沸いてきます。

 本件に限っていえば、3号だけが問題なので、東京高裁決定に違和感はありませんし、今後の閲覧請求事件で指針になる裁判だと思っていますが、以上の点については、少し検討しておく必要がありそうです。

(質問コーナー)
Q1
葉玉先生、はじめまして。
法律家として成功する上で大事なこととして先生がよくおっしゃる「一芸に秀でている」ということですが、普段、司法試験に向けた勉強をしているだけでは、なかなか他人とは違った能力を伸ばすことができません。
というより、そもそも、先生のおっしゃる「一芸」の具体的なイメージがわかないのです。
得意な法律分野がある、ということもその一つなのでしょうが、それに尽きないようにも思えます。
例えば、先生の周りには、具体的にどのような「一芸」を持った優れた法律家の方々がいらっしゃるのでしょうか?
ご教示くだされば有り難いです。
投稿 学部生 | 2008年6月 8日 (日) 00時52分
A1
 一芸は、なんでもよいです。法律分野でもいいし、そうでなくてもよい。
 「自分は、他人とどこに違いがあるのだろう。」
 「自分のどこが魅力的なんだろう。」
 と自問自答して自信をもって答えられるのが、一芸です。

 ちなみに、「ろぼっと軽ジK」さんのコメントが参考になります。
「 学部生さん。僭越ですが葉玉先生に代わりいち実務家として意見を述べます。
 「一芸に秀でている」「法律家として人並み以上である」、両者の関係はたぶん「かつ」なのでしょう。直後に「常識がある」が併記されていますから。
 普通に思い浮かぶのは、「他国言語を駆使できたり(英語以外の中国語など)、理系知識を有している」「人並みの法律家より、情報分析力・その表現力・構成力が優れている」といったところでしょうか。
 「かつ」を求めているとしたらさすがTMIですが、「演劇部を経験して表現力や聞く人の反応を知る感応力が人一倍豊か」というのも一芸に秀でていることに該当しているのかもしれません(^ ^)。
 いわんとしていることは「法律家の能力ばかり磨いた人ばかり集まっても物足りない。多様な経験を持つ人を歓迎したい」という意味に受け止めましたが。」

Q2
敵対的買収をかけられた時点では、チャレンジされている経営者に交渉当事者たる資格があるとなぜお考えなのか理由がわかりません。
米国型のライツプランを入れておきたいのなら、独立取締役を入れることを法律事務所の皆さんはアドバイすべきなのではないでしょうか?
昨今の日経の一部報道やACGAの主張を「無防備派」と呼称しているのなら、その表現は妥当ではないと思います。経営者が、マルチ・ステーク・ホルダー主義という自らの思想に基づき、買収防衛策を導入することには賛成できないといってるのだと思います。
私は数多くの買収防衛策議案を実際にみてきましたが、専ら株主共同の利益保護の観点から買収防衛策を組み立てていると納得できるできのものはまれです。
ちなみに中国やインドの企業は株主保護の仕組みの優劣に関わらず、経済成長の果実を求める投資家が投資しているのに対し、日本企業、中でも低ROE企業が安易に買収防衛策を導入してしまうと、経営者が自ら宗旨替えしない限り、永遠に割安かつ低株価に甘んじてしまう事になると思います。
法制度の比較だけでは経営者対株主のゲーム・バランスを論ずることはできないと思います。日本の経営者が、世界でも最強に近い株主権のもとでなぜこれだけ枕を高くして眠れて来れたかの理由は、決して世界に誇る経営成果を上げてきたためだとは思えません。
投稿 市場派の意見 | 2008年6月 8日 (日) 20時41分
A2
 記事をよく見ていただければわかりますが、株主意思確認プランは、経営者に発動の決定権を与えていませんから、「経営者に交渉当事者たる資格がある」という前提をとっていません。必ず株主の意思を確認することを前提としています。
 米型ライツプランよりも、ずっと株主重視のプランです。

Q3
 会社法831条1項3号の「特別の利害関係を有する者」について質問です。
 100問では、合併契約の相手方が親会社である場合に、その親会社は特別利害関係株主にあたるとのことです。しかし、そのように解すると、略式合併において、消滅会社の決議が省略できることの正当性が説明できないのではないでしょうか?
 特別支配会社も本来、特別利害関係株主にあたるはずなのに、消滅会社の決議が省略される結果、「著しく不当な決議」かどうかを争う機会すら与えられません。これは不均衡ではないのですか?
投稿 ロー生 | 2008年6月 8日 (日) 20時59分
A3
 略式合併に対する差し止め請求権を行使すればよいです。

Q4
株式交換で親会社が債権者への催告(799ⅡⅢ)を欠くと、株式交換は769Ⅵにより効力不発生となりますが、この場合の債権者は無効の訴え(828Ⅰ⑪)を提起できるのでしょうか?
「株式交換の効力が発生した日から六箇月以内」828Ⅰ⑪)との文言と、769Ⅵで効力が発生していないこととの整合性が問題となると思うのですが?
それとも、769Ⅵによる効力不発生の場合、そもそも無効の訴えは不要なのでしょうか?
また、株式交換や合併等は、設立や新株発行と異なり無効事由が基本書等でもあまり書かれていませんが、どのように解したらよいのでしょうか?
投稿 | 2008年6月 9日 (月) 13時34分
A4
 この問題は、以前から、資本金の減少無効の訴え等でもある問題です。
 私は、769条6項は、無効事由を定めるものであり、効力発生日になり、株式が発行される等株式交換の外形上の効果が生じた場合には、とりあえず有効となると考えています。

Q5
現在、司法試験の受験生ですが、会社法の勉強の参考にと、親戚が持っている株の株主総会に参加しようと考えています。
しかし、代理人による株主総会の出席については、
「代理人により議決権を行使される場合は、議決権を有する他の株主1名が代理人として株主総会にご出席いただけます」と、招集通知に書いてあります。
議決権の行使は代理により行える(会社法310条)とあります。まず、この代理人足りうる資格を、株主に限っていること自体は、株主総会の円滑な運営のため、有効です。そして、株主総会の円滑な運営に支障がない場合、すなわち、代理人が実質的な株主など一定の合理的な理由がある場合は、この適用が排除される、と(司法試験)受験上の理解として認識しています。
以上のことからですと、私の場合は、株主総会に参加できそうにも、できなさそうにも思いまが、やはり、親戚(祖父)だからと言って、さらに、祖父が勉強のためなら総会に出席してもいいと許可していても、孫と祖父の関係で実質的に株主とは、あまりにも飛躍でし、どうしても出席したいなら、株を譲渡して、改めて総会に出席すべきであると考えられます。
なので、私は、委任状を書いてもらったりしても、総会に出席できませんよね?(質問その1)。
A5
代理人として、総会に出席することはできないと思います。

Q6
また、私は、今回初めて、今まで机上の条文や解釈であったものを、現実のケースとして考えてみたのですが、その考えるプロセスは、
議決権の代理行使(会社法310条)の条文において、「政令で定めるところにより」(同法310条3項前文)とあったので、例外を定める規定があるのだと考え、政令(たぶん法務省令だと思うのですが)を検索してみました。ですが、政省令の多さにビックリし、途中で断念したというものでした。
実際の実務の方も、このように一つ一つ条文から政省令や判例と、辿って行って判断をするというプロセスを行うのですか??(質問その2)。
投稿 受験生 マンゴー | 2008年6月 9日 (月) 14時02分
A6
もちろん、そうです。

Q7
葉玉先生 こんばんは
ブログ楽しく拝見しています。
会社法なんてぜんぜん知らなかったのですが、先生のブログですごく興味もちました。 今、建設コンサルの仕事しているのですが、会社法(特にM&A)の仕事に転職したいと思ってます。
弁護士資格なくそのような分野に転職するにはどういった方法があるのでしょうか?やはり、司法試験受けて弁護士資格を取ったほうがよいものなのでしょうか?(今年42歳になりました。)
投稿 かっちゃん | 2008年6月 9日 (月) 18時04分
A7
会社法の仕事をするならば、弁護士資格が必要でしょう。
M&Aであれば、証券会社やM&Aコンサル会社に入ればできます。

Q8
ぉぃぅさん、私のコメントを読んでご意見をくださったのでしょうか。
先のコメントの中でぉぃぅさんがおっしゃっていることは間違っていないと思います。司法試験は天才と呼ばれる人しか合格できない試験ではもちろんありませんし、天才が法律家になる必要もありません。
ただ、そうであるからといって、日本人全員が司法試験に合格できる素質を持っているというわけではありませんよね。それと同じように、ロースクールの学生全員が、必ず5年以内に合格レベルに達すると言い切ることはできないように思えるのです。また、仮に合格レベルに達したとしても、諸々の原因から、たまたま試験当日に実力を発揮できずに不合格となってしまう可能性も否定できないでしょう。
そして、5年以内に合格できない受験生は、法律家にふさわしくない人間でしょうか。そうではありませんよね。少なくとも、私はそうではないと思います。
受け控えをするかどうかは、各自の責任・判断で決めれば良いことであって、受け控えるという選択をした人をさげすむようなことはすべきではないと思うのであります。
投稿 一市民 | 2008年6月10日 (火) 15時09分
A8
受け控えをするかどうかを各自の責任・判断で決めるのは当然のことです。
誰しも、間違った選択をする権利はあります。
私は、「受け控え」をした人を蔑んでいるのではないのです。
ただ、受験生として間違った選択をしたと言っているだけです。
人間は、誰しも間違いを犯しますから、二度とそういう間違いをしなければよいし
これから受験する人は、間違わないようにしてもらいたいと思い
「受け控えというのは、受験生の選択肢にはない」
と断言しているのです。
 私の言うことを信じないならば、それで結構です。
 私は、自分が20年間にわたって沢山の司法試験受験生・合格者を見てきた経験や、現在の就職状況から、「受け控え」は人生を浪費するだけであると確信しています。

Q9
先生、質問があります。先生のTMI、長島、西村、森、アンダーソン、いずれも7月下旬まで説明会をやっていますが、7月下旬の説明会を聞いてから個別訪問に申し込んでもおそくないですか?
長島はサマーアソシエイトをやっていれば、説明会はいいから兎に角7月1週目に個別訪問をいれろとメールを送ってきます。内定者のほとんどは、おそくとも7月中旬から下旬できまるというのは本当なのでしょうか。
投稿 出遅れ就職活動中 | 2008年6月11日 (水) 12時29分
A9
各事務所とも、採用人数が一杯になれば、よほど優秀な人でなければ、追加では採らないでしょう。
7月下旬の説明会の後でも、可能性は0ではありませんが、他人より遅れれば、それだけ不利なのは当然です。

Q10
会社法384条によれば、監査の範囲が限定されていない通常の監査役は総会提出議案等の調査を行い、法令・定款違反等がある場合に限り総会に報告すれば良いと読めるのに対し、389条3項によれば、会計監査限定監査役は会計に関する総会提出議案等の調査を行い、法令・定款違反等の有無にかかわらず無いなら無しと総会に常に報告しなければならないように読めます。
これは、389条3項を、384条のように表現すべきだったということはないでしょうか? ?
会社法施行規則73条1項2号に「法第384条 又は第389条第3項 の規定により株主総会に報告すべき調査の結果があるときは、その結果の概要(を株主総会参考書類に記載しなければならない)」とあるので、 そのような気がします。
また、一番懸念されるのが、無くてもない旨を監査役が常に総会で報告しなければならないなら、会計監査限定監査役の会社は、会社法319条の書面決議制度を利用できなくなると思います。書面決議制度は、会計監査限定監査役にしているような、比較的規模の小さい会社のためのような制度だと思われ、制度矛盾のような気がします。
投稿 某社法務担当者 | 2008年6月11日 (水) 13時24分
A10
 以前から指摘されている点です。
 本当は、
 1 会計監査限定にしない
 2 役会と監査役を廃止する
という方法をとれば、解決できます。

Q11
 論証について、以前、一字一句覚えるようなものではないとの指摘を頂きました。キーワードを記憶して行くべきであるとのことでした。
 ただ、現実の論証集はこのようなキーワードのみで構成されたものはありませんので自分で論証カードを作成した方が良いのでしょうか。
 現実には作成に取り掛かっていますが、結構時間をとられてしまいます。
 自分がやっている方法は、
   ①論証集の論証のうちキーワードを抜き出し
   ②特に重要なキーワードに関しては文章で抜き出す
   ③それを矢印と接続詞でつないでいく
 というようにやっています。
 このようなやり方でよいでしょうか。また、そもそも論証カードは作成する必要はないのでしょうか。
投稿 不孤 | 2008年6月12日 (木) 00時20分
A11
 方法は、そんなものでいいでしょう。
 抜き出しに時間がかかっても、それ自体が学習につながっています。

Q12
何週か前に書きこみさせていただいたロースクール生旧試受験者です。
先生のブログを見ていますと実際に答案を書く・答案構成をすることが重要であることがわかりました。
直前期ではありますがさらに質問させてください。
①愚かな質問だとは思いますが、先生は旧司論文に合格する上で、答案作成・答案構成をそれぞれ何問ほどこなせばよいとお考えですか?
もちろん一定数をこなせば合格するわけではないことは承知しております。ただ、私は自分の中でなんらかの目安があると非常に勉強しやすいタイプですのでそれを目標に勉強したいと考えているのです。
②直前期で勉強に優先順位をつける場合、答案作成・答案構成どちらを優先すべきでしょうか?
よろしくお願いいたします。
投稿 1000のバイオリン | 2008年6月13日 (金) 18時12分
A12
① 各科目、とりあえず50問くらいでしょうか。
② 直前は、答案構成をたくさんやりましょう。

Q13
 私は、今年、新司法試験を受験した者です。
 択一の点数は、自己採点では、合格者平均でした。論文に関しては、手ごたえは分かりません。落ちていた場合、論文の成績表を見て、司法試験から撤退するか否かを決めようと思っています。
 仮に続けると決めた場合、来年の試験に備えて、今から勉強をしようと思っています。しかし、どのような勉強をすべきか分からず、悩んでいます。
 私は、試験対策として、主に旧司法試験と新司法試験の過去問(会社法は100問です)を解き、できなかった問題、論点について繰り返し解き、ノートに書き込むという勉強を行ってきました。そして、直前期にノートを読みました。また、択一対策も兼ねて、基本書を直前期に全教科3回前後読みました。
 上記勉強法で、ある程度は対応できたと思っていますが、能力・理解不足も痛感しました。具体的には、事案、問題を素早く読み解く能力と、基本的知識の正確な理解です。
 そこで、先生は、上記能力を鍛えるためにどのような勉強方法がよいと思われますか?事案、問題を素早く読み解く能力ついては、判例をじっくり読むことで身に付けようと思っていますが、正しいかどうかわかりません。
 また、主に旧司法試験の過去問を解けるレベルを目標として勉強してきたのですが、それだけでは不十分でしょうか?新司法試験の問題は、難しいし(特に憲法、民訴が難しいです)、採点もブラックボックスなので、目標として設定しにくいです。新司法試験と旧司法試験の勉強法の相違点、あるいは、旧司法試験にはない新司法試験の特質の有無について、先生のご意見をお聞かせいただければ幸いです。
投稿 べんじ | 2008年6月13日 (金) 20時02分
A13
 判例をじっくり読むのは、効率が悪いです。
 時間を決めて、判例の事案を図に書き、争点整理をするのならばよいかも。
 時間を決めるのが大事です。
 旧試験が解けるなら、新試験も解けます。

Q14
葉玉先生は、「3年間、1日12時間勉強」」の勉強はどうやったら継続できるのでしょうか?精神論だけでこれを実現するのは難しいです。
投稿 受験生 | 2008年6月13日 (金) 20時46分
A14
人間は飽きる動物です。
1 1日に3科目以上する
2 1日のうちで、見る、聞く、書くを組み合わせる

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2008年6月 7日 (土)

株主のための買収防衛策

 今日は、本題に入る前に、いくつかお知らせをします。

1 新司法試験受験生へ
 TMI総合法律事務所は、6月29日から3回に分けて、新司法試験を受験した方を対象に事務所説明会を開催します。
 先着順で、すでに、かなり埋まっていますが、まだ空きはありますので
  「TMIって、どんなことをやっているんだろう」
と興味のある方は、ぜひお申し込みください。
 詳しくは、http://www.tmi.gr.jp/recruit/sub_sotugyousei.htmlへどうぞ。

 私も、事務所説明会では、就職活動をしている皆様に「熱いメッセージ」を伝える予定です。

 ところで、実は、私は採用委員の一人でもあります。個別面接で、私の面接にあたった場合、私の採用基準は
  一芸に秀でている
  法律家として人並み以上である。
  常識がある
の3つですから、そういう目で見られているな、と思って、質問に答えてくださいね。
 なお、「一芸」は、「一発芸」ではないので、面接時に一発芸をするのはご遠慮ください。

2 訂正
 前回の「アデランス」ネタの訂正です。
【訂正1】
ハイヤーツーベーさんから
「『株主総会の現場で、誰か別の取締役候補者を株主提案し、そこで決議を採る
という方法も考えられたかもしれません。
 その場合、書面による議決権行使はできませんから、株主総会の現場で過半数が取れれば、選任決議が成立します。』
とされていますが、書面投票は出席にはカウントされ、反対ないし棄権と扱われるので、総会の現場で過半数を取っても、決議は成立しないのではないでしょうか。」
とのご指摘を受けました。

確かに、そのとおりです。私は、「スティール等に委任状を出したわけではないから、総会では、反対票が減るから、会場では賛成が上回る」という頭で、そのように書いてしまいましたが、大事なのは、賛成票が出席者の過半数を超えることであり、反対と棄権は同じです。ということで
 「総会で、議決権行使書面提出者を含む出席者の過半数が確保できない以上、新提案をしても、無駄です」
と訂正させていただきます。

【訂正2】
もう一つ、内藤卓さんから、取締役として権利義務を有する者の辞任は認められないとのご指摘がありました。
この点は、難問なので、いまだに迷いはあるですが、確かに、辞任の前提となる委任契約がない以上、難しいかもしれません。辞任を認めることは、実質論として論ずる前に、理論的な基盤がないように思い直しました
(自分が書いたことも、すっかり忘れていました。
http://blog.livedoor.jp/masami_hadama/archives/50903410.html#comments参照)
実際に、法務局が辞任を認めるのか認めないのかは、興味あるところです。

3 インターネット無料口座
インターネット無料公開講座 会社法マスター115講座で学ぶ会社法
http://www.lotus21.co.jp/works/streaming/kaisha115/kaisha115web_gaiyou.html
は、アクセス数が拡大しています。この手の企画は、通常は尻すぼみですなのに、ここにきてまたアクセス数が伸びているのは、正直嬉しいです。

 1回目の1番最初のファイルは、皆さんとりあえずクリックするので、すごい数なのは分かりますが、それ以後のファイルもちゃんと見てくれてている方が1000人もいらっしゃるというのは感動です。毎日着々と修了者が増えていますので、目標を3000人に設定し、3000人の修了者が出たら、また新企画を考えましょう。

4 本題「株主のための買収防衛策」

最近、日経で、買収防衛策の話題がやたらと出ています。
isologueでも、いろいろなご指摘があり、興味深く拝見させていただきました。
http://www.tez.com/blog/archives/001168.html
http://www.tez.com/blog/archives/001166.html

そんな中、たまたま、私は、商事法務1833号、1834号で
   「株主のための買収防衛策 ―株主意思確認プラン―」
という論文を発表させていただきました。

 私は、以前、議決権制限株式を用いた買収防衛策について論文を書いたことがあります。
  「議決権制限株式を利用した買収防衛策」 旬刊商事法務1742号28頁
 事前に導入するのならば、本当は、株主にとっても、会社にとっても、買収者にとっても、これが一番良いのですが、残念ながら、証券取引所は、こうした株式の上場を認めてくれません。

 他方、弁護士になって、買収防衛策の設計の仕事が多いものですから、上場会社が導入できるもの、そして、裁判で適法性を認めてくれそうなものを設計しているときにできあがったのが、今回の「株主意思確認プラン」です。

 これまでの買収防衛策についての議論を聞いていると、買収防衛策に対する立場は、概ね、次の4つの派閥に分類できそうです。
(1)無防備派
  =TOBルールに従っていれば、株式の売買は自由にやっていいでしょ。買収防衛策で、経営者の自己保身ばかりやっていると日本にお金が入ってこないよ。

(2)TOB強化派
  =日本の防衛策は、最低。イギリスみたいにTOBルールを強化すればいいんだよ。パネルのような第三者機関が濫用的買収かどうか判断するのがベスト。でも、金商法を改正してくれなかったらどうしよう・・・。

(3)独立委員会派
  =現状のTOBルールでは強圧的買収は防げないから、ライツプランが必要。経営者の保身は、独立委員会を設ければ、排除できる。アメリカでは適法なんだから、独立委員会の判断を尊重したら、日本でも適法にすべきだよ。株主総会で発動を決めるのもいいけど、株主には、判断能力が乏しいし、企業秘密にも触れられないから、やっぱり独立委員会だろ。

(4)株主総会派
  =判例を考えると、株主総会の決議でライツプランを発動するのがよさそう。機関投資家にもウケがよさそうだし。でも、特別決議を採るのはきついから、普通決議にしておこう。あっ、念のため、取締役会だけで発動できるようにもしておこうかな。

分かりやすくするため、各派閥とも、ややデフォルメしておりますが、あたらずともいえど、遠からずというくらいの表現にはなっていると思います。

私の株主意思確認プランは、以上のどれでもありません。
(1)無防備派について
 まず、私は、「日本の会社は、すべて無防備であるべきである」というのは、現実無視のイデオロギーと思いますので、無防備派には与しません。
 アメリカの州法上の敵対的買収防衛規定であるとか、アメリカの上場企業の半分くらいはライツプランをいれているとかいう事実、ヨーロッパの多くの国のTOBルールは日本より厳しく、しかも、上場会社の多くが多議決権株式等の種類株式を発行しているという事実をみたとき
    今の日本のTOBルールだけで、無防備であること強いるのは、グローバルに見て非常識である
ということができると思います。
 TOBルールは、会社の規模や、友好的か敵対的かを問わず、すべてに適用されるルールなので、濫用的買収の防止という点では限界があります。
 すべての会社に、買収防衛策を入れる必要はないと思いますが、それを必要とする会社について、買収防衛策の導入を禁止するのは反対です。

 ちなみに、買収防衛策を入れると、日本に金が入ってこないというのは、正しくないと思います。日本に投資しない理由の一つとして、「刺身のつま」に使われるのは分かりますが。日本への投資が増えるかどうかは、日本株が上昇する見込みがあるかどうかによって決まるだけです。今の日本の買収防衛策くらいで投資をしないのなら、中国やインドに投資することなんかできません。
 そもそも、適切な買収防衛策なら、敵対的買収者が現れたときに株価を上昇させるはずです。
 
(2)TOB強化派について
 TOB強化派には、親近感があります。
 買収者が「買いたい」といい、株主が「売りたい」と思えば、売買が成立することを前提に、情報開示と公平な売却の機会を与えるというのは、誰も反対はしないでしょう。
 ただ、TOBルールは、金商法で決まるものであるため、その即時強化は望み薄です。
 しかも、防衛の必要性は会社ごとに違うのに、会社の特性に応じた個別の対応ができないのは、困ります。

(3)独立委員会派について
 私は、独立委員会は、アメリカ礼賛の投資家向けの説明のしやすさはあると思いますが、実際には、法的安定性を高めるのには役に立たないと思います。
 裁判所は、経営者が選んだ独立委員の独立性を信頼しないでしょうし、取締役会が、独立性ある専門家の話を尊重したければ、弁護士やコンサルタントの言うとおりにすればよいだけで、「なぜ独立委員会でなければならないのか」という点の説明は困難であるように思います。
 また、判例の権限分配論を前提とすれば、独立委員は、取締役から再委任を受けたものに過ぎず、受託者ですら口出しできない、株主構成を変動させるコーポレートアクションについて、再受託者が口出しできるのかは説明できないでしょう。

(4)株主総会派
 私は、法律家なので、差し止められる可能性が低い買収防衛策が好きです。
 そうすると、これまでの判例の流れからすれば、買収者の持株比率を下げるような防衛策については、株主総会派に親近感を覚えます。
 ただし、適法とされる可能性が高いのは「特別決議」であり、「普通決議」での発動は、5分5分もしくは6分4分くらいで差し止められる可能性があります。
 それは、買収者の持株比率を下げるということや、買収者に株式を売りたい株主の売る自由を制限することについて、普通決議でよしとする明確な法的根拠が見つからないからです。

 かといって、敵対的買収が始まった時点では、特別決議が取れない可能性が高くなるので、株主総会派が、その対策を立てられなければ、事実上、買収防衛は無理と言っているに等しいと感じられるでしょう。

(5)株主意思確認プラン
 以上の認識をもとに設計したのが株主意思確認プランです。

 株主意思確認プランは、2種類の防衛策をブレンドしたものです。

 すなわち、
  株主総会派的な発想で 特別決議を得られたら、買収者の持株比率を下げる防衛策ができるした上
  TOB強化派的な発想で、自治的な公開買付手続ルールを設定し、買収者は、株主意思確認手続において売却の意思を表明した株主からだけ、株式を買うことができるという制度を作る
というものです。

 この株主意思確認プランは、
 買収者を差別的に取り扱うためには、必ず株主総会で株主意思確認手続を開催しなければならない(取締役会だけで差別的取扱をすることはできない)ので、経営者の保身のために利用することは不可能
ですし、
 特別決議で買収への反対が決議されない限り、売りたい株主は、買収者に売れる
という点で、株主に対してフレンドリーです。

 詳しくは、論文を見ていただきたいのですが、私は
  買収防衛策の議論が、経営者VS株主という文脈で捉えられている
という現状は、健全であるとは言い難いと思っています。
 この株主意思確認プランは
  買収防衛策は、買収者VS株主の利益調整のための手段である
と捉えており
  株主が、不利な状況で買収を迫られることがないようにするためには、どうしたらよいか
と考えながら、作ったものなので興味ある方はぜひご覧ください。

 今回は、上場会社において、現実に採用可能なものとして設計しているので、ご不明な点があれば、お気軽にご質問ください。

(質問コーナー)
Q1
スティールは、グリコも本件もただNoといっているだけではないですよ。
ずいぶん前に、こうしろと言っています。
それを実際に実行するかわかりませんが。
投稿 gonchan | 2008年6月 1日 (日) 02時34分
A1
 まず、私は、スティールさんのことをどうこう言っているのではないということを一言お断りしておきます。スティールさんは、過半数もっている株主ではないですから。
 私が言ったのは、過半数をとろうとする買収者ならば、企業政策の提言をするだけでは足りないということです。
 もし、その政策を実現したいのならば、それを実現する人材を出し、その人材を選任するべきです。「政策を実現しないような候補者は、NO」と与党が言うだけでは、会社はいつまで立っても取締役が決まりません。

Q2
インターネットの無料講座、拝見してます。
2年ほど前までは上場企業で総会実務もやっていたのですが、その後人材ビジネスのコンプライアンス部門に転職しまして、労働法の世界に染まってしまっていたこともあり、久しぶりの会社法総復習にぴったりの難易度で、ありがたい限りです。
すごいボリューム・時間数に圧倒もされています(笑)が、本当に分かりやすいので、まわりにも紹介したいと思います。
DVD化される予定とのこと、DVD化後も、願わくばこの無料公開ページは残していただきたいですが・・・。
また、テキストの『会社法マスター115講座』が、Amazonで売り切れになって手に入らなくなってしまっているようです。是非再刷りをお願いします。
投稿 tac | 2008年6月 1日 (日) 09時24分
A2
増刷は、LOTUS21も考えているようです。

Q3
変な質問ですが、葉玉先生は「合同会社」というネーミングについてはどんな印象を持ってらっしゃいますか?
投稿 sky | 2008年6月 1日 (日) 11時05分
A3
法制審のときから、「いいものがあったら、教えてください」と頼んでいたのですが、とうとう、それ以上のものがでなかったのです。

Q4
株主総会決議の件で以前から疑問に思う点があったので質問させてください。
「株主提案」と「動議」の違いについてです。
以前読んだ文献(判タ1048号86頁)では、
「総会で提出できる動議は招集通知に記載された議題または議案の修正に限られる。議案の追加は動議によって提出することはできない(株主提案権によって行使すべきものである)」
と記載されていました。
仮に、甲社の株主総会で「取締役2名選任の件」が議題となり、具体的な議案として会社側が「Aの取締役選任の件」「Bの取締役選任の件」を提案していたとします。
この場合、甲社の株主は303条2項の要件を充たす限り、同条に基づいて、株主総会の場で、ABとは異なる「Cの取締役選任の件」を提案することができるのでしょうか。
投稿 ロースクール生 | 2008年6月 1日 (日) 14時09分
A4
できます。「議題」の追加はできませんが、議案は総会の場で追加することができます。
それが修正提案です。
なお、質問後半部分は、本文を見てください。

Q5
会社法100問の改訂予定はありますか?
投稿 L | 2008年6月 1日 (日) 15時05分
A5
具体的予定は全くありません。

Q6
『会社法マスター115講座』「19基準日」の図表(旧版では45ページ)に会社が基準日を設定したときに「通知・公告」するとありますが、条文(124条3項)には「公告」としかかかれていません。
この「通知」はどういうものなのでしょうか?
投稿 | 2008年6月 1日 (日) 15時27分
A6
すいません。基準日は、公告だけです。

Q7
実は、連結計算書類の作成義務について質問があります。
会社法第444条第7項を見ますと、会計監査人設置会社は必ず連結計算書類を作成しなければならないように読めます。
一方、444条1項や3項を見る限りは、会計監査人設置会社であっても上場会社等でない限り連結計算書類の作成は任意であるようにも読めますし、実際にそのような書き方をしている本も多いようです。
当社は2007年3月期末に資本金が5億円を超えていたため、会計監査人を選任しております。しかし、上場会社ではなく、444条3項に定める有価証券報告書の提出義務はありません。
この場合、連結計算書類の作成義務はあるのでしょうか?
投稿 まよいまくり | 2008年6月 1日 (日) 18時17分
A7
有価証券報告書提出会社以外は、連結計算書類の作成義務はありません。

Q8
 新・会社法100問(第2版)の13.預合いについて質問させてください。
 94条2項によって第三者を保護する法律構成はとても新鮮ながら非常に納得のいく構成ですが、少し気になる点があります。「善意の第三者(他の発起人、会社、当該預金債権を差し押さえた善意の債権者等)との関係では」とありますが、①他の発起人、②会社についても、善意の第三者足りうるのでしょうか。
①確かに、ある発起人が勝手に約束をして、他の発起人が迷惑をこうむるということは考えうると思いますが、差押債権者のように、請求権行使場面が想定できません。株主としてでも、会社の債権について何か法律上の利害関係を有するということは、想定できません。
 また、他の発起人が会社の代表者として会社の債権を行使することも考えられますが、この代表者が「第三者」足りうるのでしょうか?(民法上、代理人は「第三者」足りえないと思います。)
②会社は、銀行等に対して預金債権を有しますので、それを直接行使するということが当然に考えられますが、当該会社の債権を行使するのに、「第三者」足りうるのでしょうか?(民法の議論では、代理人が虚偽表示をした場合、本人は「第三者」足りえないとされていると思います。)
 以上のことを考えると、①発起人、②会社について、それぞれ銀行に対して附款の無効を主張する場面はありえないと思うのですが、①発起人、②会社が無効主張をする場面として、どういう場合を想定しておられるのでしょうか?
投稿 旧司法試験受験生 | 2008年6月 2日 (月) 08時50分
A8
 話すと長いのですが、通常の代理人による虚偽表示の場面と異なるのは、発起人は、本来、設立後の預金の払戻について返還制限をする権限がないということです。したがって、「代表発起人=設立中の会社の代表者」という側面だけを考えるのならば、民法94条を持ち出すまでもなく、代表者が権限を逸脱し、相手方(銀行)が悪意なのだから、会社は返還制限について無効を主張できるはずです。
 しかし、発起設立における口座は、発起人の個人的な口座でもよく、場合によっては、個人の財産と混在している場合もあります。とすると、返還制限については、発起人個人と銀行との合意としての側面もあり、単純に代表者としての発起人としての立場だけを問題にすることはできないと考えています。ただ、その発起人個人としての側面を考えると、他の発起人や会社は、94条2項の「第三者」に該当するので、いずれにせよ、銀行は、返還制限を対抗することはできないと考えます。

Q9
種類株式についての質問です。
優先株式を新たに発行し、剰余金の配当や残余財産の定めなどと合わせて、
『当会社は、法令に別段の定めのある場合を除き、A種優先株式を併合又は分割しない。』
との旨を規定した場合、この定めは有効ですか?
また、取得請求権付株式の定めとして
『当会社がA種優先株式の全部又は一部の取得の請求を受けた場合、当該取得の請求を受けた日から○日を超えない当会社の取締役会が別に定める日が到来することをもって、当会社は、当該取得の請求を受けたA種優先株式の全部又は一部を取得する。』
との旨を規定した場合、この定めは有効ですか?
千問Q77で、明文の規定なく株主の権利を定款で制限することは許されないとの記載から、上記の規定は無効であると理解していたのですが、ある会社の謄本を見たら上記定めが種類株式の内容として登記されていたので混乱してしまいました。
投稿 | 2008年6月 2日 (月) 09時49分
A9
どちらでも、有効です。
株式の併合や分割は、株主から請求することができる権利ではありません。
取得請求権の取得条項は、株式の内容そのものであり、権利制限ではありません。

Q10
なにやら修習生を名乗る人が任官に司法試験の順位が関係するような書き込みをしていますが、私が知るところでは任官には起案の成績と裁判官・裁判教官とのコミュニケーション(から量られる人格的適性)の方がはるかに大きいと思いますので、受け控えてまで司法試験の順位を上げることには意味がないというか、まったく無意味ですので、現役の方は葉玉先生のおっしゃるとおりに、受け控えなどせずに正々堂々戦ってください。
後、未修でも普通にがんばれば受け控えなどせずに今の試験は受かるというのも葉玉先生のおっしゃるとおりです(三回使い切ればトータル6年もかかります)。
葉玉先生におかれましてはぜひ受け控えの無意味さをこれからも受験生の方々に伝えてほしいと思います。
投稿 未修卒修習生 | 2008年6月 2日 (月) 20時56分

Q11
第1問・第2問の回答・解説の「"議題"の取下げ/撤回」は「"議案"の取下げ/撤回」ではいかがでしょうか?
すなわち、社外取締役選任の議案のみを取り下げ、候補者全員について否決させるように持って行くのです。
先生は、「議題を撤回しても過料の対象とはならないだろう」とおっしゃいますが、やはり「議題自体提案しない=取締役の義務を果たしていない」というそしりを受けないためにも議題の提案自体は残すのがベターと考えます。
「取締役X名選任の件」という議題が「取締役(X-Y)名選任の件」に変わってしまいますが、招集通知発信後に候補者が死亡した場合には当該候補者に関する議案を取り下げることは当然であることを考えても、議題の一言一句まで変更不能というわけではありますまい。
投稿 ラッシャー木村 | 2008年6月 2日 (月) 22時25分
A11
議案の撤回もいいと思います。
ただ、残した議案が否決確実だと分かった後の、議案の撤回は、議題の撤回と法的評価は代わらないと思います。

Q12
許容すべき定款変更動議の範囲については、「議題」ないしは「条文単位」と形式で切るのも不合理と考えます。
例えば、会社が「定款一部変更の件」なる議題で定款第5条の変更を提案している場合において
  第5条と第6条が密接に関連しており、
  会社の変更案には第6条の変更も必須と考える場合
は、第6条の変更動議も許容されるべきものと考えます。
先生は、参考書類による情報提供を理由に挙げておられますが、こと定款変更に関しては、問題にならないと考えます。
そもそも、株主参考書類の記載は変更点の対比表のみ(理由もちょっとは書いてありますが)です。
前後の条文との関連などは示されず、議論すべきポイントを真に理解するには、定款を閲覧するなど株主が追加的に行動することが必要です。対比表のみを示すという実務は株主のそのような努力を前提にしているものです。
かくして、定款変更に関しては、株主への「情報提供」といえるものは元々ほとんどありません。規則73条1項・2項からも、参考書類は議案を示せば要件を満たすのですから。
また、「書面行使や電子投票をした株主にとっては晴天の霹靂で、株主提案が可決されてしまえばそれらの株主の予測可能性を害する」、という点についても「議題」を条文単位で絞ることでは救えないと思います。
すなわち、「第5条の変更」という議題で提案されていた場合において、同じ議題だからと言って第5条をとんでもなく変更するような提案は許されるべきではありません。
私は、許容すべき定款変更動議の範囲は、「提案された(議題ではなく)議案と相当の関連性あるものであるか」及び「議場にいない株主に不測の損害を与えるか否か」という抽象的実質的基準で判断すべきと考えます。
取締役選任の議題が出ている場合において、議場で別候補者を立てる修正動議を提出することはしばしば行われますが、これはまさに「書面行使や電子投票をした株主にとっては晴天の霹靂で、株主提案が可決されてしまえばそれらの株主の予測可能性を害する」ものであり、また議場にいない株主に不測の損害を与える可能性すらあるものです。
定款変更の場合に取締役会の提案趣旨がキモなのはおっしゃるとおりですが、”どのような趣旨で「議題」を定めたのか”と「議題」にフォーカスするのはいかがかと思います。
先生の論と私の論の相違は、議題が「定款第5条の変更の件」となっている場合に、その変更と密接に関連する第6条変更の提案が許されるかという点に現れます。
私の論のように実質的判断のみとすると、会社としては、よほど関連性がないという場合以外は、動議をむげに却下するリスクはとりにくいという判断になるでしょう。
特に会社法施行時のように多数の条文を変更する場合は慎重にならざるを得ませんね。
なお、「議場にいない株主に不測の損害を与えるか否か」というメルクマールを強調しておかないと、以下のようなことが生じ得るのではないでしょうか。
【例】
 ・委任状制度採用の会社で、機関投資家が相当の株式を保有
 ・会社は、定款のある条文について変更を提案。
   裏では機関投資家には反対を食らいそうな変更案(A)を考えるが、
   会社提案としては当たりさわりの無い案(B)を記載
 ・委任状を集める。議場での動議への対応は白紙委任という内容
 ・議場で、会社シンパのサクラ株主からA案とすべき旨の修正動議を提出
  させる
 ・会社もそれに賛成。
  委任状提出者も白紙委任に基づき賛成票にカウントされ、修正動議可決
 ・A案のつもりで委任状を提出した機関投資家はびっくり
  (機関投資家は間接保有が多く議場にはほとんど出てきませんからね)
これは一例ですが、ちょっと脱線しますと、委任状制度は会社側のフリーハンドが過度に大きくなる問題があると考えます。
さらに、受任者の主張に反する内容の委任状は受任しないでよい=株主の議決権がスポイルされる危険がある、という問題もあります。
早々に議決権行使書に一本化すべきではないでしょうか。
投稿 ラッシャー木村 | 2008年6月 2日 (月) 22時29分
A12
5条と6条が実質的関連性を有するようなものならば、本来、それは5条としてまとめて条文にしておくべきものでしょう。
現行の会社定款の中に、そのような密接的関連性があるものがあるとは、思えません。

Q13
なにやら修習生を名乗る人が起案の成績のほうが重要と言っていますが、たしかにどちらがと言えばそれは事実でしょう。
でも結局実力は比例しますし、起案で好成績を出すような実力がないと考えて受け控える人がでてきたら同じことです。
あと、3年コースを卒業して3回目の試験は5年でやってきます。6年ではありません。
最後の一回のプレッシャーは相当なものと思いますが、それを5年目には味わうことになります。
一番問題なのは、受験生各人の諸事情を考えず、自分ができたから大丈夫、受け控えなどするのは馬鹿だ、などと煽ることだと思っています。
足切りの比率も年々上がります、無責任なことは言うべきではありません。
各人が自分の責任で判断すればいいことで、その判断を外野から馬鹿だの欠格だの言うのは間違っていると考えます。
私は3年で合格レベルに達しないことが即ち努力不足であるとは思いません。
試験が受かりやすくなったのは事実です。でも、論文8科目択一7科目一斉実施の負担は旧試の5割増しにも感じます。
勉強法や思考法を確立できた時期や、環境、運などにも左右されるはずです。
才能の差など無い、というのも理想論にすぎません。現実は冷酷です。
ただ、すべては努力でカバーできる可能性があるという1点だけが真実だと思っています。
ロー卒業時に実力不足を実感して、あと1年勉強をして挑みたいと涙を呑んで受け控えた方の判断は、それはそれで正しかったと思います。優秀で尊敬できる人もいますし、3年しか勉強していない人がローの課題から開放されて試験勉強に専念すれば上位合格する者もかなり出てくるはずです。
試験に苦労した方で優秀な法曹として名声を得ている方々の多数の例を挙げるまでもありませんが、控えた彼らの苦悩を考慮せずたった1年延びたという点のみで、「受け控えた人間を採用してくれる大手法律事務所があるんですね。」などと評価を下すのは間違っていると私は思います。
でも、どのような人間を評価するしないは採用側の自由ですね。
私は自分のきっかけ1つで成績が上昇した経験から人に受け控えを勧めた関係で、採用側にそこまで全否定される場合があるということを考慮しなかったことに責任を感じてしまったわけでして、その点反省します。
投稿 いちおう修習生 | 2008年6月 3日 (火) 00時50分
A13
何度でも言いますが、病気や家庭の事情で受けられない人は、「受け控え」ではありません。受けられるのに受けないのが「受け控え」です。
そうした「受け控え」が選択肢の一つであるかのごとく吹聴することの方が、ロースクール卒業生にとって害悪であり、明らかな間違いです。
「受け控え」は選択肢になりえません。受験生が、それを選択肢であると思うから、受け控えすべきかどうかを苦悩するのです。
「受け控え」した人の中に、人間として優秀で尊敬できる人はいるでしょう。しかし、受験生として最悪の選択をした人であることも間違いありません。

Q14
私は,受け控えること自体,計画性の欠如のあらわれと思うのですがいかがでしょうか。
いちおう修習生さんのお話を聞いていまして,果たしてその方は1年生から何を目標にしてきたのだろうか?と考えざるを得ません。
なぜ,3年間あるなかで,常に合格と実力を比較して,それをうめようとしてこなかったのか・・・自助努力不足だと思います(病気や家庭の事情をもつ方を除く)。受け控えとは,その3年間の目測をあやまって,直前で自分の実力が足りないと判断することです。3年前からは無理でも,2年前,1年前・・・合格者と積極的に話をして情報収集をすればその目測をあやまることはないでしょう。今年「来年こそは!」と受けひかえたひとは,受験1年前に同じ決断ができたはずです。
投稿 実務修習生中 | 2008年6月 3日 (火) 11時32分
A14
おっしゃるとおりです。

Q14
葉玉先生,ブログいつも楽しく拝見させていただいております。
吸収合併における「逆取得」にはどんなメリットがあるのでしょうか?
投稿 デコイオリゴ | 2008年6月 3日 (火) 13時31分
A14
 メリットというか・・、基本的には、逆取得かどうかは、メリットデメリットで選択するものではないです。
 まあ、歴史を知りたければ、「逆取得 わかしお銀行」で検索してください。

Q15
講義拝見しています。
目からうろこの解説もあり、第三回も大いに期待しております。
100問89につきご教授願います。
乙会社設立にあたり甲会社の事業一部を現物出資する場合のデメリットとして、甲、乙会社の債権者による詐害行為取消のリスクを挙げられていますが、甲会社の債権者は承諾しているはずですし、
出資の段階で乙会社は存在せず、設立中の会社の事だとしても、出資されるがわの会社の債権者が出資をうけることを取り消しするというのは考えにくいのですが・・。
どういう場合に甲、乙の債権者は詐害行為取消をするのでしょうか?
投稿 アンナ | 2008年6月 3日 (火) 22時46分
A15
おっ、確かに、乙の債権者は外していいですね。
甲の債権者は、詐害行為取消できます。承諾が必要なのは、乙に移転する債権者だけなので、残された債権者は、詐害行為取消可能です。

Q16
受け控えについて、一考。
ずいぶんと活発な議論がなされているようですが、葉玉先生のご意見としては、
① 新試験制度の先行きが不明であるから、合格者数の保障がない。
② 制度設立時の前提が大きく崩れている。
③ 受験生として左右できない試験制度よりも、受験生として成長させることのできる法律の能力を身に付けることに専念すべき。
④ 大学院修了までに、合格可能な実力をつけることは、勉強のすすみ具合の調整を含めて、受験生の責任であって義務である。
⑤ また、それくらい真剣な態度で臨むべき。
⑥ 試験当日、その現場での経験は、試験会場でしか味わえないのだから、自分の最大の反省点を見つけるためにも、受験が必要である。
⑦ 仮に一度受けたら、最大5年という期間があるのだから、受け控えができる余裕もそれほど長いものではない。
⑧ 受け控えして、余裕を見ているときに、試験以外の事情で、勉強をやめなければならないこともあって、結果として受験回数を無駄にする危険があるから、そういう事情がないかぎり、現に受けられる機会を大切にすべきである。
 と、大筋でこのようなことを主張なされているわけで、これは、物事を目指す受験生として、必要不可欠なものということができるのではないですか。
 おそらく、先生の主張の背後には、実務の感覚があるんじゃないでしょうか。
 たとえば、試験=裁判と置き換えてみて、試験は一年遅らせることはできるが、裁判は一年遅らせることはできない。
 いざ裁判のときになって、自分に法律家としての実力がないことを実感して、じゃあ、裁判を一年遅らせれば(実力がつくまでに遅らせれば)、裁判に勝つ保障が出てくるだろう、という考えは通用しませんということなのではないでしょうか。
 法律家としては、自分の実力いかんに関わらず、要求を出されたとき(裁判を起こされたときを想定すれば容易ですが)、最大限の能力を発揮して、少なくとも裁判の時点では最大の弁論ができるように調整すべきである。
 この能力は、法律家としても不可欠であるから、受験生の段階からこういう習慣を肌に感じて覚えておけ、と。
 勉強についても、すさまじい努力をしたが、実力がつかない(試験でいい点数がでない)ということは、自分を客観的に見ることを忘れている、と。
 勉強は一定の方向性をもっておこなうべきで、目的(合格に必要な実力、視点、分析力)が、何であるかを見極め、その目的に最大限向かっていく。
 これは、たとえば裁判の争点は何であるかを見極め、その裁判に勝つために最大限努力すべきであることと同じだ。
 これは法律家としての活動方針として不可欠であるから、受験生の段階からこういう姿勢を学んでおけと。
 仮に、実際のクライアントという責任を背負ったとしても、人は本質的なところでそんなに変わるものではないから必ず消極的な姿勢がでてしまう。
 だったら、自分には実力がないから受け控えをしよう、という消極的な考えを捨てるような訓練をしろ、と。
 仮に、裁判になって、弁論当日に不慮の事故で弁論できなかった結果、本来勝てる裁判に負けてしまった。そのときにクライアントに対しては、いいわけはできません。何が何でも本来できるはずの弁論活動をするのは、法律家として逃れられない責任だから、こういう重たい責任感を受験生の時代から感じておけと。
 受け控えをした人は、「うまく」合格したといえるが、法律家として必要な価値観を身につけない。そうなると、実際の活動に支障が出る。最近の修習不合格者の増加がこれを物語っている、と。
 ・・・・・と、思いつくのであれば、いくらでも思いつきますが。
 少々まとまりがなくて申し訳ありませんが、一考の材料にして頂ければ幸いかと。
投稿 紫 | 2008年6月 4日 (水) 23時46分
A16
そのとおりです。

Q17
アデランスの株主総会でも注目される、346条1項のいわゆる「権利義務」役員ですが、この権利義務ある役員と普通の役員の制度上の違い(特に取締役)ってあるのでしょうか?
346条1項の「役員としての権利義務」、またこの場合の民法654条の「必要な処分」とはどこまで入るのでしょうか?ケースバイケースなのでしょうが、その取締役の取締役会での議決権行使は勿論のこと、業務執行まで「必要な処分」に入り得るのでは?と思います。
また、代表取締役が権利義務取締役になった場合は(実務上は取締役会で代表取締役を変更するのでしょうが)、自ら代表権を返上する義務までは課されていないように見えますが、そういう理解で宜しいですか?
投稿 ネットくん | 2008年6月 5日 (木) 17時52分

A17
権限は同じです。

Q18
Q① 95問の完全子会社にする方法での株式交換の記述について。
四 2 (三)株式交換に当たってA社がB社の発行する新株予約権を取得する場合・・・(789条)
という部分なのですが、取得するのはA社でいいんですか?
789条は、1項3号のことかと思いますが、同号は「株式交換契約新株予約権」のはなしで、768条を見れば、取得するのは株式交換完全子会社の新株予約権者かと読めるのですが・・。
A18
おっと、すいません。
B社がA社の新株予約権付社債を承継するする場合ですね。
Aとか、Bとか書いているうちに、頭が混乱したようです。

Q19
Q② 95問のB社が別会社(C)設立して、C社にA社を吸収合併させて、事実上B社がA社を完全子会社化する場合の話ですが、B社総会手続が不要な点を「三角合併が多用される理由」と書かれていますが、総会手続不要な点は対価が金銭の場合も同じですから三角合併多用の理由というより、「C社設立→C社がA社を吸収合併」という手法が多用される理由ではないでしょうか?
対価を金銭でなくB社株式にする理由、メリットは何でしょうか?
投稿 アンナ | 2008年6月 5日 (木) 22時23分
A19
B社株式にすれば、お金を用意しなくてよいですね。

Q18
なにやら修習生を名乗る人が,まだがんばってますね。
私には因果関係も論理もまったく理解できませんが,受け控えれば,才能が身につくとのことですので,受け控えしたい方には,どんどん何度でもさせればいいのではないでしょうか。
それで,受け控えして優秀になった人達を集めて大手法律事務所を設立して欲しいものです。
私は,才能というものの存在をあまり信じませんし,仮に才能が厳然と無視できない存在としても,悪名高い新司法試験ですらも,才能が合否に影響を与えることはないと思います。
それにトップレベルで合格したら任官に有利ってことは,トップレベルで合格した時点で(修習生になる前),修習所でがんばった大勢の修習生よりも優秀だと聞こえます。
他人のアドバイスを素直に聞けない人は,不幸です。所詮アドバイスですよね。
生かすも生かさぬも,聞き手次第で,それ以上でもそれ以下でもありません。
何の修習生だかわかりませんが,仮にも修習生を名乗るような人が,
わざわざ嫌味で攻撃的な文章を残すのは,寂しいことですね。
少なくとも,物事を才能のせいにしたり,周りのせいとかにする人には,法曹に携わってほしくないところです。
法曹に携わるのなら,現実をきちんと見据え,問題解決のためにあらゆる手段を検討し,自分でできることに全力を尽くしていただきたいものです。
投稿 ぉぃぅ | 2008年6月 5日 (木) 21時58分
A18
おっしゃることはそのとおりだと思いますが、私の方が、攻撃的な文章なので、その点は勘弁してやってください。

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