取締役の欠員
おかげさまで、インターネット無料公開講座 会社法マスター115講座で学ぶ会社法
http://www.lotus21.co.jp/works/streaming/kaisha115/kaisha115web_gaiyou.html
は、順調にアクセス数を伸ばしているようです。
TMIのクライアント様からも
「法務担当者の勉強用に最適」
という嬉しい評価をいただきました。
また、会社法の苦手なロースクール生がいれば、ロースクールの会社法とは、ひと味違う説明になっているはずです(上智の私の授業とは、そんなに違いはないですけど)。
ところで、最近の時事ネタでは
アデランス
が気になります。
もちろん、個人的には、アデランスの「製品」も気になるのですが(涙)、 どちらかというと、アデランスの「会社」の方がもっと気になります。
ご承知のように、5月29日に、アデランスホールディングスの株主総会で、2名の社外取締役の選任は可決されたのですが、社長ら7人の取締役の再任は否決されました。
これまでも、経営権争いで、会社提案が否決され、株主提案が可決されるという例はありますが、株主提案もなく、単純に会社提案のみ否決されたというのは、聞いたことがありません。
その原因と対策を探るというのも意義深いものではありますが、「会社法であそぼ。」としては、とりあえず、この事例を会社法の勉強に役に立てようと思います。
以下、クイズ形式で、今回の一連の動きを復習してみましょう。
さて、アデランスは
9名の取締役の任期満了に伴い
2名の社外取締役は退任し
①2名の社外取締役の選任と、②7名の取締役の再任
を会社提案していました。
②の取締役の選任議案は、候補者ごとに賛否を表明することができる(施行規則66条1項1号参照)のですが、報道によれば、総会前日に締め切られる書面による議決権行使の段階で、①の社外取締役には○を、②それ以外の取締役には×をつけるものが多く、総会当日の出席者が全員②に賛成したとしても、②の再任議案は否決されることが明らかだったようです。
【第1問】
書面による議決権行使の結果で②の議案が否決されることが明らかな場合、取締役は、そのまま株主総会で否決されることが明らかな議案を採決する以外に、何か打つ手があったのでしょうか。
【第1問回答】(6月6日修正)
それ以外の手はなかったでしょう。
(解説))
普通の場合ですと、否決されることが明らかな会社提案については、議題自体を取り下げるという選択肢もありますが、今回、取締役の任期満了に伴う選任については、株主総会で議題にせざるをえません。
アデランスは、定款では取締役の員数を「12名以下」として、下限は設けていませんから、下限は3名(331条4項)になります。
とすると、①の2名の取締役だけでは、下限に達しないため、員数を欠くことは明らかです。
過料の制裁(976条22号)は、「取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人がこの法律又は定款で定めたその員数を欠くこととなった場合において、その選任(一時会計監査人の職務を行うべき者の選任を含む。)の手続をすることを怠ったとき。」とありますから、議題の撤回自体は過料の対象とならないと思いますが、総会終了(=任期満了)によって、すぐに選任手続を執る義務が生ずるので、議題を撤回するのは勇気が必要でしょう。
次に、株主総会の当日に、何かできることがあったかということについて検討すると、②の取締役7名の否決が目に見えているのですから
株主総会の現場で、誰か別の取締役候補者を株主提案し、そこで決議を採る
という方法もありますが、書面による議決権行使は、出席者に数えられますから、株主総会の現場で過半数が取っても、全体で賛成多数が得られない限り、選任できません。
とすると、今回は、員数を欠くことになるため、社外取締役2名のほか、従前の取締役9名(退任予定のものも含む)が、「新たに選任された役員(次項の一時役員の職務を行うべき者を含む。)が就任するまで、なお役員としての権利義務を有する」(346条1項)ので、
とりあえず、定時株主総会は、このまま取締役の選任議案を否決させ
臨時株主総会を開催し、候補者の構成を少し変えて、もう一度、トライしよう
というのが普通の選択なのかなあと思います。
【第2問】
もし、今回、社外取締役候補者が3名で、その3名のみの可決が確実であると仮定した場合、会社は、どうすべきでしょうか。
【第2問回答】
その時は、議題を撤回するしかなかったかもしれません
(解説)
もし、今回の①の社外取締役候補者が「3名」だったとしたら、「員数を欠く」ことになりません。
とすると、その社外取締役3名だけで、経営をせざるをえないという異常事態になったかもしれないからです。
そもそも、「社外取締役候補者」ということで議案を提出しているにもかかわらず、結果的に最低1名は代表取締役とならざるをえないというのは、どうにもおかしな話です。
その3名では、代表取締役の就任承諾も取れないでしょうし。
したがって、そのような場合には、議題自体を撤回せざるをえなかったのではないかと思います。
【第3問】
今回、従来の9名の取締役が全員、「取締役としての権利義務を有する者」として残ったのですが、退任予定だった社外取締役は、辞められないのでしょうか。
【第3問】
難問です。
(解説)
今回は、従来の取締役の合計9名が同時に任期満了なので、346条1項によって、同時に「取締役としての権利義務を有する者」になります。これは、法律上、当然にそうなるので仕方ありません。
しかし、もともと欠員は1名ですから、その9名中、2名が辞任しても、欠員にはなりません。
そう考えると、取締役が辞任することができるのと同様、「取締役として権利義務を有する者」も辞任によって欠員が生じるような場合でない限り、辞任できると考えてもよさそうです(少なくとも346条1項の趣旨に反しません)。
ただ、346条1項は、「新たに選任された役員が就任するまで」と規定しているので、条文上は、「辞任」という概念はなさそうで、この部分は悩みの種です。取締役として権利義務有するものと会社との間には、委任契約もないので、辞任は難しいかおしれません。
【第4問】
今後、いつまでに取締役を選任しなければならないのでしょうか。
【第4問回答】
選任手続を「怠る」と過料になるので、正当な事由がない限り、すぐに取締役の選任手続を行うべきです。
この点、以前、某監査法人が金融庁から処分を受けて会計監査人の欠格事由が生じたときに、同じ問題が生じましたが、会計監査人の欠格については、監査役(監査役会)に一時会計監査人の選任権を認めた(346条4項)法の趣旨から、定時株主総会まで、会計監査人を選任しなくてもよいと解されています。
これに対し、取締役の欠員は、そのような解釈はされていませんから、来年の定時株主総会まで放っておくことはできないでしょう。
他方、このまますぐに臨時総会を開催して、何もせぬまま、取締役候補者もそのまま提案すれば、また否決されるでしょうから、経営者としては、スティールに限らず、株主と調整し、誰ならば選任してもらえるのか、調整せざるをえません。
きちんと調整すれば、今回、否決された候補者が、次には可決されるかもしれません。
【第5問】
どういう展開になると、会社にとってまずいでしょうか。
【第5問回答】
今後、選任手続が遅れて、利害関係人の申立てにより、裁判所が、一時取締役を選任すると(346条2項)、従前の取締役は、皆、「取締役としての権利義務を有する者」でなくなってしまいます。それは、かなりまずい。
(理由)
社外取締役2名+一時取締役1名で、取締役会を構成して、アデランスの経営をやるのは、事実上、困難です。今回、選任された社外取締役2名は、辞めたくても、辞められません(欠員になるので)。
もちろん、裁判所は、「必要があるとき」に、一時取締役を選任することになっているので、選任手続が順調に進めば、それを尊重し、すぐに一時取締役を選任するということはないと思いますが。
【最後に】
敵対的買収では、「大株主に経営責任があるのか」という問題によくぶつかります。
よく買収者側は「純投資なんだから、50%以上持ったとしても、自分で経営計画を示す必要なんかない。」と言ったりします。
それはそれで、理屈ではあるものの、今回のアデランスの事例を見る限り、ただ「NO」というだけの大株主だと、会社の存続にかかわる事態を生じかねないというのも、また真実です。
報道を見ると、いつものように「今回の件で持ち合いが進むと、外国人の日本株への投資意欲が削がれる」というワンパターンの解説がされていますが、何の提案もせず、「NO」というだけの株主が会社の支配権を持つくらいなら、持ち合いでもいいので安定株主がいた方が、会社にとっても、少数株主にとっても幸せです。
どんな形であれ、経営者が株主のことを重視し、株主が経営者を信頼するという状態が一刻も早く回復することを願うばかりです。
(質問コーナー)
Q1
①株券電子化について教えてください。以前質問させていただいた者です。
『社株法159条2項の「名義人等」について、同条項の委任に基づく命令26条で、株券の所持者による申請により株券喪失登録が抹消された場合は、当該申請者が「名義人等」になるとされていますが、この申請は決済合理化法の施行日以前のものに限られるという理解でよいでしょうか』というQに対し、『登録者の抹消申請は、施行後も可能です』というAをいただきました。Qにある『株券の所持者』は電子化により無効になった株券の所持者でもよいということでしょうか。
②先生がご提案される買収防衛策『株主意思確認プラン』の事前の意思確認手続も株主総会で実施するということなのでしょうか。
投稿 剣闘士 | 2008年5月29日 (木) 10時56分
A1
① 無効になった株券の所持者でもいいです。
② 株主総会で実施します。
Q2
家庭の事情や病気、仕事の都合で受け控える人もいます。
勉強を開始した時期も人それぞれです。
純粋未修の全員が、最低でも6年は勉強している既習を相手に3年で8科目をキャッチアップできるとは思えません。受け控えなければ勉強開始5年までに合格しなければ三振なのですから、受け控えを考える人の気持ちもわかります。受け控えなどせずとも合格して当然というなら、法学部不要論につながるでしょう。
また、任官を目指すなら下位合格よりも、受け控え後一桁二桁で合格したほうが可能性が高いというのも事実だと感じます。
受け控えが、減点事由になるのは当然なのでしょうが、欠格事由になるとは驚きました。
葉玉さんやTMIがそういうポリシーであることを公表していただけるのは、意味の無い履歴書を出して労力を無駄にする被害者を防止する上で好ましいと思います。
でも、これが「大手事務所」の常識なのでしょうか?
私には、「現役合格でなければ東大文一とは認めない」という発言と同じくらいの香ばしさを感じます。
もしこういうのが本当に常識であるならば、各事務所もそのポリシーを公表してほしいものです。
これから毎年何百人もの受け控え経験合格者、複数回受験経験合格者が出るのですから。
投稿 いちおう修習生 | 2008年5月29日 (木) 21時53分
A2
「受け控え」とは、家庭の事情や病気等の事情がないにもかかわらず、受験しない人のことをいいます。
以前の私の記事を見ていただければ分かりますが、私は、病気等で、受けようと思っても受けられないことがあるから、受け控えなどやめなさい、と言っています。病気等で受けられなかった場合は、当然、そのことは考慮されるでしょう。
次に
「純粋未修の全員が、最低でも6年は勉強している既習を相手に3年で8科目をキャッチアップできるとは思えません」
とのことですが、それは、全く違います。
はっきり言って、法学部生が漫然と4年で身につけてきたことなど、真剣に半年やれば、あっという間に乗り越えられます。
今の新司法試験のレベルならば、たとえ、今、法律の知識が0であっても、真剣に司法試験に合格したいと考えて努力すれば、ほとんどの人は、2年あれば合格レベルまで行けると思います(早い人は1年)。そして、3年くらいで8割は合格するのではないでしょうか。
それから、「任官を目指すなら下位合格よりも、受け控え後一桁二桁で合格したほうが可能性が高い」
とのことですが、私は、公務員を目指すならば、年齢を1歳加えることの方がリスクが高いと思います。
また
「受け控えしたら、次の年、1桁2桁になる」
というのは、本当でしょうか?
2000人以上合格する時代ですから、1点2点で、大きく順位は交代します。1-99番に入るというのは、誰も確実に成し遂げられるようなことではありません。
私の経験によれば、その順位に来る人は、効率的な勉強をすることができる人であり、ロースクール時代にそこまで実力を高められなかったような人(=受け控えをする人)ではありません。
Q3
この度、親子会社間で吸収合併をすることになりましたが、
合併契約につき、合併比率についてご質問させていただきます。
甲を存続会社、乙を消滅会社とした場合
「合併に際し、乙の株式1株につき、甲の株式0.004を割り当てる。
但し、端株については四捨五入とする。」
といった規定は有効でしょうか。株主平等原則上、問題が生じるよう
にも思えます。宜しくご教授下さい。
例 乙株主 A:1800株 B:1700株
合併に伴いA:1800×0.004=7.2
B:1700×0.004=6.8
それぞれ四捨五入し、
ABともに7株
投稿 吉岡 | 2008年5月30日 (金) 19時01分
A3
一株に充たない端数は、まとめて売って、金銭処理です(234条)。
Q4
前回弁護士の仕事について質問させてもらったものです。
司法試験終わって、結果は不合格だと思います。
勉強の仕方がやはり甘いのかなって。
勉強だけに専念できた受験生なのに結果だせなかったので
才能がないのかなっておもってしまいます。。
投稿 受験生 | 2008年5月30日 (金) 23時01分
A4
司法試験には、才能は不要です。
「才能」といえるようなものを持っている合格者は、全体の1%でしょう。
努力が足りないことを才能のせいにしては合格できません。
Q5
そんな大手法律事務所があるのかは分かりませんが、その方は、受け控えしておりました。
葉玉先生が仰るように、3年間毎日12時間、効率的な勉強方法・内容で学習を継続すれば合格できるんだろうと思います。
ただ、純粋未修者は、最初のとっかかりが難しいと思います。何を使って如何なる学習方法がよいのかは、情報が多すぎて、選択に困るからです。
3年間勉強し、司法試験を受けて振り返ると、やはり優れた教え手がいるロースクールが強いのかなと思います。
投稿 しょ | 2008年5月31日 (土) 00時55分
A5
既習者か、純粋未遂者かを問わず、受験生が「お客さん」のような気持ちでいる限り、合格するのには時間がかかります。
「誰かが自分に合格法を教えてくれる」という受け身は絶対駄目です。
合格者がどのような勉強をしていたのか知っている人に、しつこく話を聞き
分からないところがあれば、しつこく、先生に食い下がり
模試で点数が取れなければ、しつこく、しつこく、演習を繰り返す。
かっこよく合格しようなどと考えず、恥を捨て、自分が合格する力を身につけるためには、どの人のところにいけばよいか、何を頼んだらよいか、をとことん追求することしかありません。
いわば「営業型受験生」は、早く合格します。
私は、上智ローで教えていますが、上智のロー生も、まだまだ「お客さん」気分が抜けない感じです。人の迷惑を顧みず、先生に食らいついていくことが重要です。
先生というのは、「生徒から、面倒なことを頼まれる」ために、給料をもらっているのです。
Q6
法205条に規定されている契約がないことを前提に、申込期日と払込期日を同日とする第三者割当増資は可能でしょうか。
問題意識は、法204条第3項の払込期日の前日までに申込者に割り当てる募集株式数を通知しなければならないと言う条文の解釈にあります。申込者を「申し込んだ人」と解すれば、申込期日と払込期日を同日にすることは不可能になります。
従来の分類で言う第三者割当増資の場合、発行決議と割当先の決定を同日に行うの通常かと思います。この場合、申込を条件として法204条第1項の割当をしたと解することになるかと思います。とすれば、同条第3項についても条件付きでの通知も可能かと考えています。
また、申込者を申込予定者を含むと考えれば、同じ結論にたどり着けると思います。
総会対策で有名な某事務所の先生に疑問を呈されて、条件付き通知で何が悪いと強弁してしまいました。
投稿 デラシネの法務 | 2008年5月31日 (土) 01時31分
A6
申込者は、「203条2項の申込みをした者」と定義されています。
それは、そうと、「申込期日」ってなんでしょうね。その「申込期日」という概念が法的概念でないとすれば、申込期日より前の日に、法的な申込みが行われていたということはできそうです。その場合、「条件付」という法律構成を取らなくても、「申込期日」と「払込期日」は同日でもよいことになります。
デラシネの法務さんが、「こういうことをやりたい」ということが明確であれば、それを法的に説明することはできそうです。
そういうのを実現してあげるのがプロの法律家の仕事でしょう。
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コメント
スティールは、グリコも本件もただNoといっているだけではないですよ。
ずいぶん前に、こうしろ、と言っています。
それを実際に実行するかわかりませんが。
投稿: gonchan | 2008年6月 1日 (日) 02時34分
インターネットの無料講座、拝見してます。
2年ほど前までは上場企業で総会実務もやっていたのですが、その後人材ビジネスのコンプライアンス部門に転職しまして、労働法の世界に染まってしまっていたこともあり、久しぶりの会社法総復習にぴったりの難易度で、ありがたい限りです。
すごいボリューム・時間数に圧倒もされています(笑)が、本当に分かりやすいので、まわりにも紹介したいと思います。
DVD化される予定とのこと、DVD化後も、願わくばこの無料公開ページは残していただきたいですが・・・。
また、テキストの『会社法マスター115講座』が、Amazonで売り切れになって手に入らなくなってしまっているようです。是非再刷りをお願いします。
投稿: tac | 2008年6月 1日 (日) 09時24分
変な質問ですが、葉玉先生は「合同会社」というネーミングについてはどんな印象を持ってらっしゃいますか?
葉玉先生もこの会社種別名の決定には関わりになったのでしょうか?
個人的には、「合という文字を含んだ言葉を辞書で探していったらこれしかなかった」などという話を聞くと、もう少し何とかならなかったのかと思ってしまいます。
投稿: sky | 2008年6月 1日 (日) 11時05分
株主総会決議の件で以前から疑問に思う点があったので質問させてください。
「株主提案」と「動議」の違いについてです。
以前読んだ文献(判タ1048号86頁)では、
「総会で提出できる動議は招集通知に記載された議題または議案の修正に限られる。議案の追加は動議によって提出することはできない(株主提案権によって行使すべきものである)」
と記載されていました。
仮に、甲社の株主総会で「取締役2名選任の件」が議題となり、具体的な議案として会社側が「Aの取締役選任の件」「Bの取締役選任の件」を提案していたとします。
この場合、甲社の株主は303条2項の要件を充たす限り、同条に基づいて、株主総会の場で、ABとは異なる「Cの取締役選任の件」を提案することができるのでしょうか。
これは、議案の追加にあたると思われるのですが、前述の文献に従うと議案の追加は動議ではできず、株主提案権の行使ならばできる、ことになるのでしょうか?
どちらも株主総会の場での株主による議案の提案だと理解していたので、この説明に混乱しています。両者は具体的にはどのように異なるのでしょうか。
また、このような議案の追加ができるとした場合の決議の取扱がわかりません。
甲社が書面等投票制度(298条1項3号)を採用しており、書面によってなされた投票だけで、AB選任の件は可決要件を充たしていたとします。
ところが、株主総会の場で上記のようなC選任の提案がなされました。
この場合、、C選任の件についての議案は、書面投票は無視して、株主総会に出席している株主だけで行うのでしょうか?(ブログを拝見させていただく限り、このような決議方法になると思われるのですが・・・)
そうすると、C選任の件の議案も可決され、取締役の数が予定の2名を超えてしまう、といった状況が生じてしまうおそれはないのでしょうか。
株主総会の運営についての知識が全く無く、きっとどこかで基本的な勘違いをしているのだと思います。よろしければ、ご指摘頂けたらと思います。
投稿: ロースクール生 | 2008年6月 1日 (日) 14時09分
会社法100問の改訂予定はありますか?
投稿: L | 2008年6月 1日 (日) 15時05分
質問です。
『会社法マスター115講座』「19基準日」の図表(旧版では45ページ)に会社が基準日を設定したときに「通知・公告」するとありますが、条文(124条3項)には「公告」としかかかれていません。
この「通知」はどういうものなのでしょうか?
よろしくお願いします。
投稿: | 2008年6月 1日 (日) 15時27分
講義を拝見させていただきました。
難しい会社法をあのノリで講義するというのは新鮮でした。
ところでなぜか、小学生の頃、男の子に「秘密基地」を案内された記憶が蘇りました。
投稿: たてこもり | 2008年6月 1日 (日) 16時29分
葉玉先生、いつも大変楽しく勉強させていただいております。
実は、連結計算書類の作成義務について質問があります。
会社法第444条第7項を見ますと、会計監査人設置会社は必ず連結計算書類を作成しなければならないように読めます。
一方、444条1項や3項を見る限りは、会計監査人設置会社であっても上場会社等でない限り連結計算書類の作成は任意であるようにも読めますし、実際にそのような書き方をしている本も多いようです。
当社は2007年3月期末に資本金が5億円を超えていたため、会計監査人を選任しております。しかし、上場会社ではなく、444条3項に定める有価証券報告書の提出義務はありません。
この場合、連結計算書類の作成義務はあるのでしょうか?
よろしくご教示のほど、よろしくお願い申し上げます。
投稿: まよいまくり | 2008年6月 1日 (日) 18時17分
新・会社法100問(第2版)の13.預合いについて質問させてください。
94条2項によって第三者を保護する法律構成はとても新鮮ながら非常に納得のいく構成ですが、少し気になる点があります。「善意の第三者(他の発起人、会社、当該預金債権を差し押さえた善意の債権者等)との関係では」とありますが、①他の発起人、②会社についても、善意の第三者足りうるのでしょうか。
①確かに、ある発起人が勝手に約束をして、他の発起人が迷惑をこうむるということは考えうると思いますが、差押債権者のように、請求権行使場面が想定できません。株主としてでも、会社の債権について何か法律上の利害関係を有するということは、想定できません。
また、他の発起人が会社の代表者として会社の債権を行使することも考えられますが、この代表者が「第三者」足りうるのでしょうか?(民法上、代理人は「第三者」足りえないと思います。)
②会社は、銀行等に対して預金債権を有しますので、それを直接行使するということが当然に考えられますが、当該会社の債権を行使するのに、「第三者」足りうるのでしょうか?(民法の議論では、代理人が虚偽表示をした場合、本人は「第三者」足りえないとされていると思います。)
以上のことを考えると、①発起人、②会社について、それぞれ銀行に対して附款の無効を主張する場面はありえないと思うのですが、①発起人、②会社が無効主張をする場面として、どういう場合を想定しておられるのでしょうか?
投稿: 旧司法試験受験生 | 2008年6月 2日 (月) 08時50分
種類株式についての質問です。
優先株式を新たに発行し、剰余金の配当や残余財産の定めなどと合わせて、
『当会社は、法令に別段の定めのある場合を除き、A種優先株式を併合又は分割しない。』
との旨を規定した場合、この定めは有効ですか?
また、取得請求権付株式の定めとして
『当会社がA種優先株式の全部又は一部の取得の請求を受けた場合、当該取得の請求を受けた日から○日を超えない当会社の取締役会が別に定める日が到来することをもって、当会社は、当該取得の請求を受けたA種優先株式の全部又は一部を取得する。』
との旨を規定した場合、この定めは有効ですか?
千問Q77で、明文の規定なく株主の権利を定款で制限することは許されないとの記載から、上記の規定は無効であると理解していたのですが、ある会社の謄本を見たら上記定めが種類株式の内容として登記されていたので混乱してしまいました。
ご教示のほど、よろしくお願いいたします。
投稿: | 2008年6月 2日 (月) 09時49分
葉玉先生
今回の
②の取締役7名の否決が目に見えているのですから株主総会の現場で、誰か別の取締役候補者を株主提案し、そこで決議を採るという方法も考えられたかもしれません。
その場合、書面による議決権行使はできませんから、株主総会の現場で過半数が取れれば、選任決議が成立します。
の部分なのですが、341条の関係で総会の現場に総議決権の3分の1の議決権を有する株主がいなければ定足数を充たせず、よってその場での会社提案議案の承認は不可能に思うのですが、そうではないのでしょうか?
ご教授のほど宜しくお願いいたします。
投稿: しんきち | 2008年6月 2日 (月) 12時07分
なにやら修習生を名乗る人が任官に司法試験の順位が関係するような書き込みをしていますが、私が知るところでは任官には起案の成績と裁判官・裁判教官とのコミュニケーション(から量られる人格的適性)の方がはるかに大きいと思いますので、受け控えてまで司法試験の順位を上げることには意味がないというか、まったく無意味ですので、現役の方は葉玉先生のおっしゃるとおりに、受け控えなどせずに正々堂々戦ってください。
後、未修でも普通にがんばれば受け控えなどせずに今の試験は受かるというのも葉玉先生のおっしゃるとおりです(三回使い切ればトータル6年もかかります)。
葉玉先生におかれましてはぜひ受け控えの無意味さをこれからも受験生の方々に伝えてほしいと思います。
投稿: 未修卒修習生 | 2008年6月 2日 (月) 20時56分
第1問・第2問の回答・解説の「"議題"の取下げ/撤回」は「"議案"の取下げ/撤回」ではいかがでしょうか?
すなわち、社外取締役選任の議案のみを取り下げ、候補者全員について否決させるように持って行くのです。
先生は、「議題を撤回しても過料の対象とはならないだろう」とおっしゃいますが、やはり「議題自体提案しない=取締役の義務を果たしていない」というそしりを受けないためにも議題の提案自体は残すのがベターと考えます。
「取締役X名選任の件」という議題が「取締役(X-Y)名選任の件」に変わってしまいますが、招集通知発信後に候補者が死亡した場合には当該候補者に関する議案を取り下げることは当然であることを考えても、議題の一言一句まで変更不能というわけではありますまい。
第3問はたしかに難問ですね。
私は、以下の理由から辞任不可を主張します。
・(アデランスの場合は重任候補者がいるが、)もし全員またはそれに近い(=重任は2名以下の)改選の場合、退任予定者全員が辞任したいと言ったら早い者勝ちになり最後の人間は辞任できないという問題がある(これは346条の趣旨という点でも問題でしょう)。
・先般の権利義務取締役の解任は不可とする判例(解任については一時取締役選任という代替手段があるから許容しない、という面は大きいですが)
投稿: ラッシャー木村 | 2008年6月 2日 (月) 22時25分
↑ 先般「定款変更の動議」の回で議題の変更についてコメントしました(回答はなし)が、本件とも関連しますので再掲します(一部翻案)。当該回へのコメントとしてご覧ください。
***************以下再掲**************
許容すべき定款変更動議の範囲については、「議題」ないしは「条文単位」と形式で切るのも不合理と考えます。
例えば、会社が「定款一部変更の件」なる議題で定款第5条の変更を提案している場合において
第5条と第6条が密接に関連しており、
会社の変更案には第6条の変更も必須と考える場合
は、第6条の変更動議も許容されるべきものと考えます。
先生は、参考書類による情報提供を理由に挙げておられますが、こと定款変更に関しては、問題にならないと考えます。
そもそも、株主参考書類の記載は変更点の対比表のみ(理由もちょっとは書いてありますが)です。
前後の条文との関連などは示されず、議論すべきポイントを真に理解するには、定款を閲覧するなど株主が追加的に行動することが必要です。対比表のみを示すという実務は株主のそのような努力を前提にしているものです。
かくして、定款変更に関しては、株主への「情報提供」といえるものは元々ほとんどありません。規則73条1項・2項からも、参考書類は議案を示せば要件を満たすのですから。
また、「書面行使や電子投票をした株主にとっては晴天の霹靂で、株主提案が可決されてしまえばそれらの株主の予測可能性を害する」、という点についても「議題」を条文単位で絞ることでは救えないと思います。
すなわち、「第5条の変更」という議題で提案されていた場合において、同じ議題だからと言って第5条をとんでもなく変更するような提案は許されるべきではありません。
私は、許容すべき定款変更動議の範囲は、「提案された(議題ではなく)議案と相当の関連性あるものであるか」及び「議場にいない株主に不測の損害を与えるか否か」という抽象的実質的基準で判断すべきと考えます。
取締役選任の議題が出ている場合において、議場で別候補者を立てる修正動議を提出することはしばしば行われますが、これはまさに「書面行使や電子投票をした株主にとっては晴天の霹靂で、株主提案が可決されてしまえばそれらの株主の予測可能性を害する」ものであり、また議場にいない株主に不測の損害を与える可能性すらあるものです。
定款変更の場合に取締役会の提案趣旨がキモなのはおっしゃるとおりですが、”どのような趣旨で「議題」を定めたのか”と「議題」にフォーカスするのはいかがかと思います。
先生の論と私の論の相違は、議題が「定款第5条の変更の件」となっている場合に、その変更と密接に関連する第6条変更の提案が許されるかという点に現れます。
私の論のように実質的判断のみとすると、会社としては、よほど関連性がないという場合以外は、動議をむげに却下するリスクはとりにくいという判断になるでしょう。
特に会社法施行時のように多数の条文を変更する場合は慎重にならざるを得ませんね。
なお、「議場にいない株主に不測の損害を与えるか否か」というメルクマールを強調しておかないと、以下のようなことが生じ得るのではないでしょうか。
【例】
・委任状制度採用の会社で、機関投資家が相当の株式を保有
・会社は、定款のある条文について変更を提案。
裏では機関投資家には反対を食らいそうな変更案(A)を考えるが、
会社提案としては当たりさわりの無い案(B)を記載
・委任状を集める。議場での動議への対応は白紙委任という内容
・議場で、会社シンパのサクラ株主からA案とすべき旨の修正動議を提出
させる
・会社もそれに賛成。
委任状提出者も白紙委任に基づき賛成票にカウントされ、修正動議可決
・A案のつもりで委任状を提出した機関投資家はびっくり
(機関投資家は間接保有が多く議場にはほとんど出てきませんからね)
これは一例ですが、ちょっと脱線しますと、委任状制度は会社側のフリーハンドが過度に大きくなる問題があると考えます。
さらに、受任者の主張に反する内容の委任状は受任しないでよい=株主の議決権がスポイルされる危険がある、という問題もあります。
早々に議決権行使書に一本化すべきではないでしょうか。
(T&Aマスターに上記に関する明快な解決をお書きであれば申し訳ありません。会社内あちこち聞いたのですがT&Aマスターを購読している部署がなかったもので・・・図書館にも行かずに質問する手抜きをお許しください)
投稿: ラッシャー木村 | 2008年6月 2日 (月) 22時29分
第3問について
会社法第346条の趣旨からすれば、取締役権利義務者の辞任は認められないと思います。旧商法下の登記実務(先例)は、認めていませんでしたし、平成20年2月26日付最高裁判決が取締役権利義務者の解任請求を認めなかった点からも、先例は維持されていると考えます。
なお、葉玉さんも、かつては、「会社法346条の趣旨からすれば、新たな取締役が就任するまでは、権利義務者がその地位を辞することはできないと解すべきです」というお考えでしたよ。
http://blog.livedoor.jp/masami_hadama/archives/50903410.html#comments
投稿: 内藤卓 | 2008年6月 2日 (月) 23時13分
なにやら修習生を名乗る人が起案の成績のほうが重要と言っていますが、たしかにどちらがと言えばそれは事実でしょう。
でも結局実力は比例しますし、起案で好成績を出すような実力がないと考えて受け控える人がでてきたら同じことです。
あと、3年コースを卒業して3回目の試験は5年でやってきます。6年ではありません。
最後の一回のプレッシャーは相当なものと思いますが、それを5年目には味わうことになります。
一番問題なのは、受験生各人の諸事情を考えず、自分ができたから大丈夫、受け控えなどするのは馬鹿だ、などと煽ることだと思っています。
足切りの比率も年々上がります、無責任なことは言うべきではありません。
各人が自分の責任で判断すればいいことで、その判断を外野から馬鹿だの欠格だの言うのは間違っていると考えます。
私は3年で合格レベルに達しないことが即ち努力不足であるとは思いません。
試験が受かりやすくなったのは事実です。でも、論文8科目択一7科目一斉実施の負担は旧試の5割増しにも感じます。
勉強法や思考法を確立できた時期や、環境、運などにも左右されるはずです。
才能の差など無い、というのも理想論にすぎません。現実は冷酷です。
ただ、すべては努力でカバーできる可能性があるという1点だけが真実だと思っています。
ロー卒業時に実力不足を実感して、あと1年勉強をして挑みたいと涙を呑んで受け控えた方の判断は、それはそれで正しかったと思います。優秀で尊敬できる人もいますし、3年しか勉強していない人がローの課題から開放されて試験勉強に専念すれば上位合格する者もかなり出てくるはずです。
試験に苦労した方で優秀な法曹として名声を得ている方々の多数の例を挙げるまでもありませんが、控えた彼らの苦悩を考慮せずたった1年延びたという点のみで、「受け控えた人間を採用してくれる大手法律事務所があるんですね。」などと評価を下すのは間違っていると私は思います。
でも、どのような人間を評価するしないは採用側の自由ですね。
私は自分のきっかけ1つで成績が上昇した経験から人に受け控えを勧めた関係で、採用側にそこまで全否定される場合があるということを考慮しなかったことに責任を感じてしまったわけでして、その点反省します。
投稿: いちおう修習生 | 2008年6月 3日 (火) 00時50分
葉玉先生
私は,受け控えること自体,計画性の欠如のあらわれと思うのですがいかがでしょうか。
いちおう修習生さんのお話を聞いていまして,果たしてその方は1年生から何を目標にしてきたのだろうか?と考えざるを得ません。
なぜ,3年間あるなかで,常に合格と実力を比較して,それをうめようとしてこなかったのか・・・自助努力不足だと思います(病気や家庭の事情をもつ方を除く)。受け控えとは,その3年間の目測をあやまって,直前で自分の実力が足りないと判断することです。3年前からは無理でも,2年前,1年前・・・合格者と積極的に話をして情報収集をすればその目測をあやまることはないでしょう。今年「来年こそは!」と受けひかえたひとは,受験1年前に同じ決断ができたはずです。
投稿: 実務修習生中 | 2008年6月 3日 (火) 11時32分
葉玉先生,ブログいつも楽しく拝見させていただいております。
吸収合併における「逆取得」にはどんなメリットがあるのでしょうか?
投稿: デコイオリゴ | 2008年6月 3日 (火) 13時31分
『株主総会の現場で、誰か別の取締役候補者を株主提案し、そこで決議を採る
という方法も考えられたかもしれません。
その場合、書面による議決権行使はできませんから、株主総会の現場で過半数が取れれば、選任決議が成立します。』
とされていますが、書面投票は出席にはカウントされ、反対ないし棄権と扱われるので、総会の現場で過半数を取っても、決議は成立しないのではないでしょうか。
投稿: ハイヤーツーベー | 2008年6月 3日 (火) 22時26分
講義拝見しています。
目からうろこの解説もあり、第三回も大いに期待しております。
100問89につきご教授願います。
乙会社設立にあたり甲会社の事業一部を現物出資する場合のデメリットとして、甲、乙会社の債権者による詐害行為取消のリスクを挙げられていますが、甲会社の債権者は承諾しているはずですし、
出資の段階で乙会社は存在せず、設立中の会社の事だとしても、出資されるがわの会社の債権者が出資をうけることを取り消しするというのは考えにくいのですが・・。
どういう場合に甲、乙の債権者は詐害行為取消をするのでしょうか?
投稿: アンナ | 2008年6月 3日 (火) 22時46分
受け控えについて、一考。
ずいぶんと活発な議論がなされているようですが、葉玉先生のご意見としては、
① 新試験制度の先行きが不明であるから、合格者数の保障がない。
② 制度設立時の前提が大きく崩れている。
③ 受験生として左右できない試験制度よりも、受験生として成長させることのできる法律の能力を身に付けることに専念すべき。
④ 大学院修了までに、合格可能な実力をつけることは、勉強のすすみ具合の調整を含めて、受験生の責任であって義務である。
⑤ また、それくらい真剣な態度で臨むべき。
⑥ 試験当日、その現場での経験は、試験会場でしか味わえないのだから、自分の最大の反省点を見つけるためにも、受験が必要である。
⑦ 仮に一度受けたら、最大5年という期間があるのだから、受け控えができる余裕もそれほど長いものではない。
⑧ 受け控えして、余裕を見ているときに、試験以外の事情で、勉強をやめなければならないこともあって、結果として受験回数を無駄にする危険があるから、そういう事情がないかぎり、現に受けられる機会を大切にすべきである。
と、大筋でこのようなことを主張なされているわけで、これは、物事を目指す受験生として、必要不可欠なものということができるのではないですか。
おそらく、先生の主張の背後には、実務の感覚があるんじゃないでしょうか。
たとえば、試験=裁判と置き換えてみて、試験は一年遅らせることはできるが、裁判は一年遅らせることはできない。
いざ裁判のときになって、自分に法律家としての実力がないことを実感して、じゃあ、裁判を一年遅らせれば(実力がつくまでに遅らせれば)、裁判に勝つ保障が出てくるだろう、という考えは通用しませんということなのではないでしょうか。
法律家としては、自分の実力いかんに関わらず、要求を出されたとき(裁判を起こされたときを想定すれば容易ですが)、最大限の能力を発揮して、少なくとも裁判の時点では最大の弁論ができるように調整すべきである。
この能力は、法律家としても不可欠であるから、受験生の段階からこういう習慣を肌に感じて覚えておけ、と。
勉強についても、すさまじい努力をしたが、実力がつかない(試験でいい点数がでない)ということは、自分を客観的に見ることを忘れている、と。
勉強は一定の方向性をもっておこなうべきで、目的(合格に必要な実力、視点、分析力)が、何であるかを見極め、その目的に最大限向かっていく。
これは、たとえば裁判の争点は何であるかを見極め、その裁判に勝つために最大限努力すべきであることと同じだ。
これは法律家としての活動方針として不可欠であるから、受験生の段階からこういう姿勢を学んでおけと。
仮に、実際のクライアントという責任を背負ったとしても、人は本質的なところでそんなに変わるものではないから必ず消極的な姿勢がでてしまう。
だったら、自分には実力がないから受け控えをしよう、という消極的な考えを捨てるような訓練をしろ、と。
仮に、裁判になって、弁論当日に不慮の事故で弁論できなかった結果、本来勝てる裁判に負けてしまった。そのときにクライアントに対しては、いいわけはできません。何が何でも本来できるはずの弁論活動をするのは、法律家として逃れられない責任だから、こういう重たい責任感を受験生の時代から感じておけと。
受け控えをした人は、「うまく」合格したといえるが、法律家として必要な価値観を身につけない。そうなると、実際の活動に支障が出る。最近の修習不合格者の増加がこれを物語っている、と。
・・・・・と、思いつくのであれば、いくらでも思いつきますが。
少々まとまりがなくて申し訳ありませんが、一考の材料にして頂ければ幸いかと。
投稿: 紫 | 2008年6月 4日 (水) 23時46分
書面議決権行使で勝負がつくとは、まさに、年金侮るべからずですなあ。
投稿: 年金侮るべからず。 | 2008年6月 5日 (木) 00時34分
葉玉先生
久しぶりに拝見いたしました。最近は学生のブログを見てました。
上智大学(四谷新宿通り)教授職など、頑張ってくださいませ。
古畑を見ながら法務省ホームページにアクセスしている取締滝山
投稿: 紛らわしい紫 | 2008年6月 5日 (木) 16時51分
すみません、前回(31日)の記事で、すれ違いで質問にお答え頂いていないようなので、再度記載させて頂きます。
一部今回の記事でわかったところもあるのですが、まだ不明な部分もあるので。。。
----以下前回のコピーです-----
アデランスの株主総会でも注目される、346条1項のいわゆる「権利義務」役員ですが、この権利義務ある役員と普通の役員の制度上の違い(特に取締役)ってあるのでしょうか?
346条1項の「役員としての権利義務」、またこの場合の民法654条の「必要な処分」とはどこまで入るのでしょうか?ケースバイケースなのでしょうが、その取締役の取締役会での議決権行使は勿論のこと、業務執行まで「必要な処分」に入り得るのでは?と思います。
また、代表取締役が権利義務取締役になった場合は(実務上は取締役会で代表取締役を変更するのでしょうが)、自ら代表権を返上する義務までは課されていないように見えますが、そういう理解で宜しいですか?
投稿 ネットくん | 2008年5月31日 (土) 11時56分
投稿: ネットくん | 2008年6月 5日 (木) 17時52分
なにやら修習生を名乗る人が,まだがんばってますね。
私には因果関係も論理もまったく理解できませんが,
受け控えれば,才能が身につくとのことですので,
受け控えしたい方には,どんどん何度でもさせればいいのではないでしょうか。
それで,受け控えして優秀になった人達を集めて
大手法律事務所を設立して欲しいものです。
私は,才能というものの存在をあまり信じませんし,
仮に才能が厳然と無視できない存在としても,
悪名高い新司法試験ですらも,
才能が合否に影響を与えることはないと思います。
それにトップレベルで合格したら任官に有利ってことは,
トップレベルで合格した時点で(修習生になる前),
修習所でがんばった大勢の修習生よりも優秀だと聞こえます。
他人のアドバイスを素直に聞けない人は,不幸です。
所詮アドバイスですよね。
生かすも生かさぬも,聞き手次第で,それ以上でもそれ以下でもありません。
何の修習生だかわかりませんが,仮にも修習生を名乗るような人が,
わざわざ嫌味で攻撃的な文章を残すのは,寂しいことですね。
少なくとも,物事を才能のせいにしたり,周りのせいとかにする人には,
法曹に携わってほしくないところです。
法曹に携わるのなら,現実をきちんと見据え,
問題解決のためにあらゆる手段を検討し,
自分でできることに全力を尽くしていただきたいものです。
投稿: ぉぃぅ | 2008年6月 5日 (木) 21時58分
質問連発で恐縮ですが、この時期ですので目を瞑ってください。
Q① 95問の完全子会社にする方法での株式交換の記述について。
四 2 (三)株式交換に当たってA社がB社の発行する新株予約権を取得する場合・・・(789条)
という部分なのですが、取得するのはA社でいいんですか?
789条は、1項3号のことかと思いますが、同号は「株式交換契約新株予約権」のはなしで、768条を見れば、取得するのは株式交換完全子会社の新株予約権者かと読めるのですが・・。
Q② 95問のB社が別会社(C)設立して、C社にA社を吸収合併させて、事実上B社がA社を完全子会社化する場合の話ですが、B社総会手続が不要な点を「三角合併が多用される理由」と書かれていますが、総会手続不要な点は対価が金銭の場合も同じですから三角合併多用の理由というより、「C社設立→C社がA社を吸収合併」という手法が多用される理由ではないでしょうか?
対価を金銭でなくB社株式にする理由、メリットは何でしょうか?
投稿: アンナ | 2008年6月 5日 (木) 22時23分
ネットくんとやら、何を言ってるんですか?
「権利義務取締役」って何ですか?そんな言葉ありませんが。
表見代表取締役が偽物でない事を言ってるんですか?
ちゃんと論点をはっきりさせてから物を言って下さい。
逆に無権取締役ってのが存在する事になりますよね?
百歩譲ってそんな肩書きの人がいたとしても、無権代理人に一括りにされるのでは?
あまり知ったかで書き込まないで下さい!
あまりに酷い猿知恵です。
投稿: 知っ たか氏 へ | 2008年6月 6日 (金) 21時58分
まぁGoogleで調べると20万件以上ヒットしますから、
権利義務取締役というタームにそれほど噛み付かなくても
いいのでは?
私もこのタームを使ったこと、見たことがないので違和感を覚えたことは確かです。
参考: http://www.google.co.jp/search?hl=ja&q=%E6%A8%A9%E5%88%A9%E7%BE%A9%E5%8B%99%E5%8F%96%E7%B7%A0%E5%BD%B9&btnG=Google+%E6%A4%9C%E7%B4%A2&lr=
投稿: ばあむ | 2008年6月 6日 (金) 23時30分
すいません、上のリンクは長すぎて表示されないようです。
ご興味があればご自分で検索してください。
投稿: ばあむ | 2008年6月 6日 (金) 23時32分
葉玉先生、423条3項1号と428条の関係について質問させてください。
1、自己のために利益相反取引をした取締役は、任務懈怠が推定される
2、そしてその取締役の任務懈怠責任は、「任務を怠ったことが当該取締役の責めに帰することができない事由によるものであったことをもって免れることが出来ない」との無過失責任が課されている。
という構造になっています。
これは自らに任務懈怠について過失がないことを抗弁として認めないものだとおもうのですが、
任務懈怠そのものの推定を覆す主張(客観的に公正な取引だった等)によることは出来ないのでしょうか?
それとも任務懈怠がないことは、過失がないことの証明によるしかないということでしょうか?もしそうなら(後者の場合なら)、利益相反取引について無過失責任まで課す必要はあるのでしょうか?
なかなか納得できません。お願いします。
投稿: タロー | 2008年6月 7日 (土) 08時28分
会社法124条4項、基準日後株主に対する議決権付与に関して、質問させてください。
-------
基準日株主が行使することができる権利が株主総会又は種類株主総会における議決権である場合には、株式会社は、当該基準日後に株式を取得した者の全部又は一部を当該権利を行使することができる者と定めることができる。ただし、当該株式の基準日株主の権利を害することができない。(会社法124条4項)
-------
これによれば、
・基準日後に株式を取得した者に対して、会社の判断で議決権行使させることを認めている一方で、
・基準日株主の権利を害することができない
ということですが、
基準日後株主に議決権を付与するとすれば、
基準日株主の議決権割合が減少してしまいますので、
基準日株主の権利が害されると思うのです。
-------
基準日後に新たに募集株式の募集により新株を発行した場合には、当該発行した株式についての基準日株主は存在しないので、基準日株主を害する場合が生ずることはなく、124条4項を適用することができる。
なお、この場合においては、株式会社が基準日後の株主に議決権を認めることにより、基準日株主の議決権割合を減少することとなるが、そのこと自体は、124条4項の規定が予定しているところであり、基準日株主を害する場合にはあたらず、124条4項ただし書は適用されない。(「論点解説 新・会社法 千問の道標」132、133ページから引用)
-------
ですが、
先生の「論点解説 新・会社法 千問の道標」によれば、
基準日株主の議決権割合を減少させてしまうことについては、
「124条4項の規定が予定しているところ」とあります。
Q1.具体的に、基準日株主の議決権割合を減少させることが、なぜ、基準日株主の権利を害さないのと言えるのか、お教えください。
Q2.基準日後株主への議決権付与が、全部だけでなく、一部を認めるということであれば、公平性にかけるとおもうのですが、これについては、なぜ、基準日株主の権利を害さないのでしょうか。これは株主平等の原則に反しないのでしょうか?
Q3.上記2つが基準日株主の権利を害しないのであれば、基準日株主の権利を害するとは、いったいどういったケースを指すのでしょうか。
ご教授頂きたく、お願いいたします。
投稿: かしだおレッド | 2008年6月13日 (金) 11時04分