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2008年5月31日 (土)

取締役の欠員

 おかげさまで、インターネット無料公開講座 会社法マスター115講座で学ぶ会社法
http://www.lotus21.co.jp/works/streaming/kaisha115/kaisha115web_gaiyou.html
は、順調にアクセス数を伸ばしているようです。
 TMIのクライアント様からも
  「法務担当者の勉強用に最適」
という嬉しい評価をいただきました。
 また、会社法の苦手なロースクール生がいれば、ロースクールの会社法とは、ひと味違う説明になっているはずです(上智の私の授業とは、そんなに違いはないですけど)。

ところで、最近の時事ネタでは
  アデランス
が気になります。

もちろん、個人的には、アデランスの「製品」も気になるのですが(涙)、 どちらかというと、アデランスの「会社」の方がもっと気になります。

 ご承知のように、5月29日に、アデランスホールディングスの株主総会で、2名の社外取締役の選任は可決されたのですが、社長ら7人の取締役の再任は否決されました。
 
 これまでも、経営権争いで、会社提案が否決され、株主提案が可決されるという例はありますが、株主提案もなく、単純に会社提案のみ否決されたというのは、聞いたことがありません。
 その原因と対策を探るというのも意義深いものではありますが、「会社法であそぼ。」としては、とりあえず、この事例を会社法の勉強に役に立てようと思います。
 以下、クイズ形式で、今回の一連の動きを復習してみましょう。

 さて、アデランスは
 9名の取締役の任期満了に伴い
 2名の社外取締役は退任し
 ①2名の社外取締役の選任と、②7名の取締役の再任
を会社提案していました。

 ②の取締役の選任議案は、候補者ごとに賛否を表明することができる(施行規則66条1項1号参照)のですが、報道によれば、総会前日に締め切られる書面による議決権行使の段階で、①の社外取締役には○を、②それ以外の取締役には×をつけるものが多く、総会当日の出席者が全員②に賛成したとしても、②の再任議案は否決されることが明らかだったようです。

【第1問】
 書面による議決権行使の結果で②の議案が否決されることが明らかな場合、取締役は、そのまま株主総会で否決されることが明らかな議案を採決する以外に、何か打つ手があったのでしょうか。

【第1問回答】(6月6日修正)
 それ以外の手はなかったでしょう。
(解説))
 普通の場合ですと、否決されることが明らかな会社提案については、議題自体を取り下げるという選択肢もありますが、今回、取締役の任期満了に伴う選任については、株主総会で議題にせざるをえません。

 アデランスは、定款では取締役の員数を「12名以下」として、下限は設けていませんから、下限は3名(331条4項)になります。
 とすると、①の2名の取締役だけでは、下限に達しないため、員数を欠くことは明らかです。

 過料の制裁(976条22号)は、「取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人がこの法律又は定款で定めたその員数を欠くこととなった場合において、その選任(一時会計監査人の職務を行うべき者の選任を含む。)の手続をすることを怠ったとき。」とありますから、議題の撤回自体は過料の対象とならないと思いますが、総会終了(=任期満了)によって、すぐに選任手続を執る義務が生ずるので、議題を撤回するのは勇気が必要でしょう。

 次に、株主総会の当日に、何かできることがあったかということについて検討すると、②の取締役7名の否決が目に見えているのですから
  株主総会の現場で、誰か別の取締役候補者を株主提案し、そこで決議を採る
という方法もありますが、書面による議決権行使は、出席者に数えられますから、株主総会の現場で過半数が取っても、全体で賛成多数が得られない限り、選任できません。

 とすると、今回は、員数を欠くことになるため、社外取締役2名のほか、従前の取締役9名(退任予定のものも含む)が、「新たに選任された役員(次項の一時役員の職務を行うべき者を含む。)が就任するまで、なお役員としての権利義務を有する」(346条1項)ので、
      とりあえず、定時株主総会は、このまま取締役の選任議案を否決させ
      臨時株主総会を開催し、候補者の構成を少し変えて、もう一度、トライしよう
というのが普通の選択なのかなあと思います。

【第2問】
 もし、今回、社外取締役候補者が3名で、その3名のみの可決が確実であると仮定した場合、会社は、どうすべきでしょうか。
【第2問回答】
 その時は、議題を撤回するしかなかったかもしれません
(解説)
  もし、今回の①の社外取締役候補者が「3名」だったとしたら、「員数を欠く」ことになりません。
 とすると、その社外取締役3名だけで、経営をせざるをえないという異常事態になったかもしれないからです。
 そもそも、「社外取締役候補者」ということで議案を提出しているにもかかわらず、結果的に最低1名は代表取締役とならざるをえないというのは、どうにもおかしな話です。
 その3名では、代表取締役の就任承諾も取れないでしょうし。
 したがって、そのような場合には、議題自体を撤回せざるをえなかったのではないかと思います。

【第3問】
 今回、従来の9名の取締役が全員、「取締役としての権利義務を有する者」として残ったのですが、退任予定だった社外取締役は、辞められないのでしょうか。

【第3問】
 難問です。
(解説)
 今回は、従来の取締役の合計9名が同時に任期満了なので、346条1項によって、同時に「取締役としての権利義務を有する者」になります。これは、法律上、当然にそうなるので仕方ありません。
 しかし、もともと欠員は1名ですから、その9名中、2名が辞任しても、欠員にはなりません。
 そう考えると、取締役が辞任することができるのと同様、「取締役として権利義務を有する者」も辞任によって欠員が生じるような場合でない限り、辞任できると考えてもよさそうです(少なくとも346条1項の趣旨に反しません)。

 ただ、346条1項は、「新たに選任された役員が就任するまで」と規定しているので、条文上は、「辞任」という概念はなさそうで、この部分は悩みの種です。取締役として権利義務有するものと会社との間には、委任契約もないので、辞任は難しいかおしれません。

【第4問】
 今後、いつまでに取締役を選任しなければならないのでしょうか。
【第4問回答】
 選任手続を「怠る」と過料になるので、正当な事由がない限り、すぐに取締役の選任手続を行うべきです。
 この点、以前、某監査法人が金融庁から処分を受けて会計監査人の欠格事由が生じたときに、同じ問題が生じましたが、会計監査人の欠格については、監査役(監査役会)に一時会計監査人の選任権を認めた(346条4項)法の趣旨から、定時株主総会まで、会計監査人を選任しなくてもよいと解されています。
 これに対し、取締役の欠員は、そのような解釈はされていませんから、来年の定時株主総会まで放っておくことはできないでしょう。
 他方、このまますぐに臨時総会を開催して、何もせぬまま、取締役候補者もそのまま提案すれば、また否決されるでしょうから、経営者としては、スティールに限らず、株主と調整し、誰ならば選任してもらえるのか、調整せざるをえません。
 きちんと調整すれば、今回、否決された候補者が、次には可決されるかもしれません。

【第5問】
 どういう展開になると、会社にとってまずいでしょうか。

【第5問回答】
 今後、選任手続が遅れて、利害関係人の申立てにより、裁判所が、一時取締役を選任すると(346条2項)、従前の取締役は、皆、「取締役としての権利義務を有する者」でなくなってしまいます。それは、かなりまずい。
(理由)
 社外取締役2名+一時取締役1名で、取締役会を構成して、アデランスの経営をやるのは、事実上、困難です。今回、選任された社外取締役2名は、辞めたくても、辞められません(欠員になるので)。
 もちろん、裁判所は、「必要があるとき」に、一時取締役を選任することになっているので、選任手続が順調に進めば、それを尊重し、すぐに一時取締役を選任するということはないと思いますが。

【最後に】
 敵対的買収では、「大株主に経営責任があるのか」という問題によくぶつかります。
 よく買収者側は「純投資なんだから、50%以上持ったとしても、自分で経営計画を示す必要なんかない。」と言ったりします。
 それはそれで、理屈ではあるものの、今回のアデランスの事例を見る限り、ただ「NO」というだけの大株主だと、会社の存続にかかわる事態を生じかねないというのも、また真実です。
 
 報道を見ると、いつものように「今回の件で持ち合いが進むと、外国人の日本株への投資意欲が削がれる」というワンパターンの解説がされていますが、何の提案もせず、「NO」というだけの株主が会社の支配権を持つくらいなら、持ち合いでもいいので安定株主がいた方が、会社にとっても、少数株主にとっても幸せです。

 どんな形であれ、経営者が株主のことを重視し、株主が経営者を信頼するという状態が一刻も早く回復することを願うばかりです。

(質問コーナー)
Q1
①株券電子化について教えてください。以前質問させていただいた者です。
『社株法159条2項の「名義人等」について、同条項の委任に基づく命令26条で、株券の所持者による申請により株券喪失登録が抹消された場合は、当該申請者が「名義人等」になるとされていますが、この申請は決済合理化法の施行日以前のものに限られるという理解でよいでしょうか』というQに対し、『登録者の抹消申請は、施行後も可能です』というAをいただきました。Qにある『株券の所持者』は電子化により無効になった株券の所持者でもよいということでしょうか。
②先生がご提案される買収防衛策『株主意思確認プラン』の事前の意思確認手続も株主総会で実施するということなのでしょうか。
投稿 剣闘士 | 2008年5月29日 (木) 10時56分
A1
① 無効になった株券の所持者でもいいです。
② 株主総会で実施します。

Q2
家庭の事情や病気、仕事の都合で受け控える人もいます。
勉強を開始した時期も人それぞれです。
純粋未修の全員が、最低でも6年は勉強している既習を相手に3年で8科目をキャッチアップできるとは思えません。受け控えなければ勉強開始5年までに合格しなければ三振なのですから、受け控えを考える人の気持ちもわかります。受け控えなどせずとも合格して当然というなら、法学部不要論につながるでしょう。
また、任官を目指すなら下位合格よりも、受け控え後一桁二桁で合格したほうが可能性が高いというのも事実だと感じます。
受け控えが、減点事由になるのは当然なのでしょうが、欠格事由になるとは驚きました。
葉玉さんやTMIがそういうポリシーであることを公表していただけるのは、意味の無い履歴書を出して労力を無駄にする被害者を防止する上で好ましいと思います。
でも、これが「大手事務所」の常識なのでしょうか?
私には、「現役合格でなければ東大文一とは認めない」という発言と同じくらいの香ばしさを感じます。
もしこういうのが本当に常識であるならば、各事務所もそのポリシーを公表してほしいものです。
これから毎年何百人もの受け控え経験合格者、複数回受験経験合格者が出るのですから。
投稿 いちおう修習生 | 2008年5月29日 (木) 21時53分
A2
 「受け控え」とは、家庭の事情や病気等の事情がないにもかかわらず、受験しない人のことをいいます。
 以前の私の記事を見ていただければ分かりますが、私は、病気等で、受けようと思っても受けられないことがあるから、受け控えなどやめなさい、と言っています。病気等で受けられなかった場合は、当然、そのことは考慮されるでしょう。
 次に
「純粋未修の全員が、最低でも6年は勉強している既習を相手に3年で8科目をキャッチアップできるとは思えません」
とのことですが、それは、全く違います。
 はっきり言って、法学部生が漫然と4年で身につけてきたことなど、真剣に半年やれば、あっという間に乗り越えられます。
 今の新司法試験のレベルならば、たとえ、今、法律の知識が0であっても、真剣に司法試験に合格したいと考えて努力すれば、ほとんどの人は、2年あれば合格レベルまで行けると思います(早い人は1年)。そして、3年くらいで8割は合格するのではないでしょうか。
 それから、「任官を目指すなら下位合格よりも、受け控え後一桁二桁で合格したほうが可能性が高い」
とのことですが、私は、公務員を目指すならば、年齢を1歳加えることの方がリスクが高いと思います。
 また
「受け控えしたら、次の年、1桁2桁になる」
というのは、本当でしょうか?
 2000人以上合格する時代ですから、1点2点で、大きく順位は交代します。1-99番に入るというのは、誰も確実に成し遂げられるようなことではありません。
 私の経験によれば、その順位に来る人は、効率的な勉強をすることができる人であり、ロースクール時代にそこまで実力を高められなかったような人(=受け控えをする人)ではありません。

Q3
この度、親子会社間で吸収合併をすることになりましたが、
合併契約につき、合併比率についてご質問させていただきます。
甲を存続会社、乙を消滅会社とした場合
「合併に際し、乙の株式1株につき、甲の株式0.004を割り当てる。
但し、端株については四捨五入とする。」
といった規定は有効でしょうか。株主平等原則上、問題が生じるよう
にも思えます。宜しくご教授下さい。
例 乙株主 A:1800株 B:1700株
  合併に伴いA:1800×0.004=7.2
         B:1700×0.004=6.8
  それぞれ四捨五入し、
         ABともに7株
投稿 吉岡 | 2008年5月30日 (金) 19時01分
A3
一株に充たない端数は、まとめて売って、金銭処理です(234条)。

Q4
前回弁護士の仕事について質問させてもらったものです。
司法試験終わって、結果は不合格だと思います。
勉強の仕方がやはり甘いのかなって。
勉強だけに専念できた受験生なのに結果だせなかったので
才能がないのかなっておもってしまいます。。
投稿 受験生 | 2008年5月30日 (金) 23時01分
A4
司法試験には、才能は不要です。
「才能」といえるようなものを持っている合格者は、全体の1%でしょう。
努力が足りないことを才能のせいにしては合格できません。

Q5
そんな大手法律事務所があるのかは分かりませんが、その方は、受け控えしておりました。
葉玉先生が仰るように、3年間毎日12時間、効率的な勉強方法・内容で学習を継続すれば合格できるんだろうと思います。
ただ、純粋未修者は、最初のとっかかりが難しいと思います。何を使って如何なる学習方法がよいのかは、情報が多すぎて、選択に困るからです。
3年間勉強し、司法試験を受けて振り返ると、やはり優れた教え手がいるロースクールが強いのかなと思います。
投稿 しょ | 2008年5月31日 (土) 00時55分
A5
 既習者か、純粋未遂者かを問わず、受験生が「お客さん」のような気持ちでいる限り、合格するのには時間がかかります。
 「誰かが自分に合格法を教えてくれる」という受け身は絶対駄目です。
 合格者がどのような勉強をしていたのか知っている人に、しつこく話を聞き
 分からないところがあれば、しつこく、先生に食い下がり
 模試で点数が取れなければ、しつこく、しつこく、演習を繰り返す。
 かっこよく合格しようなどと考えず、恥を捨て、自分が合格する力を身につけるためには、どの人のところにいけばよいか、何を頼んだらよいか、をとことん追求することしかありません。
 いわば「営業型受験生」は、早く合格します。
 私は、上智ローで教えていますが、上智のロー生も、まだまだ「お客さん」気分が抜けない感じです。人の迷惑を顧みず、先生に食らいついていくことが重要です。
 先生というのは、「生徒から、面倒なことを頼まれる」ために、給料をもらっているのです。

Q6
 法205条に規定されている契約がないことを前提に、申込期日と払込期日を同日とする第三者割当増資は可能でしょうか。
 問題意識は、法204条第3項の払込期日の前日までに申込者に割り当てる募集株式数を通知しなければならないと言う条文の解釈にあります。申込者を「申し込んだ人」と解すれば、申込期日と払込期日を同日にすることは不可能になります。
 従来の分類で言う第三者割当増資の場合、発行決議と割当先の決定を同日に行うの通常かと思います。この場合、申込を条件として法204条第1項の割当をしたと解することになるかと思います。とすれば、同条第3項についても条件付きでの通知も可能かと考えています。
 また、申込者を申込予定者を含むと考えれば、同じ結論にたどり着けると思います。
 総会対策で有名な某事務所の先生に疑問を呈されて、条件付き通知で何が悪いと強弁してしまいました。
投稿 デラシネの法務 | 2008年5月31日 (土) 01時31分
A6
 申込者は、「203条2項の申込みをした者」と定義されています。
 それは、そうと、「申込期日」ってなんでしょうね。その「申込期日」という概念が法的概念でないとすれば、申込期日より前の日に、法的な申込みが行われていたということはできそうです。その場合、「条件付」という法律構成を取らなくても、「申込期日」と「払込期日」は同日でもよいことになります。
  デラシネの法務さんが、「こういうことをやりたい」ということが明確であれば、それを法的に説明することはできそうです。
 そういうのを実現してあげるのがプロの法律家の仕事でしょう。

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2008年5月28日 (水)

会社法を勉強したい方にプレゼント

光陰矢のごとし。もう5月が終わりそうです。総会担当者の方も、大詰めのころでしょう。

さて、以前、告知していました
  「会社法マスター115講座(第2版)」購入特典
の準備が、ようやく整いましたので、ここに告知いたします。

それは・・・パンパカパーン、パパパ、パンパカパーン

   インターネット無料公開講座 会社法マスター115講座で学ぶ会社法
http://www.lotus21.co.jp/works/streaming/kaisha115/kaisha115web_gaiyou.html

という企画です。

この企画は、私が、会社法マスター115講座(第2版)と、特製レジュメを用いまして
  2時間×3回の合計6時間で
  会社法の全体像を講義する
というもので、これを
   インターネットで
   無料で
見ることができるのです。

 とりあえず、最初の2回分を公開していますが、3回目も収録済みなので、もうすぐアップされるでしょう。

通常、私が、セミナー企画会社で、セミナーをやるときは、大体
  2~3時間 1人 3万円
程度の受講料が設定されますから
  この講座は、時価6万円相当
と言っても過言ではないでしょう。

これを、無料とは、LOTUS21も、なかなか太っ腹ですね。
私も、結構、メタボですが。

もともと、この企画は
  「全10回で会社法の実務を理解できる講座」をDVD化しよう
という私の提案に、LOTUS21さんが乗ってくれたことから出発しました。

 今回の3回は、全10回の最初の3回の基礎編です。
 最初の3回だけでも、基礎的な事項から実務的な工夫まで、相当マスターできますので、
   「会社法がよくわからない」

という方は、ぜひ一度、ご覧いただければと思います。

最初の3回で想定している受講者は
  「会社法が、よくわからない法務担当者」
  「会社法が、なんとなく分かっているが、もう一皮向けたい人」
です。
 ただ、基本概念が分かっていない司法試験受験生にも、きっと役に立つと思います。

 *****最初は、アクセスが集中して、見づらくなるかもしれません****

 でも、無料なので、ご容赦ください。
 You TUBEやニコニコ動画で公開するというプランもあったものの、レジュメの問題とか、1ファイルあたりの時間の問題とかを考えると、受講者のためには、専用サーバーがよいとLOTUS21が英断し、わざわざ、この企画のためにサーバーを借りました。

 どのくらいアクセスがあるか、よくわからないので、アクセス状況を見ながら、回線の太さを調整することにしています。

 残り7回も、テーマ別で着々と、毎週、収録していく予定です。
 そのうち、LOTUS21さんが
    DVDの発売日や価格
も発表することでしょう。
 最初の3回を気に入って下さった方は、ご検討いただければ幸いです。
 LOTUS21さんも、霞を食って生きていくわけにはいかないので・・。

(質問コーナー)
Q1
具体的な就職活動を開始すべき時期や就職活動上のアドバイスなどを
ご教授いただけないでしょうか。よろしくお願いします。
投稿 Hiroki | 2008年5月20日 (火) 12時46分
A1
就職活動の時期は、司法試験終了後の7月ころから始まるのが一般的です。
TMIの説明会の日程が公表可能になったら、書きますね。
アドバイスは、
① 「どうしても、御事務所に入りたい」という強い気持ちをアピールすること
② 自分の価値をうまく伝えること
③ 協調性があることを示すこと
でしょうか。

Q2
会社法795条2項第1号の解釈についてご意見をお聞かせください。
債務超過の会社を合併するとき、承認総会で債務超過である旨を『説明』しなければならないとあります。これは、債務超過の事実を単に伝えれば足りるのでしょうか。それとも『説明』ですから、具体的な債務超過額、当該発生理由、今後の対処方針なども説明しなければならないのでしょうか。説明責任の範囲について何か示唆をいただければと思います。
なお、弊社では承認総会を書面にて実施したいと考えており、その説明を提案書に明記する必要があると考えています。
投稿 コーポレート法務マン | 2008年5月20日 (火) 17時01分

A2
債務超過であること及び債務超過額を伝えれば足りると思います。
債務超過であることだけで足りるかどうかは、どうだろう・・。

Q3
①6月末決算の株式会社が減資を考えています。決算公告と減資の公告を一緒にしようとしたところ、公告方法が日刊紙になっておりましたので、公告方法の変更(官報へ)を行ない、4月に変更登記を終えました。そして、今年の6月に決算公告と減資公告とを行なう予定なのですが、この場合、決算公告は官報でよいのでしょうか?それとも決算確定時(去年の8月末頃)の公告方法である日刊紙でないといけないのでしょうか?
②上記の会社で、公告方法の変更と共に譲渡制限を設定し、非公開会社となりました。このように事業年度の途中で非公開会社になった場合、決算公告における貸借対照表の要旨は、公開会社用で行なえばよいのでしょうか?それとももっと簡略された非公開会社用でよいのでしょうか?
③知れたる債権者が一人もいない場合、その旨を書いた上申書(代表者の奥書付)を登記所へ提出すればよいのでしょうか?
投稿 | 2008年5月20日 (火) 17時05分
A3
① 公告時の公告方法だから官報です。
② 公告時基準でしょう。
③ 確か、代表者の証明で足りるはずです。

Q4
 委員会設置会社の執行役兼取締役(402条6項)は業務を執行できるんでしょうか?(415条)
どんな場合にできますか?
A4
 執行役として、業務を執行できます。基本的にはどんなことでもできます。
 
Q5
109条2項は「属人株」などと呼ばれていますが、一番のとおり名は何ですか?
投稿 たてこもり | 2008年5月20日 (火) 17時52分
A5
 「株主ごとの定め」でしょうか。

Q6
関西の方のロースクールに入学して初めて六法を開いた者ですが、戦ってきました。
模試の時も感じましたが、頭よりペンを動かす右手が疲れる試験でした。
受け控えについてですが、受け控える人にも①受からないから受けない②受かるけど上位で受かりたいから受け控える人もいるようです。②の方は、大手法律事務所に進むための作戦のようです。
これは、どうなんですかね。
投稿 しょ | 2008年5月20日 (火) 23時54分

A6
 受け控えた人間を採用してくれる大手法律事務所があるんですね。初めて知りました。
 どこか教えてください。

Q7
実は先日、私が何者かによって1年半前に勝手に合同会社の代表社員にされていたことが発覚しました。
方々を回って善後策を探したのですが、当面は弁護士の言うとおりにする予定です。
弁護士からは、「まずあなたが合同会社の代表社員を錯誤という理由で退任すればよい」と言われたので、そうするつもりでいました。
ところが、司法書士に聞いてみると、「合同会社は社員がゼロになると解散するから、後継者がいない状態では、法務局は退任届を受け付けてくれない」と言われました。
弁護士は「社員ゼロになっても会社は残る」と言っていました。
インターネットで何日間も掛けて調べても、こういう場合にどうなるのかは分かりませんでした。
たとえば有限会社の場合、一人しかいない取締役が亡くなって、そのまましばらく解散せずに息子が取締役になったという話は出てきたのですが、合同会社はそういうことは許されていないのでしょうか?
お聞きしたいのは、自分が辞めると誰も社員がいなくなる時には、辞めることはできないのかという点と、もし辞めることができる場合、辞めたら会社は解散するのかという点です。
会社が解散したら、本当の設立者におかしな恨みを買わないかという懸念もあります。
登記については素人のため、何がどうなるのかすらよく分からない状況です。
投稿 kuro | 2008年5月21日 (水) 09時44分
A7
 事実関係が複雑そうなので、ブログでのアドバイスは控えます
 弁護士さんに相談されてください。

Q8
前回の更新の際,「剰余金の額」と「分配可能額」についてお答えいただいた者です。どうもありがとうございました。会社計算規則を読み込む必要にかられておりまして,再度ご教授いただければ幸いです。
計算規則186条1号の趣旨を,次のとおり理解しています。
①繰延資産とのれんは,本当に経済的な価値があるか疑わしい。
②なので,「繰延資産」と「のれんの額の1/2」との合計額(のれん等調整額)について,「資本等金額(資本金+準備金)でカバーできない部分」は,剰余金から控除せよ(分配可能額に含めてはならない)。
③繰延資産がどんなに多額の場合でも,「資本金等金額でカバーできない部分」は必ず控除しなければならない。
他方,のれんの額(の1/2)が大きくて,「資本金等金額でカバーできない部分」が「その他資本剰余金の額」より多くなるようなときは,「その他資本剰余金」を限度として,剰余金から控除すればよい。
お伺いしたかったのは,③の後段部分(条文ですと計算規則186条1号ハ(2))がなぜ許容されているのか? のれん(の1/2)を繰延資産と違い全額控除する必要がないのはなぜか?というところです。
投稿 「のれん等調整額」の控除について | 2008年5月21日 (水) 14時52分
A8
のれんは、営業権としての価値がないわけではない場合があることや、のれんは多額になる可能性があり、全額だと分配可能額制限の効果が効き過ぎるからでしょう。

Q9
私は、先日新司法試験を受験しましたが、合格発表までの時間の使い方
について、まだ悩んでいる状態です。
修習をみすえて要件事実などを勉強しておこうとは思うのですが、
おすすめの勉強方法や教材などあったら教えていただけませんか。
要件事実だけでなく、会社法や刑法など他の科目、その他、合格発表まですべきこと一般についてアドバイスをいただけたらと思います。l
投稿 司法修習予定者 | 2008年5月21日 (水) 20時40分
A9
 岡口判示の要件事実マニュアルですね。

Q10
先日、人違いで入院患者を射殺した者に対する検察の求刑があったことをテレビで知りました。求刑は、「情状酌量の余地はなく、無期懲役」が相当という内容であることをテレビは伝えていました。同時に、「情状酌量の余地がないのに、無期懲役」は納得できないという被害者の奥さんの発言もテレビで流れていましたが、私も被害者の奥さんと同じ気持ちです。国民が納得できる求刑であり判決であってほしいのですが、検察は、なぜ「死刑を選択できない事案」であることを述べないのでしょうか?「死刑を選択できない」ことを述べてはじめて、「無期懲役」が相当という求刑が可能なのではないでしょうか。素人の質問ですが、宜しくお願いします。
投稿 ロゴス | 2008年5月22日 (木) 20時29分
A10
 死刑求刑かどうかは、その時のいろんな事情で決まります。                  いま
 「死刑を選択できない」という積極的理由はないから、その理由はいえません。
 また、情状酌量の余地はなくても、罪体から一定の限界はあります。

Q11
 私は旧試験の択一に合格するくらいの力はあります。ローでは、事案分析能力を身に着けるべく、判例の分析と事例問題の起案を中心に勉強しています。
 そんな中、どうしたら取調べ能力も身に着けることができるだろうか、と日々考えています。とりわけ、故意などの主観的要件についての供述を、より効果的に得ることに興味があります。判例を分析している中で、なんとなく「ここをつっこめばいいかな?」と考えることはあるのですが、取調べのいろはも知らない者の感覚なので自信がありません。
 そこで、葉玉先生にこのような勉強をする際の視点のようなものを提示していただきたく、投稿させていただきました。
 ただ、「こういうときはこう聞けばいい」という具体的なことになると、敵に塩を送ることになりかねないと思いますので、一般的なレベルでご教授いただけたら幸いです。
 お忙しいところ恐縮ではありますが、よろしくお願いいたします。
投稿 ヨボヨボ | 2008年5月23日 (金) 23時31分
A11
取調べの能力は、座学では身につきません。
①「なぜ」を3回繰り返す
② 真実を追究する心を折られない
② 被疑者の将来を真剣に考える
という心得で取り調べを繰り返すことでしょう。

Q12
受験ならば勉強を第一に考える
大切なものを2番目にすると以前の記事でありましたが
先生の記事で択一の前日に女の子を送っていったとありましたように、、
頭には恋愛のことが頭に出てきちゃいます。。
自分はなんて弱いんだって
こういう場合のアドバイスいただけたら幸いです
投稿 受験生 | 2008年5月24日 (土) 02時46分
A12
私は、昔、
「勉強よりも、大切なことが一つだけあってよい。ただし時間制限付」
と言いました。
 恋愛のことが頭に浮かぶのはOKです。ただ、時間を区切りましょう。

Q13
私は現在ロースクール生ですが、今年旧司法試験を受験しました。
せっかく3回のうちの1回を使ったわけですからできる限りのことをやろうと考えているのですが、どうもそう考えると勉強の手を広げがちになってしまいます。
特にロースクールにいると著名な先生方の基本書が神のように奉られていますので、無意識のうちにあれもこれもと手をだしがちになってしまいます。
だからといってあまりに勉強の範囲を限定して知識に穴を作ることになってしまうのも問題かなと思ったりもします。
このようにいまだに勉強の対象ないし範囲を確定しきれていないという状態です。
そこで、この範囲の問題を解けばいい、この範囲の本を読めばいい、といった残り60日でやるべき勉強の対象を教えていただけないでしょうか。特に百選や重判をよむべきか一番悩んでおりますのでその点も教えていただけると幸いです。
投稿 1000のバイオリン | 2008年5月24日 (土) 04時11分
A13
旧司法試験の過去問を、たくさん書きましょう。
自然と穴がなくなります。

Q14
いつも一方的にお世話になっております。
択一の採点もせずに一切の情報を遮断して論文勉強に励んでおりますが、ここに来て、ずっと敬遠していた委員会設置会社に手を付けて少々あせっています。
416条がよくわからないのです。
1項で役会が次に掲げる「職務」を行う、として①・・・、としています。
ところが2項で、役会は前項①・・の事項を決定しなければならない、とあります。
これが1項で1項①を職務として行う、としているのと重複しているようにしか読めないのですが、どう読めば良いのでしょうか?
A14
 1項で決定権限があるというだけでは、必ず決定しなければならないということまで導けないから、2項で決定しろといっているのです。

Q15
3項で「1項各号に掲げる職務の執行を取締役に委任・・できない」とありますがここにいう「職務」とは、1項の「職務」と同義とすれば『業務執行の決定②・・・職務の執行の監督』のことになります。
とすれば、これらを役会から取締役に委任できないことになる、と読みました。
ところが、某条文解説本416条3項の説明に「いずれの業務も取締役に委任できず、執行役の権限」と書いてあります。たぶん、3項は「1項で業務執行の決定をなされたその業務」の執行は、執行役の権限で取締役がやっちゃダメ、ということだと思います。でもそうだとすると、3項の主語が役会であること、「1項各号の職務」とあるので2号に対応する職務が何のことかワカラナイ(私には)ので、私の解釈に分があるように思いますが、如何でしょうか?
投稿 アンナ | 2008年5月24日 (土) 16時28分
A15
 3項は、1項1号の決定と2号の監督を各取締役に委任できないということです。
 執行役の権限ではありません。

Q16
株主総会で取締役を選任した当日取締役会を開催した場合について質問させてください。この場合、新任の取締役に対して取締役会の招集通知を1週間前に発することは不可能です。(その時点ではまだ取締役ではないので)そこで実務ではこのような場合どのような対応をしているのでしょうか?
1、取締役会規程に上記のような場合を想定した定めを置いている
2、新任取締役も含めてすべての取締役、監査役から招集通知省略の同意をもらう
1、2の方法が適切か、もしくは他にも方法がるのかご教授ください。
投稿 maru | 2008年5月24日 (土) 17時45分
A16
2でしょうね。

Q17
会社法の関係で質問させていただきます。会社法第314条の関係です。
先日、私は某東証一部上場の定時株主総会に行ってきました。その時、予め書面質問が提出されていたようです。しかし、会社は、その全部に対して答弁していないようでしたが、この場合会社法第314条に抵触するのではないかと考えられます。
そこで、会社が株主より報告事項等につき説明を求められた場合、会社は会社法第314条を根拠にこれを説明しなければなりませんが、拒絶する場合はその理由、すなわち質問と答弁拒絶事由(同法同条但書)との関係を説明しなければなりませんか?
投稿 無職のくず | 2008年5月25日 (日) 19時02分
A17
一般的にはお答えしにくい質問です。
そもそも説明義務の対象とならない事項もあります。

Q18
 はじめまして。会社法100問使わせてもらってます。
 以前の記事に、勉強法について「最低500問以上論文を書くこと」とあったんですが、具体的にはどのようなかんじなのでしょうか?(同じ問題を繰り返すのも含まれるのでしょうか?)
投稿 学部生 | 2008年5月25日 (日) 19時05分
A18
 同じ問題を繰り返すのも入っています。

Q19
受験生なのですが、弁護士の仕事はどのように面白いのでしょうか?
詳しくおしえてください。
正直私は、弁護士の華やかな面、ブランド、司法試験にうけることが目的になってしまっている部分はあります。先生は受験生のときこういう考えはありましたでしょうか?
投稿 LAWYER | 2008年5月26日 (月) 00時54分
A19
弁護士の仕事の面白さは、「ありがとう」といわれることです。過去の記事を参照してください。
華やかな弁護士もいれば、地味な弁護士もいます。
ブランドは徐々に落ちています。
そこらへんは、過剰な期待は禁物です。

Q20
株式の相互保有による「資本の空洞化」という弊害について
会社法になって、資本金と会社財産との関係は原則切断されましたので、
「資本の空洞化」という言葉は、死語になったと考えてよいですか?
「資本」も存在しないのに、答案で「資本の空洞化」と書くことに、ためらいます。
出資の払戻し規制の潜脱くらいで済ませたくおもいます。
投稿 受験卵 | 2008年5月26日 (月) 16時16分
A20
それでいいでしょう。

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2008年5月20日 (火)

リスクを避ける人生

今年も、司法試験が終了しました。受験生の皆さんご苦労様でした。

今年は、上智のロースクールの教授になったので
「試験前に、司法試験について、あれこれ書いて、漏洩だとかなんとか、物議を醸し出したりするとロースクールに迷惑をかけるかもしれない」
と思い、試験ネタを自粛していましたが、司法試験が終わりましたので、今日は、司法試験受験生やロースクール受験生向けに
  法曹の就職問題
について書きたいと思います。

ロースクール受験生である「いち受験生」さんから、次のような質問をもらいました。

「私は学部4年生で、既習者での法科大学院進学を希望しているものです。
今年の法科大学院入試まで、あと約5ヶ月なのですが、東京大学や一橋大学などの いわゆるトップの法科大学院には進学できそうにもありません。
そこで、もう少し下位の法科大学院を目指しているのですが、最近「上位の法科大学院にさえ進学できない自分のような者は、仮に新司法試験に合格できたとしても、弁護士として生きていくことは難しいのではないか?」と心配になってしまいます。
法科大学院に合格してもいないのに気の早い心配で、恐縮なのですが、これからは「どこの法科大学院を出たか?」が就職等に当たっても重視されると聞いていますので、法科大学院進学前に色々と考えさせられます。
そこで、
①葉玉先生から見て法科大学院の「出身校」の重要性は今後の弁護士にとって、どれほどの重要性でしょうか。
②また、TMI総合法律事務所のような大手法律事務所に入所するためには、
 上位から何番目までの法科大学院を出る必要があるのでしょうか。
 なお、法科大学院の順位自体、何を基準に上、下とするかは様々だと思いますが、葉玉先生の大まかなイメージで結構ですので、お話いただければと思います。」

 東京ローや一橋ローが「トップ」の法科大学院かどうかはともかく、上智ローの教授である私が、「あのローは上位、あのローは下位」とかいうと、それはそれで世間の荒波に飲まれてしまいそうです。
 その意味で、このネタは、思いっきり危ないネタです。

 率直に言って、弁護士として活動していく上で、お客さんが
  あの人は東大出身だから、仕事を頼もう
ということは、ほとんど考えられないと思いますし、裁判官が
  あの弁護士は、東大出身だから、その主張を認めてあげよう
ということもありません。
 まして、検事になったときに、被疑者が
  あの人は東大出身だから、自白しよう
と考えることもないでしょう。

 法曹としての活動には、大学歴は、ほぼ100%無関係です。

 次に、法律事務所への就職活動についていえば
   ロースクールで大きな違いをつけるかどうかは、事務所ごとに異なる
としかいいようがありません。

 「ローの入試が難しいところは、その時点で優秀な人間が入っていると推定されるので、優秀な弁護士となる確率が、それなりに高い」
という経験則をどこまで重視するか、ということです。

 実際、最近は、応募倍率がすごいので、応募者全員と個別に面談をすることが難しくなっており、個別面談をするかどうかの判断をする際には、ロースクールのランクも一要素として考慮するのは当然だと思います。

 しかし、「トップ・ロー」と言われているところも、大量の不合格者を出しますし、逆に「下位ロー」にも合格者がいます。
 下位ローの合格者に比べれば、トップローの不合格者は
   能力的に「劣っている」
のであり、不合格者が合格者にむかって
  「俺はトップロー。あの人は下位ロー。」
と言って嘲るとすれば、それは、滑稽というほかありません。

 就職についても同じであり、ロースクールは、一要素に過ぎず、たとえば、公認会計士の資格を持っているとか、英語が無茶苦茶できるとか、話術が巧みで思わず引き込まれてしまうとか、それ以外の要素等を総合勘案しながら、採用は決められます。

TMIは、新司法試験がはじまってからの採用を見ていただければ分かりますが
 「トップ・ローから大量に採ろう」
というより
 「いろいろなロースクールのトップクラスの人材を採ろう」
という方向性です。

 結局は、ロースクールのランクを気に病むよりも
   自分が採用担当だとしたら、他の人と見比べて、自分という商品を買う気になるだろうか
ということを気にした方が、よほど生産的です。

 たとえば、新人弁護士のときから、1000万円以上の年収をもらえるような法律事務所で働きたいのならば
   俺はが採用担当なら、俺のような人間に、1年間に1000万円、10年間で1億円以上を支払う気持ちになるだろうか。
   俺は、1年間に1000万円以上の価値を事務所に提供することができるだろうか。
と考えます。
 その自問自答に対し
   俺は、それだけの価値を事務所に提供することができる。
と自信をもって答えられるように自分を磨いていけば、就職の心配をする必要はありません。

実は、私は、弁護士が、事務所に「就職」するという言葉は、あまり好きではありません。
弁護士というのは、大手事務所にいても、一人でやっていても、最終的には
   自分自身で稼がなければ、飯は食えない仕事
だからです。
 日本電産の永森社長が
「社員全員が休日返上で働く企業だから成長できるし給料も上がる。」
と発言したとのことで、波紋を呼びましたが、少なくとも、弁護士は
   自分が、お客様にどれだけの価値あるサービスを提供することができるか。
   お客様のために、どれだけ骨身を削って働くことができるか。
   お客様との人間関係を、どれだけ大事にすることができるか。
ということによって、収入が変わる仕事だと思います。

 ですから、就職できるかどうかという狭い視点ではなく、弁護士として継続的に働き続けるためには
   自分が、他人にどれだけの価値を提供できるか。
ということを追及していくしかないのです。

 私は、「法律事務所への就職が厳しい」という現実は、司法試験改革の失敗に基づくものであり、その点の政策的な責任は追及していいと思いますが、ロースクール生が、そのような大所高所の話をしても、一円の得にもならないです。

 ロースクール生は、「リスクの高い道を選択した」。それは紛れもない事実であり、嫌なら、他の道に行くしかない。

 しかし、リスクがあるのは、ロースクール生なのではなく、弁護士という職業自体、自営業なので、リスクと隣りあわせなのです。
 「十分な収入が得られないリスク」を恐れるのならば、弁護士にはなりません。

 そもそも、リスクがあることを、なぜそんなに恐れるのでしょうか。

 リスクを避け続ける人生は、愚痴に満ちた人生になります。

 「これをやりたいけど、やってしまうと、こういうリスクがあるから、やめよう」
 「あれもやりたいけど、そのためには、これだけ投資しなければならないから、投資が無駄になる可能性があることを考えると、やらない方がよさそう」

 リスクを避け、安全なところに留まり続ける人生は、やりたいことを我慢し続ける人生であり、最後には
  「あのとき決断していれば、よかったなあ」
という愚痴で終わります。

 もちろん、「死ぬリスク」とか「刑務所に行くリスク」とか、そういう破滅するようなリスクは、回避する必要がありますが
  十分な収入が得られないリスク
くらい甘受せずに
   自分の好きな仕事をしたい。やりたい仕事をしたい。
という夢を叶えようなどとは、片腹痛いというしかありません。

 弁護士の仕事は、楽しい。
 普通の人が経験できないような経験をたくさんできるから楽しい。
 クライアント様と一緒に苦労を分かちあい、感謝されるのが楽しい。
 修羅場をかいくぐったときの快感が、たまらなく楽しい。
 とにかく弁護士の仕事は楽しい。

この楽しさを一生続けられるとしたら
  食えないリスク
なんて、大したリスクじゃありません。
 少なくとも、「弁護士が飢死」というニュースは流れていませんので
  本当に食えないということはない。
と思います。

 ですから、楽しい仕事をやりたいロースクール生は、そんなリスクを気にせずに、まずは
  楽しい仕事ができる能力を身に付けることに集中すべきである
というのが私の持論です。

(質問コーナー)
Q1
非公開会社でストックオプションを発行するケースです。
株主総会で取締役会に対して募集事項の決定を委任する決議をしました。
その後、取締役会で募集事項を決定し、さらに、取締役会で同社の取締役にストックオプションを割り当てる決議をしました。
この割当てを行った取締役会において、割当てを受ける取締役は、常に特別利害関係人に当たるのでしょうか?
取締役5名の会社で同5名に割当てる場合には、決議を5回行わなければならないのでしょうか?
また、取締役3名のうち2名のみが出席して、当該2名に割当てを行う決議はできないということでしょうか?
投稿 ひきこもり | 2008年5月12日 (月) 23時37分
A1
取締役に対するストックオプションということであれば、株主総会で、同時に報酬等の決議を行うことになります。
金銭報酬であれば、その内訳を取締役会決議で決めるときにも、各取締役が特別利害関係人にはならないので、ストックオプションの割当てについても同様に考えてよいと思います。

Q2
利益相反取引と取締役の任務懈怠責任(423条)について質問させてください。
423条3項1号では,356条1項の取締役について任務懈怠を推定するとしています。
356条1項3号では,間接取引について利益を受ける取締役(以下受益取締役とします)に対し,「当該取引につき重要な事実を開示し,その承認を受けなければならない」としていますが,例えば,この受益取締役が重要な事実を開示して取締役会の承認を求めたが承認は得られなかったという場合,この受益取締役と異なる代表取締役が勝手に当該受益取締役の債務を保証してしまったときに,この受益取締役の任務懈怠は認められるのでしょうか?
もちろん,取締役会の承認が得られなかったときに,受益取締役と意を通じて代表取締役が受益取締役の債務を保証したら,受益取締役の任務懈怠は認められると思うのですが,受益取締役が「承認が得られなかった以上債務を保証してもらわなくていい」と繰り返し言っているのにあえて代表取締役が債務を保証した場合にまで任務懈怠があったとするのは,任務懈怠の語義から離れているような気がします。(それとも,承認を受けていないのに当該利益相反取引が行われて会社が損害を被った以上,受益取締役は一種の結果責任を負うことになるのでしょうか?)
また,仮に任務懈怠は認められるけれど過失が認められない,とするのであれば,過失とは一体何を指すのでしょうか?
受益取締役に特に課された任務とは,取締役会への情報開示と承認を受けることだと思いますが,この任務に対する過失は考えにくいと思います。
以上,356条の「承認」と423条の任務懈怠との関係がよくわからないので質問させていただきました。ご教授いただけると幸いです。
投稿 | 2008年5月13日 (火) 07時25分
A3
間接取引については、受益取締役の預かり知らぬところで、行われる可能性があるので、場合によっては、受益取締役に任務懈怠がない場合がありうるでしょう。
承認がなければ、当該間接取引は、違法行為になりますが、任務懈怠は、取締役ごとに判断するので、ある取締役が違法行為をしていないならば(共同で違法行為をしたという事実もなく、監督義務違反もない場合には)、任務懈怠にはなりません。

Q4
利益相反取引が取締役会の承認決議を経て行われた場合、株主は423条によって関与した取締役の責任を追及することが可能です。
他方、利益相反取引が取締役会の承認決議なくして行われた場合、その利益相反取引は相対的無効になるとするのが通説です。
このときに第三者が出現していなければ、会社は当該取引の無効を主張して不当利得返還請求をすることが可能ですが、このときでも、株主は会社に損害が発生しているとして、423条によって関与した取締役(356条1項の取締役と当該取引を決定した取締役)の責任を追及することができるのでしょうか?それとも、取引の無効を主張して不当利得返還請求をしうる以上、会社に損害は発生していないとして423条責任は認められないことになるのでしょうか?
投稿 | 2008年5月13日 (火) 15時38分
A4
 違法行為によって、財産が流出した場合に、それを取り戻せる権利があることと、損害が生じたことは別です。
 窃盗犯が宝石屋さんから宝石を盗んだ場合に、宝石屋さんは、窃盗犯に対し、不当利得返還請求権により宝石を取り戻すことができますが、だからといって、損害がないわけではありません。宝石を取り戻す前は、宝石の価値そのものも損害になりますし、仮に取り戻せた後も、その間、売却できなかったことに伴う損害や取り戻しのための費用等が損害となります。

Q5
前回択一試験の時間について質問させてもらったものです。
日曜の択一試験は終わりました。
結果はやはり時間が足りませんでした。。
時間をかけなければいけない刑法の問題にあまり時間を確保できませんでした。
テキストやトウレンは受けて勉強してきたのですが
私の場合、知識を使う、応用するということができていないのでしょうか?
解答へのプロセスが遅いのを早くする対策としては、どういったものがかんがえられますか?
また、択一の自己採点は行っておりませんが継続して論文の勉強を開始しています。落ちても実力をつけるということが良いとおもっています。
旧試験は年々合格者が少なくなってきてかなり不安なのですが
ロースクールも考えた方がよいのでしょうか?
司法試験は難しい。
それは分かってるつもりなのですが、やはり私の努力が足らないのでしょうか?
投稿 受験生 | 2008年5月14日 (水) 00時37分
A5
択一に合格しないのは、努力が足りないからです。
択一の過去問を、6000問ほど解いたことがありますか?
(同じ問題の解き直しが含まれていても構いません)
択一試験なんて、「応用」などと呼べるような代物ではありません。
択一は、単なる間違い探しです。
司法試験が簡単だとはいいませんが、私の経験から言えば、努力したのに、択一に合格できない人は、ほとんどいません。

Q6
会社法184条2項( )書きで、現に2以上の種類の株式を発行している会社を除いているのは何故でしょうか?
巷では、「ある種類の株式に有利になる可能性がある」という説明がされることが多いようですが、納得しかねています。というのは、不利になる種類の株式は、株式分割の際に種類総会の開催が原則保証されているからです。
「どうせ不利な種類の株式の総会をするのだから」とか、「4倍ルールの潜脱防止」という理由なら少しは納得できるのですが・・・。
投稿 | 2008年5月14日 (水) 09時03分
A6
役会だけでできるのが、例外であり、誰の不利益にもならないことが明らかな場合以外は、原則どおりにしようという趣旨です。

Q7
今回は、会社法第329条第2項について質問があります。
「役員が欠けた場合」とありますが、「役員が欠けたとき」の誤りではないかと思うのですが、如何でしょうか。
前項の決議をする場合 → ①役員が欠けたとき or ②役員の員数を欠くことになるとき  (のいずれか) に備えて
という趣旨だと思われますので。
投稿 ぞう | 2008年5月14日 (水) 10時29分
A7
「場合」も、「とき」も、意味は同じなので、誤りではないです。
ただ、「とき」の方がよいですね。

Q8
上場会社の役職員ともあろう者が「うっかり」では済まされないように思われます。
そもそも、証券会社自身の証券会社自身による証券会社自身のための裏技的インサイダーを防げなければ、健全な市場になりえないように思います。
株式が投機の手段である現状では、個人投資家から吸い上げる賭博の元締のような証券会社の活動も仕方ないのかもしれませんが、やはり企業活動をベースにした配当益による投資市場を目指すべきではないでしょうか?
投稿 アウトサイダー | 2008年5月16日 (金) 05時26分
A8
やや問題を取り違えていらっしゃると思います。

Q9
さて、「利益相反取引」に関する質問・相談です。
弊社の代表取締役は、ある財界団体の代表を務めております。このたび、その財界団体の代表として国際会議に出席するため、海外出張をすることになりました。この海外出張経費(渡航費・宿泊費)を弊社で負担する場合…
1.この経費負担は、「利益相反取引」に該当するのでしょうか?
2.弊社の役員出張規程に基づき、当該取締役に対し「日当」を支給することは可能でしょうか?
投稿 ツェーベーツェー | 2008年5月16日 (金) 23時01分
A9
財界団体の代表として活動をすることが、貴社の事業にとってプラスになり、事業活動の一環であると認められるのならば、利益相反取引には該当しませんし、日当を支給することもできるでしょう。
事業と関係のない単なる趣味の活動だとすると、むしろ「報酬」の問題であると思います。

Q10
会社法では、会社の利益=株主全体の利益 と考えてよいのでしょうか?合併条件の不公正は、消滅会社の株主に対し、株式が交付される限り、株主に損害を被らせるものではあり得ても、会社に損害を生じさせるわけではないので株主が代表訴訟により取締役の責任を追及することはできない(大阪地判平成12年5月31日)とありますが、合併比率の不公正は株主全体の利益を害するから、会社に損害を生じさせており、取締役の責任が追及できるように思うのですが・・
投稿 ただし | 2008年5月17日 (土) 03時45分
A10
 難問ですが、概ね「会社の利益は、株主全体の利益である」と考えていいと思います。
 ただし、「株主全体の利益は、会社の利益である。」という関係には立ちません。

Q11
葉玉先生、利益供与(120条)について質問があります。
東京地判平成7年12月27日判決で、株式の譲渡自体は「株主の権利行使」とは直ちにいえないと判断されていますが、かかる判断の理由が分かりません。
株式の譲渡も自益権や共益権ではないにしろ、株主の権利の一つだと思うのですが。
投稿 ブルー | 2008年5月19日 (月) 23時13分
A11
利益供与は、総会屋対策の一環であり、株主総会に関する権利を念頭においた規定だからです。

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2008年5月10日 (土)

規制改革会議

お久しぶりです。
ゴールデンウィークにおける家族サービスの関係で、更新の間隔が空いてしまいました。
その間、質問もたまっていて、質問コーナーが大変なので、本日は、手短に本編を終了させたいと思います。

 私は、今日、
  内閣府 規制改革会議 金融タスクフォース
というところで
  インサイダー規制について改革すべき点
について語ってきました。

 その模様は、そのうち規制改革会議のHP(http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/)に載るでしょうが、皆さんにも、ぜひ知っておいていただきたいので、ブログネタにさせてもらいます。

 私は、検事としてインサイダー規制の捜査に携わりましたし、弁護士になってからも、沢山の企業から、インサイダー規制についてのご相談を受けましたので、インサイダーについては、裏表知っています。

 始めに断っておきますが、私は、インサイダー規制は当然必要であり、悪い奴については、課徴金を強化するのも、罰則を強化するのも、どんどんやってもらいたいと思っています。

 他方、現状では、インサイダー規制が形式犯であるため、
   上場企業の普通の役職員が、インサイダー取引に該当しているという意識もないまま、インサイダー取引をしてしまう
という「うっかりインサイダー」のリスクがあまりにも高いとも感じます。
 自動車を運転してスピード違反をするのは、本人も、悪いと分かってやっているので、犯則切符を切られるのはしょうがないのですが、うっかりインサイダーの場合は、本人に何の罪の意識もなければ、儲けるつもりもないのに、インサイダー取引の構成要件に該当してしまうので、誤解を恐れずに言えば
   現行のインサイダー規制は「犯罪者製造マシーン」になりかねない
というのが実感です。

 普通の人が、普通のことをやって、犯罪構成要件に該当してしまうというのでは、法制度としても、非常にまずいので、社会の変化に合わせて、インサイダー規制も緩和すべき点は緩和することも必要です。

 そこで、私が、規制改革会議金融タスクフォースで、いくつかの改革案を提案しました。

 1 子会社の解散は、軽微基準を設ける
    (理由)上場会社自体が解散するに軽微基準がないのは当然だが、
        子会社の解散をそれと同視する理由はなにもない。

 2 合併等の決定事実の効力発生日及び公表予定日が6か月以上先である場合には、インサイダー規制をかけない。
(理由)準備についての決定により、インサイダー規制が生ずるという現行法では、日常的にM&Aの検討をやっている現在の上場企業の担当者は、インサイダー規制が解ける期間がない。そもそも、海のものとも山のものとも分からない段階で、インサイダー規制をかける必要はないし、効力発生日も公表予定日も6か月以上先ならば、その間の株価変動のリスクを犯してまで、その重要事実をもとにした売買を行うことは少ない(重要事実と売買との因果関係が希薄になる)。

3 自己株式の処分は、売買等から除外する。
(理由)インサイダー規制ができたころと違って、自己株式の処分は、損益取引ではなく、資本取引になったのだから、インサイダー規制の対象とする理論的根拠が希薄になっている。しかも、募集株式にせよ、合併にせよ、自己株式の処分は、新株発行と同様の手続によるから、新株発行と同視すべきであり、通常の売買とは性質が異なる。

4 担保権の実行を売買等から除外する。
(理由)担保権の実行は、債務不履行に起因するものであり、重要事実を知っていることと担保権の実行との間に因果関係がないのだから、売買等に含める必要はない。

5 自己株式の取得について、現行よりも適用除外の範囲を広げる。
(理由)自己株式の取得は、ROEを高めるのため等に有益な資本取引であり、取得手続も法定されているから、不公正な取引に利用されるリスクは小さい。
 そもそも、重要事実を知っている者が、その重要事実に起因して株式の売買を決定することを防止するのが、インサイダー規制の趣旨なのだから、重要事実を知らない株主達が株主総会で取得を決定し、取得期間も一定の範囲に制限した場合には、仮に、取締役が、他の重要事実を知っていたとしても、株主総会の決議に従って取得する行為をインサイダー規制の対象とすべきではない。

6 役職員持株会の適用除外要件を広げる。
 (理由)持株会に加入したり、拠出金を増額することをインサイダー取引と認識している役職員は、あまりにも少ない。また、持株会は、通常、長期間にわたり、定期的に、一定額で、株式を購入し続けるものであり、ある重要事実に起因して利益を得るようなインサイダー取引には向かない。100万円以内ならば、一律、適用除外にするか、もしくは、加入後、1年以内には、株式の引出ができないことを条件に加入した場合には、適用除外すべきである。m

7 第三者が、インサイダー規制を解除できる方策をもうける。
(理由)現在は、会社が公表しない限り、インサイダー規制が解除されないため、第三者が一旦重要事実を知ってしまうと、会社が公表してくれない限り、一生、その会社の株式を売買できない。これは、不合理であり、個人の財産権に対する過度の制限である。

8 インサイダー取引をした者が、調査や捜査による発覚前に、自首した場合には、課徴金を課さないことができる旨の規定を置くべきである。
(理由)うっかりインサイダーをした者が、一番恐れているのは、公表であり、マスコミである。課徴金が減額されても、公表されるのでは、あまり意味がない。刑事罰ですら、起訴猶予があるし、独禁法にリニエンシーがあるのだから、インサイダー取引にだって同様の制度を設けるべきである。

その他にも、いろいろと提案しましたが、私の主眼は
  うっかりインサイダーにより普通の人が苦しむ姿をみたくない
ということにつきます。

 皆さんは、私の提案をどう思われますでしょうか?

(質問コーナー)
Q1
会社法389条3項の報告について質問させてください。かかる報告をすべき監査役が1名のみ存在する会社において、定時総会の一日前に当該監査役が死亡したとします。この場合、389条の報告をするために監査役を選任しなおさないといけないのでしょうか?それとも、議長が監査役死亡前に作成された監査報告を代読し、書面について綿密に調査したところいずれも正確かつ適当であると認めた旨を報告すればたりるのでしょうか?後者(議長による報告)によった議事録を仕事中に見つけたもので疑問に思いました。仮に、後者の扱いが認められるならばその根拠までご教授していただければ幸いです。
投稿 maru | 2008年4月29日 (火) 01時30分
A1
 厳密には、代読では駄目でしょう。

Q2
株主総会決議で取締役ABCの三人(取締役は全員で3名)が選任されたが、その後手続き上の瑕疵によりそ、その選任決議が取消された場合において、その取消に遡及効が認められると考えられますよね。
 その取消訴訟の間に、ABCが退任して、新たに適法な選任決議によってABCが取締役として選任された場合、訴えの利益が消滅することは理解ができています。
 そこで、二回目の適法な株主総会決議に関して、その株主総会の招集は取締役でなかった…というか、取消されるべきであった取締役ABCが収集したものであるため、そこには「権限のないものが招集した」という瑕疵は存在しないのでしょうか?
 一回目の決議が取消されていない(訴えの利益なし)された以上、当初から適正であったとなるので権限があることになるのでしょうか。
 私は、二回目の決議が行われたことにより結果的に「訴えの利益なし」とはなりましたが、それと一回目の決議が適法かは違う問題のように感じるのです。
教科書などには、「訴えの利益が消滅する」という話までは詳しく書いているのですが、その後の部分について触れているものが見つからないのです。2回目の決議には瑕疵はないという理解で一致しているから記述がないのでしょうか。
投稿 mi | 2008年4月29日 (火) 15時06分
A2
 決議が取り消されていなければ、取締役なので、何の瑕疵もないですね。

Q3
Q6/A6に関連して、便乗で質問させてください。
(1) 322条1項各号については、限定列挙と解すべきであるとされ、「同項各号に掲げる行為以外の行為を行う場合には、種類株主総会は不要である」とされています(『千問』103ページ)。
(2) ところで、322条1項1号カッコ書では、111条1項または2項に規定するものを除外しています。
したがって、ある種類株式について、取得条項・譲渡制限・全部取得条項を設定する定款変更(111条1項または2項の行為)をする場合は、322条の種類株主総会を必要とする場合の限定列挙から外れる様にも読めます。
しかし、先生のQ6/A6によれば、その解釈は間違っている様です。
この点、理解がしにくく感じられますので、322条1項各号が限定列挙である点と、322条1項1号カッコ書きの除外規定との関係について、もう少し噛み砕いて説明していただけないでしょうか。
投稿 日本語は難しい | 2008年4月30日 (水) 00時12分
A3
 誤解という言葉を使ったのは、申し訳ありませんでした。
 322条1項各号を限定列挙とする見解にたち、322条1項1号カッコ書で111条1項・2項が除外されていることからすれば、たとえば、A種株式に取得条項を付した場合に、A種株式を対価とする取得請求権付株式であるB種株式の株主の同意は不要であり、かつ、種類株主総会の決議も不要であると考える解釈もありうると思います。
 ただ、取得条項を付すことが種類株主にとって、重大だからこそ、111条1項は、種類株主全員の同意を要求しているにもかかわらず、他方で、その種類株式を対価とする取得請求権付株式の株主については、通常の株式の内容においては、認められるはずの種類株主総会の決議を、その場面で不要とする合理性はないと思います。
 私は、A種株式に取得条項を付した場合には、B種株式の対価が変更されるので、B種株式についても定款の変更が行われたものと解釈し、322条1項1号の適用があるものと考えます。
 ちなみに111条2項は、「種類株主に損害をおよぼすおそれ」の要件が不要であるという点の特則です。

Q4
会750条2項について質問させて下さい。
吸収合併の効力発生後、吸収合併消滅会社の代表取締役であった者が、第三者に消滅会社の不動産を売却した場合の効果について、
相澤先生は、「一問一答 新・会社法」において、会750条2項を根拠に存続会社は消滅会社の代表取締役であった者と取引した第三者に対して不動産を引き渡す義務を負うとされています。
他方で、江頭先生は、「株式会社法」(初版p752注6)において、会750条2項を根拠に効力発生日後登記前に消滅会社の代表者が第三者に対し行った行為と合併による一般承継との関係は二重譲渡類似の関係になるとされています。
両者の見解の差異は会750条2項の解釈の違いによると思われますがどのように異なるのでしょうか。相沢先生は同項により、存続会社は第三者に対して合併自体を対抗できないと考え、他方で江頭先生は、同項により、消滅会社代表者の代表権喪失は対抗できないものの、合併よる一般承継の効力自体は対抗できると考えているのでしょうか。
投稿 ロースクール生 | 2008年4月30日 (水) 21時42分
A5
 一問一答のその部分は、相澤先生ではなく、私に文責があるので、相澤先生に代わって、私がお答えします。
 私は、750条2項は、合併の効力自体を第三者に対抗することができないと考えますから、二重譲渡にはならず、登記前の代表者の行為は、第三者との関係では、消滅会社に帰属し、それが存続会社に包括承継されると考えます。
 二重譲渡類似になるという見解は、存続会社は、合併の効力発生日に包括承継の効力が生じたことを合併の登記なく、第三者に対抗することができることが前提になると考えられます。
 しかし、効力発生日に包括承継の効力が第三者との関係でも生じたとした場合、効力発生日後に生じた消滅会社の権利義務が、どうなるのかよく分かりません。当該権利義務が存続会社に包括承継されないとすれば、消滅会社の清算手続が必要になりますが、会社法は、その場合の清算手続を定めていないので、その解釈は無理があります。
 とすると、結局、効力発生日後に消滅会社に生じた権利義務も、存続会社が包括承継すると考えざるを得ず、存続会社が177条の「第三者」となることはないと考えます。

Q6
親会社社員による会計帳簿閲覧請求について定めた会社法433条3項が持株要件を定めていないように読めるのは、立法上のミスという理解でよろしいですか?
投稿 rds3 | 2008年5月 1日 (木) 01時05分
A6
チョンボでしょうね。

Q7
株券電子化に関してご教示ください。
①決済合理化法の施行により、会社法227条で名義人による株券喪失登録が抹消された場合には、直ちに当該名義人のための特別口座が開設されることになるのでしょうか。
②社株法159条2項の「名義人等」について、同条項の委任に基づく命令26条で、株券の所持者による申請により株券喪失登録が抹消された場合は、当該申請者が「名義人等」になるとされていますが、この申請は決済合理化法の施行日以前のものに限られるという理解でよいでしょうか。また、株券喪失登録者が登録を抹消した場合は、株券の名義人が「名義人等」になるとされていますが、この抹消登録は決済合理化法施行日後も可能という理解でよいでしょうか。
投稿 ハイヤーツーベー | 2008年5月 1日 (木) 10時30分
A7
① 登録者が名義人ならば、施行日に特別口座が開設されます。
② 登録の申請は、施行日前しかできません。
  登録者の抹消申請は、施行後も可能です。

Q8
弊社は未公開会社であり、親会社の100%子会社です。弊社の代表取締役
社長が弊社を任期満了で退任し、兄弟会社(同じく親会社の100%子会社)の
代表取締役社長に就任する方向で調整が行われています。弊社の定時株主
総会の日程が兄弟会社の定時株主総会の日程の翌日となった場合、1日だけ
両社の代表取締役社長を兼務することになりますが、あらかじめ弊社の取締役
会において利益相反に関する承認を得ておく必要があるでしょうか。
投稿 smoky | 2008年5月 1日 (木) 11時51分
A8
 文面を見る限り、「利益相反」も、「取引」もないのではないでしょうか?

Q9
Q2/A2について質問させていただきたく存じます。
「849条1項は、民訴法の特則なので、別個に、法律上の利害関係は不要です。」とのことですが、山下友信教授は「この規定については法制審議会で1度も議論されていないし、民訴法上の『補助参加の利益』がない場合は補助参加は認められないことも未だありうる」という趣旨のことを述べておられます。
しかし、立法担当者としては(裁判所がそのような判断をするかどうかはともかく)このような解釈は一切排除する趣旨で定めたものである、というように考えてよろしいのでしょうか。
投稿 MUC | 2008年5月 1日 (木) 20時54分
A9
 そのとおりです。また、民訴法と会社法と旧商法の文理を比べていただければ、特則になっているのは明らかです。確か、1問1答くらいから、その話はしていたような気がします。

Q10
合併や会社分割等の存続会社・承継会社の事後開示書面における重要な権利義務に関する事項についてはとりあえず暫定値を記載するのが一般的なやり方ですが、効力発生日後、確定値のものに差し替える必要なあるのでしょうか。おしえてください。
投稿 剣闘士 | 2008年5月 2日 (金) 07時23分
A10
アップデートすべきでしょう。

Q11
早速ですが,会社法859条4号後段についてご質問させていただきたく思います。
同号によれば,代表権がないのに持分会社を代表して行為した場合,その社員は除名を請求されるとあります。ここで,このような行為をした場合,無条件でその社員は除名されてしまうのでしょうか。
代表権を有する社員が何らかの事情で代表権を行使できない場合,それ以外の社員が代表権を行使して業務執行をすることは現実に行われていることもあるようにみえます。このような現実があるなら,代表権の行使=即,除名とすると不都合があるように思われるのですが……
投稿 クジラ | 2008年5月 2日 (金) 15時39分
A11
代表者から代行権を与えられて、代行するのならば、除名事由にはなりません。

Q12
全部取得条項付種類株式(108条1項7号)に関連して3点あります。
1.発行済株式に全部取得条項を付して100%減資に利用するというとき、これは種類株式ですから発行済株式(普通株式)を全て全部取得条項付株式に転換することはできないと思います。とすると、一部の発行済株式を全部取得付株式に転換して取得し、他の普通株式は取得対象外になるということでしょうか(100%「減資」であって、100%「取得」ではない)?
2.全部取得条項付株式の取得による100%減資を行なう場合、減資の手続(447条1項、309条2項9号等)は別途必要ということでよいのでしょうか?
3.減資のために自己株式を取得することが目的なのであれば、取得条項付株式の取得条項(107条2項3号、108条2項6号)として取締役会の決議や株主総会普通決議等の事由を定める方法でもでもよいと思えるのですが、この考え方はおかしいでしょうか?
投稿 或る未修ロー生 | 2008年5月 2日 (金) 22時21分
A12
1 違います。当て馬種類株式を作り、普通株式について全部取得条項を付けます。

2 100%減資というのは、俗語であり、全部取得によって、減資は行われません。
 減資をしたければ、別個減資手続をしてください。

3 取得条項を付したいのならば、株主全員の同意が必要です。

Q13
あと1週間で択一試験です。
模試で解くのが遅いので答案が途中になってしまいます。
憲法⇒民法⇒刑法の途中
時間をかければ択一の場合ほとんど解けると思いますが、、
一般的には単純に知識で解ける問題は早く解いて、考える問題に時間を割くということでしょうか?
各問題の難易度によってもかける時間は事前に何分しかかけない等も必要だとおもうのですが。。
投稿 受験生 | 2008年5月 5日 (月) 00時43分
A13
 択一を解くのが遅いのではありません。
 あなたが、故意に「遅く」解いているのです。
 試験は、常に時間が優先します。
 1問3分だとすれば、その3分間で結論を出すのです。
 解くスピードの遅い早いではなく、その3分間における正解への到達度が劣っていると考えてください。
 もちろん、問題の長短があるので、一律に1問何分と決めることはできませんが、5問何分というくらいで時間管理をして、解いてください。
 難易度とか、問題形式とかを考えながら、時間を長短決める余裕は普通はないと思います。

Q14
小生は、現在法科大学院2年生ですが、新司法試験受験の選択科目を何にすればいいか迷ってます。
その場合の選択基準、または選択眼のようなものがあれば教えてください。
なお、小生は純粋未修者で、ようやく1年かけて法律の基礎を少し理解した程度です。また、得意科目は特にありません。苦手科目は全てと言っていいです。社会人経験が10年以上ありますが、法律に特にかかわった仕事ではありませんでした。興味がある分野は、一般教養レベルで倒産問題、環境問題、特許問題とありますが、特に法律を勉強しているわけでもありません。猿でも分かるレベルの入門書を少し読んでみましたが、どの選択科目もピンときませんでした。
投稿 北の受験生 | 2008年5月 5日 (月) 11時04分
A14
 周りの受験生が、沢山、受けるメジャーな科目を選択したらどうでしょうか。
 勉強道具に困りません。
 マイナー科目は、勉強する道具探しからやらなければならないので大変です。

Q15
株主提案権の連続提案要件について,質問があります。旧商法232条の2第2項においては,「同一の議案に付総会に於て議決権の十分の一以上の賛成を得ざりし日より3年を経過せざるときは」とされており,「そしてこの場合の議決権の10分の1とは、当該総会において同一議案に対して行使された議決権総数に対する賛成の議決権の和の割合をいい」(新版注釈会社法(5)75~76頁)
と解釈されておりましたので,旧商法において議決権の10分の1とは,行使された議決権に対する割合であると考えておりました。一方,会社法305条では,「実質的に同一の議案につき株主総会において総株主(当該議案について議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の十分の一以上の賛成を得られなかった日から、」とされており,条文上からは,行使された議決権総数に対する割合ではなく,総議決権数に対する割合であるように思えます。これは,会社法において,改正されたということでしょうか。この点について改正があったという解説は見たことがありませんが,条文および上記の注釈会社法の解説からは,そのようにしか思えません。もし,改正されているとすれば,どのような背景からでしょうか。
投稿 お局法務部員 | 2008年5月 5日 (月) 17時54分
A15
 改正前の解釈が正しければ、改正されたと考えるのが素直ですね。
 背景は、基準の明確化と、他の議決権要件との平仄でしょう。

Q16
ハダマ先生、質問よろしくお願いします。
直前期の勉強ですが、具体的な勉強内容を教えていただけませんか?
直前のレベルは、試験1~2ヶ月前を想定した場合でよろしければお願い致します!!!
投稿 まりな | 2008年5月 5日 (月) 21時51分
A16
あと1週間というこの時期に、試験1-2か月前を想定する勉強法を教えるのも微妙ですが
1 1日に3科目以上、2週間で全科目を復習することを繰り返す。
2 徹底的に演習する。
3 各科目3時間で見渡せるノートを何度も読み返す。
4 答案構成を数多くやる
5 新しい分野はやらない
というところでしょう。

Q17
株主総会決議不存在の訴えは、誰から誰に対しても提起できるのが原則なのに、株式の共有の場合には、権利行使者のみ提訴権の行使を認めて、他の共有者には認めない(従って、権利行使者の指定がなされていない場合には株式の共有者は訴えを提起できない)と考えるのはなぜでしょうか?
投稿 ただし | 2008年5月 6日 (火) 04時07分
A17
すいません。問題意識が分かりません。

Q18
 葉玉先生、こんばんわ。以前このブログで「論文を一日一通書こう」ということについて質問いたしました。その節は回答をありがとうございました。
 ①もう一度質問させていただきたいのですが、現在先生の指示通り一日一通の論文問題について解答を作成していますが、なかなか思うようにできません。論証を覚えてから書いているのですが、うろ覚えの部分もあるため論証自体が不正確になっています。これを克服するには何度も繰り返していく中でだんだんと正確にしていくしかないのでしょうか。
 ②以前、先生から一日一通書くときの素材については比較的素直な時代の過去問が良いとのアドバイスを頂きましたが、過去問では添削をしてもらうことが出来ませんし、自分の周りには合格者もいませんので見てもらうことが出来ません。論点潰し型の答練に切り替えた方が良いでしょうか(添削してもらえるという点で)。
投稿 不孤 | 2008年5月 6日 (火) 19時48分
A18
 論証は覚えるものではありません。
「正確」にしていくようなものでもありません。
 キーワード・キーフレーズ・接続詞は、覚えますが、それ以外は、答案を書きながら、考えるものです。
 だから、正確性ではなく、「キーワードが含まれているか」「自分が読んで意味がわかりやすいか」を重視すべきです。
 答練は、受けた方がいいでしょう。

Q19
海外で成立した著作権を日本の信託会社が受託した場合、信託法の適用はあるのでしょうか?
投稿 ただし | 2008年5月 7日 (水) 14時51分
A19
 どの側面を問題にしているかによりますが、信託契約の準拠法が日本ならば、信託法の適用はあるでしょう。

Q20
現在「会社の計算」で,頭がおかしくなっているところでして,ご教示頂ければ幸いです。
会社法では,まず「剰余金の額」を計算させて,そこからさらに「分配可能額」を計算させる,という構成をとっていると理解しています。
しかしながら,期末であれば,「剰余金の額」は「その他資本剰余金」と「その他利益剰余金」との合計額ということですし,
期中であれば,剰余金配当や自己株式取得という現実的なニーズがあって,「分配可能額」を計算するために「剰余金の額」を計算するということはあると思いますが,「剰余金の額」だけを独立して計算するということは想定しにくいと思います。
会社法が,あえて「剰余金の額」の計算について独立した規定(しかも,法で「自己株式の帳簿価額」を含めさせた上で,計算規則で控除させている)を置いた積極的な理由というのはあるのでしょうか。
投稿 「剰余金の額」と「分配可能額」 | 2008年5月 8日 (木) 10時39分
A20
 「剰余金の額」は、分配可能額と切り離されて、445条4項などで使われています。
そうすると、剰余金の額を定義さざるをえません。

Q21
会社計算規則では、米国基準の採用が認められているかと思います。その一方でIFRSの使用はみとめられてません。
なぜ米国だけにしたのでしょうか?
財務諸表規則で認められていたのが、米国基準だけだからでしょうか。
世の中の流れがIFRSである以上、IFRSを認める流れがあるのではと考えているのですが、葉玉先生はどのようにお考えでしょうか。
投稿 くろすけ | 2008年5月 8日 (木) 22時03分
A21
 ニーズと常識によるものです。
 今の流れからすれば、IFRSも明文化していいんじゃないでしょうか。

Q22
辰巳の全国模試の結果が,数日前に返ってきました.C(上位40-60%)はともかく,D(60%)E(80%以下)ゾーンの受験生は,昨年ほとんどが不合格だったみたいです.それでも,先生のおっしゃるとおり「受け控えは愚策」と考えてよろしいでしょうか.なお,本試験同様の計算式を用い,採点者間のブレを無くしてあることを売りにしている模試で,棒グラフの分布も本試験に近似したものでした.受験者数は3000人ほどと本試験に近い母集団です.
投稿 受控論 | 2008年5月 8日 (木) 22時15分
A22
 受け控えは愚作中の愚作です。
 Dゾーン、Eゾーンの受験生は、「ほとんど」不合格だったかもしれませんが、その人たちが全員受け控えれば、「全員」不合格だったわけです。
 今年合格する可能性を消さず、なおかつ、今年駄目でも、来年合格する確率をあげるためには、受け控えなんて馬鹿なことはやめましょう。

Q23
取締役会の書面決議で、決議事項を提案した取締役自身の同意書を作成する必要はあるのでしょうか? 当社では提案者の記名捺印のある提案書を作成しており、それについて提案者自身の同意書を作成するのも少しおかしいような気がします。 ただ、会社法370条には、「取締役の全員」とあるので迷ってしまいました。ご教示のほどお願いいたします。
投稿 コーポーレート法務マン | 2008年5月 9日 (金) 09時31分
A23
 提案と同意は別だと思います。
 たとえば、株主総会で、株主が提案したからといって、当該株主が議決権を行使しなければ、賛成票にいれられません。
 もちろん、提案書と同意書を兼ねることは可能であり、そこから先は、その書面の解釈の問題です。

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