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2008年3月 9日 (日)

受け控え再考

 今年も、また「新司法試験の受け控え」の検討シーズンがやってまいりました。

 現在の新司法試験の三振制は、短慮かつ浅はかな、気の迷いともいうべき制度であり、一言で言えば、資格試験史に残る最悪の制度です。
 人権を重んじ、理性的かつ合理的な者であれば、三振制の基礎となっていた「合格率8割」という誇大広告的前提が崩れたその瞬間から、一刻も早く三振制を撤廃すべきであるという結論にいたると思うのですが、なぜか、まだ残っています。
 この三振制は、意思の弱い受験生を惑わせ、その者の人生を狂わせることすらあります。そのため、毎年、「受け控え」のような、ある意味「どうでもいい」ことに悩む人もでてきてしまうのです。

 さて、ムラタさんから、次の質問をいただきました。

「3月に卒業を迎える社会人ロースクール生です。仕事が忙しく、勉強時間は1日3時間程度しか取れません。先生は、受け控えは最悪の選択と何度も書かれていますが、いかなる場合にも妥当するのでしょうか。だとしたらなぜなのですか。
 先生が以前書かれていたとおり、将来、なにが起こるか(自身の死、親の不幸など)わからないし、1年控えても実力がつくかは未確定です。
 でも明らかに、実力的にみて、まったく今年の合格の可能性がない場合、1年見送り、ロースクールの負担がなくなるのですから、試験対策をしっかりやり・・・そこから受験したほうが合理性があるように思うのですが。
 翌年受かるつもりでも失敗することがあるのが試験ですから、3回のチャンスをフルに生かしたほうがよいと思うのです。
 まして、社会人や、その他事情で、勉強時間がどうしても取れない者も、受け控えは最悪といえるのでしょうか。」

多くの人は、私が何をいうか、すぐに想像できると思いますが・・
 病気等の事情がない限り、受け控えは、
   「何の意味もない最悪の選択」
です。

 その理由はいくつもありますが、ムラタさんが、社会人で時間がないならば
   時間が限定されているからこそ、実力の有無にかかわらず、とにかく受験すべきである
と思います。

 それは、
  本試験を一度受けないと、「何を勉強しなければならないのか」がわからないし
  この1年間、合理的で真剣な勉強をする時間を確保するモチベーションを維持できない
からです。                                       

 同じ1年間の勉強でも、目標が明確かどうかによって、全く能率が違います。
 また、「全然解けなかった。このままでは、やばい。」という絶望を本試験で味わうかどうかによっても、その後のモチベーションが全く違います。

 そもそも、「3回のチャンス」などという考え方は、非常に危険です。
 常に「今度の試験で合格する」と考えて勉強しなければ、おそらくこれからの1年間、勉強よりも、常に仕事や他のことが優先され、勉強時間は、たいして増えないと予想されます。
 そして、たぶん来年も
  「今年は無理だ。あと1年勉強した方が確率が高まる」
と考えて受け控えになり、その次の年は、
   「もう後がないから、実力はないけど、仕方がないから受験しよう」
という後ろ向きの発想で受験を続けることになります。

 私は、極めて多くの司法試験受験生を見てきましたが、そのような後ろ向きの発想で、実力が伸びる勉強をしている人は見たことがありません。

 はっきりいえば、「仕事が忙しいから時間が取れない」ということ自体、甘えです。
 たとえば、会社法立案担当者の郡谷さんは、会社法を作りながら、司法試験の勉強を始め、旧試験に合格しました。その他にも、仕事をしながら合格する人も沢山いますし、仕事以外で忙しいけれでも、合格する人もいます。視覚障害で、健常者が普通にやっている勉強方法を採ることができないのに、合格する人もいます。

 人それぞれ、自分の置かれた環境とハンディの中で試験と戦っているのです。

 「仕事をしている」というのは、単なる言い訳です。
 受験生ならば、試験までの限られた時間の中で
  「仕事や生活上の無駄な時間をどう切り詰めるのか」
  「3時間の勉強時間の中で、どのように効率を高めるのか」
を考えるべきです。
 「仕事をしているから、勉強時間がない」などという発想をするから、「勉強時間がないから、受験するのをやめよう」という訳の分からないことを考えているのです。

 もちろん、ムラタさんが、受け控えをしたければ、それはムラタさんの自由です。
 新司法試験くらいの合格率であれば、来年合格できる可能性はあるでしょう。
 ただし、その可能性は、たぶん、今年、受験した場合の可能性と大した違いはありません。

 ムラタさんが
  「これからは、今まで以上に勉強時間が取れるのだから、その方が合格する確率が高まる」
と考えているのならば、一つだけ質問させてください。
 「一体、ムラタさんは、1年間で、あと何時間勉強すれば、合格する実力が身につくか分かっていますか?」
 この問いに対して、たとえば
  「あと3000時間勉強すれば、合格できます」
と自信をもって答えられるのならば、どうぞ受け控えしてください。その3000時間を1年間できちんと割り振れば、合格できるのでしょうから。

 しかし、もしそうでないのならば、
  「あと何時間勉強しなければならないか分からないけど、1年間勉強すれば、合格の確率が高まる」
と考える根拠は何なのでしょうか?
 
 「勉強時間が短いより、長い方がまし」という程度の発想ならば、何年勉強しても、実力は伸びません。勉強時間も重要な要素ですが、「何をどのような方法で勉強するか」の方がよっぽど重要です。
 極端な話、この1年間に、どんなに勉強時間を増やしたとしても、「ただただ六法を暗記していただけ」では、合格しません。
 「そんな馬鹿なことはしない」と思うかもしれませんが、これが、「ただただ基本書を暗記していただけ」と言い換えても同じです。
 やるべきことが分からないままなす努力は、時間の無駄です。
 逆に、効率的な勉強をしたならば、1年間もあれば、合格レベルに達することができるはずであり、3年も必要ありません。

 「ロースクールを修了すれば、時間が取れる。時間が取れるから、勉強が進む」というのは、無計画で無思慮な考え以外の何ものでもないのです。
  「時間があるから勉強が進む」のではありません。
 「必要な勉強を、限定された時間の中で進める」のです。

 ムラタさんも、ロースクールに入学した時に、2年ないし3年後には、受験があることは分かっていたはずです。その間に、受験に必要な勉強を続けてきたのではないのですか?
 1日3時間も勉強時間を取れるのならば、3年もあれば、新司法試験に合格する実力を身につけることは十分可能なはずです。
 少なくとも、3時間も毎日勉強してきて(かつ、ロースクールを卒業できた)にもかかわらず、「今年合格する可能性がない」ということはありえず、そういう状態があるとすれば
(1) 3時間勉強してきたというのは、間違い
(2) 無駄な努力ばかりしてきた
のどちらか又は双方です。

 つまり、そのような状態にあるという人は
  時間の使い方に間違いがある
  勉強の方法に間違いがある
のどちらか又は双方であり、そのまま1年間、受験を伸ばしても、何の意味もありません。

 司法試験の受験は、サイコロを転がす「確率」の世界で合格するのではありません。
 実力があれば、1回で合格するし、なければ、3回受けても合格しません。
 「3回のチャンスをフルに生かしたほうがよい」という意味のは、試験の世界にサイコロ賭博を持ち込むようなもので、まったく間違っています。
 予備試験があるのですから、そもそも3回と決めていること自体も間違っています。

 また、受け控えによって得られる利益は
    2年不合格が続いたとしても、3年目に、予備試験抜きで受験することができる
という程度の利益に過ぎず、そんなアホくさいどうでもいい利益を得るために、「本試験」という貴重な経験を1~2年先延ばしにするのは愚の骨頂です。
 現在の新司法試験のレベルを考えれば、「2年連続不合格」のことを考えるくらいなら、その2年間の勉強の能率をどれだけ高めるかを考えた方がよっぽど合格率が高まるでしょう。

 以上、述べてきたように、受験生にとって必要なのは
 ① 目の前の試験を受験する
 ② その試験に合格するために、限られた時間で何をすればよいのかを計画する(そして、勉強の進度に応じて、計画を修正していくこと)
 ③ その計画を実行する
 たった、これだけです。

(質問コーナー)
Q1
461条1項違反の配当の効力について、文言を重視する有効説は非常に説得的に思います。
もっとはっきり有効説しか採りえないような規定をしてもよかったのではないかと思うのですが(461条1項違反の配当があっても配当は有効とする、等)それを避けたのは立法段階でも無効説論者の方がいらっしゃったからなのでしょうか?
投稿 コカコーラ | 2008年3月 3日 (月) 02時44分
A1
 「違法配当は有効とする」というような規定の仕方は、ほとんど先例がないことと、会社法の他の規定(たとえば、組織再編等の無効の訴え等)についても、全部似たようなことを書かなければならないとするとおかしくなるから、書かなかっただけで、「避けた」わけではないと思います。

Q2
会社法上、「自己株式」とは、株式会社が有する自己の株式を意味します(113条4項)。
したがって、「自己株式」はどんなにがんばっても取得できません。
よって、「自己株式の取得」という表現は不正確で、「自己の株式の取得」という表現を用いるべきでしょう(会社法第二編第二章第四節の「株式会社による自己の株式の取得」という表現参照)。
投稿 rd | 2008年3月 3日 (月) 02時58分
A2
「自己株式の取得」という表現は、会社法実務の中では一般的な用法であり、不正確なわけではありません。
 法文上の使い方が絶対ではないので、実務的には、あまり厳密に区別すると、かえって聞く方・読む方を戸惑わせることになるように思います。

Q3
>A4
 前提がよく分からないのですが、「出資の払戻し」ではなく、退社による持分の払戻しでしょうか?
いえ、「出資の払戻し」の話です。
 単に出資を払い戻しただけでは退社にも持分減少にも当たらず、配当請求権や意思決定に参画する権利は変動しないが、その際582や859が適用されなければこれらの規定が事実上骨抜きになるのでは?と言う疑問です。
投稿 ひで | 2008年3月 3日 (月) 16時02分
A3
 株式会社で、会社が、取得請求権付株式を発行をした後、株主が、その取得請求権をすぐに行使したからといって、払込未了になるわけではありません。それと同じように、 一度、出資をしたのですから、582条を適用する余地はありまんし、出資の払戻をすれば、出資額が減少しますから、原則として、配当も減少しますので、その結論が不当とは思いません(622条)。意思決定に参画する権利は、原則として、社員1人1票なので、持分がある限り、存在しますが、持分会社の意思決定権は、もともと出資額に比例しないという法制度なので当然だと思います。

Q4
特例有限会社が商号変更により通常の株式会社に移行した後の最初の事業年度中に、吸収合併を行い存続会社となる場合において、会社法第799条第2項第3号に規定する債権者保護手続として、会社法施行規則第199条各号で規定する計算書類に関する事項において、仮に当特例有限会社が事前に官報等で決算の開示をしていた場合、同条1号のイでの公告は有効であろうと解釈するがいかがでしょうか?また、整備法第28条にあるとおり、事前に開示した公告は適用除外と解し、あくまでも施行規則第199条7号の貸借対照表の要旨を公告する必要があるのでしょうか?
投稿 HAMA | 2008年3月 3日 (月) 18時44分
A4
 「仮に当特例有限会社が事前に官報等で決算の開示をしていた場合」という意味がよく分かりませんが、任意に公告していたということでしょうか?
 いずれにせよ、「法第四百四十条第一項又は第二項の規定により」公告をしている場合には該当しそうにはないですよね。ありえない解釈ではないかもしれませんが、リスクがあるので、私ならやらないかなあ。

Q5
新株予約権の株式会社自身に対する発行の可否についてもう少し教えて下さい。敵対的買収防衛策の一つとして新株予約権を株式会社に発行することは(面倒くさいので)できない、とのご回答をいただいたのですが、会社法上、その発行の目的を問わず、株式会社は新株予約権を株式会社自身に対して発行することはできない、と考えてよろしいでしょうか?私の浅い理解では、株式会社は発行してしまった新株予約権を自己新株予約権として取得することは可能であるが、最初から自分自身に対して新株予約権を発行することはできないととらえています。これは正しい理解でしょうか?もっとも、敵対的買収防衛策以外に、自らに対して新株予約権を発行するという動機が株式会社にあるのかと言われると、あまり見あたらないのですが。
投稿 しん | 2008年3月 3日 (月) 22時07分
A5
 面倒くさいので、できないわけではなく、どんなスキームを考えていらっしゃるのかが分からず、すべての新株予約権の割当て形態について、自己宛発行ができないことを説明するのが面倒くさいという意味です。
 会社が、発行済み新株予約権の取得はできるが、自己宛で発行することはできないという理解は正しいです。

Q6
法の立案者が有効を前提に立案しているのに、「無効だ」と言う主張は論理的ではありません。
「無効を前提に立案すべきだ」と言うのなら、分かります。また、「無効だ」がそういう意味の主張なら、どう見ても立法論的解釈です。
もし、立案者以外のほとんどの学者が「無効だ」と言ったら、有効を前提に立案した法の規定が、新たな立法によることなく「無効」になるものなのでしょうか?
ひょっとすると、国会の採決は「無効」のつもりでされている、と解釈することになるのかな?
投稿 ロン | 2008年3月 3日 (月) 22時09分
A6
 立案者が何を言おうと、条文上、解釈できるのならば、「無効だ」と主張することはできます。もちろん、立案者以外のほとんどの学者が「無効だ」と言ったら、有効を前提に立案した法の規定が、新たな立法によることなく「無効」になるということもありません。
 私が、前回お話ししたことは、実定法の国である日本の会社法の、現在の条文の解釈として、無効説というのは、なかなか成り立たないのではないだろうか、という疑問にすぎません。

Q7
私は、非公開会社とは、全株式譲渡制限会社だと理解しています。しかし、会社法200条4項は、非公開会社において、譲渡制限種類株式が発行されているように読めるのですが、200条4項はどのような事態を想定しているのでしょうか。
投稿 しげる | 2008年3月 4日 (火) 17時35分
A7
 質問の趣旨がはっきりしませんが、たとえば、非公開会社である種類株式発行会社があって、A種株とB種株を発行しているとしましょう。200条4項は、A種株の発行について、株主総会で委任するときは、A種株の種類株主総会も必要であるという規定です。
 また、公開会社における譲渡制限株式の有利発行の場合でも適用されますね。

Q8
会社法施行規則126条(会計監査人設置会社の特則)についてです。
弊社は前回の定時株主総会の終結のときをもって会計監査人が任期満了により退任し、同株主総会で新しい会計監査人を選任し現在に至っております。
この場合、当事業年度の事業報告には、新旧両方の会計監査人について記載が求められるのでしょうか? それとも、「新」だけの記載でよいのでしょうか?
辞任または株主総会決議以外による解任の場合は、同条⑨で記載が求められていますが、任期満了による退任の場合の扱いが解りません。(それとも、任期満了による退任は株主総会決議による解任に含まれる…ということなのでしょうか?)
会社役員(施規2条3項④により、会計監査人は含まれないとの認識でよろしいですか?)の場合、施規119条に「直前の定時株主総会の終結の日の翌日以降に在任していたものであって、当事業年度の末日までに退任したものを含む」という但し書きがあって非常に解りやすいのですが、会計監査人については同様な記載がなく、新旧とも記載必要と考えられるのですが、いかがでしょうか?
投稿 ツェーベーツェー | 2008年3月 4日 (火) 18時48分
A8
9号を除き、事業報告作成時点の会計監査人、すなわち、「新」だけだと思います。
会計監査人は、当然再任が原則なので、任期満了というのは、不再任の決議をしたか、辞任されたか、どちらか(たぶん、後者)だと思います。

Q9
33条8項で発起人が設立時発行株式の引受けを取り消した場合この人は発起人でなくなり定款とずれてしまうと思うのですがこの場合設立は始めからやり直しになるのですか?

A9

【当初のAがややミスリードなので、修正】
33条9項は、変更命令の対象となった変態設立事項を廃止して、設立手続を継続することを認めていますが、その変態設立事項には、引受の取り消しをした発起人の現物出資等も含まれるものと考えられます。このように引受の取り消しは、必ずしも、やり直しを意味しません。引き受けの取り消しをしても、発起人でなくなるわけではなく、その後に、別の条件で引受をすることも可能です。

Q10
199条4項で譲渡制限株式だけ特別な扱いをしている趣旨がわからないのですが教えていただけませんか?
投稿 受験生K | 2008年3月 6日 (木) 15時19分
A10
譲渡制限というのは、持株比率の維持の利益を確保するものですよね。
199条4項は、ある種類の譲渡制限株式内における持株比率の維持を保障するものです。

Q11
募集株式の引受人の責任について質問があります
212条1項の「取締役と通じて著しく不公正な払込金額で募集株式を引き受けた場合」と有利発行の場合の違いがわからないのですが教えていただけないでしょうか?
投稿 ロー人 | 2008年3月 6日 (木) 15時57分
A11
 ①取締役と通謀が必要なこと
 ②単に「特に有利」なだけではなく、「著しく不公正」である必要があること
が違います。

Q12
①208条3項において、株式の引受人からの相殺を禁止していますが、逆に会社からの相殺は許されるのでしょうか?
 葉玉先生は、同条項の趣旨を債権の現物出資に対する規制の潜脱を防止する点にあると解されておられるようであり、現物出資に対する規制の趣旨は、株主間の公平を図る点にあると思われます。そうすると、会社側から相殺をしようとする場合も、これらの趣旨は妥当し、同様に禁止されるのでしょうか?
 この点、江頭先生のように208条3項の趣旨を資本充実を図る点に求めれば、会社側から相殺する場合も現実に金銭が会社に払い込まれない以上、会社債権者が害されるおそれがあり、同条項の趣旨も妥当し、当然に会社からの相殺も禁止されるように思われます。
投稿 けんてぃ | 2008年3月 6日 (木) 21時28分

A12
 会社からの相殺は許されます。理由は、千問か、100問に書いたように思います。

Q13
新株予約権の目的である株式に譲渡制限・全部取得条項を付す場合には新株予約権買取請求が認められているのに、何故取得条項が付された場合は認められないのでしょうか?
投稿 かか | 2008年3月 7日 (金) 01時09分
A13
 新株予約権買取請求権は、株式買取請求権の並びで規定されています。
 すなわち、株式に取得条項を付すためには、株主又は種類株主全員の同意が必要なので、株主には株式買取請求権を認める必要はなく(会社法110・111条1項)、そのために、新株予約権買取請求権も認められていないのです。
 
 しかし、新株予約権者の同意は要求されていないので、新株予約権の目的である株式に重要な変更が加えられたことからすれば、新株予約権買取請求権を認めるべきという考えもありえます。
 ただ、株主が全員同意したんだから、それに従うべきという考え方もそれなりに合理性があるように思います。

Q14
外国会社は、日本における名称として「株式会社」を商号中に使用することはできるのでしょうか?
会社法7条によると「会社でない者」は商号中に会社であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならないとされていて、2条1号で会社は「株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社」と定められていますから、外国会社は「会社」には含まれず「会社でない者」にあたり、「株式会社」を商号中にいれることはできないということになるように見えるので、どうなのか疑問に思いました。
こちらの不勉強なだけとは思いますが、よくわからないのでよろしくお願いします。
投稿 カミレツ | 2008年3月 7日 (金) 16時20分
A14
 外国会社は「株式会社」を用いることはできません。

Q15
取締役会決議について質問させてください。
取締役会の構成員全員が369条2項の特別利害関係人にあたるような議案の場合には、いかにして決議を成立させるのでしょうか?
また、取締役会構成員のうちの一人を除く全員が特別利害関係人にあたる場合、その一人のみで取締役会を開くということはできるのでしょうか。
投稿 白くま | 2008年3月 7日 (金) 20時00分
A15
1人では、開催できません。
一人ずつ、特別利害関係人を外して、決議を成立させたりします。

Q16
会社法施行前、名義書換代理人はTransfer Agency(TA)でしたが、株主名簿管理人は英語では何と言うのですか。
投稿 山茶花 | 2008年3月 7日 (金) 22時18分
A16
TAでいいでしょう。
今の実態は、どちらかというと、Registrorかもしれませんが。

Q17
募集株式発行無効の訴えと不存在確認の訴えについてです。
中央07年度入試において、「非公開会社における募集株式発行で総会決議の無い発行に対して裁判所に出来る請求を、発行から4ヶ月の場合と13ヶ月の場合を分けて答えよ」との出題がなされました。
参考答案ではその差異を828条の出訴期間の問題とし、前者を無効の訴え・後者を不存在の訴えとしています。
無効原因と不存在原因はそもそも同じ、もしくは同様のものと想定して、出訴期間の有無だけに差異があるのでしょうか。
判例の集積が無いため使い分けが不明ですので、お願いします。
投稿 受験生・甲 | 2008年3月 7日 (金) 22時52分
A17
 募集株式発行の無効原因と不存在原因は、違います。
 不存在というのは、手続の瑕疵の程度が大きく、募集株式の発行手続が存在しないのと同視できるような場合です。
 詳しくは、100問を見てください。

Q18
以前このような質問がありました。
 
「会社法808条1項2号について質問させてください。
 808条1項2号括弧書によれば、新設分割設立会社が持分会社である場合には、新設分割株式会社の新株予約権の新株予約権者は新設分割株式会社に対し、自己の有する新株予約権を公正な価格で買い取ることを請求することはできません。 
 なぜ、新設分割設立会社が持分会社である場合に新株予約権の買取請求が認められないのでしょうか?理由を教えて下さい。
投稿 maru | 2007年5月11日 (金) 01時49分
【回答】】
 新設分割によって、新株予約権が消滅することも、承継されることもないからです。
  
なぜ株式会社と持分会社で評価が分かれるのか、どうしても分かりません。
投稿 司法書士:たか | 2008年3月 8日 (土) 18時59分
A18
 株式会社と持分会社で評価が分かれてはいません。
 新株予約権買取請求は、新設会社の株式を目的とする新株予約権に変更されるような場合に限って認められているところ、新設会社が、持分会社の場合、そのような新株予約権に変更される余地がないから、認められていないということです。

Q19
会社法第7編第二章「訴訟」で規定された訴訟類型以外の訴訟(たとえば,設立不存在確認など)も認められるのでしょうか?
個人的には認められると思うのですが。「訴訟」について独立した章を設けて整備したのは,それ以外の訴訟を認めない趣旨なのかもしれないと不安に思いましたので。
投稿 ありかわ | 2008年3月 8日 (土) 19時39分
A19
 会社法に列挙された訴訟類型以外の訴訟が、認められるかどうかは、民事訴訟法の解釈によって決まります。
 たとえば、確認訴訟ならば、確認の訴えの利益があるかどうかが問題になると思います。
 ちなみに、「設立不存在確認の訴え」は、難しいような気がします。

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コメント

先生、いつもご苦労様です。受け控え再考について読ませていただきました。大変参考になりました。

ムラタさんにこの場を借りて一言言わせてください。

世の中には、大学院や予備校での高度な教育を受けたくても得ることができず、必死に独学せざるを得ない人間もいます。本人の事情にしろ、親の経済的事情にしろ、原因は様々ですが、老若男女を問わず、意欲はあっても新司法試験を受けることすらできない人はいっぱいいるのです。

その中には、会社にすら就職できない人間もいるはずです。

あなたは会社で仕事が「できる」上に、法科大学院を卒業して法務博士に「なれる」ばかりか、新司法試験を受けることが「3回もできる」のです。どうか、積極的に受験なさってください。そして、外からこの試験を変革する立場になってください。それこそが建設的なチャレンジではないのですか?

本当に、うらやましいんです。法科大学院に行ける人たちがうらやましいです・・。
母体となる大学に違いはあれ、それぞれの地域で高水準の高等教育を受け、研鑽する機関に所属している方々。私のような貧乏人から見れば、天国のようなところです。私は去年旧司法試験と某書士試験を受け、撃沈しましたが、それでも希望を捨てる気はないです。勉強方法を修正しつつ、今年も頑張ります。得点も上がってきています。失敗から学ぶことだって、あるはずです。

勝手なコメント失礼いたしました。受験される方々、両司法試験まであと2か月余りですが、悔いの残らないよう、全力を尽くしましょう。
あ、投稿ネームについては突っ込まないでください(_ _;)


投稿: be scrivener | 2008年3月 9日 (日) 12時28分

先生、私の愚問に対し、わざわざ記事にして、ご丁寧にご説明いただき、ありがとうございました。
受け控え問題について、精神論的な「とりあえずチャレンジすれば」などのアドバイスを受けたことはあっても、理論的に受けたほうがよい理由を教授してくれた方はおらず、目が覚める思いで納得しました。

たしかに、1日3時間勉強するようになったのは最近であり、また、勉強方法についても、行政法でいうところの「考慮すべき事項を考慮せず、考慮すべきでない事項を考慮して」勉強していたように思います。
だから合格可能性のない状況になってしまった・・・とはいえ後悔しているばかりでは前に進みませんので、とりあえず必要最小限と思われることだけを残り2ヶ月で復習して、受験します。

3回落ちても・・・たしかに予備試験がありましたよね!忘れてました。
勇気をもって受験したいと思います。

ありがとうございました。

投稿: ムラタ | 2008年3月 9日 (日) 12時48分

お世話になります。
定款に576の事項のみを記載する合名会社及び合資会社において、
624の出資の払戻がされたときは、
当該社員にかかる定款の定めのうち出資の価額は、変更を生じますか?
(1)生じるとすると、
A.定款変更の総社員の合意が得られないときはどうなりますか?
B.出資の全部を払い戻すと必然的に退社となりますか?
(2)生じないとすると、
A.払戻した額は580Ⅱの「既に持分会社に対し履行した出資の価額」から控除すると考えていいですか?
B.913⑦の「既に履行した出資の価額」が減少したとして変更登記をすべきですか?
C.663の場合はどうなりますか?
D.622や666の「各社員の出資の価額」とは、既に履行した出資の価額から払い戻された価額を控除した価額ですか?

投稿: ひで | 2008年3月 9日 (日) 13時36分

はじめまして。
今昔買った会社法100問の初版を使って勉強を始めたのですが、2版を買いたいと思い始めています。
ですが、2006年の11月に出版されているのでそろそろ改定されないか不安なのですが、近々改訂版(第3版)を出されるご予定はございますか?

投稿: pink | 2008年3月 9日 (日) 17時30分

去年の合格者ですが、択一模試を何回か受けて、あしきり点はおそらくクリアは
できるだろうという感触があれば受けてみる価値はあると思います(論文の採点
がされるので、次の年に役立つ)
しかし、肢きりがクリアできそうにないのであれば、貴重な1回を使って受験する
意味は少ないと思います。

投稿: a | 2008年3月 9日 (日) 19時27分

葉玉先生

いつも楽しくブログを拝見させて頂いております。
さて、本記事にある下記の応答について質問させてください。
会社法33条9項により定款変更できるのは、同法33条7項によって変更する決定がなされたものを「廃止」することだけだと思っていました。千問Q31もそのような理解が前提とされていると読めます。すなわち、下記Q9の方の言及するとおり、設立をやり直すことになるように思いますが、如何でしょうか?

-----------------------------------
Q9
33条8項で発起人が設立時発行株式の引受けを取り消した場合この人は発起人でなくなり定款とずれてしまうと思うのですがこの場合設立は始めからやり直しになるのですか?

A9
33条9項で、定款を変更して、設立手続を継続します。

投稿: snufkin | 2008年3月 9日 (日) 19時31分

A6 のご回答ありがとうございました。

条文上解釈できるのかと言うことを議論されていたのですね(有効を前提に立案した条文の前提を無効と解釈することも、かなり無理が有る気もしますが・・・)。

もしかすると、大杉教授は立法論と解った上で、立法論的解釈論の議論を挑んでいるのではないかとか考えてしまい(それなら「立法論だ」という反論が無意味になりますから・・・)、私が議論の土俵をよく理解できていなかったようで失礼致しました。
お二人の議論に、横やり的な口を挟んでしまいましたが、横やりとも遊んで頂けたことを嬉しく感じています。

投稿: ロン | 2008年3月10日 (月) 08時12分

前回のQ8で質問させていただいた者です。

>Q8.会社法施行規則126条(会計監査人設置会社の特則)についてです。
>弊社は前回の定時株主総会の終結のときをもって会計監査人が任期満了により退任し、同株主総会で新しい会計監査人を選任し現在に至っております。
>この場合、当事業年度の事業報告には、新旧両方の会計監査人について記載が求められるのでしょうか? それとも、「新」だけの記載でよいのでしょうか?

>A8.9号を除き、事業報告作成時点の会計監査人、すなわち、「新」だけだと思います。
>会計監査人は、当然再任が原則なので、任期満了というのは、不再任の決議をしたか、辞任されたか、どちらか(たぶん、後者)だと思います。

では、「旧」が「一時会計監査人」であった場合はどうでしょうか? (弊社の現実は、このケースです。) 「新」会計監査人の就任による一時会計監査人の退任は、「辞任」にも当然「解任」にもあたらないのではと思いますが…。

よろしくお願いいたします。

投稿: ツェーベーツェー | 2008年3月10日 (月) 11時05分

葉玉先生

いつも、素晴らしい記事をありがとうございます。懸命に勉強させて頂いております。

初めてコメント欄に書かせて頂きますのは、株券の電子化への対応ついて、ご質問があるからです。
葉玉先生の商事法務の記事を拝見いたしましたが、1823号(中)の34頁に、税制適格ストック・オプションへの言及がございます。ここで、「新株予約権の内容を、株券の電子化に対応した税制適格要件に変更しなければならないものが多い」ということですが、これは、株券の電子化に伴って、税制適格要件が変わるということでしょうか。それとも、要件は変わらないが、株券があることを前提とした記載ぶりになっているので、変えたほうが良いということでしょうか。また、どのように変えれば良いのでしょうか。
何らかの修正が必要であるか検討しているのですが、よくわからず、もし葉玉先生のご意見が頂けるようですと、大変ありがたく思います。

お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いいたします。

投稿: 清美と申します。 | 2008年3月10日 (月) 17時09分

つまらない質問で申し訳ないのですが、第326条1項の「株式会社には、一人又は二人以上の取締役を置かなければならない。」とありますが「一人」と「二人以上」をわけているのには理由があるのでしょうか?

投稿: 08秋生 | 2008年3月10日 (月) 21時07分

>A2
>「自己株式の取得」という表現は、会社法実務の中では一般的な用法であり、不正確なわけではありません。
 法文上の使い方が絶対ではないので、実務的には、あまり厳密に区別すると、かえって聞く方・読む方を戸惑わせることになるように思います。


しかし、資格試験上は、法文上の使い方が絶対でしょうから、
例えば、択一試験等で、
「株式会社は会社法155条以下の規定に基づき自己株式の取得をすることができる。」(こんな引っ掛けの肢が実際にあるかどうかはしりませんが。)
という肢があった場合には、
誤りと判断しなければならないのではないですか?

投稿: rd | 2008年3月10日 (月) 23時26分

「受け控え」の記事、大変為になりました。
「ロースクールでの留年」についても
葉玉先生の御感想を御聞かせ下さい。

投稿: 三留五郎 | 2008年3月11日 (火) 00時37分

rdってのは空気が読めない人ですね。

投稿: ?? | 2008年3月11日 (火) 01時58分

現在司法修習中です。
私は葉玉先生と、全く同意見です。

そこで、おそらく今後社会問題にも成ると思うのですが、
何度も何度も何度も落ちながら、昔と同じく、旧試験を続けている人々、
私自身、夢をあきらめずにがんばる姿は、ときに美しいと思うのですが、
それだけでは片付けられない、
というか、何年やってもそのままでは、その気持ちでは…
という「ベテ」達が、周りに山ほどおります。

彼らに何度アドバイスをしても、彼らの心には響かないようです。
彼らに対する先輩からのお言葉をいただけませんでしょうか。

投稿: びあ | 2008年3月11日 (火) 08時00分

ぴあ:おそらく今後社会問題にも成ると思うのですが・・・
ベテ公:プロ野球や棋士などの脱落組、オーバードクターが大きな社会問題になっていませんので、ベテが社会問題化することはありません。

ぴあ:何年やってもそのままでは、その気持ちでは・・・
ベテ公:引きこもりが10年以上続いてから社会復帰する例もあるのですから、気長に待ちましょう。

ぴあ:アドバイスしても心に響かないようです。
ベテ公:自分の道は、自分で考えて切り開くしかありません。アドバイスは、当人がそれを受け入れる気になったときにのみ有効なのが一般的です。

ぴあ:お言葉をいただけないでしょうか?
ベテ公:その人が「お言葉」を欲しいと言わない限り、全てのお言葉は聞き流されることは「間違いない」!

投稿: 司法試験三振ベテ公ワーキングプアがご回答申し上げます | 2008年3月11日 (火) 08時39分

http://www.aloha-road.com/company/incjp01.html
外国会社でも、株式会社という文字が使用できるという登記所も都内にあります
困るんですけどね

投稿: みうら | 2008年3月11日 (火) 17時10分

ベテが「周りに山ほど」いるのは,あなたも同類だったからでは?
私も修習生ですが,ベテの人との交友なんてありませんでしたね。

投稿: | 2008年3月11日 (火) 21時25分

民間人:ベテが回りに山ほどいる人ってどんな人?
ベテ公:司法試験予備校の人、大学の司法試験サークルの人、などでしょう。

民間人:ベテとの交友がない法曹っているのかな?
ベテ公:学生生活を普通に送れば、確率論的にありえないでしょう。

民間人:受験生には、法曹が輝いて見えるだろう。
ベテ公:実社会に出て、法務・検察やビジネス会社弁護士のやったことを知れば、輝きは消失する。

民間人:世の中一般でも、法曹に憧れる人って多いだろうね。
ベテ公:実務法曹の一部が、うそで塗り固めた不安扇動や枝葉末節マニュアル作りで金を儲けることを知ったら、あほらしくなる。

民間人:うそをいわずにすむ民間人であることが、幸せな時代がきたね。
ベテ公:構造改革派=経団連・金融庁・法務検察など=は、他人を騙して権力や金を追求するのが楽しい人たちなのだろう。猛勉強のなれのはてが、社会的に役に立たない枝葉末節な知識を利用した詐欺的行為というのは、あまりにも惨めだな。

投稿: ベテとの交友 | 2008年3月12日 (水) 08時03分

葉玉先生こんにちわ。

周りの方にとっては当たり前のことかもしれないので、恥ずかしいのですが、気になったのでご質問をさせてください。

「有斐閣Sシリーズ(第7版)」の189頁の終わりから、190頁に、「なお、取締役会を設置しない会社は、監査役会を設置することができない(327条1項2号)。」と書かれているのですが、何故、根拠条文として327条1項2号が挙げられているのでしょうか。

この本文の内容は、解釈を伴わずに直ちにそのように導かれる内容である、というような印象を受けるのですが、条文自体から上記の内容は直ちに導けるのでしょうか。

もしくは、解釈は前提としていて、結論のみ本文に記したということなのでしょうか。でもその場合、その解釈はどのような解釈なのでしょうか。私の考える限りでは反対解釈なのかなぁ、という感じです。

趣旨としては、たとえば取締役が1人のような会社に3名以上の監査役を要する監査役会を設置する必要がないからということは分かるのですが、上記のように、「根拠条文」として、327条1項2号が挙げられていることに違和感があります。

一体なぜなのでしょうか。

投稿: 歯みがき大好き | 2008年3月12日 (水) 12時15分

>歯みがき大好きさん
 
葉玉先生ではありませんが、自分も昔ふと疑問に思ったことがあったので。
 
327条1項2号は、
「監査役会設置→取締役会設置」
という関係です。
その裏命題は、
「¬取締役会設置→¬監査役会設置」
です(¬=否定)。
つまり、解釈ではなく論理必然的に導かれます。
 
取締役会非設置会社が監査役会を設置してしまうと、
監査役会設置会社なのに取締役会を置いていないことになる、
という点を考えてみてください。
 
なんだか、ロー入試の適性試験みたいですね。
たぶん、これで正解だと思います。
横やり失礼いたしました。

投稿: もうお腹一杯 | 2008年3月12日 (水) 14時35分

連投失礼します。
 
訂正:×「裏命題」→○「対偶命題」

です(汗)

投稿: もうお腹いっぱい | 2008年3月12日 (水) 14時49分

現在国立大学のロースクールに通っている、未修1年の者です。

この1年間ロースクールで勉強してきましたが、力が付いたといういう実感が全くもてませんでした。

「基本書と判例を読み込め!!」というのが、私が通うローの先生方の進める基本的勉強スタイルでした。しかし、いざ読み込むとはどいうことかと先生方に尋ねても、明確な回答は得られませんでした。

そこでお聞きしたいのですが、葉玉先生のおっしゃる効率的な勉強とは、具体的には、どういう目的のもと、どういう手段を用いて勉強をすることをいうのでしょうか?

投稿: ぺちか | 2008年3月12日 (水) 18時21分

>rdさん

「『自己の株式の取得』という表現のほうが会社法の条文と整合性が高い」という主張であれば正しいと思いますが、「『自己株式の取得』という表現は論理的に誤りである」とまでは言えないのではないでしょうか。
例えば、「取締役の選任」というのは、現に取締役である人を再任する場合だけでなく、選任の結果として取締役にすることを指していますが、それと同様に、取得の結果として自己株式となる場合を「自己株式の取得」と表現しても、「自己株式」の定義と矛盾するものではないと思います。

投稿: MO | 2008年3月13日 (木) 01時18分

ぺちかさん
「名選手の影に名コーチあり」これは、スポーツをする人にとって反論できない命題です。金言・格言といっても良いでしょう。
ということは、論理必然的に「名コーチなくば名選手なし」となります。
名コーチがいなければ、名選手は育たないのです。また、試験に合格するという形で「結果」を求められるという点がスポーツ選手と受験生は共通します。
従って、受験生は名コーチを求める必要があるのが原則です。そして、名コーチは、残念ですが、法科大学院の「外」にいます。
一年生なら、充分間に合います。外に名コーチを求めて下さい。試験に合格するためには、少なくとも努力、正しい努力が必要なのです。
僕は、2年の秋に気がつきました。1年半が結果的に無駄になってしまいましたが、最後の1年である今年中に巻き返してみせます。お互いにがんばりましょう。
なお、教授は監督であるといえるでしょう。「笛吹けど踊らず」という意味では。

投稿: 猫車 | 2008年3月13日 (木) 02時15分

葉玉先生へ
お忙しいところ失礼いたします。

子会社の合併について教えてください。
100%子会社で当社が1億ほど貸付をしています。
資本金は1千万ですが、債務超過(純資産の部は△1億)、資産合計は1000万です。
当社は純資産5億、資産50億です。
当社の株主は50名ですが、譲渡制限会社です。
この場合当社において株主総会が必要となるのでしょうか?
つたない質問で申し訳ありませんが、何卒よろしくお願いいたします。

投稿: あっ!と 法無 | 2008年3月13日 (木) 19時11分

こんにちわ

今回の記事心に響きました。
合格するためには合理的な勉強方法と勉強量が必要ですよね。
合理的な勉強方法について質問です。
先生がおっしゃっている「基本書だけ読む」「六法だけ読む」の勉強というのは極端な例でこういう勉強だけしていては受からないという例ですよね?

例えば択一試験であれば・正確な条文の文言の記憶も必要ですから」「六法を読む」勉強も必要だけど、答練もやらないといけないということですよね?


正しい合理的な勉強というものを詳しく教えていただけないでしょうか?

投稿: 受験生 | 2008年3月14日 (金) 11時05分

事業の全部譲り受けに関して質問です。

事業の全部譲り受けにおいては、
譲渡会社の積極財産と消極財産が『結果的に』包括的に承継されるのと同様の事態が生じ、
譲受会社の債権者にとっては包括承継と同様の危険性が生まれると思うのですが、
全部譲受について譲受会社の債権者保護規制が見当たりません。


吸収分割や吸収合併の存続会社において債権者保護規制があり、
全部譲受会社に債権者保護規制が無い。

この違いはどのような趣旨から生まれたものなのか、
教えていただけませんでしょうか。
宜しくお願いいたします。

投稿: silver | 2008年3月14日 (金) 12時06分

親会社が子会社(代表取締役は親会社と同一人物です)との間で締結している限度貸付契約の金利を引き下げることになりました。この場合でも取締役会の決議は必要なのでしょうか?同様に契約の他の条件(使途、限度額、期間等)の変更を行う場合もやはり取締役会の決議は必要となるのでしょうか?またこの場合、代表取締役は決議に参加できるのでしょうか?

投稿: Hiro | 2008年3月14日 (金) 13時42分

葉玉先生こんにちは。

2月の事実認定と法律解釈のコーナーに昨日メールさせていただきましたが、気付かれていないという批判がございましたので、新しいコーナーにメールさせていただきました。(大学で回ってきたメールです。)

秘書


高橋宏志先生

東京大學学生です。現役合格後、従来型司法試験論文本試験A評価取得して以来、不思議な現象により勉強ができなくなりまして困っております。
対テロ戦争のさなか、プライバシー侵害は許容いたすのですが、無形的方法による勉強妨害工作は、従来型司法試験受験生について平等原則に違反し、rule of law の理念に反するのではないでしょうか。
従来型司法試験受験生の友人(論文A経験者)に聞きましても、無形的方法による勉強妨害工作はないようです。

時事:三橋さん事件

友人のメールアドレスより
東京大學学生(在学)


投稿: 秘書 | 2008年3月15日 (土) 12時13分

質問です。住居侵入と窃盗が牽連犯の関係にたつ場合、訴因は一つとみるのでしょうか。それとも2つと見るのでしょうか。最初窃盗で起訴後、訴因変更で住居侵入の罪を加える場合、公訴事実の単一性があるとして、訴因を追加すると考えるべきなのか、それとも公訴事実の狭義の同一性がある(基本的事実の同一性または、非両立性が認められる)として訴因を変更すると考えるべきなのか、どちらなのでしょうか。有斐閣の刑事訴訟法アルマには公訴事実の単一性というワードが出てこないのですが、訴因変更の場合に公訴事実の単一性ということは考慮しなくてもよいのでしょうか?

投稿: ただし | 2008年3月15日 (土) 18時31分

私もムラタさん同様、社会人大学院生です。
社会人にとって、勉強のコンディションをどうやって作るのかが最大の問題ですよね。私もずっと悩んできました。

一時期は仕事を辞めようと悩んだこともありましが、結局、辞めないリスクと、辞めた後のリスクを考え、今のリスクを持ちながら継続することに決心しました。
そして、仕事を続けるべきか辞めるべきか悩むよりも、業務を遂行し、会社からの信頼・評価を最低限のレベルで維持しながら、自分の勉強時間を確保するように全力を尽くすことにしました。

正しい勉強方法をしないと受からないと言いますが、その一方で、社会人にとっては、会社・仕事との関係をどう整理できるかも、勉強の成功の成否にかかっていると思います。仕事をした残り時間で勉強をする、というスタンスでは絶対勉強時間は確保できないはずです。

会社や職場の状況、上司・会社の自分に対する評価等を踏まえて、会社とどのような交渉ができるのか、考えてみたらいかがでしょう?

投稿: だんご | 2008年3月16日 (日) 02時17分

大変初歩的な質問で恐縮ですが、取締役会、監査役会の運営において
決議方法は、いずれも過半数が出席しその過半数をもって行う、とあります。
通常諸会議の議決においては、賛否同数の場合、議長が決する、などの
規定を良く見かけますが、取締役会、監査役会においては、そのような規定
は必要ないのでしょうか。また、現実問題として、賛否同数の場合、この議案
は否決ということでしょいうか(過半数とある以上)。 お教えいただければ幸い
です。

投稿: A.H. | 2008年3月21日 (金) 10時38分

会社の再編の合併についてご質問させてください。吸収分割会社においては新株予約権買取請求権が787条1項2号で認められていますが、吸収分割承継会社の新株予約権者には買取請求がなぜ認められていないのでしょうか?よろしくお願いします。

投稿: 会社法格闘中 | 2009年6月17日 (水) 16時02分

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