株式の価格決定の裁判
先週の金曜日に、カネボウ株式の価格決定の裁判がありました。
2年近く争って、結果は、カネボウの主張していた162円を上回る360円となったため、「異例の決定」として大きく新聞報道されました。
価格決定の申立て事件は、中小企業の相続争いまがいのものを含めて、それなりの数の裁判例があり、必ずしも会社側の主張が通るわけではないので、会社の主張が通らなかったということだけならば、それほど異例の決定というわけではないでしょう。
しかし、カネボウは、元上場会社であり、今回の申立人による株式買取請求権の行使についても、非上場化後の企業再生スキームの一環として行われた事業譲渡に伴うものだったため、大きな注目を集めたわけです。
カネボウを実質的に支配している企業連合は、当該事業譲渡前に
162円でTOBを実施して、約83%の株式を取得した
こともあり、今回の裁判でも
当該TOB価格を「公正ナル価格」
と主張していました。
そのため、今回の「360円」という決定は、
反対株主に対して、これから、いくら払うか
という問題だけではなく、
TOB価格が安すぎたのではないか?
なぜ、会社は、そんなTOBに賛成したのか?
そもそも事業譲渡の価格が安すぎたのではないか?
等という再生スキーム全体についての問題を提起することになりそうであり、カネボウにとっては承伏しかねる決定なのだと思います。
もちろん、一般的に言えば
「TOBに応じるのは株主の自由であり、株主が納得してTOBに応募した以上、後にTOB価格よりも高い「公正ナル価格」の決定がされたからといって、文句を言う筋合いではない。」
「事業の価格は、株式の価格とは直接の関連性がない」
等と言うことはできるでしょう。
ただ、
TOB価格と2倍以上の開きがある価格と判断されたこと
裁判所は、事業譲渡がなかったと仮定した場合のDCF方式により株式価格を算定しており、事業の価格と株式の価格が全く無関係とはいえないこと
などを考えると、当時の取締役が賛同した再生スキームについて
善管注意義務違反にならないか
と不安になるのは当然でしょう。
では、裁判所は、どのような判断プロセスをたどって、360円という結論に達したのでしょうか。
株式買取請求権の行使に伴う価格決定の申立は、株式の価格をめぐって申立人(株主)と相手方(会社)が主張と立証を尽くし合う点では訴訟的ですが、「公正ナル価格」がいくらなのかは、要件事実の立証によって法律的に機械的に決まるようなものではありません。
価格決定の申立の裁判は、「非訟事件」であり、その価格は、裁判所が、その裁量で
適当に
決めます(「いい加減に」という意味ではありません)
今回の決定の理由の中でも、一番最初に
「価格は、俺が、自由に決めるんだぞ。」
という趣旨のことを難しい言葉で述べられていますが、そう書いてあっても無くても、そもそも、価格決定は、裁判所が
「これだ!」
と決めれば、その価格になります。
とはいえ、裁判所は、決定に際して、理由を述べなければならないので
「ボクの結婚記念日が3月6日だから、360円にしました。」
などということはできません。
一般的には、申立人と会社が、自分に有利な
株価の算定方式
を主張し合い、その算定方式をもとに株価を評価した鑑定書を裁判所に提出します。
そして、裁判所は
どの算定方式にするか
算定方式に当てはめる前提事実としてどのようなものを選択するか
等を決めて、最後に、微調整して判断するのです。
株式の算定方式は、上場株式ならば、市場価格がベースになりますから、それほど算定に苦労することはありません。
レックスホールディングの価格決定申立てのように
どれだけの期間(1か月か、3か月か、6か月)の平均株価を取るのか
(または、効力発生日の株価を取るのか)
という点は争点になりえますが、どの範囲にするかは、最後は、裁判所の
気合い
で決まります。
他方、非上場株式の算定方式は、多種多様で、決め手がありません。
一般には
時価純資産方式
類似業種比準方式
ディスカウントキャッシュフロー(DCF方式)
配当還元方式
等があり、これらを単独で、または、組み合わて、適当と考えられる金額を決めます。
このうち、本件のような事例において
配当還元方式
を裁判所に採用してもらうことは、特別な事情がないと、なかなか難しいように思います。
それは、
① 配当は、取締役会や多数派株主が配当を決定するため、少数派株主の株式の価格を、多数派の意思で左右することができるという点で、公正さを確保しにくいこと
② 譲渡された事業の価値を株式の評価対象とすることが難しいこと
等の難点があるからです。
ですから、配当還元方式は、種類株式であるとか、配当だけを目的としていることが明確なスキームで株式を取得した場合(特殊な従業員持株会等)でないと、それを「公正」というのは苦しいのです。
時価純資産方式は、資産管理会社のように、事業の割に大きな資産を持っている会社にふさわしい判断方式です。
他方、収益性の高い事業を持つ会社や時価評価が難しいノウハウや知的財産権を多数保有する会社の株式の価値を時価純資産方式で算定すると、低く評価されすぎてしまうという難点があります。
このように配当還元方式や時価純資産方式は、どちらかといえば、株価が安く評価される方式であるため、相続税対策としてはそれらの算定方式が使えるようにスキームを組んだりするものの、株式の価格決定の申立てでは、それなりの理由がないと使いにくいように思います。
以上に対して
類似業種比準方式
DCF方式
は、ともに事業の価値を織り込んで株式を評価するという点では共通しています。
しかし、今後、事業を継続していくことを前提にして、その事業自体の価値を評価するという点を重視すれば、DCF方式が最適です。
カネボウは、事業譲渡により抜け殻のような状態になったので、本来、DCF方式の評価にはなじみません。
しかし、事業譲渡における反対株主の株式買取請求権は
事業譲渡がなかったと仮定した場合の公正な価格
で株式の買い取りを求めることができる権利ですから、裁判所が
事業譲渡がなければ、カネボウが得たであろうキャッシュフローを仮定してDCF方式で算定した
というのは、それなりの合理性があると思います。
もっとも、DCF方式は、「将来のキャッシュフロー予測」自体が不正確であれば、まともな株価が算定できないという欠点があります。
実際、いいかげんな事業計画をもとに、いいかげんなキャッシュフロー予測を行い、恣意的な株価を設定する投資スキームもあります(ですから、投資家の皆さんは「DCF方式で計算すると一株○○万円」という目論見書をもって、未上場株式の引受の勧誘に来ても、話半分(もしくは、話100分の1)くらいで聞いていた方がよいでしょう)。
結局、DCF方式を採用したうえで、その計算の基礎となる将来のキャッシュフローをどのように設定するのかが、裁判を行う上で最大の課題であり、カネボウでは、そのことを突き詰めているうちに約2年の歳月がかかったでしょう。
両当事者とも、決定に不満で即時抗告したようですから、今回の決定の当不当については、コメントを差し控えますが、私は常々
株式買取請求権は、少数株主にとって最後の砦
と申し上げていますから、今回の決定は「異例の決定」というわけではなく
価格決定の申立の裁判が正常に機能している
ことを示す好例であると思っています。
事業譲渡や組織再編を行おうとする場合には、どうしても多数派株主の損得勘定が優先しがちですが、カネボウの裁判例は
「公正な価格」とは何かを真剣に検討しなければならない
ということを改めて考えさせられるできごとのように思います。。
なお、今回の決定は、旧商法の適用を前提としたものですが、会社法的にも
1 保振に預託したままの買取請求権の行使が認められるか。
2 どの時点で取得した株式について、買取請求権を行使することができるか
3 会社が、株主に対して個別に通知せず、公告だけしかしなかったため、行使期間を認識できなかったと主張する株主や買取請求権の行使期間に長期出張中で事実上、行使できなかった者の期間経過後の買取請求権の行使は認められるか
など興味深い論点はいくつかあります。
それらの点については、機会を改めて解説することにします。
(質問コーナー)
Q1
定款に576の事項のみを記載する合名会社及び合資会社において、624の出資の払戻がされたときは、当該社員にかかる定款の定めのうち出資の価額は、変更を生じますか?
A1
合名会社・合資会社では、出資の払戻をしても、「出資の価額」は当然には減少しません。(合同会社については、632条)
Q2
出資の払戻した額は580Ⅱの「既に持分会社に対し履行した出資の価額」から控除すると考えていいですか?
A2
出資の額の減少を伴わなければ、そのとおりです。
Q3
その場合、913⑦の「既に履行した出資の価額」が減少したとして変更登記をすべきですか?
A3
登記は必要でしょう。有限責任社員の直接責任分を公示する趣旨ですから。
Q4
663の場合はどうなりますか?
A4
出資した額が、定款の出資の価額に満たなければ、663条の適用があります。
Q5
622や666の「各社員の出資の価額」とは、既に履行した出資の価額から払い戻された価額を控除した価額ですか?
投稿 ひで | 2008年3月 9日 (日) 13時36分
A5
622条、666条は、払い戻された額を控除しない額、すなわち、定款の額だと思います。
一見、不公平なような気もしますが、理屈としては、定款の出資額の方がすっきり説明できそうです。
Q6
今昔買った会社法100問の初版を使って勉強を始めたのですが、2版を買いたいと思い始めています。ですが、2006年の11月に出版されているのでそろそろ改定されないか不安なのですが、近々改訂版(第3版)を出されるご予定はございますか?
投稿 pink | 2008年3月 9日 (日) 17時30分
A6
当分、改訂しません。
Q7
去年の合格者ですが、択一模試を何回か受けて、あしきり点はおそらくクリアは
できるだろうという感触があれば受けてみる価値はあると思います(論文の採点
がされるので、次の年に役立つ)しかし、肢きりがクリアできそうにないのであれば、貴重な1回を使って受験する意味は少ないと思います。
投稿 a | 2008年3月 9日 (日) 19時27分
A7
私は、そう思いません。
Q8
前回のQ8で質問させていただいた者です。
>Q8.会社法施行規則126条(会計監査人設置会社の特則)についてです。
>弊社は前回の定時株主総会の終結のときをもって会計監査人が任期満了により退任し、同株主総会で新しい会計監査人を選任し現在に至っております。
>この場合、当事業年度の事業報告には、新旧両方の会計監査人について記載が求められるのでしょうか? それとも、「新」だけの記載でよいのでしょうか?
>A8.9号を除き、事業報告作成時点の会計監査人、すなわち、「新」だけだと思います。
>会計監査人は、当然再任が原則なので、任期満了というのは、不再任の決議をしたか、辞任されたか、どちらか(たぶん、後者)だと思います。
では、「旧」が「一時会計監査人」であった場合はどうでしょうか? (弊社の現実は、このケースです。) 「新」会計監査人の就任による一時会計監査人の退任は、「辞任」にも当然「解任」にもあたらないのではと思いますが…。
投稿 ツェーベーツェー | 2008年3月10日 (月) 11時05分
A8
一時会計監査人も、同様に考えるべきでしょう。
Q9
初めてコメント欄に書かせて頂きますのは、株券の電子化への対応ついて、ご質問があるからです。
葉玉先生の商事法務の記事を拝見いたしましたが、1823号(中)の34頁に、税制適格ストック・オプションへの言及がございます。ここで、「新株予約権の内容を、株券の電子化に対応した税制適格要件に変更しなければならないものが多い」ということですが、これは、株券の電子化に伴って、税制適格要件が変わるということでしょうか。それとも、要件は変わらないが、株券があることを前提とした記載ぶりになっているので、変えたほうが良いということでしょうか。また、どのように変えれば良いのでしょうか。
何らかの修正が必要であるか検討しているのですが、よくわからず、もし葉玉先生のご意見が頂けるようですと、大変ありがたく思います。
投稿 清美と申します。 | 2008年3月10日 (月) 17時09分
A9
株券と振替株式では、税制適格要件が異なります(実質的には、ほとんど同じなのですが、法律的には別の要件です)。どのように変えれば良いかは、商売のタネなので、個別に相談に来てください(笑)。
Q10
第326条1項の「株式会社には、一人又は二人以上の取締役を置かなければならない。」とありますが「一人」と「二人以上」をわけているのには理由があるのでしょうか?
投稿 08秋生 | 2008年3月10日 (月) 21時07分
A10
他の法律等で使われている用例に従っただけです。
Q11
資格試験上は、法文上の使い方が絶対でしょうから、
例えば、択一試験等で、
「株式会社は会社法155条以下の規定に基づき自己株式の取得をすることができる。」(こんな引っ掛けの肢が実際にあるかどうかはしりませんが。)
という肢があった場合には、
誤りと判断しなければならないのではないですか?
投稿 rd | 2008年3月10日 (月) 23時26分
A11
そんな問題はでません。
Q12
「受け控え」の記事、大変為になりました。
「ロースクールでの留年」についても
葉玉先生の御感想を御聞かせ下さい。
投稿 三留五郎 | 2008年3月11日 (火) 00時37分
A12
故意に留年するかどうかですか。通常、意味のない行為のように思います。
Q13
現在司法修習中です。私は葉玉先生と、全く同意見です。
そこで、おそらく今後社会問題にも成ると思うのですが、
何度も何度も何度も落ちながら、昔と同じく、旧試験を続けている人々、私自身、夢をあきらめずにがんばる姿は、ときに美しいと思うのですが、それだけでは片付けられない、
というか、何年やってもそのままでは、その気持ちでは…
という「ベテ」達が、周りに山ほどおります。
彼らに何度アドバイスをしても、彼らの心には響かないようです。
彼らに対する先輩からのお言葉をいただけませんでしょうか。
投稿 びあ | 2008年3月11日 (火) 08時00分
A13
司法試験受験生には、初心者も、ベテランも存在しません。
「法律がわかっていないから合格しない」「努力がまだ足りないから合格しない」
これだけは、すべての受験生に共通しています。
30過ぎで合格した人を沢山知っていますが、ほとんどの人が「最後の2年は一生懸命勉強した」と言います。
ガムシャラに、能率的に、時を惜しんで、2年間勉強できたときに合格します。
Q14
外国会社でも、株式会社という文字が使用できるという登記所も都内にあります
困るんですけどね
投稿 みうら | 2008年3月11日 (火) 17時10分
A14
それは、困りますね。
Q15
現在国立大学のロースクールに通っている、未修1年の者です。
この1年間ロースクールで勉強してきましたが、力が付いたといういう実感が全くもてませんでした。
「基本書と判例を読み込め!!」というのが、私が通うローの先生方の進める基本的勉強スタイルでした。しかし、いざ読み込むとはどいうことかと先生方に尋ねても、明確な回答は得られませんでした。
そこでお聞きしたいのですが、葉玉先生のおっしゃる効率的な勉強とは、具体的には、どういう目的のもと、どういう手段を用いて勉強をすることをいうのでしょうか?
投稿 ぺちか | 2008年3月12日 (水) 18時21分
正しい合理的な勉強というものを詳しく教えていただけないでしょうか?
投稿 受験生 | 2008年3月14日 (金) 11時05分
A15
① 身近な説例を用いて、法律がどのように使われるのかを具体的に示してくれる先生に習うこと
② 各科目、原則として、2冊以上の本を読まない。少数の本を何度も読む。
③ 1冊のまとめノートを作る
④ 基本的な定義・条文の趣旨・判例を、演習を繰り返すことで、定着させること
⑤ 最低3000問以上択一を解くこと
⑥ 最低500問以上論文を書くこと
⑦ その法律を深く理解している先生に、たくさん質問すること
Q16
子会社の合併について教えてください。
100%子会社で当社が1億ほど貸付をしています。
資本金は1千万ですが、債務超過(純資産の部は△1億)、資産合計は1000万です。
当社は純資産5億、資産50億です。
当社の株主は50名ですが、譲渡制限会社です。
この場合当社において株主総会が必要となるのでしょうか?
投稿 あっ!と 法無 | 2008年3月13日 (木) 19時11分
A16
そのままでは簡易合併はできないので、株主総会は原則として必要です。
裏技はあります。
Q17
事業の全部譲り受けに関して質問です。
事業の全部譲り受けにおいては、
譲渡会社の積極財産と消極財産が『結果的に』包括的に承継されるのと同様の事態が生じ、
譲受会社の債権者にとっては包括承継と同様の危険性が生まれると思うのですが、
全部譲受について譲受会社の債権者保護規制が見当たりません。
吸収分割や吸収合併の存続会社において債権者保護規制があり、
全部譲受会社に債権者保護規制が無い。
この違いはどのような趣旨から生まれたものなのか、
教えていただけませんでしょうか。
投稿 silver | 2008年3月14日 (金) 12時06分
A17
債権者保護は、詐害行為取消や、債務承継時の同意があるので、十分です。
Q18
親会社が子会社(代表取締役は親会社と同一人物です)との間で締結している限度貸付契約の金利を引き下げることになりました。この場合でも取締役会の決議は必要なのでしょうか?同様に契約の他の条件(使途、限度額、期間等)の変更を行う場合もやはり取締役会の決議は必要となるのでしょうか?またこの場合、代表取締役は決議に参加できるのでしょうか?
投稿 Hiro | 2008年3月14日 (金) 13時42分
A18
変更契約も利益相反取引に該当するので、原則として取締役会の決議が必要です。
なお、決議には、特別利害関係人は、参加することはできません。
Q19
住居侵入と窃盗が牽連犯の関係にたつ場合、訴因は一つとみるのでしょうか。それとも2つと見るのでしょうか。最初窃盗で起訴後、訴因変更で住居侵入の罪を加える場合、公訴事実の単一性があるとして、訴因を追加すると考えるべきなのか、それとも公訴事実の狭義の同一性がある(基本的事実の同一性または、非両立性が認められる)として訴因を変更すると考えるべきなのか、どちらなのでしょうか。有斐閣の刑事訴訟法アルマには公訴事実の単一性というワードが出てこないのですが、訴因変更の場合に公訴事実の単一性ということは考慮しなくてもよいのでしょうか?
投稿 ただし | 2008年3月15日 (土) 18時31分
A19
私は、科刑上一罪についての「公訴事実の単一性」という概念は、「公訴事実の同一性」が認められる場合を類型化したものにすぎないと理解しています。
窃盗に住居侵入の事実を加えることは、新事実を加えるので、訴因の「追加」にあたると思いますが、科刑上一罪であるということを重視して「変更」と呼んでも、大した違いはありません。
条文上、「公訴事実の同一性」が認められるかどうかが、要件なのですから、それだけを判断すれば足り、その判断の中で、「単一性」が同一性を認める理由になるのだと思います。
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コメント
今回のQ15に対する回答の中に、まとめノートを作るとありましたが、どのようなことをまとめればよいのでしょうか?
基本書を要約するという意味でしょうか?
それとも、論文問題や択一問題を解く過程で判明した、自分に欠けていた知識などをまとめるという意味でしょうか?
投稿: ぺちか | 2008年3月16日 (日) 22時59分
いつも拝見しております。
さてカネボウの決定では、実務上重要な点として巨額の鑑定費用の負担割合という問題があったように思います。今回、主張額からの乖離率を用いて約5400万円のうち原告側が約4500万円を負担すべきとされましたが、これは原告側の最初の主張額に大きな設定ミスがあっただけであって、真っ当な訴訟戦術を採ればこのような結果は避けられる、という理解でよいのでしょうか。それとも、裁判所はこの点ではあまり少数株主側に配慮しないのでしょうか。
投稿: マメシバ | 2008年3月17日 (月) 01時35分
Mr. 葉玉
こんにちは。いつも拝見しております。参考になればと思いまして、雑感です。
旧司法試験論文式合格までは業者嫌いに点数をいれながら進む。若手1位(例えばちょっとした知人である10年程昔の理系1位の東京大学遺伝子研究所の人))なら東京大學入試において業者嫌いに点数をいれなくてもいいだろうが、ベテはそうしないとマズイ(理系文系読みにくいですが、筋はあります。)。論合業之さんです(旧司法試験論文A、職業選択の自由神聖主張)。口述より業者スペック。能力者多数の能力確証はしばらくは、旧司法試験論文試験。今までに、50人×昭和平成40年の2000人もいる(毎年5人とかではなくて)。(旧)財務出世隊、日銀、実質形式とも移民した人、が毎年50人いるとは、あんまり考えにくい。外務は役所遺伝子として除外したいので、除外してしまいました(笑)。なお、毎年、国1、旧司法論文の両方に合格する者が5名いますが、後者が能力確証となっております。
ということで、詐欺入籍の被害に会って(元芸能人絡み)、業者にいじめられてしまい(その間数年休眠)、ベテ化した者としては、(なんだか、会社法であそぼの人(葉玉氏)みたいな文調になったが)、、業者スペック搭載も他人に現実に迷惑をかけてしまう詐欺者(要するに能力無し)を撲滅しなければ(撲滅できないと潜在的失点)。(神聖な)論文試験に跳ね返らないように、注意深く、詐欺者の影響を排除しながら進んでいるんで、疲れるが、皆様も詐欺結婚に御注意を(笑)。
教訓:センスない者が業者スペックを搭載していて、いい「かも」と思った時、カモにならないで下さい
投稿: 論合業之知人 | 2008年3月18日 (火) 10時49分
Mr. 葉玉
こんにちは。連投になりますが…先程の雑感の補足が2つございました。
1職業選択の背後に能力確証がございます。この時世、ロイヤー選択は能力確証でしょう。
2子供は、女子ならマキロイさんみたく芸能人にする(キリリっ)。男なら、時世による。小泉さんとこの次の人が若手なら、男でも芸能人にしようと思う。
結婚相手能無しは最悪(子供も潜在的に失点の可能性、いるなら上手く片付けないとマズイ、面倒くさがって芸能に入れるのは失点)、論文合格後頭良い人と子供つくろう。重要でしょ。
論合業之知人(東京大学)
投稿: 論合業之知人 | 2008年3月18日 (火) 12時29分
論合業之知人さんの文章がまったく理解できない・・・
投稿: | 2008年3月18日 (火) 15時26分
妙な質問にご教導ありがとうございます。
(1)3月 9日 A3「出資の払戻をすれば、出資額が減少しますから、原則として、配当も減少します」と3月16日A5は、矛盾を来たしていると感じますが、如何でしょうか。また払戻でなく、出資未了の場合はどうでしょうか。
(2)そもそも582の適用場面はありうるのでしょうか?社員がこれを避けるには、とにかく出資を履行し、直ちに払い戻せばよいだけなので、実質的にこの条項の出番はないと感じるのですが。
投稿: ひで | 2008年3月18日 (火) 17時58分
初めまして、勝手ながら葉玉先生のブログでいつも勉強させて頂いております。
私はカネボウの株主の一人です。私としては残念ながら決定は満足のいくものではなかったのですが、2年の裁判の末に出た決定が大きく報道され、先生のブログにまで取り上げられるほどになったこと、とても感慨深いものがあります。
カネボウにはほかにも、TOB終了10日前の公告の大幅な修正、営業譲渡代金を準消費貸借した上で旧カネボウ買収のためのSPCに免責的債務引受をさせたうえで総株数の約9割の自己株式をその担保として取るスキームなどなど、法律的にも興味深いネタが揃っていると思います。
せっかく公告を見逃した株主の話が出ていますので、会社法について先生に質問があります。
略式組織再編の場合でも、公開会社であれば通知を公告に代えられるということでいいのでしょうか(事業譲渡なら469条4項1号)。そうだとすると、略式だとあたりまえですが総会招集通知も無いため、株主は公告でしか組織再編を知る術が無いことになるかと思います。
特別支配会社がいる場合には少数株主に不利益な決定がなされる可能性も高いと思うのですが、わずか20日間公告を見落としただけで買取請求をする機会を失ってしまいます。カネボウで何万人もの株主が営業譲渡(産活法を活用して決議省略)に気付かず清算結了まで何年も拘束されているのを見ると、略式の場合は通知くらい義務付けていいのではないかと思うのですが、いかがでしょう。この条文の意義についてよろしければお聞かせ下さい。解釈に間違いがあればスミマセン。
>マメシバさん
話の割り込みで申し訳ありませんが、株主側の主張は誇張などではなく理論的なもので、設定ミスということはないですよ。係争中の話を、代理人でもない一株主がこんなところでするのは失礼なのでこれ以上は差し控えますね。
少数株主排除スキームの一環なんだから全額会社負担にして欲しかったな、、
処分権主義がない非訟事件で乖離率を使った運用をすると、一部の申請人が自分だけ主張を下げようとしてフリーライダーを生まないかな、、なんて思うのですが。
投稿: K.H | 2008年3月19日 (水) 03時17分
こんばんわ。
4月からロースクールに入学するか迷っているものです。
法曹界のことについて教えてください。
実は私は昨年のロー入試では国立の試験に失敗し、私立のローに行くことになったのですが、大手の法律事務所のHP等を見てるとやはり東大を始めとした国立出身の方が多いように感じます。
もちろん仕事は学歴ではなく実力で勝負するものだとは思いますが、東大出身者の多さはすごく目に付きます。
先生は弁護士が仕事をするに当たって出身ローの名前は重要だと思いますか。
それとも法曹界は出身ローや学部に関わらず、自分の努力次第で成功を勝ち取ることができる世界ですか。
法曹界の実情があまり分からず、不安なので教えてください。
投稿: 335 | 2008年3月20日 (木) 02時24分
葉玉先生、こんにちは。
「新・会社法100問」の、94問の、P554の7行目と8行目と11行目の、「共通(支配企業の形成)」の「通」は、「共同(支配企業の形成)」の『同』では無いかと思うのですが・・・
自分の誤解であったり、既出の部分であったとした、ごめんなさいm(_ _)m
株式の価格決定については、DCF方式が、自分も一番ふさわしい方法だと思います。
自分が関わった「相続争いまがいのもの」では・・・いろんな「つもり」の株主や社員(債権者的な出資者や経営的な出資者)がいるので苦労しますが・・・
地役権や水利権に例を置いて説明すると、良く分かってくれたりしました。
つまり、地役権や水利権については、水源が枯れてしまった価値で、これらの権利を評価するのではなく、ちゃんと管理して、「水源が維持され使用できることが前提となる価値」であるはずです。
地役権や水利権で説明すると、「いろんなつもり」を持っている株主も社員が、会社についての「持分の継続」について、理解してくれるコトが多いようです。
投稿: 至誠丸 | 2008年3月20日 (木) 12時15分
Mr. 葉玉
旧司法試験受験に関して、以下の文面がございます。ご教示を。。
学生です。給料(salary)が不相応に高く(!)なるまでは、『予測不可能に』、無形的勉強妨害工作をするのはやめてクだサイ。別にクサイ文章を披露したいわけではないんです。金無い奴を、『無駄に』、いじめるなって言いたいんです。貧乏時代(受験時代・検事時代?)の葉玉師匠は、○葉(マルハ)からの給金でもってたんですか?マッサージ嬢でも呼んで、気分回復図らないと、寝てるしかないんです。1回4万円として、月に120万円のフローないと、受験きつい。僕も旧司法論文A持ちです。
という文面が東京大学で回ってきたのですが、一理あるなということで。
オッパイしょっぱい程度ではないような気がするので、葉玉様へ。
論合業之知人(東京大學)
投稿: 論合業之知人 | 2008年3月20日 (木) 12時34分
こんにちは。
困ったときにはいつも拝見し勉強させていただいております。
吸収分割手続において、会社法784条3項の簡易吸収分割に該当するため、分割会社の株主総会の承認を省略しようと考えております。
分割会社は種類株式発行会社であるため、会社法322条1項による種類株主総会の開催の要否について教えてください。
会社法322条1項の「ある種類株主に損害を及ぼすおそれがあるとき」とは、種類株式発行会社で、一部の種類株主についてのみ損害を及ぼす恐れがある場合にのみ適用があり(例えば、ある事業の業績によって優先配当を受けることが出来る種類株式が発行されているような場合において、当該事業を分割するときに、当該種類株式について種類株主総会の承認がなければ、吸収分割の効力が発生しない)、吸収分割そのものが全ての種類株主(会社全体)に損害を及ぼす恐れがある場合には会社法322条1項は適用されないという解釈でよいのでしょうか。
投稿: seiquro | 2008年3月20日 (木) 17時07分
葉玉先生A15に関連して質問があります。
『⑤最低3000問以上択一を解くこと』の、3000問とは全て異なる問題なのでしょうか、それとも同じ問題集の繰り返しでも3000問にカウントしてよいのでしょうか?
新司法試験の対策として、教えてください。よろしくおねがいします。
投稿: ブルー | 2008年3月20日 (木) 17時37分
先生、いつも大変お世話になっております。
会社法施行規則第74条第4項6号ロについて、次の3点を御教授下さい。
なお、千問のこの部分は読ませていただいております。
①多額の金銭とありますが、多額かどうかは各社の判断に任せるといった意味でよろしいのでしょうか?(そうであれば、参考に先生の御存知の基準を教えていただけると幸いです。)
②上記金銭は、役員等としての報酬を除いてありますが、これはどういった種類の金銭を意味しているのでしょうか?例えば何かのあっせんして、お礼をもらったとか、「よくない意味での収入、正当でない収入」という種類の金銭なのでしょうか?
以上、宜しく御願い致します。
投稿: 貝塚 | 2008年3月21日 (金) 10時02分
ごめんなさい、2行目「3点」ではなく「2点」でした。
投稿: 貝塚 | 2008年3月21日 (金) 10時04分
葉玉先生、こんにちは。
株式会社同士の吸収合併時の実務について、お教えいただきたいことがあります。合併により消滅する会社は、会社法471条の規定により解散されることにはなりますが、475条の規定により清算手続きは求められていません。
実務上、合併日以降に消滅会社の名前で発行する印鑑付きの書類等(たとえば、税務申告書など)がありますが、これは、旧消滅会社の代表者の名前で押印するものでしょうか?今回のケースでは、合併と同時に消滅会社の代表者(Aさん)は存続会社に移籍しないので、Aさんの名前で印鑑を押すことに抵抗があります。かといって、清算人をおくこともできないんですよね。
ご教示ください。
投稿: 合併請負人 | 2008年3月21日 (金) 14時48分
実務上、合併日以降に消滅会社の名前で発行する印鑑付きの書類等(たとえば、税務申告書など)があります
ありません・・・・
存続会社の代表者が押印します
投稿: みうら | 2008年3月21日 (金) 17時14分
こんにちは、いつも読んで、会社法の勉強をさせていただいております。会社法大好きです。さて、疑問が湧きましたので、ご教示下さい。
1.利益剰余金がマイナスの場合の取扱い
分配可能額が十分にあったとして、期中に利益剰余金から配当を連続して行いました。その結果、期末時点で利益剰余金がマイナスになりました。(資本剰余金があるため分配可能額でみれば、プラス)。この場合、期末に資本剰余金から利益剰余金に振替をしなければならないのでしょうか。(利益剰余金を0にすることを上限に)。私の理解では、振替をせず利益剰余金をマイナスのままにしておいても問題ないと考えているのですが・・。表示上は気持ち悪いですが。
2.臨時決算の取扱い
配当原資を確保するために期中に、臨時決算を行い、臨時計算書類を行った場合の取扱いをご教示下さい。
臨時決算をして利益が出た場合、それは利益剰余金として配当原資に追加でき、その金額を利用して配当できるかと思います。しかしその後、業績が急激に悪化して、赤字会社になってしまい、期末時点では配当原資がなくなりかつ利益剰余金はマイナスになってしまいました。この場合、臨時決算を行ってえた利益を原資とした配当に違法性を問われることはあるのでしょうか。
3.海外子会社の取扱い
そもそもで恐縮ですが、親会社は子会社を管理していると思いますが、海外の子会社の配当に関し、財源を規制しているのは日本の会社法ですか?それとも現地の会社法類似法ですか?
投稿: くろすけ | 2008年3月22日 (土) 10時10分
葉玉先生こんにちは。論合業之知人さんを読んでの雑感です。
①日本出生「能力者」多数派:大手渉外実質パートナー、若手・ベテ多数派(語学)・ベテ少数派は若手上級パートナー要件満たす場合(旧司法論文試験合格・NPのI先生よりも逝け面他特殊能力確証)
②誰が仲間か:①他
③心の相談相手:ややベテ化した現在は、東京大學法学部長高橋宏志先生
現況:旧司法論文合格推定は現在ないとしよう、相談可能血族以外の血族全て実質排除決定済み実行中(身内形成の重要性に点数;身内に能無しがほとんどで人生延びたなど)、
テーマ:資金調達法の制約(トイック900の取引)→秘書不在論に直結
東京大学入学後(現役合格在学)旧司法(普通に論文本試験民法Aとかはとれたが)ややベテ化したのでトイックをやろうとしたが、900overは取引とされ倒壊した、唯一の能力確証手段(従来の大手渉外の内規に点数)の封殺か、ストレス。
なお、1年合格が延びるごとに、中国語(北京広東)、仏語、独語、スペイン語を語学検定(1級)で勉強可能か、唯一の能力確証手段か(長島でなくとも絶対にスキャデン等米国大手法律事務所(日本事務所)に就職する決意)(従来の大手渉外の一般的内規にはない、米国大手法律事務所日本事務所の内規にありそうだが、旧司法試験の最終合格が倒壊しないように序列システム設計できないと本末転倒になる(意外と重要))。
東京大学学生のベテの大学受験講師はダサいに点数入れて、資金調達を考えた(マッサージ費用は同意)。S山秘書さんではありませんが、日記で悲痛な平等原則違反の主張を日々書いていこうと思ってます。浜辺陽一郎先生の転出した森濱田しか就職残らないかもしれませんが、まぁ良いのかな。赤坂サカスのTBSクッキー缶(ポテトチップ缶は売り切れでした)を見て、、秘書の皆さんも日々目にするようにコンビニでも販売して欲しいなと。別に鼻が●●してくることもないでしょう。。
論合業之知人さんを読んで
投稿: ちょっと火事場ですか | 2008年3月22日 (土) 12時59分
葉玉先生、訂正がございました。
S山秘書さんではありませんが、→S山秘書さんでもありませんが、
論合業之知人さんを読んで
投稿: ちょっと火事場ですか | 2008年3月22日 (土) 13時19分
初めて質問させて頂きます。よろしくお願い致します。3つほどあるのですが、
①6月末決算の株式会社が減資を考えています。決算公告と減資の公告を一緒にしようとしたところ、公告方法が日刊紙になっておりましたので、公告方法の変更(官報へ)を行ない、4月に変更登記を終えました。そして、今年の6月に決算公告と減資公告とを行なう予定なのですが、この場合、決算公告は官報でよいのでしょうか?それとも決算確定時(去年の8月末頃)の公告方法である日刊紙でないといけないのでしょうか?
②上記の会社で、公告方法の変更と共に譲渡制限を設定し、非公開会社となりました。このように事業年度の途中で非公開会社になった場合、決算公告における貸借対照表の要旨は、公開会社用で行なえばよいのでしょうか?それとももっと簡略された非公開会社用でよいのでしょうか?
③知れたる債権者が一人もいない場合、その旨を書いた上申書(代表者の奥書付)を登記所へ提出すればよいのでしょうか?
以上三点、何卒、宜しくお願い致します。
投稿: えのけん | 2008年5月20日 (火) 13時14分