会社法マスター115講座【第2版】
私事ながら、4月から
上智のロースクールの教授
になります。
もちろん、TMIを辞めるわけではなく、弁護士としての仕事を続けながら、週2回ほど教壇に立つということです。
いろいろと教えるのですが、言うまでもなく「会社法と実務」という講座で会社法も教えます。
その「会社法と実務」の教科書として使うのが、この度、改訂されました
会社法マスター115講座(第2版)
葉玉匡美 郡谷大輔【編著】
(ロータス21)
です。
4月8日が発行日ですが、大手書店では、なぜか、もう並んでいます。
私が、教科書として使うくらいですから、当然、
会社法の入門書として最高のおすすめ本
といえるでしょう(宣伝モード)。
しかも、値段は
定価2400円+税
であり、専門家が使える会社法の本としては、格安の値段設定です。
初版は大好評で、ロータス21史上、最高に売れた単行本になりました。
(ちなみに、ロータス21は、会社法マスター115講座(初版)と(第2版)以外は、今のところ単行本を出していません)
第2版は、基本的には、初版と同じコンセプト。
会社法の入門者から専門家まで、会社法に関わる人全てが使いやすい本を目指しました。
1講座は、原則として、本文と図表の見開きで完結。
左ページの本文だけ読むとアッという間に、会社法のアウトラインが分かります。
より詳しいことを知りたければ、右頁の図表を見てください。
今回、信託法、金証法、企業会計基準の見直しに伴う「会社法」「会社法施行規則」「会社計算規則」の改正に対応しただけではなく、株券の電子化に向けて、「振替株式」の説明を入れたり、会社法に関する最新の情報を提供しています。
使い勝手のよい図表も、初版から半分くらいバージョンアップ。
さらに21個の図表を追加して、全部で236点も大盤振る舞い。この図表が頭に入れば、はっきり言って、会社法のエキスパートになること間違いなし。
結構勉強になるのが、「買収防衛策の設計の焦点」「過年度修正」「三角合併における外国株の交付」「内部統制」など最近の会社法の動きを捉えたコラム。あいかわらずニヒルな文体で、旧商法愛好者の神経を刺激すること間違いなし。
個人的には、分配可能額や組織再編など、条文を見るだけでは頭がスパゲッティーになるところを、うまく整理している点が気に入っています。
実務家にとっては、会社法の制度の大枠を知りたいときや、あるテーマに関連する条文がどこにあるか分からないときのハンドブック代わり使えるでしょう。
また、ロースクール、司法試験、司法書士試験、会計士試験の受験生は、この本で知識を整理し、100問や1000問等で勉強したことを、この本にメモると、試験突破への最高の武器になります。
しかも、(今は、まだ言えませんが)、現在、この
会社法マスター115講座(第2版)をご購入された方のみが味わえる
驚愕のサプライズ企画
が進行中であり、ご購入者に、決して損はさせません。
この企画は、法律書出版の世界に一石を投ずることは間違いありません。
というわけで、皆様、なにとぞ、お手元に一冊置いていただければ、幸いです。
なお、たつきちさんから、早速、会社法マスター115講座(第2版)につき質問が入っておりますが、そのうち、まとめてお答えします。
(質問コーナー)
Q1
計算書類等について、「提出」と「提供」の違いを教えてください。
最初、書面と電磁的記録の違いかな、と思っていたのですが、
437条では「提供」のみ規定され、438条では「提出し、又は提供」となっているので、どこが違うのかわからなくなってしまいました。
投稿 名無し受験生 | 2008年3月23日 (日) 01時53分
A1
内閣法制局ではないので、あまりこだわる必要はありません。
「書類」とか「書」という文字が使われているものが含まれると「提出」をつけるという用例にしたがっただけです。
Q2
定款に576の事項のみを記載する合名会社及び合資会社において、624の出資の払戻がされたときは、582や859の適用が可能だと理解しました。
だとすると、会社(他の社員の多数)の理解がなければ社員が出資を回収するには結局退社を覚悟しなければならないわけで、それなら最初から退社すればよく、わざわざ624で払戻を会社に強制する意味がないのではないかと感じます。つまり会社としては社員の地位を維持しながら払戻だけを認めるかどうかを事実上選択できるので、624の請求は意味を成さないのではないかと思うのですが、どう考えるべきでしょうか。
投稿 ひで | 2008年3月23日 (日) 16時48分
A2
たとえば、ひでさんが、合資会社ひでに、100万円出資したものの、自分の借金の返済にこまって、とりあえず、合資会社ひでから100万円採りたいときに、どういう方法を採るのが一番いいでしょうか?
「強制する」かどうかではなく、出資の払戻しとして法律上の原因を与えることに意味があります。
Q3
3月24日の日経新聞に「対立株主総会増加」というコラムがあって、葉玉さんや大杉さんのコメントも出ているのを拝見しました。
その記事の中で「英国の基準日は総会開催時点の48時間以内と義務付けられている。」という記載があるんですが、普通に考えると、基準日に株主を確定し、その株主に招集通知送ってから総会開催すると思うんですけど、48時間では物理的にとてもそんなことはできません。
英国の総会は、基準日のとらえ方が何か日本と根本的に違うんでしょうか。
投稿 こやぎ | 2008年3月26日 (水) 20時42分
A3
英国の総会のことは、よく分かりません。
私の乏しい知識によれば、英国の上場企業の場合、株式の決済は、クレストの口座簿上の振替により行われ、その振替によって、株主名簿のる登録が行われたものとみなされることとなったので、株主の確定は、毎日行われているはずです。
ただ、総会開催時点の48時間以内に基準日を設定するのは、こやぎさんがおっしゃるように、物理的に難しいですよね。本当なのでしょうか?
Q4
「会社法マスター115講座(第2版)」27頁に、具体性について、「不要。目的は、特定の事業を記載する必要はない。単に「事業」のみでもよい。」と解説してありますが、???です。登記官の審査の対象から外されたとはいえ、これでは、公示する意味がありません。登記所においては、受理されないですね。
投稿 内藤卓 | 2008年3月28日 (金) 18時58分
A4
すでに法務省が
「社法施行後の登記官による登記の申請書に記載された目的の審査に当たって,当該目的が具体的に記載されているか否かの観点からの審査は行わないこととしましたのでお知らせします。
登記された会社の目的の記載内容が抽象的にすぎる場合には,許認可や取引きにおいて一定の不利益を受ける可能性もありますので,十分ご注意ください。」
http://www.moj.go.jp/PUBLIC/MINJI65/result_minji65-1.html
と公表していますし、そのパブコメでは「商業」「商行為」でもよいこととされています。
登記所でも受理されるはずです。
Q5
会社法施行規則130条3項の「監査役会監査報告の審議」について,法務省の見解として,電話会議も困難な,多忙な監査役がいるケースを慮って,
「全監査役が同時に意見交換ができなくてもよい。
例えば,B監査役が予め(多忙な)A監査役の意見を聞いておいて,当日,Bが他の監査役にAの意見を紹介して,これを前提にA以外の者の間で意見交換してもよい。」
というものがあるそうですが,本当でしょうか。
(法務省に電話する以外に,上記見解の有無を確認する方法はないのでしょうか。)
この場合,当該監査役会の議事録の記載ぶりは,
「B監査役は,A監査役が別紙の監査役会監査報告の内容について承諾する旨の意見を表明していることを説明し審議に入った。」
というものでよろしいでしょうか。
投稿 はる | 2008年3月28日 (金) 20時16分
A5
「会議を開催する方法又は情報の送受信により同時に意見の交換をすることができる方法」となっていますので、1回は「同時性」は必要です。
たとえば、2回、審議する場合には、どちらか1回は、おっしゃる方法でもいいと思います。
Q6
現実問題としては、公告などチェックしない株主がほとんどですし、名義書換を怠ったような株主は別として、通知とは週知性の度合いが違うのではないかと思います。
従来は、株主の意識として「重要なものは総会で決まるのだから、公告など見なくとも総会の召集通知さえ見れば良い」という前提があったと思うのですが、総会がなければその前提もなくなります。簡易組織再編の場合も、影響が小さいから保護の必要も小さいだろうというのならわかります。
でも、略式組織再編の場合は特別支配会社の思い通りの再編がなされるわけですから、経営陣と少数株主の間で利益が相反する場合もありうるでしょうし、少数株主にとって影響の大きい不利益な決定がされるおそれも高いと思います。
そのような状況の下で、「事業の全部の譲渡」や「金銭を対価とする合併」といったものでさえ、前触れもなく突然やってくる。毎週のように公告をチェックしなければ、買取請求も差止請求もできなくなる。これは自己責任で片付けられるでしょうか。株主はお客様ではないとしても、これはもう経営陣が支配株主だけをお客様扱いしている状況と言えないでしょうか。この場合も従来のスタンスそのままでいいのかなと思っています。
僭越ながら、少数株主の保護のために、469条4項1号や785条4項1号などは問題ないのかなと思いました。立法論ですし、この点について議論などは存じあげないので、理解の間違いがありましたら申し訳ありません。
投稿 K.H | 2008年3月23日 (日) 03時47分
A6
略式組織再編における少数株主保護については、おっしゃるような問題はあるのでしょう。
デラウェアのように「賛成した人だけは、株式買取請求権がない」という法制度の方が少数株主にとっては便利でしょう。
他方で、会社にとっては、どれだけの株主が買取請求権を行使するか分からないということになると、組織再編をやりづらくなります。
バランスをどこに採るか、政策論的には検討に値するでしょう。
Q7
紳助が三波伸介になってます。
本村氏とは、かなり近い関係と想像していましたが、そこまで深い関係とは・・・。
附設出身ならM田S子情報も持っているのでは・・・?知ってても言えないか?またサミーさんに先生の代わりに言ってもらうわけには・・・いかないですよね。
投稿 どーでもよいコメ | 2008年3月23日 (日) 13時39分
A7
ご指摘ありがとうございます。
M田S子さんは、私よりも、少し年齢が上で、「ミス附設」だったという噂を聞いたことがあります。たしか、お兄さんが、附設の卒業生だったと思います。ちなみに、一度、M田S子さんが、附設の同窓会に顔を出したとか聞いたようなが・・。
Q8
葉玉匡美弁護士は「行列」から出演のオファーがあったり、出たいと思ったりしないのですか?
アルファブロガーの授賞式を拝見していますと、個人的には十分「行列」でもやっていけると思うのですが。是非観てみたいです。
投稿 rd3 | 2008年3月24日 (月) 01時09分
A8
皆さんから、よく「行列にでないの?」と聞かれますが、オファーはありません。
オファーがあっても、今でも十分「色物」なので、「行列」には出ません。
Q9
二項強盗罪が既遂になるための要件について、混乱してしまったので質問させて下さい。
『推定相続人である子が、被相続人たる親を殺した』という事例で、二項強盗による強盗殺人罪(240条後段)の成否を論じるに際して、その既遂時期の判断基準は、生命侵害の有無を基準にする、というのが判例・通説ですよね。
では、債権者が債権を行使することを困難または不可能にすることを要する(具体性・確実性のある財産上の利益移転を要する)、とういうのは強盗殺人罪の成否において、体系上どのような位置づけになるのでしょうか?
A9
そのような状況になければ、そもそも「二項強盗」には該当しないという位置づけでしょう。
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