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2008年1月25日 (金)

証券取引等監視委員会

 今週の月曜日に、TMI総合法律事務所の会議室に、証券取引等監視委員会(SESC)の方をお迎えし、当事務所の弁護士向けにセミナーをしていただきました。

 SESCは、これまでも、市場関係者のところに出向いて、広報および意見交換の機会を設けてきたそうであり、その一環として、当事務所にも来ていただいた次第です。

 当日は、SESCの次長、総務課長、課長補佐のお三方から、SESCの組織や今後の活動方針、さらに、問題になりそうな事象、弁護士に期待する役割などについて教えていただきました。

 現在のSESCの次長は、裁判官出身で、私が、法務省民事局時代に、内閣法制局の参事官をされていた方です。長時間一緒に仕事をさせていただいたので、その仕事ぶりを良く存じ上げていますが、私が言うのも僭越ですが、私がこれまで出会った中で最も頭の切れる凄い方です(正直言って、いまだに、全く頭があがりません。)

 また、総務課長は、「大蔵省出身」、「ハンサム」、「弁舌さわやか」いう三拍子揃った、「これでモテなければ嘘だろう」というナイスガイです(本題とは、関係のないコメントで失礼の段ご容赦ください)。
 ちなみに、ご経歴をお聞きしたところ、私が検事時代及び民事局付時代にやっていた様々な仕事について、大蔵省・金融庁・SESC側から、ことごとく関わっていらっしゃったことが分かり、「世間は狭い」と感じた次第です。

 SESCの皆様は、守秘義務がありますから、具体的な事件については、一切話されませんでしたが、株価操縦事件やインサイダー取引事件等について調査をする場合の切り口や注視する点などについてかなり突っ込んだお話をされ、会場は大いに盛り上がりました。

 私が、特に印象に残ったのは、次の点です(なお、要約がテキトーなので、下の記載を根拠にSESCにクレームを付けるようなことはしないでくださいね。)

① SESCは、人的リソースに限界がある中で、証券市場の公正を実現するため、さらに意欲的に活動範囲を拡大しようとしている。

② SESCは、違法な行為しか摘発することができないものの、「異常な株式の分割」「異常な株式の併合と有利発行」「異常なMSCB」など適切とはいえない行為が頻発していることに鑑み、それらの行為についても、その背後に違法な行為がないか、監視の目を光らせている。

③ 金商法157条1号(有価証券の売買その他の取引又はデリバティブ取引等について、不正の手段、計画又は技巧をすること)は、要件が抽象的で検事に嫌われているが、会社法等の諸規定を媒介にして活用することができないかと、検討している。

④ 証券取引がクロスボーダー化しているのに伴い、各国の調査機関同士の連携も飛躍的に強化されている。

⑤ SESCが調査している事件が氷山の一角に過ぎないのは明らかであるから、証券市場関係者への啓発と情報交換を通じて、証券市場の公正確保のための協力を求めている。

SESCの皆様のお話は、具体的な経験に裏打ちされたもので、書物では得られない説得力に満ちあふれていました。当事務所の弁護士にとっても、企業のコンプライアンスを考える上で、担当官の生の考えにふれ、質疑応答をすることができたことは、貴重な経験になったものと思います。

 私は、いまだ検事の血が半分流れているのか、SESCの皆様の不公正取引抑止にかける情熱に触れ、ワクワクしましたが、他方で、インサイダー取引をはじめ不公正取引の網が広がることにより、白い行為がグレーになることについては、「普通の人々を不幸に巻き込むことにならなければよいが・・・」と心配しています。

 なかなか答えの出ない問題ですが、SESCの方も、「定期的な意見交換をしたい」とおっしゃっていましたので、そうした意見交換の場で、問題意識の共有を図ることができたら、SESCにとっても、企業にとっても、良い結果が生まれるように思います。

(質問コーナー)
Q1
端的に質問させていただきますと、なぜ、ブルドック事件のような防衛策の発動の場面においては、「株主の多数意見=適法」なのかということです。
先生がご回答くださったように、「株主総会の決議がある場合でも、取締役会が最終的に決定しなければならないし、それにより、取締役が善管注意義務違反にならないとは言い切れ」ないわけです。
そして、このことは、善管注意義務違反だけではなくて、およそ取締役(会)の行為の適法性の有無の判断を取締役(会)は株主総会に完全に委ねてはいけないということをも同時に意味すると思います。
しかし、最高裁は、「特定の株主による経営支配権の取得に伴い,会社の企業価値がき損され,会社の利益ひいては株主の共同の利益が害されることになるか否かについては,最終的には,会社の利益の帰属主体である株主自身により判断されるべきものである」としています。
これは、なぜなのでしょうか?
そもそも、業務の執行は、その重要度が増せば増すほど、企業価値、株主の利益に影響を及ぼす可能性が高いものです。この最高裁の論理だと極端にいけば、「非常に重要な業務執行については、株主総会の多数意思があれば適法である」ということになってしまうのではないでしょうか?
わたしは、重要度が高い業務であればあるほど、経営のプロの取締役会が最終的に判断すべきであるというのが本筋な気がしますがいかがでしょうか?
投稿 AAA | 2008年1月17日 (木) 02時23分
A1
「受任者に過ぎない取締役が、委任者である株主の構成に変動を与えることを決めてはいけない。」というルールがある以上、経営のプロかどうかはともかく、取締役会には決めさせることができません。
 となると、株主総会における多数決で、「少数派の大株主」を排斥することができるかという難しい問題に直面するが「会社の利益ひいては株主共同の利益」の保護という理屈ならば、その問題は乗り越えられそうだと考えたので、そのように判示したのでしょう。

Q2
さっそくですが、会社法100問の問61(競業避止義務)について質問をさせてください。
解答例には、株式会社Aは、同社の取締役甲に対して「委任契約上の義務の履行として競業行為の差止めを求めることができる」(第2版では347頁)とされていますが、その根拠条文は何条になりますか?
投稿 Davis | 2008年1月17日 (木) 09時41分
A2
契約上の義務なので、意思表示理論から、導かれます。
「そういう約束をしたのだから、守ってよね」というのが根拠です。

Q3
よく「価額」と「価格」を使い分けられていることがあります。
両者の用語の意味に何か(日本語や法的に)違いがあるのでしょうか。
投稿 すみません | 2008年1月18日 (金) 16時23分
A3
それは、昔、何か議論したようなおぼろげな記憶がありますが、忘れました。
あまり気にするほどのことではないでしょう。

Q4
親会社による債務超過子会社の簡易合併について2点ほど質問させて頂きたくお願い致します。
 会社法施行後は、子会社の簿価債務超過状態を親会社が増資を引き受けることによって解消したとしても簡易合併を行うことができない、というのは本当でしょうか。(以前にも投稿がありましたが改めて確認させてください。)
A4
本当です。裏技はありますが。

Q5
上記1.が本当だとすると、親会社が連結配当規制適用会社(計算規則2条3項72号)となることによって、債務超過子会社の簡易合併を実施することが考えられますが(施行規則195条3項)、ある会社(ここでは親会社)が連結配当規制適用会社となる時点について、立法担当者の解説では連結配当規制の適用を受ける旨決定のうえその旨注記された計算書類の監査を受けた計算書類の取締役会設置会社にあっては取締役会、その余の会社にあっては株主総会の承認決議を経た時点から連結配当規制適用会社となる旨述べられています(商事法務1767号46頁)。そこで、当該決議(=連結配当規制適用会社となる時点)と簡易合併手続の先後関係についてご質問なのですが、当該決議は合併契約の締結前に経ておく必要があるのでしょうか、それとも簡易合併の判断基準時である合併の効力発生日の前日までに経るのであればそれまでに(親会社が連結配当規制適用会社となっていない状態で)当事会社において合併契約の締結や債権者保護手続などの合併手続きを進めていても問題ないのでしょうか。
投稿 sophia | 2008年1月18日 (金) 16時47分
A5
難しい問題ですが、簡易合併の判断基準時までに要件を満たすかどうかでしょう。

Q6
監査役と株主の権限について、質問があります。
非公開会社が、大会社でなく、かつ、取締役会を任意設置している場合、
監査役設置が強制されます(327条2項)。したがって、2条9号後段によって、監査役
設置会社になります。
もっとも、非公開ですし、監査役会も会計監査人も設置しないことが可能ですので、
監査権限を会計関連に限定することが出来ます(389条1項)。
このような会社で、株主の差止め請求権(360条)などが、制限されてしまう(360条3項)のは、合理的なのでしょうか?
監査役もそれらを行使できません(389条7項・385条)し、株主の行使も厳格になってしまいます。
非公開会社において、差止め請求権の株式保有要件が緩和されている(360条2項)
のと合致しない規制のようにも感じます。
投稿 鉄 | 2008年1月19日 (土) 09時48分
A6
会計監査権限に限定された監査役の会社は、監査役設置会社ではありません。
したがって、株主の差し止め請求権は制限されません。

Q7
株式会社が意思表示を行う法的仕組みに関して、自然人のそれと(意思表示)と対比させて論じなさい。っていう、質問に困っていますが教えていただけますでしょうか???
投稿 | 2008年1月21日 (月) 17時16分
A7
 
自然人の内心的効果意思 = 株主総会または取締役会の決議
                            +代表取締役の内心的効果意思

自然人の表示行為    = 代表取締役による表示行為

という感じでしょうね。

Q8
 会社法第797条2項2号のすべての株主については、条文を読む限り、吸収合併等に反対する旨の通知を存続会社にする必要はないと考えます。
 そこで、質問です。
 同条2号の株主が、同条5項の株式の数を明らかにして株式買取請求をする場合、事前または同時に反対する旨の通知や意思表示をして買取請求する必要があるのでしょうか。 賛成した同条2号の株主は、買取請求をすることはできますか。
 また、同条5項の株式の数を明らかにして買取請求する株式の数は、所有する株式全部ではなく一部でも可能でしょうか。
投稿 | 2008年1月22日 (火) 14時04分
A8
 2号の株主は、反対の意思表示は不要ですし、一部の買取を求めることもできます。

Q9
会社法234条の読み方で質問させていただきます。吸収合併に際した端数の発生です。
合併にあたり消滅する会社の株主は、AとB(当方)の2名で、Aが2000株、Bが1270株を持っていました。合併比率は、存続会社:消滅会社=1:0.525でしたので、Aは1050株、Bは666.75株、存続会社の株式が割り当てられることになります。ここで、合併契約に端数について何も書かれていない場合、会社法では端株は廃止されましたので、Bの0.75は切捨てられ、競売などの処分は不要となると考えていますが、正しいでしょうか。1名の株主にしか端数が発生していなくても、端数の“合計数”に1に満たない端数がある場合にあたると思いますし、会社法の条文で「切り捨てる」と書いてある以上、四捨五入して1になる端数を切り捨てることをBが不満に思ったとしても、やむをえないと思いますので、処分は不要との結論になると考えています。
投稿 senchuan | 2008年1月22日 (火) 23時08分
A9
234条1項5号で端数処理されます。

Q10
会社法では、「定める」「規定する」「定め」「規定」が使い分けられていますが、
その使い分けの基準を教えていただけないでしょうか。
投稿 smoky | 2008年1月23日 (水) 13時24分
A10
 「規定する」は、「~条に規定する」という使い方、規定は条文です。
 「定める」は、それ以外ですね。

Q11
監査役の監査期間についてですが、商法においては計算書類受領した日から4週間以内と定められていましたが、会社法では事業報告書(施行規則132条)計算関係書類(計算規則160条)において、○週間経過した日となっております。
これは、各書類を受領した日から最低○週間(実質的には○週間+1日)を確保するようにしたというようなことを聞いた覚えがあります。
そこで、監査役の監査が早く終わってしまい、4週間を経過した日以前に監査報告書を作成し、取締役に通知することはできるのでしょうか?
投稿 あっ!と 法無 | 2008年1月23日 (水) 15時11分
A11
監査役がそれで十分と思えば、早くしてもかまいません。

Q12
株式の譲渡制限規定についての質問です。
会社法では株式譲渡の承認機関を代表取締役等にすることが可能となりましたが、会社法139条但書の承認機関を種類株主総会とすることは可能でしょうか。
例えば、種類株式発行会社(A株式・B株式)でA株式を譲渡する際に、B株式の種類株主総会の承認を要するというようにすることです。
株式譲渡制限規定の本来の趣旨からは若干認めずらいと思いますが、いかがでしょうか。
また、拒否権付の種類株式を使えば同様の効果を期待できますが、そちらはいかがでしょうか。
投稿 ご質問 | 2008年1月24日 (木) 12時48分
A12
 ファーストインプレッションですが、種類株主総会は、会社の機関の一つであること御及び種類株主層かは、定款で定めた事項について、決議することができることから、、承認機関とすることもできると考えます。
 
Q13
ものすごくしょーもない質問であり、法令上だけの問題ではなくなりそうですが、企業法務を担うものとしては、実務上、気になるところではあります。
東証一部上場企業であることを前提にお考えいただければ幸いです。
ご回答のほど、なにとぞよろしくお願いいたします。
①監査役と執行部門管理職(例:総務部長、法務部長)が懇親会(つまりは飲み会)を開催することについて、問題はないか。
②①において、会社の費用で処理した場合、問題はないか。
③①において、監査役が懇親会費全てをポケットマネーで支払った場合、問題はないか。
④①において、執行部門管理職が懇親会費全てをポケットマネーで支払った場合、問題はないか。
④上述で問題があるとすれば、「どちらが誘ったか」の観点がポイントになるのか。
⑤本問題を考える際、飲み会の内容(話題)がポイントになるのか。
投稿 企業法務人 | 2008年1月24日 (木) 17時34分
A13
まあ、懇親会くらいいいんじゃないでしょうか。
社会的儀礼の範囲内であれば、どちらがお金を払ってもいいでしょう。
ただし、贈収賄にならないようにしてください。そういう意味で話題には気をつけましょう。

Q14
有限責任事業組合の組合員が法人の場合、職務執行者を選定する必要がありますが、この場合、この組合員である法人の代表取締役は、当該LLPの業務をすることはできない(LLPの業務に関する執行権は制限される?)のでしょうか?例えば、組合員の同意で組合契約を変更する場合、通常は職務執行者が同意しますが、これを代表取締役が行った場合、問題があるのでしょうか?

上記とは別に、組合員が全員法人である場合、LLPの重要な財産を組合員に譲渡する場合、利益相反となるかと思いますが、そのときのLLP側の譲渡に関する全員の同意は、当該財産の譲渡を受ける組合員について、特別代理人を選任する必要はあるのでしょうか?
投稿 ちりがみ | 2008年1月24日 (木) 17時46分
A14
会社法ではないので、スルーさせてもらいます。経産省に質問することをお勧めします。

Q15
会社法52条3項、及び33条10項3号について質問です。
33条10項3号では、現物出資財産等が不動産である場合、弁護士等の証明に加え、不動産鑑定士の鑑定評価を要求しています。他方、会社法52条3項において、不足額填補の責任主体が「証明者」となっています。
この場合、52条3項に基づいて、不動産鑑定士に対して不足額の填補を請求でいるのか分かりませんでした。
文言からすると、「証明者」は弁護士等であり、不動産鑑定士はこれにあたらないように思うのですが、どうなのでしょうか。
投稿 受験生です | 2008年1月24日 (木) 23時50分
A15
不動産鑑定士は、証明者には含まれません。

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コメント

葉玉先生
Q9の質問をした者です。お忙しい中、ご回答誠にありがとうございました。
質問の仕方が悪く、質問の意図が伝わらなかったようですので、再度質問させていただきます。

合併にあたり、端数が発生した場合については会社法234条1項5号に規定があり、金銭による処理が必要となります。しかし、2人の株主のうちの1人にのみ端数が0.75発生している場合には、当該端数0.75は会社法234条1項柱書きの括弧書きにより切り捨て、金銭による処理は不要であるとの理解でよいのでしょうか。

0.6と0.5の端数を合計して1.1になった場合に、1株を売却して0.1を切り捨て、売却代金を6対5で交付するのはわかるのですが、端数が1人にしか発生しておらず、「合計」をしていない場合であっても切り捨ててもよいのか、というのが問題意識です。

たびたび申し訳ございませんが、ご教授いただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。

投稿: senchan | 2008年1月25日 (金) 15時46分

いつも楽しく拝読しております。
勉強の材料としても、息抜きの場としても、利用させて頂いております。

私ごときが葉玉大先生に意見するなど愚の骨頂なのですが…
Q3&A3ですが、「価格」と「価額」は、かなり違う意味であったように思います。

「じゃあどう違うのか説明しろ」と言われると、ここのサイトで私が説明するなんてそんな恐れ多いことはできないのですが…(^^;

投稿: ニートと化してる会計士受験生 | 2008年1月25日 (金) 23時11分

「価格」=買い手を想定した経済的評価。
「価額」=買い手を想定していない経済的評価。
私はこのように理解しています。

投稿: ryoji | 2008年1月27日 (日) 14時05分

はじめまして。どちらから、質問コーナーに入ればよいのか判りませんでしたので、こちらから失礼致します。間違えていたらすみません。
会社法400条4項によりますと、委員会設置会社の会計参与や使用人は監査委員と兼任できる事になるように読めますが、兼任可と理解していいのでしょうか?

またもし兼任可でよい場合、子会社の会計参与や使用人との兼任でさえ禁止されているのに、なぜ許されるのでしょうか?

投稿: 会社法散歩中 | 2008年1月28日 (月) 04時36分

葉玉先生こんにちは。

考え方について、お教えいただきたいのですが、1人株主の特例有限会社において、当該株主が第三者にその全株式を譲渡する場合、やはり、形式的にせよ株主総会の承認が必要になるのでしょうか?

その場合、自分が売ることを自分しか議決権を持たない総会で承認するということになるので、形式手続の典型例のような気がいたしますが・・・。

ご教示くださいますようよろしくお願い申し上げます。
(既出の質問の場合は、なにとぞご容赦ください)

投稿: 特例有限会社に悩む人 | 2008年1月28日 (月) 11時42分

葉玉先生こんにちは。
いつも楽しく(というより一生懸命)拝読させていただいてます。

株券電子化関係でご意見をお聞かせねがいたい質問がございます。
多くの上場会社が株券喪失登録に関する規定を設けていると思われますが、
今回の質問は、その定めを削除する定款変更の時期に関するものです。

これまで、喪失登録の定めの削除については、株券不発行への定款変更
より1年間喪失登録簿を備え置く義務があることなどから、電子化施行日より
1年後に対応するものと考えていました(→平成22年の総会)。
しかし、株券喪失登録に関する規定はもともと無益的記載事項であるから
平成21年総会で単元未満株券の不発行などとともに削除してしまってよい
という考え方もあると耳にしました。
総会担当者としては、平成21年総会の1回でケリをつけられる後者の考え方を
支持したいところですが(定款変更の理由を説明しにくいという点は…ですが)、
先生はどのようにお考えでしょうか。


投稿: ヒゲマン | 2008年1月28日 (月) 14時43分

未公開会社であり、有価証券報告書提出会社でない会社で
公告方法として官報によることとしている会社があります。この会社
は計算書類の公告については電磁的方法によることとしています。
今般、定款を変更し、公告方法を官報公告から電子公告に変更する
ことを検討しておりますが、電子公告が実現すれば、現在の計算書類に
関する登記事項は現在のままにしておいてよろしいものでしょうか。
会社法施行規則220条2項には「別に登記することができる」と規定
しており、特に変更する必要はないようにも受け取ったため伺う次第です。
また、電子公告に変更してしまえば、計算書類について電磁的方法による
とする登記事項については削除等してしまうことも可能でしょうか。

投稿: smoky | 2008年1月28日 (月) 17時02分

先日はありがとうございます。
清算会社の弁済禁止期間について教えてください。
例えば、解散日から公告催告日まで2週間ある場合、条文どおりですと、この2週間は弁済禁止期間にあたりませんが、この2週間以内に知れたる全債務を弁済してもいいのでしょうか。
また、弁済禁止期間中に発生する小額債務、例えば清算人の交通費などは裁判所の許可を得ることができませんが、どういう方法で支払えばいいのでしょうか。なにか裏技はあるのでしょうか(笑)

以上、2点を御願いいたします。

投稿: ちりがみ | 2008年1月28日 (月) 17時25分

葉玉先生こんにちは。
商事法務No.1822掲載の「株券の電子化に向けた実務対応(上)」拝読いたしました。
早速ですが、質問させてください。
端株の廃止方法の一つ、株式の分割と単元株式数の設定を同時に行う方法の説明の中で、『取締役会の決議により単元株式数を設定することができるという特例(会社法191条)は、種類株式発行会社には適用されない』と説明されていますが、勉強不足ゆえ、種類株式発行会社には不適用であることをはじめて知りました。こちら根拠条文等はどちらになるのでしょうか。よろしくお願いいたします。

投稿: 一受験生 | 2008年1月29日 (火) 15時10分

葉玉先生こんにちは。

昨日、株券電子化下における株券喪失登録の定款変更について質問した
者ですが、旬刊商事法務No1822号の連載を拝読し、自己解決いたしました。
お手数おかけしました。

追記 : 一つ前の質問者「受験生」さん、あなたのおかげです。

投稿: ヒゲマン | 2008年1月29日 (火) 18時50分

はじめまして、現在、大学3年生で今年法科大学院を受験しようと思ってます。
会社法とは全然関係ないんですが、弁護士に必要な能力について質問させてください。
私は将来弁護士になりたいと思っているのですが、しゃべり方に問題があり、吃音症なのです。つまり、時々言葉をうまく発することができず、どもってしまうことがあります。
そのどもり気味なしゃべり方のせいで弁護士をあきらめようとは思いませんが、やはり「弁護」士ですから、その能力として雄弁であることは必要なのかと最近感じています。
葉玉先生は、以前ブログの中で「良い弁護士とは何か」ということについて触れられていますが、その良い弁護士の要件として他に、しっかりと言いたいことを相手に伝えた上で、さらに流暢に言葉を話すといったことが必要でしょうか。

投稿: ぱんだ好き | 2008年1月29日 (火) 19時21分

葉玉先生こんにちは。

授権資本制度の根拠条文についてお尋ねします。
神田先生の『会社法[第9版]』(弘文堂)P118には37条1,2項とあるのですが、
『会社法100問[第2版]』P280には113条参照とあります。
どちらも正しいように思われるのですが、どちらでも構わないんでしょうか?

投稿: 大山高原牛乳 | 2008年1月29日 (火) 21時49分

新・会社法100問(緑色の冊子)の問87について質問させてください。
解答例の三3(一)において「債権者等は・・・事前に剰余金の配当等の差止めの仮処分を行うことにより・・・」とありますが、この債権者による配当の差止めの根拠条文は何になるのでしょうか?

投稿: nnn | 2008年1月29日 (火) 22時37分

葉玉先生
はじめまして。
いつも楽しく読ませて頂いております。

早速ですが、全部取得条項付種類株式について質問させて下さい。

会社法現代化にあたっての法制審議会の議事録(31回)によれば、株式の全部取得にあたり「正当事由」が明文上必要とされていたが、審理の過程で「正当事由」が削除され種類株式として構成された、ただ明文からは削除されたとしても、解釈上は正当事由が必要だ、との議論がなされているようです。
やはり立法担当者の葉玉先生としましても、全部取得条項付種類株式を定める定款変更決議などにあたり、解釈上は正当事由が必要というご理解でしょうか。
その場合、いかなるケースにて正当事由が認められるのでしょうか。
いかなる場合に正当事由があり、あるいはないのかが判然とせず、決議無効などを考えると当該制度を利用するのに躊躇いたしますので、宜しくご教示下さい。

投稿: redia | 2008年1月30日 (水) 10時08分

いつもご丁寧にご回答いただき、ありがとうございます。
220条(株券の提出をすることができない場合)についての質問です。

弊社(A社)の状況をご説明させていただきますと…

1.A社は、株式移転の方法により完全親会社B社を設立して、その完全子会社となった。
2.次にB社は、(資本関係のなかった)C社と共同して株式移転の方法により完全親会社D社を設立して、その完全子会社となった。
3.さらにD社は、B社を吸収合併した。(D社が存続会社)
4.その結果、A社は(C社とともに)D社の完全子会社となった。なお、D社は上場会社です。

先日、A社の旧株主から、A社の旧株券を喪失していたため、1.および2.の株式移転に際して株券の提出をすることができなかった旨の申出がありました。この場合…

ア.A社の旧株主が220条1項の請求をすることができる期間等の定めは、あるのでしょうか?
イ.220条1項の公告をすべき会社は、どの会社なのでしょうか?
ウ.220条2項の「前条第2項の金銭等」とは「当該行為によって当該株券に係る株式の株主が受けることのできる金銭等」だと思いますが、これにはD社の「新株券」も含まれると解してよいのでしょうか?
エ.A社の旧株主にD社の新株券を交付することができるのは、220条1項の公告(3箇月)の後、すぐなのでしょうか? それとも、(221条の文中に、219条3項の規程により無効となった株券を含むとの記載がありますので)公告(3箇月)の後、221条の株券喪失登録を経て、更にその1年後なのでしょうか?

よろしくお願いいたします。

投稿: ツェーベーツェー | 2008年1月30日 (水) 10時23分

優先株式を発行するときに、既存の株式の時価が500円である場合、優先株式を100円で発行することは有利発行に当たるのでしょうか?

投稿: ただし | 2008年1月30日 (水) 16時47分

葉玉先生、こんばんは。

新会社法100問(第2版)90問―2の設問1について質問がありメールさせて頂きました。
初歩的な質問ばかりと思いますが、どうぞよろしくお願致します。

「解答例では触れられているけれど、わからない事項について。」

・524Pの1段落目で、
量的側面は簡易性(総資産の20%未満か否か)の判断で行われるので、「重要な事業の一部の譲渡」の「重要」かどうかの判断を質的基準(事業譲渡が、譲渡会社の収益や事業活動に重大な影響を与えるものか)により判断されるべき。とした後の当てはめで、
「本件部門にかかる資産の価額は、P社の総資産の約40%を占めており、その資産の規模及びP社の内部での事業再開も視野に入れていることからすれば、本件譲渡はP社の譲渡後の収益や事業活動に重大な影響を与えるものであると認められ、簡易譲渡にも該当しない。」
 と書かれていますが、量的側面の判断の直接事実として使う「譲渡される事業のP社の総資産の割合」を質的側面の判断の当てはめで使っているのは、この事実が「譲渡会社の収益や事業活動に与える影響の重大さ」を推認する間接事実であるからということでいいのでしょうか?
 
「解答例では触れられていない事項について。」

・以下の質問は、「株主総会決議をする前提として、株主総会の招集の決定が必要な場合であり、株主が招集する場合でないこと(=すなわち、取締役会が「総会の目的である事項」(298Ⅰ②)など事項の決定がなされる(298Ⅳ)場合である」こと)を前提としています。
524Pの3段落目で
「したがって、競業避止義務を排除する特約が締結されない場合には、本件譲渡は株主総会の特別決議が必要な「事業の重要な一部の譲渡」に該当する。」とした上で、P社に対する回答(①P社の株主総会の特別決議を要すること、以下省略)について書かれていますが、この中に「取締役会の承認決議が必要」という話はありません。
これは、「株主総会の特別決議が必要」といえば、招集決定に際し、取締役会の「事業の重要な一部の譲渡」についての承認決議が当然なされるから、書く必要がないということでしょうか?

・524Pの(三)「重要な財産の処分」(362Ⅳ①)の判断基準を導く理由付けは、「重要性は、個々の会社によって異なるから」ということでしょうか?

投稿: ロー生T。 | 2008年1月31日 (木) 01時12分

先生 こんにちは
存続会社も消滅会社も債務超過である会社の合併は 可能でしょうか?
宜しくお願いします

投稿: senchan | 2008年1月31日 (木) 08時56分

葉玉先生、こんにちは。
ブログ、いつも拝読させて頂いております。楽しみながら、勉強になります。
どちらで質問していいのか分からず、ここに書かせていただきます。

さて、株主総会の招集手続きに関して、一点お尋ねがあります。
株主総会の招集にあたり定めるべき事項として、会社法施行規則63条4号ロに、書面投票およびインターネット投票で重複して議決権を行使したときの取り扱いがあります。

これについては、毎年、そう変わる取扱いではないので、一度、取締役会でその取扱いを決議してしまうとともに、「この取扱いについては、本取締役会での決議を、以後の定時株主総会において継続適用する」という決議をしてしまうことも可能でしょうか。

施行規則63条3号には「定款に定めがある場合、またはこれらの事項の決定を取締役に委任する旨を決定した場合」とあるのに対し、63条4号には「定款に定めがある場合」としか書いていないので、毎年、決議を行う必要があるのかなと
思いまして、ご質問する次第です。

よろしくお願いいたします。

投稿: 会社員 tomo 34 | 2008年1月31日 (木) 10時25分

取得条項付株式について質問させてください。

事業承継対策の一環で、会社法107条Ⅱ③の取得条項として、「株主である当会社の従業員が、その地位を失った場合」といった内容を定めることは、会社法上問題があるでしょうか。

株主の属性に着目して差別的な取得条項を付することは、株主平等原則や株式の性質に反するのではないかという問題意識です。

個人的には、差別的な取得条項を付することに合理性がある、あるいは株主全員の同意を得ている(110条)等の理由により、このような取得条項が許容される可能性は高いと考えますが、先生のご意見をお聞かせいただければと思います。
よろしくお願いいたします。

投稿: SK8 | 2008年2月 1日 (金) 22時51分

いつも多忙の中、このような質問に対応していて大変だと思います。
葉玉先生のご努力には頭が下がります。
本来このような業務は法務省がやるべきだと思うのですが、
役所がこのような質問対応窓口をWEB上に開設しないのは、何故なのでしょうか。
電話で一々応対するより、WEB上で公開した方が、同様の質問に何度も答えなくていいと思うのですが。
何か制度上の制約でもあるのでしょうか、それとも単に面倒だからやってないのでしょうか。

投稿: 素朴な疑問です | 2008年2月 1日 (金) 23時37分

葉玉先生はじめまして。いつも楽しく拝見させていただいてます。


さて、私は検事を目指し4月からとあるロースクールに入る予定の者ですが、その矢先、先日の朝日新聞の一面に新司法試験合格者3000人見直しという記事があるのを見ました。まだ3000人に達してもないのに、新司法試験もまだ二回しか実施してないというのに、早くも見直すことになるという無策ぶりになにやら年金問題や医師不足、ゆとり教育と同じ雰囲気を感じ、憤りを覚える今日この頃です。
そもそも3000人が多過ぎることはロースクールが出来る前から危惧し、警鐘を鳴らしていた人がいたらしいにもかかわらず、強行し結果この有様です。道路とかと同じで誰かが甘い汁をすってる人がいるとしか思えません。
なぜこういう結果になったかを検証せずにまた同じメンバーで見直してもまた同じ失敗をしそうでこわいです。多くの人、何より自分の人生のかかっている話なのでこれ以上振り回されるのは勘弁願いたいです。
そこで、質問ですがこのような不思議な制度の責任は一体どこにあるんでしょうか?司法制度改革、華やかなりし時に法務省にいらっしゃった先生は真相をご存知ありませんか?
3回という回数制限を付けたまま合格者を減らしたらロースクールが高学歴ニートの製造工場になりませんか?これからロースクール行く者としては不安がいっぱいです。かといって検事になるには基本的にこのルートしかないわけですし…。
(会社法と関係なく、また、最後グチみたいになって申し訳ありません。)

投稿: 2万%合格したいユキ | 2008年2月 2日 (土) 00時52分

葉玉先生へ
いつも 拝見させていただき 勉強になります
 ところで決算公告の方法において、電子公告から官報公告に変更する定款変更について疑問点があります。
 決算公告は電子公告よるとしていた会社が、今般、定款変更し、その決算公告についても官報に公告すると変更をした場合、電子公告で継続していた年度分(例えば2007年度分についての貸借対照表等の公告)で且つまだ公告開始から5年間はたっていない年度分は、如何様に処置をすべきでしょうか。
 会社としては、電子公告をやめ、ホームページを閉鎖したくても、5年間の公告期間が満了になるまで継続しなければならないのでしょうか。それとも定款変更も正当なる中断事由にあたるので、定款変更後の公告方法が官報ならば、官報に中断した旨およびその理由だけを公告すればよろしいでしょうか。また電子公告によっていた年度分の計算書類は定款変更後の公告方法によって再公告する必要があるのでしょうか
 中断という文言が、後に電子公告を再開することを前提として使われているニュアンスで読めるように感じるので、公告方法を変更する場合でも、この中断事由にあたるのでしょうか?
 根拠はないかもしれませんが、電子公告によって継続していた年度分の決算公告は、会社が定める公告方法で中断した旨も併せて再公告すれば良いように思われますが、いかがでしょうか。
 実務上、上記の場合だと、決算公告の方法を電子公告から官報もしくは時事に関する日刊新聞に切り替えると、電子公告によって継続しなければならない年度分について、結局2重の公告を強いられることになり、会社側に負担が増えるように思われますがいかがでしょうか。

投稿: mako | 2008年3月27日 (木) 14時15分

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