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2007年11月 5日 (月)

食品に関する虚偽表示

 今日は、読者の皆様にお願いがございます。

 この度、この「会社法であそぼ。」は、isologueの磯崎さんのご推薦により、栄えある「アルファブロガーアワード2007」にノミネートされました。

 つきましては、お手数ですが
https://www.sixapart.jp/inquiry/alphablogger/alpha_vote.html
にアクセスしていただき、清き一票をこの「会社法であそぼ。」に投票していただければ幸いです。

 アワードを取ると豪華賞品がもらえるという話は聞いたことはありませんが、たまに、このような企画で盛り上がった方が楽しいですし、もしアワードが採れたら、書くネタが1回分増えるので、うれしいです。よろしくお願いします。

 さて、今日は、会社法とは直接関係ありませんが、食品の虚偽表示について考えてみます。

 以前、赤福の危機管理について、「亀田家に隠れてよかったね」という趣旨のことを書いたところ、その後、赤福さんが、危機管理で一番やってはいけない
  「不祥事の小出し」
をやってしまったために、ずるずると報道が長引き、絶対絶命のピンチに追いつめられています。

 赤福さんは、謝るときに弱そうな女性は出さないし、会長はマスコミと世論を怒らせるようなことを言ってしまうし、一番良くないパターンを地でいってしまいました。
 赤福さんの担当者が、危機管理の記事
http://kaishahou.cocolog-nifty.com/blog/2007/10/post_83a6.html
を読んで、実践していたら良かったのに・・・と思っていますが、まあ、過ぎたことは仕方がないので、ここまで来れば、なるようにしかなりません。
 
 それにしても、最近、こうした「消費期限の表示」「産地の表示」など虚偽表示を巡る企業リスクが高まっていますよね。

 私は、「消費期限の表示」も「産地の表示」も、その商品の値決めに大きな影響を与えるので、虚偽表示は、詐欺的な行為で、絶対に許されないという考えの持ち主です。

 虚偽表示をやってしまった企業は、全く弁明はできず、マスコミから叩かれ、徹底的な謝罪を強制され、営業停止と返品受付けで致命的な打撃を受けるという現実を目にすれば、何百年の伝統ある企業を即死に追いやるリスクの高い行為であることに、そろそろ全国の企業が気づくべきだろうと思っています。

 そうは言っても、私の実家が食品の製造卸業を営んでいたこともあり
   食品業界を取り巻く厳しさ
については、よく知っているつもりです。そして、なぜ食品業界で虚偽表示が頻出しているのかも、それなりに分かります。

 はっきり言って、食品業界は、ぜんぜん儲かりません。スーパーの寡占化が進んでいる現在の流通環境では、メーカーも卸も、驚くほど薄利の商売をしています。

 食品メーカーが、自社製品について、大手スーパーで販売スペースを確保するためには、一定以上の販売量と売上げを確保しなければならず
  「安全でおいしいが、知名度がなく、値段が高い食品」
は生き残れません。誰でも、スーパーに行って同種の食料品を見比べると、知名度や値段で選んでしまいますから、当然です。

 ところが、安全度やおいしさは、数値化できません。そのため、結局は、製造も卸も、ブランド化と価格競争で勝負しなければならなくなっているのですが、食品は、製造が容易で、参入障壁が低いため、外国産の製品も含めて、どんどん安い商品が市場に流入し、本当に厳しい価格競争が長年続いています。

 そういう市場環境の中で、食品業者は、常に「虚偽表示の誘惑」にさらされているのです。

 一連の報道を見ても分かるとおり、食品の虚偽表示というのは、ほとんどが内部告発から発覚しています。
 それは、裏を返せば、消費者が、消費期限の途過や産地偽装を見破るのは、極めて難しいということを意味します。

 消費者は、ソニーのウォークマンの偽物は見破ることができても、比内地鶏や魚沼産コシヒカリの偽物は見破ることができません。3日前に消費期限が切れていることを見破ることもできません。

 「虚偽表示をしても、絶対に消費者には分からないはずだ」という感覚を持っている業者に、薄利の苦しい商売を強いれば、自ずと虚偽表示への誘惑が強まるは仕方ありません。

 大昔は、同業者間の組合の力が強く、まがい物を作る業者は、すぐに同業者にばれてしまい、商売ができなくなっていました。それが各業者の自制要素として働いていました。
 しかし、今や、自由競争のもと、そのようなプロ同士の監視が働きにくくなっています。

 かといって、役所が、途方もない種類の食料品の虚偽表示をもれなくチェックしていくことも不可能です。

 そのため、目先の売上げや目先の資金繰りのために、虚偽表示の誘惑に負ける業者が後を絶ちません。

 赤福やミートホープ等が大きく報道されたことにより、食品業者は、虚偽表示を大きなリスクとして捉えたはずなのですが、日々の厳しい商売の中で、虚偽表示を訂正するだけの余裕がない企業も多いのです。

 もちろん、消費者側に立って「どんなに経営が苦しくても、虚偽表示だけはやっていけない」と言うのは簡単ですが、そんな当たり前のことをやることすら、苦しい企業が沢山あるのも現実です。

 私は、真っ当な商品を作り、正直に表示をしている食品メーカーが多数あることも知っています。
 しかし、一部の業者が虚偽表示で売上げを伸ばすと、健全な業者の商品が小売店の棚から撤去されてしまうため、健全な業者まで虚偽表示をせざるをえなくなるという悪循環が生じているのではないかという危惧感も持っています。

 消費者、小売店、卸売、メーカー、政府の誰が悪いか、という原因追及をしても仕方がないのですが、少なくとも、食品の競争力を価格だけで計測しようとする風潮が、食品の安全性を損なっているのは、間違いないと思っています。

 「表示」についての信頼性が揺らいでいる今日、もし、現在のような食品に関する各種表示制度を継続するのならば、第三者によって、表示の真正性のチェックする等、規制を強化するしかないでしょう。
 また、消費者も「チェックを得ていないような食料品は、安くても買わない」というような風潮を作ってくれれば、虚偽表示は徐々に減っていくでしょう。

 現状で、そのような動きが起こるとは、全然思えませんが、現在の「虚偽表示」を巡る悪循環をどこかで断ち切らなければ、表示制度そのものが機能不全に陥るように思います。

 それから、表示のあり方についても、もう少し改良すべき点があるように思います。

 たとえば、消費期限というと、「それを過ぎると、食べられない」というイメージがあります。
 しかし、実際には、必ずしもそうではありません。

 消費期限とは、「製造者により定められた方法により保存した場合において、腐敗、変敗その他の品質の劣化に伴い安全性を欠くこととなるおそれがないと認められる期限を示す年月日」をいいます。

 腐敗等により安全性を欠くこととなるおそれが、ほんのわずかでもあれば、消費期限切れにしなければならないので、実際には、ほとんど安全だけど、マージンをとって、消費期限を短めに設定していることが多いのが現実です。

 しかも、製造者は、販売者や一般消費者が通常取るであろう保存方法を前提に消費期限を設定しますから、より安全な保存方法を採れば、消費期限切れであっても、安全性が確保できる場合も多いはずです。

 つまり、「消費期限」は、人の健康という面から安全サイドに設定されている期限なのです。
 逆に言うと、「消費期限切れの食品は、すべて廃棄する」という今の社会は、
   実際には、何の傷みもない食料を大量に廃棄している
という非常にもったいない社会であるということもできます。

 食品衛生法やJAS法の目的からすれば、そうした安全サイドに重きをおいた表示をするのは仕方がないことではあるものの、この「もったいなさ」については、もう少し何らかの配慮をすることはできないものなのでしょうか。

 「消費者への分かりやすさ」を度外視すれば
   現在の消費期限 通常の保存方法で保存した場合の安全期限
のほかに
   第2消費期限 特に安全な保存方法で保存した場合の安全期限
   第3消費期限 食べるのを絶対止めた方がいい期限
という3段階くらいに分けてくれると、「もったいなさ」が少し緩和されるのではないかと思うのは私だけでしょうか。

 私は、消費期限切れのものを良く食べているので、特に、第3消費期限をぜひ知りたいところです。今のところ、臭ってみたり、ちょっとだけ食べてみて、食用可能性を探っていますが、いつも食品よりも、スリルを味わっている感が強いです。

(質問コーナー)
Q1
私は、択一合格経験のない旧司法試験受験生ですが、以前から論文は書くべきという先生のご意見に従い、まずは書いてみました(答案をほとんど書いたことがないので)
そこで質問なのですが、読んでもらう方は何人か確保できました。
自分では、ここの論点に気づかなかったところがあっても、そこは留意して(時間の関係上書き直すなどせず)次の問題に進むのが効率的という感じでよろしいのですよね?
それと、答案としてどんなにつたない状態からでも他人によんでもらったほうがよいのですよね?
初歩的な質問でもうしわけありませんが、よろしくお願いします。
投稿 ジョー | 2007年10月27日 (土) 03時28分
A1
基本的には、そのとおりです。
あえて言えば、復習のときに、そこに出てきた条文を確認し、その条文番号を暗記しましょう。

Q2
私はロースクールの未修者コースに通っており、現在一年生ですが、未修者で集まり勉強会をすることになりました。
知識量が圧倒的に少ないので、まずは択一の問題を解いて行こうと思うのですが、皆でただ解いていくだけでいいのか不安です。
どのように実施すれば高い学習効果が期待できると思われますか。
投稿 夜間ロー生 | 2007年10月28日 (日) 17時40分
A2

未習一年生が何人集まって議論しても、正しい議論になることはありません。
したがって、高い学習効果を得るためには、①長々と何が正解かについて議論しないこと、②ならべく早いペースで1科目を終わらせること、③互いに脱落しないように励ましあうことの3点に気をつけてください。
 それだけやれば、択一をみんなで集まって解いて、答え合わせをするだけでも、問題ありません。

Q3
単元株式についてご質問です。
会社法188条1項において、「一定の数の株式」とありますが、この一定の株として、0.2株等の小数を定めることは可能でしょうか?
投稿 よっち | 2007年10月30日 (火) 17時20分
A3
できません。

Q4
NOVA問題について質問がございます。
①NOVAが会社更生法の適用
会社更生法というのは、会社の建て直しを目的をしていると思っているのですが、建て直しは難しいと思うのですが、今後の予測できる動きはどういうものでしょうか?破産との違いもよくわかりません
②講師の給料未払いと受講者の受講料返還について
会社更生法適用後、受講者の将来の受講料の返還と講師の給料はどちらが優先されるのでしょうか?講師の給料は先取特権によって優先されると思われるのですが?
投稿 よっしー | 2007年10月30日 (火) 18時25分
A4
①具体的事件についての見通しなどについては、お答えできません。
②は、給料優先です。

Q5
企業価値評価について教えてください。
実務上、
合併など企業価値を評価する場合には証券会社や公認会計士などの外部の専門家に依頼するのですか?それとも、弁護士自ら評価するのですか?
また、その評価方法において
退社持分の算定に関しては判例をみましたが、合併などに関しては判例が見当たりません。
ということは、実務上合併などの場合にはその評価方法に争点はなく、DCF法というように一律に決まった評価方法が通説的にあるってことですか?
投稿 ただの | 2007年10月30日 (火) 21時54分
A5
合併などにあたって、弁護士が、企業価値評価をやることはないのではほとんどないと思います。
 株式買取請求権を行使した場合の価格算定などにおいては、裁判官が、当事者の提出した鑑定書を見ながら、適当に決めます。
 鑑定書は、企業の規模等に応じて、純資産方式、類似業種比準方式、配当還元方式、DCF、市場価格等をベースに株式の価値を算出しており、特に一律のルールがあるわけではありません。

Q6
株式の分割に際し、184条2項によって発行可能株式総数を分割の割合に従って増加する定款変更ができる一方、113条3項の発行可能株式総数の4倍規制が及ぶのであれば、大規模な株式分割はこの規制によってできない、と解してよろしいのでしょうか?
(たとえば、発行可能株式100万株、発行済み50万株であれば、8倍を超える株式分割はできない、と解していいのでしょうか?)
投稿 やまび | 2007年10月31日 (水) 01時15分
A6
条文を形式的に読むと、そのように読めますが、1個の取締役会で、3回の株式分割決議を行い、効力発生「時」を1秒ごとにずらすと、3秒で、4×4×4=64倍になるので、解釈上は、特に分割の倍数に制限はないと解されています。

Q7
いつもこのブログを興味深く拝見させていただいております。
ところで、今年は新会社法100問の新版がでるのでしょうか?教えてください。
投稿 ロースクール2年生 | 2007年10月31日 (水) 10時31分
A7
第3版の要望があるのは知っていますが、次の改訂の気力が沸いてきません。
ですから、少なくとも今年はでません。

Q8
少々悩む事があり、理不尽ですし、何とかならないのかと、アチコチ検索の結果こちらのページにたどり着きました。他に見当たらずこちらから失礼します。
もし、何か方策があればお教えいただくと嬉しいです。
先日、公布された会社法の、条文の、全部取得条項付種類株式という事についてです。
7年前に、友人中心に知り合いなどが10数人参加し、映像編集スタジオ会社を立ち上げました。資本金総額3億という結構な会社でした。が、当初の予想と違い経営が苦しく、機材リース費なども多額な為、最多出資者が代表取締役になりましたが、債務が膨らみ、減資(1株300万が~何分の一?)し、社長が資産家な為、何とか経営は続いています。現在、経費のかなりな部分を占めていたリース代が終了し、周りの映像需要も増えている事から、皆今後を楽しみにしていたところ、経営者側(と役員1名)から、 間近な株主総会で、全部取得条項付種類株式に、変更し、多数の株主を切り捨てるというような話がありました。株主の多くは、”夢に参加”を買ったような人達で、今まで経営を支えてきた代表取締役に感謝し、彼の苦労を理解し、何も干渉せず、見守って来た人です。減資にも誰も反対せず、これからも問題も無いと思いますし、夢を持っているだけです。それを切り捨てるとは、あまりの対応と思います。あまりの事に、何か今まで通りの株主として存続させる手段は無いものかと考えています。何か株主を保護する方法はありますか?株主は圧倒的多数で反対ですが、出資比率的的には、逆の状態です。
取得に反対する株主には取得価格の決定請求権を認め、少数株主の保護も図られている。とありますが、債務が多いので、評価はゼロだと伝えられています。株主も別に買取を要求するのではなく、初志の立場を守りたいだけだそうです。
会社はまだ厳しい状況下にはあるらしく利益を予想される見込みではないと言われますが、経費の半分以上が無くなってかなり楽になるのは事実と思いますし、会社整理などの予定はありません。反対人達の株主出資額(減資前)は2億くらいで、債務も同等ぐらいという話です。代表取締役は、(別会社より)会社に融資し、貸付利子として年約300万円の利子も計算されているそうです。
何かアドバイスがあればよろしくお願いいたします。
投稿 株主のお友達 | 2007年10月31日 (水) 16時54分
A8
残念ながら、具体的な案件についての法律相談はお受けすることができません。
弁護士会の法律相談などを利用されることをお勧めいたします。

Q9
コメントするのは初めてなのですが、会社法第370条の解釈についてです。
会社法第370条に沿って、
「取締役全員が賛成すれば取締役会決議省略可。ただし監査役の異議のあった場合はこの限りでない」
と定款に定めている会社がございます。
ちなみに、
「取締役会招集に際して取締役及び監査役に通知する」
「取締役及び監査役全員の同意があれば招集手続き省略可」
の定めもあります。
ところがこの会社の監査役は、会計監査権限しか持たない旨、これも定款に定めてあります。
会計監査権限のない監査役については、異議を述べる権限がないということでよいかと思いますが、
それでは上記の定款の定めは、監査役に関する記述の部分はすべて無効なのでしょうか。
(監査役に関する以外の部分は有効で問題ないと思いますが)
それとも、法律の定めを加重しているので、定款自治の限りで無効とはならないのでしょうか。
投稿 うめKITTY | 2007年11月 1日 (木) 10時31分
A9
会計監査権限に限定された監査役のいる会社は、監査役設置会社ではありません。
したがって、370条の監査役の同意は不要です。

定款の定めについては、会計監査権限に限定された監査役が出席しなければならない取締役会以外については無効です(11月10日に修正)。

Q10
脱時空勉強術、ブログでの過去のコメント、昨夜、徹夜してほぼ全て読んでしまいました。
感想は、「葉玉先生は仏教徒?」と思えるほど仏説を俗世に引き直して語られている印象を受けました。
とても科学的で論理的で、無常そのもの。
こういった葉玉先生の思想背景は、生まれ付いての性格なのでしょうか?
それとも何かしら自己啓発関係の書物を読み漁って身に付けた後天的なものなのでしょうか?
出家僧以外でこんなに智慧を感じたのは初めてで、とてもとても気になってしまいました。
投稿 福岡在住の仏教徒 | 2007年11月 1日 (木) 22時29分
A10
「仏教徒」「イスラム教徒」「キリスト教徒」の3つから選べと言われれば、「仏教徒」に分類されるのは明らかです。ただ、結婚式は、教会でやりましたし、お念仏を唱えろと言われてもできないので、ごく一般的な仏教徒です。
 自己啓発関係の書物も読んだことはあると思いますが、どんな本を読んだか忘れてしまう程度しか読んでいません。でも、一番、思想的な書物は、「幻魔対戦」だったりするかもしれません。
 私に思想背景と呼べるものがあれば、実体験で起きた数々の修羅場を乗り越えた経験なのでしょう。
 「智慧」という尊いお言葉をいただくほどのことは書いていないと思いますが、「楽しめて、少し役に立った」という程度に社会貢献できればいいなと思いながら、書いています。
 今後ともご愛読していただければ幸いです。

Q11
資本金の減少や準備金の減少などで、「1項。株式会社は・・できる。この場合以下の各号の事項を決めなければならない」「2項。前項各号は総会決議」という条文の流れがありますが、この意味について質問です。
例えば2項が総会特別決議だったら、それは「・・・」をするか否かの決定も総会特別決議なのでしょうか。それとも、「株式会社は・・できる」というのだから、「・・・」をするか否かは役会決議ででき、ただその場合に総会特別決議で決めなければならない事項がある、ということでしょうか?
昨日までは当然前者と信じて疑わなかったのです。
しかし452条に「前目に定めるもの・・を除く」剰余金の処分が総会決議とされているにかかわらず、前目の内容を見るとこちらも総会決議なので、後者のように分けて考えないと除外の意味がない(除外しても前目でどうせ総会決議なのだから)、と感じてしまったのです。
投稿 ギルド | 2007年11月 2日 (金) 09時56分
A11
452条は、「前目に掲げているもの以外の剰余金の処分について、どのような決議で決めればいいのか」という観点から規定されたものに過ぎませんから、特に悩むようなことはありません。
 法律的には、前目では、法定準備金等なので、決議すべき細目も法律で定まっているのに対し、452条は、任意準備金に過ぎないので、決議すべき細目を省令で定めているという点に意味があります。

Q12
会社法467条事後設立なのですが、
会社法は、取得する財産の対価として交付する財産の帳簿価額の合計額の、当該株式会社の純資産額として法務省令で定める方法により算定される額に対する割合が、5分の1を超えない場合には、特別決議を要しないものとする。
これは、事後設立の目的物の帳簿価額が、法務省令で定めた、当該株式会社の純資産額の5分の1以下の場合は、特別決議を要しないと言う事ですよね?
すなわち、純資産額2000万円の会社が事後設立で、帳簿価額400万円の土地を譲り受けた場合は、特別決議を必要としないですよね?
投稿 Tです。 | 2007年11月 2日 (金) 23時39分
A12
そうです。

Q13
取締役会設置会社で書面投票を認める会社は、株主総会招集通知に議案について詳細に記載することになっていると思うのですが(299Ⅳ、298Ⅰ⑤、規則63③イ、73Ⅰ①)、総会当日に会社側で議案を修正した場合、その議案は招集通知に記載されていないわけですから、法令違反として招集手続の瑕疵になったりしないのでしょうか?
通知に記載された議題以外の議題を決議してはならないという309Ⅴのような規定がない以上、当該議案について決議すること自体は許されると思うのですが、よくわかりません。総会当日の株主提案の場合も同様にその議案は通知に記載されていないので同じように問題になるように思われます。
感覚的には、総会直前に取締役候補者が死亡したような場合に会社側で議案を修正できないのはおかしい気がするので、取消事由にはならないと思うのですが、その法的根拠がよくわかりません。御教授ください。
投稿 しらとり | 2007年11月 3日 (土) 10時30分
A13
議決権行使書面・株主総会参考書類は、その作成時において提出が予定されている議案のについて作成されるので、総会時に緊急動議がされた議案等については、当然、その対象になりません。
ですから、招集通知等に、当該議案等について記載がなくても、手続は適法です。

Q14
何度も質問させていただいたmaruというものです。
 この度司法書士試験に合格する事ができました。
先生のご指導のおかげだと認識しております。
今後は実務家として疑問点があれば、また先生の
お知恵を拝借するかもしれません。
投稿 maru | 2007年11月 3日 (土) 22時13分
A14
 おめでとうございます。
 司法書士になっても、毎日が勉強だと思いますので、ご遠慮無く、ご質問ください。

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コメント

いつもご苦労様です!
虚偽表示について、拝読させていただきました・・。赤福、特にあの老害会長に関しては、「どんだけぇ、KY!!」という感想しか浮かびません(笑)。
私も、自分で買ってきた消費期限切れのものはよく口にします。
ただ、他人から出されるものに関しては、少し神経質になることがありますね。これは仕方のないことだと思います。食中毒になってしまえば取り返しがつかないし・・。そこで、『消費者も「チェックを得ていないような食料品は、安くても買わない」という風潮を作る』ということには、大賛成です。私的自治の拡充、農業政策などにおいてもいい影響があるのではないかな、と素人ながらに考えてしまいます。
いつも多忙なところ貴重な言説ありがとうございます。アワード投票しておきました・・お子様ともどもお大事に。

投稿: be scrivener | 2007年11月 5日 (月) 06時01分

取得条項付新株予約権の取得の仕方についてご質問です。
会社法274条によって一部の新株予約権を取得する場合ですが、
この時に、特定の新株予約権者のみから取得することは可能でしょうか。
例えば、同じ内容の新株予約権者としてAさんとBさんがいた場合、
両者ともに取得事由に該当した際に、Aさんのみから新株予約権を取得
すると決定することです。
もし可能であれば、274条4項の公告には、Aさんの氏名を記載するのでしょうか。

投稿: | 2007年11月 5日 (月) 16時00分

11月5日のA9に関連して質問させてください。
過去、何度か会計監査限定監査役について質問させていただきました。
2006年11月10日のブログでは、定款規定そのものが無効ということで結論を出されていましたが、1年経過して、見解をご変更されたということでしょうか?

投稿: としお | 2007年11月 5日 (月) 16時10分

「アルファブロガーアワード2007」に投票させていただきました。
最大3人まで選べるということなので、1点集中型で「累積投票」させていただきました。定款規定で排除されてなければいいのですが(笑)

投稿: としお | 2007年11月 5日 (月) 16時31分

こんにちは。初めてメールいたします。

虚偽表示の記事を読ませていただきました。
個々の食品業者の苦しみを知らないマスコミとちがい、公平で、しかも
建設的なご意見だと思いました。

私の実家は秋田県のコメ農家で、一種の食品業者と言えます。
実家の両親は、コメの値段が下がってしまい、もうコメの売買による
収入には期待しておらず、半ばあきらめムードです。
コメも輸入品に押されている上、都会の人々の無農薬志向もあいまって、
普通の日本米はあんまり売れないようです。父も憤慨してます。
コメの輸入と言えば細川元首相ですか。まさに農家の敵ですね。
僕は大嫌いです。

先生の表示基準①②③は大賛成です。これが実際に行われたら、
都会の消費者の意識も変わるのでは、と思うほどです。

以上です。これからもお仕事がんばってください。

投稿: dizzy | 2007年11月 5日 (月) 19時10分

「アルファブロガーアワード2007」に清き一票を投じました。
受賞されることを期待しております。

投稿: ファンファン | 2007年11月 5日 (月) 22時05分

葉玉師匠、こんにちは。 

師匠のおっしゃる、『大昔』の「同業者間の組合(職人の現場の集団)」は、自分は、是非に現状に合った形で復活させるベキだと思います!
「自制要素」の源泉だと思うのです。

そして、「第3の期限」として設定する「食べるのを絶対止めた方がいい期限」は、期限切れギリギリの「醍醐味」を味わう自分としても、是非設定して欲しいし、可能だし、なおかつ、その設定は一般的にも不可欠だと思います。

野菜畑や牧草地や田圃に施す肥料の効きは、満月に施すと効きすぎて逆効果になるぐらいに効いたりするのは、「発酵や腐敗」と「お月様の様子」は、切っても切れない関係にあるからだと思うのです。
・・・田畑は、こうゆう意味でも、実に女性的ですが(笑)
古代や上代の人々も、この作用を知っていたからこそ、必死になって星や太陽の運行を調べたのでしょうし・・・

この作用は、スーパーやデパートの「食品棚の上」や「冷蔵庫の中」でも同じじゃないかと思うのです。
だとすると、「消費期限:次の満月(○月○日)」というような設定は、十分可能であるし、必要である気がするのに・・・ナゼしないのでしょう?

天空に対する「かたじけない」という感覚と、物品に対する「もったいない」という感覚の両方が揃わないと、美味いモノを造って、お客さんに食べてもらうことなんて出来ないと思うのですが。

投稿: 至誠丸 | 2007年11月 6日 (火) 11時53分

葉玉先生、教示ありがとうございました。
択一勉強会はお教えいただいたとおりに実行しようと思います。

さて、勉強仲間で話した結果、択一の練習会に加えて、我々で論証集の暗記をしようと考えております。
具体的には、各自(現在4名)が毎日論証を10個暗記してきて、30分くらいで各人5分ずつ暗唱し、正誤を確認するというものです。
このような勉強法については先生はいかが思われますか。
改善すべき点があればお教えいただけないでしょうか。
何度も申し訳ございませんが、ご教示いただければ幸甚です。

追伸
アウォードはしっかり投票させていただきました。
季節の変わり目ですので、お体にお気をつけください。

投稿: 夜間ロー生 | 2007年11月 6日 (火) 15時57分

昨日の「M商業手本を斬る」面白かったです

一つ質問します。何を食べれば3時間も大きな声でしゃべることができるのですか?

ちなみに私は通常3時間のうち1時間は睡眠に充ててますが、昨日は一睡もできませんでした(笑)。

これからも体を大事に家族のため頑張って下さい。

投稿: ホー | 2007年11月 7日 (水) 08時19分

昨日、東京司法書士会の研修を受講させていただいた者です。
先生からの忌憚のないお話は、大変参考になり、かつ大変面白かったです。「登記情報」の記事で一体どうなるのかが楽しみです。

さて、昨日は質疑応答の時間がありませんでしたので、ここで質問させていただければと存じます。
株式移転に際して、株式移転計画に補欠監査役を定めている会社の事例を見かけましたが、「設立時補欠監査役」ともいうべきものを定めることは可能なのでしょうか。
補欠役員に関する329条2項は、あくまで設立後の役員選任決議に際しての補欠選任に関する規定ではないかと思いますし、773条の株式移転計画の記載事項としても定められるのは設立時役員であって設立時補欠役員は含まれないように思われます。

それとも、そもそも「設立時補欠監査役」などというものではなく、設立の効力発生によって監査役となる者の補欠(設立時監査役の補欠ではなく)を選任したと考えればよいのでしょうか。

投稿: 赤兎馬 | 2007年11月 7日 (水) 14時10分

いつも楽しく読ませていただいております。
先日開催された株券電子化のセミナー(とても勉強になりました。ありがとうございました。)に参加した者なのですが、ちょっと不安になったことがありましたのでお伺いします。
上場会社の場合、来年の秋頃「特別口座に関する公告」を行いますが、セミナーの中で「本件にかかる公告に対応できるのは1社ぐらいしかないかな・・」とおしゃっていたのですが、実際そんな感触なのでしょうか?恐らく大手通信会社のことかと思うのですが、私の会社では違うところを利用しているものですから。。。

投稿: 公告担当者 | 2007年11月 7日 (水) 18時12分

株式分割の件の質問回答、ありがとうございました。
次いで、株主提案権について質問させていただきます。
株主総会の招集に際し、取締役会非設置会社では総会の目的である事項を必ずしも定めなくともよいわけですが(298条1項2号、309条5項)、この場合、総会における議案提出権については総会目的事項に限られる規定(304条)の適用は排除されると考えてよいのでしょうか?
また、目的事項を明示した場合には適用されるので、目的以外の事項についてはやはり議案提出権はないと解すべきなのでしょうか?
このように解すると、取締役会非設置会社において総会決議事項に制限がないにもかかわらず、株主は総会で提案を提出できなくなるので妥当でないと思うのですが。

投稿: やまび | 2007年11月 7日 (水) 23時07分

司法試験の不合格を続けると、人格がゆがみ
1)ねこ鍋が好きになる
2)会計士のうそが45秒で分かる
3)卑劣な金融庁のやり方が悪徳コンサルと同じであることが分かる
4)冷酷で少数者の排除をもたらす法務省の厳罰化に反対したくなる
5)ビジネス弁護士の「味方ずらしてぼったくり」が分かるようになる
6)相手の無知に乗じたITベンダーの高額プロジェクト押し売りが分かるようになる
など、数多くの社会的問題を引き起こします。

法科大学院の当初構想どおり、合格率50%を目指していただきますよう、関係者のご協力をお願い申し上げます。ぷぷぷ(笑)

投稿: 司法浪人 | 2007年11月 8日 (木) 07時33分

旧司法試験口述のアドバイスをいただいたゆりです。
運良く最終合格できました。ありがとうございました。

追伸:入門講座のファンです。特に資本の回は目から鱗でした。
復活を期待しています。

投稿: ゆり | 2007年11月 8日 (木) 19時25分

去年商法C、その前は「去年商法G」だった者です。
無事、最終合格することが出来ました。ちなみに今年の論文は商法Aでした。

こちらでも何度か質問をさせていただき、そのたびに丁寧なご回答を頂きました。
本当にありがとうございました。

投稿: 去年商法C | 2007年11月 9日 (金) 01時18分

質問が2つあります。
①いわゆる中間決算は、臨時決算と見なされるのでしょうか?中間決算においては、会計士から「金商法上の監査証明」は受けていても、「会社法上の監査証明」は受けていない会社が一般的だと思います。分配可能額の計算をしていて疑問に思い、質問させて頂くしだいです。
②組織再編(株式移転)に伴って新株予約権が承継された場合に、再編前は会計上費用計上の必要がなかった新株予約権も会社法施行後の付与決議と見なされて、新設親会社において会計上費用計上が求められるのでしょうか?

会社法、金商法、企業会計規則関係の解説本や資料等で調べてもどうしても答えが見つかりません。お忙しいところ恐縮ですが、ご回答頂ければ幸いです。

投稿: 百個桃 | 2007年11月 9日 (金) 14時46分

すみません。素人的質問で申し訳ないのですが、親会社株式は分割の対象資産になりうるのでしょうか?事業に用いられている資産とは考えにくいかなあと思ったりもするのですが。

投稿: マルチミネラル | 2007年11月10日 (土) 02時28分

459条の剰余金の配当等を取締役会が決定する旨の定款の定めについて質問がございます。たとえば、設立したばかりの会社ですと、最終事業年度は到来していませんし、会計監査人の監査も受けていませんが、ほかの要件を満たしていれば、取締役会の決議で配当できるのでしょうか?

投稿: ガイア | 2007年11月10日 (土) 10時18分

いつも拝読してます。一度このブログを開くといつも長時間拘束され、仕事の段取りが狂うくらい面白く勉強できますよね。当然「アルファブロガーアワード2007」にも投票しました。
さて、質問です。
株式会社が解散及び清算人を選任した後は、解散した日現在の財産目録等を作成し、株主総会にて承認を受けなくてはならないと定められています。(会492)
この財産目録等について、
①会492の株主総会を、解散及び清算人選任決議を行なった後の議案として同日付けで承認することは可能でしょうか。
②監査役設置会社においても監査役の報告は不要ということでよろしかったでしょうか。
①については、解散、清算人選任決議後、その場でせっせと清算人が財産目録等を作成することもできなくはないので可能と思いますが、招集通知に財産目録等を添付する必要があるかどうかや、議案の記載方法がわかりません。できるとしても、解散予定会社は大会社数社を株主とする資産保有会社ですので、コンプライアンス上の観点からはすべきではないのでしょうか?

投稿: seiquro | 2007年11月10日 (土) 13時19分

会計参与について質問させていただきます。
会社法377条1項は、会計参与に対し、書類作成に関する事項について取締役と意見が異なるときの意見陳述権を規定しています。他方、374条1項を見ると、書類作成は「取締役と共同して」行なうと規定されています。共同作成された書類につき意見が異なるという場合がイメージし難いのですが、これは、意見が異なったままで妥協的に共同作成されたような場合を想定していると考えてよいのでしょうか?

投稿: 空きっ腹 | 2007年11月19日 (月) 14時56分

素人質問で恐縮ですが、準備金の計上義務に関して、
ご教示頂けませんでしょうか。
利益準備金が0の会社で資本準備金を全額取り崩して、
その他資本剰余金に振替えた後、その他資本剰余金から
配当を行った場合に、会社法445条4項に基づいて再度
資本準備金に計上しなければならないですか。
それは、配当と同じタイミングで資本準備金を計上しなければ
ならないですか。

投稿: 元法学部今経理マン | 2007年12月26日 (水) 21時05分

http://mainichi.jp/select/today/news/20080120k0000m040127000c.html
(新聞報道=御用情報)
http://quote.yahoo.co.jp/q?s=7421.t&d=c&t=3m&l=off&z=b&q=c&k=c3&a=v&h=on&p=m25,m75,s
(株価掲示板)

御用情報:株価は22分間で13円も上昇しており、証券取引等監視委員会は3人の集中購入が証券市場に重大な影響を与えたとみている模様だ。
ワーキングプア:何もない市場でも、1月18日の1日内で最高値と最安値の差は65円ある。チャートを見れば、1日で100円近く下がっていることもある。

御用情報:3人が買い付けた株は5000株を超えていたことが分かっており、全体の約3分の1を占めた。
ワーキングプア:1月18日なら、取引高は56,000株/1日なので、10分の1になる。偶然に左右される日々の取引高を基準に犯罪の成否を印象付けるのは姑息な手法だ。

御用情報:3人は保有株を売り抜け、10万~40万円の利益を得たことが分かっている。
ワーキングプア:検察の裏金作りは、裏金として、本来の調査目的以外の飲食費、遊興費等の支出に充てられた金額は、高知地検分約400万円、神戸地検分約700万円と推定されるそうですね。
http://www012.upp.so-net.ne.jp/uragane/syuwai-uraganekokuhatu.htm

>>>>>>>>>>>
証券市場の信頼性に重要な影響を与えるというのは、どのように判断するのでしょうか?
犯罪の成立要件が、偶然的なその日の取引高に影響されるのは不合理であり、せめて半年平均とか1年平均の数字を、国民に情報公開してください。

投稿: 【御用】インサイダー取引と情報操作【マスゴミ】 | 2008年1月20日 (日) 15時39分

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%80%A4%E5%B9%85%E5%88%B6%E9%99%90
値幅制限(ねはばせいげん)とは、株価の異常な急騰・暴落を防ぐために、株価の1日に変動できる上下の範囲を制限するものである。

カッパ社株は1700円くらいなので、値幅制限は±300円です。
http://mainichi.jp/select/today/news/20080120k0000m040127000c.html
御用情報による「株価は22分間で13円も上昇」が、株式市場の常識的な基準から判断して、いかに僅少な金額であるかが理解できます。
最終的には「1707円から1774円」になったようですが、結論は同じです。

投稿: ご参考 | 2008年1月20日 (日) 15時54分

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受信: 2007年11月 9日 (金) 17時53分

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