チャレンジ第2弾(引受担保責任編)
前回の「大杉教授へのチャレンジ」に対し、早速、大杉先生が回答してくれました。
http://blog.livedoor.jp/leonhardt/archives/50419612.html
これを見る限り、大杉先生の目指すところと、私の目指すところは、実はそれほど離れていないことが分かりました。
問題は、現行法の解釈として
1 閲覧理由の正当性を総合的に判断すること
2 裁判所が閲覧の方法を制限すること
が可能かどうかということに尽きるように思います。
私は、大杉説の結論は実質的には正当だと思いますが、アメリカのように裁判所による裁量的な解決をやりやすい法制ならば、ともかく、日本の実体法の解釈として、条文から離れ過ぎているような印象を持ちます。
どちらかというと、大杉説は、「和解」で実現するようなことかな、という感覚です。
もっとも、1については、「閲覧拒否権の濫用」という構成を取ることで、閲覧の可否に実質的な要素を考慮する余地はあると思われます。
逆に、2については、「見せるか、見せないか」という2者択一から離れてしまうので、解釈としては苦しそうです。あえて言えば、たとえば、裁判所が「一部認容」として、1%以上の株主に関してのみ閲覧を認めるという構成くらいは取ることができるのかなあ。特定の株主についてのみ閲覧請求をすることができると考えるならば、一部認容はあるかもしれませんが、閲覧を認めるラインの設定について実体法的な根拠がないため、そこまで解釈で認める自信がありません。非訟的要素が入ってしまいますね。
もう少し考えてみたい論点でありますが、今回は、もう一つのチャレンジが残っていますので、閲覧請求についてはこの辺にしておきましょう(ikさんの反論に対して、質問コーナーで、いろいろ回答していますので、それも参考にしてください)
今日のお題は、「新株発行における引受担保責任の廃止」の当否です。
改正前商法280条の13は、新株発行による変更登記があったのに引き受けられていない株式がある場合には、取締役がこれを引き受けたものとみなすと定められていましたが、会社法は、これを廃止しました。
これについて、大杉先生は、「新株発行時の引受担保責任は、見せ金による仮装払込(赤字継続会社が上場廃止を免れるため)を抑止する機能を持っていたため、こちらを廃止したことは立法論として不当である」との江頭先生の主張に賛同されています。
江頭先生・大杉先生という大御所に反抗するのは本意ではありませんが、私は、この引受担保責任の廃止は、立法論的には、当然の措置であると考えます。
改正前商法280条の13は、登記したことに対する表示責任と言われていました。資本金や発行済み株式総数が増えたように登記したのだから、その登記内容と同一の実体を作るために、取締役に株式の引受け及び払込みをさせる義務を負わせるという趣旨です。
しかし、このような責任の取らせ方は、現実に払込みをした金額を資本金のベースとする会社法では実現することが困難です。
すなわち、改正前商法では、取締役に引受担保責任を負わせさえすれば、払込がなくても、株式が発行され、かつ、「発行価額」は増えるので、発行済株式総数も、資本金も増えるという解釈が成り立ちました。だからこそ、引受担保責任を負わせるだけで、登記と実体を一致させることができたのです。
他方、会社法では、引受担保責任を負わせても、払込をしてくれない限り、株式も発行されないし、資本金も増えません。すなわち、その引受担保責任は、登記と実体を一致させる効果をもたらしません。だとすると、なんのために引受担保責任を負わせるのか、よく分からなくなります。
少なくとも、払込をしていない時点では、虚偽の登記になっているのですから、取締役は、真実の姿(元の姿)に変更登記をしなければならないはずであり、その変更登記をしてしまうと、引受担保責任を負わせる正当性は、いよいよ無くなってしまいます。
また、「引受担保責任を廃止したことにより、見せ金による仮装払込を抑止する機能が弱まった」という批判もあたらないと思います。
まず、会社法で、引受人が取締役と通謀して見せ金による仮装払込をした上で、取締役が資本金の増額と発行可能株式総数の増加の変更登記をした場合に、どのような法的効果が生ずるかを検討しましょう。
①引受人は、株式を引き受ける権利を失い、株式は発行されない。
②資本金は増えない。
③虚偽の変更登記をしているので、登記をした取締役及びその共謀者である引受人については、公正証書原本等不実記載罪が成立する。
④取締役が、仮装払込によって、会社に株式発行費用等について損害を生じさせたとすれば、会社に対して損害賠償責任を負う。
⑤取締役は、仮装払込を真実と信じて、株式を購入した株主や損害を被った債権者等に対して損害賠償責任を負う。
このような法的効果には、「見せ金による仮装払込」を抑止する機能はないのでしょうか?
仮に引受担保責任を存続させたとしても、「見せ金」だと分からなければ、その責任を追求することはできません。
逆に「見せ金」だと発覚すれば、登記をもとに戻さざるを得ませんし、上記の刑事責任や損害賠償責任を追及すれば、株主や債権者の保護を図ることができます。
抑止効果という側面から検討すれば、取締役が
「刑事責任や損害賠償責任が生ずるのは気にしないが、引受担保責任が生ずるのは気にする」
という心理状態で仮装払込を行うとは思えませんので、引受担保責任の廃止により仮装払込による抑止効果が弱まったとは考えにくいでしょう。
あえて言えば、引受担保責任の場合には、取締役が会社に対して支払わなければならない金額が明確ですが、損害賠償責任の場合には損害の立証が必要という点で、前者の方が責任追及をしやすい面はあります(前者を無過失責任と構成すれば、その点でも債権者に有利ですが、原則過失責任としている会社法の立場からは離れることになります)。
逆に、前者は取締役は株式を取得することができる点及び責任の範囲が限定される点で、損害賠償責任よりも取締役には有利です。取締役は、株価が上昇している場合には、株式を市場売却することにより、利益を得ることすら可能です。とすると、引受担保責任があったとしても、どの程度抑止力が強まるのか、必ずしも明らかではないと思います。
さらに、取締役に引受相当額の払い込みをさせる義務を負わせたとしても、赤字会社が倒産回避のために仮装払込をしたような状況で、取締役がどれだけの資金を実際に会社に払い込めるのか、疑問です。
仮に、取締役に、払込をすることにより会社の自己資本が充実し、債権者が救うことができるほどの資力があるとすれば、債権者が直接取締役に対して損害賠償責任を追及することを認めるだけで救われるはずです。
以上のように理論的にも、実際上も、株式引受担保責任は、会社法では無用の長物であり、これを廃止したのは、当然であると考えます。
大杉先生は、お忙しい方なので、すぐにご回答をしていただくのは難しいと思いますが、いつか、今回のチャレンジにもご回答いただけると信じております。
(質問コーナー)
Q1
知人の会社とベンチャーキャピタル(VC)との投資契約書を見せてもらったところ、株式買取条項が定められていました。「公開の見通しが立たないと合理的に判断した場合」にVCが株式買取請求権を行使できるというもので、買取価額は行使時におけるある算定方式(詳細は思い出せません)によって客観的に定まるというような文面でした。
会社法によると自己株式の取得は155条各号に定められていますが、このケースではどの号にあたると考えるべきでしょうか。
契約書からすると、取得請求権付株式ではないので4号ではないようです。
3号のケースかとも思いますが、取得価額は条件成就時に客観的に決定されるものであり、取得価額の決定(157条)の主導権があるわけでもなく、VCの形成権の行使によって買取価額が決まり買取請求される性質のもので財源規制にも服さないのではないかと思います。
それと、この契約以降すべてのVCが「株主平等原則」を主張したので、すべてのVCとの契約に新たに株式買取条項を定めたそうです。この場面で「株主平等原則」の適用があるのでしょうか。仮にそのような事態を回避するためには、株式買取条項を定めるよりも取得請求権付株式とした方がよかったのでしょうか。
いろいろ考えていたら混乱してまいりましたので、ご回答できればよろしくお願いします。
投稿 めぐみ | 2007年11月11日 (日) 17時35分
A1
特定の株主から株式取得を行う(160条)ということではないでしょうか。
この場合も、原則として株主に平等に売却機会が与えられます。
そのような事態を回避するために、その株主との関係だけは取得条項付株式にするということも考えられるでしょう。
Q2
不公正発行について、裁判所はライブドア事件では主要目的ルールで解決し、ブルドックソース事件では主要目的ルールを使わずに解決されています(最高裁)。
これはどのように理解したらよいのですか?
神田説のように新株予約権には主要目的ルールの適用がないと考えたうえで、ライブドア事件のように資金調達目的がありそうな設計の予約権であれば主要目的ルールの適用を認めて判断すると考えたらよいですか?
投稿 ただ | 2007年11月11日 (日) 18時32分
A2
株式無償割当てで、資金調達目的はありえません。
また、主要目的ルールは、取締役会決議で発動する場面では適用されますが、株主総会決議で発動する場合は適用されないと考えるべきでしょう。
Q3
10月20日のQ4には反論しておきます。
株主が,こっちの会社の方がいいですよと営業かけられて,乗り換える,その結果,株価が暴落するってのは,そういう風にはいえません。競業でなくても同じことは出来ます。競業だけ,そういう風にしないといけない理由には全くなリません。
A3
株式投資は、同じセクターに投資することが多いので、競業者の方が乗り換えられる可能性が高いでしょう。
Q4
本記事の設例についても,親密取引先を責め立てて,云々とありますが,これは株主名簿から判明するということよりも,もともと知っていることの方が圧倒的に多いはずです。たまさか判明するケースがあることもあるとおっしゃる可能性はありますが,そんなあるかないかよくわからないケースのために,法制審議会でもかかってなかった拒絶事由を担当官は入れたんでしょうか?また,責め立てて取引拒絶させること自体の当否を問えばそれこそいいんではないですか。(委任状勧誘に使わせなくていいというけれど,そんなに株主名簿閲覧謄写請求権を制約する論理をいう前に,拒絶事由の合理性を説明してください。)
A4
私が言うと怒られそうですが、法制審議会で明示的に議論されたかどうかは、法解釈においては、必ずしも重要な問題ではありません。
拒絶事由というのは、情報の濫用(責め立てて取引拒絶されるような場合など)を予防するためのものですから、情報の濫用行為自体の当否を問うこととは、次元が異なります。情報の濫用行為自体を確実に差し止めすることができるならばともかく、そうでない以上、情報を取得させないことが重要です。なお、閲覧請求権を制約する論理が、まさに拒絶事由の合理性だと思うので、ikさんが、その二つを区別する意図がよく分かりません。
Q5
委任状勧誘には不要とも見えます。しかしそうでもありません。こういう目的こそ,仲間である株主に株主名簿を見せる主たる理由です。これは,全く独自の見解で,そういうことをいうなら,株主名簿閲覧謄写請求権を廃止すればよかったのです。
A5
私が、前回、
「プロキシーファイト時の委任状勧誘のために必要だと言われますが、本当に、そうなのでしょうか」
と述べた部分は、立法論を述べている部分なので、当然、独自の見解です。この部分は、現行法の正当性を基礎づけるために述べているわけではありません。
また、立法論として、株主名簿閲覧請求権の廃止は、議論に値すると思いますが、一気に廃止するのは極端すぎるので、拒絶事由というところでバランスをとるのが、妥当でしょう。
Q6
絶対に株主名簿を見ないとまずいケースがあります。少数株主が招集許可を得た場合に,総会を招集するときです。これは,どうするんですか。
A6
実は、その問題は、拒絶事由が定められている以上、必ず生じる問題です。
もしikさんの言うように株主が総会招集をする場面があるから、拒絶事由にすべきではないということになれば、一切、拒絶事由を規定することはできなくなってしまいます。
総会招集ができないという問題は、「拒絶事由として何が妥当か」という問題とは、次元の異なる問題なので。
立法論的は、株主による総会招集の場合には、株主名簿を全部閲覧可能にするということはありうるかもしれません。
Q7
プライバシー保護のために一律制限する,という議論は,それならわかりますが,それこそ条文はそうはなってませんよね。プライバシー保護を重視したんです,とおっしゃるなら,競業者ではない債権者にどうしてみせるんですか?
競業者に仕入先情報が流れて困る,というのも,債権者で,かつ,非上場会社だったら,まだわかるんです(非上場でも株主になってたら,総会などでみんな顔見知りだったりするので,誰が株をもっているか,誰が取引先か結構知っているケースもあります。)。しかし,上場会社の株主で,ある程度の株数をもっている人が,プロキシーファイトしようとなったときに,別の意味で困ることはあるんでしょうが,株主名簿の閲覧謄写拒否事由において実現しようとする会社の利益を害する,ということにはならないと思います。
A7
競業者ではない債権者に見せるのは、会計帳簿と同じです。
結局は、株主名簿の閲覧と会計帳簿の閲覧の場合と、どれほどの違いがあるか、という問題に過ぎず、会社法は、その二つは、「あまり違わない」と判断しているというほかありません。なぜ違わないのかは、今まで述べてきたとおりです。
Q8
純理論的に割り切れない,ということでしたが,会計帳簿の拒否事由については,一応の議論の積み重ねはあったはずです。また,純理論的に割り切れないといっても,(釈迦に説法でしょうが)立法趣旨や立法事実はあるはずです。そこがまったくわかりません,と申していました。あれだけ伺って,すっきり出てこないところを見ると,やはりあまりないんだろうと想定しています。
この点は,立法のミスとおっしゃった某先生や,大杉先生はじめ,多数の研究者のご見解が今後出てくるでしょうし,立法の見直しの話も既に出始めているという「噂」も伺います。
故意に担当者が仕込んだ的記載については仮に「立法のミス」ではなく,それが事実だとすれば,これはパブリックコメント制度への重大な挑戦ではないか,という議論があると思います。
(中略)法案立案で,要綱に基本的には挙げておきながら,一部除外していたものを,こっそり意図的に挿入した,ということになると,大いに問題になるんではないでしょうか。
A8
パブコメは、中間試案に対しては行われますが、法案に対しては行われません。立案担当者が、パブコメに挑戦する意図は全くないと思います。
また、私は、会社法において、法制審議会の要項に反する部分は、参議院で修正された3点くらいだと思っており、この部分が要項に「反する」とは思っていません。
そして、ikさんが立法趣旨や立法事実がまったく分からないのは、閲覧請求権の趣旨のみに拘り、閲覧拒否の必要性に心を傾けないからではないでしょうか。法律の解釈は常にバランスが重要ですので、ikさんが、閲覧拒否側の立場に立って、立法趣旨を一生懸命考えれば、自ずと分かってくるでしょう。
なお、「要綱」の基本的な位置づけを確認しておきたいと思います。要綱は、法務大臣の諮問機関が法務大臣に答申するものですよね。ですから、内閣法制局、他省庁、与党、野党、国会が、要項に拘束されることはありませんし、拘束される意思もありません。そのため、他省庁、与野党、衆参両院における調整プロセスで、要綱を実現した法案の内容が変更されたり、要項の内容を実現するために、要綱に書いていないことを付け足したりすることはありえます。
特に会社法は、要綱の成立後に、郵政民営化や敵対的買収への危惧感という様々な政治的荒波が生じ、その中で成立したものですから、要項に書かれていないことが盛り込まれたとしても、不思議ではありません。
ikさんは、パブコメや要項に囚われすぎているのではないでしょうか。
国会審議を経て成立した条文の解釈は、当該条文の文言という制約の中で行うしかなく、それを超えるものは、立法論に過ぎません。
そういう観点から、私も、前回の記事では、解釈論と立法論を分けて論じています。
Q9
株式の譲渡承認手続についてです。
「譲渡を承認しないなら会社or指定買取人が買取って」と譲渡承認請求者より請求があり会社が買取人を指定したとします。その買取人が株式を買取る旨の通知を承認請求者にしなかった場合のその後がいまいちよく理解できません。
「その場合には会社が買い取らなければならず、譲渡を承認するか否かの通知の日から40日以内に会社自身が買取る旨の通知をしなかった場合に承認みなしとなる。」と私は考えるのですが・・・
実際には買取人決定には取締役会設置会社であれば取締役会によって決まりますが、譲渡を承認するか否かの通知の日から10日以内に買取人が買取る旨の通知をしなかった場合、会社自身が買取る旨を決めることは残り30日以内に特別決議を開催する必要があるため物理的にぎりぎりの日程になるのではないかと思うのですが。
40日という日程を考えれば特別決議をすることも念頭にいれてのことだと思ことうのですがこんなことできるのでしょうか?
投稿 おさる | 2007年11月12日 (月) 01時57分
A9
すいません。質問の意図がよく分かりません。日程的には可能ですよね?
Q10
1,創立総会の場合、発起人以外の引受人は303条304条のような請求・提案はできないのでしょうか?
2,73条4項では創立総会で決議できる事項について、67条1項2号の目的である事項・定款変更に関する事項・設立廃止に関する事項としていますが、67条1項2号の目的である事項を定める際に、うっかり設立時役員等の選任に関する事項を定め忘れた場合、当該創立総会では設立時役員等を選任できず、別途創立総会を開催しなければならないのでしょうか?
投稿 勉強中 | 2007年11月12日 (月) 14時54分
A10
1 あまり考えたこともなかった問題ですが、条文上は、できなさそうですね。議題となっている事項について提案できてもよさそうですが、解釈で導けるかどうか、よく分かりません。
2 議題にし忘れたら、決議はできません。ただ、創立総会の招集手続きの省略を用いて、カバーできる場合もあるでしょう。
Q11
629条(持分会社の利益配当に関する責任)の条文について質問をさせてください。
629条2項において、前項の義務は総社員の同意があれば、利益額を限度として、免除する事ができると謳っていますが、
これは、業務執行社員のみが対象となるのであって、利益の配当を受けた社員は。免除の対象とならないとの解釈で宜しいのでしょうか?
投稿 Tです。 | 2007年11月13日 (火) 15時32分
A11
利益の配当を受けた社員の返還義務が629条1項に基づくものかどうかという解釈問題ですが、もし629条1項に基づくものであれば、629条2項が適用されますし、そうでなければ、業務執行組合員の判断で返還義務を免除することができますから、いずれにせよ、免除できます。
Q12
1.反対株主の株式買取請求対象株式の所在
(1)買取請求がなされた株式は、効力発生日時点で当該反対株主の所有のままなのでしょうか?
買取(=自己株式の取得)の効力は代金支払時に発生(会社法117条5項)するところ、株式交換の効力発生日後に代金を支払う場合が考えられます。
「株式交換完全子会社株式は効力発生日に株式交換完全親会社が取得する」と理解していましたが、この関係はどう考えればよろしいですか?
(2)効力発生日後に代金を支払った場合には、いったん自己株式とした後で完全親会社へ移転させる、と考えてよろしいのでしょうか?
この場合、改めて自己株式の処分の手続をとることになるのでしょうか?
A12
完全子会社となる会社の株主が株式買取請求権を行使した後に、株式交換の効力発生日が到来した場合、その効力発生日に、株式が、まず完全子会社に移転し、完全子会社の自己株式として、株式交換の対価の割当てが行われます。
Q13
2.買取請求への代金支払時について
代金の支払は効力発生日前にしてもかまいませんか?
(効力発生日から60日以内に支払う:会社法117条1項とされていたので、念のための確認です)
A13
効力発生日前に代金を支払うことは可能です。
Q14
3.買取代金の利息について
協議が整った場合、請求時から支払までの利息を支払う必要があるのでしょうか?
投稿 msm | 2007年11月13日 (火) 19時22分
A14
請求により売買契約が成立していますが、金額が確定するまでは、具体的な代金支払義務は生じず、また、株式の交付と同時履行の関係に立つので遅延損害金も発生しないと考えるべきだと思います。
Q15
第三者割当による募集株式の発行についてなのですが、
種類株式発行会社の場合において、募集株式の種類が譲渡制限株式の場合は、譲渡制限株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の特別決議を要しますが、
これは、例えば、剰余金の配当につき優先株、劣後株の2種類の株式を発行している種類株式発行会社がその発行している株式全部に譲渡制限を付している場合は、株主総会の特別決議(199条2項)のほかに当該優先株、劣後株の種類株主総会の特別決議を要するとの解釈で宜しいのでしょうか?
投稿 Tです。 | 2007年11月14日 (水) 11時36分
A15
どちらの株式を発行するのでしょうか? たとえば、 優先株の引受人を募集するときは、199条4項により、当該優先株についての種類株主総会の決議は必要ですが、同項は劣後株についての種類株主総会まで要求するものではありません。
Q16
千問の道標Q75に関連する質問なのですが、複数の種類の株式が発行されている場合において、当該複数の株式について、同じ内容の譲渡制限等を付する変更を行うときには、各種類株式についてそれぞれ同一条件の108条1項4号の譲渡制限等を付するとあるのですが、これらと同様の手続によって当該複数の株式について、同じ内容の全部取得条項を付する変更を行うことができるのでしょうか。
投稿 ゆうじ | 2007年11月14日 (水) 17時32分
A16
問題意識がよく分からないのですが、同じ内容の全部取得条項を複数の種類株式につけることはできます。
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コメント
ご丁寧に反論いただきましたので,私からもコメントさせていただきます。
失礼な点がありましたら,平にご容赦ください。
>拒絶事由というのは、情報の濫用(責め立てて取引拒絶されるような場合など)を予防するためのものですから、情報の濫用行為自体の当否を問うこととは、次元が異なります。情報の濫用行為自体を確実に差し止めすることができるならばともかく、そうでない以上、情報を取得させないことが重要です。
情報の濫用が,競業者に株主名簿を見せるとある,という前提が理解しがたいと申し上げているつもりです。
そのような前提が成立するのであれば,おっしゃる論理は成立しますが,そのような前提が成立するとはおよそ思えないのですが。
>なお、閲覧請求権を制約する論理が、まさに拒絶事由の合理性だと思うので、ikさんが、その二つを区別する意図がよく分かりません。
私の書き方が悪かったかも知れませんが,株主名簿を閲覧謄写させる理由はなぜか,についてお考えにならないのでしょうか,と申し上げたつもりです。
つまり,株主が委任状勧誘なり,少数株主権を募るなりして,ある権利を実現する手段的な権利であるから認められ,それによって経営者の監視につながっている権利である,などと重要なものという位置づけがあるなら,たいした合理性もないのに委任状勧誘などさせなくてよい,ということにはならないのではないでしょうか,という趣旨です。
>立法論として、株主名簿閲覧請求権の廃止は、議論に値すると思いますが、一気に廃止するのは極端すぎるので、拒絶事由というところでバランスをとるのが、妥当でしょう。
この記載を拝見すると,株主名簿閲覧謄写請求など,たいした意味はない,という判断が背景にありそうですね。
それなら,対して合理性がない拒絶事由があっても説明はつくのかも知れません。しかし,濫用の場合を除き見せよ,という規律だったものがなぜそこまで変わったんだろう,ということは思いますが。
>実は、その問題は、拒絶事由が定められている以上、必ず生じる問題です。
もしikさんの言うように株主が総会招集をする場面があるから、拒絶事由にすべきではないということになれば、一切、拒絶事由を規定することはできなくなってしまいます。
そうではなくて,閲覧謄写請求権の重要性に気がついていただきたいのです。
拒絶事由を一切規定できない,というのではなく,そういう場合にまで制約してはいけないので,百歩譲っても限定解釈される,としないとバランスが悪いと思う,という趣旨です。
これは立法論ではありません。解釈論で解決すべき問題であろうと思っています。
>総会招集ができないという問題は、「拒絶事由として何が妥当か」という問題とは、次元の異なる問題なので。
拒絶事由としてなぜそこまで形式的かつ画一的でなければならないのですか。
そこまで株主名簿閲覧謄写請求は,価値のないものなのでしょうか。
権利行使のため必要なら,みせるべきで,特に弊害があるというんだったら,それをきちんと会社側で立証すべきではないのでしょうか。
言い方が悪いかも知れませんが,ある種,利益考量的な解釈になるのがよいのではないか,とも,考えているところです。
強い必要性があるケースで,閲覧させても弊害が薄いなら,見せるべきという解釈はあり得ると思っています。
特に,明文のない実質株主名簿に関しては,そのようになると思っています(招集の文脈では,実質株主名簿だけでは意味がありませんが)。
>立法論的は、株主による総会招集の場合には、株主名簿を全部閲覧可能にするということはありうるかもしれません。
解釈論でしないとそれはさすがにまずいでしょう。
裁判所も自ら招集許可を出しておいて,株主名簿の閲覧謄写は認めない,なんてバランスの悪いことはしないんじゃないか,と思います。
まあ,このケースに限っては,一つだけ裏技解釈を用意しているんですけど。
> 競業者ではない債権者に見せるのは、会計帳簿と同じです。
私は,株主名簿の閲覧制限の理由としてプライバシーを挙げられたので,それならどうして競業者でない債権者に見せるのですか,と伺ったのです。
それに対して,このような回答をいただいておりますが,会計帳簿は企業秘密保護の趣旨なので,競業者でなければ(必要性があるという前提なら)債権者に見せてもいいのは当然です。
会計帳簿は取引情報がはいっていて競業者に入手されると危険性が類型的に高いから規制されたんだと思います。だから,競業者というメルクマールが設定されている。
しかし,プライバシー保護をいうんであれば,競業者というメルクマールをひく意味がわからないのです。
その意味で,競業者ではない債権者になぜ見せるのでしょうか,と伺ったのです。
もちろん,上記ご回答の趣旨が会計帳簿をカットアンドペーストしたからです,ということであれば,よく理解できますが(笑)。
> 結局は、株主名簿の閲覧と会計帳簿の閲覧の場合と、どれほどの違いがあるか、という問題に過ぎず、会社法は、その二つは、「あまり違わない」と判断しているというほかありません。なぜ違わないのかは、今まで述べてきたとおりです
会社法がそう判断しているというほかない,というのは言い過ぎだと思います(私が会社法です,といわれてしまえば,ははあーお代官様,としかいいようがありませんけどね。)。
なぜ違わないのか,の説明については,合点がいきません。
会計帳簿と株主名簿には無視できない性質の違いがあるにもかかわらずそれを見落として規律をあわせているようにしか,現時点では思えません。
> パブコメは、中間試案に対しては行われますが、法案に対しては行われません。立案担当者が、パブコメに挑戦する意図は全くないと思います。
パブコメに挑戦,というよりも,パブコメ段階で,はずしていたもの(その意味で,国民は,そういう規制は入らないと思って議論を見ていた)が法案段階で大部な法律案の中に入り,当然,議員の先生も短時間でそこまで読み込めず,もっと政策的に目立つ点しか質問しないので,素通りして成立した,ということが,故意に行われていました,というコメントに受け止められたので,それは挑戦と受け止める方もいらっしゃるのではないでしょうか,と申し上げたまでです。
誤解があれば,お詫びします。
> そして、ikさんが立法趣旨や立法事実がまったく分からないのは、閲覧請求権の趣旨のみに拘り、閲覧拒否の必要性に心を傾けないからではないでしょうか。法律の解釈は常にバランスが重要ですので、ikさんが、閲覧拒否側の立場に立って、立法趣旨を一生懸命考えれば、自ずと分かってくるでしょう。
というより,見解の相違の最大のポイントは,ここで,閲覧謄写請求は重要なもの,と見るのか,どうでもいいものでむしろ弊害の方が目立つ忌み嫌うべきもの,と見るのか,なんじゃないかと思ってきました。
ただ,私も法律家の端くれなので,ここまでいう以上それなりに考え,どうひいき目に見ても閲覧拒否側の立場に立って立法趣旨を一生懸命夜も寝ないで考えても,競業者だけ制限する理由が見えてこないので,困っているのです。
こういうケースは確かに困る,ということがあるなら,その場合に限定解釈する,などの方法もとれますし,会計帳簿のようにまあ,それはしょうがないだろうね,という危険性の高い情報であれば理解もしますが,どうして株主名簿が競業者にわたるとそんなに困るんだろう,ということがわからないのです。
仮に,閲覧謄写請求権はどうでもよい権利ですから何でも制約してやってください,と考えたとしても,どうせ線を引くなら,もっとましなところがあったはずで,こういう線の引き方を検討の上実施した,というなら,そのバランスは,いかがなものでしょうか。
だからミスならわかるんです。その上で,立法論として,プライバシーの問題も重大で,他方,名簿の閲覧の頻度も低く必要な場合も限られているから,こういう線引きにしよう,と正面から立法したんだったら,わかるんです。しかし,この立法で正しい,なぜなら,とやられると,それはちょっと私のつたないバランス感覚では理解できないと申し上げているのです。
>なお、「要綱」の基本的な位置づけを確認しておきたいと思います。要綱は、法務大臣の諮問機関が法務大臣に答申するものですよね。ですから、内閣法制局、他省庁、与党、野党、国会が、要項に拘束されることはありませんし、拘束される意思もありません。そのため、他省庁、与野党、衆参両院における調整プロセスで、要綱を実現した法案の内容が変更されたり、要項の内容を実現するために、要綱に書いていないことを付け足したりすることはありえます。
特に会社法は、要綱の成立後に、郵政民営化や敵対的買収への危惧感という様々な政治的荒波が生じ、その中で成立したものですから、要項に書かれていないことが盛り込まれたとしても、不思議ではありません。
上記の点は,存じ上げております。ですから,付け加わったこと自体,それほど問題視しておりません。
ただ,補足説明でああいう書き方をしたら,3号のような規定は置かないと普通は読みます。それを前提に法制審議会でも特に異論はありませんね,という形で推移していた。パブコメでもたぶんそういう指摘はなかったんですよね。
ところが。。。なので,何にも話がなかったが政治課題であがって全然あさっての話が入ったというならともかく,そういう話とちょっと違うのではないか,という方がいらっしゃっても不思議じゃないですよねと思ったまでです。
> ikさんは、パブコメや要項に囚われすぎているのではないでしょうか。
上記ご参照のこと。ことさらに3号に相当する記載がないと読むのでなく,何も書いていないから他の事項と同じだ,とおっしゃるなら,別にこだわるものではありません。要綱違反なんかも実はあるとは聞いてますし。
> 国会審議を経て成立した条文の解釈は、当該条文の文言という制約の中で行うしかなく、それを超えるものは、立法論に過ぎません。
そういう観点から、私も、前回の記事では、解釈論と立法論を分けて論じています。
文言の制約の中で解釈するのは当然ですが,立法趣旨を問い,その合理性を確認した上で,限定解釈をするなどの解釈手法はいくらでもあります。
ですから,すべて立法論と片付けるわけにも行かないでしょう。
そのような解釈の余地がおよそないのか,あるのかをとう意味でもその立法趣旨が問題になると思います。立法趣旨の合理性が疑わしい場合,それを裁判所が限定することは十分にあると理解していますが,間違いですか。
投稿: ik | 2007年11月15日 (木) 05時33分
すっきりコメントして,本文を拝見しましたが,閲覧拒否権の濫用という構成は私も考えました。これが比較的広く認められるなら,実務的には安定的なところに落ち着くと思います。ただ,立証責任は変わってしまいますが。
閲覧方法の制限については,アイデアがありますが,現時点では,大人の事情で申し上げられません(笑)。気づいておられるとは思いますが。
投稿: ik | 2007年11月15日 (木) 05時38分
ご回答頂きありがとうございます。
たびたび申し訳ありませんが、ご教示願います。
> A12
> 完全子会社となる会社の株主が株式買取請求権を行使した後に、株式交換の効力発生日が到来した場合、その効力発生日に、株式が、まず完全子会社に移転し、完全子会社の自己株式として、株式交換の対価の割当てが行われます。
先生のご説明ですと、効力発生日後に代金を支払う場合、すでに自己株式取得の効力が発生しているので、会社法117条5項は無意味な規定と思えるのですが…。
117条5項にいう「株式買取請求に係る株式の買取り」の効力とは何を指すのでしょうか?
よろしくお願い申し上げます。
投稿: msm | 2007年11月15日 (木) 10時24分
11/11付のQ10にご回答頂きありがとうございました。
重ねての質問で恐縮ですが、株式移転時に株式移転完全子会社が発行していた新株予約権の内容として「組織再編行為に伴う新株予約権の交付に関する事項」が定められていなかった場合でも、①再編時に完全子会社発行の新株予約予約権の代わりとして新設親会社発行の新株予約権として付与(承継)することは可能でしょうか?②この場合でも、新設親会社において、会計上費用計上は引き続き求められないということでよろしいでしょうか?③従前の新株予約権が税制適格ストックオプションだった場合に、承継されたストックオプションも税制適格として扱ってよろしいでしょうか?(国税庁マターと言われそうですが)
細かい質問ですみません。
投稿: 百個桃 | 2007年11月15日 (木) 16時39分
知識の共有法について、ご教示いただけますでしょうか。
以前、先生が検察におられたときのエピソードして、ダンボール箱何百箱分の押収資料を担当を分けて内容を確認するということを紹介されていました。 その際、各担当者が読み取った・理解した内容をどのような方法で、記録し、他のに伝え・共有されていたのでしょうか。 お仕事の性質上、かなり精度の高いものであったはずです。
これをお聞きするのは、現在三人のチームで仕事をしているのですが、収集した資料・知識・判断過程の効果的な方法がなかなかみつからずにいることからです。
ヒントでもいただければ幸いです。
投稿: むぎゅ | 2007年11月16日 (金) 12時19分
組織再編行為についての質問です。
吸収合併の承認のための株主総会の基準日以降、株主総会前に、消滅会社の株式を取得した株主は、株式買取請求権を行使できるのでしょうか。785条2項1号ロからは、当該株主は株主総会で議決権を行使できないので、買取請求権を行使できるようにも読めるのですが・・・。
よろしくご教示ください。
投稿: 反対株主 | 2007年11月16日 (金) 18時29分
319条1項で取締役の提案する株主総会の目的事項は、取締役会設置会社の場合、取締役会における決定が必要なのでしょうか。298条1項の適用はないけれども、362条4項の「その他重要な業務執行の決定」にあたるとして、必要ということでしょうか。ご教示願います。
投稿: 企業戦士 | 2007年11月16日 (金) 20時43分
あの、ここで聞いて良いかわからないのですが、葉玉先生が一番初めに会社法を勉強した時は、どのような教科書(ページ数、著書等)を使用し、どのように学習していたのでしょうか。
早く全体像を把握したいので、良い本を教えて頂ければと思っております。
投稿: 初学者 | 2007年11月17日 (土) 00時46分
金融庁、法務省、経団連
新聞社、テレビ局、公認会計士協会
みなさん大人の事情で大変ですね・・・・・・・・・
http://www.youtube.com/watch?v=KsGZekog5M0
投稿: 大人の事情 | 2007年11月17日 (土) 14時11分
11月15日のQ16の質問をした者です。
ご回答頂きありがとうございます。
再度申し訳ありませんが、ご教示願います。
あのような質問をしましたのは、いわゆる「100%減資」をする際、(1)普通株式のみを発行している株式会社であれば、まず「当て馬株式」を設ける旨の定款変更をし、普通株式に全部取得条項をつける手続きをとるものと理解していますが、(2)複数の種類株式を発行している会社の場合、「当て馬株式」を設ける旨の定款変更をせずとも、発行済みの全ての種類株式それぞれにつき同じ内容の全部取得条項をつけることが可能なのか、と疑問に思ったためです。
果たして、複数の種類株式を発行している会社においてこのような方法をとることが可能なのでしょうか、ご教示くださいますよう、よろしくお願いします。
Q16
千問の道標Q75に関連する質問なのですが、複数の種類の株式が発行されている場合において、当該複数の株式について、同じ内容の譲渡制限等を付する変更を行うときには、各種類株式についてそれぞれ同一条件の108条1項4号の譲渡制限等を付するとあるのですが、これらと同様の手続によって当該複数の株式について、同じ内容の全部取得条項を付する変更を行うことができるのでしょうか。
投稿 ゆうじ | 2007年11月14日 (水) 17時32分
A16
問題意識がよく分からないのですが、同じ内容の全部取得条項を複数の種類株式につけることはできます。
投稿: ゆうじ | 2007年11月17日 (土) 15時44分
単元未満株式売渡請求権(194条1項)を定款で定めた株式会社が、単元未満株式売渡請求を受けたにもかかわらず、売渡す自己株式がない場合はどうなるのでしょうか。
投稿: | 2007年11月18日 (日) 21時28分
先生、いつもお世話になっております。
持分会社における種類の変更についてなのですが、
会社法639条の合資会社社員の退社による定款のみなし変更は、旧商法においては存在しなかった規定ですか?
旧商法においては、持分会社の種類変更については、常に定款変更に係る総社員の同意を要していましたが、
会社法においては、639条のおかげで、一部の持分会社の種類変更においては、(合資会社における有限責任社員全員の退社又は無限責任社員全員の退社)定款変更に係る総社員の同意を要さず、種類変更が出来るようになったと解して宜しいのでしょうか?
投稿: Tです。 | 2007年11月19日 (月) 11時30分
純粋未修者として、法科大学院で勉強している中年男性です。
勉強の進め方について質問させて頂きます。
以前、コメントで、
『知識の習得は、論文の演習で間違ったポイントや分析不足の点をノートに書き写して、それを繰り返してチェックしたりすること等にやってやるのです。』
また、『基本書を使うなら、「何度も通読して、3時間で1科目分を読めるようになる」というのが目標であり、演習時に問題となった点を検索する作業は、せいぜい5分以内にしておきましょう。』
とございました。
この趣旨は、ヴェテラン受験生ノート(通称ヴェテノート)を作成する意味でしょうか?
その場合、どの程度の内容を記載することイメージされていますでしょうか?
例えば、間違った内容だけ記載するので体系的には並ばないでいい、PCで編集していく、要件効果は択一六法で代替していく、規範と間違って覚えている箇所のみ記載などなど。
先生の勉強方針を自分にあてはめながら理解しているのは、
(1)択一問題を解くことを通じて、基礎学力の定着を図る。
→基本的な問題として、肢別問題集や法学検定3級問題集などをやってます。
その次に、過去問をやっていこうと考えてます。
(2)論文問題を解くことにより、書く作法と論文構成、未知の問題を減らしていく。
→基本論点がイメージ出来るように、授業の基礎論点を理解しながら、春休みに、会社法では葉玉先生の100問や、Wセミナーの論文基本問題100(または辰巳のえんしゅう本)
を解いていこうと考えてます。
先生のお考えやイメージしているものと違う点があれば、ぜひともご指摘頂ければと思います。今後ともよろしくお願い致します。
投稿: 純粋未修無謀挑戦者J | 2007年11月20日 (火) 15時00分
社外役員として選任されなかった監査役or取締役がのちに社外役員になれるのでしょうか。どんな手続きをすればよいのでしょうか。施行規則第2条3項5号に社外役員の要件がありますが、イは理解できますがロのいずれかの要件に該当することという(1)(2)(3)が理解できません。例えば(2)の427条第1項の社外監査役であることとは、責任限定契約を締結すればよろしいのでしょうか。
ご教示ください。
投稿: kiki | 2007年11月20日 (火) 17時55分
会計参与について質問させてください。
会社法377条1項は、会計参与に対し、書類作成に関する事項について取締役と意見が異なるときの意見陳述権を規定しています。他方、374条1項を見ると、書類作成は「取締役と共同して」行なうと規定されています。共同作成された書類につき意見が異なるという場合がイメージし難いのですが、これは、意見が異なったままで妥協的に共同作成されたような場合を想定していると考えてよいのでしょうか?
(一つ前のエントリーに間違えて投稿しましたが、そちらは無視してください)
投稿: すきっ腹 | 2007年11月20日 (火) 18時40分
先日は株券電子化セミナーに参加させていただきありがとうごさいました。
質問は株券電子化とまったく関係のない事柄です。上場会社の場合、物理的には基準日公告から最短6週間程度で臨時株主総会は開催できると思います。基準日公告が出る前後で経営陣が出そうとしている議案がわかり、その対案として株主提案を提出しようとしても8週間前はすでに過ぎてしまっています。会社側は8週間前を楯にその株主提案をその総会に上程することを拒否できると考えるべきなのでしょうか。
投稿: デラシネの法務 | 2007年11月21日 (水) 01時34分
お忙しいところ申し訳ありません。
どうしても腑に落ちないのでお教え下さい。
会社法108条2項1号では、発行可能種類株式総数及び
「当該種類の株主に交付する配当財産の価額の決定の方法、剰余金の配当をする条件その他剰余金の配当に関する取扱いの内容」
を定めなければならないとあり、
同3項では、
「前項の規定にかかわらず、同項各号に定める事項(剰余金の配当について内容の異なる種類の種類株主が配当を受けることができる額その他法務省令で定める事項に限る。)の全部又は一部については、当該種類の株式を初めて発行する時までに、株主総会(取締役会設置会社にあっては株主総会又は取締役会、清算人会設置会社にあっては株主総会又は清算人会)の決議によって定める旨を定款で定めることができる。この場合においては、その内容の要綱を定款で定めなければならない。
とあります。
2項と3項を素直に読めば、
”定款への定めは、前項(2項)だけでいいのだが、前項のうちの全部又は一部についての決定については、その株式の内容として、実際にその株式を発行するとなったときに、(取締役会等での)決定ができると定めてもいいよ”」と解釈するのではないかと思うのです。
この場合、2項1号の「当該種類の株主に交付する配当財産の価額の決定の方法、剰余金の配当をする条件その他剰余金の配当に関する取扱いの内容」の記載から解釈するに、配当財産が金銭の場合でも具体的金額まで定める必要はないと思うのですが、学者さんの本その他一般に出回っている書籍では、
”配当財産が金銭の場合は、本当は定款上に具体的金額まで記載しなければならないのだが、実際に発行するまでには、社会情勢の変化等で適正価格が変動するだろうから、そのときまで決定を猶予している」といったニュアンスで書かれています。
また、会社法基本通達(平成18年3月31日第782号)では、P14~P16において、実際に発行する決議をし、同時に具体的な金額を決定した場合は、それまで、「1株当たり300円を限度として先に配当する」という定めをしていた場合は、「1株当たり300円を先に配当する」というように、確定額として登記を変更しなければならないとされています。
そもそも、優先配当株式だからといっても会社に剰余金がなければ無配の場合もあるわけですし、「1株当たり300円を先に配当する」と定めても、あわせて、
「300円に達しない場合であっても、その不足額は翌期以降填補しない」と
定めれば、結局250円の場合でも何ら問題ないわけです。
さらに、実際に発行する際に確定額である300円と定めてしまったら、その額が
その株式の内容として確定するので、
同じ(だと思っていた)株式を追加で優先額250円で発行しようというときは、
実は同じ株式ではなく、違う株式となり、定款変更が必要となるのだと思います。
長い前置きになってしまいましたが、
条文上は、配当財産が金銭の場合、具体的な金額まで定めなさいと書かれていない(と解釈できる)ので、
①最終的には、発行するときまでに具体的金額を定める必要があるというのは本当に正しいのでしょうか?
②正しい場合、大変不躾なお願いですが、私のヘリツクを覆すその理由をお教え下さい。
投稿: よっパー | 2007年11月21日 (水) 22時22分
刑事畑の実務家です。新会社法を勉強したくて、このサイトを見つけました。恥ずかしながら商事実務については全くの無知なものでご教示をお願いします。
先のブルドッグソース事件では、当該事例での最高裁の判断基準が示されましたが、仮にその余の条件は同一であるとして、当該新株予約権の内容だけが、非適格者の議決権行使のみを制限する趣旨のものであった場合に、会社法あるいは取引所ルールでは、どのような問題が生じていたのでしょうか?そもそもそのような内容の新株予約権は発行できるのでしょうか?仮に発行可能として、相当性の問題として、オプション評価理論による適正価額を保証することを前提にした上で、普通決議で足りると解釈する余地はありますでしょうか?
投稿: rove | 2007年11月21日 (水) 22時55分
普段から拝見させていただいています。
以前から司法試験大幅合格による競争についていくらかコメントがありますが、
11月19日の公認会計士試験の合格発表についてご覧になったでしょうか?
4000人程度の合格だそうで、合格率も倍になったようです。
やはりこういった点では会計士も弁護士のように競争が激化するでしょうか?
この合格者増は賛否両論あるようですが、競争の進展で「勉強のしていない会計士」が淘汰されて望ましいでしょうか?
競争が激化して新規合格者の教育が十分になされず望ましくない事象でしょうか?
どういったようにお考えになられるのかお聞きしたいです。
投稿: ミツ | 2007年11月22日 (木) 01時13分
会計士受験生だったTHです。先日合格発表があり、ようやく合格できました。受験回数は4回になってしまいました。
今年の会社法の勉強には先生の会社法100問を使用させていただきました。論証が予備校の論証集よりも長いのではじめは大変でしたが、徐々に定着してきましたし、先生の思考順序が明瞭に示されていて分かりやすかったです。さらに、先生のブログで会社法100問の解説までしてくださったので更に理解が深まったと考えています。本試験でも会社法100問の例題によく似た問題が出題されていたので本番でもその威力を十分に発揮できたと思います。今年一年間の成績も去年までとは別人のように飛躍的に伸び、予備校の公開模試でも今年は全国上位を維持することができました。会社法100問は一年間の酷使により今ではヨレヨレになってしまいました。
しかし、合格するまでに犠牲にしたものは計り知れないものでした。受験期間は5年に渡り、21歳で勉強を始めたのですが今では26歳になってしまいました。失ったものはもう戻ってきませんが、後にこの5年を振り返ったとき「それでもやってよかった」と思えるように、これからの一日一日を大切に生きて行きたいと思います。本当にありがとうございました。
投稿: TH | 2007年11月22日 (木) 23時57分
競業者の株主名簿閲覧については次のような弊害も考えられるのではないでしょうか。
A社がB社と合併しようとしています。A社が大きくなるのが気に入らない大手C社は、合併を阻止したい。
競業者の場合、取引先は共通している場合が多くありますので、株主名簿を閲覧し、A社の株式を保有している取引先に対し、合併に反対しなければ当社(C社)との取引を打ち切るぞと脅す。そしてC社との取引がなくなるのをおそれたA社の株式を保有している取引先は合併に反対し、反対票は1/3を超え、合併議案はあえなく否決される。
このように、株主にとって企業価値が向上するかどうかではなく、別の次元で議案が否決されてしまうことになります。
競業者の取引先ぐらいは簡単に検討がつき、また親密取引先が株式を保有していることは当然のことであり、株主名簿を閲覧しなくとも先に述べたことは起こりうるわけですが、持ち株数を明示したうえで脅せば、圧力の度合いも高まり、重点的にどこに圧力をかければよいかもわかります。
以 上
投稿: デラシネの法務 | 2007年11月23日 (金) 02時48分
有職LS生のひまわりてんびんと申します。
条解ほにゃららとか、コンメンタールシリーズというのは、参考書として有用でしょうか?
というのは、言い換えると、立法趣旨や立法目的は理解する必要があるのでしょうか?
効率よく、手際よく合格するためには不要な気もしますが、単に何でそのような定義であり、要件が必要とされるのかが理解していないと、実務家になってから原理原則から思考できず、条文を使いこなせないような気がしています。
葉玉先生は、どのようにお考えでしょうか?
先生は、受験時代はひとまず定義や要件、効果だけをひたすらおぼえられたのでしょうか?
まずは、試験の合格と割り切るべきなのでしょうか?(とはいえ、割り切って勉強するにしても大変な試験だということは重々承知しているつもりです。)
お忙しいところ恐縮ですが、ご教示いただけたら幸いです。
投稿: ひまわりてんびん | 2008年1月 4日 (金) 20時24分