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2007年10月27日 (土)

臨時取締役会

 NOVAが会社更生法の適用を申請いたしました。

 NOVAうさぎで一世を風靡していたのに、本当に諸行無常の響きありです。

 私の親せきにも、NOVAにかなり高額な授業料を支払い、その大部分を無駄にした人がいます。
 今年4月に最高裁がNOVAの解約手続きについて、特定商取引法に反して無効と判断したときには、「もしかしたら戻ってくるかも」と一瞬思ったものの、私は、長い塾講師の経験から
  この手の途中脱落者は、無茶苦茶沢山いるだろうな。
  お金を返すとなると、すごく大変だな
と分かっていたので、いつか今日のような日が来る予感はしておりました。

さて、単に会社更生法の申請だけだと「会社法であそぼ。」的ではないのですが、NOVAは、ここ最近、新株予約権の発行の取締役会決議等を巡って、会社法の生きる教材のような行為をしていますので、それを追いながら、会社法的解説をしたいと思います。事実関係は、報道ベースなので、間違っていたら、ごめんなさい。

NOVAは、10月9日に新株予約権発行の取締役会が開催しています。

この新株予約権の払込価額は、その時点の1か月の平均株価からすれば、特に有利と言えるかどうか微妙なところですが、発行済株式総数が約6700万株しかないのに、新株予約権の潜在株式数を2億株という授権枠目一杯に設定していて、「うーん」という感じです。

 内容はともかく、非常に問題なのは、この取締役会の議事録は、取締役4名と監査役3名が出席したという内容であるにもかかわらず、議事録に
    監査役 3名について、印鑑が押されていない
ということです。

 押されていない理由は不明ですが、10月初旬に、監査役全員が辞任届を出していることからすると、本当は、監査役は、出席していなかったのではないか(適法な開催手続きがされていたのか)、さらに言えば、取締役会が開催されたのだろうか、という点に疑いが生じます。

 NOVAのケースはともかく、一般論を言えば、取締役会を開催しないまま、代表取締役が、独断で、新株予約権の発行手続きを行ってしまったとすれば、有価証券届出書の「本新株予約権については、○○日開催の当社取締役会において発行を決議しております。」という部分は虚偽になるでしょうから有価証券報告書虚偽記載罪の問題が生じてしまいます。

 もっとも、取締役会の決議や有利発行の株主総会決議を欠いたとしても、一旦、新株予約権が発行されてしまえば、無効事由には該当しないと一般的には解されているので、新株予約権の登記は、虚偽にはならないのでしょうね(手続がほとんど実行されていない場合や、引受人の実体がない場合には、新株予約権の不存在と評価され、虚偽登記になる可能性もないとは言えません)。

 以上のようにNOVAの新株予約権は、適法か違法かは別として、問題を抱えており、しかも、新株予約権者に大きな利益をもたらす可能性のあるものだったので、後日、株主と新株予約権者との間で紛争が生じるかも知れないと思っていたところ、本日、代表取締役が解職され、会社更生法の適用が申請されてしまったため、逆に、新株予約権者は、せっかく7000万円も払い込んだのに、その権利を失う可能性がでてきました。
 新株予約権は債権なので、更生債権となり、新株予約権の行使をすることはできなくなりますし、更生計画の内容次第ではありますが、カット(消滅)させられる可能性は高いのではないでしょうか。

 このような大どんでん返しが起こった本日のクーデターも、また、不思議な感じです。

 先ほど書いたように、10月25日に取締役1名と監査役3名が辞表を提出していますが、監査役3名が辞任してしまいますと、欠員となってしまうので
  監査役3名は、欠員が解消するまで、監査役としての権利義務を負う
ことになります。
 他方、辞表を提出した取締役は、4名のうちの1名ですから、そのまま取締役から外れているはずです(辞任は、一方的意思表示で可能です)。

 ということは、本日(10月26日)の取締役会については、本来ならば、
   辞任した取締役を除く取締役3名と監査役3名
で開催されなければならないはずなのですが

報道
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200710260319.html
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200710240285.html
によると

 監査役三人は10月初旬に、創業メンバーの取締役の一人が10月中旬に、辞任届を提出したが、取締役社長と連絡が取れなかった。二十五日午前、取締役社長が、社内に「あす臨時役員会を開く」と一方的に通告したが、二十五日深夜、取締役3人が抜き打ちで臨時取締役会を開き、社長の解任を決議した。

とのことであり、一体、どういう手続きで取締役会が開催されたのか「?」がつきます。

NOVAの定款では、取締役会の招集手続きについては
 「取締役社長」が会日の3日前(ただし、緊急の場合は短縮可能)に取締役と監査役に招集通知を送る
ことになっていますから、本来、取締役社長以外取締役が取締役を開催するためには

1 その取締役が、取締役社長に対し、招集の目的である事項(解職)を示して、招集請求をし、請求後5日以内に取締役社長が招集通知をしない場合に、はじめて招集を請求することができる

2 招集請求をすることができるようになった取締役は、他の取締役と監査役(今回の場合、辞任した監査役も含む)に招集通知をしなければならない

というハードルを越えなければならず
   取締役3人が抜き打ちで開催すること
は、無理なはずです(取締役と監査役の全員が開催に同意した場合のみ、招集手続を省略できます)。

 しかも、本日の取締役会には、辞任したはずの取締役も参加しています(もしかしたら、辞任の効力が発生していなかったのかもしれません。)。

 以上のように、NOVAの取締役会については、よく分からない点が山積みな上、その取締役会決議で、
  代表取締役を選定し、かつ
  会社更生法の適用の申請も決定する
ということをやったので、今後、会社更生法の手続きにも影響しそうな予感がします。

 さらに、複雑なことに、解職された代表取締役は、大株主であり、本来ならば、他の取締役を解任するだけのパワーを持っていたようです。しかし、更正開始決定がされれば、会社に対するコントロールを失ってしまうので、そこらへんも、普通だったら歯ぎしりしたくなる部分です。

 おそらく報道されていない取締役会の適法性を基礎づける事情は存在するのであろうと思いますが、会社更生手続の成り行きを含め、会社法ウォッチャーとしては、今後の展開を見守りたいと思います。

(質問コーナー)
Q1
勤務中に時々拝見しているのですが、
できれば「上司・同僚に覗かれても差支えない」デザインに
変えていただけませんか(笑)。
現在のデザインは、説明を要するので・・。
投稿 社会人兼ロー生 | 2007年10月22日 (月) 09時24分
A1
以前より、その要望をお受けいたしておりますが、私のポリシーは
 堅苦しくしたくない
 遊び心を失いたくない
 世間が会社法のブログと思わないようなデザインにしたい
というところにありますので、デザインを変えても、かえって
 上司に見せられないもの
になってしまう可能性があります(笑)

Q2
もしかしたら聞いてはいけない事情かもしれませんが、
株券電子化セミナーの「午前」と「午後」で開催時間に一時間の差があるのは、
何故なのでしょうか?
投稿 AB | 2007年10月23日 (火) 18時31分
A2
すいません。セミナーの中身は同じです。
午前は、名刺交換等の時間を入れるのを忘れてしまったのです。

Q3
種類株式について質問があります
①まず初歩的な質問で申し訳ないのですがある種類株式の一部のみに新たに内容を付け加えることはできないのでしょうか?
投稿 かいけいし受験生 | 2007年10月24日 (水) 00時13分

A3
  種類株主の全員の同意があれば、可能です。
 全員の同意を取るのが難しいので、当て馬株式を使います。

Q4
補欠監査役の任期につきましてはこれまでも何度かご説明を拝見しており,重複
する質問となり恐縮なのですが,第366条第3項の解釈につき改めてご教示頂
きたく,宜しくお願いいたします。
千問の道標Q423において,当該条項は補欠監査役だけでなく監査役が任期途中
に辞任した場合に株主総会で新たに(「補欠」ではない)監査役を選任する場合
にも適用される旨のご説明があり,過去に本ブログでも同旨のご説明を拝見して
おりますが,本条項の文言上は「補欠として選任された」と明確に定められてい
るにもかかわらず,かかる解釈をとる余地はあるのでしょうか。
また,法律・定款に定める員数を欠くこととはならない場合にも適用はあると考
えることになるのでしょうか。
A4
 「補欠」は、旧商法では、監査役に任期途中で辞任した場合に補充される監査役という意味で使われていました。ですから、そちらの使い方が本家であり、これに、会社法で採用れた、欠員が生じたときに備えた事前に選任しておく補欠監査役が加わったと考えるとよいでしょう。
 なお、法律・定款に定める員数を欠くこととはならない場合であっても、366条3項は適用されると思います。

    

    

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2007年10月20日 (土)

危機管理

 最初にちょっと広告を。

 以前、株券電子化セミナーの募集を行いましたが、多数のご応募をいただきありがとうございました。
 以前、ご応募いただけなかった方で、もし参加を希望される方は、次の5回は、まだ10-20名くらいは、定員に余裕がございます。
【東京会場】
場所:TMI総合法律事務所内 大会議室(Room 8)
① 10月30日(火) 09:30~12:00
② 11月2日(金)  09:30~12:00
③ 11月13日(火) 09:30~12:00
④ 11月14日(水) 09:30~12:00
【大阪会場】
場所:梅田スカイビル スペース36
http://www.skybldg.co.jp/use/access.html
⑤ 11月16日(金)  13:30-17:00

 参加ご希望の方は
   会社名
   お役職
   氏名
   参加を希望する日

        seminar@tmi.gr.jp
にメールしてください。
 先着順ですので、定員になり次第、締め切らせていただきます。

 次に、本題です。

 最近、クライアント様とミーティングする度に
  「エリカ様と時津風親方の危機管理手法の比較」を読みたいのですが。
と頼まれ、やや狼狽しています。

 たいして面白くなさそうなので、ボツにしただけだったのですが、読みたいと言われて書かなければ男が廃るので「ちゃんと書いてみるか」と思っていたところ、そのうち
  赤福とか、亀田家とか
とか、次々に危機管理を問われる事態が生じてしまったので、もう一度、ネタを練り直すことにしました。
 今日は、危機管理のうち、レビュテーションリスクの管理についてお話しようと思います。

 危機管理には、いくつかのプロセスがありますが、中身は「火の用心」とよく似ています。
1 危機が起こりにくくする(予防)
   =用もないのに火を使わない。火を使うときには、細心の注意を払う。
2 予想されない危機が起こる余地を減らす(限定)
   =火の元を限定する。第三者から放火されにくい環境を作る
3 危機が起きたことに、すぐ気づく(察知)
   =火の元から離れない。火災警報器を設置する。
4 危機が起きたときには、すぐに沈静化させる(沈静化)
   =消化器は手元に置く。いつでも消化できるように訓練しておく。
5 危機が拡大しないようにする(拡散防止)
   =燃えやすい物は、火の周りにおかない。
    一旦、火が上がったら、燃え移りそうなところは、事前に壊してしまう

この危機管理プロセスは、あらゆるリスクに共通ですが、最近一番怖いレピュテーションリスク(特にマスコミで叩かれること)についても、マスコミの特徴を把握した上で、このプロセスで対応すれば、それなりに乗り切れるものです(経験談)。

 亀田家のように放火して自分が火だるまになるという感じのパフォーマンスをされると、レピュテーションリスクの「予防」や「限定」など不可能ですが、そうでなければ、社会的評価を下げる不祥事が生じないように行動するように気をつけているのが普通でしょう。
 ただ、レピュテーションリスクで怖いのは、マスコミの取り上げる「不祥事」は、リーガルリスクとは異なる観点で、判断されるということです。

 たとえば、法律家らしく、違法性という観点から、最近の不祥事の深刻さを測れば
前時津風親方>>> 赤福 >> 亀田家 > 朝青龍 >>> エリカ様
ですよね。
 前時津風親方の問題は、人が死んでいるので、とてつもなく大きい問題。赤福は法律違反、亀田家は試合中の犯則、朝青龍は職務懈怠で、いずれもルールに違反している。
 それに対し、エリカ様はマナーが悪かったというだけなので、それほど悪くない。
 私はエリカ様が好きなので、ひいき目が入っているのは間違いないものの、リーガルリスクは0に近い。

 それにもかかわらず、マスコミの取り上げ方は
  朝青龍 > 前時津風親方 = > エリカ様 > 亀田家 >>> 赤福
でした(ただし亀田家は、ランキング急上昇中です)。

 もし、エリカ様が出演者挨拶で「別に・・」と言った直後に、私のところにやって来て
  「さっきの発言はまずかった?何かフォローしなきゃいけない?」
と相談したたとすれば(妄想モード)、私は
  「リーガルリスクは0だから、何もしなくていいです」
と答えるのではなく、その発言がマスコミ的にどの程度大きく取り上げられるかを分析して、リスクへの対応を助言したと思います。

 その際、一番、気にしなければならないのは
  テレビ
です。テレビで視聴率が採れると、他のテレビ局、雑誌、新聞に飛び火して、あっという間に大火事になります。
 したがって、不祥事のリスクの大きさは、テレビに取り上げられる情報の特徴である
    ① 「いい絵」になるか
    ② 情報が新鮮か
        ③ 続きがあるか
        ④ 視聴者の理性ではなく、感情を揺さぶるか
        ⑤ 他に視聴率の採れそうな、情報が報道されているか
という5つの観点から判断することになります。

 エリカ様の発言の場合
  ①「別に・・」というすごく「いい絵」がある
  ②新鮮
  ③「エリカ様」「沢尻会」など一連の女王様キャラで何回か連続してネタが組める
  ④エリカ様の態度は、女の子の礼儀にうるさい奥様方の感情を逆なでにする
  ⑤最近CM露出が著しいエリカ様のネタであり、かつ、朝青龍問題が飽きられてきたので他に報道すべきネタがない
ということだったので、非常にリスクの高い発言だと判断せざるをえません。

 仮に、「別に・・」という映像がなかったとしたら、せいぜい週刊誌が取り上げるくらいで、テレビとしては報道しづらいので、リスクは少ないと判断すると思いますが
   あの映像は、非常に感情を揺さぶる
ので、非常に危険でした。
 とすると、エリカ様としては、「別に・・」と言った後、すぐにリスクを察知すべきでしたし、芸能人のネタは、和田アキ子さん等のご意見番がコメントする前に消火しておかないと、そのコメントがまた報道されて、火の手が広がることになるので、できれば、舞台を降りてすぐに、関係者に謝罪し、ブログで謝罪していれば、あそこまで大きな問題にはならなかったと思います。

 もっとも、エリカ様は、リスクの察知はやや遅かったものの、消火にあたっては、最も効果的な「女の涙」を使って、きちんと消火しました。

 テレビは、「いい絵」に対する渇望があると同時に
  記者が「弱い者いじめ」をしているように見えてはならない
という大きな制約があります。

 亀田戦の実況中継に対して批判が集中したように、映像を通じた取材は諸刃の剣です。
 だから、テレビ局の取材において
   朝青龍や亀田家のように、強そうに見える人に対しては、強気の取材攻勢をかけることができますが、
  女性や子供に対して強気の質問をして、泣かしてしまうようなことをすると、それ以上の追求は自分の首を絞める
ことになりかねません。
 しかも、「女の涙」は、非常に「いい絵」になりますから、それが繰り返し報道され、テレビ局の「弱い者いじめ」が印象づけられることになります。

 そういう意味で「女の涙」は、最大の消火方法なのです。アパグループにしても、渋谷の温泉の爆発にしても、女性社長の涙が出た会見が報道された後、テレビの取材が急に弱気になったのは、そういう理由ではないかと思います。

 逆に、前時津風親方のように、マスコミの取材に対してふてぶてしい態度をとり続けると、それがバッシングに最適な「いい絵」となり、その映像を何度も流して、徹底的に叩くことができます。

 「ふてぶてしい顔」「大きい身体」「おじさん」「外人」等の要素を持った責任者については、マスコミがどれだけ叩いても、視聴者は哀れみを感じないので、その責任者の存在自体がリスクです。

 そのような責任者がリスクを回避するためには、か弱そうな若い女性か、身体の弱そうなお婆さんを副責任者にして、カメラの前で、その女性と一緒に土下座して謝るのがベストです(半分冗談です)。

 結局、マスコミ対策としては
 ① バッシングに都合のいい「いい絵」を取られないようにする
 ②「いい絵」を取られてしまったら、「女の涙」のような消火効果の高い「いい絵」を取らせる
というのが最大のポイントです。

 また、テレビは、情報の新鮮さが重要なので、不祥事があったら一気に発表し、ひたすら謝った方が得策です。
 不祥事を小出しにすれば、連続ドラマのように、毎日のように報道されます。
 テレビに出るような不祥事を起こしてしまったら、最初の記者会見で、関連する不祥事から社長の愛人の話まで全てぶちまけて、土下座し、それから、しばらく「いい絵」を取らせないようにするのがベストです(半分冗談です)。

 テレビは、追加で目新しい情報が出てこないと報道しづらいので、最初の会見から数日後には、もうそのことを話題にすることができなくなります。

 さらに、テレビは、一定の時間帯にニュースを詰め込まなければならないので、視聴率の採れるニュースがあるときに、不祥事を発表すれば、取扱いが小さくなります。
 エリカ様はニュース渇望期の被害者ですが、逆に、赤福は
   亀田家のおかげで、大分、助かった
のではないでしょうか。

 もっとも、発表時期を選ぶのは常套手段ではあるものの、早期発表しないとそれ自体がバッシングの原因になるので、要注意ですね。

 テレビ局は、自由に報道しているように見えますが、実は、視聴率、映像、時間という制約を持っています。
 危機管理をお手伝いする弁護士としては、そのテレビ局の制約を利用して、早期に消火して、ボヤで済むようにしなければなりません。
 他にも語りたいことは沢山ありますが、やはり会社法とは何の関係もない記事になりましたので、今日は、このくらいにしときます。

(質問コーナー)
Q1
コンサルとして内部統制評価報告書制度対応プロジェクトに関わらせて頂いている者です。
金商法の内部統制評価報告書制度が小さな不正を防止できるにすぎない「もったいない」ものであることについては激しく同意致します。日々文書化の徒労を会社さんと嘆いています。
しかし、以下の点については気になりましたのでコメントさせて頂きました。
■「Q&A」は、監査人の無茶苦茶をとめるためのものなんだろうか?
■実施基準通りやれば、お金が節約できるのだろうか?
■ところでほとんどの会社で内部統制はきちんと出来ているのだろうか?
■会社法の内部統制は、多くの会社で「対応」できているのだろうか?
実際は書籍、他社の文例を参考に、事業報告に載る文字を繕っているだけの会社さんが多い。裏付けとなる仕組みがあるかというと、、、。記述内容は会社法や規則の不備では無いけれど、意味があるかって言ってひどいもんなんですよねえ(--;)。今後、これを根拠に責任を問われる場面があったら背筋が寒い会社は多そうです。
法務省に苦情がないのは、さすがに、招集通知に1、2頁書く技量だけはどの会社にもあったというに過ぎないのでしょう。
投稿 千年 | 2007年10月13日 (土) 14時17分
A1
 私も、ご指摘の点は、そのとおりであると思います。
 会社法の内部統制は、立ち居振る舞いをひとつひとつ指示することはしないので、そのようなことを気にしない会社さんは、事業報告や監査報告を適当にごまかすだけというところもあるでしょう。
 しかし、まあ、そういう会社さんは、問題が生じたときには取締役に責任を採っていただくことになり、逆に、問題が生じないならば、それはそれでよいと思うのです。
 金商法の内部統制のように立ち居振る舞いが規制される(ようにみえる)と、独自の適切な内部統制をしている会社さんは、「なんでこんなことをしなければならないのか?」という気になるのでしょうし、自ずと無駄な作業が生まれがちになります。
 会社法の内部統制のように放任主義よりも、金商法の内部統制の方が立派に見える人もいるかもしれませんが、一長一短です。

Q2
2007年3月4日「種類株式と株主割当(2)」の記事で、会社法202Ⅰの「株主」に種類株主を含めていいのかについて、若干、調整しなければならない気がします。という下りで終わっていますが、結局はどう落ち着いたのでしょうか?
仮に、特定の種類株主への株式の割当も、202条で規律されるとすると、同年2月1日「募集株式の発行(1)」の3「株主以外の者に対して」C.株主の一人である松真さんに600株全部を割当てて発行することは、「株主に対する発行」ではなく、「株主以外の者に対する発行」である。という記述は、
1種類の株式のみ発行の場合は、妥当。
数種の株式を発行している場合に、その内の特定の種類株主にのみ発行する場合は、妥当しない。
という理解になるのでしょうか。
投稿 新司受験生T。 | 2007年10月13日 (土) 14時37分
A2
調整しようとしたのですが、結論は留保されたまま、みんなすっかり忘れてしまっていました。

Q3
三角合併に関しての質問です。
三角株式交換のメリットとして、行政庁から受けている許認可等を取り直さなければならない、登記・登録している財産について名義変更が必要とありますが、その手続き等は時間・お金はそれほど莫大になるのでしょうか?
投稿 学生 | 2007年10月13日 (土) 21時22分
A3
許認可は、出るかでないか分からないので、時価・お金がどれほどかかるか分かりません。
出ないと大変ですね。
登記は、不動産が多いか少ないかによって違うでしょうが、安くはないです。

Q4
株主名簿閲覧の拒否事由について
確かに,法務省の方は,会社法の解説で,プライバシーに配慮,という説明を一応しておられます。
その意味では,今回のご回答は,その線にしたがったものといえます。
しかし,仮にプライバシーに配慮するのであれば,
① なぜ競業者に限定して拒絶事由とするのか
② 競業者以外の者が閲覧した場合に広く開示を認めている。
という2点において理解できません。
少なくとも,プライバシー保護を絶対的理由として,競業者のみを厳しく規制する根拠にはなりません。
②についていえば,株主名簿は原則として閲覧・謄写するものとされ,一定の弊害のある場合だけを拒絶可能としています。会社法は,むしろ株主名簿を見せることに意義があると考えていると読まざるを得ません。
そうだとすると,競業の場合に特段の弊害がある,ということになるはずです。
しかし,会計帳簿と異なり,そのような弊害は思い当たらないのです。
ですから,今回のご説明は,理解に苦しむところです。
投稿 ik | 2007年10月14日 (日) 04時24分
A4
ikさんの理論も分からないわけではありませんが、拒否事由というのは、純理論的に割り切れるものではないように思います。
ikさんは、「株主名簿を見せることに意義があると考えていると読まざるを得ない」とおっしゃいますが、競業者は、明文による閲覧拒否事由ですから、
「競業者には見せないと考えていると読まざるをえない」
のです。
 また、こうも考えられるのではないでしょうか。
 会社にとって、株主は、自己の事業に賛同し、出資してくれる「お客様」です。
 数ある同業者の中で、自社を選び、貴重なお金を会社の資金としてくれた「お客様」です。
 例えば、コンピューターソフト会社の株式会社葉玉システムに100億円出資していただいている株主の松真さんの名前と住所をikソフトに閲覧されてしまうと、ikソフトが松真さんに「ソフトウェア会社に投資されるのならば、ikソフトの方が成長力があります。葉玉システム株を売って、その資金をikソフトにご出資ください」と営業をかけるかもしれません。
 それで、本当に松真さんが、ikソフトに乗り換えたら、葉玉ソフトは、安定株主を失い、株価が暴落するかもしれません。
 これは、立派な弊害であるように思います。

なお、法制審議会の件は、私は、議事録を見ていないので、私の勘違いかもしれません。
すいませんでした。

Q5
『私のような第三者的な立場から見ると、そうした無茶な注文をつける監査人は、勉強不足であり、褒められたものではないと思うものの、その人だけが悪いというわけでもないように思います。』
公認会計士になるために
こんなに勉強して受験して、また実務についてからも日々勉強して
なお勉強不足とはいささか配慮にかける発言です。
厳重注意!
投稿 会計士受験生 | 2007年10月14日 (日) 16時03分
A5
私は、勉強した監査人さんを責めているのではなく、無茶な監査人さんを責めているのですので、そんなにおかしな発言じゃないですが。
 まあ、私は、性格的に「配慮に欠けやすい」性格ですし、最近、配慮に欠けたエリカ様や亀様がバッシングに合っているので、気をつけます。

Q6
取締役の対会社責任について質問です。
「会社法マスター115講座」P153によると、「利益相反取引該当事実が主張立証された場合、反証が可能」とありますが、取締役の側としては、具体的にいかなる事実を主張立証することになるのでしょうか。
また、423条3項で任務懈怠が推定される結果、取締役の側としては、反証では足りないのではないでしょうか。
投稿 受験生です | 2007年10月14日 (日) 22時18分
A6
利益相反取引について、損害を回避するに足る十分な調査と説明と対策をやったことを主張立証することになるのでしょう。
なお、推定は、反証で覆ります。

Q7
> 私の感覚では、今の内部統制報告制度は、担当者の小さな不正会計の
>予防には役立つが、本当に防止しなければならない会社ぐるみの(場合に
>よっては、取引先ぐるみ、監査人ぐるみの)不正会計は防止できないと
>思います。
「全ては防止できない」ならまだしも、「防止できない」と断言するのは問題です。
このような発言は私的なブログとはいえ、慎んでいただきたいと思います。
絶対的な制度など存在しないことは先生もご存知のはずなのに、
立法者側の立場にいた方の発言としては大変残念です。
私の実務経験上、内部統制報告制度によって、小さな不正会計だけでなく、
会社ぐるみの不正会計に対してもそれなりの抑止力になると考えます。
会計実務をご存知ないのかもしれませんが、会社ぐるみの不正会計を
行うにしても、経営者による担当者レベルの会計実務への介入が必要です。
形式的であれ、内部統制を強化することは、ある程度の抑止力になるはずです。
A7
会社ぐるみというのは、経営者も、担当者も、場合によっては、監査人も、不正会計をしって、それを隠蔽することです。
私が、刑事事件の捜査を通してみてきた不正会計は、そのようなものであり、それで、不正会計を防ぐのは、無理だと思いました。
帳簿・帳票・証票類に矛盾があればまだしも、それが、すべて組織的に矛盾無く作成されていたら、そのような不正会計を内部統制で防げるのでしょうか?

Q8
内部統制構築の責任は、第一義的に経営者にあるにもかかわらず、
それを誤解させるような文脈になっていることが気になります。
(他にも監査制度や二重責任の原則を理解していないコメントもありますが)
先生のおっしゃる通り、内部統制は経営のツールであるはずです。
ただ、それを文書化できないのは、制度が悪いという理由だけでなく
経営者の無責任であり、無能だからという理由のほうが大きいと思います。
これを機に、無益な会社を淘汰できれば良いのではないでしょうか。
愚痴が多いのは物事の本質を理解できない愚か者ばかりです。
投稿 元実務家 | 2007年10月16日 (火) 19時40分
A8
Q&Aに記載されている「必ずフローチャートを作れ」とか、「監査人の使っている内部統制ツールを使え」とか、「同一のIT基盤を使え」とか、「3か月システム改訂をやるな」とかいう人こそ、「第一義的に経営者に責任がある」ことや「二重責任の原則」を分かっていないのではないでしょうか。
 私は、世の中の上場会社の経営者に無能な人が一人もいないとは言いませんし、実際に内部統制なんて存在しないような会社があるのも否定しません。
 しかし、文書化できない経営者が「無能」というのは間違いです。経営能力を文書化力で計測する考え方は、この世の中に存在するのでしょうか?
 世界の優良企業の中で、文書化を完璧にやっている会社が何社あるのでしょうか?
 文書化だけが仕事ではない、不正会計防止だけが仕事ではないというバランス感覚を忘れると、それ自体、内部統制システムとしては欠陥を抱えることになります。
 なお、「無益な会社を淘汰できればよい」というのは、非常に怖い考え方で、全く賛成できません。

Q9
いつもお世話になっております。100問の22、総会決議ない有利発行について質問させてください。
1.譲渡制限ある場合に212Ⅰ①で(既存)株主の損害てん補可とありますが、通謀の要件がありますので必ずしもあてはまらないのではないですか?
2.公開会社では譲渡制限の有無に関わらず、429で損害賠償に加え、要件満たせば212条でてん補が可能だと思いますが、なぜ譲渡制限ない場合に429のみ、制限ある場合212Ⅰ①のみを挙げているのですか?
3.質問2の私の考えが正しければ、議決制限ない場合もある場合も株主のの保護の要請は全く同じです。(正しくなくても、100問の答案では結論として両者とも株主の利益を軽視しているので以下の議論は当てはまりますが)
とすれば取得者の利益の検討で決することになると思います。
譲渡制限ある株式の場合は転々流通予定されていないので、『有効でも140条指定買取の利益は無効にした場合の840条の利益と大差なく、譲受人保護の必要性低い』という非公開会社と同じ論法が成り立ちそうで、無効という結論が妥当にも思えますが、如何でしょうか?
投稿 論文落ち商法B | 2007年10月16日 (火) 22時52分
A9
1 通謀がなければ、あたりませんが、著しく不公正な払込価額で引受契約をして、通謀がない場合は希だと思います。

2 特に深い意味はありません。流れですね。

3 非公開会社と同じ論法が成り立つ部分もありますが、それ以外の理由付けを見ていただければ分かるとおり、結論としては、有効とした方が条文上は素直でしょう。とくに、提訴期間が公開会社と非公開会社で区別されている点を無効説は説明しにくいように思います。

Q10
 債務超過の子会社清算で、債権者として以下のような状況に直面しております。(かなり長いのですが、ご容赦ください)宜しくお願いいたします。
(以下、略)
投稿 Anshi | 2007年10月18日 (木) 15時33分
A10
 長文をいただいて申し訳ありませんが、具体的なケースの相談は、コンフリクトの可能性もあるため、お答えすることができません。

Q11
1個の新株予約権の一部行使はできますか。
A11
新株予約権の内容によっては、一部行使をすることができると思います。

Q12
いつも楽しく拝見しております。私はロースクール受験生です。
 率直に質問しますが(相談に近いですが…)、会社法の「計算」のところがさっぱりわかりません。会計知識がまったくないため、具体的にイメージできないからだと思います。
 それで、何か理解を助けるいい方法はないでしょうか?
 私としては会計の入門程度の勉強を先行させるべきだと思いますが、あまり時間を割けられず、頭を抱えています。
投稿 OFD | 2007年10月20日 (土) 01時59分
A12
 本で、会計の勉強をしても、具体的なイメージはつかめないかもしれませんね。
 いい先生にならえば、そんなに難しい話じゃないんですが。
 まあ、分からないならば、とりあえず無視したらどうでしょうか。

Q13
譲渡価額を取得価額とする契約は公序良俗に反せず有効であるとしながらも、株価が高額になったからといって事後的に契約は無効だ、というのは法律行為についての規定である公序良俗違反の用法としては誤りですよね?
また、株価の変動は契約時に当然に予定されているから、たとえ譲渡時に株価が高額になっていたとしても従業員株主は信義則によっても履行拒絶しえないですよね(できると教わったのですが…)?
A13
 公序良俗は、ケースバイケースですね。
 たぶん、契約後に株価が高くなったことを問題にしているのではなくて、株価がどんなに高騰しても、買取価格が一定であるというところを、公序良俗としているのでしょう。

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2007年10月13日 (土)

内部統制Q&A

 最近、このブログは週刊誌化しているため、情報が遅れがちですが、今日は
  「内部統制報告制度に関するQ&A」(金融庁総務企画局)
   http://www.fsa.go.jp/news/19/syouken/20071002-1/05-1.pdf
について、若干、思うところを述べたいと思います。

 Q&Aの中身は、当たり前のことが書かれているだけであり、内部統制報告制度の導入の検討が行われた当時の議論に沿ったことが書かれているだけです。

 金融庁は、なぜ、わざわざこんな当たり前のことを言わなければならなくなったのでしょうか。それは、おそらく、企業が、監査人との協議で、相当、カリカリしているからなのだと思います。このブログのコメント欄で、盛んに内部統制漫才を繰り広げられている方もきっとそんな一人なのでしょう。

 このQ&Aが発表されるまでの経緯を邪推すれば、次のような感じだったのではないでしょうか。

  監査人が担当者に手間のかかる注文をつける
    ↓ 
   担当者が憤慨する → 担当者が経営者に泣きつく
    ↓            ↓
    ↓         経営者が政治家に泣きつく
    ↓                   ↓
担当者が金融庁に質問する  政治家が金融庁の偉い人に注文する
    ↓                   ↓
質問の殺到で答えるのが大変  金融庁の偉い人が金融庁の現場に指示する
    ↓                   ↓
 金融庁は「監査人は、内部統制をビジネスの道具にしているのではないか」と疑う
          


金融庁は、Q&Aを公表して、企業が、監査人の無茶な注文に対抗できる手段を与える

 Q&AのQに書かれている無茶なことは、きっと企業が、監査人(又はコンサル)から言われたことなのでしょう。

 そして、金融庁としては、金商法の改正作業の最中から
   米SOX法みたいに手間と金のかかるようなことはやるべきではない
という批判を受けて、せっかく
  「トップダウン型リスクアプローチ」とか、
  「ダイレクトレポーティングの不採用」とか、
いろいろと手間とお金を節約できる方法を取り入れたはずだったのに、実際には、金融庁に
  「必要性の観点を無視した文書化のための文書化」
  「監査人がプロセスの有効性を評価しようとしているのではないかと思うほどの監査人からの保守的な助言」
等企業からの血の叫びが次々に舞い込んだので、こうしたQ&Aを公表したんでしょうね。

 私のような第三者的な立場から見ると、そうした無茶な注文をつける監査人は、勉強不足であり、褒められたものではないと思うものの、その人だけが悪いというわけでもないように思います。

 監査人の立場から見ると、自分が
  文書を作らせないリスク
  システムを導入しないリスク
を負担しなければならない動機がありませんから、保守的になるのは当然のことです。

 もしかしたら、株主が、監査人(=会計監査人)に対し
  効率性を害する無駄な文書化を強制した
という理由で代表訴訟を起こすようなことが頻発したり
  法律が、文書化のための費用と監査人への報酬の合計額について最高限度額を定める(総量規制をする)
と、急に
  「そんなに沢山の文書を作らなくてもいいよ」
ということになるかもしれません(笑)。

 しかし、そうでもない限り、監査人には、無駄な文書化をやめろという積極的な動機はなく、企業に対する要求が高めになる傾向になるのは、ある意味、理解できます(それが、良いということではありません)。

 こうした内部統制報告制度の悲劇は、この制度そのものが
  「文書化」「IT」という「形」を要求しながら、具体的に、どんな「形」を整えれば十分なのかを明確にすることができない
ということに起因しています。

 普通は、形式を要求する法律は、作らなければならない書類の内容や、数を限定しています。たとえば、会社法では、毎年、計算書類等を作成しなければならないというルールがありますが、計算書類等が何かということは明確です。金商法でも、有価証券報告書等については、どのようなものを作ればいいかは明確です。

 ところが、内部統制報告制度においては、実施基準を見ても、どのような文書をどの程度作らなければならないのか、どのようなコンピューターシステムを構築しなければならないのか、形式的・一律的に判断することはできません。

 そのため、ビジネス欲の強いコンサルタント等から、「あれも必要」「これも必要」と言われたり、自己の責任を回避したい監査人から保守的な対応(=いろいろな文書を作れば作るほどよいという対応)を要求されたりしたときに、経営者が
  そんなの関係ねえ!そんなの関係ねえ!
と反論することが難しく、監査人も、どれだけ文書化させればよいか明確ではないので、「文書化しなくてよい」という勇気がもてません。

 また、内部統制報告制度で使われるバタくさい用語は、多くの経営者や現場の人に対し、「頼むから、日本語を喋ってくれ」という気持ちを起こさせ、思考を停止させ、良く分からないから、形式だけは整えようという形式主義を蔓延させました。

 きっと、現場の本音は「こんなことやっても、不正会計を防止できるわけないのに、なんで手間ばかり増やすんだ」というところでしょうし、検事時代に沢山の不正会計を見てきた私も
  「自分が担当していた事件の不正会計が、今の内部統制報告制度で防止できただろうか」
と検証すると、首をひねらざるを得ません。
 私の感覚では、今の内部統制報告制度は、担当者の小さな不正会計の予防には役立つが、本当に防止しなければならない会社ぐるみの(場合によっては、取引先ぐるみ、監査人ぐるみの)不正会計は防止できないと思います。

 また、現実には、小規模な新興企業ほど内部統制をしっかりしなければならないことが多いのに、コストの面からその実現は難しいというジレンマもあります。

 まあ、本来、ノウハウに過ぎないような各種ツールを「規制」の枠組みに取り込んだ米SOX法が、法制度として未熟であったということが最大の元凶だと思うものの、日本も、やむにやまれず、似たような内部統制報告制度を採用せざるをえなくなったわけですから、せめて運用レベルにおいては、関係者全員が常識的な対応をとるのが良いと思うのですが。

 ちなみに、会社法上も、コンプライアンスを含めた内部統制システムの整備が義務づけられる場合があり、監査役による監査も義務づけられているにもかかわらず、こちらの方は、法務省に不満を述べる人の声を聞いたことがありません。

 これは、
① 会社法は、「内部統制なんていうものは、会社ごとに違うのだから、どんなツールをつかって内部統制しようと、結果として内部統制が実現できればよい」という「形」に拘らない法制を取っていること
② 監査するのが外部者である会計監査人ではなく、監査役であること(ビジネスが絡まない)
の2点によるところが大きいでしょう。

 上場企業の株価下落要因となる不祥事のほとんどは、不正会計ではなく、コンプライアンスの問題ですから、本当は、もっと会社法上の内部統制に力をいれて欲しいところです。

 会計上の内部統制に、ちょっとした工夫をすれば、コンプライアンス等も組み入れられると思うのですが、金商法の内部統制狂想曲に踊らされている企業には、その余裕がなく、狂想曲終了後に、組み入れようようとすると、また莫大なコストがかかるため、きっとそんなことをする企業は少ないんでしょうね。

 「もったいない」の一言につきます。
 
 

(質問コーナー)
 ちなみに今日は、Q60までありますので、全部読もうとするひとは、結構、根気が必要です。
Q1
【Q369】
図表4-2に関してです。
この表は大変わかりやすいのですが一つだけ監査役会設置会社にするには取締役会
が設置強制される趣旨がわかりません
 というのも取締役が1,2名しかいない場合には3名以上の監査役を要する監査役会を置くべきではないとありますが、監査役会を置いて経営陣の監視に重点を置くことは何ら否定されるべき価値観・考えではないと思うからです。
 したがって何か取締役会でなければいけないような積極的な意味づけが他にあると思うのですがこのような消極的な趣旨しかなかったのでしょうか。
A1
積極的な意味はありません。法制審議会で、なんとなく、そのような感じになったので、そうなっているのです。

Q2
【Q374】
図表4-4に関してです
取締役会の場合定款の定めが廃止されると委員は任期終了とありますが
意味がわかりません。取締役は任期終了という意味でしょうか
仮にそうだとした場合表の中でこの部分だけ条文の摘示がありませんが
根拠条文を教えてください
A2
委員会の委員ではなくなるという意味です。
委員会設置会社じゃなくなりますからね。委員で居続けるのは無理です。

Q3
次に委員会設置会社が監査役を置く規定の定めをした場合
アスタリスクにあるように委員会を置く旨の定款の定めを廃止する必要があるので、表中監査役の規定を定款で定めた場合委員は単なる取締役となるとありますが、委員は取締役となると同時に会社法332条4項2号の適用を受け任期満了となるわけではないのでしょうか。
A3
委員会設置会社ではなくなるので、結局、任期満了になります。

Q4
【Q398】
解説中において①~⑤のものが社外取締役が行っても業務の執行に該当しないとありますが、⑤の買収防衛策の発動の有無を社外取締役が決定することは、業務即ち、会社の目的である具体的事業活動に関与に当たりうるのではないでしょうか。職務と業務を適格に見分ける要件はないでしょうか。定義だけですと基準として明確性にやや欠けると思うのです。
A4
買収防衛策が、具体的事業活動にあたるという理由がよく分かりません。
私は、従来の考え方からすると、無茶苦茶明確だと思いますが、明確な定義があれば、ぜひ提示していただきたいと思います。

Q5
【Q399】
委員会設置会社以外の会社において使用人でもある取締役が社外取締役の要件を満たさないのは明白ですが、委員会設置会社以外という留保付な問い方から推察すると、委員会設置会社の場合には結論が異なりうるのでしょうか。
A5
結論は同じです。

Q6
【Q403】
基本的なことをお聞きしますので恥ずかしいのですが、委員会設置会社にあっては各委員会の過半数を社外取締役にする必要がありますが、各委員会は3人以上ですから(400条1項)各委員会で3人の場合は2人が、4人の場合にも2人が、5人の場合には3人が社外取締役である必要があるということでしょうか
4人の場合の解答が自信ありません。
A6
4人の半数は2人なので、過半数は3人です。

Q7
【Q437】
退職金が単なる贈与と見られることはないのでしょうか。
仮に名目退職金が可分なものである場合賃金(職務執行対価)の後払的性質を持つ部分についてのみ361条の適用があると見てよいでしょうか
解説中では例外なく退職金は361条の適用を受けるように思わせます。
A7
贈与は、贈与。退職金は退職金ですね。当事者が退職金として支払うのに、贈与というのは、意思表示理論からはありえません。

Q8
【Q448】
問題文は自己のための競業取引ですが、第三者のために行った場合も
競業取引自体は当然有効なのでしょうか。
A8
有効です。

Q9
【Q450】
356条1項2号の「ために」の解釈は名義か計算かの論争は明文による立法的解決は難しかったのでしょうか。会社法施行後の基本書でも計算の意義であると言い切っているものがあります。
A9
立法的に解決してますよね。「ために」と「計算」で書き分けているわけですから。
基本書が「計算」と言い切るのは学問の自由でいいと思いますが、名義説が正しいと思います。

Q10
【Q455】
自己取引を直接行った取締役も任務懈怠がないことを主張立証すれば任務懈怠責任を免れるとありますが、これは要するに会社法423条3項の法律上の推定を覆せば責任を免れるという意味でしょうか。
これまで、会社法428条1項は不可抗力の場合ですら免責されないわけですから自己取引をした取締役には損害が生じれば無過失の立証も当然許さない趣旨と見ていたのですが、無過失立証をすることは許すと言うことでしょうか。
A10
条文通りですね。無過失立証は許しません。しかし、任務懈怠がないことの反証は許します。過失と任務懈怠を混同していると、分からなくなります。

Q11
【Q475】
図表4-9に関してです。
出資財産等の価額てん補責任には免除手続きが一切ないのはなぜですか。
総株主の同意があっても許さないという趣旨でしょうか。
同様の52条には55条による免除規定が設けられていますが、55条を類推することも許されませんか。
A11
条文通りです。

Q12
【Q482】
この問題に関して会社法908条類推または354条の適用はありませんか。
最判昭和43年11月1日によれば会社代表権限を有するものを定める場合には適用されないとあります。では会社が被告となる場合ではなく、取締役として登記されている者自身が被告当事者となる場合でも被告適格は認められないのでしょうか。
A12
類推はありません。訴訟法と実体法は別です。
訴訟法の表見代理の問題で勉強してください。

Q13
【Q483】
847条7項の悪意とはどのように定義されていますか。あるいは、裁判例では名古屋高決H7/3/8、大阪高決H9/11/18がありますがどちらが近いでしょうか。
A13
解釈ですので、ご自由に。

Q14
【Q487】
株式交換、株式移転、合併の対価が金銭等又は完全親会社や存続会社の株式以外の財産である場合には会社法851条1項の適用がないため原告適格を失うことになるが、
これでは会社が意図的に株式以外を交付することで原告適格を失わせることができることになり公益目的の意味もある株主代表訴訟の意義からして妥当ではないのではないでしょうか。これを防ぐ手だては原告にありますか。
A14
妥当でしょう。
単に、株式買取請求の価格の中に、代表訴訟の対象となっている財産の価値をどれだけ反映させるかという問題でしょう。

Q15
【Q506】
図表4-11に関してですがこの表の意味がよくわかりません。
取締役会決議の省略の場合①②③の全ての手続きが省略可能とありますが①が省略できるのは正しいですか。
取締役会への報告の省略の場合③が省略できないとなっておらず網掛けになっているのはなぜですか。
A15
正しいです。
網掛けについては、報告であり、決議要件は関係ないからです。

Q16
【Q529】
施行規則102条6号とありますが5号でしょうか
A16
5号です。

Q17
【Q537】
解説2のたとえば以下で、会計参与が通常の注意を払っても計算書類などの基礎となった会計帳簿に虚偽の記載があることを発見することが困難であった場合には過失が認められないとありますが、この場合の注意義務は善管注意義務(会社法329条330条、民法644条)であり通常の注意では足りないと思われるのですがいかがでしょうか
A17
 言葉の問題に過ぎません。

Q18
【Q540】
監査役が会計参与を兼ねることができるかに関して会社法335条2項だけをみますと、株式会社の当該子会社の会計参与の兼任禁止を定めるのみで当該株式会社には禁止と規定しておりません。親会社もしくは当該株式会社の会計参与との兼任は禁止されていないように見えます
一方、会社法333条では3項1号で監査役が当該株式会社の会計参与にもなれないとあります。
この場合会社法335条2項と333条3項1号はどういう風に読めばよいのでしょうか
条文上会社法335条2項で子会社の会計参与のみ規定されているのが原因ですが、何か理由があるのでしょうか
また、会社法333条では当該株式会社の親会社の場合について規定しておりませんが親会社の監査役の場合には兼任は許されるのでしょうか(今度は会社法335条2項に引っかかるように思えます)このあたり錯綜しており読み込むのが難しいです。
A18
それをまとめたのが、図表4-13ですから、これを見て勉強してください。

Q19
【Q541】
図表4-13に関連してです。前問と関わります
親会社が監査役の原則の場合又は社外監査役の場合で子会社が会計参与の場合に会社法335条2項により兼任禁止とありますがQ540の回答によれば会社法333条1項1号により兼任禁止となりませんか。
A19
同一会社内で兼ねるときと、親子会社では違いますし、兼任禁止と欠格事由も違います。

Q20
【Q559】
取締役を債務者とする違法行為の差し止めの場合には法律行為の場合も有効とありますがこれだと、会社のために差し止めを規定した意義が没却されませんか。
新株発行差し止めの仮処分がなされたのにもかかわらずなお発行を強行した場合は無効とする判例の法理が応用されないでしょうか。
A20
適用されません。新株発行差し止めは、会社が相手方ですから、ぜんぜん違います。

Q21
【Q571】
会計監査人の前払い請求について監査役や会計参与のような取り扱いが設けられなかった趣旨はこれらの者のように職務執行の充実を図る必要性が低いということでしょうか
A21
会計監査人は、お金持ちだからでしょう・・・。

Q22
【Q582】
委員会設置会社以外の会社で業務執行取締役に委任できない事項のうち、①から④まで362条4項1号から4号までの事由が挙げられています。
そのほかの6号や7号は委員会設置会社においても委任できない事項ですが、5号の社債については委任できるはずです。しかし解説中には4号までしか挙げられておらず5号がありませんがなぜでしょうか
また⑥の定款授権ある場合の指定買取人の指定についてですが授権があれば、140条5項但し書きにより委任ができるはずですから定款授権がない場合ではないでしょうか。
A22
 社債は、監査役設置会社でも委任の範囲が広いからです。
 定款授権は、「ない」が正しいですね。

Q23
【Q655】
図表5-2に関連してです
会社法319条の場合原則的手続①から3まで全て省略可能とありますが①の省略も当然に含まれるのでしょうか
会社法320条の場合も①は省略しうるのでしょうか。また③の場合が網掛けになっているのはどういう意味でしょうか
A23
取締役会の決議・報告の省略で述べたとおりです。

Q24
【Q677】
会社法461条の適用がないとして対象から除外されている者のうち会社法166条1項と170条5項の場合についても適用除外とされたのはなぜですか。
会社法461条の対象に含まれたものは462条の適用があるわけですが、上記2つの場合は462条の適用があっても良い、会社にとって危険な行為類型だと思われます。
461条の対象とされたもののメルクマールはありますか。
A24
会社法100問を参照してください。詳しく理由が書かれています。

Q25
【Q697】
分配可能額を超えて剰余金が配当された場合は不当利得の返還義務規定適用がないとありますが、剰余金配当自体は有効なのでしょうか。
それとも無効だけど不当利得の特則として会社法462条があるという事でしょうか。

また、会社法463条2項の代位行使は民法423条の特則として定められておりその効果も相殺するまでもなく、直接自己に金銭を支払せることができるという理解で宜しいでしょうか
A25
配当は有効です(学説は無効とする説が多いようですが、私には、なぜ無効とするのか、理由がよく分かりません)。
詳しくは、私の商事法務の論文を見てください。
後段は、そのとおりです。

Q26
【Q700】
解説中による方法により免除が可能だとしても、債権者の詐害行為取消の可能性は否定されないという理解で宜しいでしょうか
A26
詐害行為になるならば、取り消せるでしょう。

Q27
【Q706】
マイナスの額と払い戻しをした額のいずれか小さい額を支払う義務を負うとありますが、会社法465条によれば超過額(マイナス額)と払戻額(各号に定める額)という理解が正しければいずれか大きい額の支払義務を負うのではないでしょうか。
A27
言葉の問題ですが、465条の文言に従った表現です。

Q28
【Q727】
図表8-1に関してです
準備金の額のみの減少において欠損額を超えない場合ですが、会社法459条で定めた場合において449条はどう関係するのでしょうか。
449条1項1号によれば定時株主総会において会社法448条の事項について定めた場合に欠損額を超えない場合、債権者保護手続きが不要となると思うのですが、会社法459条の場合は取締役会で定めることになります(2号)とすると、449条但し書き適用の要件を欠くので債権者保護手続きは原則通り必要に思えます。しかし図表では債権者保護手続きはなしとあります。
A28
図表は、限られたスペースで書くので、誤解を生んだのならば、すいません。

Q29
【Q736】
会社法499条1項1号となっています。
A29
ご指摘ありがとうございます。449条です。

Q30
【Q743】
計算46条1号イが挙げられていますが計算48条1項2号ではないでしょうか
A30
そうですね。

Q31
【Q754】
確認株式会社において定款で5年以内に1000万円の資本金に達しない場合に解散する旨の定めを廃止する場合に会社法466条の適用が排除され取締役会の決議等で決定できる根拠条文を教えてください
A31
すいません。今、手許に条文がありません。

Q32
【Q762】
解説の3で2つ以上の公告方法を定めることもできるとありますが、会社法939条はいずれかをと言う文言で規定しており、解するに、3つのうちから一つという意味ではないのでしょうか。それとも、持ち分会社にかかわらず会社は1項に規定されている3つの公告方法であれば、3つまで定めることができると言う意味だったのでしょうか。
A32
書かれているとおりです。

Q33
【Q764】
合同会社において労務出資や信用出資は可能かという質問に対して報酬債権はたとえば可能とありますが、これは労務出資に当たらないのではないかという疑問があります。債権は6号の金銭等に含まれると解されるからです。
結局質問の答えとしては、不可能であるという理解で宜しいでしょうか。
A33
「労務出資とは何でしょうね?」というのがポイントでしょう。

Q34
【Q770】
詐害的出資行為のうち出資行為のみ民法424条で取り消す場合には、2年の出訴期間の制限は類推適用されないのでしょうか
A34
類推を主張するのは、常に自由ですが、認められることは少ないでしょう。

Q35
【Q777】
合資会社の有限責任社員が合同会社となる場合ですが、639条の規定による場合には919条の適用はないということで宜しいでしょうか。
A35
合名会社となる旨の定款の変更をしたものとみなされますから、919条は適用されるでしょう。

Q36
【Q781】
会社法593条では確かに5項により1項2項は除外されていますが、会社法577条の適用により法律の規定に反しないものを規定することができるはずですからQ781条の場合も明文の禁止規定はなく、反しないと考えられるので定款で制限可能ではないでしょうか。
A36
書いているとおりです。

Q37
【Q798と794】
株式会社の代表取締役が一人は日本に住所地を有することを必要とされているとありますがその根拠条文を教えてください。
A37
登記実務上の解釈です。

Q38
【Q801】
合資会社の有限責任社員の場合会社法605条類推とありますが、会社法580条2項の適用ににより出資の増加した価額を限度として当然弁済責任を負うと解されるのではないでしょうか
A38
書いているとおりです。

Q39
【Q809】
次表図表11-2を参照されたいではなく、されない。になっています。
A39
ご指摘ありがとうございます。

Q40
【Q819】
解説2で不当な払い戻しが行われた場合債権者との関係で払い戻しに相当する部分が出資未履行となるとありますが、不当な払い戻しでも有効なのであれば払戻し前から未履行であればともかくとして、もともと出資が行われた部分の未履行は観念できないので
はないでしょうか。
A40
書かれているとおりです。

Q41
【Q821】
合同会社の違法な出資の払戻しに関しては、会社法633条により業務執行社員が免責される場合でも出資の払い戻しを受けた社員の責任は免責されないという理解で宜しいでしょうか
A41
そうでしょう。

Q42
【Q824】
自己完結的な体系を目指したと思われる会社法が定款目的範囲外の行為についてはいまだに会社法以外の法律の民法34条を利用するのはなぜでしょうか。
A42
民法や一般法人法は、一般法ですから、一般法でいけるものをわざわざ会社法には書きません。

Q43
【Q843】
施行規則99条にいう「2以上」とは回数又は種類のいずれかが複数であれば、これに該当するのでしょうか。
1種類の社債を1回だけ募集する場合にのみ委任ができると言うことでしょうか。
A43
 委任の範囲は、ご質問のものより、広いです。

Q44
【Q875】
会社法724条2項2号のいう、第706条1項の規定により社債権者集会の決議を必要とする事項とはたとえば何をさすのでしょうか。724条2項1号の場合と区別されている趣旨を教えてください
A44
 社債管理会社がない場合がありますから。

Q45
【Q890】
簡易事業譲渡の要件が総資産額なのに対し簡易事業譲り受けの場合は純資産額とされた趣旨を教えてください。
A45
 譲渡側と譲受側は、利害関係が全然違います。

Q46
【Q907】
無対価の組織再編行為は、会社法と、となっているのは会社法上というふうに読み替えればよいでしょうか
A46
そうですね。

Q47
【Q911】
施行規則23条6号ロをみても外国会社同士で三角合併を行う場合はもとより、一方が外国会社でない場合などにも135条の例外が適用されるようにみえるのですが、どのように解釈すると外国会社同士限定と解することができるのでしょうか
A47
外国会社同士限定とは、書いていないですが?

Q48
【Q947】
効力発生日の変更につき790条は存続会社との合意により変更できるとありますが、解説中では、当時会社の代表者が単独で変更できるという説明がされております。
これはどういう意味でしょうか。一方当事会社が単独で決めてそれを相手方当事会社が追認するのであればそれは合意による変更といえますし、したがいまして単独でとあえてかかれているのはどのような根拠からでしょうか。
A48
 新設分割、株式移転は、単独ですよね。

Q49
【Q950】
吸収合併における消滅会社の株主に存続会社の株式以外の財産を交付した場合には効力発生日以後、当該株主は合併契約書の閲覧請求を認められないとありますが、合併無効の訴えを提起するに当たり、効力が生じた日から6ヶ月以内は認める必要性が高いのではないでしょうか。契約書を6ヶ月間備え置くことの趣旨からしても、仮に債権者たる地位を有していなくても認めても良いのではないでしょうか。
A49
立法論ですね。

Q50
【Q968】
解説の2で475条2号が引用されていますが3号でしょうか
A50
そうですね。

Q51
109条2項の具体的イメージがはっきりしません。こんな使い方があるよ、というのを2~3教えていただけませんか?
投稿 本屋前 | 2007年10月 6日 (土) 23時54分
A51
「葉玉匡美は、1株につき10個の議決権を有する」という感じでしょうか。

Q52
以前、株式買取請求に出てくる「公正な価格」についての記述があったと思いますが、
それについて、一点質問があります。
「公正な価格」は、合併等がなければ有していたであろう価格ではなく、シナジー効果、相乗効果を反映した価格ということで、プラスがあれば、それを上乗せした価格になるということでした。
そこでなのですが、債務超過がひどい会社との合併で、シナジー効果が見込めず、一気に株価が下落してしまったという状況の中、それでも会社が合併を強行した場合は、株主は「合併等がなければ有していたであろう価格」の請求が可能なのでしょうか?
合併前後のシナジーを考慮すると言っても、完全にマイナスになってしまう場合は、考慮の外と考えれば良いのでしょうか?お答えいただければ幸いです。
投稿 kou | 2007年10月 7日 (日) 14時44分
A52
場合によっては、「合併等がなければ有していたであろう価格」でしょう。
裁判所が公正と思うものが、公正です。

Q53
会社法の事業譲渡等についてなのですが、事業譲渡等に該当する「事業の全部の譲渡」とは、何について「全部」なのでしょうか?
会社が保有する事業が3つある場合のそれら3つか、特定事業の中の、営業所や、特定の部門をまとめて、という意味の全部なのでしょうか。
投稿 yoshi | 2007年10月 7日 (日) 17時55分
A53
 3つともです。「一部」の意義は、会社法100問で解釈していますので、それを反対解釈してください。

Q54
10月4日に旧司法試験の論文合格発表がありました。
合格者はわずか250人。
合格率はわすか1%強でした。
来年はおそらく合格率1%を切るでしょう・・・
消え行く旧司法試験に関して何か一言コメントをお願いします。
投稿 aguri | 2007年10月 7日 (日) 23時29分
A54
旧司法試験がなくなれば、予備試験が始まります。
試験制度なんて、なんでもいいんですよ。
というか、現実に目の前にあるものを乗り越えればよいだけであり、乗り越えなければならないのです。
合格率1%は少ないように見えますが、現在の受験生の構成を見る限り、私が、受験していたころと、難易度がそれほど違わないように思います。
「合格するための努力をした人は合格し、努力が足りなければ合格しない。」
どんな試験でもそれだけ分かっていればいいのです。

Q55
108条1項7号の全部取得条項付種類株式に関する質問です。
当該株式は、従来の100%減資を可能とするために会社法により新たに導入された制度とされています(神田「会社法」9版 P.78)が、一定の要件で既存の株式全てを取得する為のものと考えると、なぜ107条の規定ではなく、108条の種類株式として規定されているのでしょうか。
更に、当該株式と108条1項6号の取得条項付種類株式の具体的な相違を指摘して下されば幸いです。
投稿 水玉かふぇ | 2007年10月 9日 (火) 03時36分
A55
107条だと、すべての株式が一旦取得されてしまい気持ち悪いから、という良く分からない理由です。
 取得条項付は、最初から取得の対価がきまっていますが、全部取得条項付種類株式は、取得時に株主総会で対価を決めます。

Q56
 私は旧試験生ですが、今月から始まる予備校の旧試験の答練を受けるか迷っています。
 というのも、過去の予備校答練の問題は四年分になるし、まだ択一に合格したことがないので来年に向けて択一の時間を集中的に増やしたいからです。答練を受けない代わりに、葉玉先生が仰る様に、論文過去問を毎日一通書いて、答練に代替しようと考えてます(なお、答練の成績は平均25くらいで、2,3回に1回は成績優秀者にも番号が載ります)。
 ただ、大多数の人が受けるのに自分だけ受けないのは不利にならないか等、不安でもあります。
 やはり答練は受けた方が良いでしょうか?
投稿 消えゆく旧試験生A | 2007年10月10日 (水) 17時47分
A56
 答練は受けても受けなくてもいいですが、他人に答案を見てもらうほうがいいです。

Q57
2007年10月6日の Q1 および Q10 にて質問させていただいた者です。ご回答ありがとうございました。
Q1 を質問させていただいた理由は、ある信託銀行主催の会社法セミナーにて、「297条4項により株主が招集する株主総会については、議長に係る定款規定はその効力を失う…」、
「最悪の場合、招集株主に議長を取られる可能性がある…」、
「だから、株主からの招集請求があった場合、素直に(取締役が)招集すべきだ…」云々の言があったからです。
(残念ながら、そのセミナーでは講師に直接質問できませんでした…)
上記については、いかが解したらいいのでしょうか?
投稿 ツェーベーツェー | 2007年10月10日 (水) 18時22分

Q1のご回答は,私も解せないですね。裁判所の許可をとって株主が招集する場合,定款による議長の定めの効力はなくなり,議場で選ぶ必要があるというのが,少なくとも旧商法における一般的な解釈でした。過半数があれば,すぐに議長を取り返せますが,最悪の場合,議長をとられてしまうリスクがあるというご指摘は実務的な理解としては正しいと思います。また,それが面倒なので,招集許可申請事件においては,素直に会社が招集してしまうことが多いのもまた事実です。会社法では変わっているんだというのであれば,大事件です。

投稿 ik | 2007年10月11日 (木) 23時13分
A57
 株主による招集の場合には、定款による議長の定めの効力がなくなるのではなく、単に当該定めを限定解釈しているだけですよね。つまり、もともと定款は、株主による招集の場合については議長の定めをしていないと解釈した上で、株主総会で決めているのだと思います。
 たとえば、定款に、「株主招集の場合には、当該招集者が議長となる」と決めたら無効でしょうか?たぶん、そうではありませんよね。定款で二義を許さない文言で、議長の定めを設けたら、その定めを無効にする規定はないと思いますが。

Q58
 神田先生の教科書の非公開会社の場合の募集事項の決定のところに、
   『既存の株主以外の者に発行する場合には、既存株主の利益保護の
    ため、募集事項の決定には株主総会の特別決議が必要である。
    改正前商法ではこのことを「株式譲渡制限会社では株主は商法上新
    株引受権がある」または「新株引受権の法定(法律による保障)」と表
    現していた。
    会社法でもその規律の実質には変更はないが、条文の書き方として
    新株引受権を排除する場合と有利発行の場合とを一体化して書いた
    ので、条文は読みにくい。』
との記述がありますが、その記述のうち、「会社法でもその規律の実質には変更はないが」とはどのような意味なのでしょうか?
という質問をさせていただいたことがあります。
サミー先生の回答は
「 旧法   ─ 非公開会社でも取締役会で募集を決めていた
 会社法  ─ 非公開会社は株主総会で募集事項を決議
 ここに大きな違いがあり、それを考えると実質は同じである 」
とのことでした。
この説明を聞いてもあまりよくわからないので、もう少し詳しく説明していただけないでしょうか?
 会社法の下においても、原則として、株主総会で募集事項を決議するということは、非公開会社の株主は株主引受権を保障されているのと同じことだ、という意味でしょうか?
投稿 かんかん | 2007年10月11日 (木) 13時24分
A58
その意味が分かったとしても、あまり役に立たないので、旧商法との比較という効率の悪い勉強をやめて、単純に会社法の手続きを覚えた方が建設的だと思います。

Q59
お忙しい中,お答えいただき,誠にありがとうございます。ただ,法制審議会の議事録をテキスト検索しても,ご指摘のご議論は見あたりませんでした。むしろ,調査の結果,要綱試案の補足説明の段階では,競業をのぞいた会計帳簿の閲覧謄写権の拒絶事由を株主名簿にも定めて明確化すべきではないか,との案が示され,それに対して,特段ご異論はないようですね,という流れのようでしたが。会社法制定当時の解説においても,プライバシーの問題などもあって定めた,という趣旨の記述があるだけです。個人的には意味があると説明するとすれば,債権者が非上場の取引先株主をみようとするような場合かな,と思います。上場会社は,多くの場合,金商法の開示である程度の株主情報が開示されます。株主の中に取引先があるはず,というレベルになると多くの場合,開示されてしまっているように思います。また,こうした株主が市場で買っているようなことを考えると,保振法32条7項が実質株主名簿について同様の拒絶事由を定めていないことも気になります。むしろ非上場会社において特に債権者が閲覧使用とする場合にのみ,もっぱら問題になる規定なのではないか,と考えますが,いかがでしょうか。
そうした構成ができない場合,競業の意義を,会計帳簿のように類型的に弊害が明らかなものよりも厳格に解することができないか,とも思います。
さらにいうと,株主総会の招集決定を得た少数株主が競業者だった場合,どうするのですか。上場会社では基準日時点の株主がわからないと招集しようがありません。
投稿 ik | 2007年10月11日 (木) 16時08分
A59
おっしゃることも分からないではないですが、世間的には、見たいという株主は少数であり、見られたくないという株主の方が大多数なのです。

Q60
適格株式交換において、買取請求権を行使して現金を受け取る場合、課税対象となるのは1)売却益、2)みなし配当のどちらになるのでしょうか?仮に2)だと、100円で買った株を100円で売却して損益がゼロにも関わらず、課税されるという大きな矛盾が存在することになると思います。
投稿 alcedo | 2007年10月12日 (金) 21時37分
A60
調べていませんが、みなし配当ではなかったと記憶しています。
ちなみに、みなし配当でも、質問の事例で必ずしも課税されるとは限らないと思います。

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2007年10月 6日 (土)

三角株式交換

いささか旧聞になってしまいましたが、シティグループ・ジャパン・ホールディングス株式会社(CJH)と株式会社日興コーディアルグループ(NCG)が、シティグループインク(CG)の株式を対価とする三角株式交換をやるそうです。
http://www.nikko.jp/ICSFiles/afieldfile/2007/10/03/071003.pdf

今日は、最初、「エリカ様と時津風親方の危機管理手法の比較」という記事をやろうかと思いましたが、書いてみたら「会社法であそぼ」の趣旨から外れてしまいそうだったので、やっぱり、三角株式交換のことをお話しします。

「三角合併の解禁」として騒がれていたので、「三角株式交換」にはピンとこないという人もいるでしょう。
 三角株式交換というのは、完全親会社となる会社(CJH)が、そのさらに親会社(CG)の株式を,完全子会社となる会社(NCG)の株主に交付するという株式交換です。

 つまり、三角株式交換をやれば、

 既存のCGの株主  旧NCGの株主
     ↓              ↓
   シティグループ・インク
         ↓
   シティグループ・ジャパン・ホールディングス
         ↓
            日興コーディアルグループ

という体制になるわけです。

 三角合併と三角株式交換の違いは、
    前者は日興コーディアルが消滅してしまうのに対し、
    後者は、同社が存続する
という点にあります。

 日興コーディアルが消滅してしまうと
 (1)日興コーディアルグループが行政庁から受けている許認可等をCJHで取り直さなければならなくなる
 (2)日興コーディアルグループ名義で登記・登録している財産について名義の変更が必要となる
など面倒くさいのですが、三角株式交換だとそうした面倒がないというメリットがあります。

 今回のスキームは、日本初ということで注目されていますが、三角合併・三角株式交換は、外国会社との組織再編を可能にするという点に特徴があるので、当事者のひとつが外国会社である本件では、いたってオーソドックスな組織再編手法ということができるでしょう。

 ざっと見たところ、対価の適正さの確保に配慮しているようですし、シティグループの株式を東京証券取引所に上場させる等流動性の確保にも気をつかっています。また、グループ会社内の再編なので、税制適格も大丈夫でしょう。
 CJHがCGの普通株式を持つことは、親会社株式の取得禁止(135条)にはもともと該当しませんが、CG株式をCJHにどのような形式で交付するのかは興味があります(特に税制・会計面で)。

 いずれにせよ、基本的には、三角株式交換のお手本のようなスキームですから、私の興味の中心は、どっちかというと、シティグループの普通株式が東京証券取引所に上場することによって、今後、どういう影響があるのかという点にあります。

 ご承知のように、東証には、外国株式も上場しているのですが、お世辞にも、取引が活発とはいいがたく、日本の一般投資家も、あまり外国株式を買ってくれません。
 しかし、今回の三角株式交換により、沢山の日本の投資家が、一気にシティグループの株主になるわけですから、これをきっかけに一般株主が外国株式を売り買いするのに慣れて、外国株式市場が盛り上がってくれるといいですね。

 また、沢山の日本人株主が誕生するということは、議決権(というかproxy)や配当関連の株主管理事務も結構大変そうな気がします。日本上場分は、シティグループの時価総額からすればたいしたことはないですが、絶対的事務量は、他の外国会社よりも、かなり多くなるのではないでしょうか?

 さらに、極めてマイナーな話ですが、「社債、株式等の振替に関する法律」は、外国株式には対応していないので、外国株式の振替に関する法律関係をもう少し頭を整理する必要があるかなあとも思っています。

 以上のように私自身は、マニアックなところに関心が向かっているものの、何はともあれ、三角株式交換がうまく行くことをお祈りしております。
 私がお祈りしても、何の役にも立ちませんが・・・。

追伸 「信託大好きおばちゃん」さん。「むぎゅ」さんモックの件で税金のことについて教えていただきありがとうございました。私はどちらかというと、「信託大好きおばちゃん」さんのご意見に近いです。ちなみに、「信託大好きおばちゃん」さんのブログは、マニアにはたまらない魅力があります。

(質問コーナー)
Q1
297条(株主による招集の請求)関連のご質問です。
同条4項の規定により少数株主が株主総会を招集した場合、株主総会の議長は誰が務めることとなるのでしょうか? (定款に議長についての規定がある場合)
1.定款に規定するもの(会長・社長等の代表取締役)
2.招集した少数株主
3.議場にて互選
仮に、2.が認められるとするならば、議事運営等を有利に運ぼうと企図する少数株主自身が議長となるには、どのような規定・手順に沿って議長となればよいのでしょうか?
投稿 ツェーベーツェー | 2007年9月28日 (金) 13時34分
A1
定款に規定があれば、定款でしょう。
定款の規定がない場合や定款では決められない場合には、議場で互選でしょう。

Q2
さっそく商事法務1811号に掲載されました先生方の論文を読ませていただきました。そこで気になる部分が1点あります。
(注21)の「会社法322Ⅱとの関係でどのような意味を持つのか明確でない部分」とは、どのようなことでしょうか?
とても気になりますので、是非ご教示いただきたく存じます。
投稿 気になります | 2007年9月28日 (金) 14時25分
A2
 うーん。共同執筆で、かつ、お仕事に関連するものなので、即答は控えておきます。

Q3
非公開会社(取締役会設置会社です)で株式譲渡承認請求があり,承認をしない旨の通知を出し,会社が買い取る旨の株主総会決議も済みました。その間にも経営者と承認請求者との間でやりとりがあり,価格について合意が成立し,供託は面倒だからお互いしないことにしましょうという話になりました。(要するに,価格の合意が141条1項の通知前に成立して,供託はやめようという話になったという事例です)
 この場合,履行の問題にすぎないとして供託をしないで法141条の買取手続をすすめてもよいものでしょうか?それとも特定株主からの合意による取得にあたるとして,他の株主に議案追加請求権行使の機会を与えた上で再度株主総会を開く等特定株主からの合意による取得手続ですすめなければならないでしょうか?
投稿 ポケット | 2007年9月28日 (金) 16時28分
A3
供託をしなかったら、会社に解除権が発生するだけでしょう。
それでよければ、手続きを進めて良いんじゃないでしょうか。

Q4
私は旧試験の受験生です。
前々回のQ・Aで、論文の演習は繰り返す必要はあまりないということでしたが、出来が悪かった問題についても繰り返さなくてよいのでしょうか。繰り返すよりも新しい問題を解くべきだとお考えなのでしょうか。
繰り返さなければ知識が定着しないのではないかと思ったのですが、どうでしょう。
演習するにあたって、間違えた知識・覚えていなかった知識をどう身に着けるのが効果的かという点につき、ご教示をお願いします。
投稿 受験生 | 2007年9月28日 (金) 19時47分
A4
 受験生さんが、どの程度の時間を持ち、どの程度の力を持っているかによって、答えが異なります。
 各科目100問の問題を8科目やれば、800問です。毎日2問やっても、400日。
 これを単純に2回繰り返せば、800日で2年以上かかります。3回繰り返せば、1200日。受験生さんが、無限に時間をお持ちならば、繰り返し解くことを重視すればいいでしょうが、普通はそうではありません。
 大事なのは、まず間違ってもいいから、すべての分野について書いてみること。
 その後に、苦手な分野について繰り返して解いてみることです。
 この順番を逆にすると、まず待ちがない無く、最後まで行き着けません。
 受験生さんは、論文の問題を繰り返し解くと、その問題について、100点になると思いますか?残念ながら、そうはなりません。論文には「正解」がないため、どんなに頑張っても、そのときの実力を超える答案は書けないのです。
 また、知識を身につけるのは、論文の演習を繰り返すことでやるのではありません。知識の習得は、論文の演習で間違ったポイントや分析不足の点をノートに書き写して、それを繰り返してチェックしたりすること等にやってやるのです。

Q5
会社法上、一つの規定を形式的に適用すればできそうだからといって、他の規定を含めて検討したときに実際に出来るかどうかは別問題であり、会社法全体として、それらの行為ができるのか、できないのかを検討するのが出発点だと思います。

そのとおりだと思います。取得条項の付いた新株予約権を株主無償割当てで発行することもできるし、取得の対価を現金と定めることもできるが、配当可能額がないのに取得できるかとか、一部の株主を差別する行使条件・取得条件の付いた新株予約権を株主無償割当てで発行することはできるが、他の株主すべてが特別利害関係人になってしまい決議に瑕疵が生じないかとか、議決権制限株式を発行することもできるし、議決権行使の条件を持ち株比率20%以下と定めることもできるが、全株式をそういう議決権制限株式に替えることが許されるかも、同じような検討が必要ですね。
投稿 克匡恭 | 2007年9月29日 (土) 01時59分
A5
そうです。ただし、全株式を議決権制限条項付株式に替えることができるのは、論文で書いたとおりです。

Q6
先生のゼミ生の勉強方法について質問させてください。
質問への回答で、基本書は使用していませんというものがありました。
これは、葉玉先生のゼミ生は、ゼミ中に基本書を用いなかったという意味で、独自で学習する際には、基本書や百選は使用しているのでしょうか?
それともゼミ外の自分達で勉強する時間も含めて、論文、択一の問題集とそれに付属する解説を読むのみなのでしょうか。
もしくはその両者でもなく、中間的なものなのでしょうか。
宜しくお願いします。
民訴の過去問では、一行問題まで含めて演習をしていましたか?
投稿 | 2007年9月24日 (月) 15時22分
A6
私は、ゼミの中では基本書は使いませんでした。
基本書を使ってもいいですが、いちいち基本書を使って「調べる」ようなことをやっていたら、時間がいくらあっても足りません。
基本書を使うなら、「何度も通読して、3時間で1科目分を読めるようになる」というのが目標であり、演習時に問題となった点を検索する作業は、せいぜい5分以内にしておきましょう。

Q7
別サイトですが、先生の脱時空勉強術について質問をよろしいでしょうか。
それは、「説得文書」の書き方ですが、これは長文の論述の際にも、効果はあるのでしょうか(新司等)。
個人的には、十分効果的だとは思っております。
新司法試験では、長文化したため、その論述も長くなってしまいます。多くの答案を見る試験管に対し、説得ある論述をし、他の答案と差をつけるためにも、気をつけるべき点、効果的な方法がありましたら教えてください。
投稿 十六夜 | 2007年10月 2日 (火) 08時26分
A7
 長文でももちろん有効です。
 他の答案と差をつけることに気を取られるよりも、100問の最後に書いたように、オウムの力、キリンの力、サイの力を発揮できるようにがんばりましょう。
 基本的なことを普通に書けば合格します。

Q8
先生のブログは受験のモチベーションをあげるのに、役立ち助かりました。
今回、司法書士筆記試験に合格することができました。
しかし、最近の記事は、私にはとても難しく、ぜひ、入門シリーズを復活させていただけたら、と、思っております。
沖縄では、会社法に詳しい司法書士はそんなにいないと思うので、会社法、税法にくわしい司法書士めざしてがんばりたいと思います。
投稿 むつみ | 2007年10月 2日 (火) 21時53分
A8
おめでとうございます。
入門編は長く中断していますが、そろそろ復活させましょう。

Q9
会社法116条について。
今回、株式の譲渡制限に関する規定を設定することになりました。
そこで、株式買取請求権の行使の判断材料として、効力発生日の20日前までに株主に通知しなければなりませんが、効力発生日を10月1日にすることになったとして、通知をしたいのですが、先に、10月1日を効力発生日とする、株式移転がなされ、1人株主となっております。

要するに、10月1日の午前中に、株主移転の設立登記が提出され、同日午後に、完全子会社の臨時株主総会を開いたということです。
このとき、通知をする相手方というのは、10月1日以前の株主ですか?
それとも、株主移転により、完全親会社となった株主ですか?
通知の相手方によっては、10月1日を効力発生日として、当該規定を設定できないのでは?と思い質問させていただきました。
投稿 ころまる | 2007年10月 3日 (水) 09時25分
A9
通知をするときの株主に対してです。

Q10
124条(基準日)関連で悩んでおります。なお当社は、100%親会社が存する完全子会社です。
1.臨時配当をする際に、完全子会社であることから株主を確定する必要がないため、配当を受ける株主について特に基準日を定めない場合、配当を受ける株主は、454条により決定する「配当がその効力を生ずる日」現在の株主と考えていいのでしょうか?
2.同様に臨時株主総会を開催する場合、298条により決定する「株主総会の日時」現在の株主が、当該臨時株主総会にて議決権を行使できる株主と考えていいのでしょうか?
3.上記1.および2.のように、基準日を定めずに臨時配当や臨時株主総会を行いたい趣旨は、基準日を定めると124条3項により公告をする必要があるからです。仮に基準日を設定しなければいけない場合、当社のような完全子会社であっても、124条3項による公告は免れないのでしょうか?
投稿 ツェーベーツェー | 2007年10月 4日 (木) 12時43分
A10
1 そうです。
2 基準日を設けない場合はそうです。
3 基準日を設定するならば、公告は必要です。

Q11
株主名簿の閲覧謄写請求で,実質的に競業を営み,または,これに従事している場合,拒否できることにされましたが,この趣旨は「本当のところは」難なのでしょうか。ダヴィンチアドバイザーさんが起こした仮処分で,東京地裁がおっしゃっている理由はどうもしっくりきません。帳簿閲覧権なら,競業している業者が帳簿を手に入れると商売の秘密がばれてしまうかも知れないので類型的に(実際利用可能か,利用する意図があるかを問わず)拒絶可能という法制は妥当だと思います。しかし,株主名簿はそんなことないと思います。特に上場会社でしたら,ライバル会社の株主名簿を見たところで何が問題なのかよくわかりません。事業会社が全うに公開買付をしたり,委任状勧誘を行って,戦うケースで,たとえば,現経営陣がおかしいのでまさに監視の趣旨で株主名簿を閲覧し,同志を募ろうとしたら,あなたは競業だからだめです,というのはやはりちょっと行き過ぎではないか,と思います。また,株主総会の招集決定を得ていたような場合を想定しますと,拒否できたら,もう適法に招集通知を出すことすら出来ません。この改正の趣旨を合理的にどうお考えだったのか,あるいは,この状態になった場合にどのような解決策があって妥当性が確保できるとお考えだったのか,ご教示願えませんか。
投稿 ik | 2007年10月 5日 (金) 02時52分
A11
 これは、確か法制審議会で議論したところでしたね。ikさんのお気持ちもわからないではないですが、上場企業の株主には、その取引先も多いので、あながち不合理ではないように思います。

Q12
旧司法試験の口述試験について,伺わせてください。
先日の発表で,運良く論文を突破しました。しかし,私は法科大学院と二足の草鞋のため,基本書もここ1年以上,読んでおらず,夏休みは新試験の択一問題ばかり解いており,
口述過去問を見ても半分も答えられないようなひどい有様です。
そこで,もし先生が今の私の状況なら,何をされるでしょうか?
それから,実務家の先生からご覧になって,こういう奴は絶対に仲間にしたくない,こういう態度やこういう姿勢の奴は落としたい,と思うような人物像はありますか?もしありましたらご教示いただけないでしょうか。
投稿 ゆり | 2007年10月 5日 (金) 13時50分
A12
おめでとうございます。
口述対策は、
1 家族法や会社の計算などマイナーなところもフォローして穴を作らないこと
2 定義を覚えておくこと
3 一度は、口述の模試を受けること
4 試験管を論破しようなどと、思わないこと。
5 すぐに自分の意見を変えないこと
6 矛盾や問題点を聞かれた場合に、素直にそこが矛盾点であることを認めた上で、何か対策を提案すること
です。

Q13
定款に定めがないにもかかわらず、株主総会の決議を経ずに取締役会の決議のみで公開市場における自己株式の取得を行った場合、取締役・監査役はどのような責任を負わなくてはならないのでしょうか?
投稿 hiro | 2007年10月 5日 (金) 16時20分
A13
分配可能額があるという前提でしょうから、普通に423条、429条の問題なのではないでしょうか。

Q14
会社法の「会社分割」と「株式交換・株式移転」についての質問です。
従来の商法では、事業部門を切り離す場合、事業譲渡や、現物出資・財産引受などが用いられていたようです。(現在の株式分割)
また、完全な親子会社関係を作り出す場合、子会社となる会社の株式を全て買い取る方法や、子会社となる会社を設立し、親会社の事業全てを現物出資していたようです。
(現在の株式交換・株式移転)
 ここでひとつ疑問がわいたのですが、何故、後者の組織再編には、財産引受が用いられなかったのでしょうか?分割で財産引受が可能なら、交換・移転でも可能のように思います。
投稿 nak | 2007年10月 5日 (金) 17時31分
A14
 「従来の商法」は、大昔の従来の商法ですね(ちなみに「現在の株式分割」ではなく、「会社分割」ですね)。
 また、「財産引受」についても用語の理解が不十分なようなので、質問の意味が、いまいちよく分かりませんが、後者の場合でも、法律上は、財産引受けをしたければできたと思います。たぶん、子会社に親会社の事業の全部について支払う対価がないだけの話でしょう。

Q15
459条1項1号に定めのある160条1項、156条1項の自己株式の取得は特定の株主からの自己株式の取得であると考えていたため、その取得方法には市場取引は含まれず、市場取引は165条2項の守備範囲だと解釈しておりましたが・・・459条1項1号の自己株式取得の方法に市場取引も含まれるということが書いてあるものを見つけました。果たしてこれは正しい解釈なのでしょうか?また、正しいのであればそういった解釈はどのように導き出されるのでしょうか?
投稿 hiro | 2007年10月 5日 (金) 19時39分
A15
市場取引は、特定の株主からの取得ではありますが、157条から160条の適用はありません(165条1項)。
ですから、156条1項の決定だけで、市場取引はできるわけです。
とすると、459条1項1号は、160条1項による決定以外の156条1項の決定を取締役会が定めることを認めているので、市場取引における156条1項の決定もすることができるという解釈だと思います。

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