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2007年8月15日 (水)

防衛策と利益供与

 最近、買収防衛策のセミナーを多くやっているせいか、問題関心が、そちらに行きがち、だんだんマニア化しています。

 とはいえ、一連の記事について、重要な質問が2問入りましたので、本日は、それをメインテーマにしたいと思います。

1 独立委員会について
 まずは、前回の記事についての 「爽やか法務部員」さんのご質問。

「独立委員会の判断が、実質的に意味をもたないと言及されていますが、防衛策の発動に対する合理性や相当性判断にあたっても、なんらの評価も裁判所はしないだろうとの見解ということでしょうか。
 防衛指針はあくまで行政上のもので、司法はそれを考慮しないと言われればそれまでですが(そのようなガイドラインを作った側の責任は、、、というのもよぎりつつ)。
 防衛策を導入するにあたって、外部専門家や社外有識者にお金を払って招聘しようと
動いている最中でしたので考えさせられました。」

 前回の記事は、「独立委員会の判断は、防衛策の発動に対する合理性や相当性判断にあたっても、裁判所は、なんの評価もしないだろう」という見解です。
 この点は、前回の記事からも一目瞭然だと思いますが、私は、セミナーで同様の質問されても
 「独立委員会は、法的には何の意味もありません。」
と明言しています。

 法務省・経産省の防衛指針も、私の見解と同じです(当然ですが)。
 実際、商事法務1807号の対談でI沢さんも同じことをおっしゃっており、個人的には、I沢発言は、かなりウケました。

 防衛指針を、よく読んでください。
 独立委員会があると「適法性が高まる」ということは一言も書かれていません。
 単に市場の理解を得やすいという趣旨で書かれているだけです。

 防衛指針は、適法性の要素と、それ以外の要素を明確に意識して書かれています。

 取締役会で防衛策が発動されたときに、裁判所が、独立委員会の決議を株主総会の特別決議と同視してくれる可能性は極めて0に近いと思いますので、それが適法性を高めるという誤解があるとすれば、今の内に解いておいた方がよいと思います。

 ただし、独立委員会の意見を聞くことが、正しい判断をするという観点や、政治的な観点から意味がある場合はあると思います。私は、単に法的に無意味であるといっているだけで、それ以外の実質的意味を否定しているわけではありません。

2 利益供与について
「むぎゅ」さんの質問は、ブルドックと利益供与の関係についてのものです。

「ブルドックの件、株主平等か否かというより前に、利益供与のように思えます。

予約権の買取りと言う形をとっていますが、全株主に保有株式数に応じて予約権を与えることから、そもそも予約権自体に金銭的「価値」はないはずです。 それを21億円で付与直後に購入するというのは、形を変えた利益の供与に思えます。
しかも、その金額はスティール側のTOB価格を基にして計算されたものであり、総会屋が「会報の購読料は○○円です」というのをそのまま払い込むことと大差はないのではないでしょうか。
19年3月期に、たったの6億円しか利益をあげていない企業が、弁護士費用を含め28億円も使って「守った」ものは何なのでしょう???」

 むぎゅさんの質問に回答する前に、まず利益供与の条文を確認しておきましょう。

第百二十条 株式会社は、何人に対しても、株主の権利の行使に関し、財産上の利益の供与(当該株式会社又はその子会社の計算においてするものに限る。)をしてはならない。
2 株式会社が特定の株主に対して無償で財産上の利益の供与をしたときは、当該株式会社は、株主の権利の行使に関し、財産上の利益の供与をしたものと推定する。株式会社が特定の株主に対して有償で財産上の利益の供与をした場合において、当該株式会社又はその子会社の受けた利益が当該財産上の利益に比して著しく少ないときも、同様とする。

120条2項を見てもわかるとおり、「有償で財産上の利益を供与した場合」も、利益の供与になる場合はありますが
 「会社の受けた利益」と「株主が受けた財産上の利益」が均衡又はほぼ均衡している場合には
 ① そもそも「利益の供与」に該当しない
 ② 「株主の権利の行使に関し」という要件を立証することが困難である
という2つの問題が生じます。

 ですから、ブルドック事件でも、その2つの視点から分析する必要があると思います。

 むぎゅさんの疑問点は、
 a 新株予約権自体に価値がない(から、対価が均衡しない)のではないか
 b スティールのTOB価格をベースにすることは(対価が均衡しないことになるから)不当ではないか
ということだと思います。

 しかし、aについては、本件新株予約権の無償割当てにより、既存株式の価値が希釈化するので、新株予約権に価値がある(株式の価値が移ってくる)のは明らかです。株式分割の新株に経済的価値があるのと同じことです。

 なお、ブルドック事件では、

「スティールの新株予約権は、行使も譲渡もできないものなので、価値がない」という論法で、対価の不均衡であるという主張がされていました。

しかし、当該新株予約権が、譲渡・行使できる場面はあるので、価値がないと言い切ることはできないでしょうし、裁判所も利益供与の主張は蹴りました。

 むぎゅさんの主張するbについても、スティールが決めた価格だからといって、対価が不均衡であるという論拠にはなりえないと思います。

 上場株式の価値は、基本的には、市場で決まります。TOB価格が市場価格の最低限を画することが多いこと考えると、TOB価格を新株予約権の算出の根拠とすることは、不合理ではありません。

 以上のように、今回、ブルドックがスティールに支払った23億円は、スティールの株式の価値が希釈化することに対する対価であり、算定方法も保守的な考え方に基づくものですから、私は、適正対価であると言って良いと思います。少なくとも、「適正対価ではない」という立証をすることは非常に難しいといえるでしょう。

 また、本件では、「株主の権利の行使に関し」という要件についても欠けています。
 検事時代の経験からいえば、利益供与における最大の立証上の難関は、この利益供与の趣旨の部分です(それが難しいからこそ、民事上、120条2項が置かれているのです)。

 利益供与は、株主との合意の上で利益を供与する場合を想定しており、本来、敵対的株主の意思に反して利益を付与するような場面を想定していません。そのため、買収防衛策のように、会社が、法律上又は事実上、株主から新株予約権を取り上げて対価を支払うときには、「株主の権利の行使に関し」という要件を欠くことがほとんどだと思います。
 実際、利益供与にあたると主張する論者の文章を読んでみても、「ブルドックがスティールのどのような権利の行使に関して利益を供与したと考えているのか」という点は、明確にされていないように思います。

 以上のように私は、「利益の供与」の点でも、「権利の行使に関し」の点でも、ブルドックの防衛策は利益供与になる余地は全くなかったと思っています。
 
 他方
「もし、ブルドックが、スティールの新株予約権の譲渡を認めず、取得もしなかったら、一般株主に対する利益供与にならないのか」ということを考える方が怖いです。
 
 この場合、スティールの新株予約権は、経済的に無価値であり、スティール以外の一般株主に、新株予約権という財産的価値のあるものを無償で供与したと見られる可能性が高まります。

 そうすると「株主の権利の行使に関し」という点が推定され、一般株主が議決権の行使によって得をするという構造の下では、この推定を覆すのは、難儀ですね。

 私の感覚では、民事・刑事の裁判をにらむと
 「スティールに与えた金額がちょっと少ない(又はちょっと多い)」
という争点ならば、怖くないですが
 「スティールに何も与えなくても、適法だ」
と主張するのは、「すごく怖い」というのが実感です。

(質問コーナー)
Q1
予備校出版の会社法のテキストで何かオススメはありますか?今100問だけで勉強してるのですが、わからないことを調べるのに一冊欲しくなったので。なぜ予備校のものなのかというと、基本書よりも見やすくて、情報の検索性に優れているような気がするからです。

投稿 ほっこーそれそれー | 2007年8月 5日 (日) 14時42分
A1
私は、最近、予備校のテキストを読んでいないので、勧めることができません。
自分が読んでみて、わかりやすければよいのではないでしょうか。

Q2
千問の道標について
【Q3】について
前段の発起人が設立に必要な行為をするためには
結局どのような名義を使用するのがベターなのでしょうか。
後段の質問には問いと答えが対応しているのですが前段は
あり得る名義しかあげられていないのでおたずねします。
A2
 ケースバイケースです。

Q3
【Q4】について
発起人の設立に必要な行為を行った場合の成立後の会社に
帰属する法的構成はどのような見解をとられているのでしょうか
通説のように、設立中の会社という概念がないので
どのように法的効果を成立後の会社に帰属させるのか気になりました。
これに関連して発起人が結ぶ種々の契約を会社を受益者とする
第三者のためにする契約と解することはできますか。
A3
設立中の会社でよろしいのではないでしょうか。

Q4
【Q7】について
発起設立後に募集株式の発行に比べて、募集設立を行うメリットが
回答上3つ上げらあれていますが、回答中でも断られていますように
あまり大きなメリットがないように思われますが、現在の時点では
この他に何かメリットを想起されましたでしょうか。
A4
メリットないです。もともと募集設立は、廃止しようとしたけど、なんとなく廃止できなくなってしまった制度ですから。

Q5
【Q23】について
追加設立費用が創立総会決議により追加する旨の変更がなされた場合に
検査役の調査が必要とのことですが条文上の根拠が見つかりません。
会社法33条1項は原始定款成立後に公証人の認証後遅滞なく検査役の選任の
申立てを発起人に義務づけていますが、定款変更後については特に
定められていません。
変更後も必要とする条文を教えていただけますでしょうか。
A5
33条1項です。同項は、文言上、原始定款に限定されていません。

Q6
【Q37】について
参照条文として57条があげられていますが58条1項が「その都度」、
3項が「当該募集ごとに」としていることから回数制限がないことは
裏付けられるのではないでしょうか
A6
そうですね。

Q7
【Q44】について
 預合による払い込みを発起設立で無効とする弊害として会社債権者
の銀行などに対する代位行使の余地がなくなることをあげられていますが
会社法53条等の発起人の責任を代位行使する余地はあるのですから
会社債権者を害するおそれはないのかなと思いますがいかがでしょうか。
 次に、募集設立の弊害として払い込みを無効とすると会社の株主資本ではな
く、剰余金扱いとされてしまうので会社債権者が害されるという説明なのですが
これは発起設立にもいえるのではないでしょうか。さらに、このような
不合理が生じるのであれば計算規則等で剰余金扱いできないようにすれば
良いだけだと思うのですが、なぜ立法化されなかったのですか。
 なお、払込み自体が有効という結論は対会社との関係で払い込み返還制限がある
ことを銀行は第三者である会社に対して主張できないということをいえればよく
たまたま預かり合いが刑事罰が科されるものだからといって払い込み部分は有効で
返還制限特約部分が民法92条ないしは90条により無効と考えるのはだめですか。
A7
(1) 預合いによって、会社にどのような損害が生じたのでしょうか?53条は、実質的にどの程度機能するのでしょうか。
(2) 発起設立は、払込取扱銀行等の責任がありません。
(3) 計算規則は、払込みを有効にするための規則ではありません。
(4) 「なお」以下は、なんのためにそう考えるのかが分かりません。

Q8
【Q61】について
 回答中で「①定款で特別取締役を定めた場合」とありますが、この場合は
選定そのものであり、会社成立後の選定方法について定めを設けたわけで
はないので29条の適用はなく、会社法373条1項に違反するのではないのでしょうか。
 回答冒頭で説明されていますように、あくまで特別取締役を選任可能なのは
取締役会や取締役(社外取締役1名以上含む)という機関が存在する場合であり、
会社成立前には29条から選定方法について定めることができるのみで会社成立前に創立総会や設立時取締役の互選により特別取締役を選任するのは373条1項に違反する無効なものではないのでしょうか?
A8
書かれているとおり、有効です。

Q9
【Q71】について
 株式会社の設立の無効事由として①ないし⑥まであげられていますが
①については会社法52条の問題として解決できるので無効たらしめる瑕疵と
いえないのではと思うのですがいかがでしょうか。
投稿 会社法使い見習いLv1 | 2007年8月 6日 (月) 05時40分
A9
 そう考えるのは自由ですが、無効事由です。

Q10
はじめまして、本年度新司法試験を受験した者です。新61期からは導入修習
すらなくなり、自分で事実認定の勉強等を進めなければならないと考えている
のですが、どのように勉強すれば良いか教えていただきたいと考えています。
また、刑裁、刑弁の起案形式についても簡単に教えていただけると幸いです。
検察起案は、ロースクールの教官の方が教えてくださったのですが、他は余り
情報がなくて勉強の方針が立てにくい状況です。
投稿 虚仮 | 2007年8月 6日 (月) 08時49分
A10
 事実認定の勉強は、難しいですね。
 殺意の認定とか、近接所持とか、典型的なものだけを本で勉強したらいいのではないでしょうか。
 刑裁、刑弁の起案形式といっても、問題が何かによりますよね。基本は、判決書でしょうから、判例データベースで、短めで典型的な判例を全文ダウンロードして、まねすればいいのではないでしょうか。

Q11
 取締役会決議ではダメで株主総会ならOKな防衛策は,平時には存在すると思われますが,今回のような有事の場合は,必ずしも当てはまらないのではないでしょうか。
 つまり,今回は防衛策の成立=敵対的買収の不成功に近いのであり,だとすれば過半数の賛同を得ることができないことが明らかな敵対的買収に対する防衛策の「必要性」がなぜ認められるのかが不明確ではないでしょうか。
 また,株主総会決議に際しては,当然委任状勧誘が行われるのでしょうが,当該賛否が現行経営陣に対する踏み絵として機能し得るため,逆に株主に強圧的で判断を誤らせるおそれが生じるように思われます。
 さらに,委任状勧誘の際,取引先兼株主等に対する有形無形の便宜が,株主に対する利益供与禁止を実質的に潜脱する形で行われるおそれもあり,これを阻止する有効な規制手段もありません。
 とすれば株主総会を経たことにより,防衛策の適法性は高まるものではなく,むしろ取締役の責任に対する免罪符として機能する側面の方が強いとさえいえるのではないでしょうか。
 そういう意味では,少数株主にも善管注意義務を負う取締役が自らの判断で決する防衛策のほうがむしろ透明性が確保できるような気もします。(法律論とはいい難いですが失礼しました)。
投稿 M&M | 2007年8月 6日 (月) 21時48分
A11
 総会決議を取ることは、いろいろな意味があります。免罪符としての意味もあるでしょう。

Q12
葉玉先生、はじめまして。企業法を苦手としている会計士受験生です。
現在、「新·会社法100問」で勉強しているのですが、最低限、オウムの力とキリンの力を身に付けたいと思っています。オウムの力の重要性は理解できるのですが、キリンの力の意味がよくわかっていません。「要件と効果を切り分ける」のは、なぜ必要なのでしょうか?今まで、そのようなことは意識して条文を読んだことがありませんでしたので、その切り分けに苦労しています。
投稿 キリンになりたい会計士受験生 | 2007年8月 6日 (月) 23時37分
A12
 会社法に限らず、法律は、要件と効果に分かれています。これを切り分けることがなぜ必要か、というのは、
 「1+1=2 という数式を+1=2 1と書いたら駄目か」
という質問とほぼ同じです。

Q13
<状況>
私は事業会社で経理財務の仕事をしております。決算発表が終わると、証券アナリストから取材の依頼があり、アナリスト説明会を開催するとともに、2時間程度の個別インタビューにも応じています。

<質問>
アナリストの個別インタビューに応じることは、金融商品取引法の趣旨に反するとともに、会社法の株主平等原則にも抵触するのではないでしょうか。

個別インタビューでは一般に開示していない情報(例えば、より詳細なセグメント情報など)をお教えしています。こうした情報は個人株主では入手できません。たとえ、個人株主が個別インタビューを依頼してきても門前払いでしょうし、そもそも各社が個別インタビューに対応していることも一般にはあまり知られていません。
投稿 IR担当部門のアナリスト対応 | 2007年8月 8日 (水) 16時47分
A13
 株主に対して、会社が、最低限伝えなければならない情報及び株主の請求によって開示しなければならない情報は、会社法等により定まっています。
 問題は、株主の求めに応じて、任意に、どの程度の情報を開示してよいかということです。この問題は、プロキシーファイトのときに、よく問題になるところです。
 私は、こうした任意の開示については、株主としての権利の内容になっていない事項ですから、株主平等の原則は、直接適用されないと思います。たとえば、株主ではない取引先やマスコミに対し、株主に開示していない情報を流したからといって、株主との不平等は問題になりません。たまたま、開示先が株主だったからといって、株主の権利の範囲外の事項について広く開示したことを、株主平等原則の問題とすべきではないと思います。

Q14
勉強術の記事は現在9回ですが、全何回の予定なのでしょうか?
投稿 パリ | 2007年8月 9日 (木) 13時55分
A14
たぶん、12回だと思います。

A15
葉玉先生 いつもご参考にさせて頂いてます。
今日は著書についてご質問があります。「会社法マスター115講座」中の61ページ図表27の色分け理由について教えて頂ければ幸いです。
投稿 TETSU | 2007年8月10日 (金) 19時26分
A15
なんでしょうね?担当者に聞かないとよく分かりません。
すいません。

Q16
 種類株主総会の普通決議および特別決議について質問させてください。

 種類株主総会の普通決議の定足数は 当該種類の株式の「総株主」の議決権の過半数です。(324条1項)
 これに対して、種類株主総会の特別決議の定足数は当該種類株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数です。(324条2項)
 この様に 種類株主総会の定足数において普通決議と特別決議で異なるのはなぜなのですか?ご教授ください。
投稿 maru | 2007年8月11日 (土) 03時37分
A16
 決議要件は、政策判断というしかないですね。

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コメント

最近、とても暑いですね。

今とても熱いブルドック買収防衛に関して質問です。

先生は日本の買収防衛について賛成論者ですか反対論者ですか?
根拠もセットでお答えいただけたら幸いです。

投稿: ToTAN | 2007年8月15日 (水) 19時33分

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投稿: xnvlrsft | 2007年8月15日 (水) 21時49分

いつも興味深く拝見させていただいております。

見せ金について質問させてください。
見せ金について、百問の14問では払込みを無効とした上で通常、業務上横領罪に該当するとされております。
しかし、払込みが無効と言うことになると、払込金は会社に帰属するものではなくなり、他人たる会社のお金を横領したことにならず刑法252条1項には当たらないのではないでしょうか?

たとえば、代表取締役になる予定であった発起人が見せ金を行い、代表取締役になった時点で払込金を引き出して借入金の弁済に充てたとしても、それは自分のお金を引き出しただけということになりませんか?
また、有名なトウシン誤振込事件(最判平8年4月26日民集50-5-1267)のように、その口座に振り込まれたことで払込金が口座管理人たる発起人に帰属したと考え、それが会社設立とともに会社に帰属し、結果として会社のお金を横領したことになると考えるのでしょうか?
さらに、会社に帰属すると考えたとしても、それは会社にとっては不当利得になるはずだから、それを単に発起人へ返還して借入金の弁済に充てさせただけと構成するとやはり横領罪の成立が難しくなりそうです。

この場合、払込金がは誰に帰属すると考えたらよいのでしょうか?あるいは、刑法252条2項の「公務所から保管を命ぜられた場合」と考えるのでしょうか。

うまく整理できず長くなりましたが、よろしくご教示下さい。

投稿: tororo | 2007年8月16日 (木) 12時02分

http://www.sanctuarybooks.jp/sugoi/blog/?mode=rss

ワーキングプア:経営者が保身を図るために、多額の会社資産を渡して買収者にお引取り願うことは、会社資産の浪費としてアメリカで問題になっている。
学生:会社と取締役の利益相反取引と同じような問題ですね。

ワーキングプア:利害関係者の取締役会承認は意味がないので、利害関係者を排除した、第三者機関の判断で対応策を決める考え方もある。
学生:株主権の希釈化でも、単純な時価発行増資なら取締役会の決議で実行できることと、論理的には整合しますね。

ワーキングプア:利益相反アプローチなら、対応行為を法的に有効としつつ、取締役の損害賠償責任を認めることもできる。
学生:実行されてしまった案件なら、取引の安定も維持されますね。

ワーキングプア:利益供与なら、取引は無効で、違反者には懲役刑が課される。
学生:取引にも個人にも、かなり影響が大きいですね。

ワーキングプア:星野・東大名誉教授(民法)は、法律論は効果から考えるのが良いと述べている。
学生:プロには、要点を絞りつつも、多角的な検討を期待したいですね。

投稿: 「生きさせろ!」のぼり | 2007年8月16日 (木) 14時27分

葉玉先生、基本的なことで申し訳ありませんが、お教えください。
取締役会での職務執行報告の「3箇月に1回以上」ですが、この意味は、次のいずれでしょうか。
①3箇月を1期間とし、当該期間中のいずれかの日に報告すればよい。
 すなわち、1~3月、4~6月を1期間と考えた場合、各期間中に1回以上報告すればよいので、1/15の次は6/30に行うことも適法である。
②3箇月毎の月に報告する義務あり。
 すなわち、1/15の次は、4月中のいずれかの日に行う必要あり。
③3箇月以内の間隔で報告する義務あり。
 すなわち、1/15の次は、4/15以前の日に行う必要あり。

どうぞよろしくお願い申しあげます。

投稿: しん | 2007年8月16日 (木) 16時32分

葉玉師匠、こんにちは。

とりいそぎ誤植だと思われる、おかしいかと思うところを質問します。
過去に出ていた場所だとしたら、ご容赦を。
未出の修正だとイイのですが・・・

新・会社法100門の、p416のQ858の、
「取締役の職務代表者を選任する」の部分の、「職務代表者」は、「職務代行者」の誤植だと思うのですが?

えらい暑い(今週は特に)ですね・・・
みんな、たまんないだろうな・・・女性は特に・・・(笑)

投稿: 至誠丸 | 2007年8月16日 (木) 16時46分

「株主を第一とする組織再編行為のあり方」という点で自分は会社法が嫌いです。ですが、これは感情論で、会社法の解釈を正してくれるこのブログは好きです。質問とそれに対する解答はあくまで解釈の末端であって、王道は条文や立法趣旨の理解だと考えるようにしています。
手続法との対立はあっても結果的に会社法の要請に適合するだろうし、適合させなくてはいけないと思っています。

投稿: 焼きそば | 2007年8月17日 (金) 00時17分


会社法マスター115講座 第2章24(P54)について何点か
質問させてください。

質問Ⅰ 3 利害関係人の責任追及のところで、
    「しかし、図表中の①の方法で損害を回復するには必ず
    会社の協力が必要であるし(株主代表訴訟を提起しても
    執行には会社の協力が必要)」という記述があります。
    これは、②給付した現物出資財産の価額が予め定めた
    価額に著しく不足する場合 にも該当することではないで     しょうか?

質問Ⅱ 3 利害関係人の責任追及のところで、
    「②の方法は取締役が会社に賠償するだけであるから
     不当に株式を取得したものも利益を享受することとなり」
    という記述があります。
    これは、引受人が支払い義務を履行した場合には当ては    まらない記載ですよね?

質問Ⅲ 4 無効・不存在の訴えのところで
     「無効判決を得たとしても、現実に処理することは極めて
     困難であろう」という記述があります。
     ここでいう現実に処理することとは具体的に何を指すの     でしょうか?

以上三点につきご教授していただければ幸いです。

投稿: maru | 2007年8月17日 (金) 03時12分

葉玉様:

ブルドック事件は利益供与では?と発言した むぎゅ です。 ご回答・コメント、ありがとうございました。

会社法 からははずれますが、、、、自分は税務を専門にしており、この支払いは反対給付が認められないとして「寄付金」(税務上、損金算入が制限される)、あるいは、実質的(税務的観点から)に資本の払い戻しとみられ「資本取引」(損金性ゼロ)となるのではないかと考えていました。 会社法上利益供与ではないとすると、寄付金の線は消えますね。

むぎゅ

投稿: むぎゅ | 2007年8月17日 (金) 08時30分

引き続き、むぎゅで恐縮です。 剰余金の配当を「外貨」で行う場合について、お考えをお聞かせいただければと存じます。

当期たまたま多額の外貨を売上の回収として受け取り、外貨のまま外貨預金に受け入れました。 弊社は3月決算法人なのですが、8月31日付で臨時決算を行い10月中の決議により、その外貨全額を配当することになりました。

そこで例えば、外貨の保有高が100ドルで8/31の円ドルレートが100円、よって8/31現在の帳簿価額が10,000円、臨時決算の結果の分配可能額が11,000円であるときに、10月の株主総会で配当財産を外貨100ドル、その帳簿価額10,000円(454条1項一号)その他必要な決議をした場合、効力発生日の実際の換算レートが120円となった(つまり、円換算では12,000円の分配となり分配可能額を超過)とすると、違法配当になるのでしょうか。

千問のQ693及びそれで触れられている会計基準を参照すると、「現物配当」の場合には、効力発生日に帳簿上換算換えを行って、今回の場合2,000円の利益を計上し、時価である12,000円の配当として扱えば問題にならないと考えられます。

弁護士複数に相談したところ、外貨は現物ではないから、上記のような取扱はできず違法配当となると回答をもらいました。

しかし、「現物」について上記のような取扱をするのはその”時価”が変動することに着目しと考えれば、外貨も現物として取り扱ってもいいように思います。 更に、454条1項一号が配当財産の”時価”とは言わずに”簿価”としていること、効力発生日の時価を効力発生日に知ることは多くの現物の場合不可能であることを考えると、客観的に”時価”はいくらなのかを会社法は気にしていないと考えることもできるように思います。

ご見解、いかがでしょうか。

投稿: むぎゅ | 2007年8月17日 (金) 09時23分

会社法整備法88条の端数等無償割当てについて、ご教授ください。
例えば、1株所有していた株主Aに対して、新たに99株が無償で割り当てられるとします。また、株主Aはその有する1株について、Bを質権者とする登録質を設定していたとします。この場合、Aに新たに割り当てられる99株についてはBを質権者とする登録質が設定されたことになり、株主名簿にその旨の記載がなされるのでしょうか?
整備法ではこの場合に該当する規定を見つけることができません。会社法152条1項が適用(類推適用?)されることになるのでしょうか?

投稿: 法務課員 | 2007年8月17日 (金) 18時05分

はじめまして。
会社法の初学者です。
1000問の57頁の図表2-2のことで質問です。横枠の既存株式の全部について内容を変更のところの全部取得条項付のところは網掛けになっているのは種類株式発行会社以外の会社だからだとしたら剰余金の配当、残余財産の分配、議決権の制限等も108条の規定であり、網掛けになっていないのはなぜでしょうか?

投稿: 司法くん | 2007年8月17日 (金) 19時40分

報道などによると、次の会社法改正として、「会計監査人の選任権と報酬決定権を監査役(会)に付与せよ」との議論があるようですが、これにつき、以下(先生の私見で結構ですので)ご教示下されば幸いです。
(なお、報道でははっきりしないのですが、「選任権」については株主総会権限であることに変わりはないでしょうから、「選任議案の提出権」との理解を前提とします。)

①会計監査人との監査契約を締結する際の会社側代表(権)者は、監査役になるのでしょうか。(そうしないとリクツに合わないように思います。特に報酬額が契約内容になっている場合は。)

②(もし①がYESなら)会計監査人に対する訴え(株主代表訴訟)において、会社を代表するのも監査役になる(従って、提訴請求の提出先も監査役になる)のでしょうか? (これは必ずしもリクツ上そうしないといけないと言えないようにも思いますが。)

お忙しいところ、「あさって」ネタで恐縮ですが、宜しくお願い申し上げます。

投稿: POPOLON | 2007年8月19日 (日) 22時45分

先日葉玉先生のセミナー「企業買収防衛策の死角」に出席した者です。その中のレジュメ(28P、pp55)に適法な新株無償割当とあり、導入については、「定款に株主総会に無償割当て権限付与」とあるのですが、同時に「毎年定時総会において特別決議を取り無償割当ての委任をしていくのがベスト」と記載されています。これは、発動(無償割り当て)については、取締役会に委任するということでしょうか。そうすると、発動するかどうかの判断は、取締役会で行うということでよいとのことでしょうか。もっとも、買収者が20%以上の株式保有など、客観的な発動要件であれば、委任してもいいかもしれませんが、濫用敵買収者とか、必要な情報を提供しないようなある程度主観的な要件でも、取締役会でいいのでしょうか(ブルドックでは、発動も株主総会で決議しているので)

投稿: お局法務部員 | 2007年8月20日 (月) 04時58分

一般株主:勧告的決議に法的拘束力がないことは、決議する価値がないことを意味するのかな?
ワーキングプア:そういう意見の人は、国際連合総会、国会、地方議会の勧告的決議も意味がないと思っているのだろう。プププ(爆)

一般株主:アメリカでは、女性や民族的少数派の取締役選任を求める勧告的決議が支持を集めている例もあるようだね。
ワーキングプア:その結果、大企業における女性や民族的少数派の取締役への進出が進んだことも意味がないのだろう。プププ(爆)

一般株主:ソニーをはじめとする著名企業で、株主オンブズマンが役員報酬開示の定款変更を連続的に提案していたね。
ワーキングプア:会社法改正に際して、役員報酬開示を導入させた株主オンブズマンの動きが自分たちの立法に影響しなかったと、重度の健忘症に陥っているのだろう。ぷぷぷ(爆)

一般株主:会社法改正で総会決議事項が減ったから、総会活性化のための勧告的決議の利用という発想はないのかな?
ワーキングプア:法務省や東京・京都大学教授は、株主総会を活性化させたくないのだろう。ぷぷぷ(爆)

一般株主:広範囲にわたる経営問題のなかで、特定問題を審議するのは、株主民主主義に貢献しないのかな?
ワーキングプア:一流大学法学部卒の行政官や有識者は権威主義的だから、一般株主の意見などは全く聞く耳を持たないのだろう。うぷぷぷ(爆)

>>>>>>>>>
憲法の領域では、代表民主制の欠陥=個別問題に対して有権者が直接決定権を行使することができないことが、問題視されています。
改正会社法=株主は取締選任だけに関与すればいいという経営者のゴーマニズム体質の改善活動を徹底するよう、みなさまのご協力をお願いします。

投稿: 法務省反撃タイムズ | 2007年8月20日 (月) 10時46分

はじめまして。千問の道標の問125ですが、2の①何らかの種類株式(いわゆる当て馬株式)を定める定款の変更とありますが、現在、非公開及び種類株式発行会社以外の会社(いわゆる普通株式のみ発行)場合で、
1.以下のとおり定款変更決議を行う。
①甲種類株式(株式の内容に格別の定めの無い株式)
②乙種類株式(当該株式を株主総会の決議によって全部取得することができる株式)
2.既存の種類株式(いわゆる普通株式)を乙種類株式とする内容変更を甲種類株主総会決議(会111条2項)で行う。
3.以下の議題を同時に株主総会で決議する。
  ①乙種類株式の全部を取得
  ②100%減資
  ③新たな株主に対して募集株式の発行
といった手続きをとった場合、上記の何らかの種類株式(いわゆる、当て馬株式)を全部取得条項を定めたことにより相対的に既存の普通株式が種類株式となったと考えて行うことが可能でしょうか?

投稿: がんばれカープ | 2007年8月20日 (月) 16時32分

はじめまして。立法担当者のブログ、という発想はすごいですね。
高度な内容に中々ついていけてませんが、ひとつ初歩的な質問です。
吸収型組織再編の場合、いわゆる対価の柔軟化が19年5月から施行されて
いますが、例えばその対価の種類について、全株主同じ種類の資産
でなければいけないのでしょうか?
価額に異論が無ければ株主平等の原則には抵触しないと思うのですが・・・
今回株式交換を行おうとしているのですが、
条文768-3では同じでなければいけないとはっきり書いていないと思います。

投稿: 会社法初心者 | 2007年8月20日 (月) 16時47分

はじめまして。いつも楽しく拝見させていただいております。
株式上場会社の新株予約権の発行について1点お尋ねさせてください。

会社法第240条2項及び4項並びに会社法施行規則第53条からは、
株主保護のため新株予約権の割当日の2週間前までに発行事項を通知す
ることとし、この2週間という周知期間は短縮できないように読めますが、
証券取引法第8条3項の規定を満たした場合は、この期間が2週間なく
とも有効に発行できるように読めます。この場合、特別法が優先される
ものとして、たとえば財務局より1週間と指定された場合は、周知期
間は1週間として登記手続に入ることができると考えてよいのでしょうか?

投稿: りーさ | 2007年8月21日 (火) 11時58分

はじめまして。
会社法の勉強について質問させてください。
会社勤めをしたことがないせいか、テキストを読んでも状況がいまいちイメージできません。
具体的な場面をイメージできるようになるには、どうすればいいでしょうか。
また、お勧めの本などございましたら、教えていただけるとありがたいです。
よろしくお願いいたします。

投稿: アストロガンガー | 2007年8月22日 (水) 00時22分

葉玉先生、はじめまして。私はいまロースクール2年生です。答案作成について質問があります。問いに「裁判所はどのような判断をすべきか論述せよ。」「弁護士はどのような立論をすべきか検討せよ。」などとある場合、自分が裁判官や弁護士になったつもりで論述すべきか、第三者の立場から論述すべきなのか、迷ってしまいます。また、もし弁護士として論述する場合、弁護士に不利だけれども、誰でも知っている論点があるときにも悩みます。このような論点は、まったく書かない方がいいですか?一応書いて最後に「主張すべきでない」などと記す方がいいでしょうか?初歩的な質問で申し訳ありませんが、ご教示のほどよろしくお願います。

投稿: sakura | 2007年8月22日 (水) 14時07分

株券を実際に発行している株券発行会社における、
会社法219条1項1号の公告及び通知の時期についてご教示ください。
旧商法350条1項においては「決議ヲ為シタルトキ」と規定されていましたが、
会社法219条1項本文においては「行為をする場合」と規定されていますので、
会社法施行によって、株主総会で定款変更決議がなされる前でも、
公告及び通知が可能になったと考えておりますが、いかがでしょうか?

投稿: としお | 2007年8月24日 (金) 18時10分

質問させてください。
日本では、取締役の義務に「善管注意義務」「忠実義務」があり、その2義務の関係は、学説上、同質説と異質説に分かれて対立している。異質説の主張は、アメリカ州判例法を真似るべきだという理由から。
アメリカ州判例法では、注意義務と忠実義務をはっきり区別している。
注意義務違反には経営判断原則が働き、忠実義務違反は債務不履行ではなく、より重い責任が問われる。
・・・というところまでは理解しているのですが、何故そもそもアメリカにおいて、2分法をとっているのか、分かりやすく教えていただけたら幸いです。
江頭先生の本なども読んでみたのですが、書いてるのは書いてるのですが、私の読解能力の低さゆえに、あまり理解できなかったのです。

どうぞ宜しくお願いします。

投稿: 大学2回生です | 2007年10月24日 (水) 02時26分

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