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2007年7月14日 (土)

良い弁護士

ブルドックの続きを書こうとしているのですが、今回の抗告審の「濫用的買収者」概念は、位置づけが難しくて、分析に手間取っています。

世間では、
「こんな定義だと、ファンドはみんな濫用的買収者だ」とか、
「大株主は、皆、経営しなければならないのか。所有と経営の分離はどうなったんだ」とか
「経営しない株主が悪いのなら、持ち合いの大株主とか、創始者の相続人の大株主なんかは、皆、濫用的大株主だ。」とか
いろいろ言われています。

 ただ、そんな単純な話ではないと思うので、抗告審決定の要件の意味をできるだけ正確に理解するために、もうちょっと時間をください。

 それから、毎週木曜日恒例の脱時空勉強術 第6回
「人は最高の情報源」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/skillup/20070705/129213/
がアップされました。
 今回は、検事時代の体験を踏まえて、人から情報を引き出すためのノウハウ等を語っております。勉強術のみならず、取調べの基本も学ぶことができますから、検事になりたい人や若手検察官も読んでも面白いのではないかと思います。

さて、今日は、会社法ではなく、何の脈絡もないですが
 「よい弁護士とは何か」
について考えてみたいと思います。

「ぺん」さんから、次のような質問をもらいました。

「B志望の司法修習中の者です。
弁護士になるにあたって,自分はどうなりたいのか,今後の弁護士はどうなるのだろう,などなど考えたりします。そこで,葉玉先生からお聞きしたいことがあります。
1 葉玉先生が考える「よい弁護士」「一流の弁護士」像とはどのようなものか?先生はそれを目指すためにどのような点を注意しているのか?

2 中長期的にみて,今後の弁護士業界の動向をどう見るか(大規模化,専門化,外資系の台頭,インハウスローヤーなどなど)?
3 3000人時代で生き残っていくためには,どのような資質や能力が必要か(1と同じかもしれませんが)?
ぶしつけな質問で恐縮ですが,弁護士業界についてよく知らないので,今後どうなるかの自分の見通しが立っていません。先生のように途中から弁護士になった方はどのような認識をもったうえで弁護士になられたのか,教えていただけないでしょうか。」

 弁護士経験3か月の私が、よい弁護士とは何かを語るのはおこがましいですが、15年間、外から弁護士を見ていたので、それなりの「よい弁護士」像は持っています。

 私の「よい弁護士」の5要件は、次のとおりです。
(1)人から正確に話を聞くことができること
(2)将来の見通しがよいこと
(3)常識を持ちつつ、常識に縛られない解決ができること
(4)生活が安定していること
(5)愛情をもっていること

 順次、説明します。

(1)人から正確に話を聞くことができること
 弁護士は、クライアント・相手方・関係者など、人と人とのつながりを修復・改善するのが仕事です。
 裁判で勝ち負けをつけることも、人間関係に横たわる紛争を終結し、改善するための一手法に過ぎません。
 人と人とのつながりは、多種多様で、どれ一つ同じものではありません。
 ですから、先入観をもとにステレオタイプな解決をしてはならず、その案件に関わる人たちの言葉をよく聞き、客観的事実や、その人たちの心情を理解するのが、最適な解決につながります。

 私がどんなことを注意しているかは、脱時空勉強術を見てください(宣伝)

(2)将来の見通しがよいこと
 法律相談を受けたとき「この裁判は勝てますか」と聞かれ、
 「絶対、勝てる」
 と言える弁護士はいないと思いますし、決して言ってはならない言葉だと思います。
  時の経過、当事者の行動、新たに発見された証拠、裁判官が誰かなどによって、紛争解決の方向性が大きく変わることは、よくあることだからです。

 しかし、弁護士が
 ①現時点の証拠関係を前提とすれば、裁判所・行政・相手方が、どのような判断をする可能性が高いか
 ②現時点で発見さていない証拠として、どのようなものが考えられるか。
 ③自分の起こす行動が、紛争解決にどのような影響を与えるか。
 ④クライアントと相手方の意思が、今後、どのように変化する可能性があるか。
 ⑤現時点において、どのような問題が生ずると考えられるか

 ⑥以上を踏まえて、どこらへんが「落とし所」になるか。
ということを見通すことができれば、そのときどきで、適時・適切な対応を採ることができます。

 逆に、見通しの悪い弁護士は、無駄な動きが多く、時として、クライアントに不利益をもたらす行為を平気でやります。

 研修所では、「見通しのたて方」はあまり教えてくれませんが、「将来の見通しがよい」ことは、法律家にとって、最も重要な能力の一つだと思います。

 私は、この見通しの良さを身につけるために、なるべく、いろいろな領域の専門家と接して、その人の相場観を聞きだすことにしています。
 会社法に限らず、税法・金証法・独禁法など、それぞれの領域で、独特の事実認定・独特の解釈の仕方があり、本を読んだだけではなかなかわからないからです。

 また、法律の裏にあるバックヤードを知ることも重要です。バックヤードというのは、ある法律の条文を実行するまでの実務的な手続き・手順などのことです。法律家は、とかく観念論に走りがちなのですが、特に、買収防衛策など今までやったことのないようなスキームで案件を解決しようとするときは、バックヤードがわからなければ、思わぬところで失敗します。だから、バックヤードを知るために、実務から日常のフローをよく聞いておくことも大事です。

(3)常識を持ちつつ、常識に縛られない解決ができること
 案件を検討するときに、
  「普通は、こうだよ」「普通は、こうなるよ」
という常識を知らなければ、まともな弁護士にはなれません。

 しかし、
 「普通は、こうだけど、この案件では、普通じゃない方法を採った方がベターだな」
という判断『も』できなければ、「よい弁護士」にはなれないと思います。
 案件には、必ず個性があり、個性を無視した「普通の」解決法は、最善の解決法で無い場合も多いからです。

 また、最善の解決のために、普通の弁護士では思いつかないような革命的な解決策を考案し、それを実現することができれば、「一流の弁護士」になれますし、やっていて、仕事が面白いでしょう。

 「常識を持って、常識に縛られる」ことも、
 「常識が無いため、常識に縛られない」ことも、わりと簡単なのですが、
 「常識をもって、常識に縛られない」のは、なかなか難しいですね。
 ここらへんは、常識を身につける努力と、常識を常に疑い続ける努力を続けるしかありません。

(4)生活が安定していること
 「クライアントにとって最善の解決策が何か」
という問題と、
 「弁護士の生活が安定しているか(十分な収入を得ているか、プライベートで問題を抱えていないか等)」
という問題は、別問題のように見えて、大きく関連しています。

 犯罪に手を染めるような弁護士が駄目なのは当然ですが、
  収入が安定していない弁護士
  売り上げのノルマがあるような弁護士
は「クライアントにとって最善の解決策」ではなく、
  「収入面で最善の解決策」
を選ぶおそれがあります。弁護士の年俸として、「年収500万円だと弥生時代から働らかなければならない」というほど稼ぐのは無理だと思いますが、アテネオリンピックくらいの収入がないと、先行きが不安になってくるでしょう。

 また、家庭に悩みを抱えていると、仕事にも悪影響が出ます。
 本人は「仕事は普段どおりやっている」と思っていますが、外から見ると、ほとんどの場合、悪影響が出ています。

 弁護士は、機械ではないので、生活の安定が、良い仕事を生みますし、クライアントの信頼にもつながると思います。

(5)愛情をもっていること
 弁護士は、人を救う仕事です。
 紛争を解決するときにしかるべき形で、紛争を終結させることができれば、自分のクライアントはもちろん、相手方も救われることになります。

 クライアントからの依頼内容を実現することは重要ですが、さらに重要なのは
 その案件に関わった人の心を満足させ、人の心に安定をもたらすこと
であり、それがなければ、紛争解決がさらなる紛争をもたらすことになりかねません。

 そのためには、あらゆる者に愛情を持つことが大事だと思います。

 クライアントに対する愛情(「救ってあげたい」という気持ち)を持つのは当然のこと、相手方に対しても「恨み」「敵意」ではなく、一種の愛情(相手の気持ちを生かしつつ、解決する方法を探る気持ちや、相手が敗訴しても、それが相手のためになるんだという気持ち等)を持てるか、どうかが「よい弁護士」かどうかの境目なのではないでしょうか。

 負けた相手が
 「次は、こちら側で、あの弁護士を使ってみたい」
と思ってくれるような弁護士になれたらいいなと思います。

問2 中長期的にみて,今後の弁護士業界の動向をどう見るか(大規模化,専門化,外資系の台頭,インハウスローヤーなどなど)?
問3 生き残るために何をすべきか。

 合格者3000がずっと維持されれば、弁護士の数がものすごく増加するのは明らかです。
 しかし、弁護士の数が増えるほど、案件の数は増えませんから、必然的に
  どんな事務所でもできるような案件については、報酬が下がり
  この事務所しかできないという案件は、報酬は下がらない
という現象が起きるでしょう。
 
 企業法務の分野は、法務・税務の複雑化、契約書の複雑化が顕著であり、弁護士が一人だけで何でもできるという仕事は相対的に減っています。一つの案件が、複数の専門分野にまたがることも多いので、一つの事務所にさまざまな専門家が集まって、共同で処理することが必要不可欠です。
 そのため、企業法務についていえば、もう少し大規模化現象は継続し、その結果、企業法務の分野で法律事務所の寡占化が生ずる可能性は高いように思います。どの程度、寡占化が進むかは、コンフリクトについての考え方によっても、かなり違ってくるでしょうが。

 インハウスについては、新任弁護士の初任給が下がれば、増えるのは間違いないでしょう。
 しかし、企業が、一から企業内弁護士を育てることになると、弁護士以外の法務部員を育てるのと、あまり変わらなくなってしまいます。
 
 おそらく、企業がインハウスで弁護士を持つ最大のメリットは、その企業の内情を知り尽くしたプロに、その企業にない法的ノウハウを提供してもらって、案件の解決に役立てることでしょう。
 とすると、一から育てるよりも、大規模事務所からある程度経験をつんだ弁護士を、派遣してもらった方が、企業にとっては有益であるように思います。
 そうすることで、インハウスロイヤーを会社内でどう昇進させるかという難しい問題にも直面せずにすみます。
 そう考えてみると、インハウスロイヤーの増加は限定的かもしれません。

 なお、大規模事務所の増加は、企業法務に限りません。
 
一般民事についても、定型的案件を大規模に行うことで「安さ」を実現するスーパーマーケット的法律事務所が登場する可能性はあります(債務整理だけやる事務所は、一局面に過ぎません)。
 会社が「派遣社員」を使うようになったのと同じように、法律事務所が「派遣弁護士」を使うようになる可能性もあり、そうすると「弁護士を派遣する法律事務所」が登場するかもしれません。

 現状のように単に弁護士の数が増えるだけであれば、既存の法律事務所は、従来からの顧客を守ることで、それなりに食える(逆に言うと、新規で開業するのは、難しい)ということになるでしょうが、スーパーマーケット法律事務所や派遣法律事務所が出てきて、既存の法律事務所の顧客を奪い始めることになると大変です。

 私の実家は、福岡県で主として個人商店や小さなスーパーを相手にした卸売問屋をしていたので、よくわかるのですが、有名な大規模スーパーの進出により、従来のやり方をしていた個人商店やスーパーは、10年でほとんど全滅してしまいました。

 スーパーと法律事務所は、必ずしも同列では語れませんが、個人でやっている弁護士の仕事を効率化しようと思っても限界がありますから、定型的な案件についてディスカウント合戦が始まれば、個人商店的法律事務所は、基本的収入が減り、生き残りが難しくなります。

 ということは、個人商店的法律事務所が生き残るためには、
 弁護士を増やして定型的案件のシェアを拡大し効率化するか
 「この事務所しかできない」という専門化・ブティック化・ブランド化していく
という戦略をとるのが通常でしょう。

 すでに現時点で地方の県庁所在地の弁護士の数は、かなり飽和状態になってきていると言われていますので、従来型の法律事務所と違う形態の事務所が登場し、競争が激化したときが、次のエポックとなると思われます。

 個人的には、弁護士事務所の競争激化が、日本の国益にプラスになるとは思えないですね。
 競争が激化すれば、企業の利用する弁護士コストが安くなるという見方もありますが、その考え方は、ビジネスロイヤーとしての教育コストを誰が負担するかという視点が抜けていますし、大手事務所の新人弁護士の初任給がほとんど下がっていないことからすると、コスト安が実現するのかどうか、よくわかりません。
 弁護士が生き延びる努力をすることは当然ですが、需要と供給のバランスを人為的に崩せば、混乱が生ずるのが普通なので、供給の調整をもっとうまくやった方が良かったのではないか、というのが私の実感です。
 
 検事や裁判官もこれまでは「やめて弁護士になるか」と気軽に思っていましたが、もはや、弁護士になったときに検事・裁判官並みの報酬がえられる時代ではなくなりつつあります。
 検事・裁判官の人事にもそのうち影響が出てくるでしょう。

 また、新司法試験の合格者が多いのに、弁護士としての仕事がないという状態になれば、司法書士的仕事や税理士的仕事をするために、新司法試験を受けるという「合理的」な考えをする人も出てくるかもしれません。そうなると、単に弁護士業界だけの問題ではなくなります。
 合格者数の問題は、そのうちどこかで社会問題化するかもしれませんが、不都合が顕在化した後に是正するのは、難しい問題でもあります。
 「宙に浮いた年金」が早期に是正されていれば、今のように大変な問題にならなかったように、「宙に浮いた弁護士」問題も、「これは、なにかおかしいんじゃないか」と思い始めたときに、是正措置をとった方が良いと思います。
 需要を増やすか、供給を減らすか、みんなでもう少し真面目に検討したいところですね。

以上は、私の勝手な予測ですが、参考になりましたでしょうか。

(質問コーナー)
Q1
T-rodさんの質問に便乗しますが、権利株の譲渡の効力につい
て、
発起人の場合は出資の履行前(35条)と出資の履行後(50
条2項)があるのに、設立時募集株式の引受人については払込
み前(63条2項)しかなく、払込み後の条文がないのはなぜ
でしょうか?
A1
頻出ですが、大人の事情です。

Q2
企業再編の問題が出たときに
条文をうまく拾うコツがありましたら、教えてください。
投稿 流れ星 | 2007年7月 8日 (日) 23時47分
A2
条文の構造を理解することです。
目次を見れば、非常に整然と並んでいます。

Q3
会社法施行規則第2条第3項第3号に定める「役員」の解釈につ
いての質問です。
米国デラウェア州法上のCorporationにおけるOfficerは、「役
員」に含まれると解釈すべきでしょうか。「執行役」または「
これらに準ずるもの」に該当すると解釈しているのですが、い
かがでしょうか。
先生のご解釈をいただけるとうれしいです。
よろしくお願いいたします。
投稿 外資系企業法務担当者 | 2007年7月 9日 (月) 12時25分
A3
私は、Officerは、執行役に準ずるものに該当すると思います

Q4
今回のブルドック高裁決定を受け、濫用的買収者による会社価
値の毀損への対抗策としての買収防衛策を導入しないこと自体
が、取締役の善管注意義務違反となる可能性はないでしょうか

株主総会マターだから、問題ない、ということかもしれません
が、議案を提案しないこと自体、あるいは防衛策を検討しない
こと自体が善管注意義務違反にならないか心配になりまして。
投稿 パパ | 2007年7月11日 (水) 08時12分
A4
作為義務はないと思います。

Q5
定款に記載の無い買収防衛策に対し、株主総会の議案として、
普通決議で可決した場合と特別決議で可決した場合のそれぞれ
の決議の効力は何でしょうか?
投稿 チャーリー | 2007年7月10日 (火) 02時50分
A5
前回の記事のマトリクスを見てください。

Q6
会社法に関する質問ではないのですが、
睡眠をコントロールする方法はあるでしょうか?

私は来年の旧司法試験に合格するのですが、
毎日の勉強時間の確保が非常に厳しい生活なので、
あとは睡眠時間を削って勉強時間を捻出したいのですが、
なにかよい方法はないでしょうか?

もちろん、脱時空勉強術を実践しています。
この勉強術のおかげで飛躍的といっても過言ではないほど勉強
が進みます。
本当にありがとうございます。

が、もっともっと勉強したいので、あとは睡眠時間を削るしか
ないのですが、
日々、気合で生きている私もやはり寝ないと生きていかれず、
困っています。
それに最低6,7時間は寝ないと次の日が使い物になりません

なにかよい方法はないでしょうか?薬物には頼りたくありませ
ん。
体質、体力など個人差のあることなので、答えなどないかもし
れませんが。

ちなみに私は毎日フルタイムの仕事、小学生の子供二人と親の
世話、
食事の支度、掃除、洗濯をしています。
働かないと食べていかれないので、仕事は辞められません。
配偶者はもういません。
家事等はできる限り手抜きをしています。
生きていくのがやっとの毎日ですが、それでも、なんとか一日
合計1,2時間勉強時間を確保しています。
司法試験の勉強を始めて5年目、途中2年間勉強できなかったの
で、実質3年目というところです。
投稿 ジャスミン | 2007年7月10日 (火) 22時10分

A6
私も、6時間寝ないと頭が回りません。
体を壊すかどうかは、別として、頭を回転させるためにも
睡眠時間を削るのは、止めた方がよいと思います。
ボーッとするようでは、意味がありません。

ちなみに、私は、6時間の睡眠時間のうち、1時間程度は昼寝
に回すこともあります。
昼寝できる職場環境にあるかどうかにもよりますが。能率が落
ちてくる時間帯にやると効果的です。

なお、生活のことで大変だとは思いますが、小学生のお子さん
と家事を分担するということも考えられたらいかがでしょうか

私も、小学生2人の親であり、かなり甘やかして育てているよ
うな気もしますが、家事をさせれば、それなりのことはできる
ようになります。
 子供を世話をする対象としてだけではなく、一緒に生活を支
える同士として見ることができるようになれば、ジャスミンさ
んのためにも、子供さんのためにもプラスになるのではないか
と思います。

Q7
 事業譲渡について教えてください。
 事業=会社全体であるか一部門であるかを問わず、営利活動
ための
       諸々のパーツの有機的一体
であるとすると、

 異なる種類の事業を行うA~Dの4事業部を有するS社につ
いていえば、
一般的に

  S社全ての事業部の一括譲渡=事業譲渡
  A事業部のみを一式譲渡=事業譲渡

がいえるのだと思います。
 では、下のケースは何になりますか?
 事業の一部譲渡が複数あると見るのでしょうか?

A事業部の事業を廃業する。
A事業部の労働契約のみを競合T社が承継する。
取引先(客)との契約は一旦すべて終了する。
U社・V社・W社がS社の続きを引き受ける形で新たに取引先
(客)と契約をする。
A事業部の資材(パソコンなど「物」全て)はS社に残しB~
D事業部が使う。』
 つまり、諸々のパーツの行く先がバラバラだったり、取引先
との関係を承継
でなく終了/開始というようにした場合をどのように考えたら
よいのかということ
です。
 実務では必ずしも有機的一体の一式譲渡でなくてもある程度
の塊になって
れば事業譲渡という言葉が使われているみたいですが、事業譲
渡と財産個別
譲渡を分ける目安は何でしょう?
投稿 K UNIV. | 2007年7月11日 (水) 00時45分
A7
一般化して答えるのが難しいですが、質問では、A社からの移
転しているものが、労働契約のみのようですから、事業の譲渡
ではありません。
事業譲渡と個別財産の譲渡の区別は、有機的一体性があるかど
うか、です。

Q8
このたびは子会社の中間配当についてご教示ください。

子会社からの配当金を当社の上期決算に計上したいと考えてい
ます。

通常は
 定款所定の基準日 → 取締役会配当決議日 → 配当効力発生

となりますが、
 取締役会決議日 → 基準日=効力発生日
とすることは可能でしょうか?

なお、現在の定款は、
「当会社は、取締役会の決議により、毎年9月30日における
最終の株主名簿に記載された株主又は登録株式質権者に対し、
中間配当をすることができる。」
となっております。

また、この定款の規定から基準日を取ってしまい、期中にいつ
でも1回、取締役会決議で配当可能とすることは問題ないでし
ょうか?
投稿 msm | 2007年7月11日 (水) 09時15分
A8
取締役会決議を定款所定の基準日よりも前にすることは、可能
です。
基準日と効力発生日を合わせるのも可能ですが、基準日の最終
の株主名簿の株主に中間配当するので、効力発生をそれ以後に
する必要があります。とすると、10月1日(の最初の時点)
を効力発生日とするのが自然だと思います。

定款から中間配当の基準日を採ることは可能です。
中間配当の定め自体は残してください。

Q9
ロースクールの授業や課題などで文献をリサーチすることがあ
ります。会社法に関して調べものをするとき,先生がいつも手
元において参照する基本書や解説書はどのようなものでしょう
か。できれば複数教えていただけますでしょうか。

江頭先生や神田先生の基本書,立法担当者の解説本ぐらいは手
元にあるのですが,リサーチの幅を広げたいと思って質問させ
ていただきました。

投稿 ガンダム | 2007年7月11日 (水) 21時40分
A9
脱時空勉強術を見ていただけるとわかるのですが、手元にある
のは、今、使っている資料のみです。
「日頃から使う資料」と「探す資料」は、別と考えた方がよい
でしょう。
リサーチの幅は、目的によって異なります。
授業や課題程度でよければ、百選・重判・最高裁判例解説程度
で良いのではないでしょうか。せいぜいそこであげられている
参考資料まで。
 googleと違って、物理的リサーチは時間がかかります。文献
の幅を広げれば、指数関数的にかかる時間は増えます。リサー
チ時間を短く、その分、書く時間を増やした方が適切な場合が
おおいでしょう。

Q10
会社法499条1項の公告および催告について質問させてください

 
 清算株式会社は、債権者に対し、2ヶ月以上の一定の期間内
にその債権を申し出ることを官報に公告し、かつ、知れている
債権者には格別にこれを催告しなければなりません。(499条1
項)
 しかし、499条は449条3項のように、官報のほか定款の定め
にしたがう公告をすることで催告を省略する旨の規定を有しま
せん。
 このような違いはなぜ生じるのでしょうか?ご教授いただけ
れば幸いです。

投稿 maru | 2007年7月12日 (木) 00時34分
A10
499条の催告は、大事だからです。

Q11
子会社の総務系で働いているものです。今度グループ再編ということで、100%子会社間数社で合併をすることを予定しております。そこで、会社法の基本を学ぶために、「会社法マスター115講座」で勉強しております。
その235ページで、吸収型再編の「当事会社の数」で「必ず2会社間で行われる」とありますが、合併の場合、これについて、条文の定めなどはあるのでしょうか。数社間で合併の場合は、まとめてひとつの契約ということは、できないのでしょうか。
基本的な質問で申し訳ありませんが、実務的には違いがでてくる問題ですので、教えていただけますか。
投稿 総務経理部 | 2007年7月12日 (木) 11時41分
A11
吸収合併ですから、消滅会社と存続会社の2当事者で物事を取り決めなければ、実務的にもうまくいかないと思います。
もちろん、存続会社1社と、消滅会社2社の合計3社で、一枚の契約書を作成し、存続会社と消滅会社A、存続会社と消滅会社Bの2個の合併契約を締結することは可能です。
Q12
新株予約権の権利行使時の払込価額をゼロ円と定めることは可能でしょうか。また、この権利行使価額をゼロ円とすることについては特に株主総会の特別決議は不要と理解していますがよろしいでしょうか。払込価額をゼロ円としてしまえば、現物による払込の場合に要求される検査役の調査(会社法281条3項)を普通決議で回避できてしまうような気がしたため、質問させていただきました。ご教示いただけますと幸いです。
投稿 moyoko | 2007年7月13日 (金) 02時46分
A12
行使時の払込価額を0円にすることはできません。

Q13
種類株式について教えてください。
108条1項9号の取締役選任権付種類株式の発行は公開会社では発行できない趣旨は理解できるのですが、
108条1項8号の拒否権付種類株式で、当該種類株式の決議事項(108条2項8号イ)を取締役選任について定めると実質的に公開会社でも9号に近い種類株式を発行できることになると考えられます。(8号の種類株式保有者の意見が反映されるまで決議が成立しないという意味で)
そうなると、9号が公開会社では発行できない趣旨が没却されると思います。
そこで、なぜ、拒否権付種類株式が公開会社でも発行できるようになされたのですか?
投稿 ToTAN | 2007年7月14日 (土) 01時53分
A13
それは、政策的な判断という以上のものはありませんね。
理屈じゃありません。

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コメント

企業で買収防衛策に関する仕事を担当している者です。

ブルドックソースの新株予約権の発行差止めに関する地裁、高裁決定を参考に実務対応をいろいろと考える際、対抗措置の発動に関する株主総会決議について、「定款に定めのある」株主総会決議なのか、または「定款に定めがない」株主総会決議なのか、といった点は特にポイントではないのでしょうか。あまり議論にはなっておらず、的外れな質問であろうかとも考えているのですが・・・。

追伸
「よい弁護士」の要件の内容やジャスミンさんへの回答、随所において葉玉さんらしいですね(^ ^)

投稿: 海江田四郎 | 2007年7月15日 (日) 00時04分

つまらないことをお聞きしますが、商法では会社分割は包括承継の性格を持っていました。会社法で権利義務の一部となり、有機的一体性などが問われなくなりましたが、例えば、貸付金のみ、不動産のみの移転であっても、これを「包括承継」というのでしょうか?。営業の移転⇒「包括承継」はピンときますが、貸付金の移転の場合に「包括」は、何を指すのでしょうか?すみません。よろしくお願いします。

投稿: けい | 2007年7月15日 (日) 10時52分

初めて質問させて頂きます。
今日の記事の中で,
設立時募集株式の引受人について払込後の譲渡制限の条文がないのはなぜ
か?という質問に対し,「払込によって株主になるからです。」とご回答されていますが,102条2項によれば,会社成立時に株主になるとされているので,やはりこの場合も払込後会社成立前についての規定が必要なのではないでしょうか?

投稿: ADYTY | 2007年7月15日 (日) 20時43分

葉玉先生、ご回答ありがとうございました。
私は息子たちを守るべき存在としか見ていなかったように思います。
先生のお言葉で、一緒に助け合って生きていく存在でもあるんだと気づきました。ありがとうございました。少し肩の力を抜いて生きていけそうです。
勉強術にしても、いつも先生のお考えにははっとさせられます。目から鱗です。
これからも、お体を大切にブログ続けてください。
ありがとうございました。

投稿: ジャスミン | 2007年7月15日 (日) 22時55分

 昨日、旧司法試験の論文試験(商法)がありました。
 商法の問題について、すぐにでも葉玉先生の解説を聞きたいと思っています。
 やはり、司法試験の問題は、新の問題とも併せて、次回の100問の改訂に盛り込む予定なのでしょうか?たとえそうだとしてもお待ちしています。

投稿: ヨボヨボ | 2007年7月16日 (月) 00時22分

質問させてください。

100問の154頁で新株の有利発行において、既存株主の取締役に対する損害賠償責任の追及(429条1項)を肯定しています。その際に、「損害」を株式の価値が減少した点に求めています。

ここで、既存株主の持株比率は、4分の1の限度でしか保護されていなかったと思う(113条3項本文)のですが、その点と整合性は、あるのでしょうか?

また、株価の低下というものも原則として株主は、甘受すべきですよね?

お忙しいかと思いますが、よろしくお願いいたします。

投稿: ごうし | 2007年7月16日 (月) 20時18分

今大学生3年生なんですが将来企業法務の現場で働きたいと思っています。そして今司法書士の勉強しているのですが会社の法務部で働く場合何か資格が要るのでしょうか?お忙しいと思いますがよろしくお願いします。

投稿: ヨース家 | 2007年7月16日 (月) 23時15分

葉玉先生

お忙しいところご回答ありがとうございました。
先生の解釈と大きな齟齬がないことが確認できて、大変助かりました。
重ねてお礼申し上げます。

投稿: 外資系企業法務担当者 | 2007年7月17日 (火) 19時53分

葉玉先生、ありがとうございました。

右も左もわからない新人で、
辞めたくて辛くてたまらなかったのですが、
以下の言葉にホントにホントに救われました。
先生には足元にも及ばないですが、
心意気だけでも同じつもりでがんばります。
毎日クリアファイルに入れて読んでいます。

本当にありがとうございました。

>あらゆる者に愛情を持つことが大事だと思います。

>クライアントに対する愛情(「救ってあげたい」という気持ち)
>を持つのは当然のこと、相手方に対しても「恨み」「敵意」ではなく、
>一種の愛情(相手の気持ちを生かしつつ、解決する方法を探る
>気持ちや、相手が敗訴しても、それが相手のためになるんだという
>気持ち等)を持てるか、どうかが「よい弁護士」かどうかの境目なの
>ではないでしょうか。

>負けた相手が
>「次は、こちら側で、あの弁護士を使ってみたい」
>と思ってくれるような弁護士になれたらいいなと思います。
http://kaishahou.cocolog-nifty.com/blog/2007/07/post_7d09.html

投稿: Justice for all | 2009年10月 9日 (金) 21時12分

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