【入門】株式譲渡自由の原則(2)
新司法試験の択一試験(足きり)の発表がありました。
「去年あれほど言ったのに、東大は、あいかわらず択一が強くないなあ。受け控えも結構いるし」とか
「早稲田は知り合いが多いから、もう10歩くらい、がんばってほしい」とか
「九大、大丈夫か。福大はがんばってるけど、ちょっと受け控えが多いな」
等と、自分に係わり合いのある大学について、いろいろ感想はありますが、大事なのは最終合格の分析なので、論文発表後に詳しく分析します。
次に、ポップンさんに紹介していただきましたが、昨日から、日経ビジネスオンラインというところで、勉強術の連載を始めることになりました。題して
「葉玉匡美の脱時空勉強術」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/skillup/20070524/125480/
毎週木曜日に更新で、全12回の予定です。
このブログでも、司法試験の勉強の仕方についてお話したことがありますが、今回は、ビジネスマン向けという依頼があったので、忙しいビジネスマンの顔を思い浮かべながら、書いてます。
司法試験に特化したノウハウは紹介しませんが、どんな勉強もやり方は同じですから、受験生にも役に立つでしょう。無料登録をすれば、誰でも見られるはずなので、興味ある人は覗いてください。
ちなみに、この連載、読者がコメントを書く欄があるのが特徴です。
私がグータラ人間だと書いたら、何人かの人が「グータラ」観について語っていて、これが結構、面白い。
私は、グータラで、面倒くさがりで、あまり人の言うことを聴きたくない人間ですが、いろいろな仕事が身の上に降りかかってきて、24時間ダラーッとしていられるような環境にありません。
そこで、仕事を無視して文句を言われても、気にもとめずに自分勝手にダラーッとできるい人は、強いグータラなんですが、小心者の私は、そういうことができませんし、第一、文句を言われたら、ゆっくりした気分になれません。
だから、私のグータラ感は、「やらなきゃいけないことを早めにこなして、他人に干渉されない時間を作るグータラ」。多忙グータラです。
そういう人向けの連載なので、キッチリしたのが好きな人と、強いグータラの人には向かない勉強術かもしれません。
さて、話題を変えて、株式譲渡自由の原則の続きをお話しましょう。
前回は、株式譲渡自由の原則は
譲渡禁止特約を許さない
という点で、民法の債権譲渡自由の原則よりも譲渡性が強化されていて
譲渡制限株式ですら、株式会社の承認なく、有効に譲渡することができる
(会社に譲渡を対抗することができないだけ)
というお話をしました。
なぜ、そのように譲渡性が強化されているか、一言でいえば
株主にとって、株式の譲渡が唯一の投下資本回収手段だから
ということになります。
株主が、会社に出資したり、株式を購入したりするのは、究極的には、
お金儲け
をするためです。
例えば、裁判官の松真さん(仮名)が裁判所を退職し、退職金700万円を出資して、300万円を出資した湯水さんと一緒に、株式会社正直法務を設立したとしましょう(株式を1000株発行)。湯水さんは代表取締役として働き、松真さんは,単に株主としてだけ、会社にかかわっています。
株主である松真さんは、通常は、1年に1回か2回、交付される
配当
を楽しみにするでしょうが、湯水さんが常軌を逸するほど商売がうまいか、よほど手を汚すような商売をしない限り、短期間に配当だけで、松真さんに700万円相当額の元をとらせるのは難しいでしょう。
もちろん、長年配当が続けば、松真さんは、700万円を超える配当を受け取ることができるでしょうが、1年あたりの配当額が、仮に出資額の5%(35万円)だとしても、松真さんは、「配当は、俺のタバコ代だな」という程度にしか考えないのでしょうか。
松真さんとしては、退職金700万を元手にして、「10年後には、子供が私立の医学部に行くだろうから、そのときに入学金と授業料をまかなえるくらいのお金に換金できればいいな」などと夢を膨らませているでしょう。
つまり、株主は、通常、配当を受け取るだけではなく、いつか株式を手放して、お金に換えることを予定しているのです。このように投資により取得した株式をお金に換えることを、
「投下資本の回収」
と呼んでいます。
この投下資本の回収手段は、理論的には、①持分の払戻しと、②株式の譲渡の2種類の方法があります。
1 持分の払戻し
1つ目は、退社による持分の払戻し。
たとえば、松真さんが700株を「消滅」させて株主ではなくなる代わりに、会社からお金をもらう方法ですが、この持分の払戻しは
株式会社では、禁止
されています(ちなみに、持分会社では許されています)。
通常、退社というのは、会社の「一部解散」というイメージで捉えられています。
つまり、社員が全員社員でなくなるのが「解散」で、社員の一部が社員でなくなるのが、「退社」だから、一部解散。
それで、解散時に社員に残余財産を分配するのと同じように、社員が退社するときに、その持分相当分の会社財産を分配するべきだという発想になり、それを「持分の払戻し」と呼んでいるのです。ですから、持分の払戻しは、いわば、共有物の分割みたいなものです。
このように退社を「一部解散」というイメージで捉えてみると、
「なぜ、株式会社では、株式を消滅させて払戻しをするのを禁止するのか」
という理由が分かります。
本来、会社が解散するときには、債権者が会社財産からまず支払いを受け、その残りの財産を社員で分配するのが原則です(このことを、社員は債権者に劣後するといいます)。このルールは、株式会社でも持分会社でも同じです(664条を見てください)。
このように、会社を解散するときは、債権者への支払いが先なのだから、社員が退社する場合(つまり一部解散する場合)には
「債権者との間の清算がまだ済んでいないから、お金はまだ返せないよ。」
というのが本筋なのです。
しかし、会社が存続している限り、自分の出資したお金が戻ってこないとなると、出資をする方はたまったものではありません。
そこで、持分会社では
債権者が、退社した社員に対して、退社前の責任を追及することができる(612条)
というルールを採用するかわりに、持分の払戻しを認めています(なお、合同会社のことを話すと話が複雑になるので、後日、詳しくお話します)。
これに対して、株式会社は、出資者のリスクを限定するために
株主は、間接有限責任しか負わない
ということにしていますから、持分の払戻し後の株主の責任を追及させるわけにはいきません。
それで、株式会社では、持分の払戻しは、原則どおり、禁止されているのです。
ちなみに、株式の消却は、社員の地位を消滅させるので、退社に分類されます。しかし、会社法では、自己株式の消却しか認められていないので、株主が消却によって財産を受け取ることはなく、持分の払戻しに相当するものはありません。
2 株式の譲渡
1で述べたように、株式会社では、持分の払戻しが禁止されているため、株主が投下資本を回収するためには、
株式を他人に売って換金する
とことになります。
たとえば、松真さんのお子さんが医学部に進学したとき、入学金が1000万円必要になったとしましょう。松真さんは、これまで貰った配当を全てタバコの煙に変えてしまっていたので、お金がぜんぜんありません。では、どうするか。松真さんは、湯水さんのところにいき
「出資金1000万円で始めた正直法務も、10年で純資産が2000万円に増えた。湯水さん、俺の株式を1400万円で買ってもらえないだろうか」
と頼みにいけばいいのです。
湯水さんは、松真さんの株式を買う義務はありませんし、値段は必ずしも、純資産ベースで決める必要はなく、税金の問題を抜きにすれば、交渉次第でいくらに決めても構いません。
しかし、代表取締役の湯水さんが
「ここで松真さんからの頼みを断ったりすると、松真さんは、ヤメ検弁護士の法曹川さんのところに株式の買取りを頼みにいきそうだな。法曹川さんが株主になると、僕が経営に失敗したとき「死ね!」とか言いそうだし、ここは松真さんの言い値で買っておくか・・・」
等と考えて、松真さんと株式の売買契約を結ぶかもしれません。
もしそうなれば、一件落着。
松真さんは、700万円で取得した株式を1400万で売って無事投下資本回収を完了したことになります。
この例からもわかるとおり、
株式の譲渡は、株主にとって唯一の投下資本回収手段
であり、もし、株式の譲渡ができなくなってしまうと、松真さんは、せっかく退職金をはたいて出資した株式を現金に換える方法がなくなってしまいます。
だからこそ、会社法は、株式譲渡自由の原則を採用する必要があるのです(必要性)。
しかも、株式会社では、所有と経営が分離していて、株主が必ずしも経営にタッチしていません。また、定款の変更等重要な事項も「多数決」で決めることになっていて、株主全員の同意が必要な事項は、ごく例外的なものにすぎません。
先ほどの例でも、松真さんは、出資しているだけで、経営にはタッチしていませんでしたから、松真さんが株主でなくなっても、正直法務の経営には、何の影響もありません。
すなわち、所有と経営の分離は、株式譲渡自由の原則を認める前提となっているのです(許容性)。
この必要性と許容性を双方考慮にいれて、会社法の株式譲渡自由の原則ができあがっているのです。
最後に2点だけ、注意点を。
(1) 株式譲渡自由の原則は、株主が、株式会社の承認なく、会社が株式を買い取ってくれることを保障しているわけではありません。
松真さんが、いくら投下資本を回収しようとしても、湯水さん、法曹川さんなど他の人が誰も買ってくれなかったら、投下資本を回収することはできません。
初心者の中には、出資したお金が必ず回収できると勘違いする人がいますので、念のため説明しました。最悪の場合、会社が解散するまで、回収できない可能性もあるのです。
(2) 株式の交付を受けることができる権利である新株予約権にも譲渡自由の原則があります(254条)。しかし、新株予約権者は債権者であって株主ではないので、同原則は、株式譲渡自由の原則とは趣旨が異なりますし、譲渡制限についてのルールも違います。
また、社債には、127条や254条のような規定はなく、譲渡禁止特約を付すことができます。
このように会社法上の権利であっても、権利の性質によって譲渡性が異なることは、意識しておいてください。
次回は、株式譲渡自由の原則の例外についてお話します。
(質問コーナー)
Q1
「譲渡禁止特約に違反する債権譲渡の効力については、民法でも学説が分かれていますが、悪意の債務者との関係では譲渡は無効であると考えるのが判例通説です。」とありますが、
「悪意の第三者」または「悪意の譲受人」の誤りではないでしょうか
投稿 | 2007年6月 6日 (水) 19時47分
A1
おっしゃるとおり。ケアレスミスです。訂正しました。
ありがとうございます。
Q2
反対株主の株式買取請求における公告について質問させてください。
785条4項および797条4項は 通知を公告に代えることができる例外要件を定めています。そして各条1号は 公開会社では会社の承認なく株式の譲渡ができるので、株主名簿に記載されたものに通知するよりも公告で株主名簿に記載されていない現在の株主に公告したほうが適切な場合があることを趣旨とすると理解しています。
まだ各条2号は すでに株主総会の召集通知で株主に通知しているので再度通知する必要性が少ないことを趣旨とすると理解しています。
この趣旨は新設合併等の手続きにも当てはまると考えますが、
806条4項は無条件に通知を公告に代えることができると定めています。
この理由を教えてくだされば幸いです。
投稿 maru | 2007年6月 7日 (木) 00時08分
A2
承認決議を経ていますから。
Q3
弁護士の仕事について質問です。
学校の弁護士の先生が「弁護士の仕事は当事者のかわりにするケンカする喧嘩屋だよ」よくおっしゃられます。
そういう部分もあるのでしょうか?
投稿 yosh | 2007年6月 7日 (木) 13時35分
A3
喧嘩の定義によりますが、喧嘩したり、なだめたり、すかしたり、一緒に泣いたり、笑ったりする仕事です。
Q4
葉玉先生、会社法施行規則24条についてご教授ください。
当社の株主が所有する譲渡制限株式について、差押債権者が譲渡命令の申立(民事執行法161条)を行ったため、裁判所の譲渡命令が発令されそうです。
この裁判所の発令する「譲渡命令」は会社法施行規則24条1項2号にいうところの「確定判決と同一の効力を有するもの」と理解してよろしいでしょうか?
実務的な質問で恐縮ですがよろしくお願いいたします。
投稿 hi | 2007年6月 7日 (木) 21時02分
A4
譲渡命令そのものは、確定判決と同一の効力を有するものには、該当しないと思います。
ただ、設問の前提となっている事実関係や裁判所の命令の内容によっては、名義書換えに応じなければならない場合もあると思いますので、弁護士に相談されたほうがよいでしょう。
Q5
非公開会社(公開会社でない株式会社)で法務を担当している者ですが、
株式交換の株式交換完全親会社について質問させていただきます。
株式交換完全親会社は株式交換契約を締結する必要がありますが(767条)、
この契約は株式交換の効力発生日までに締結すればよいのでしょうか(吸収
合併契約等の内容の事前開示(794条)は締結前の契約でも可と考えてよろ
しいでしょうか)。
また、株式交換に関する取締役会決議が行われる前(総会召集や契約締結
等について何ら決議していない状態)で事前開示(794条)を行うことは可能
でしょうか(代表取締役の権限で開示)。
不躾かつ不自然な取り扱いについての質問ではありますが、よろしくご教授
ください。
投稿 OGT | 2007年6月 8日 (金) 00時42分
A5
株式交換契約前に事前開示をすることはできません。
Q6
種類株主総会について疑問に思ったことがあって質問です。
1 全部取得条項の付加する定款変更(111Ⅱ) の例なんですが知ってるのは100%減資だけなんですが、そのほかでどんな利用方法があるんですか??
2 それと、その場合で株主総会の決議があっても111条でこういった規定がなされているので種類株主は自己の不利益になるような場合には種類株主総会の決議で賛成しなければいい、という解釈であってますよね??
投稿 ksuke | 2007年6月 8日 (金) 00時49分
A6
1 全部取得条項は、少数株主の追い出しや取得条項付株式への転換のため等に使われます。
2 そのとおりです。
Q7
葉玉先生、ライツプラン事前警告型について、
財産権を侵害しないライツプランといってもなかなか難しい新株予約権の設計だと思います。
先生も「政治的な道具」とおっしゃっています。確かに米国の事例を見てても、ライツプランの償却や取り消しのプロクシーファイトが繰り広げられます。
しかし、普通決議のみで導入したライツプランで、差別的な予約権の付与が「不公正発行」として差止められることがある程度想定できれば、買収者側も「やれるものならやってみろ」ぐらいの形でドンドンTOBを仕掛ける可能性も考えられ、政治的道具の役割を果たさず、単なるお飾りと化さないか心配なのですが?
なぜ、ストラテジックでシナジーの見込める買収者(買収者側の弁護士)は、イケイケにならず、躊躇するのでしょう?(楽天とか)
ある弁護士には発動しない前提で導入するんです、といってましたが、絶対に発射しない核ミサイルだと解れば、抑止力としてすこし疑問を感じてしまいます。
投稿 katsu | 2007年6月 8日 (金) 02時23分
A7
買収者にも世間体があります。
株主総会でルールを決めたのに、そのルールを守らないと悪評が立ちます。
それが、買収者の商売に悪影響を及ぼすかもしれないし、TOBをかけたときに株主が売却を拒む理由になるかもしれない。
それが政治的な道具としての事前警告です。
Q8
定義規定の書き方についての質問です。
以前からすごく気になっていたのですが,定義規定(2条)の書き方には,2種類あります。一つは,「この法律において『破産手続』とは,XXX」という書き方です(破産法,独禁法など)。もう一つは,「一 会社 XXX」という書き方です(会社法,民事再生法,租税法など)。後者のほうが文字数が少なく簡明だと思うので,あえて前者の書き方をする理由が分からないし,新しい会社法が後者だったので,最近の法律は後者で書かれていると思っていました。しかし,一番新しいはずの新信託法は前者で書かれているので,なぜ使い分けるのかがよく分からなくなりました。初学者の私からすれば,どちらかに統一したほうがよいように思えるのですが,立法技術の慣習上,どのような理由によって使い分けているのでしょうか。
瑣末な質問で恐縮ですが,毎日条文を読んでいる学習者としてはとても気になるところです。
投稿 tom | 2007年6月 8日 (金) 17時58分
A8
趣味です。
が、一般的には定義すべき後が少なければ前者、多ければ後者かな。
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コメント
はじめまして!こんにちわ。つらい試験勉強の中、葉玉先生のブログを読んでいつも元気づけられている、大学4年の旧司法試験受験生です。会社法とは全く関係ないのですが、知り合いには自分の気持ちを正直にはなせないので、ぜひ葉玉先生のご意見をお聞かせ願いたく、書き込ませていただきました。
私は、去年三年生のときに択一に受かったのですが、今年は一点たりず落ちてしまいました。去年、大学一年の時から一緒に勉強していた友人が三年生で最終合格しました。私は友人が在学中に予備校でバイトしながら、割と自由な時間を楽しんでいるのを見ながら、とても辛い気持ちを押さえて「今年は俺の番だ」と必死にがんばってきました。
それなのに今年は論文を受けることさえできない。今のところロースクールに行こうと思っているのですが、大学に入ったときからほとんど遊びもせずがんばってきたのに、今後友人が修習にいき実務家となってもいまだ自分はただの受験生…そのようなふうに考えると、自分の今までの日々はなんだったのかと虚しくなってしまいます。
頭では、「自分が法律家としてやっていきたいことがあるなら、がんばればいい」とわかっているのですが、気持ちがついてきません。
こんなときどう気持ちを切り替えたらいいのでしょうか。お忙しい日々を御過ごしの中とても個人的なことで申し訳ないのですが、葉玉先生のご意見を聞かせていただけたら嬉しいです。
投稿: 受験生 | 2007年6月 9日 (土) 07時30分
こんにちは。会社法500条について質問させてください。
第1項(及び前提となる第499条)の文言からすると、①解散後②第499条の公告・催告をする前においては、(裁判所の許可がなくとも)債務の弁済をすることは可能であると読むのが素直な気がします。
法の趣旨からすればこのような債務の弁済は認められるべきではないと考えますので、第1項にいう「前条第1項の期間内」は、期間の終わりのみを定めていると読むか、又はこのような債務の弁済をした場合、第499条における公告・催告を「遅滞なく」しなかったという点が問題となるか、のいずれかになると考えますが如何でしょうか。
よろしくお願い致します。
投稿: sk8 | 2007年6月10日 (日) 12時09分
司法試験平成14年第1問に関する100問の解答について質問です。
解答では、本問の合併について、360条の違法行為差止請求が出来る(ことを前提に、仮処分ができる)とあります。
しかし、360条は、「目的の範囲外の行為」又は「法令・定款に違反する行為」が要件となっているところ、831条1項3号で株主総会決議が取り消し可能な場合も、この要件に当てはまるのでしょうか。
また、本問の合併は、株式会社に著しい(回復することができない)損害が生ずるおそれがあるとき」といえるのか、よく分かりません。
あと、本問で、取締役に429条の責任を追求することは出来ますでしょうか。
初歩的な質問ですみません、よろしくお願いします。
投稿: 去年商法C | 2007年6月10日 (日) 18時38分
H13商法改正以前に規定されていた旧商法280条の19による新株引受権(旧ストックオプション)の取扱いにつきご質問いたします。
当時、発行された新株引受権については、H13商法改正による新株予約権導入後も、商法附則等により、なお従前の取扱いとされてきており、会社法施行後も、整備法等に特段の規定が置かれていなかったことから、引続き従前の取扱いが可能であると解釈しております。
実は、上記のような新株引受権を有する株式会社を消滅会社とする吸収合併を予定(2社とも株式譲渡制限付会社/合併対価は現金のみ)しているのですが、この消滅会社が有する新株引受権に対し、会社法749条1項4号、5号の取扱いにより金銭交付をすることは可能でしょうか?
749条1項4号、5号の条文上は、「新株予約権者」となっておりますので、旧商法280条の19による新株引受権者が含まれるかどうか気になったしだいです。
現在の新株予約権と同様、ストックオプション目的で発行されている以上、同様な取扱いとしても問題ないかと考えますが、言及した文献等がなかったため、判断できません。
もし、上記の取扱いが不可の場合、このようなケースにおける消滅会社の新株引受権者への対応はどのようにしたらよろしいですか?
お忙しいとは存じますが、ご回答をいただけると幸いです。
よろしくお願いします。
投稿: ばば | 2007年6月11日 (月) 16時08分
受験生が基礎知識を身につけるための1問1答の問題集として、肢別本は適しているでしょうか?
投稿: にーと二郎 | 2007年6月12日 (火) 01時53分
質問です。
株主総会の招集通知の発送も終わり、総会議事録の作成準備に入ろうと思っていますが、議事録の備置についてお教えください。法318条では「株主総会の日から10年間」備置することとされていますが、これは備置の終期を明確にしたものであり、議事録の作成・備置の開始点を示したものではなく、議事録の作成は変更登記の期限までにできればよいのだという判断がなされていますが、この条文は終期の明確化のみなのでしょうか?決算公告についての440条では「遅滞なく」、計算書類の備置についての442条では「定時株主総会の日の1週間前の日」というように特定されています。318条も「株主総会の日」とされているのにこの条文は始点を明確にしていないのでしょうか。会社法になって総会議事録には出席者の記名押印も不要となり、実務的にも総会当日の作成は可能と思いますが。
投稿: アート | 2007年6月12日 (火) 10時16分
お世話になっています。一点、お聞かせ願います。
従来、定時総会の備置書面として、計算書類を袋とじにし、代表取締役の署名と押印をしたものを備置していました。今回、改めて、その根拠条文はなんだろうと思い調べてみたのですが、調べ方が悪いのか見当たりません。もしかしたら、今まで不要な署名をもらっていたのかなとも思っております。ご教示いただければ幸いです。
投稿: anton | 2007年6月12日 (火) 12時44分
足切りされました。自己採点で、民事系90点、公法系52点、刑事系44点でした。足切りされたものの、これまで、司法試験を受験したことはなかったので、良い経験になったと感じています。福岡県内のローを卒業しましたが、現在は大分で勉強しています。仕事はしていないので、朝8時から夜10時までびっちり勉強にあてられます。ちなみに場所は大分大学の付属図書館で勉強しています。同級生は近くにいないのでゼミなども開催できません。ひたすら、家勉強と予備校の通信です。ローには高校などとちがって進路指導がないので、自分で来年までの計画をたてなければなりません。とにかくTKCの模試がある夏までは択一に専念するつもりでいます。辰巳の肢別と早稲田の多肢択一をまわすつもりです。今年の民事系を解いた感想として、民法は、遺産相続や遺留分、抵当権の放棄などのように計算をさせる複雑な問題はなかったので、現行試験の過去問を解く必要はないと考えました。ところで、択一に専念するのではなく、、論文と択一の両方を同時並行したほうがよいのでしょうか。勉強方法はどうすればよいのか見当がつきません。大変ぶしつけなお願いで恐縮ですが、差し支えなければ、ざっくりとカリキュラムを立てていただけないでしょうか。もちろん日経の連載も参考とさせていただきます。よろしくお願いします。
投稿: もも | 2007年6月12日 (火) 20時45分
葉玉師匠、こんにちは。
買収防衛策について、自分なりにいろいろ考えてみたのですが・・・
買収者(や経営陣)の有する利益よりも、もっと大切な利益(証取法や放送法上の利益)がある場合には、株主平等原則という動線を証取法の「市場の流通性(健全性)」や放送法上の「外資制限」を両端として成立させてしまって、実行してしまっても良いと思います。
株式の買い取り時には買い取りを受ける株主は株主総会において議決権を行使できないとの会社法の規定(160条Ⅳ等)を使って、買収者の保有する株式を買い取りに掛けるかどうかの意思決定自体を株主総会にかける方法、つまり、「買収を掛けられるモノなら掛けてみろ~、他の株主達が経営陣の方針を是とするならば、買収者の持株比率はゼロになるか、少なくともゼッタイに下がるぞ~」という方法を使ってしまっても良いと思います。
この株主総会で「今の経営陣はダメだ」と買収者以外の株主から決議されれば、買収者は公開買付を開始できるのですし。
そのうえで、新株予約権をばらまくときにも、買収者を含めた全株式を対象として、ポイズンビルとしてではなく、ちゃんとした新株予約権をばらまいてしまって良いと思います。
たとえば、買収者の20パーセントの株式比率を10パーセントにしたいときには、株式1株につき新株予約権を1株発行するのです。
つまり、120株の発行済み株式のうちの24株をもつ株主の、全24株を会社で買い上げる決議を株主総会で行い、会社で買収者の全株式を買い上げる場合にも買収者に対して24株の新株予約権を発行し、もちろん、他の株主96株分の新株予約権を発行するのです。
買収者が新株予約権を行使すれば、24株分の240株の10パーセントの持ち株比率になるハズですし、買収者が新株予約権自体を売ってしまえば、保有比率はもっと下がるハズですし。
自分の言う「持ち株比率はゼッタイに下げるぞ~」の方法ならば、会社の資金調達にもなっているし、買収者の株式を時価で買い取れば買収者に対して経済的損はさせていないのです。
そして、企業は企業努力によって株式を値上がりさせて、自己株式を売却して得た利益で、買収者に支払った分配可能額部分を回収できる可能性もあるのです。
会社が買い取る決議を前提に、新株や新株予約権を発行したりする方法、であれば、閉鎖会社において、やんちゃな相続人に対する対処もしやすいと思いますし。
こんな仕掛けを定款で定める必要があるとの価値判断をして、今から行うのならば、定款を変更する手続きが必要になると思いますが。
・・・こんな方法は、そもそも出来うるのでしょうか?
お忙しいとは思いますが、コメントいただけると幸いです。
投稿: 至誠丸 | 2007年6月14日 (木) 17時49分