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2007年5月10日 (木)

防衛策と総会決議

一昨日の日経金融新聞に「買収防衛策に死角あり」という見出しで、登場してしまいました。

実は、私は、まだ実物を見ていないのですが、写真付で、結構、大きな取り扱いだったようで、あちこちからメールを頂くなど、想像以上に大きな反響でびっくりしています。

三角合併、買収防衛策、全部取得条項付種類株式など、最近のトピックについて、報道や専門誌などであまり触れられていないようなところをお話し、簡潔にうまくまとめていただいたので、日経金融新聞にアクセスできる方は、読んでいただければ、それなりに参考になると思います。

この記事の中で、一番反響を呼んだのは、

 財産的損害を与えるような買収防衛策は、特別決議を得なければ、裁判所が差し止める可能性が高い。

 財産的損害を与えない買収防衛策ならば、普通決議でも適法と判断される場合がある。

という部分です。

 現在、日本の会社が採用している買収防衛策は、事前警告型と呼ばれるものですが、事前警告自体は、政治的なもので、法的意味はあまりないと思っています。

 法的に検討すべきなのは、その事前警告の中身である新株予約権を用いた買収防衛策が適法かどうかです。

 こうした買収防衛策が会社法上、適法かという問題については、古くから議論がされているものの、

     平成13年の新株予約権制度の導入時から、一定の株式数以上の株主が新株予約権を行使することができないような条件を付すことができることは認められていたこと

     法務省も、商法時代から、買収防衛指針等で一定の防衛策を採用するができることを明らかにしていること

     会社法の成立過程でも、買収防衛策を取ることができることを議論した上で会社法が成立したこと

等から、新株予約権を用いた買収防衛策が適法となる場合があることは、すでに所与の前提になっていると思われます。

 私が、日経金融新聞にお話したのは、こうした買収防衛策が

株主総会の普通決議

で導入・発動することになっている企業が多いので

普通決議さえ得れば、どんな買収防衛策でも、適法になるなどと思うのは危険である

ということです。

 買収防衛指針が、「株主の意思を尊重しろ」と言っている一方で、企業側としては、

「特別決議を採るのは大変だ」

という思いがあり、その妥協点として、「普通決議」で防衛策を導入・発動するという線がメジャーになっているような気がします。

で、会社法は

   普通決議があれば、買収者に損をさせてもよい

とは、一言も言っていませんから、本当に普通決議で導入できるかを真剣に検討しなければ、足元を救われかねません。

 買収防衛策の多くは、買収者を不利益に取り扱う新株予約権を株主無償割当てで行う方式を採用していますが

  買収者が、絶対に行使できない、譲渡もできないような新株予約権

を「株主に平等に割り当てた」などと主張しても、裁判所は

  そんなのは、割り当てていないのと同じ

と判断し

第三者(買収者以外の者)に対する有利発行

と認定し

  株主総会の特別決議

がなければ、法令違反で差し止める可能性が高いでしょう。

 このこと自体は、いくら

  アメリカでは、こういう判例があって、取締役会だけでライツプランが発動できるんだ

と主張しても、なかなか裁判所が言うことを聞いてくれない領域だと思うのです。

 「特に」有利とはいえない程度の経済的損害であれば、特別決議は不要とする余地はありますが、その程度の不利益を買収者に与えるだけで、買収防衛の効果を得られるのかという実効性の問題は残ります。

他方、買収者に経済的損害を与えない新株予約権の発行であれば、本来、取締役会で決議することができる領域になり、買収者側が

「自分には経済的損害はないが、著しく不公正である」

ということを主張しなければならなくなります。

 この領域では、これまで、いわゆる主要目的ルールが適用され、おおざっぱに言えば

   もっぱら経営権の維持のための発行は、著しく不公正。

   資金調達目的が並存しているならば、適法

という仕切りがされていました。

しかし、この主要目的ルールは、取締役会のみで株式や新株予約権を発行する場合に用いられてきたルールであり、現在、考案されている買収防衛策のように

   取締役会に実質的な決定権はなく

株主総会で発動の有無を決める

ような場合には、

経営者が自己保身のために発行したということはできない

=経営権の維持のためということはできない

のが通常ですし、いわゆる権限分配論からも

   会社の支配のあり方を株主総会で決める

のは極めてまっとうな結論ですから、

資金調達の目的がなくても、「著しく不公正」とはいえない

という結論が導かれるように思います。

 特に、上場会社においては、特定の株主の持株割合が大きくなりすぎることは、上場廃止につながったり、少数株主の利益を害するような行為につながるおそれがある(締め出しとか)ので、株主の意思として

   うちの会社は、最大20%の持株比率しか認めないようにしよう

というルールを定めることは、少数株主保護という観点からも合理性があると思います。

 問題は、その際の株主総会の決議が

普通決議なのか、特別決議なのか、それ以外なのか

です。

 私は、買収防衛指針のころから、この問題について、ずっと考えているのですが、結論から言えば

   新株予約権の内容によって、決議要件は違う

というのが一番正しいのではないかと思っています。

 というのも、新株予約権の設計が非常に柔軟にできるため、買収者に与える不利益の内容が新株予約権の内容によって、大きく異なるからです。

 参考になるのは、譲渡制限株式や議決権制限株式等に関する決議要件でしょう。

 例えば、既発行の普通株式を譲渡制限株式にするには特殊決議が必要ですが、ライツプランは、買収者の保有株式そのものに制限をかけるわけではないので、特殊決議が必要な場面は想定しにくいように思います(新株予約権に譲渡制限がかけられている場合については、有利発行との関係で論ずべきでしょう)。

 「譲渡制限株式は、会社にとって望ましくない者を排除するための制度だから、買収防衛策も同様に特殊決議にすべきだ」という議論もありうるのかもしれませんが、

譲渡制限株式化は、既存の株主に対し、株式譲渡という唯一の投下資本回収手段に制限をかけるため、特殊決議としているのに対し

買収者に経済的損害を与えない買収防衛策は、投下資本回収手段を確保しているので、特殊決議を求めることはできないと思います。

他方、既存株式を議決権制限株式化するのと同じ効果を与えるような場合には、特別決議が必要と考えるべきでしょう。

しかし、特定の者が、基準日までに、新株予約権の行使条件を満たさないため、新株予約権を行使することができず、結果的に、その基準日に係る議決権を行使することができないことは、新株予約権においては一般的にありうる事態ですから、そのことだけをもって、議決権制限株式化したということはできません。

また、議決権制限株式が、普通株式よりも財産的価値が劣ることを考えると、買収者が、新株予約権を行使して普通株式を取得できることが確実な場合や新株予約権の譲渡によって普通株式の譲渡と同様の経済的価値を取得することができるような場合には、当該買収防衛策によって、議決権制限株式化したというのには躊躇を覚えます。

さらに、議決権制限株式は、これを廃止するときも株主総会の特別決議が必要ですが、買収防衛策では必ずしも特別決議が要求されるわけではないですから、廃止も普通決議でできるような防衛策ならば、導入も普通決議で行うのもあながち不合理ともいえません。

ですから、買収者の議決権の取得時期が遅れるだけの場合、買収者が普通株式又はそれと同等の経済的価値を得るような場合等買収者の不利益が通常の新株予約権の発行時にも起こりうる程度の軽微なものであるような場合には、特別決議までは必要なく、普通決議でも足りるように思います(そこまでいけば、普通決議さえなくてもいいという議論もあるかもしれませんが、差別的行使条件をつける以上、株主の意思の確認は必要であるように思います。)。

この他にも新株予約権の内容次第で普通決議で足りるものもあるだろうと思いますが、ポイントは、

              種類株式制度等で同様のことをやる場合と比べて、どの程度、買収者の負担が軽減しているスキームなのか

              買収者が被る不利益の程度とその不利益を与える理由の合理性

              買収者の投下資本回収手段の多様性

あたりではないでしょうか。

若干、端折りながら、説明したので、分かりにくいところがあったかもしれませんし、実際の裁判所の動向がどうなるかは、神のみぞ知るところです。

また、私が、実際に買収防衛策として新株予約権の無償割当てをするとすれば、もう少しきめ細かい工夫をするだろうとも思います。

ただ、

「株主総会の決議要件がどのようなものならば、著しく不公正と判断されないのか」

という論点は、これまで正面から論じられていないところなので、問題提起の意味をこめて、今回記事にしてみました。

反論をお待ちしております。

(質問コーナー)

Q1

組織再編について教えて下さい。今、やはり三角合併が話題ですが、米国で実施可能な逆三角合併は会社法上実施することは可能でしょうか。

逆三角合併とは買収親会社、買収子会社と被買収会社の間の取引で、買収子会社が被買収会社に吸収合併される形態の取引をイメージしています。

投稿 くろすけ | 20075 6 () 1511

A1

買収子会社が、被買収会社に吸収合併される場合、買収親会社に被買収会社の株式を交付することはできますが、それだけでは被買収会社の株主を追い出すことができません。

そのため、さらに被買収会社の株主を追い出すために、全部取得条項付株式等を用いたスキームを用意する必要があります。

ということで、逆三角合併を直接行うことはできませんが、工夫次第では同様のことはできると思います。

Q2

葉玉師匠、毎度すみません。

石臼に馴染みがないとすると・・・鉄アレイには馴染みがありますか?

個人で行っていた事業を「会社にした」ならば、鉄アレイをしっかり持ちつつも、全身から無駄なチカラを抜いたジョギングが出来なければならないのに・・・

経営の意思を、株主と取締役が「片方の重り」において重ねてはいますが、株主の所有と経営の「意思」が鉄アレイの形になっている鉄アレイなのですから、株主の利益に反する使い方(利益相反取引)は出来ないはずです。

そして、自前の鉄アレイを持ってのジョギング(競合取引)をしまっては行けないはずなのです。

またへんな例えですが・・・利益相反取引と競合取引の「感じ」について、適切な比喩でしょうか?

投稿 至誠丸 | 20075 7 () 0833

A2

うーん。まあ、そんなところでしょうか。

Q3

会社法2012項について質問させてください。

 2012項で定める 「適当な払込金額の決定の方法」と19912号で定める「算定方法」とは どのような違いがあるのですか?

 僕の勝手に思い描くイメージだと2022項のほうがより抽象的でよいというものですが・・・

投稿 maru | 20075 7 () 1740

A3

201条2項は、適当に決めていいというわけではなく、株式市場で一般に用いられる価格の決定方法を用いてもいいという意味です。具体的には、ブックビルディングなどがあげられます。

Q4

会社法79522号に「吸収分割会社に対して交付する金銭等」旨の表現が

あります。

これは、吸収分割を現金で実施した場合、「吸収分割継承会社における株主総会決議が必要である」と解釈すべきかと思いますが、何故、「現金」の場合に限って「総会決議不要」の要件が適用にならないのでしょうか?

また、金額による基準も見当たらないようですが?

解釈のあり方を教えてください。よろしくお願いします。

稿 omiomi | 20075 8 () 0501

A4

79522号は、実質的に、簿価債務超過の財産を引き受けることになるような場合を意味しています。また、「金銭等」は、現金に限られているわけではありません。

Q5

こら、葉玉、お前言葉使いには気をつけろ!!

われわれ国民の大事な権利を守るべき検察の仕事を「趣味でやっていた」(4・3当ブログコメント)とはどういうことだ?

われわれ国民の税金もらいながら趣味やってたのか?

(略)

「自分の家庭を犠牲にしてまで・・」とコメントしてるが、大体他の代議士や検察官といった、その職務が我々国民に重大な影響を与える立場の人間が、全然家庭を犠牲にせずにその職務たる国民への奉仕ができるとでも思ってたのか?

投稿 ひかり | 20075 8 () 1255

A5

そうです。趣味でやっていました。

ただし、給料分以上に働いていたので、国民にはご迷惑はおかけしていないつもりです。

ちなみに、私は、公務員に対し、「国民の税金をもらいながら・・」というフレーズを使うのは嫌いです。

たとえば、私は、ソニー好きですが、仮に、ソニーの人が「私は趣味でVAIOの新製品を作りました」といっても、その人に向かって、「私の大切なお金をもらっていながら、趣味で作ったなんていいやがって。」なんて、言わないです。

まして、私がソニーの経営者であれば、従業員がいい仕事をして、そう言ったとすれば、想像力豊かに仕事をしていることの証として褒めてあげます。

経営者として大事なのは、その人が給料以上の働きをしたかであり、公務員だからといって、民間と違う見方をする必要はありません。

ひかりさんが、日本国の経営者の一人として、私の仕事ぶりをみて、私が頂いた給料に見合うだけの仕事をしていないということであれば、甘んじて批判を甘受いたします。

しかし、しっかり仕事をしている人間に対して、その仕事観のみを捉えて、罵声を浴びせるとすれば、それは、いい経営者とはいえないでしょう。

 マスコミの公務員たたきのせいかもしれませんが、世の中には、公務員も国民である、公務員も私たちの仲間であるという認識が薄いような気がします。

 公務員に対し、正すべきことは正し、褒めるべきところは褒める風潮が生まれなければ、公務員の質は低下し、結局は、国民の受けるサービスは低下していくでしょう。

私は、いろいろなお役所の人と仕事をしましたが、実際に、そのような動きが起こっていることを肌で感じました。

最後に、この世の中に、家庭を犠牲にしてまで、やるべき仕事はありません。

「家庭を犠牲にして、仕事に没頭できるはずはない。

いい仕事のためには、家庭を大事にしなければならない。

というのが私の人生観です。

Q6

『千問』P556Q754「確認株式会社の解散事由の変更の要否」における、

定款変更の方法は、確認株式会社限定の話でしょうか?

マミカナ本p.188の最後に表掲載以外に特則がないとありますが、

千問の記載と矛盾しているのではないですか?

投稿 焼きそば風雲伝 | 20075 8 () 2354

A6

すいません。いま、出先なので、どちらの本もありません。

Q7

答案において、一つのカッコ内で複数の条文を指摘する際のことについてですが、

・条文を挙げる順番には何か決まったルールはあるのでしょうか?

 民法の条文と会社法の条文を挙げる時には民法の条文からとか、

 重要なものから挙げていくとか、

 数字の少ないものから挙げていくとか。  

・条文番号を区切る時に、「・」と「、」の使い分けはどういう基準でなされているのでしょうか?

投稿 初学者兼独学者 | 20075 9 () 0838

A7

 どうやってもいいです。条文番号が小さい順にしてもいいと思いますし、準用条文を先に書いて、その後に準用先を書くとかでもいいでhそう。

Q8

5 1日に役員の任期の起算点について質問した者です。

予選等選任決議の効力発生時期を遅らせることは、会社法ではできず、もし、任期の起算点にこだわるのであれば、その日に株主総会を開催しなければなりませんか。

たとえば、5月31日開催の株主総会で、6月1日に選任の効力が生ずる取締役は選任できず、6月1日を任期の起算点とするためには再度、6月1日に株主総会を開催しなければなりませんか。

投稿 司法書士 北海道 | 20075 9 () 1738

A8

6月1日に選任の効力を生ずる取締役は選任できます。

しかし、起算点は、531日からです。

Q9

株主総会における議決権行使期限に関する質問ですが、「株主総会の日時の直前の営業時間の終了時」が基本と理解していますが、そもそも

1.会社が営業時間を定めていないとなると就業時間なのですか?

  はたまた裁量労働で、時間の定めが無い場合はどうなるのです

  か?就業時間で考えると金融機関などは営業時間と就業時間は

  異なるでしょうから他社とレベルが揃ってない気もします。

2.行使書面もしくは招集通知に記載するのは何時何分まで書くので

  しょうか?それもどうかということで、5時半を6時にすること

  を取締役会で決めた場合も「2週間を経過した時以後」を求めら

  れるのですか?

3.上場会社は議決権を株主名簿管理人(金融機関)に集計してもら

  ってるのが、実態かと思いますが、管理人の営業時間15時を行

  使期限と考えるのはどうですか?

以上よろしくお願いします。

投稿 しろうと | 20075 9 () 2239

A9

1 営業時間は、常識的に判断してください。

2 「2週間を経過した時以後」は、時間単位で考えずに、1日余裕を見るほうが法的リスクを避けられます。

3 管理人の営業時間は、管理人の総会でだけ問題になる概念でしょう。

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コメント

株式移転と同時に株主名簿管理人を置く場合の手続について教えてください。
完全親会社の定款に株主名簿管理人を置く旨を規定し、かつ株式移転計画に完全親会社の株主名簿管理人を○○信託銀行とすると定めました。
これから○○信託銀行との契約が必要になりますが、この契約締結をするのは移転計画で定められた設立時取締役の中から選定された代表取締役(取締役会設置会社とする予定です)と考えてよろしいでしょうか?

投稿: トキオ | 2007年5月10日 (木) 14時54分

組織再編の債権者保護手続で公告する「計算書類に関する事項」(会社法789条2項3号、施行規則188条)について教えてください。

「最終事業年度に係る貸借対照表」(例えばH18.3期B/S)を電磁的方法(会社法440条3項)で開示していた会社が、臨時総会で定款変更をして電子公告を導入し、かつ、従前の電磁的方法開示のアドレスとは異なるアドレスを電子公告の掲載アドレスに設定したとします。

この場合、会社法440条3項に基づき、従前のアドレスに、引き続き(=5年経過するまで)、H18.3期のB/Sを掲載するという措置をとり続けますが、登記(実務)上は、電子公告の新アドレスが登記されるとともに、従前のアドレスの登記は抹消されることになります(もっとも履歴事項全部証明書を見れば、従前のアドレスは分かります。)。

当該会社が会社法789条の債権者保護手続の公告をする場合、「計算書類に関する事項」として公告すべき事項は、会社法施行規則188条各号のどれになりますでしょうか。
「最終事業年度に係る貸借対照表」について電子公告をしているわけではないので、1号ハには該当せず、2号により従前のアドレスを公告すればよいと考えていますが、よろしいでしょうか(従前のアドレスの登記は抹消されているとはいえ、履歴事項全部証明書を見れば記載されていますし、実際に当該従前のアドレスには「最終事業年度に係る貸借対照表」が掲載されているので、問題ないと考えていますが、いかがでしょうか。)。

投稿: 企業法務をやっている人 | 2007年5月10日 (木) 22時17分

千問Q323について質問させてください。
 新株予約権の発行においては 株式についての201条2項に
該当する規定は設けられていないので、ブックビルディング方式によることはできない、との内容がQ323に書かれています。
 では、なぜ新株予約権に関して 201条2項に該当する条文は
定められなかったのでしょうか?立法時の様子を教えていただけると嬉しいです。

投稿: maru | 2007年5月11日 (金) 01時47分

会社法808条1項2号について質問させてください。
 808条1項2号括弧書によれば、新設分割設立会社が持分会社である場合には、新設分割株式会社の新株予約権の新株予約権者は新設分割株式会社に対し、自己の有する新株予約権を公正な価格で買い取ることを請求することはできません。 
 なぜ、新設分割設立会社が持分会社である場合に新株予約権の買取請求が認められないのでしょうか?理由を教えて下さい。

投稿: maru | 2007年5月11日 (金) 01時49分

葉玉先生

いつも楽しく記事を拝読しております。

競業避止義務について、非常に基本的な事柄で恐縮なのですが、質問させて頂きたく、コメントを書いております。

P社 ―― 取締役A

S社 ―― 代表取締役A


P社の取締役Aか、ライバル関係にあり、かつ競業関係にあるS社の代表取締役に就任する場合、就任は「取引」ではないが、P社の取締役会の承認が必要とする見解が多いと思います。

では、この「就任は『取引』ではないが、承認が必要」という見解に立った場合、S社の取締役会の承認も必要なのでしょうか?


もちろん、実際にはAが代表取締役に就任するに際して取締役会の承認が為されている以上、実際上の問題は無いと思います。

ただ、理論的に考えた場合、P社の取締役AがS社の(代表)取締役に就任すると、S社から見ても企業秘密の漏洩の危険がある以上、365条1項1号の趣旨に当たるのかな、と思い、質問させて頂きました。

愚問かと思いますが、ご教示頂ければ幸いに存じます。

投稿: 受験生 | 2007年5月11日 (金) 09時41分

先生、いつも拝見させていただいております。
先生がお役人を辞められたら聞いてみたかったのですが
なぜ未だに会社の設立には公証人の認証が必要なのでしょうか?
後日の争いを避けるためなどの趣旨は存じておりますが
発起人一人で設立しスピードが必要な実務(特に遠方)では
どうしてもこの定款認証が足をひっぱります。
先生は、この制度はどう思われていたのでしょうか?

また、上記の認証による遅滞と手数料等を避けるため
持分会社を設立し、同日組織変更で株式会社を設立することも
一つの方法として考えておりますが、何か法的に問題がありますでしょうか?

以上、宜しく御願い致します。

投稿: カイラー | 2007年5月11日 (金) 09時47分

先生、いつも拝見させていただいております。
先生がお役人を辞められたら聞いてみたかったのですが
なぜ未だに会社の設立には公証人の認証が必要なのでしょうか?
後日の争いを避けるためなどの趣旨は存じておりますが
発起人一人で設立しスピードが必要な実務(特に遠方)では
どうしてもこの定款認証が足をひっぱります。
先生は、この制度はどう思われていたのでしょうか?

また、上記の認証による遅滞と手数料等を避けるため
持分会社を設立し、同日組織変更で株式会社を設立することも
一つの方法として考えておりますが、何か法的に問題がありますでしょうか?

以上、宜しく御願い致します。

投稿: カイラー | 2007年5月11日 (金) 09時48分

葉玉先生、お忙しいところ恐縮ですが質問させて下さい。会社法361条(取締役の報酬等)の内容についてなのですが、第1項末尾の定款に当該事項を定めていないときは、株主総会の決議によって定める。とありますが、設立1期目の場合に取締役の報酬等を決定する場合は定款で定めなかった場合、設立後遅滞なく臨時株主総会を開催して決定するということでしょうか。報酬等の決定は定時株主総会で決定しないといけないと私は考えておりましたので、設立1期目においては定款において定めるという選択肢しかないのかな~とも考えるのですがいかがでしょうか。御回答よろしくお願い申し上げます。

投稿: 実務家 | 2007年5月11日 (金) 10時57分

既出でしたら申し訳ありません。
探せなかったのでこの場で質問させてください。

創立総会において、定款変更をし、発行する株式の全てに譲渡制限の規定を設ける場合(会73条②)ですが、決議に反対した株式引受人に引き受けを取消す旨の規定が見つからないのですが、この場合には、取消す事ができないのでしょうか?

種類株式として譲渡制限を設ける場合には、会100条②にその旨があり、また会社成立後であれば反対株主は買取請求権を行使してその会社の株主から抜けることができるのに対し、この場合にのみ、反対した引受人が株主として残らなければならないのはおかしいと思うのですが。

よろしくお願いします。

投稿: こおさく | 2007年5月11日 (金) 12時04分

681条(社債原簿の記載事項)について教えてください。

681条6号には,社債原簿に記載すべき事項として,「社債券を発行したときは、社債券の番号、発行の日、社債券が記名式か、又は無記名式かの別及び無記名式の社債券の数」と規定されています。

ここでいう「社債券の番号、発行の日」の「発行の日」というのは,「社債券の発行の日」か「社債の発行の日」のどちらでしょうか。

旧商法317条5号には,「債券発行の年月日」と規定されていましたので,会社法でもそのように読めばいいのかとも思えます。
しかし,そもそも,旧商法306条1項では,「社債全額の払い込みがなくては社債券を発行できない」と規定されており,このような規制があれば,社債券に社債券発行の日を記載することは意味があったと思います。

一方,会社法では,696条などで,「社債の全額払い込みがなくても社債券を発行できる」としており,社債券に社債券の発行の日を記載してもあまり意味がないような気がします。

社債券に記載すべき「発行の日」としては,社債券の発行の日を記載する意義は乏しく,むしろ,社債発行の日(社債は有因証券)を記載すべきかとも思われます。
条文上はどちらとも読めますので,社債部分の立案に携わった葉玉先生に御教示いただければと存じます。
よろしくお願いします。

投稿: 修行中 | 2007年5月11日 (金) 13時35分

葉玉さん

いつも申し訳ありません。質問があります。

W株式会社が07年6月末決算にもとづく計算書類を作成し、同年9月の総会で承認された。
同社は、翌08年1月、同計算書類に基づいて計算した分配可能額の範囲内で、取締役会決議により、自己株式の取得や剰余金の分配を行った。
ところが08年2月、経理が数字の入力を1桁誤っていたために前年決算の売掛金、その他利益剰余金などの額が18億円過大に計上されていたこと、これを修正した計算書類に基づいて計算すると分配可能額がなかったことが発覚した。

この場合、取締役らは、461条違反で462条の責任を負うことになるのでしょうか、それとも08年6月決算において特別損失を計上することにより465条の責任を負うことになるのでしょうか。

剰余金、分配可能額を「確定した計算書類の記載」ベースで計算するのか、「(粉飾やミスを直した)実際の値」ベースで計算するのかがよくわからず、混乱してしまいました。

よろしくお願いします。

投稿: WLS3 | 2007年5月11日 (金) 15時07分

葉玉先生、弊社は非公開会社なのですが、定時株主総会招集のための取締役会の議案について御教示いただけないでしょうか。取締役会の議案で「定時株主総会招集及び議案決定の件」として、総会議案の1つである「役員賞与支給の件」について、いきなり役員報酬額総額を提案することは不適法であり、事前の取締役会において、報酬額、報酬総額の決定について代表取締役に一任することを決議しておく必要があるのではないか、という意見が社内から出たのですがいかがでしょうか。代表取締役一任という措置を取ること自体が法定されているわけでなく、わざわざ別の議案で代表取締役一任という形式を取る必要はないようにも思い、御相談する次第です。
また、役員賞与として取締役分と監査役分とを区別して付議することが適切でしょうか。あわせて御教示いただけましたら幸いです。

投稿: SMOKY | 2007年5月11日 (金) 15時48分

いつも楽しく勉強させていただいております。
また、2点ほど教えてください。
その1
取締役等の会社に対する責任の免除に関する規定についてです。
定款及び登記簿に
「当会社は、商法第266-12の規定により、取締役会の決議をもって、同条1-5の行為に関する取締役(取締役であった者を含む)の責任を法令の限度において免除することができる。」
というような責任免除規定がありました。
その会社は、小会社&閉鎖会社だったので、会社法の下では、責任免除規定を置けません。
当該規定は、会社法施行日前の行為についての責任を免除するためには必要なので、定款に残しておく必要があります。
では、その会社が取締役会を廃止してしまったら、この規定はどうなるのでしょうか?
単に「取締役会」の所を「取締役の過半数の同意」と変更すれば良いのでしょうか。
整備法には「なお従前の例による」とだけしか規定されていません。
これだけをみると、商法時代には「取締役の過半数の同意」で良いとは言っていないので、取締役会の廃止と共にこの規定も廃止になると考えることもできます。
私は、後者ではないかと考えています。

その2
株券提出公告についてです。
A種類株式とB種類株式を発行している会社が、A種類株式についてのみ譲渡制限の規定を設定した場合、株券提出公告は必要でしょうか?
というのは、会社法219では、1項で会社法107-1-1に掲げる事項についての定款の定めを設ける定款の変更をする場合には、株券提出公告が必要と規定しています。108-1-4の場合について規定していません。
括弧書きで、「種類株式発行会社にあっては、当該事項についての定めを設ける種類の株式」とされていますが、これは、例えば、A種類株式が譲渡制限株式でB種類株式が譲渡制限のない株式であった場合に、B種類株式をA種類株式にする(1種類になるので種類株式ではないですが)場合には、B種類株式についてだけ株券提出公告を要すると考えることもできると思います。
立法趣旨は、譲渡制限の定めは、株券の記載事項ですし、重要な事項なので、譲渡制限を設定する場合には、株券提出公告をして、株券に記載しなさいということだと思うので、108-1-4の場合についても株券提出公告を要すると思うのですが、それだったら、条文に明記しておくべきかと。

投稿: パラリーギャル | 2007年5月11日 (金) 16時46分

葉玉先生こんにちは。よろしくお願いします。
会社法346条4項の「監査役は・・・選任しなければならない」とは,監査役が二人以上ある場合には全員の一致が必要ですか,それとも過半数でよいのですか。また,監査役会設置会社及び委員会設置会社においては,全員の同意ではなく決議(会393Ⅰ,412Ⅰ)でよろしいのでしょうか。その結論に至る条文の根拠も教えていただきたくよろしくお願いいたします。

投稿: ポケット | 2007年5月12日 (土) 08時36分

買収防衛策と決議要件についてですが、
まず、定款規定で「買収防衛策の総会決議」規定を盛り込まない建て付けが
会社法上果たして有効なのでしょうか? 先生方の中には、これでも有効だと仰る方がかなりいるようですね。私は、むしろ、そちらのほうが問題に感じます。
これがOKなのであれば、たとえば、会社側はとりあえず「普通決議」で行こうと思っていたけど、総会当日に議決権を数えたら、たまたま賛成が67%あったので、「賛成2/3をもって可決されました」、だから特別決議だろう、なんていい加減なやり方だって通ってしまうような気がします。
取引所の買収防衛策審査のやり方もどうかと思いますが・・・。

投稿: T/A | 2007年5月12日 (土) 12時11分

葉玉先生、お忙しいところ恐縮ですが、ぜひともご教示ください。

株主総会の取締役選任議案に関して参考書類に記載が求められる、会社法施行規則74条3項の「候補者が当該株式会社の親会社・親会社の子会社(当該株式会社を除く。)の業務執行者であるときの、親会社・親会社の子会社における地位・担当」に関してですが、本規定が記載を求める“親会社の子会社の業務執行者状況”というのは、①「当該株式会社の兄弟会社での業務執行者状況」のみを指すのでしょうか? それとも、当該株式会社の子会社も親会社の子会社(親会社の孫会社)に該当するので、 ②「当該株式会社の子会社での業務執行者状況」も含むのでしょうか? 条文中、 「(当該株式会社および当該株式会社の子会社を除く。)」とせずに、 「(当該株式会社を除く)」としたことからすれば、②も含めて記載すべきか?と思っているのですが、いかかでしょうか。

また、勉強不足・経験不足ですみません、この記載を求める本規定の意図・狙いはどういう点にあるのか、簡単に教えていただけましたら幸甚に存じます。

どうぞよろしくお願い致します。

投稿: 東京ジャーニー | 2007年5月12日 (土) 21時38分

葉玉先生

買収防衛策に関する興味深いご記事をありがとうございます。この点については是非色々と質問させていただきたいのですが、まず前提的なところを確認させてください。

有利発行の点ですが、仮に新株予約権の無償割当てが有利発行と評価されるとした場合、現在多くの企業で導入されている、
①株主総会で導入(事前警告)
②発動要件に合致すれば取締役会決議で新株予約権を無償割当て
というスキームは、原則として②の際に株主総会特別決議(法238条2項、1項)を欠いているため、②が違法になる(①において特別決議がなされており、かつその決議が②の発行の委任(法239条1項)であると解釈でき、かつ②の発行が①から1年以内の場合には例外的に適法になる)という理解でよろしいでしょうか。

投稿: paripasu | 2007年5月13日 (日) 20時17分

葉玉先生こんにちは。
択一ケアレスミスに格闘中の初学者です。
以下、よろしくお願いします。

財産引受の定義は、なぜ発起人が、主語になっているのでしょうか?
「財産引受とは、発起人が、会社のために、
成立後に財産を譲り受ける旨の約束をすることをいう(28条2号)。」
(新会社法100問、p124)

条文の文言を読む限りでは、
「会社が、」譲り受ける場面を想定しているように読めます。
が、新会社法100問でもそうですし、予備校のテキスト上でも、
「発起人が、」の表現で定義されております。 ご教授ください。

投稿: あしぼん | 2007年5月13日 (日) 23時27分

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投稿: Harper31Polly | 2012年3月30日 (金) 03時52分

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