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2007年3月27日 (火)

【入門】株主平等の原則(3)

今回は、株主平等の原則を定めた109条1項の
 「その有する株式の内容及び数に応じて」
の意味を探りましょう。

 旧商法の時代は、株主平等の原則は
   保有株式数に応じて比例的な取扱いをする原則
と考えられていましたから
   株式の内容が異なる株式(種類株式)について比例的な取扱いをしないこと
は、
  株主平等の原則の「例外」
と言われていました。

 しかし、109条1項は
   「株式の内容に応じて」取り扱わなければならない
旨定めているので、種類株式について比例的な取扱いをしないことは、
  株主平等の原則の「例外」ではなく、原則そのもの
になったということができます。

 また、「数に応じて」という文言についても、必ずしも、比例的な取扱いを意味するのではなく、「株主の個性に着目してはいけない」という趣旨であるということは、すでにお話ししたとおりです。

1項は、言い換えれば、、109条2項の「株主ごとに異なる取扱い」をすることはできないということを意味しているのです。

 なお、この「株主ごとに異なる取扱い」の意味は、
   創業者、代表者、相続人など株式の保有数とは無関係の事情
に基づく取扱いを意味します。

 学説の中には、例えば
   総議決権の20%以上の株式を保有する株主
という属性で区別することも、「株主ごとに異なる取扱い」であるという見解もあります。
 株主平等の原則を、従来のように、比例的な取扱いを求めるものだと考えれば
   比例的でない取扱いは、すべて株主ごとに異なる取扱いになる
という考えにいきつくのが自然なのでしょう。

 しかし、109条1項が、比例的な取扱いを強制する原則であるとすれば、議決権や配当等について、わざわざ比例的な取扱いを強制する規定を設けていることをうまく説明することができません(個別規定は、確認的なものと解釈するのでしょうか?)。
 また、会社法上、比例的な取扱いをしない制度(単元株式数、現物配当における基準株式数等)について
   109条1項を適用除外した文言(「第百九条第一項の規定にかかわらず」)がない
ということも不自然です。現代の立法は、適用除外規定については、相当シビアな検討を行っていて、たまに失敗することもないとはいいませんが(汗)、会社法のいたるところに散らばっている「比例的な取扱いをしていない制度」について、一切、適用除外の文言が入っていないということは、それらの制度は
   109条1項の「例外」にはなっていない
ということを意味すると考えるべきです(109条2項だけは、「前項の規定にかかわらず」という文言がありますので、1項の例外です。)

 以上のように、条文構造を考えると、109条1項の「数に応じて」は、必ずしも、比例的な取扱いを意味しないと解するのが、ごく普通の解釈ですし、実際上も、109条1項が比例的な取扱いを強制するものだとすると、買収防衛策であるとか、株主優待制度であるとか、比例的な取扱いをしていないものが、軒並み、109条1項違反になってしまい、現実に支障が生じます。

 まあ、従来の考え方でも、「明文にない例外」を認めることで、実際上の不都合を回避してきたわけですが
    実際に困るから、明文にないけど、例外的に認める
という論理は
    超論理・超科学
であって美しくありませんし、「どこまで例外が認められるか」という限界も不明確になります。

 そういうことを考えて、109条1項は、株主の無個性化のみを原則化し、比例的取扱いの強制まで踏み込んでいないのですから、
   一定の数以上の株式を保有する株主にのみ異なる取扱いをすること
は、109条1項に違反しないと考えるべきであり、そうすると、109条1項の例外を認める2項の「株主ごとに異なる取扱い」にも該当しないと考えないと理屈にあいません。

 本日は、条文操作ばかりで、つまんなくて、申し訳ありません。
 条文の文言と構造から、ある規定の文言の意味と適用範囲を明確にすることは、法律家の基礎なので、何事も勉強だと思って、我慢してくださいね。

(質問コーナー)
Q1
345条4項・2項・3項の辞任監査役の意見陳述権について
辞任した監査役につき辞任後最初に招集される総会における辞任した旨およびその理由の陳述権が認められておりますが、319条の株主総会書面決議はこの「招集される総会」には該当しないと考えてよいのでしょうか。
すなわち、直近で新たな監査役選任の319条の書面決議を予定しており、実際に開催する株主総会は3ヶ月後の定時総会となってしまうという状況において、345条2項の辞任監査役への通知は、3ヶ月後の定時総会の招集について行なえば足りると考えればよいのでしょうか。
投稿 マナカナ本購入しました | 2007年3月23日 (金) 00時52分
A1
そうです。正確には、書面決議ではなく、決議の省略なのです。

Q2
取締役会設置会社、会計限定監査役設置会社、非公開会社、毎年1月1日から12月31日までの1年が事業年度、定款に「定時株主総会は、毎事業年度末日の翌日から3ヶ月以内に開催する」旨の定めがある会社において、
3月15日に計算書類およびその附属明細書を完成させて監査役に提出したものの、監査役が監査期間の短縮に同意せず、4週間めいいっぱい使って監査報告を作成しようとする場合には、どうするのが良いでしょうか。
1)監査報告の提出まで待って、取締役会で計算書類および附属明細書を承認し、監査報告を含めた総会招集通知を出す。定款の定めに違反する。
2)監査報告の定款を待たずに、3月23日までに取締役会で計算書類および附属明細書を承認し、監査報告を付けず、監査を受けたものとみなされた旨の記載もせずに、総会招集通知を出す。3月31日の総会で計算書類を承認する。監査役には総会後に監査報告を出してもらう。定款の定めに違反しないが、法に違反するかも。
3)その他。
1)では定款に違反していることが、2)では監査を受けていない計算書類を承認していることが、計算書類の有効な確定にどのように影響するのかよくわかりません。
監査役に早く監査報告を出してもらう以外の方法で、有効に計算書類を承認・確定するにはどうしたら良いでしょうか。
 上記事案が、監査役が2名いるうちの1名はすぐに監査報告を提出してくれるが、もう1名が上記事案のように言い張っているというものである場合、結論は変わりますでしょうか。
投稿 間に合わない | 2007年3月23日 (金) 09時35分
A2
1)招集手続きの定款違反ですから、決議取消事由になります。したがって、株主総会が計算書類を承認して確定しても、その承認決議が取り消される可能性があります。
2)監査を受けていない計算書類ですから、取締役会が承認しても、その承認は効力がありません。

結局、取締役が、3月15日に計算書類を監査役に提出したというのが、失敗です。
監査役が2名いるうちの1名はすぐに監査報告を提出してくれるが、もう1名が上記事案のように言い張っているというものである場合でも、結論は変わりません。

Q3
 まず、吸収合併、吸収分割、株式交換をする際、消滅株式会社等が新株予約権を発行しており、236条1項8号の定めをしていた場合、合併契約や分割契約などで存続株式会社等の新株予約権を交付しない(交付するとの定めを置かない)ことはできるのでしょうか。
もしできるとすると、そのような新株予約権者は、吸収合併の場合であれば787条1項1号により、吸収分割の場合であれば787条1項2号ロによって、新株予約権買取請求によって保護されるだけになると思われるのですが。
A3
236条1項8号の定めをしていても、存続株式会社等が新株予約権を交付しないという場合はありえます。

Q4
 消滅株式会社等の新株予約権について、236条1項8号の定めがなく、合併契約や分割契約において、存続株式会社等の新株予約権の交付についての定めがなかった場合、合併については新株予約権の買取請求ができるが、吸収分割においては買取請求はできない、との結論でよろしいですか。
投稿 ダダ ハナコ | 2007年3月23日 (金) 18時37分
A4
 そうです。

Q5
 199条4項につき教えてください。
 ①譲渡制限普通株式と②譲渡制限優先株の2種を発行している非公開会社で、普通株式につき追加発行の増資を予定した場合に、199条4項の優先株の種類株主総会は必要ですか。
 当初、私は、①も②も譲渡制限株式だから、①②の種類株主総会が必要だと考えましたが、種類株式ごとに募集を決定する会社法の立場からは、発行する種類の株式の種類株主総会という意味だと考え直しています。その種類の中の持分比率の維持を目的とした規定だとの思いです。
 同項の「当該種類の株式」の意味は、どちらでしょうか。
投稿 KE | 2007年3月25日 (日) 05時16分
A5
 設問の事例では、199条4項は、①普通株式についての種類株主総会です。

Q6
何故、会社法は445条1項により、資本金の額を原則として「払込み又は給付を
した財産の額」とするとしたのでしょうか?
「資産=負債」配当制限ラインではなく、「資産-資本金=負債」ラインにより、
債権者保護を充実させるため、設けられたのですが、何故その資本金の額は
原則として、「払込み又は給付をした財産の額」なのですか?
もちろん、その後の手続きで資本金の額の減少をすることができるので、
論理必然性は無いのですが、「原則」とした理由はなぜなのでしょう。
A6
 歴史がそうさせたのでしょう。
 詳しい説明は、過去ログを読んでください。

Q7
こんばんは。株主総会の招集についてお教えください。
招集通知の発出は原則総会の日の2週間前までであるが、非公開会社の場合は、書面による議決権の行使を定めていなければ1週間前まででよい(会社法299条)。これに関連して質問です。
①書面による議決権の行使を定めるというのは、定款で定めているか、あるいは総会招集を決議する取締役会において定めるということですか?
②書面による議決権の行使を定めず、議決権の代理行使を定款で定めている場合、その代理人は株主でなければならないと思いますが、株主が極めて少数で実際のところ決議事項について事前に全員から同意を得ている場合について。総会に株主が1人も出席しないとすると、委任状を託す代理人(株主)が出席しない総会で決議をすることはできないということになりますか?親会社なり誰か必ず1人は株主が出席し、これに他の株主が委任状を託す形を取る必要があることになりますか?
③定款で総会招集通知の発出を総会の1週間前までと定めている場合、当然のことながら、書面による議決権の行使を定めることはできないということになりますね?
投稿 きんた | 2007年3月26日 (月) 22時52分
A7
①総会招集の取締役会決議です。
②株主総会を開催する場合には、株主か、代理人が出席しないと、定足数を充たしません。
③「1週間前まで」という定款の定めが、どういう趣旨で定められたものかによって、異なるでしょうが、文言通りに受け取ると、書面による議決権の行使は、難しそうですね。

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2007年3月23日 (金)

【入門】株主平等の原則(2)

1 比例的取扱い
 株主平等の原則のあらわれとして、よくあげられるのは
  剰余金の配当(454条3項)
  議決権(308条3項)
  残余財産の分配(504条3項)
です。
 これらは、いずれも、株主が保有している株式の数に比例的に権利が与えられるのが原則となっている条文です。

 株主の保有株式数に比例的に権利が与えられるものには、その3つ以外に
 全部取得条項付株式の取得対価の割当て(171条2項)
 株式無償割当(186条2項)
 新株予約権無償割当(278条2項)
がありますし、公開会社において、株主に募集株式の割当を受ける権利(202条)を与える場合には、有利発行の場合でも株主総会の特別決議がいらないというのも、株主平等の原則に配慮した規定ということができるでしょう。

2 均等条項
 以上に対し、少し毛色の違うものとして、「均等」条項があります。

 「均等」という言葉が使われている条文のうち
 「自己株式の取得の条件は、決定ごとに均等に定めなければならない」という157条3項
は、その決定によって取得される「株式」について均等な条件が定められる結果「株主」は保有株式数に応じて取得の対価が貰えるという意味では比例的な取扱いを求めているのなので、株主平等の原則の現れということができるかもしれません。
 また、自己株取得を行う場合に原則として行われるミニ公開買付のような手続きは、株主に平等に売却の機会を与えるという意味では、株主平等の原則の表れでしょう。
 
 しかし、「募集株式についての募集事項は、募集ごとに、均等に定めなければならない」という199条5項は、株主ではなく、株式引受人が平等な条件で引き受けられるようにした規定ですから、株主平等の原則を直接定めたものとは言うのは難しい。募集新株予約権についての募集事項の均等性を求める238条5項も同様です。

 ただ、199条5項や238条5項は、
  「同じ機会に、同じ条件で株主になったのだから、株主になった後も平等にするよ」
という理屈で、株主平等の原則の前提を整える規定であるということはできるでしょう。
 同じ募集で、松真さんは1円、湯水さんは100円出資したのに、どちらも1株ずつ株式を取得したというのでは、
   出資額に応じて株主としての権利を取得する
という合理的な取扱いができませんから。

 ただ、例えば、最初の募集のときに1株1円だったものが、設立1年後には、1株100円になっていることはありますから
   募集が異なれば、募集条件も異なる
のは、当然です。
 こういうと、悪い人は
   同じ日に、同じ種類の株式を、「2回」募集して、募集ごとに条件を変える
ということをやりたくなってしまいますが、あまりに悪どいと、裁判官の逆鱗に触れ、差し止めの憂き目にあうことになるでしょう。

 以上に対し、「新株予約権付社債に付された新株予約権の数は、当該新株予約権付社債についての社債の金額ごとに、均等に定めなければならない」(236条2項)という規定は、同一種類の新株予約権付社債について、単位を均一に揃えるための規定で、株主平等の原則とは関係ありません。

3 109条1項の意味
 こうして明文で、株主平等の原則が具体化した条文を見ていると
  109条1項なんて、いらない
ような気がしてきます。
 実際、109条1項が適用される場面というのは、限定的であり、
   公開会社が、株主ごとに異なる取扱をする定め(例えば、創業者の松真さんは、株式の保有数にかかわらず、51%の議決権を行使することができる、とか)をすることができるか
と聞かれれば
   109条1項に反するのでできない
ということはできますが、法制的には、109条2項さえ置いておけば、その反対解釈で十分なような気もしますが、最近の条文の書き方では、例外を書くときには、必ず原則を書くというのが流行りですから、109条2項という例外を設ける以上、109条1項という原則も設けるのが常道なのでしょう。

 しかし、それ以上の意味を109条1項に求めようとすると、具体例に困るのが実情です。
 特定の株主に利益供与をすれば、それは109条1項の問題ではなく、剰余金の配当についての454条3項違反になるように、ほとんどの不平等取扱いは、具体的な条文に違反するものとして構成することができるからです。
 あえて、109条1項にのみ違反する事例を考えようとすると
   ①取締役が、与党株主についてだけ、招集通知の発送前に、議題や議案についての情報を提供した
   ②取締役が、創業者で大株主の松真さんの指示には従うが、他の株主の指示には従わない。
という
  株主に本来認められている権利以上の利益を特定の株主にのみ与える
事例がありますが、どちらの事例も
   取締役の裁量によって、ある程度、許されるべきもの
であり、これらを直ちに109条1項違反とはいえません。
 
 109条1項は、受験生が、株主平等原則の定義を暗記しなくてよくなったという意味では役に立つ規定ですが、
   平等を実現する実際上の効果は必ずしも高くなく
むしろ
  「株式の数と株式の内容に応じて」株主を取り扱えばよい
という意味で、株主平等の原則の範囲を限定したことに法的な意味があるように思います。

(質問コーナー)
Q1
全部取得条項付種類株式の定めを設ける場合についてお教えください。
現在,種類株式発行会社でない会社が全部取得条項付種類株式の定めを設ける場合,当て馬として別の種類株式を設け,現在発行している株式について全部取得条項を設けることになります。
その際,当て馬の方の種類株式について新株を発行しない場合,全体の株主総会決議のほかに,全部取得条項設定の対象となる種類株式の種類株主総会決議も必要となるでしょうか?
というのは,この場合,全体の株主総会でも,種類株主総会でも,構成員である株主は同じなので,全体の総会決議を種類株主総会決議でもあると評価することは可能でしょうが,そもそも,全体の総会だけでよいのではないか,と疑問に思ったのです。
投稿 たつきち | 2007年3月20日 (火) 01時08分
A1
株主総会と種類株主総会の招集手続きを兼ねることも、同時に行うことも可能です。
評価の問題ではなく、それぞれの招集手続がされたかどうかが問題だと思います。

Q2
整備法14条3項で会社法309条2項が読み替えられた特例有限会社の特別決議の決議要件のうち,議決権要件についてです。
これまでの立案担当者の方々のご説明では,法定の要件を上回る要件を定款で定めうることを明確にした点を除き,旧有限会社の特別決議と同様とされ,また会社法109条2項の株主のごとの異なる定めを設ける定款変更をする場合の決議要件(会社法309条4項)と同様とされています(商事法務1738号17頁の山本検事(当時)の解説及び郡谷局付(当時)編著の『中小会社・有限会社の新・会社法』188頁)。
ところが,読み替えられる条文の規定振りでは,議決権要件のところが「当該株主の議決権の4分の3以上」となっており,会社法309条4項(「総株主の議決権の4分の3以上」)や旧有限会社法48条(「総社員ノ議決権ノ4分ノ3以上」)とは規定振りが異なっています。
結論は上記の解説のとおりと認識しているのですが,なぜこのような規定振りの違いがあるのでしょうか?
投稿 たつきち | 2007年3月20日 (火) 01時14分
A2
読替えられたとおりというほかないでしょう。

Q3
会社法マスター115講座どこにも売ってないんですが、どこで売ってるか教えてください。
投稿 KATU | 2007年3月20日 (火) 12時36分
A3
紀伊国屋などの大手書店には置いていると聞いていますが、出版社じゃないのでよく分かりません。すいません。

Q4
はじめまして。fujiと申します。
「株主平等の原則」興味深く読ませていただきました。そこで質問なのですが、以前どこかのブログでインサイダー規制が話題になったとき、インサイダー規制の根拠の一つには「株主平等の原則」もあるはずだ、と書いたら皆から散々バカにされました。株式市場のインサイダー規制と株主平等原則は全く無関係なのでしょうか?
投稿 fuji | 2007年3月21日 (水) 08時25分
A4
 法的な意味での株主平等原則とは違うのでしょうが、「株主を平等に取り扱うべきだ」という広い意味では、株主平等の原則のあらわれでしょう。

Q5
事業報告の会計監査人に関する記載について質問です。
ある株式会社(大会社・公開会社・有報提出会社・3月決算)の会計監査人Aが2006年7月1日に業務停止の処分を受けて資格喪失により退任したため、当該会社は同日付でいわゆる一時会計監査人Bを選任しました。
質問1:この場合、2006事業年度に関する事業報告に記載する会計監査人(施行規則126条1号)は、1)Bだけ、2)Bだけ、但しAについて注記、3)AとB両方を在任期間毎に記載、等が考えられますが、どれが適切なのでしょうか。2006事業年度に在任した会計監査人を記載すると考えれば3)が妥当に思えますが、実務上2006事業年度の監査業務は2006年7月からスタートし、A会計監査人は2006年事業年度の監査には一切タッチしていなかったとすれば、1)か2)でもよいように思えます(但し業務停止という事情ですから、少なくとも注記は必要と思われますが。)。サミー先生はどのようにお考えでしょうか。
質問2:A会計監査人について、126条5号または6号による記載は必要でしょうか。
質問3:126条8号イの報酬は、A会計監査人に対するものも(もしあれば)記載が必要でしょうか。
投稿 丸坊主 | 2007年3月21日 (水) 16時02分
A5
質問1 A、Bともに記載する必要があります。
質問2 必要です。
質問3 必要です。

Q6
100%子会社(非公開小会社、取締役会非設置)の株主総会招集について、
①株主総会の招集は、定款に別段の定めが無い場合、348条3項3号により各取締役の決定に委任することができないので、株主総会の招集は取締役の過半数以上による決定が必要。
②過半数以上による決定がなされたことを「取締役の決定書」等で書面に残すことが必要。
なのでしょうか?
③また、①の場合の「定款に別段の定め」は「株主総会の招集は社長がこれを行う」とあれば該当するのでしょうか。このような定めはあくまで招集手続きのことであり、株主総会を開くこと自体の決定には①のように過半数以上による決定が必要なのでしょうか。

100%子会社で取締役会を非設置とした理由は業務の簡素化であり、株主総会招集の決定に取締役の過半数の決定が必要だとしても、決定の存在自体を書面に残す必要性は感じられないのですがいかがでしょうか。
投稿 RF | 2007年3月21日 (水) 22時16分
A6
取締役の決定書のようなものは、不要です。
定款の解釈の問題ですが、社長に総会招集決定権まで与えたと認められれば、あたります。

Q7
株券提供公告について
 株券提供公告について、会社法第219条第1項で、「公告し、かつ、通知しなければならない。」とされていますが、公告はしたが、通知はしなかった場合の効力は、どうなりますか? なお、登記については、通達で公告をしたことを証する書面のみが添付書類とされています。
投稿 橋爪 | 2007年3月22日 (木) 13時26分
A7
 株券提供の通知義務に違反していますから、手続きは瑕疵を帯びます。
 ただし、その瑕疵が、行為の効力にまで影響するかどうかは、行為ごとに解釈すべき問題です。
 なお、過料の制裁はあります。

Q8
当社は閉鎖会社であり、中小会社です。
(他に1名監査役はいますが、親会社都合により)監査役を追加選任する必要があり、4月に臨時株主総会を開催する必要が生じました。でも、面倒なので会社法319条により書面決議にしたく思いました。
しかし、昨年6月に辞任した監査役がおりまして、同法345条により招集通知を送付する必要があるのではないかと言うことに気づきました(辞任以降株主総会は開催しておりません)。
この場合、
1.345条には臨時株主総会は含まない解して良いのでしょうか?(含むかなあ・・・と思っております)
2.このケースでは、「招集通知」を発送する必要があるので、同法319条による書面決議はできないということでしょうか?
投稿 pin | 2007年3月22日 (木) 17時56分
A8
1 臨時株主総会を含みます。
2 調整マターですが・・・。
 319条は、株主総会の決議とみなすだけで、株主総会を開催するわけではありません。したがって、345条2項の「辞任後最初に招集される株主総会」に該当しません。
とすると、設問のケースで、319条の決議は可能です。

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2007年3月20日 (火)

【入門】株主平等の原則(1)

久しぶりの入門編ですが、今日は、23問の
  「株主平等の原則について論述せよ。」
について説明しましょう。

1 平等とは?
 株主平等の原則は、旧商法では明文のない原則として理解されていましたが、会社法は、109条1項に
「株式会社は、株主を、その有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければならない。」
と規定しました。

 「平等」という言葉は美しいため、株主平等の原則を聞いたばかりの会社法初心者は
   人間は、皆、平等。
   会社法も、憲法と正義の観点から「平等」を定めているんだな。
と勘違いしてしまいます。
 また、その勘違いが
   公開会社の株主は平等だけど、非公開会社は不平等だから、非公開会社は、ずるい。
   合同会社は、出資者の平等がないから、時代遅れだ。
という誤ったイメージにつながってしまいます。

 はたして、株主平等の原則は、「正義の原則」なのでしょうか?

 憲法の平等原則を思い出してください。憲法14条には
   形式的平等=すべての人を一律に取り扱う
   実質的平等=その人の個性に応じて、取り扱う
2種類の平等が規定されています。

 株主平等の原則は、憲法14条の平等と同じですか。違いますよね。
 株主平等の原則は、
   すべての株主を「一律に取り扱わず」、株式を沢山持っている人には、沢山の権利を与える
ものですし、
   「株主の個性に応じて取り扱うのではなく」、むしろ株主の個性を無視して、持っている株式の内容と数だけで、その株主の取り扱いを決める
というものです。

 ラフに言えば、株主平等の原則は
   「沢山、会社に出資した株主が、それだけ多くの権利をもらえる。」
というルールであり、偽悪的表現を用いれば
   金こそ力
という金銭至上主義的なルールです。

 小学校で学級委員を決めるとき
   俺は、給食費を5000円払っているから、5票。
   お前は、給食費を払っていないから0票。
などと言う小学生がいたら、相当、嫌な奴です。

 株主平等原則というのは、そういう「嫌な奴の論理」なので、この原則を勉強するときは
   美しい法原理
などという訳の分からないものは追い求めず
   株主平等により、どんな政策目的を実現しようとしているか。
というプラグマティックな目で制度を眺めた方がいいと思います。

2 株主の非個性化

 さて、株式会社が、株主平等の原則を採用している理由は、大きく分けて、2つあります。
 1つは、株主の非個性化。
 2つは、少数派株主の保護です。

 「株主の非個性化」というのは
   忙しくて会社経営に参加できなくてもいい。
   無能で、経営のことが何も分からなくてもいい。
   借金まみれの無資力でもいい。
   とにかく、金さえ出資してくれたら、きちんと株主としての権利を認めます。
ということです。
 株主が非個性化すれば
   株主が、会社に出資をするときに感じるハードルが低くなり、出資しやすく
なります。
 
 また、株主の非個性化(=経営能力・資力不問)を実現することにより、
   株式譲渡は自由にしてよい=株式譲渡自由の原則
というルールを実現することができますし、そのことにより
   会社債権者の保護のため、株主の出資の払戻しを禁止する
というルールも実現することができます。

 このように株主平等の原則は、間接有限責任や、所有と経営の分離などと並び、株式のの非個性化のためのルールであり、究極的には、会社が出資金を集めやすくするためのものなのです。

 なお、本の中には、株主平等の原則について
    保有する株式の数に「比例的に」取り扱うべきこと
を強調するものもあります。

 確かに、1株の株主と1000株の株主が、同じ額の配当、同じ額の議決権しかもらえないとしたならば、みんな1株しか出資しなくなりますから
   会社が出資金を集めやすくする
という株主平等の原則の目的を考えれば、「比例的」な取扱いをするのが一番合理的です。

 しかし、株主による取締役の違法行為差し止め請求権のように、1000株の株主に1000個与えるようなことができない権利もありますし、株主管理コストを低くするために、単元株のように一定以上の株式数を持っていない株主には権利を認めないという場合もあります。
 これらの場面でも、株主は、保有株式数「以外」の要素で差別されているわけではないので、株主の非個性化は実現されていますが、比例的な取扱いはされていません。

 ですから、株主の非個性化と、比例的な取扱いは、必ずしも同じ意味ではなく、株主平等の原則の本質は、「株主の非個性化」にあり、
   「比例的」取扱いは、他の政策目的を達成するために、合理的な範囲で、修正される場合もある
ということを覚えて置いてください。

3 少数派株主の保護
 株主平等の原則の2番目の政策目的は、少数派株主の保護です。

 株主平等の原則には、1株1議決権という資本多数決も内容も含まれています。
 つまり、株式を沢山持っている株主が、少数派の株主の反対する議案を、多数決で決議することができるというのも、株主平等の原則のあらわれです。

 他方、多数派株主が、どんなに定款を変更しようとしても、
   少数派株主が、保有株式数に応じて有する配当や議決権を奪う
ことは、株主平等の原則に反するので、できません。

 これが、株主平等の原則の持つ少数派株主の保護機能です。

 初心者の皆さんの中には
   やっぱり、少数派の人権を守るための正義の制度だったんだ
と嬉しくなる人や
   金をあまり出していない貧乏人が少々迫害されてもいいじゃないか。
   会社は、金持ちさえ相手にしていれば、出資は沢山集まるよ。
という荒んだ心の人もいるでしょう。

 しかし、どちらの考えも、ちょっと足りません。
 
 少数派の株主の権利が多数派の株主によって自由に奪われてしまうと、自分が少数派になりそう会社には、誰も出資しなくなってしまいます。

 また、多数派株主としても、少数派に絶対転落したくないので、第三者への新株発行に必死で反対することになるでしょうし、株式を譲渡したくても、少数派への転落リスクが高すぎると、譲渡することもできなくなってしまいます。

 このように多数派株主が、少数派の株主の権利を奪うことができないという株主平等の原則は
    出資を確保する
という点においても重要なルールなのです。
 
実際、株主平等の原則が問題となる場面は、主として、この少数派株主の保護の局面ですから、初心者の皆さんは、少数派の株主が困っているような事例問題のときに
  「株主平等の原則は使えないだろうか。」
と発想するということも覚えておきましょう。

 次回は、株主平等の原則の具体的な現れについて説明します。

(質問コーナー)
Q1
 「取締役が自らの法律上の行為を何も介さずに(代理ではない)、
  自分の妻をして第三者との間で
  会社の事業の部類に属する取引を行わしめ、
  これによって会社に損害を与えうる場合」です。
イメージとしては、会社のノウハウ等を妻に直接こと細かく言い含めているが、
実際の法律行為が、本人(妻)・相手方(第三者)で行われている場合、です。
この場合、行為主体が妻、効果帰属は妻(と相手方)、となります(よね?)。
「行為主体が取締役でないことから、競業の要件の1つである
 『取締役の行為』がない以上、名義説、計算説のいずれを
 採ったとしても競業に当たらない」とされていましたが、実際問題として、
このような取締役の事実行為を抑制する方法はないのかなぁ、と思った次第です。
投稿 受験生 | 2007年3月15日 (木) 08時16分
A1
 ご指摘の場合であれば、競業取引にはあたらず、忠実義務違反で損害賠償を求めていくことになるでしょう。

Q2
優先株式と普通株式を発行する種類株式発行会社の定款に
「自己株式を消却したときは、消却した株式の数について発行可能株式総数を減少する。」旨の定めだけがあり、発行可能種類株式総数については別段の定めがない場合に、例えば、「発行可能株式総数100、優先株式の発行可能種類株式総数100、普通株式の発行可能種類株式総数100」の会社で、優先株式1株を消却すると、「発行可能株式総数99、優先株式の発行可能種類株式総数100、普通株式の発行可能種類株式総数100」とはならないということでしょうか?
ということは、当該定款の定めは、目には見えないが、「一つの種類の発行可能種類株式総数を下回らない限度で…」という文言があるという理解で宜しいのでしょうか?
まあ常識的に考えて、一つの種類の発行可能種類株式総数が発行可能株式総数より大きい数というのはおかしいですね。
投稿 南斗六星 | 2007年3月15日 (木) 09時31分
A6
 ご指摘のような場合には、発行可能株式総数が発行可能種類株式総数を下回ることもありうるでしょう。
 会社法が、「発行可能株式総数が発行可能種類株式総数以上でなければならない」というルールを強制しているわけではなく、定款という意思表示の解釈の問題です。定款の定めを置くときに、「発行可能株式総数<発行可能種類株式総数」という規定にすると、一体、どういう規律にしようとしているのか、その内容を特定することが困難になるということです。
Q7
当社では、監査報告の通知期限の取扱いにつき、これまでのQ&A等の回答にもあるように、監査役の裁量で監査期間は短縮可能と考えて総会スケジュールを構築してきました。

しかし先日、ある先生の講話を聴いたところ、「監査役が計算書類等を受領した日と総会開催日との間に4週間以上の期間がなければ、規132・152の規定により法令違反となる」旨の説明をされておりました。
この点につき、「どの時点で」「誰の」「どのような」違法になるのかを質問したところ、「同規定は、取締役が計算書類等を監査役に提出すべき期限をも定めたものであり、現実の監査期間にかかわらず、監査役に提出した時点で4週間以上の監査期間が確保されていなければ、取締役の忠実義務違反となる」との回答を受けました。
当該条項を素直に読む限り、旧商法のように取締役の義務を明記したものとは思えず、そもそも、計算書類等を監査役に提出した時点で、必ずしも総会開催日を確定させておく必要もないのではと考えています。
そこで、例えば、総会開催日(6/20)、取締役が計算書類等を監査役に提出した日(6/1)、監査報告を受領した日(6/5)の場合、他の手続が適正に行われていても、取締役の忠実義務違反となるのでしょうか?
投稿 悩める子豚 | 2007年3月15日 (木) 10時52分
A7
取締役が監査役に強制しなければ忠実義務違反にはならないでしょう。

Q8
3月15日A4に関して質問させてください。
「株主総会は、取引ではないので、民法142条は適用されません。」ということです。そこで、総会の招集に関する日程等の問題ですが、例えば非公開会社の場合に会社法299条で総会の日の1週間前までに招集通知を出す必要がありますが、「この過去に遡る期間計算は、民法の規定(140~142条)を準用し、中間に1週間(7日間)を要すると解するのが通説、判例である」(商事法務No.1690 p20)とあります。このような日程の計算には民法を準用するのではないのでしょうか?何が根拠になるのかお教えください。
投稿 きんた | 2007年3月15日 (木) 22時44分
A8
取引ではないので、142条が適用されないというだけで、それ以外は適用されます。

Q9
Q27を見ると
持分会社の場合、資本剰余金を減少し、利益剰余金に振り替えた場合、資本剰余金減少分については、出資の払戻を受けることはできないが、持分はあるので利益の配当を請求することができる(621条)ということでしょうか?
投稿 青葉 | 2007年3月16日 (金) 13時47分
A9
「資本剰余金を減少し、利益譲与金に振り替えた場合」というあたりが、すごく気になります。どうも何かの誤解があると思います。
 私が言っているのは、利益の配当と、出資の払戻と、持分の払戻は全部違うとうことです。

Q10
【状況1】
社外監査役AがXの代表取締役の指揮の下で業務執行を行った場合
【状況2】
XがAが取締役を務める株式会社Bを買収して子会社化した場合
【考え得る回答】
状況1では、前回の回答と同様に、Aは兼任禁止違反状況になることを知って業務執行を行うことになっているので、①監査役辞任の意思表示を行ったということになるのでしょうか。この場合の登記において、本人がかかる意思表示を行ったことはどのような添付書類で証明することになるのでしょうか。
状況2については、旧監査特例法に関して、稲葉威雄他編「実務相談株式会社法 補遺」(商事法務研究会)215頁以下では、「社外監査役の要件は、就任時に満たしていることを要し、かつ、それで足りる」ため、「当然に、Aの社外性が失われるものではありません」として、③の社外監査役のままであるという回答となっています。仮に、この場合でも監査役を辞任する意思表示があるとみなすのであれば、どの時点で意思表示があったことになるのでしょうか。また、登記において、どのような添付書類で証明することになるのでしょうか。
投稿 ぞう | 2007年3月16日 (金) 16時33分
A10
登記の添付書類のことは、すいませんが、調整が必要なので、答えられません。
社外監査役の要件が、就任時に充たしていれば足りるかどうかは、稲葉先生にお聞き下さい。

Q11
会社法第828条第2項第12号に、「株式移転について承認しなかった債権者」が含まれていないのはなぜでしょうか?
 これは、立案上のミスなのでしょうか?
投稿 受験生X | 2007年3月16日 (金) 17時02分
A11
 「ミスです」と認めると、叱られます。
 ですから、ミスではないものの、端から見ると、ミスに見えますね。

Q12
合併契約の株主総会における承認についての質問があります。
特別支配会社において株主総会の決議による承認が必要とされる場合で、消滅会社の承認を要する場合、784条1項ただし書の「承認」は特別決議なのですか、それとも特殊決議なのですか。
投稿 ぴろ | 2007年3月16日 (金) 22時26分
A12
784条1項ただし書には、「承認」はありませんが、要するに、同項ただし書の場合の承認要件を聞きたいということですね。
784条1項が適用されないので、単に原則に戻るだけであり、公開会社の株主が譲渡制限株式等の交付を受ける内容の合併なので、特殊決議です。

Q13
早速質問なんですが、会社法100問の93講の事業の重要な一部譲受けと合併・事業譲渡は如何なる点で異なるんでしょうか。783条(吸収合併)・469条(事業譲渡)の条文を挙げられていますが、これはどういう意味なんでしょうか。
A13
 ご質問の意味がよく分からないところがありますが、
 事業の重要な一部の譲り受けは、譲り受ける方。事業譲渡は、譲り渡す方です。
 合併は、消滅会社の法人格が消滅し、包括承継が生じる点が違います。

Q13
95講の全株取得条項付株式の取得なんですが、A社側の手続がよくわかりません。種類株式発行会社でなければ、種類株式発行会社になる為に定款を変更、その上で発行株式を全部取得条項付種類株式にする為の定款変更をする、ここまではわかるのですが、「取得条項付株式を対価として発行される株主に種類株主総会が必要になる」がよくわかりません。そもそも取得条項付株式を取得の対価として株主に交付することに意味があるのでしょうか。募集株式発行とは種類株式発行もありうるという意味なのでしょうか。ということは、募集株式を受け取った株主の中でも種類株主のみが保護されることになりませんか。
投稿 会社法大嫌い | 2007年3月16日 (金) 22時51分
A13
 基本的なところに誤解があるようなので、非常に答えにくいです。
 まず、「全株取得条項付株式」ではなく、「全部取得条項付株式」です。
 種類株主総会が必要になる場合は、111条2項の条文のとおり書いているだけです。
 X株を対価とする取得条項付株式がある場合には、対価の内容(X株)が全部取得条項付に変われば、取得条項付株式の内容も変わるため、種類株主総会が必要だということですね。
 それから、よく読んでいただければ、「取得条項付株式を取得の対価とする」とは、言っていないことは分かるはずです。
 種類株式の発行は、募集株式の発行の一場合です。
 最後の一文は、意味が分かりません。

Q14
1、確認なのですが、304条は、いわゆる動議を定めたものとの理解でよろしいでしょうか。
2、監査役設置会社では、「著しい損害」が生ずるおそれがある場合には、差止請求権は株主ではなく監査役にあるとのことですが、この時株主は監査役を法的に突っつけないのでしょうか。
投稿 あと2ヶ月 | 2007年3月17日 (土) 20時36分
A14
1 「動議」の意味次第ですが、動議も304条に含まれます。
2 株主が、監査役に何か言うことはできませんが、損害が生じれば、代表訴訟をするぞと言えばいいでしょう。

Q15
反対株主の株式買取請求権ですが、会社法117条4項で裁判所の価格決定がなされた場合には、効力発生日から60日の満了後は年6分の利息を支払うこととされていますが、117条6項で株券発行会社の場合は対価の支払いを株券の交付と引き換えとされています。これは株券の交付と対価の支払いにつき同時履行の抗弁権を認めたものでしょうか?そうであるとすれば利息についても同時履行の抗弁権を主張している間には発生しないこととなるのでしょうか?
A15
117条4項は、債務不履行責任ではないので、株券未交付の場合でも、適用されると思います。

Q16
千問のQ120についての質問です。全部取得条項付種類株式の対価として取得条項付株式や譲渡制限株式を交付する旨の決定をする場合にも株主総会の特別決議で足りるとされておりますが、定款に取得条項付株式や譲渡制限株式を発行できる旨の定め(これは株主全員の同意ですよね?)を設けていない場合でも、全部取得条項付株式の対価としてこれらの株式を発行する場合にはこれらの株式を発行できる旨の定款の変更についても特別決議で済むという趣旨でしょうか?Q122の中で個々の株主の同意がなければ付すことができない取得条項を株主総会の特別決議を持って付すことができるということはこの意味で解してよろしいのでしょうか?江頭憲治郎『株式会社法』149頁注30では既発行の株式を株主全員の同意なしに取得条項付株式へ切り替える方法として上記のような同一の会社内での全部取得条項付株式を用いる場面を例示しておらず、取得条項付株式発行会社を存続会社とする合併をあげておられるので、取得条項付株式を発行できる旨の定款の定めについては株主全員の同意がやはり必要なのではないのかと思った次第です。
投稿 MZM | 2007年3月18日 (日) 00時01分
A16
ご質問の場合でも、特別決議でできます。

Q17
会社法上、会社は自己株式を消却せずに保有しておくことが認められていますが、この「消却せずに保有しておき、必要な時にそれを新たに処分(譲渡)する」ことと、「消却しておいて、必要な時に新たに発行する」こととの違いは何でしょうか?
投稿 paripasu | 2007年3月18日 (日) 00時08分
A17
 自己株式の処分では、資本金が増えないので、登録免許税が安くすみます。

Q18
 お聞きしたいのは、株主総会招集通知時期についてです。
・平成14年改正前は2週間とされ、平成14年改正で「定款で規定」した場合に限り「1週間」とすることができるとされていました。
 新会社法によると、法299条1項で、公開会社は2週間・非公開会社(取締役会設置会社)で署名投票制度・電子投票制度を採用しない場合は、「1週間」とできる。そしていくつかの文献によれば、「定款に規定なくても、1週間とできる。」
と解されています。
 ここで、A会社は、従来の定款に、署名投票制度等の記載はないが、総会招集について、「2週間」の規定を設けていた(会社法施行にもかかわらず、定款変更を行わず、そのまま放置していたようです)場合に、会社法の規定に基づいて299条で「1週間」で総会招集通知を行うことは適法かという問題です。
 この場合、1週間で行うことは会社法299条の規定には違反しませんが、定款の定め(2週間)に抵触することになり、株主総会決議取消事由になってしまうのではないかと疑問を持っております。
投稿 コロロ | 2007年3月18日 (日) 05時05分
A18
 定款の定めに違反するから、決議取消事由になるでしょう。

Q19
私は、会社法362条4校1号の「重要な財産の処分」の該当性判断は代表取締役に業務執行の決定権限が委任されている場合に問題となると考えています。
代表取締役は業務執行権しか持たないはずなので、そもそも決定権限の委任がない場合には「重要」かどうかにかかわらず取締役会の決定が必要になると思うのです。
しかしながら、ちまたの答案例などを見ているとあまり決定権限の委任の有無について配慮している答案が少ないのです。
あえて重ねて疑問点を言いますと、決定権限の委任の有無にかかわらず、「重要」かどうかが当然問題となるのか、です。
この点について、私の基本的な考えが間違っているのでしょうか。
投稿 とんかつ | 2007年3月18日 (日) 20時10分
A19
 362条4項1号は、委任できない事項をあげたものですから、委任がなければ、重要かどうかにかかわらず、取締役会が決定します。

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2007年3月15日 (木)

会社法マスター115講座

3月というのは、法務部の方も、受験生も、誰も彼も忙しいわけですが
私は、他の誰よりも忙しい自信があります。
しかし、それも今日で、ほぼ終了。

よし、しばらくサボっていた入門編を書こう!
と決意したところ、質問が30問も溜まっていました・・・。
これまでの最高記録ではないでしょうか・・・。

ということで、入門編は、次回、やることにして、今日は書籍のCMをします。

会社法がいまいち分からないという、みなさん。
お待たせしました。
立案担当者らによる初の入門書!の登場です
その名も

『会社法マスター115講座』
 葉玉匡美・郡谷大輔 編著
 by LOTUS21

葉玉・郡谷という非常に濃い~感じのコンビが世に放つにしては
爽やかな、それでいて、まったりとして奥行きの深い会社法の入門書です。

中身は、会社法の基本から応用まで、全10章115講座。

1講座は、原則として、本文と図表の見開きで完結していて
312頁とコンパクトなので、左ページの本文だけ読むと
アッという間に、会社法のアウトラインが分かります。
途中に挟まれたコラムも、なかなかニヒルで味があります。

しかも、図表が、なんと215点。
これまで評判の良かった図表や新作の図表を含め、
会社法の内容が詳しく分かる図表が満載。
編集者が涙を流し尽くしたほど、編集者泣かせの本でしたが
その分、読者は、会社法を立体的に把握することができるようになっています。

いわゆる「論点」はあまり載っていませんが、
その分、条文の基本的な理解を深めるのに必要な知識や
実務の基本的な流れ
最新の実務の動向を踏まえた会社法のノウハウ
等が本文や図表の中にちりばめられています。

会社の計算についても、他の基本書にはないくらい、分かりやすく書かれています。

ロースクール、司法試験、司法書士試験、会計士試験の受験生は、この本を一読し、テスト前の知識の整理に役立ててください。
時間があれば、100問や1000問等で勉強したことを、この本にメモっていくことにより、最強のテキストが完成します。

また、実務家が、会社法の制度の大枠を知りたいときには、ハンドブック代わりにもなります。
会社法の講義をしなければならない人は、これを使えば、レジュメを作らずに済みます。
あなたが、新たに法務部に配属されたときは、とりあえず、これを読みましょう。
あなたのやるべき仕事の大枠が把握できます。

この充実した内容にして、税込定価 2,415円。

 都内大手の書店には、今日あたりから並んでいると思いますから、
一度、手にとって、レジに進んでみてください・・、いや、中身を見てください。

 取っつきやすいけど、わりと歯ごたえのある内容に驚くでしょう。

えっ、本屋に並んでない?Lotus21が葉玉・郡谷の力をみくびって、部数をあまり刷っていないからでしょうか? 見本をpdfで載せておきましょう。

「_5.pdf」をダウンロード

 葉玉・郡谷と言えば、翼君と岬君、長州力とアニマル浜口に並ぶ黄金コンビ。
 サミーとしても、黄金コンビの力が、どの程度、会社法の初心者の心を捉えることができるのか、興味シンシンに見守っています。

(質問コーナー)
Q1
株主総会招集通知の「期間」について教えてください。
会社法299条についてです。

テキストには以下のように書いてありました。
機関構造に関わらず原則2週間。
①公開会社は必ず2週間前。
②非公開会社かつ取締役会設置会社かつ書面投票電子投票ありは、必ず2週間前。
③非公開会社かつ取締役会設置会社かつ書面投票電子投票なしなら、1週間前まででもよい。
④非公開会社かつ取締役会非設置会社かつ書面投票電子投票ありなら、1週間前まででよい。
⑤非公開会社かつ取締役会非設置会社かつ書面投票電子投票なしなら、定款で1週間未満も可。
疑問なのは④です。
テキストはこの場合は「1週間」とはっきり書いてあるのですが、
299条第1項を自分なりに素直に見ると、
「書面電子投票を除いて」なので書面電子ありの④は2週間の気がします。
その他を色々探しても表ではなく文章による解説であり、
括弧書きを使用しさらに「除く」という表現を利用して書いてあるので、
日本語の読み方としては1週間とも読めるし2週間とも読めるので困っています。
もちろん制度趣旨からも考えてみたのですがいまいち分かりません。
投稿 T | 2007年3月 8日 (木) 22時56分
A1
2週間です。会社法マスター図表44-2を見てください(CM)。

Q2
 お忙しい中、監査役会監査報告に関する累次の愚問に対し、ご丁寧にご回答頂き、ありがとうございました。
 ブログという媒体の限界なのでしょうか、どうもQ&Aが噛み合わないようですが、
①「旧商法から変わってはいません。」
②「施行規則等は、監査報告という書面の作り方や会議の仕方について規定していると考えた方が無難でしょう。」
の2点は、新たな発見ですので、これを私の”誤解”を正す糧にしたいと存じます。
 ただ、監査役の世界は、「理論」と「実務」の乖離が未だに根深く、その狭間で当事者は悶え苦しんでいる(大袈裟ではなく)、という実態も少なからずあります。会社法全面適用初年度の期末を迎えつつある今、この問題もその意味で重要なのです。
投稿 ぽっぽー | 2007年3月 9日 (金) 01時14分
A2

 おっしゃることは、分かるのですが、監査役も徐々にかわりつつあります。ちょっとした不祥事で会社が潰れたり、上場廃止になったりするこの世の中で、また、内部統制がこれだけ注目されているこの時代に、会社に出てこない、監査をしない、監査役会の決議に参加しない監査役は、滅びるしかないでしょう。

Q3
 事業報告の記載に関する質問です。
施行規則123条「新株予約権等に関する事項」はストップオプション等について記載する趣意とのことですが、条文の第1号「職務執行の対価・・・」が第3号に掛かっていないようにも見えます。弊社は「転換社債の残債」があり、従来の附属明細書に記載しておりました。今度は、新株予約権の範疇として事業報告(もしくは事業報告の附属明細書)に記載すべき、ということになるのでしょうか?
投稿 鈴 | 2007年3月 9日 (金) 11時44分
A3
 重要な事項であれば、記載すべきですが、転換社債の残債分の新株予約権は、普通あまり重要ではないでしょう。

Q4
 Q6の株式会社における決算及び株主総会の日程についての質問に対するご回答、ありがとうございました。3ヵ月後の日が日曜日や祝日に該当しても、
「A6
日曜日でも、翌日にはならないでしょう。」とのご回答でした。
 もう少し教えていただけませんか?この結論に至る考え方についてもお教えいただけませんでしょうか?
投稿 SHU | 2007年3月 9日 (金) 14時41分
A4
株主総会は、取引ではないので、民法142条は適用されません。

Q5
会社法特有の問題ではないかもしれませんが、社外監査役(会社法第2条第16号)について、質問させてください。

1.社外監査役の要件(2条16号)が社外取締役(2条15号)と異なり、現在の取締役や使用人との兼任を禁止していないのは、監査役には、兼任禁止規定(335条2項)があるからと理解してよいのでしょうか。
2.社外監査役が兼任禁止規定に反して、子会社取締役となった場合や相当な程度の業務執行を行った場合、「社外監査役」の「社外」性に影響しないのでしょうか。かかる場合に、社外監査役は、社外監査役のままで居続けられるのでしょうか。それとも、社外ではない監査役となるのでしょうか。
3.2の回答において、影響するということであれば、2条16号にも社外取締役と同様に現在取締役や使用人ではないことも要件として明記するのが適当なのではないでしょうか。
投稿 ぞう | 2007年3月 9日 (金) 15時22分
A5
1 そのとおりです。
2 兼任禁止に違反して子会社の取締役に就任したのなら、監査役の辞任の意思表示とみなすべきです(千問Q539)

Q6
1000問P182(Q248但書)について

優先株式と普通株式を発行する種類株式発行会社の定款に
 ①自己株式を消却したときは、消却した株式の数について発行可能株式総数を減少する。
 ②優先株式を消却したときは、消却した優先株式の数について発行可能種類株式総数を減少する。
という定めがある場合に、①の定めを廃止する定款変更には会社法322条1項は適用されないが、②の定めを廃止する定款変更には、会社法322条1項は適用されると考えてますが如何でしょうか?。
投稿 南斗六星 | 2007年3月 9日 (金) 16時33分
A6
 必ずしもそうではないかも。①を廃止すると、消却により授権枠が拡大するわけです。
 例えば、発行可能株式総数100 
 優先株の発行可能種類株式総数100
 普通株の発行可能種類株式総数100
 で、優先株10、普通株90が発行されているとしましょう。
 ①の定めを廃止すると、普通株を10消却すると、優先株が10株発行できるようになりますね。
 とすると、普通株について種類株主総会が必要になる場合があるような気がします。

Q7
1000問P56(Q78)について
発行可能株式総数が100株、優先株式の発行可能種類株式総数が50株、普通株式の発行可能種類株式総数が50株の種類株式発行会社の定款を変更して、発行可能株式総数のみを定款変更して20株とすることは可能でしょうか?
投稿 南斗六星 | 2007年3月 9日 (金) 16時35分
A7
発行可能株式総数は、発行可能種類株式総数以上でなければならないと思います。

Q8
子会社に関する記載について
株式会社の現況に関する事項を、連結ベースで「企業集団」として記載する際に、施行規則第120条第1項第七号「重要な…子会社の状況」として例えば連結対象子会社10社を記載した場合、第二号「主要な営業所および工場…」につきましては、「重要な…子会社」と整合をとって同じ連結対象子会社10社の事業所等を記載すべきなのでしょうか?
A8
なるべく整合性を取った方がいいと思いますが、子会社の事業所は、企業集団の中では、「主要ではない」営業所になる場合もあるでしょう。

Q9
施行規則第118条第一号「内部統制システム」について
条文では「決定又は決議があるときは…」となっておりますが、もし将来的に内部統制システムの修正等の取締役会「決議がない」事業年度の場合は、記載不要(監査役の監査報告の内容としても対象外)という解釈になるのでしょうか?あるいは、一度決議してからは、事業報告にも監査報告にも継続して記載する、ということになりましょうか?
投稿 鈴 | 2007年3月 9日 (金) 18時51分
A9
決定の時期は、関係ありません。一度決議した以上、継続して記載してください。

Q10
千問593頁、Q810について教えてください。
「利益剰余金に振り替えられた資本剰余金部分については、社員は、出資の払戻しとしては財産の払戻しを受けられなくなる」とありますが、根拠となる規定を見つけられません。教えてください。
投稿 青葉 | 2007年3月10日 (土) 10時58分
A10
 利益剰余金になった以上、出資として払込みをした金銭等(624)ではなくなりますから、出資の払戻しはできません。

Q11
事業報告に記載する「会計監査人の解任又は不再任の決定の方針」(施行規則126条4号)について質問があります。
1.この「方針」は、いかなる機関が定めるのですか。次の①~③のいずれの考え方が正しいでしょうか。
① 「方針」は、取締役(会)と監査役(会)が、それぞれ別個に定める。すなわち、取締役(会)は、総会への解任・不再任議案の提出についての方針を定め、一方、監査役(会)は、それとは別に、監査役(会)固有の権限として行う解任(340条)、解任・不再任についての同意(344条1項)、解任・不再任を株主総会の目的とすることの請求(344条2項)についての方針を定める。
② 「方針」は、取締役(会)のみが定める。監査役(会)の解任については、340条1項に、解任することができる事由が列挙されており、当該事由に従って解任を行うことになるので、監査役(会)が、それとは別に、解任についての「方針」を定めるということは想定されていない。
③ 「方針」は、監査役(会)のみが定める。
2.仮に、1.の結論が①だとすると、事業報告には、取締役(会)の方針と監査役(会)の方針を区別して記載する必要がありますか、それとも、当該方針を定めたのがいかなる機関であるかについては触れる必要はないと考えてよいですか。例えば、取締役(会)がAという方針を定め、監査役(会)は方針を定めなかった場合、「取締役(会)はAという方針を定めたが、監査役(会)は方針を定めていない。」と書く必要がありますか、それとも、単に、「当社の方針は、Aである」という書き方でよいですか。
投稿 論点つぶし中 | 2007年3月10日 (土) 13時19分
A11
1 定める義務があるわけではないので、取締役会及び監査役が定めることができるというのが正確でしょう。
2 同じ方針ならば、取締役と監査役を別に区別しなくてもよいでしょう。
 当社の方針は、Aであるという書き方でもいいでしょう。
株式の消却について、1つ質問させて頂きます。

Q12
自己株式の消却について、取締役会設置会社以外の会社では、どの機関が決定するのでしょうか。
会社法178条2項において、取締役会設置会社においては取締役会の決議によらなければならないとされていますが、それ以外の会社については178条は特に規定していません。
そこで、業務の決定として、取締役(2人以上ある場合にはその過半数)(348条1項、2項)が行うのではないか、と考えました。
ところが、江頭憲治郎「株式会社法」253ページには、「株主総会の決議(会社309条1項)を要する」と書かれています。
もちろん株主総会で決議することはできる(295条1項)と思いますが、「要する」のはなぜでしょうか。
投稿 sai | 2007年3月10日 (土) 22時02分
A12
非取締役会設置会社では、自己株式の消却に、株主総会の決議は要しません。
取締役が決定します。

Q13
本日は資本金の額が1000万円の株式会社が準備金300万円全部を資本金へ組入れる旨の株主総会決議をした場合の処理ついて教えてください。
準備金の積立限度額は、資本金の額の4分の1である(計算規則45条1項1号)ところ、当該会社が積立限度額を超えて決算承認をして議事録を作成した場合、登記申請の際250万円は「準備金の資本金への組入」とし、50万部分は「剰余金の資本金への組入」として申請すれば、別途剰余金の減少による450条の手続を再度採らなくとも(株主総会を再度開催せずとも)登記は受理されますでしょうか?
投稿 NK | 2007年3月11日 (日) 01時14分
A13
まず、前提として、4分の1を超える部分について、451条の手続きによって、準備金にしたかどうかが問題になります。451条によれば、4分の1を超えることも可能です。
準備金にしているのならば、準備金の資本金への組入れができます。
451条を経ていないのならば、50万円部分は剰余金なので、450条により、剰余金の資本組入れでやります。

Q14
 前提は、取締役会設置会社+監査役設置会社の場合で、株主1000人以下、書面投票を認めていない会社の場合です。定時社員総会の通知には、計算書類、事業報告及び監査報告を添えて書面又は電磁的方法で、通知しなければなりません。
しかし、会社法(招集手続の省略)第三百条により、 株主全員が同意した場合には、定時社員総会の招集手続が省略できます。この場合も、書類は会社は定時総会の一定期間前までに本店等備置きが義務付けられています。

そこで、質問です。計算書類等を事前送付しない場合の条件である、株主の全員同意は、実務上はどのような形でとったらよいのでしょうか。私案としては、株主の意思を直近の定時社員総会で、報告事項として議案として取り上げ、総会の招集手続の省略を説明し、通知はするが、決算関係書類の送付について不要とすることの是非について、質疑をおこない、意見を聴取して当日以降、送付不要な人には申し出でもらえないかと考えています。全員が同意書を提出すれば、総会の開催に手続は簡略にできる上、開催費用の低減もはかれる。一番の関心事である、株主資本等変動計算書だけは送付する簡便な総会開催をしたいと考えています。
投稿 bara3 | 2007年3月11日 (日) 11時35分
A14
同意があるのならば、実務上、どのような形で取っても良いです。特に規制はなく、どう証拠化すればよいかというだけの話です。

Q15
事業報告に記載する「会計監査人の解任又は不再任の決定の方針」(施行規則126条4号)について質問があります。
この部分について、方針を定めていない場合には、その旨を記載する必要があり、方針を定めている場合には、それを記載するということになろうかと思います。
方針を定めるにあたり、取締役会等で定める必要があるかと思いますが、3月期決算の会社の事業報告に本件を記載する場合、本方針は、期中に、つまり3月中に決議する必要があるのでしょうか。それとも、4月以降5月末の計算書類等の承認の決議の際までに行えばよいのでしょうか。(承認の決議の時に同時に行うことも想定しております)
投稿 ももっこ | 2007年3月11日 (日) 14時18分
A15
決算日後に決めた方針でもいいですが、事業報告作成時に現存する方針を書きますので、計算書類等の承認の決議と同時に決めるのは、論理的に無理ではないでしょうか。

Q16
株式の譲渡制限について3点教えてください。
①「当会社の株主は、その親族以外の第三者に当会社の株式を譲渡してはならない。」
この定めは、民法の契約自由の原則に違反するから、この規定は無効ですよね。
②「株主の相続人たる配偶者が相続によって取得した当会社の株式は配当がないものとし、かつ、議決権なきものとする」
この規定は、普通株式が相続を経て内容が変化するというのがおかしいので、無効だと思いますが、いかがでしょうか。
③特定の株主について議決権を認めないことは可能ですが、例えば、「株主の配偶者が相続によって株式を取得した場合、当該配偶者には議決権を認めない」という定めは、有効でしょうか?
投稿 MN | 2007年3月11日 (日) 14時31分
A16
①の定款の定めが、親族以外の第三者に株式を譲渡する場合には、株式会社の承認を要するという趣旨の規定かどうかによるでしょう。
②非公開会社なら、109条2項により、有効です(公序良俗に反しない限り)。
③②に同じです。

Q17
監査役から特定取締役の監査報告の通知期限は最短で4週間と(計規152条)と読めることから、監査期間は4週間とらなければいけないと理解している人が多くいます。しかし、通知期限に過ぎず、監査が2週間で終われば、4週目が経過することを待つまでもなく次の手続きに進んでよいという理解でよろしいでしょうか。
投稿 ももきち | 2007年3月11日 (日) 14時31分
A17
監査役が早く終わることを納得すれば、2週間でも何でもいいです。

Q18
 種類株式の株主割当(2)についてですが、旧商法においても、第222条第11項により可能だったのではないでしょうか。会社法においては、対応する条文がなぜかないのですが、第322条第1項の規定をみても、超美人弁護士さんのおっしゃるとおりかと思われます。
 しかし、会社法第202条の文言からはそのようには読み取り難く、そのような立法意図であれば、会社法第185条及び第186条第2項等のような書きぶりにすべきであったと思います。
 個人的には疑問に思わなくもないのですが、会社法においても認められるように思います。
投稿 内藤卓 | 2007年3月11日 (日) 22時45分
A18
 私も、できることにしても、いいような気がしますが、なかなか調整がつきません。

Q19
Q1(3/4のここりこさんの質問)「社外取締役候補者の定義(施行規則2条3項7号)について教えてください。」についての関連質問です。
昨年、会社法2条1項15号の社外取締役の要件を満たすこととなるものの、 
社外取締役として開示する「予定」もなく、
また会社法425条1項1号の社外取締役とする「予定」もなかったので、
参考書類に社外取締役候補者として記載をせずに選任した、というところまでは同じです。
ところが、今年、ガバナンス上の理由や、防衛策導入に伴う外部独立委員会の設置を考えており、社外取締役として表示しなかった人を外部取締役と表示したいという方向に、会社の意思が変わってきました。
この場合、
① 今年の招集通知で”社外取締役”として記載することはどうですか?
  (昨年は旧法で手続をしたから書いてないという逃げが可能か?)
② 改選期である来年、社外取締役候補者である旨記載して、
  その後より”社外取締役”として表示する。
  (事業報告には、社外とは書かず、参考書類には書く・・・?)
①、②の是非について、ぜひご教授ください。
投稿 ゆきだるま | 2007年3月11日 (日) 23時39分
A19
 「逃げ」ではなく、正々堂々とやればいいと思います。
 社外取締役と表示するだけでなく、一緒に、社外取締役候補者として開示すべきだった事項を開示すれば、非難されることはないでしょう。

Q20
新・会社法100問第2版の誤植と思われる部分等をまとめてみました。
参考にしていただけると幸いです。
http://www.geocities.jp/nclgsk/gosyoku.txt
投稿 74 | 2007年3月12日 (月) 00時44分
A20
 ありがとうございます。
 誤植のみならず、補足的なことまでやっていただいて助かります。

Q21
会社法349条1項但書についてご教示ください。
「取締役会設置会社、取締役 A B C、代表取締役 A」の会社で、
① 取締役Aが取締役を辞任
② 取締役会設置会社の定めを廃止
③ 株主総会がBを代表取締役に選定
上記②及び③を、同一の株主総会で、議案を分けて決議した場合、上記②の定款変更議案が即時効力を発生した瞬間に、取締役B及びCが代表取締役になると思いがちですが、直後の上記③の議案が承認可決された際には、「代表取締役C:代表権付与 → 退任」とならず登記も不要で、単純に、「代表取締役B 就任」になると理解してよろしいのでしょうか?
投稿 としお | 2007年3月12日 (月) 12時00分
A21
うーん。登記が不要かどうかは、調整マターですね。

Q22
 表見代表取締役の「例示」から常務取締役の文言を除いたと百問374頁には記載されています。旧法では,「社長、副社長、専務取締役、常務取締役その他会社を代表する権限を有するものと認むべき名称」と規定されており,ここでいう「その他」とは例示を指すということなのでしょうか。一方,現在の354条にいう「社長,副社長その他株式会社を代表する権限を有するものと認められる名称」の「その他」は並列と理解してよいでしょうか。
 「その他」と規定されていても,例示のように読めてしまうことがあるので,しつこい質問で恐縮ですが,ご教授お願いいたします。
投稿 デーブ | 2007年3月12日 (月) 15時53分
A22
 並列です。

Q23
発起人の会社設立時における出資の履行について
 発起人は会社設立にあたり1株以上引受けなければならない、
 ということは、
 「発起人は引受けた設立時発行株式につき『払込義務』を負う」
 と考えるべきなのでしょうか。
 
 それとも、
 「最低1株分だけ出資を履行しさえすれば、
 引受けることされた設立時発行株式のすべてについて、
 必ずしも履行せずともよく、36条の失権手続によって、
 未履行分の設立時発行株式の株主になる権利を失うだけ」、
 と考えるべきでしょうか(つまり『義務』は負わない)。
A23
 発起人は、割当てを受けた株式について払込義務を負います。
 ですから、裁判で、無理矢理、払込を強制することも可能です。
 ただし、失権手続によって失権したら、払込義務もなくなります。
 もっとも、損害賠償責任は生ずる場合があります。
Q24
競業避止義務の「自己または第三者のために」
 会社法100問No.61の見解どおり、名義説をとったとして、
 「取締役が、自分の妻の名義で、
  第三者と会社の事業の部類に属する取引を行い、
  これによって会社に損害を与えうる場合」
 をどう処理すべきでしょうか。

投稿 受験生 | 2007年3月12日 (月) 22時33分
A24
 名義というのは、誰に効果帰属させるかを表すものです。
 取締役が、妻の名義で、取引をしたというのは、取締役が妻を代理して競業取引を行ったということでしょうか。
 とすると、第三者のために競業取引したことになります。
 それとも、取締役が、自己に効果を帰属させるつもりで、妻の名前を屋号として用いて競業を行ったのでしょうか。
 そうすると、それは自己のために競業取引をしたことになります。

Q25
招集通知の議案内に書くストックオプションの件なのですが、
新株予約権の行使条件に、当初は他社を参考にして
「新株予約権者の相続人は新株予約権を行使することができる」と
書いていたのですが、これを削除するようにと指摘がありました。
ただ、普通に削除しても問題ないとは思うのですが、
年の為に会社法で調べてみたのですが、ストックオプションの相続について
書かれた条文が見当たらないのです。

それで、サミー先生に質問です。
1.普通に削除しても問題ないのでしょうか?
2.ストックオプションの相続について書いてある根拠となる
条文はあるのでしょうか?
投稿 idhiro | 2007年3月13日 (火) 11時07分
A25
削除しても問題ないかどうかは、なんともいえません。
しかし、相続人に新株予約権を行使させないような行使条件を付すことはできます。
ストックオプションの相続について、特別な規定はありません。

Q26
サミー先生、債権者異議手続についてご教授願います。
789条の吸収合併消滅会社や吸収分割後分割会社の
債権者異議手続についてなのですが、
「効力発生日前までにこの手続を完了しておかなければならない」
というのは、どの規定から解釈されるのでしょうか?
(葉玉先生の『短期間で吸収合併を行う方法』でも、債権者異議手続は
 効力発生日までに完了していることを想定していると思われます)
吸収合併消滅会社の場合は、消滅する以上、効力発生日前までに
異議手続を完了しておくのはすんなり理解できるのですが、
吸収分割後分割会社の場合は、分割会社も存続する以上、
759条2項、759条3項、789条5項により
承継会社が免責的債務引受する場合の分割会社の債権者の保護が
充分手当されているように思えます。
そう考えると、例えば債権者異議手続の催告が遅れてしまい、
分割予定日(効力発生日)の1ヶ月前までに間に合わなかったという場合でも
分割成立の効力(効力発生日)には影響しない、
と理解できる余地もあるのかと考えたのですが、どうでしょうか。
投稿 789条債権者 | 2007年3月13日 (火) 16時04分
A26
効力は生じるでしょうが、瑕疵は帯びるでしょうね。
債権者保護手続きに不備があった場合の債権者の保護規定があるからといって、手続き自体が適法になるわけではないと思います。

Q27
 清算株式会社において、その発行する全部の株式の内容として
譲渡による株式の取得につき清算株式会社の承認を要する旨の定款の定めを廃止する定款変更をしても、清算会社の監査役は退任しません。(会社法480条2項・336条不準用)
 これはなぜですか?
投稿 maru | 2007年3月13日 (火) 21時40分
A27
 清算は、さっさと終わるべきものなので、監査役をいちいち退任させないという趣旨です。

Q27
お忙しいところ申し訳ございませんが、はじめて質問させていただきます。
新会社法100問の第9問において、”「出資の払戻し」とは、持分会社の社員が社員の地位を維持したまま・・・”とありますが、全額の出資の払戻しがなされた場合に何故社員の地位が維持されるのかがわかりません(特に、合同会社の場合)。非常な愚問かもしれませんが、ご教示のほどよろしくお願いいたします。
投稿 虎・虎・虎 | 2007年3月13日 (火) 22時02分
A27
松真さんが、100万円を出資したとしましょう。
合同会社は、その後、利益を生み、会社財産が300万円になりました。
では、松真さんが出資の払戻として受けられるのはいくらでしょう。
それは100万円です。
では、松真さんが、100万円を払い戻してしまったら、社員じゃなくなるのでしょうか。?
もしそうなら、会社に残った200万円は、一体、誰のものになってしまうのでしょう?
なんか、おかしいですね。
虎・虎・虎さんは、出資と持分を混同しています。
松真さんは、出資をすることにより、持分を取得します。
出資の払戻を100万円してもらっても、持分がなくなるわけではありません。

Q28
【質問1】
代取が代取の職だけを辞めて平取になりたい意思の場合、
それを決議する取締役会において、その代取自身は出席し、議決権を
行使してもよいですか?

新・会社法100問〔第2版〕のP342~P346 「60 代表取締役の解職
と特別利害関係」は、本人の意に反して解職される場合を前提にし
たものと理解していますが、本人の意思による辞任の場合は特別利害
関係はないとして問題ないでしょうか?
A28
辞任には、取締役会の決議は不要です。
とすると、辞職承認の取締役会は、儀式ですから、あまり五月蠅いことはいわなくていいような気がします。

Q29
P345 ComprehensionTest697には、
代取の職を意に反して剥奪される・・・解職
代取の職を自らやめる・・・辞任
という記述がありますが、辞任について、代取職だけをやめるときも取締役
自体をやめるときも同じ「辞任」という語を使うのが一般的なのでしょうか?
代取職だけをやめるときは「辞職」と使い分けたほうが分かりやすいという
判断で、取締役会議事録に「辞職」という語を使用しても問題ないでしょうか?

委「任」関係自体を解消したい・・・辞任
代取の「職」を辞したい・・・辞職

市販の議事録集などは横並びで物足りず、先生に質問させていただきました。
おいそがしいところかと思いますが、何卒よろしくおねがいいたします
投稿 取締役会事務局 | 2007年3月14日 (水) 00時27分
A29
議事録の用語は、どちらを使ってもいいと思います。

Q30
資本金の額の減少と債権者保護手続について質問させていただきます。
会社法447条3項の株式の発行と同時に資本金の額を減少する場合に、資本金の増加額が減少額を下回らない場合は、取締役会の決議で資本金の額の減少決議が可能となっていますが、その際、資本金の減資の効力発生日前後で資本金の額は減少していないため債権者保護手続は必要ないのではないかと思うのですが、やはり本条は決議機関に関する特則であって債権者保護手続に関しては会社法449条に規定が無い限り必要であると考えたほうがよいのでしょうか?
お忙しいところかと思いますが、よろしくお願いします。
投稿 クルミ | 2007年3月14日 (水) 14時11分
A30
債権者保護手続きは必要です。
通常ならば、株式を発行すれば、資本金が増加するのですから。

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2007年3月 8日 (木)

監査役会監査報告等についての質問

 3月は、年度末で忙しく、本業が手一杯で、入門編を書く時間が取れません。
 申し訳ありませんが、本日は、質問コーナーだけにさせていただきます。

(質問コーナー)
Q1
 社外取締役候補者の定義(施行規則2条3項7号)について教えてください。
取締役に就任後も会社法2条1項15号の社外取締役の要件を満たすこととなるものの、 施行規則2条3項7号の「社外取締役候補者」の要件に該当しないため(選任の時点では、今後その者を社外取締役として開示する「予定」もないし、会社法425条1項1号の社外取締役とする「予定」もありません。)、株主総会参考書類には、社外取締役候補者の追加記載事項(施行規則74条4項)を記載しなかった場合の話です。
 例えばこのケースで、当該取締役に会社法423条1項の責任が生じたので、責任の一部免除をしようと考えました。このときに、会社法425条1項の最低責任限度額を算定する際に、同項1号ハの「社外取締役」(報酬等2年分)として算定することは可能なのでしょうか?選任する段階では、そのような責任が生じることも想定しておりませんでしたし、責任免除することも「予定」しておりませんでしたので、社外取締役候補者の追加記載は行いませんでした。しかし就任後に、そのような責任が生じてしまい、責任免除をしようとしたときに、その者を「社外取締役」として扱えるかどうかということです(もちろん、施行規則2条3項7号の要件は継続して満たしてます)。「予定」はあくまで「予定」なので、実際に「予定」が変わることもあるのかなと思いました。
投稿 ここりこ | 2007年3月 4日 (日) 23時28分
A1
できないことはないですが、非難はされるでしょう。
場合によっては、故意に開示しなかったとして、賠償責任を問われるかもしれませんね。

Q2
本日のA1についてフォローの質問をお許し下さい。
>「監査報告の作成」を監査役会の権限とする以上、その内容の意思決定は、決議で決めるしかなく、決議の省略が認められないならば、開催して決議する必要があります。
とのことですが、それでは何故、省令に「決議をもって定める」と端的に明記していないのでしょう。監査委員会については、「決議をもって定め」とあります(施行規則131Ⅱ、計算規則157Ⅱ)が、監査役会については「審議」とあります(しかも、単に「審議しなければならない」とあるのみで、「・・・をもって定めなければならない」とはありません。施行規則130Ⅲ、計算規則156Ⅲ)。これを普通に読む限り、監査役会の監査報告は、「決議をもって定める」必要はないと理解するしかないのです。

恐縮ですが、理論上のみならず、実務上も大変重要なポイントですので、上記省令の解釈も含めて、再度「法的根拠」を明らかにして頂きたく存じます。
(サミーさんご指摘の「法的根拠」は旧商法下であれば全くそのとおりと理解できるのでが、会社法下では、サミーさんのご説明では、上記省令が整合的に理解できません。)
投稿 ぽっぽー | 2007年3月 4日 (日) 23時31分
A2
会社法の下での法的根拠は、この前、お話ししたとおりです。
その点について、旧商法から変わってはいません。
ぽっぽーさんの立場に立った場合、監査役会という会議体の意思決定をどのように方法で行うのでしょうか。
監査役会の決議の省略ができないことを前提に、どのように意思決定をするのかの法的根拠を示すことができるのでしょうか?
施行規則等は、監査報告という書面の作り方や会議の仕方について規定していると考えた方が無難でしょう。
ちなみに、この問題は、実務上、ちっとも重要ではありません。
実務家の中には、「1度も監査役会を開催しないですむようにしたい」という良からぬことを考えている人もいるようなので、監査役は、社外監査役を含め、監査役会にきちんと出席しなければならないという前提で実務を構築してください。

Q3
2007年3月 4日 (日)の(質問コーナー)A7で
回答を頂いたものです。
 いつも僕の質問に答えてくださってありがとうございます。
 一つ確認させてください。
>A7
> 組織変更は、単に組織変更ですから、債権債務関係に何の変>更も生じません。
 
 これは承継する権利義務がないから、効力発生後の情報開示(事後開示)をする必要がないという意味でしょうか?
投稿 maru | 2007年3月 5日 (月) 00時04分
A3
そうですね。

Q4
会社法施行規則121条6号とについてご教示ください。
①平成18年6月定時株主総会で辞任した監査役がいた場合、平成19年3月期の  事業報告では、その氏名(会社法施行規則121条6号イ)は記載対象となりま
  すか?
②他の監査役の意見があったときはその意見(会社法施行規則121条6号ロ)は
  平成19年3月期の事業報告の記載対象になりますか?
③辞任した監査役に辞任理由があり、その理由が平成19年の事業報告作成に  間に合うように文書等で通知された場合は事業報告の記載対象になります
  か?
会社法施行規則119条括弧書との関係から記載対象外と考えればよいのでしょうか?
それとも、辞任理由等によっては、会社法施行規則118条1号として記載することになるのでしょうか?
投稿 四苦八苦 | 2007年3月 5日 (月) 02時21分
A4
① なりません。
② ①の監査役の話でしょうか。だとすると、ならないでしょうね。
③ 原則として、ならないでしょう。
ただ、辞任理由等が「重要な事項」であれば、事業報告に記載しなければならない場合もあると思います。

Q5
サミー先生、新株予約権の差別的行使条件についてご教授願います。
買収防衛策の検討をしているのですが、
新株予約権の差別的行使条件を、
①「議決権ベースで20%以上持ってる者は行使できません」とするのと、
②「役会で定める大量買付開始前に求める手続(情報提供など)に
従ってくれない者(かつ議決権ベースで20%以上持ってる者)は行使できません」とするのとでは、
友好的に20%超を持ってる者が、新株予約権を行使できるか否かで
異なってくると思われるのですが、②のような定め方でも、
著しく不公正とは評価されないでしょうか?
裁判所の判断事項だとは思いますが、
感覚でも結構ですので、ご回答いただければ幸甚です。
投稿 防衛担当新人 | 2007年3月 5日 (月) 10時29分
A5
私は、著しく不公正とは思いませんが、手続き自体が不公正であったりすると、まずいでしょうね。
また、すでに20%もっている人がいる場合も、まずいでしょう。

Q6
 株式会社における決算及び株主総会の日程のチェック表を作ろうとしていて疑問が生じました。
 定時株主総会の開催日は、一番遅い場合は基準日の規定(会社法124条1項、2項)に従い期末日から3ヶ月後になると思います。もし3ヵ月後の日が日曜日や祝日に該当すれば民法142条により、翌日に満了ということになりますか? 民法142条でいう「その日に取引をしない慣習」はどのように判断するのですか?昨今は株主の便宜を考えて総会を日曜日に開催する会社もあるのではないかと思われますが、「その日に取引をしない慣習」の有無は当該企業のみを考えて判断すればよいのですか?また、「取引」とは営業取引ではなく、総会を開く慣習と考えればよいのでしょうか?

民法第百四十二条  期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律 (昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間は、その翌日に満了する。
投稿 SHU | 2007年3月 5日 (月) 10時55分
A6
日曜日でも、翌日にはならないでしょう。

Q7
取締役が株式の割り当てを受けて払い込みをなす際に、会社から払い込みのための金銭の貸付を受けることは、取締役会の承認さへ受けていれば問題ないのでしょうか。(株式の割り当て・金銭の貸付を受ける取締役が多数で、役員間が親密であることから、役会の承認を受けることが確実であるという事情がございます)

株式の発行手続き・貸付の結果としての任務懈怠責任などの問題は取捨てて、上記の貸付自体には問題が無いのかご教授ください。
宜しくお願いいたします。

投稿 しゅうまい | 2007年3月 5日 (月) 22時41分
A7
貸し付けは、利益相反取引にあたるので、無過失責任は問われるでしょうが、それ自体は、特に問題はありません。
もっとも、見せ金のにおいがするので、下手すると、公正証書原本不実記載罪等に問われるかも知れません。

Q8
 定款の変更による持分会社の種類の変更について質問させてください。
 
 株式会社の組織変更の効力は 効力発生日に生じます(745条1項)また、特例有限会社の株式会社への商号変更は 登記をする事によってその効力を生じます(整備法45条2項)
 それでは、定款の変更による持分会社の種類の変更は いつ効力を生じるのでしょうか?定款の変更が効力を発生した日と考えて良いですか? 

投稿 maru | 2007年3月 6日 (火) 01時09分
A9
 効力発生日です。

Q9
社団法人日本監査役協会の策定・公表する「監査役監査基準」というのは、事実上の指針でしかなく、いかなる意味においても法的な効力を持つものではないと思っておりますが、そういう理解で宜しいでしょうか。
投稿 cancer | 2007年3月 6日 (火) 07時39分
A9
特に法的な効力はありません。

Q10
239条の例外を使えばストックオプションの件は
総会で決議しなくてもいいということにならないのでしょうか?
A10
委任そのものは、総会で決議されているのでしょうか?
また、取締役に対するストックオプションならば、総会における報酬決議が必要です。

Q11
そもそも「募集」という概念が取締役と従業員以外を指しており、236条を採用するしかないという事なのでしょうか?
A11
取締役と従業員が相手でも募集です。

Q12
236条2項で、価額(行使価格)または算定方法となっておりますので、どちらかを選択して記載すればよいということなのでしょうか。
ちなみに、ここでいう算定方法とは
(1)純資産方式(2)類似会社比準方式、等を指していますか?
投稿 idhiro | 2007年3月 6日 (火) 14時52分
A12
どちらか一つで結構です。
算定方式は、客観的な価格が決まるものならば、なんでもいいです。

Q13
買収合戦花盛りの今日、
経営者が適切な買収防衛策を導入しないことによる
善管注意義務違反を問われる可能性があるのでしょうか?
投稿 防衛担当新人 | 2007年3月 6日 (火) 16時34分
A13
普通は、そんな可能性はないでしょう。

Q14
会社法202条3項の読み方について質問致します。
同項柱書きによりますと、「・・・次の各号の区分に応じ、当該各号に定める方法によって定めなければならない。」とあります。そして、同項3号には、「当該募集事項及び第1項各号に掲げる事項を取締役会の決議によって定めることができる旨の定款の定めがある場合(次号に掲げる場合を除く。) 取締役会」とあります。そうしますと、定款で、「取締役会の決議で定めることができる」という定めをしている場合、上記柱書きからしますと、必ず取締役会で決議しなければならないように読めるのですが、それでよろしいのでしょうか?定款で、単にできると定めているだけなので、株主総会で決議することは差し支えないように思うのですが、上記柱書きから、株主総会決議で定めることは許されないというのは不合理なように思うのですが?
投稿 もも | 2007年3月 6日 (火) 17時22分
A14
202条3項は、取締役会は定めることができるが、総会では定めることができないという通常のパターンを前提に規定したものでしょうから、定款の趣旨が、総会による定めを許すのならば、3項2号と4号が両方適用されると思います。

Q15
。会社法の世界で、取締役会の計算書類の承認と監査役の監査の順番が変更になりました。
そこで、素朴な疑問ですが、取締役会+監査役会の会社で、監査権限を会計監査に限定した中小会社において、剰余金の配当について再度、監査役の監査を受けて、適正意見をだされたものを、取締役会において、その金額を法令・定款に定める適法の範囲内で、増減し、監査役の監査をうけずに、そのまま、定時総会を開催することは可能なのでしょうか。投稿 bara3 | 2007年3月 7日 (水) 21時49分
A15
計算書類の問題だとすると、取締役会に修正権はありません。
取締役会で不承認になれば、取締役が計算書類を作成しなおし、再度、監査役の監査を受けて、もう一度、取締役会で承認するかどうかを決めます。

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2007年3月 4日 (日)

種類株式と株主割当(2)

入門の続きを書こうと思っていたら、
2月23日の「種類株式と株主割当て」について記事について、立案当時、株式を担当していた超美人弁護士から

 「種類株式発行会社において、202条の株主に株式の割当てを受ける権利を与える場合には、特定の種類株主にのみ、株式の割当てを受ける権利を与え、その他の株主には、与えないということもできることを前提に立案しました(プンプン)。」

という趣旨のお叱りのご意見を頂きました。

 私は、この方に叱られると、縮み上がってしまうので、もう一度、その問題についてお話ししたいと思います。

 さて、立案担当者の考え方を前提にすれば、199条1項の募集は
   常に1種類につき、1募集
という対応関係を守ることができるし、前回の記事で解釈により解決した
   199条5項
は、形式的にも問題にはならなくなりますので、非常にすっきりします。

 また、この考え方のように、割当てを受ける権利のない特定の種類株主が存在することを認めたとしても
   、その種類株主の利益は、322条の種類株主総会で守られる
から、実質的には、それほど問題はないとも思えます。

 でも、私は、前回の記事を書くとき
  もしかしたら、特定の種類株主にのみ割当てをすることも可能なのかもしれない
とは、思っていたものの
  本当にそこまで書いていいのか
と躊躇して、書くのを止めてしまいました。

 というのも、旧商法では、そのような株主割り当ては認められていなかったので、本当に、
  ①文言上、それが許されることが明確か
  ② 実質的にそれで問題がないのか
を検証しきれなかったからです。

 まず、文言としては、202条の「株主に」「株主に対し」という文言が気になりました。

 仮に、特定の種類株主にのみ与えることを書くならば、
  「株主(種類株式発行会社にあっては、種類株主)」と書く方が明確かなあ。
   それなのに、そう書いていないのは、なぜだろう
という点ですね。

 この疑問に対しては、次の答えが考えられます。

「  会社法202条1項は、「199条1項の募集において」と定めているので、199条1項の募集の特例を定めている。
  199条1項1号の募集は種類ごとにすることとされており、かつ、202条1項1号括弧書きでは、「当該株主の有する種類の株式と同一の種類のもの」しかこの手続で割り当てられないから、この2つを合わせて考えれば、202条1項は、A種株主にA種株式の割当てを受ける権利のみを与える場合のみを規定している。
 とすると、種類株主も「株主」に該当する以上、ここの「株主」は「種類株主」のことを意味する。」

これは、これで解釈としては成り立ちますが、反論として考えられるのは
  199条1項は、1募集で数種類の株式を募集することを排斥していると言えるのか。
  仮に1種類1募集だとしても、202条1項は、種類の数だけ募集する場合を想定したものであり、そう考えたとしても「199条1項の募集において」という文言と矛盾しない。
ということになるでしょうか。

 いずれにしても、文言だけなら、どちらもありうる解釈論かなあとも思います。

 次に、実質論として
  特定の種類株主にのみ株式を割り当てる権利を与えることを認めて良いか
という点ですが、私が、気になったのは、もしこれを肯定すると

  202条4項の募集事項の通知が、割当てを受ける種類株主にしか、通知されず、その他の種類株主には、募集事項が公示されない。

という立て付けになってしまうことです。
 
 公開会社における201条3項の通知は、判例上、株主に差し止めをする機会を与える公示として重視されており、これを欠く場合には、株式を発行しても無効事由になるとされています。

 ところが、株主割り当ての場合には、201条3項が適用除外されるので、株主への通知は、202条4項によってのみ行われます。

 とすると、特定の種類株主にしか募集事項の通知がされない場合、
   他の種類株主の差し止めの機会は、どのように確保するのだろうか
というところが、乗り越えるべきハードルのように思います。

 201条3項が適用されないのは、公開会社における有利発行の場合も同じであり、この場合には、募集の決議として、株主総会の特別決議が必要なので、総会の招集通知により、差し止めの機会が与えられます。

 とすると、1つの考え方としては
  割当てを受けない種類株主については、種類株主総会の招集通知がされるから、差し止めの機会が与えられている。
ということができそうです。

 ただし、有利発行の場合には、
  必ず株主総会を開かなければならず、通知も全株主に行われます

 が、種類株主総会は
  「ある種類の株式の種類株主に損害を及ぼすおそれがあるとき」
に限って開催されますから、必ずしも、全株主に通知がされるとは限りません。

 結局、実質論としては、
  特定の種類株主に、損害を及ぼすおそれがない場合に、その種類株主に差し止め請求権を認めるか。
ということについて、どう考えるかがポイントになってきますが、この点については、株式発行の差し止め請求権は、
  「株主が不利益を受けるおそれがあるとき」
に認められる権利ですから、特定の種類株主に損害を及ぼすおそれがないのならば、その種類株主には、差し止め請求権は認められず、したがって、差し止めの機会を与える必要もないと考えれば、十分のような気がします。
 
 もちろん、株式発行の差し止め請求権を、
  「他の株主」が不利益を受けるおそれがあるときにも、行使することができる
と考えれば、
  202条4項の通知の範囲は狭すぎる
ということになるでしょうが、そこまで考えなくてもいいのかなあとも思います。

 なお、種類株主に損害を及ぼすおそれがあるにもかかわらず、種類株主総会を開催せずに、種類株式を発行したら、これは株式発行の無効事由になるので、種類株主の保護は図れると考えるべきなのでしょう。

  有利発行決議が無効であったとしても、無効事由にならないという判例との整合性は考える必要があるかもしれませんが、第322条が「その効力を生じない」と規定している以上、種類株主総会の欠缺は、無効事由と考えるしかないように思います。

 以上のように、超美人弁護士のおっしゃるように
  特定の種類株主にのみ株式の割当てを受ける権利を与えること
は、許されてよいように思いますが、

  株券不発行会社では、株式発行無効の訴えにおいて、どの株式が無効になるのかを特定しないと、訴えそのものができない可能性があるので、種類株主総会だけで保護としては十分であり、差し止めの機会を設けなくてよいか

という怖さもあり、若干、調整しなければならない気がします。

(質問コーナー)
Q1
監査報告に関する1月30日Q20・A20および2月20日Q11・A12(なぜか番号がずれている)について、しつこくなりますが、お尋ねします。
「監査役会においては、各監査役が作成した監査報告を取りまとめる形で、監査役会としての監査報告を作成することとなる。監査報告の最終的な決定は、持ち回り決議等適宜の方法で行うことも妨げられないが、1回は現実に監査役会を開催する方法(情報の送受信による意見交換を含む)により、監査役会監査報告の内容を審議しなければならない」(商事法務No.1766 p68 相澤哲・和久友子)。
一方、「監査委員会は委員会の職務として監査を行うこととなるため、監査報告も監査委員会の決議をもって定める必要がある」(同)。
以上のように記されているが、1月30日A20の「監査役会で監査報告の内容を決議する必要があります」とのご回答について、監査役会監査報告の最終的な決定には監査役会の決議を法的に絶対必要とするのか? 「会社法では、監査報告の内容についてのみ規律を設け、監査報告書の作成・提供方法については特に規制を設けていない。これらは会社の内部的な手続きにすぎないため、当事者間で合理的にその方法等を定めれば足りるものと考えられるためである」(商事法務同 p61)と記されているので、監査役会としての監査報告という重要事項については、内部手続きの合理的判断として、監査役会決議という形をとるのである、という解釈でよろしいでしょうか(もし監査役会決議が法的に必要というのであれば、その根拠は何でしょうか? 2月20日A12①に書かれた条文は、具体的に監査報告は監査役会で決議する必要があると定めるものではないと思いますが)。
投稿 きんた | 2007年2月27日 (火) 22時30分
A1
 監査役会というのは、監査役の単なる集まりではなく、会議体ですから、「監査報告の作成」を監査役会の権限とする以上、その内容の意思決定は、決議で決めるしかなく、決議の省略が認められないならば、開催して決議する必要があります。
 それが法的根拠です。

Q2
現在、新株予約権の行使の場面における払い込みの取扱いの場所の変更について悩んでおりまして、お教えいただけますと助かります。
旧商法下においては、発行時(申込証記載事項)に定めた払込取扱機関の変更は裁判所の許可が必要でしたが、会社法になってから、旧商法178条や280条の37④に該す当する条文が見当たりません。会社法における新株予約権については、当該払込取扱場所の変更について裁判所の許可は不要であると理解してよろしいのでしょうか。また、旧商法下において発行した新株予約権については、整備法でなお従前の例とすることとされていないようですので、整備法112条2項の適用はなく、こちらも変更に際して裁判所の許可は不要と考えますが、よろしいのでしょうか。
お忙しいところ誠に恐縮ですが、どうぞよろしくお願いいたします。
投稿 博多っ子 | 2007年2月28日 (水) 12時35分
A2
そのとおりです。

Q3
本日は、①株式、②新株予約権、③CB及び④社債について、
発行要項に定める、一部取得の決定方法についてご質問致します。
(1)以下の理解で正しいのでしょうか?
①株式
一部取得の決定方法については、株主平等の原則から、抽選等公平な方法によらねばならない。
②新株予約権、③CB、④社債
あくまで債権なので(cf.したがって、取得手続に規制がない:千問の道標Q343)、必ずしも抽選等公平な方法による必要は無い。
(2)上記の理解であれば、②③④については、
例えば、
・「保有継続期間が長期である人から取得」、
・「Aさん→Bさん→Cさんという順番」等定めることは可能なのでしょうか。
さらに進んで、
・「会社が別途指定する者」と定めることも可能なのでしょうか。
株式と異なり(←株主平等原則が働かない)、別途合意すれば、新株予約権、」

B、社債いずれも合意による買い入れが可能であることから考えれば、
要項上定めることも、可能だと思うのですが・・・。
投稿 かおるん | 2007年2月28日 (水) 15時17分
A3
 最初から一部取得の方法を定める場合であれば、どう定めてもいいでしょう。
 ただ、「会社が別途指定する者」だと意味が分からないかもしれませんね。

Q4
公開会社においては,取締役の任期を伸長することはできないとされています。では,公開会社において,定款で「当会社の取締役の任期は2年とする」と定めることは,場合によっては法定任期(会社法322条1項本文)よりも長くなりますが,可能でしょうか。可能と解する場合には,当該定款規定は,法定任期よりも任期が短くなるケースのみならず,長くなるケースにも適用されると解してよろしいのでしょうか。
投稿 パケット | 2007年2月28日 (水) 21時10分
A4
 長くなるのは駄目です。

Q5
P.317のNo.627で、

 委員会設置会社に必ず置かなければならない機関は、
 株主総会、取締役、取締役会、委員会だけである。

 会計監査人も置かなければならない。
とありますが、
 ・執行役は機関ではないのか。
 ・取締役会を設置した場合、取締役は機関ではないのではないか。 
の点について、回答をお願いします。
投稿 受験生 | 2007年3月 1日 (木) 10時40分
A5
 執行役は、機関ではありません。
 取締役会を設置しても、取締役は機関です。
 「機関」の定義を何かすれば、別の答えはありえますが、会社法の文言上は、そのように整理しています。

Q6
反対株主による株式買取請求の効力発生について質問させてください。
 吸収合併存続会社の反対株主による株式の買取は、代金支払いの時 その効力を生じます(798条5項)
 これは理解できるのですが、吸収合併消滅会社の反対株主による株式の買取が、吸収合併の効力発生日に効力を生じたり(786条5項)、新設合併の場合には、設立会社の成立の日に効力を生じる(807条5項)の何故ですか?
投稿 maru | 2007年3月 1日 (木) 16時19分
A6
 吸収合併消滅会社は効力発生日に法人格が消滅するからです。
 新設合併は、成立の日に効力が生ずるからです。

Q7
持分会社が株式会社に組織変更をした場合、効力発生後の情報開示(事後開示)がなされないのは何故ですか?
 株式会社から持分会社に組織変更した場合、事後開示がなされないのは、持分会社に情報開示を要求していない法の流れから見て理解できます。
 しかし、持分会社が株式会社に組織変更をした場合、株式会社に情報開示を要求している法の流れから見て 事後開示がなされないのは 何故なのだろうと思ってしまいます
投稿 maru | 2007年3月 1日 (木) 16時20分
A7
 組織変更は、単に組織変更ですから、債権債務関係に何の変更も生じません。

Q8
会社法施行規則第124条第7号によると、「社外役員が・・当該株式会社の親会社・・・から・・役員としての報酬等を受けているときは、当該報酬等の総額」を事業報告に開示することとなっています。
公開子会社の社外監査役に当社執行役員が就任した場合に、当該執行役員の「報酬」は開示対象になるのでしょうか?
ポイントは、執行役員が「役員」に該当するかどうか ということになり、「役員」
の定義は会社法施行規則第2条第3項第3号により「取締役、会計参与、監査役、執行役、理事、監事その他これらに準じる者をいう。」とあります。
「準じる者」が何を指しているかですが、「理事、監事」が例示されていることか
ら、株式会社以外の団体で、これら例示の役職に相当するものを指している という考え方と、株式会社であって取締役に準じる者(すなわち執行役員)も含む という考え方と どちらも不可能ではなさそうです。
会社法の趣旨からは、これは前者をとるべき すなわち、執行役員は該当しないと考えてよいように思いますが、いかがでしょうか。

投稿 S.O. | 2007年3月 1日 (木) 16時56分
A8
執行役員は、役員ではありませんから、開示は不要です。

Q9
908条1項と354条の関係の論点は良く見るのですが、908条2項と354条についての記述が手持ち資料にありません。
72問の問題1のような場合908条2項で処理するもは当然としても、354は無関係なのか、という疑問です。
要件の明確な908で処理可能なので、表見規定など問題にするまでもない、という理解でよろしいでしょうか?
投稿 マーキュリー | 2007年3月 1日 (木) 18時41分
A9
表見代表取締役は、代表権の欠缺を治癒し、会社に契約の効果を帰属させるための規定です。
 取締役の第三者に対する責任とは、なんの関係もありません。

Q10
いわゆる,初学者です。以下の問題について,私の回答考えは正しいですか?
(ABとも取締役会設置会社)A社の建物をB社が買う取引にて
  A株式会社(代取Q,平取P)―――B株式会社(代取P,平取R)
     建物

 ⅰ)A社をQが代表し,B社をPが代表して取引:A社の取締役会の承認必要
    *A社の「取締役」であるPが,自らがB社の代表取締役として(「第三者     のために」),A「会社」を相手に行う取引であるから,A社にとって利益相     反取引(356条1項)に該当し,A社の取締役会の承認が必要となる。
 ⅱ)A社をQが代表し,B社をRが代理して取引 :両会社とも承認不要
   *契約当事者間に,「自己のため」「第三者のため」という関係が無い
 ⅲ)A社をPが代理し,B社をPが代表して取引 :AB社とも役会の承認必要
   *契約当事者間が自己契約・双方代理に該当し,356条2項が適用
 ⅳ)A社をPが代理し,B社をRが代理して取引 :A社の取締役会の承認必要
   *B社の「取締役」であるPが,自らがA社を代理して(「第三者のため」),     B「会社」を相手に行う取引であるから,A社にとって利益相反取引(356条    1項)に該当し,A社の取締役会の承認が必要となる。
   *B社を代理するRは,契約当事者の相手方であるA社の役員等ではない    ため,B社にとっては,利益相反取引とならず取締役会の承認不要。
以上です。全国の未修者が共通に悩む問題です。解説教授お願いいたします。
投稿 会社法超初心者 | 2007年3月 1日 (木) 21時43分
A10
i) 正
ii) 正(但し、Rが実質的に関わったら駄目)
iii) 正
iv) B社の取締役会が必要

Q11
 取締役会設置会社にて,A株式会社(代取P)とB株式会社(代取Pと代取Q)すなわちAB会社の代取をPが兼任している場合,A社を代表した代取PとB社を代表した代取Qとの取引の場合,取締役会の承認は,B社のみに必要なのでしょうか?
投稿 会社法超初心者2 | 2007年3月 1日 (木) 21時58分
A11
 そうです。

Q12
裁判所が一時代表取締役職務代行者を選任する際,
①代行者の任期についても裁判所が定めるのでしょうか。
②また,選任を申し立てた者が誰かを推薦した場合,どの程度裁判所は斟酌するのでしょうか。
A12
 仮代表取締役には、任期は、特にないです。
 裁判所が誰を選ぶかは、裁判所の裁量で、どの程度斟酌するかは誰にも分かりません。

Q13
 348条2項は,「株式会社の業務は・・・取締役の過半数をもって決定する」と定めていますが,ここにいう『取締役』とは,定款で定められた取締役の員数なのでしょうか,それとも現実に存在している取締役の員数なのでしょうか。
 例えば,定款で取締役を4名とするとの定めがある非取締役会設置会社において(代表取締役の定めはないものとする),2名の取締役が事故で死亡したというケースで,残りの2名では「2名/4名」だから過半数要件を満たさず業務決定不能と考えるのか,「2名/2名」だから過半数要件を満たし業務決定可能と考えるのか,どちらが正しいのでしょうか。

投稿 法学徒 | 2007年3月 1日 (木) 22時52分
A13
 現実に存在している取締役の員数です。

Q14
「会計監査人の解任又は不再任の決定の方針」(施行規則126条4号)についてお教えください。
この方針は,
(1)監査役が決定する解任(会社法340条)
(2)監査役が決定する解任・不再任の総会目的の同意(同344条1項)
(3)監査役が決定する解任・不再任の総会目的の請求(同条2項)
に際しての方針ということでしょうか。
それとも,(1)~(3)だけではなく,(2)に先立って決定される
(4)取締役が決定する解任・不再任の総会目的
に際しての方針も含まれるでしょうか。
(2)と(4)は,それぞれ独自の機関が再任・不再任の是非を決定していることから,(4)の方針も,事業報告の記載内容とするべきと考えます。
いかがでしょうか。
投稿 悩める使用人 | 2007年3月 2日 (金) 00時45分
A14
 全て含まれます。

Q15
 382条に関する質問に回答いただき、有難うございました。
「著しく不当な事実」は、法令・定款に違反しないが、著しく不当な場合とのことですが、不当とは道理に合わないことですから、明らかに合理的でない経営判断も含まれると理解されます。そうすると、監査役の監査は妥当性にも及ぶと考えられますが、如何でしょうか?
 又、再確認したいのですが、「法令若しくは定款に違反する事実若しくは著しく不当な事実があると認めるとき」には「おそれのある」場合も含まれているとのことでよろしいいのですね。
投稿 監査役初心者 | 2007年3月 2日 (金) 10時09分
A15
 監査役の監査は、妥当性には及びません。
 しかし、著しく不当な場合には、善管注意義務違反として法令違反になる場合があるので、グレーゾーンについて法令違反があるかどうかを監査することはできます。
 「おそれのある」場合は含まれていませんが、そのような行為が行われるおそれがあるような徴表があれば、それ自体が、著しく不当な事実がある場合がほとんどでしょう。

Q16
会社と個別の株主(被相続人)との間で生前に、「相続が発生した場合は1株50万円で会社は被相続人が所有していた株式を取得できる」旨の契約書を締結することは、会社法177条(売買価格の決定)との関係で可能でしょうか?177条では売買価格は相続人との協議または裁判所への価格決定の申し立ての手続きが規定されていますが、上記の契約がある場合には、被相続人が締結した契約価格が優先するという考え方でよろしいのでしょうか?それとも相続人はその価格(50万円)は無効との立場をとることができるのでしょうか?
投稿 KIRABO | 2007年3月 2日 (金) 18時34分
A16
契約をすることはできるでしょうが、協議が優先しますので、その契約は、あまり意味はないですね。

Q17
 いつも楽しく拝見しております。新司法試験プレテストの問題で恐縮ですが、ご教授ください。
 百問(2版)427頁では、名目取締役Fの任務懈怠行為とAの損害との間に相当因果関係はない可能性が指摘されています。これと監視義務との関係で悩んでいます。
 名目取締役とはいえ監視義務はあるのであり、監視義務を尽くしていればY銀行の杜撰なシステムに気付けたと言えるのではないかと思います。というか、この事例においてFの責任を肯定しないと、名目取締役に対する責任追及をすることができる事例というのが相当に限られてしまうように思います。
 本事例で相当因果関係を肯定するのは、実務的感覚からはずれるのでしょうか。また、理論構成はさておくとして、Fの損害賠償責任を肯定するという結論は、実務的感覚からはずれるのでしょうか。
投稿 秘密結社 | 2007年3月 4日 (日) 08時48分
A17
 名目取締役かどうかが重要なのではなく、監視義務の射程を考えるときに、
  ○○という監視行為をしていれば、その損害は生じなかった。
という条件関係を、自分の中で思い描き、それが当該取締役の職務権限の中でできたことかどうかを考えれば、自ずと責任の範囲は限定されます。
 「実務」は証拠によって事実認定しますから、この問題の結論をどちらにとるかは、「実務的感覚からはずれる」かどうかとは、別問題でしょう。

Q18
私はある会社で総務を担当しておりますが、
弊社の子会社において、昨夏に取締役会も監査役も廃止した会社が
ございますが、それを復活させようと考えております。
そのときに問題なのですが、例えば3月に臨時総会を開催して、
取締役会も監査役も置く旨を定款に定める旨の変更決議をし、
その効力を4月1日から発生させたいのです。決議と同時に、
監査役を選任し、就任承諾をもらいます。

1、監査役を置く旨を4月1日に効力発生させるということは、
 監査役を置く旨の規程がない状態ですが、監査役を選任し、
 就任承諾をもらうという行為は可能なのでしょうか?
2、取締役は1名のみで、代表取締役であります。
 取締役会を置く場合に、2名就任して、3名にしますが、
 代表取締役の代表権は、一度なくなりますでしょうか?
 (就任後に取締役会を開かなければなりませんか?)
3、2の場合で、取締役会を開かなければならないとしたら、
 それは4月1日以降にしか開けませんか?
投稿 総務部 | 2007年3月 4日 (日) 15時26分
A18
1 事前の就任承諾は可能です。
2 就任後に取締役会を開催して代表取締役を選定しなければなりません。
  ただし、代表取締役を選定するまでは、旧代表取締役に代表権があります。
3 4月1日以降にしか、取締役会は存在しないので、4月1日以降しか開催できません。

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