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2007年3月27日 (火)

【入門】株主平等の原則(3)

今回は、株主平等の原則を定めた109条1項の
 「その有する株式の内容及び数に応じて」
の意味を探りましょう。

 旧商法の時代は、株主平等の原則は
   保有株式数に応じて比例的な取扱いをする原則
と考えられていましたから
   株式の内容が異なる株式(種類株式)について比例的な取扱いをしないこと
は、
  株主平等の原則の「例外」
と言われていました。

 しかし、109条1項は
   「株式の内容に応じて」取り扱わなければならない
旨定めているので、種類株式について比例的な取扱いをしないことは、
  株主平等の原則の「例外」ではなく、原則そのもの
になったということができます。

 また、「数に応じて」という文言についても、必ずしも、比例的な取扱いを意味するのではなく、「株主の個性に着目してはいけない」という趣旨であるということは、すでにお話ししたとおりです。

1項は、言い換えれば、、109条2項の「株主ごとに異なる取扱い」をすることはできないということを意味しているのです。

 なお、この「株主ごとに異なる取扱い」の意味は、
   創業者、代表者、相続人など株式の保有数とは無関係の事情
に基づく取扱いを意味します。

 学説の中には、例えば
   総議決権の20%以上の株式を保有する株主
という属性で区別することも、「株主ごとに異なる取扱い」であるという見解もあります。
 株主平等の原則を、従来のように、比例的な取扱いを求めるものだと考えれば
   比例的でない取扱いは、すべて株主ごとに異なる取扱いになる
という考えにいきつくのが自然なのでしょう。

 しかし、109条1項が、比例的な取扱いを強制する原則であるとすれば、議決権や配当等について、わざわざ比例的な取扱いを強制する規定を設けていることをうまく説明することができません(個別規定は、確認的なものと解釈するのでしょうか?)。
 また、会社法上、比例的な取扱いをしない制度(単元株式数、現物配当における基準株式数等)について
   109条1項を適用除外した文言(「第百九条第一項の規定にかかわらず」)がない
ということも不自然です。現代の立法は、適用除外規定については、相当シビアな検討を行っていて、たまに失敗することもないとはいいませんが(汗)、会社法のいたるところに散らばっている「比例的な取扱いをしていない制度」について、一切、適用除外の文言が入っていないということは、それらの制度は
   109条1項の「例外」にはなっていない
ということを意味すると考えるべきです(109条2項だけは、「前項の規定にかかわらず」という文言がありますので、1項の例外です。)

 以上のように、条文構造を考えると、109条1項の「数に応じて」は、必ずしも、比例的な取扱いを意味しないと解するのが、ごく普通の解釈ですし、実際上も、109条1項が比例的な取扱いを強制するものだとすると、買収防衛策であるとか、株主優待制度であるとか、比例的な取扱いをしていないものが、軒並み、109条1項違反になってしまい、現実に支障が生じます。

 まあ、従来の考え方でも、「明文にない例外」を認めることで、実際上の不都合を回避してきたわけですが
    実際に困るから、明文にないけど、例外的に認める
という論理は
    超論理・超科学
であって美しくありませんし、「どこまで例外が認められるか」という限界も不明確になります。

 そういうことを考えて、109条1項は、株主の無個性化のみを原則化し、比例的取扱いの強制まで踏み込んでいないのですから、
   一定の数以上の株式を保有する株主にのみ異なる取扱いをすること
は、109条1項に違反しないと考えるべきであり、そうすると、109条1項の例外を認める2項の「株主ごとに異なる取扱い」にも該当しないと考えないと理屈にあいません。

 本日は、条文操作ばかりで、つまんなくて、申し訳ありません。
 条文の文言と構造から、ある規定の文言の意味と適用範囲を明確にすることは、法律家の基礎なので、何事も勉強だと思って、我慢してくださいね。

(質問コーナー)
Q1
345条4項・2項・3項の辞任監査役の意見陳述権について
辞任した監査役につき辞任後最初に招集される総会における辞任した旨およびその理由の陳述権が認められておりますが、319条の株主総会書面決議はこの「招集される総会」には該当しないと考えてよいのでしょうか。
すなわち、直近で新たな監査役選任の319条の書面決議を予定しており、実際に開催する株主総会は3ヶ月後の定時総会となってしまうという状況において、345条2項の辞任監査役への通知は、3ヶ月後の定時総会の招集について行なえば足りると考えればよいのでしょうか。
投稿 マナカナ本購入しました | 2007年3月23日 (金) 00時52分
A1
そうです。正確には、書面決議ではなく、決議の省略なのです。

Q2
取締役会設置会社、会計限定監査役設置会社、非公開会社、毎年1月1日から12月31日までの1年が事業年度、定款に「定時株主総会は、毎事業年度末日の翌日から3ヶ月以内に開催する」旨の定めがある会社において、
3月15日に計算書類およびその附属明細書を完成させて監査役に提出したものの、監査役が監査期間の短縮に同意せず、4週間めいいっぱい使って監査報告を作成しようとする場合には、どうするのが良いでしょうか。
1)監査報告の提出まで待って、取締役会で計算書類および附属明細書を承認し、監査報告を含めた総会招集通知を出す。定款の定めに違反する。
2)監査報告の定款を待たずに、3月23日までに取締役会で計算書類および附属明細書を承認し、監査報告を付けず、監査を受けたものとみなされた旨の記載もせずに、総会招集通知を出す。3月31日の総会で計算書類を承認する。監査役には総会後に監査報告を出してもらう。定款の定めに違反しないが、法に違反するかも。
3)その他。
1)では定款に違反していることが、2)では監査を受けていない計算書類を承認していることが、計算書類の有効な確定にどのように影響するのかよくわかりません。
監査役に早く監査報告を出してもらう以外の方法で、有効に計算書類を承認・確定するにはどうしたら良いでしょうか。
 上記事案が、監査役が2名いるうちの1名はすぐに監査報告を提出してくれるが、もう1名が上記事案のように言い張っているというものである場合、結論は変わりますでしょうか。
投稿 間に合わない | 2007年3月23日 (金) 09時35分
A2
1)招集手続きの定款違反ですから、決議取消事由になります。したがって、株主総会が計算書類を承認して確定しても、その承認決議が取り消される可能性があります。
2)監査を受けていない計算書類ですから、取締役会が承認しても、その承認は効力がありません。

結局、取締役が、3月15日に計算書類を監査役に提出したというのが、失敗です。
監査役が2名いるうちの1名はすぐに監査報告を提出してくれるが、もう1名が上記事案のように言い張っているというものである場合でも、結論は変わりません。

Q3
 まず、吸収合併、吸収分割、株式交換をする際、消滅株式会社等が新株予約権を発行しており、236条1項8号の定めをしていた場合、合併契約や分割契約などで存続株式会社等の新株予約権を交付しない(交付するとの定めを置かない)ことはできるのでしょうか。
もしできるとすると、そのような新株予約権者は、吸収合併の場合であれば787条1項1号により、吸収分割の場合であれば787条1項2号ロによって、新株予約権買取請求によって保護されるだけになると思われるのですが。
A3
236条1項8号の定めをしていても、存続株式会社等が新株予約権を交付しないという場合はありえます。

Q4
 消滅株式会社等の新株予約権について、236条1項8号の定めがなく、合併契約や分割契約において、存続株式会社等の新株予約権の交付についての定めがなかった場合、合併については新株予約権の買取請求ができるが、吸収分割においては買取請求はできない、との結論でよろしいですか。
投稿 ダダ ハナコ | 2007年3月23日 (金) 18時37分
A4
 そうです。

Q5
 199条4項につき教えてください。
 ①譲渡制限普通株式と②譲渡制限優先株の2種を発行している非公開会社で、普通株式につき追加発行の増資を予定した場合に、199条4項の優先株の種類株主総会は必要ですか。
 当初、私は、①も②も譲渡制限株式だから、①②の種類株主総会が必要だと考えましたが、種類株式ごとに募集を決定する会社法の立場からは、発行する種類の株式の種類株主総会という意味だと考え直しています。その種類の中の持分比率の維持を目的とした規定だとの思いです。
 同項の「当該種類の株式」の意味は、どちらでしょうか。
投稿 KE | 2007年3月25日 (日) 05時16分
A5
 設問の事例では、199条4項は、①普通株式についての種類株主総会です。

Q6
何故、会社法は445条1項により、資本金の額を原則として「払込み又は給付を
した財産の額」とするとしたのでしょうか?
「資産=負債」配当制限ラインではなく、「資産-資本金=負債」ラインにより、
債権者保護を充実させるため、設けられたのですが、何故その資本金の額は
原則として、「払込み又は給付をした財産の額」なのですか?
もちろん、その後の手続きで資本金の額の減少をすることができるので、
論理必然性は無いのですが、「原則」とした理由はなぜなのでしょう。
A6
 歴史がそうさせたのでしょう。
 詳しい説明は、過去ログを読んでください。

Q7
こんばんは。株主総会の招集についてお教えください。
招集通知の発出は原則総会の日の2週間前までであるが、非公開会社の場合は、書面による議決権の行使を定めていなければ1週間前まででよい(会社法299条)。これに関連して質問です。
①書面による議決権の行使を定めるというのは、定款で定めているか、あるいは総会招集を決議する取締役会において定めるということですか?
②書面による議決権の行使を定めず、議決権の代理行使を定款で定めている場合、その代理人は株主でなければならないと思いますが、株主が極めて少数で実際のところ決議事項について事前に全員から同意を得ている場合について。総会に株主が1人も出席しないとすると、委任状を託す代理人(株主)が出席しない総会で決議をすることはできないということになりますか?親会社なり誰か必ず1人は株主が出席し、これに他の株主が委任状を託す形を取る必要があることになりますか?
③定款で総会招集通知の発出を総会の1週間前までと定めている場合、当然のことながら、書面による議決権の行使を定めることはできないということになりますね?
投稿 きんた | 2007年3月26日 (月) 22時52分
A7
①総会招集の取締役会決議です。
②株主総会を開催する場合には、株主か、代理人が出席しないと、定足数を充たしません。
③「1週間前まで」という定款の定めが、どういう趣旨で定められたものかによって、異なるでしょうが、文言通りに受け取ると、書面による議決権の行使は、難しそうですね。

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コメント

今更ながらの質問で申し訳ありませんが・・

■株主総会に於いて
①株主である出席役員(取締役、監査役)は議決権を行使できるのでしょうか?株主としての権利行使と、取締役としての義務の履行は別物なので大丈夫のような気がしています。
②①が可能の場合、自らの選任決議は特別利害関係者として否定されますか?その場合、304条によるいわゆる緊急動議は提出できませんよね?(出来ないというか、しないのが普通?)
③また、①が否定される場合、取締役が議決権の過半数を有する場合には定足数が充足されないということでしょうか?

■取締役会において
④譲渡制限株式を、(代表)取締役が譲受する場合の譲渡承認は、当該取締役は、特別利害関係者としてその議決に加わることが出来ないということで宜しいでしょうか?

投稿: ネットくん | 2007年3月27日 (火) 13時05分

 屁理屈ばかりこねるようで恐縮ですが、ご教授ください。

① 313条に関してです。不統一行使ではなく、いわば一部行使は可能なのでしょうか。厳密に言えば、会社は一部行使を拒絶できるのでしょうか(3項の適用如何)。例えば、10株保有している株主が、7株分だけ賛成し、残り3株分は議決権行使しないようなケースです。

② 298条2項に関してです。「千人」の判定は、いつ行われるのでしょうか。基準日でしょうか。例えば、ある会社は普段は株主数が7~800人で推移していたのに、基準日にたまたま1000人を超えていたケースなどを考えると、扱いが分からなくなります。

 よろしくお願いいたします。

投稿: 探偵 | 2007年3月27日 (火) 14時11分

お世話になっています。
基本的な質問で恐縮ですが、事業報告についてお聞かせ下さい。
非公開会社の場合、施行規則118条1号で、「当該株式会社の状況に関する重要な事項」と定めてあり、千問のQ596では、「重要事項の判断は、第一次的には、業務執行者において行うこととなる。」とあります。
そうすると、非公開会社の場合、計算書類を作成する取締役が施行規則119条以下の公開会社の特則で定められた項目から適宜、重要と判断するものを選択し、取締役会で事業報告を承認すれば良いということでしょうか。
ただ、重要性の判断基準をどのように置くべきか、具体的な指針がなく、判断がつきかねており、漠然と非公開大会社の場合は、公開会社の特則と同等に、非公開小会社の場合は、かなり簡略化もOKと考えているのですが、問題はありませんでしょうか。
また、非公開会社の場合、社外役員がいても、「社外役員に関する記載事項」は不要ということでよろしいでしょうか。
以上、よろしくお願いいたします。

投稿: southalps | 2007年3月27日 (火) 15時49分

事業報告の記載についてお教えください。
連結計算書類作成会社が、会社法施行規則第120条に基づき「会社の現況に関する事項」を「企業集団の現況に関する事項」にしました。
事業報告における、それ以外の項目に関しても連結ベースで記載したいと考え、例えば「業務の適正を確保するための体制等の整備についての決議の内容の概要」について、その決議をしたグループ企業の決議内容を全て記載しようと考えたのですが、記載して差し支えないでしょうか?
それとも逆に、企業集団の現況について書いた以上、企業集団に関して全て記載するべきなのでしょうか?
恐れ入りますがよろしくお願いいたします。

投稿: VALUATION | 2007年3月27日 (火) 20時49分

はじめまして、いつも為になるお話ばかりで感心してブログを拝読させていただいています。

初のコメントで気が引けるのですが、会社法で義務付けられた、いわゆる「内部統制システムの構築の基本方針」について実務上の取扱いを悩むことがあり、お知恵を拝借したいと思い質問を書かせていただきます。
平成18年5月開催の取締役会で決議した方針は、事業報告にその決議の内容の概要を記載する必要があるわけですが、当該事業年度中に同方針の改正の決議をした場合はともかく、例えば次期の4月開催の取締役会で改正を決議した場合は事業報告にどのような記載をすべきか?ということで悩んでいます。

例えば、組織変更にともない改正が必要になった場合や不祥事の発生により方針の強化を図ることもあります。
事業報告への記載については、
1.平成18年5月の決議の内容の概要のみを記載
2.平成19年4月の決議の内容の概要のみを記載
3.平成18年5月の決議の内容の概要を記載のうえ、平成19年4月の決議の内容の概要は後発事象と捉え「その他企業集団の現況に関する重要な事項」として記載する
のいずれかの方法を採りえると考えていますが、いかがでしょうか?
ご教示のほどよろしくお願いします。

投稿: momo | 2007年3月28日 (水) 18時14分

いつも有難うございます。
上記のVALUATIONさんと同じく、事業報告を連結ベースで記載する
場合について質問です。
会社が「企業集団の現況に関する事項」とすることを選択した場合には、
施行規則第120条1項に列挙された事項は全て連結ベースで記載
しなければならないでしょうか。

具体的には、商法施行規則では連結ベースで記載できる事項とされて
いなかった主要な借入先・借入金の額等について、今後連結ベースで
記載するとしたら、従来の記載内容とかなり変化する可能性があり、
懸念しております。そこで、第120条1項に列挙された事項のうち、
この借入金の状況だけは単体ベース、というような選択的な記載ができ
ないものかと思うのですが、いかがでしょうか。

投稿: 丸坊主 | 2007年3月28日 (水) 20時57分

はじめまして。いつもブログを拝見し勉強させて戴いております。
わからない点があるのですが、教えていただけますでしょうか。
会社法234条、もしくは235条の端数の株式の処理ですが、端数を合計しても1株にも満たない場合について、どのように処理されるのでしょうか。
条文のとおり端数を切り捨てるということになると、対価は無しということになると思います。そうなると、支配株主以外が保有する株式は全て端数にしてしまうようなスキーム(全部取得条項付種類株式を利用しての極微細な端数株との交換など)がとられた際に、少数株主は無償で追い出されるのかと思いました。それでよろしいのでしょうか?どうぞよろしくお願いします。

投稿: k-h | 2007年3月29日 (木) 10時23分

会社法施行規則2条3項5号ロ(3)についてご教示ください。
(既に、過去のQ&Aで回答済でしたら重複の質問で申し訳ありません。)
社外役員の定義中の「社外取締役、社外監査役として事業報告等の資料に
表示している」についてですが、同号ロ(1)、(2)には該当しない(現時点でも
該当しない)が過去に(3)に該当する表示をしている場合も社外役員に該当する
ことになりますでしょうか?(同号イの条件は満たしている前提です)
例えば、平成18年6月の定時株主総会用の営業報告書中で社外取締役である旨の記載がある場合、平成19年3月末日現在で同号ロ(1)に該当する事実は
ありませんが、平成19年6月の定時株主総会用の事業報告の記載では、当該取締役については社外取締役として記載を求めらる事項を記載する必要があることになりますでしょうか?
それとも、平成19年6月用の事業報告では、社外取締役と表示するつもりがなく、他の資料(有価証券報告書)にその旨記載する予定も無い場合には、社外取締役として求められる記載は必要無いということになりますでしょうか?

投稿: 四苦八苦 | 2007年3月29日 (木) 12時00分

はじめまして。いつもブログを拝見させていただき、
実務の参考とさせていただいております。

会計監査人の意見陳述権についてご教示願います。
会社法第345条第5項に規定される会計監査人を辞任した者および会計監査人を
解任された者には、業務停止となり会計監査人の資格を失った者(法第337条)は
含まれるのでしょうか?

投稿: 総務屋 | 2007年3月29日 (木) 18時40分

非常に基礎的なことで恐縮ですが、単元未満株式の買取請求を受けた発行会社は、これを拒否したり、買取を一時留保するようなことはできない、という理解でよろしいでしょうか。
単元未満株式の買取請求は、形成権であると理解しておりますが、そうだとしますと、請求を受けた時点で売買契約と同一の効果が生じてしまいますので、拒否も買取りの一時留保もできない、という理解で間違いがないかどうかを確認させていただきたいと思います。

投稿: ik | 2007年3月30日 (金) 01時03分

連続になってしまい恐縮ですが、社外取締役選任議案の株主総会参考書類にかかる会社法施行規則74条4項6号ロは、「当該株式会社又は当該株式会社の特定関係事業者から多額の金銭その他の財産(これらの者の取締役、会計参与、監査役、執行役その他これらに類する者としての報酬等を除く。)を受ける予定があり、又は過去二年間に受けていた」としています。ここでいう、「これらに類する者としての報酬等」とは何を意味するのでしょうか。特定関係事業者の取締役退任後の相談役などの顧問料は、ここに該当して、参考書類記載事項から除外されるのでしょうか。そうでない場合、想定するものは何でしょうか。
次に多額の金銭とはどの程度をさすのでしょうか。顧問料等になりますと、さほど多額にはわたりませんが、それはどこに基準を置くかにより変わってくると思います。その旨があるかどうかという判断を示せばよいという規制であるため、より一層その基準が問題になるように思います。
以上、2点(細かくは3点)を伺います。

投稿: ik | 2007年3月30日 (金) 17時40分

平素は御世話になっています。3月4日の記事、Q5についてお教えいただけるでしょうか。会社の定款の改定作業において、機関の設置の中に「執行役」を含めるか否かを悩んでいるものです。3月4日の記事で示されている回答に従えば、会社法を根拠に執行役は「機関」に含まれないことになります。一方、
http://hadama.cocolog-nifty.com/blog/2006/10/post_12.htmlにおいて
葉玉さんも同様に「会社法」を根拠にして『執行役も「第四章 機関」に規定されているので,機関です。』と回答されています。どちらも会社法を根拠に回答されており、混乱しております。326条2項に機関は全て尽くされていて、「第四章機関第10節」にある執行役の見出しは機関以外のソシキ??が規定されているという理解でよろしいでしょうか。又、定款において機関として執行役を置く旨の定めをしている条文は誤りになるのでしょうか。
不勉強ゆえご迷惑おかけ致します。ご教授のほど、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

投稿: 茶坊 | 2007年3月30日 (金) 20時19分

はじめまして。

創立総会の定款変更(譲渡制限)についてお尋ねします。
創立総会で全ての株式に譲渡制限を付し、非公開会社にすることにした場合
反対株主にはどのような救済措置があるのでしょうか?
変態設立事項ではないので97条で取り消すことはできないし、
100条は種類株式が対象となっています。
会社成立後の定款変更では買取請求が認められるのに設立時の手当てが
見当たらないので不思議に思いました。
錯誤無効もイマイチ無理があるような気がしますし。

ご教示の程、よろしくお願い致します。

投稿: 春吉 | 2007年3月30日 (金) 21時16分

組織再編行為と情報開示のうち事前開示について質問させてください。

 株式交換または株式移転により完全子会社となる会社の新株予約権者は 事前開示された書面等の閲覧・交付請求をすることができます。ところが 消滅会社・分割会社においては 新株予約権者は 事前開示された書面等の閲覧・交付請求をすることができません。この違いは なぜ生じるのでしょうか?

投稿: maru | 2007年3月31日 (土) 06時01分

 2007年2月20日の(質問コーナー)で以下の回答をいただいたものです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 
Q5
組織再編行為と情報開示のうち事後の開示について
分割会社・承継会社・新設分割により設立された会社で
事後の開示をされた書面につき、株主・債権者・その他利害関係人が閲覧・交付請求等をすることができます。
 ここで「その他利害関係人」とは具体的にどのような人を指すのでしょうか?
 また、株主・債権者に加えて「その他利害関係人」まで
広く閲覧・交付請求等をすることができると定めたのは何故ですか?ご教授ください。
投稿 maru | 2007年2月18日 (日) 01時16分
A5
 分割により承継された財産の担保権者等利害関係を有する人は、見せた方がよいからです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

上記の回答につき 改めて考えてみると再び分からなくなりました。何度も質問して恐縮ですが再質問させてください。

上記回答で挙げられている 『分割により承継された財産の担保権者』とは 承継会社及び新設分割により設立された会社における「その他利害関係人」の具体例だと思います。
それでは 分割会社における「その他利害関係人」とは具体的にどのような人を指すのでしょうか?

投稿: maru | 2007年3月31日 (土) 06時03分

事業報告における役員に関する記載において、事業年度末後定時総会までに辞任・退任した役員を除外することについて伺いたく存じます。

私は、以下の諸点から、事業年度末後定時総会までに辞任・退任した役員を除外することには重大な不合理があると考えます。
今更ながら、そのような規定を新設した考え方をお教えいただきたく存じます。
(大人の事情というには少々不合理すぎますし、これを入れようと言い出した大人の言い分を聞いてみたいです。
「以下のような事項は不合理とは考えない」というなら世間の株主感覚とひどい乖離がありますし、「以下のような事項は考えなかった」というなら私は黙して改善を待ちます。)

1.役員の氏名等について
事業年度末後定時総会までに辞任・退任した役員を除外すると、各期の事業報告をつなぎ合わせても連続性がない。
すなわち、毎年事業年度末以降総会までに辞任した役員は、いつ辞めたものか株主に知られないまま消えていることになる。
定時総会前に辞任しても、多くの場合、その事実は株主には知られないことに留意すべきである。
商法時代に比し、株主への開示が後退したと言わざるを得ない。

2.辞任監査役の意見について
前定時総会前に辞任した監査役は、その意見を事業報告に留めることができない。
多くの場合、役員の辞任は定時総会の直前であることに留意すべきである。
そうすると、辞任監査役の意見を、従来の参考書類に加えて事業報告にも記載すべきこととした趣旨が不明である。
更に、前定時総会後に辞任した監査役があった場合には、商法時代なら定時総会の招集通知を準備する中で意見の有無を聞けばよかったが、現在は事業報告作成時に聞かなければならない。
時期が早期化するということは、企業の負担が増えることである。
そのような負担を負わせてまで、比較的レアな定時総会後の辞任に限って意見を書かせる意義や如何?
(続く)

投稿: ラッシャー木村 | 2007年3月31日 (土) 07時59分

(前コメントから続く)

3.報酬等、特に退職慰労金
報酬等の額は、以下の理由から、事業年度末後定時総会までに辞任・退任した役員を除外
しない方が適当と考える。
1)総会または定款で定められた報酬限度額との比較が可能
2)有価証券報告書等、他の開示と整合
また、業界を混乱させた退職慰労金については、商事法務の法曹川検事論稿でようやく実務上対応できるレベルまで整理されたが、そもそも事業年度末後定時総会までに辞任・退任した役員を除外しなければ、こんな混迷はなかったもの。
また、法曹川検事論稿で整理されたとは言ってもまだ以下の問題はあると考える。
1)退職慰労金の実支払額は株主の大いに興味あるところであり、事業報告にはそれを記載するのが本質的。法曹川検事論稿にあるような、「その他重要事項」という無名事項とするには重過ぎる事項である。定時総会で決議して支払うべき金額は、参考書類で開示する方が本質にかなう。
2)法曹川検事論稿でも触れられているが、退職引当を設けていない会社について、経団連コメントのように「来る定時総会で諮るべき退職慰労金の額を書け」というのはそもそもナンセンス。退職慰労金の支払予定額は、事業年度末以降定時総会までの職務に対する慰労も含み、「事業年度に係る報酬等」とは到底言えないからである。
退職慰労金は退職というイベントをトリガーにした在任中の功労に対するものであり、事業年度の終了とは必ずしも直接の連関はないことに留意すべきである。(引当を積んでいる場合は別)
なお、役員賞与については、「事業年度に係る報酬等」と言えるが、冒頭に記した報酬限度額との比較という観点から、事業年度中の実支払額を記載するのが整合的と考える。

(続く)

投稿: ラッシャー木村 | 2007年3月31日 (土) 08時00分

(前コメントから続く)

4.不当・不正な業務執行や社外役員の活動状況
前定時総会までに辞任・退任した者と、その後事業年度末までに辞任した者を区別する必要がどこにあるのか?
年度中のガバナンス状況を報告する趣旨ならば、年度中の在任者すべてについて記載すべきであろう。
(前定時総会を区切りにガバナンス状況が豹変し、その前その後を混然記載するのが意味なくなるような場合が多いとでも言うのだろうか?)

上記諸点を勘案、また、事業報告は年度中ないし年度末に関する事項を記載するという基本に立ち帰り、事業報告には事業年度中に在任したことがある役員すべてを記載すべきであると考えますが、いかがでしょうか。

投稿: ラッシャー木村 | 2007年3月31日 (土) 08時01分

長々と書いた後に恐縮ですが、もう一つ変なことをお聞きしたく存じます。

上場会社の議決権行使において、委任状方式をとることができますが、「委任」である以上、受任者が受任するかどうか自由に決定できると考えます。
そうすると、委任状方式においては、会社が、会社提案に反対の委任を受任しないことができ、反対株主は総会に出席しなかったことになりましょう。
(定足数を要する議案でなければ会社側は何も困りません)
委任状が総会後3ヶ月保存されるだけで、株主がどれだけ反対したかは議事録等に残りません。
株主の権利が抹殺されているように感じるのですが、会社法制定を機に、書面投票方式に一本化するような議論はなかったのでしょうか?

投稿: ラッシャー木村 | 2007年3月31日 (土) 08時14分

こんにちは。
いつも楽しく拝見させていただいております。
早速ですが、また教えてください。
取得条項付新株予約権の取得が、財源規制に服さないのはなぜなんでしょうか?

投稿: パラリーギャル | 2007年3月31日 (土) 15時25分

新司法試験直前の知識整理に、会社法マスター115講座を活用させていただいております。その中のP88,P89の部分で少しわからない点があります。お時間が許せばご教授ください。

不明なのは2失権の4段落目、新株予約権の払い込み期日までに払い込みがない場合でも、払い込み義務が存続するという部分です。これは、新株予約権の払い込み一般すべてに対する記述なのでしょうか、それとも会社法244条の引受契約の場合に限定する記述なのでしょうか。

右ページの表ですと、払込期日の方が前の場合には「引受契約」と記載があり、行使期間の方が前の場合には「引受契約」の記載がないのは、省略されているだけなのでしょうか?それとも意味があるのでしょうか?このあたりがわかりません。

たしかに条文上は義務が消滅するとの記載はないのですが、なぜ新株予約権の場合には、行使できなくなった新株予約権の対価として、払込義務が存続するのか、根本的なこのあたりが、そもそもわからず困ってしまいました。
払込ことによって、遡及的に新株予約権が行使できるように、なったりするのでしょうか?

理由付けとして書かれてある「根拠法がない」という意味では、新株発行の出資履行についてと、なんらかわらないように一見考えてしまうのですが、そのあたりの理由がいまいちわかりません。

補足説明の程、なにとぞよろしくお願いいたします。

投稿: びあ | 2007年3月31日 (土) 17時13分

サミー様、詳しいご教授、大変助かっております。商事法務1795号の「事業報告における退職慰労金の開示」の記事が業界に波紋を呼んでおります。事業報告の施行規則121-4による慰労金の開示は、端的に言うと、1年分の退職慰労金が固まっていれば、その事業年度分のみを毎年書きなさい、ということでしょうか?経団連モデルでは、「各事業年度で開示している場合は退職時の支給のうち各事業年度での開示分は不要」とありますが、1795号によれば、施行規則121-4では、慰労金総額はどのようなケースでも記載不要と読めます。118条1号の記載ぶりが非常に複雑で判り難くなりませんか?新法施行後1回だけ開示すると、総額から1回分だけ差し引いて、118-1で開示するのでしょうか?

投稿: T/A | 2007年4月 1日 (日) 00時15分

 株主との合意による自己株式の取得についての質問させてください。発行会社と株主との売買成立日はいつになるのでしょうか?

 ①申込期日(会159条2項)
 ②申込期日は株主に売主となる権利を割り当てる日であって、その後に発行会社と個々の株主が売買を行う。したがって、売買成立日は個々の株主によって異なる。
 
 ①と解した場合は、株券発行会社であっても株券の引渡しは効力発生要件ではないと解することになると思われます。会128条1項との関係が不明です。

投稿: aritam | 2007年4月 2日 (月) 21時07分

はじめまして。
質問させていただきます。

ある条件の成就を停止条件として、株主割当てによる募集株式の発行を考えております。
202条3項4号に該当する会社なので、決議機関は株主総会となります。
株主総会決議において、申込期日を「条件成就の日の1ヶ月後」という形で定めても問題ないでしょうか。

何卒よろしくお願いします。

投稿: こたつ | 2007年4月 2日 (月) 21時19分

減資と株式の消却についてご教示ください。
債務超過に陥っている完全子会社について、100%無償減資を行い、減少した資本金で欠損填補を行うと同時に、新たな増資を行うことによって支援することを検討しています。
会社法の下では、減資と株式の償却は完全に切り離されているため、100%無償減資を行うに際して、株式の償却を行う必要はないという理解でよろしいでしょうか。
また、株式の消却を行う必要はないとした場合、株式の消却を行うときと行わないときとのメリット・デメリットはどのようなものがあるのでしょうか。
どうぞよろしくお願いします。

投稿: MJ | 2007年4月 2日 (月) 23時09分

結構、びっくりしました。
このブログも復活されるのでしょうか?

投稿: ai | 2007年4月 3日 (火) 00時28分

Q2についてですが、譲渡する取締役も譲り受ける取締役も特別利害関係人に該当するのが原則説ですが、他方で譲渡する取締役は該当しないという説もあるように聞きます。実際のところどうなのでしょうか?ご教授いただければと思います。

投稿: YK | 2007年4月 6日 (金) 09時08分

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