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2007年3月 4日 (日)

種類株式と株主割当(2)

入門の続きを書こうと思っていたら、
2月23日の「種類株式と株主割当て」について記事について、立案当時、株式を担当していた超美人弁護士から

 「種類株式発行会社において、202条の株主に株式の割当てを受ける権利を与える場合には、特定の種類株主にのみ、株式の割当てを受ける権利を与え、その他の株主には、与えないということもできることを前提に立案しました(プンプン)。」

という趣旨のお叱りのご意見を頂きました。

 私は、この方に叱られると、縮み上がってしまうので、もう一度、その問題についてお話ししたいと思います。

 さて、立案担当者の考え方を前提にすれば、199条1項の募集は
   常に1種類につき、1募集
という対応関係を守ることができるし、前回の記事で解釈により解決した
   199条5項
は、形式的にも問題にはならなくなりますので、非常にすっきりします。

 また、この考え方のように、割当てを受ける権利のない特定の種類株主が存在することを認めたとしても
   、その種類株主の利益は、322条の種類株主総会で守られる
から、実質的には、それほど問題はないとも思えます。

 でも、私は、前回の記事を書くとき
  もしかしたら、特定の種類株主にのみ割当てをすることも可能なのかもしれない
とは、思っていたものの
  本当にそこまで書いていいのか
と躊躇して、書くのを止めてしまいました。

 というのも、旧商法では、そのような株主割り当ては認められていなかったので、本当に、
  ①文言上、それが許されることが明確か
  ② 実質的にそれで問題がないのか
を検証しきれなかったからです。

 まず、文言としては、202条の「株主に」「株主に対し」という文言が気になりました。

 仮に、特定の種類株主にのみ与えることを書くならば、
  「株主(種類株式発行会社にあっては、種類株主)」と書く方が明確かなあ。
   それなのに、そう書いていないのは、なぜだろう
という点ですね。

 この疑問に対しては、次の答えが考えられます。

「  会社法202条1項は、「199条1項の募集において」と定めているので、199条1項の募集の特例を定めている。
  199条1項1号の募集は種類ごとにすることとされており、かつ、202条1項1号括弧書きでは、「当該株主の有する種類の株式と同一の種類のもの」しかこの手続で割り当てられないから、この2つを合わせて考えれば、202条1項は、A種株主にA種株式の割当てを受ける権利のみを与える場合のみを規定している。
 とすると、種類株主も「株主」に該当する以上、ここの「株主」は「種類株主」のことを意味する。」

これは、これで解釈としては成り立ちますが、反論として考えられるのは
  199条1項は、1募集で数種類の株式を募集することを排斥していると言えるのか。
  仮に1種類1募集だとしても、202条1項は、種類の数だけ募集する場合を想定したものであり、そう考えたとしても「199条1項の募集において」という文言と矛盾しない。
ということになるでしょうか。

 いずれにしても、文言だけなら、どちらもありうる解釈論かなあとも思います。

 次に、実質論として
  特定の種類株主にのみ株式を割り当てる権利を与えることを認めて良いか
という点ですが、私が、気になったのは、もしこれを肯定すると

  202条4項の募集事項の通知が、割当てを受ける種類株主にしか、通知されず、その他の種類株主には、募集事項が公示されない。

という立て付けになってしまうことです。
 
 公開会社における201条3項の通知は、判例上、株主に差し止めをする機会を与える公示として重視されており、これを欠く場合には、株式を発行しても無効事由になるとされています。

 ところが、株主割り当ての場合には、201条3項が適用除外されるので、株主への通知は、202条4項によってのみ行われます。

 とすると、特定の種類株主にしか募集事項の通知がされない場合、
   他の種類株主の差し止めの機会は、どのように確保するのだろうか
というところが、乗り越えるべきハードルのように思います。

 201条3項が適用されないのは、公開会社における有利発行の場合も同じであり、この場合には、募集の決議として、株主総会の特別決議が必要なので、総会の招集通知により、差し止めの機会が与えられます。

 とすると、1つの考え方としては
  割当てを受けない種類株主については、種類株主総会の招集通知がされるから、差し止めの機会が与えられている。
ということができそうです。

 ただし、有利発行の場合には、
  必ず株主総会を開かなければならず、通知も全株主に行われます

 が、種類株主総会は
  「ある種類の株式の種類株主に損害を及ぼすおそれがあるとき」
に限って開催されますから、必ずしも、全株主に通知がされるとは限りません。

 結局、実質論としては、
  特定の種類株主に、損害を及ぼすおそれがない場合に、その種類株主に差し止め請求権を認めるか。
ということについて、どう考えるかがポイントになってきますが、この点については、株式発行の差し止め請求権は、
  「株主が不利益を受けるおそれがあるとき」
に認められる権利ですから、特定の種類株主に損害を及ぼすおそれがないのならば、その種類株主には、差し止め請求権は認められず、したがって、差し止めの機会を与える必要もないと考えれば、十分のような気がします。
 
 もちろん、株式発行の差し止め請求権を、
  「他の株主」が不利益を受けるおそれがあるときにも、行使することができる
と考えれば、
  202条4項の通知の範囲は狭すぎる
ということになるでしょうが、そこまで考えなくてもいいのかなあとも思います。

 なお、種類株主に損害を及ぼすおそれがあるにもかかわらず、種類株主総会を開催せずに、種類株式を発行したら、これは株式発行の無効事由になるので、種類株主の保護は図れると考えるべきなのでしょう。

  有利発行決議が無効であったとしても、無効事由にならないという判例との整合性は考える必要があるかもしれませんが、第322条が「その効力を生じない」と規定している以上、種類株主総会の欠缺は、無効事由と考えるしかないように思います。

 以上のように、超美人弁護士のおっしゃるように
  特定の種類株主にのみ株式の割当てを受ける権利を与えること
は、許されてよいように思いますが、

  株券不発行会社では、株式発行無効の訴えにおいて、どの株式が無効になるのかを特定しないと、訴えそのものができない可能性があるので、種類株主総会だけで保護としては十分であり、差し止めの機会を設けなくてよいか

という怖さもあり、若干、調整しなければならない気がします。

(質問コーナー)
Q1
監査報告に関する1月30日Q20・A20および2月20日Q11・A12(なぜか番号がずれている)について、しつこくなりますが、お尋ねします。
「監査役会においては、各監査役が作成した監査報告を取りまとめる形で、監査役会としての監査報告を作成することとなる。監査報告の最終的な決定は、持ち回り決議等適宜の方法で行うことも妨げられないが、1回は現実に監査役会を開催する方法(情報の送受信による意見交換を含む)により、監査役会監査報告の内容を審議しなければならない」(商事法務No.1766 p68 相澤哲・和久友子)。
一方、「監査委員会は委員会の職務として監査を行うこととなるため、監査報告も監査委員会の決議をもって定める必要がある」(同)。
以上のように記されているが、1月30日A20の「監査役会で監査報告の内容を決議する必要があります」とのご回答について、監査役会監査報告の最終的な決定には監査役会の決議を法的に絶対必要とするのか? 「会社法では、監査報告の内容についてのみ規律を設け、監査報告書の作成・提供方法については特に規制を設けていない。これらは会社の内部的な手続きにすぎないため、当事者間で合理的にその方法等を定めれば足りるものと考えられるためである」(商事法務同 p61)と記されているので、監査役会としての監査報告という重要事項については、内部手続きの合理的判断として、監査役会決議という形をとるのである、という解釈でよろしいでしょうか(もし監査役会決議が法的に必要というのであれば、その根拠は何でしょうか? 2月20日A12①に書かれた条文は、具体的に監査報告は監査役会で決議する必要があると定めるものではないと思いますが)。
投稿 きんた | 2007年2月27日 (火) 22時30分
A1
 監査役会というのは、監査役の単なる集まりではなく、会議体ですから、「監査報告の作成」を監査役会の権限とする以上、その内容の意思決定は、決議で決めるしかなく、決議の省略が認められないならば、開催して決議する必要があります。
 それが法的根拠です。

Q2
現在、新株予約権の行使の場面における払い込みの取扱いの場所の変更について悩んでおりまして、お教えいただけますと助かります。
旧商法下においては、発行時(申込証記載事項)に定めた払込取扱機関の変更は裁判所の許可が必要でしたが、会社法になってから、旧商法178条や280条の37④に該す当する条文が見当たりません。会社法における新株予約権については、当該払込取扱場所の変更について裁判所の許可は不要であると理解してよろしいのでしょうか。また、旧商法下において発行した新株予約権については、整備法でなお従前の例とすることとされていないようですので、整備法112条2項の適用はなく、こちらも変更に際して裁判所の許可は不要と考えますが、よろしいのでしょうか。
お忙しいところ誠に恐縮ですが、どうぞよろしくお願いいたします。
投稿 博多っ子 | 2007年2月28日 (水) 12時35分
A2
そのとおりです。

Q3
本日は、①株式、②新株予約権、③CB及び④社債について、
発行要項に定める、一部取得の決定方法についてご質問致します。
(1)以下の理解で正しいのでしょうか?
①株式
一部取得の決定方法については、株主平等の原則から、抽選等公平な方法によらねばならない。
②新株予約権、③CB、④社債
あくまで債権なので(cf.したがって、取得手続に規制がない:千問の道標Q343)、必ずしも抽選等公平な方法による必要は無い。
(2)上記の理解であれば、②③④については、
例えば、
・「保有継続期間が長期である人から取得」、
・「Aさん→Bさん→Cさんという順番」等定めることは可能なのでしょうか。
さらに進んで、
・「会社が別途指定する者」と定めることも可能なのでしょうか。
株式と異なり(←株主平等原則が働かない)、別途合意すれば、新株予約権、」

B、社債いずれも合意による買い入れが可能であることから考えれば、
要項上定めることも、可能だと思うのですが・・・。
投稿 かおるん | 2007年2月28日 (水) 15時17分
A3
 最初から一部取得の方法を定める場合であれば、どう定めてもいいでしょう。
 ただ、「会社が別途指定する者」だと意味が分からないかもしれませんね。

Q4
公開会社においては,取締役の任期を伸長することはできないとされています。では,公開会社において,定款で「当会社の取締役の任期は2年とする」と定めることは,場合によっては法定任期(会社法322条1項本文)よりも長くなりますが,可能でしょうか。可能と解する場合には,当該定款規定は,法定任期よりも任期が短くなるケースのみならず,長くなるケースにも適用されると解してよろしいのでしょうか。
投稿 パケット | 2007年2月28日 (水) 21時10分
A4
 長くなるのは駄目です。

Q5
P.317のNo.627で、

 委員会設置会社に必ず置かなければならない機関は、
 株主総会、取締役、取締役会、委員会だけである。

 会計監査人も置かなければならない。
とありますが、
 ・執行役は機関ではないのか。
 ・取締役会を設置した場合、取締役は機関ではないのではないか。 
の点について、回答をお願いします。
投稿 受験生 | 2007年3月 1日 (木) 10時40分
A5
 執行役は、機関ではありません。
 取締役会を設置しても、取締役は機関です。
 「機関」の定義を何かすれば、別の答えはありえますが、会社法の文言上は、そのように整理しています。

Q6
反対株主による株式買取請求の効力発生について質問させてください。
 吸収合併存続会社の反対株主による株式の買取は、代金支払いの時 その効力を生じます(798条5項)
 これは理解できるのですが、吸収合併消滅会社の反対株主による株式の買取が、吸収合併の効力発生日に効力を生じたり(786条5項)、新設合併の場合には、設立会社の成立の日に効力を生じる(807条5項)の何故ですか?
投稿 maru | 2007年3月 1日 (木) 16時19分
A6
 吸収合併消滅会社は効力発生日に法人格が消滅するからです。
 新設合併は、成立の日に効力が生ずるからです。

Q7
持分会社が株式会社に組織変更をした場合、効力発生後の情報開示(事後開示)がなされないのは何故ですか?
 株式会社から持分会社に組織変更した場合、事後開示がなされないのは、持分会社に情報開示を要求していない法の流れから見て理解できます。
 しかし、持分会社が株式会社に組織変更をした場合、株式会社に情報開示を要求している法の流れから見て 事後開示がなされないのは 何故なのだろうと思ってしまいます
投稿 maru | 2007年3月 1日 (木) 16時20分
A7
 組織変更は、単に組織変更ですから、債権債務関係に何の変更も生じません。

Q8
会社法施行規則第124条第7号によると、「社外役員が・・当該株式会社の親会社・・・から・・役員としての報酬等を受けているときは、当該報酬等の総額」を事業報告に開示することとなっています。
公開子会社の社外監査役に当社執行役員が就任した場合に、当該執行役員の「報酬」は開示対象になるのでしょうか?
ポイントは、執行役員が「役員」に該当するかどうか ということになり、「役員」
の定義は会社法施行規則第2条第3項第3号により「取締役、会計参与、監査役、執行役、理事、監事その他これらに準じる者をいう。」とあります。
「準じる者」が何を指しているかですが、「理事、監事」が例示されていることか
ら、株式会社以外の団体で、これら例示の役職に相当するものを指している という考え方と、株式会社であって取締役に準じる者(すなわち執行役員)も含む という考え方と どちらも不可能ではなさそうです。
会社法の趣旨からは、これは前者をとるべき すなわち、執行役員は該当しないと考えてよいように思いますが、いかがでしょうか。

投稿 S.O. | 2007年3月 1日 (木) 16時56分
A8
執行役員は、役員ではありませんから、開示は不要です。

Q9
908条1項と354条の関係の論点は良く見るのですが、908条2項と354条についての記述が手持ち資料にありません。
72問の問題1のような場合908条2項で処理するもは当然としても、354は無関係なのか、という疑問です。
要件の明確な908で処理可能なので、表見規定など問題にするまでもない、という理解でよろしいでしょうか?
投稿 マーキュリー | 2007年3月 1日 (木) 18時41分
A9
表見代表取締役は、代表権の欠缺を治癒し、会社に契約の効果を帰属させるための規定です。
 取締役の第三者に対する責任とは、なんの関係もありません。

Q10
いわゆる,初学者です。以下の問題について,私の回答考えは正しいですか?
(ABとも取締役会設置会社)A社の建物をB社が買う取引にて
  A株式会社(代取Q,平取P)―――B株式会社(代取P,平取R)
     建物

 ⅰ)A社をQが代表し,B社をPが代表して取引:A社の取締役会の承認必要
    *A社の「取締役」であるPが,自らがB社の代表取締役として(「第三者     のために」),A「会社」を相手に行う取引であるから,A社にとって利益相     反取引(356条1項)に該当し,A社の取締役会の承認が必要となる。
 ⅱ)A社をQが代表し,B社をRが代理して取引 :両会社とも承認不要
   *契約当事者間に,「自己のため」「第三者のため」という関係が無い
 ⅲ)A社をPが代理し,B社をPが代表して取引 :AB社とも役会の承認必要
   *契約当事者間が自己契約・双方代理に該当し,356条2項が適用
 ⅳ)A社をPが代理し,B社をRが代理して取引 :A社の取締役会の承認必要
   *B社の「取締役」であるPが,自らがA社を代理して(「第三者のため」),     B「会社」を相手に行う取引であるから,A社にとって利益相反取引(356条    1項)に該当し,A社の取締役会の承認が必要となる。
   *B社を代理するRは,契約当事者の相手方であるA社の役員等ではない    ため,B社にとっては,利益相反取引とならず取締役会の承認不要。
以上です。全国の未修者が共通に悩む問題です。解説教授お願いいたします。
投稿 会社法超初心者 | 2007年3月 1日 (木) 21時43分
A10
i) 正
ii) 正(但し、Rが実質的に関わったら駄目)
iii) 正
iv) B社の取締役会が必要

Q11
 取締役会設置会社にて,A株式会社(代取P)とB株式会社(代取Pと代取Q)すなわちAB会社の代取をPが兼任している場合,A社を代表した代取PとB社を代表した代取Qとの取引の場合,取締役会の承認は,B社のみに必要なのでしょうか?
投稿 会社法超初心者2 | 2007年3月 1日 (木) 21時58分
A11
 そうです。

Q12
裁判所が一時代表取締役職務代行者を選任する際,
①代行者の任期についても裁判所が定めるのでしょうか。
②また,選任を申し立てた者が誰かを推薦した場合,どの程度裁判所は斟酌するのでしょうか。
A12
 仮代表取締役には、任期は、特にないです。
 裁判所が誰を選ぶかは、裁判所の裁量で、どの程度斟酌するかは誰にも分かりません。

Q13
 348条2項は,「株式会社の業務は・・・取締役の過半数をもって決定する」と定めていますが,ここにいう『取締役』とは,定款で定められた取締役の員数なのでしょうか,それとも現実に存在している取締役の員数なのでしょうか。
 例えば,定款で取締役を4名とするとの定めがある非取締役会設置会社において(代表取締役の定めはないものとする),2名の取締役が事故で死亡したというケースで,残りの2名では「2名/4名」だから過半数要件を満たさず業務決定不能と考えるのか,「2名/2名」だから過半数要件を満たし業務決定可能と考えるのか,どちらが正しいのでしょうか。

投稿 法学徒 | 2007年3月 1日 (木) 22時52分
A13
 現実に存在している取締役の員数です。

Q14
「会計監査人の解任又は不再任の決定の方針」(施行規則126条4号)についてお教えください。
この方針は,
(1)監査役が決定する解任(会社法340条)
(2)監査役が決定する解任・不再任の総会目的の同意(同344条1項)
(3)監査役が決定する解任・不再任の総会目的の請求(同条2項)
に際しての方針ということでしょうか。
それとも,(1)~(3)だけではなく,(2)に先立って決定される
(4)取締役が決定する解任・不再任の総会目的
に際しての方針も含まれるでしょうか。
(2)と(4)は,それぞれ独自の機関が再任・不再任の是非を決定していることから,(4)の方針も,事業報告の記載内容とするべきと考えます。
いかがでしょうか。
投稿 悩める使用人 | 2007年3月 2日 (金) 00時45分
A14
 全て含まれます。

Q15
 382条に関する質問に回答いただき、有難うございました。
「著しく不当な事実」は、法令・定款に違反しないが、著しく不当な場合とのことですが、不当とは道理に合わないことですから、明らかに合理的でない経営判断も含まれると理解されます。そうすると、監査役の監査は妥当性にも及ぶと考えられますが、如何でしょうか?
 又、再確認したいのですが、「法令若しくは定款に違反する事実若しくは著しく不当な事実があると認めるとき」には「おそれのある」場合も含まれているとのことでよろしいいのですね。
投稿 監査役初心者 | 2007年3月 2日 (金) 10時09分
A15
 監査役の監査は、妥当性には及びません。
 しかし、著しく不当な場合には、善管注意義務違反として法令違反になる場合があるので、グレーゾーンについて法令違反があるかどうかを監査することはできます。
 「おそれのある」場合は含まれていませんが、そのような行為が行われるおそれがあるような徴表があれば、それ自体が、著しく不当な事実がある場合がほとんどでしょう。

Q16
会社と個別の株主(被相続人)との間で生前に、「相続が発生した場合は1株50万円で会社は被相続人が所有していた株式を取得できる」旨の契約書を締結することは、会社法177条(売買価格の決定)との関係で可能でしょうか?177条では売買価格は相続人との協議または裁判所への価格決定の申し立ての手続きが規定されていますが、上記の契約がある場合には、被相続人が締結した契約価格が優先するという考え方でよろしいのでしょうか?それとも相続人はその価格(50万円)は無効との立場をとることができるのでしょうか?
投稿 KIRABO | 2007年3月 2日 (金) 18時34分
A16
契約をすることはできるでしょうが、協議が優先しますので、その契約は、あまり意味はないですね。

Q17
 いつも楽しく拝見しております。新司法試験プレテストの問題で恐縮ですが、ご教授ください。
 百問(2版)427頁では、名目取締役Fの任務懈怠行為とAの損害との間に相当因果関係はない可能性が指摘されています。これと監視義務との関係で悩んでいます。
 名目取締役とはいえ監視義務はあるのであり、監視義務を尽くしていればY銀行の杜撰なシステムに気付けたと言えるのではないかと思います。というか、この事例においてFの責任を肯定しないと、名目取締役に対する責任追及をすることができる事例というのが相当に限られてしまうように思います。
 本事例で相当因果関係を肯定するのは、実務的感覚からはずれるのでしょうか。また、理論構成はさておくとして、Fの損害賠償責任を肯定するという結論は、実務的感覚からはずれるのでしょうか。
投稿 秘密結社 | 2007年3月 4日 (日) 08時48分
A17
 名目取締役かどうかが重要なのではなく、監視義務の射程を考えるときに、
  ○○という監視行為をしていれば、その損害は生じなかった。
という条件関係を、自分の中で思い描き、それが当該取締役の職務権限の中でできたことかどうかを考えれば、自ずと責任の範囲は限定されます。
 「実務」は証拠によって事実認定しますから、この問題の結論をどちらにとるかは、「実務的感覚からはずれる」かどうかとは、別問題でしょう。

Q18
私はある会社で総務を担当しておりますが、
弊社の子会社において、昨夏に取締役会も監査役も廃止した会社が
ございますが、それを復活させようと考えております。
そのときに問題なのですが、例えば3月に臨時総会を開催して、
取締役会も監査役も置く旨を定款に定める旨の変更決議をし、
その効力を4月1日から発生させたいのです。決議と同時に、
監査役を選任し、就任承諾をもらいます。

1、監査役を置く旨を4月1日に効力発生させるということは、
 監査役を置く旨の規程がない状態ですが、監査役を選任し、
 就任承諾をもらうという行為は可能なのでしょうか?
2、取締役は1名のみで、代表取締役であります。
 取締役会を置く場合に、2名就任して、3名にしますが、
 代表取締役の代表権は、一度なくなりますでしょうか?
 (就任後に取締役会を開かなければなりませんか?)
3、2の場合で、取締役会を開かなければならないとしたら、
 それは4月1日以降にしか開けませんか?
投稿 総務部 | 2007年3月 4日 (日) 15時26分
A18
1 事前の就任承諾は可能です。
2 就任後に取締役会を開催して代表取締役を選定しなければなりません。
  ただし、代表取締役を選定するまでは、旧代表取締役に代表権があります。
3 4月1日以降にしか、取締役会は存在しないので、4月1日以降しか開催できません。

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コメント

サミー様。社外取締役候補者の定義(施行規則2条3項7号)について教えてください。

取締役に就任後も会社法2条1項15号の社外取締役の要件を満たすこととなるものの、施行規則2条3項7号の「社外取締役候補者」の要件に該当しないため(選任の時点では、今後その者を社外取締役として開示する「予定」もないし、会社法425条1項1号の社外取締役とする「予定」もありません。)、株主総会参考書類には、社外取締役候補者の追加記載事項(施行規則74条4項)を記載しなかった場合の話です。例えばこのケースで、当該取締役に会社法423条1項の責任が生じたので、責任の一部免除をしようと考えました。このときに、会社法425条1項の最低責任限度額を算定する際に、同項1号ハの「社外取締役」(報酬等2年分)として算定することは可能なのでしょうか?選任する段階では、そのような責任が生じることも想定しておりませんでしたし、責任免除することも「予定」しておりませんでしたので、社外取締役候補者の追加記載は行いませんでした。しかし就任後に、そのような責任が生じてしまい、責任免除をしようとしたときに、その者を「社外取締役」として扱えるかどうかということです(もちろん、施行規則2条3項7号の要件は継続して満たしてます)。「予定」はあくまで「予定」なので、実際に「予定」が変わることもあるのかなと思いました。

投稿: ここりこ | 2007年3月 4日 (日) 23時28分

本日のA1についてフォローの質問をお許し下さい。

>「監査報告の作成」を監査役会の権限とする以上、その内容の意思決定は、決議で決めるしかなく、決議の省略が認められないならば、開催して決議する必要があります。

とのことですが、それでは何故、省令に「決議をもって定める」と端的に明記していないのでしょう。監査委員会については、「決議をもって定め」とあります(施行規則131Ⅱ、計算規則157Ⅱ)が、監査役会については「審議」とあります(しかも、単に「審議しなければならない」とあるのみで、「・・・をもって定めなければならない」とはありません。施行規則130Ⅲ、計算規則156Ⅲ)。これを普通に読む限り、監査役会の監査報告は、「決議をもって定める」必要はないと理解するしかないのです。

恐縮ですが、理論上のみならず、実務上も大変重要なポイントですので、上記省令の解釈も含めて、再度「法的根拠」を明らかにして頂きたく存じます。
(サミーさんご指摘の「法的根拠」は旧商法下であれば全くそのとおりと理解できるのでが、会社法下では、サミーさんのご説明では、上記省令が整合的に理解できません。)

お忙しいところ、誠に恐縮ですが、宜しくご教示下さい。

投稿: ぽっぽー | 2007年3月 4日 (日) 23時31分

2007年3月 4日 (日)の(質問コーナー)A7で
回答を頂いたものです。
 いつも僕の質問に答えてくださってありがとうございます。
 一つ確認させてください。
>A7
> 組織変更は、単に組織変更ですから、債権債務関係に何の変>更も生じません。
 
 これは承継する権利義務がないから、効力発生後の情報開示(事後開示)をする必要がないという意味でしょうか?

投稿: maru | 2007年3月 5日 (月) 00時04分

会社法施行規則121条6号とについてご教示ください。
①平成18年6月定時株主総会で辞任した監査役がいた場合、平成19年3月期の  事業報告では、その氏名(会社法施行規則121条6号イ)は記載対象となりま
  すか?
②他の監査役の意見があったときはその意見(会社法施行規則121条6号ロ)は
  平成19年3月期の事業報告の記載対象になりますか?
③辞任した監査役に辞任理由があり、その理由が平成19年の事業報告作成に  間に合うように文書等で通知された場合は事業報告の記載対象になります
  か?
会社法施行規則119条括弧書との関係から記載対象外と考えればよいのでしょうか?
それとも、辞任理由等によっては、会社法施行規則118条1号として記載することになるのでしょうか?

投稿: 四苦八苦 | 2007年3月 5日 (月) 02時21分

サミー先生、新株予約権の差別的行使条件についてご教授願います。

買収防衛策の検討をしているのですが、
新株予約権の差別的行使条件を、
①「議決権ベースで20%以上持ってる者は行使できません」とするのと、
②「役会で定める大量買付開始前に求める手続(情報提供など)に
従ってくれない者(かつ議決権ベースで20%以上持ってる者)は行使できません」とするのとでは、
友好的に20%超を持ってる者が、新株予約権を行使できるか否かで
異なってくると思われるのですが、②のような定め方でも、
著しく不公正とは評価されないでしょうか?
裁判所の判断事項だとは思いますが、
感覚でも結構ですので、ご回答いただければ幸甚です。

投稿: 防衛担当新人 | 2007年3月 5日 (月) 10時29分

サミー先生、ご教授ください。
 株式会社における決算及び株主総会の日程のチェック表を作ろうとしていて疑問が生じました。
 定時株主総会の開催日は、一番遅い場合は基準日の規定(会社法124条1項、2項)に従い期末日から3ヶ月後になると思います。もし3ヵ月後の日が日曜日や祝日に該当すれば民法142条により、翌日に満了ということになりますか? 民法142条でいう「その日に取引をしない慣習」はどのように判断するのですか?昨今は株主の便宜を考えて総会を日曜日に開催する会社もあるのではないかと思われますが、「その日に取引をしない慣習」の有無は当該企業のみを考えて判断すればよいのですか?また、「取引」とは営業取引ではなく、総会を開く慣習と考えればよいのでしょうか?

民法第百四十二条  期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律 (昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間は、その翌日に満了する。

投稿: SHU | 2007年3月 5日 (月) 10時55分

サミー様

2007年3月4日(日)、
取締役会設置と監査役設置の件で回答を頂いたものです。
お忙しいのに、お休みにまで回答頂き、本当にありがとうございました。
お陰様でスッキリして月曜日を迎えられました。
寒暖の差が激しい時期です。無理なさらずお体壊さぬよう、ご自愛ください。
(ご多忙中、この質問の嵐では、そうもいかないかもしれませんが・・・。)
また今後とも、ご指導ご鞭撻お願い申し上げます。

投稿: 総務部 | 2007年3月 5日 (月) 19時15分

サミー様、こんばんわ。いつも楽しく拝見しております。
ご教授願いたいことがございます。

取締役が株式の割り当てを受けて払い込みをなす際に、会社から払い込みのための金銭の貸付を受けることは、取締役会の承認さへ受けていれば問題ないのでしょうか。(株式の割り当て・金銭の貸付を受ける取締役が多数で、役員間が親密であることから、役会の承認を受けることが確実であるという事情がございます)

株式の発行手続き・貸付の結果としての任務懈怠責任などの問題は取捨てて、上記の貸付自体には問題が無いのかご教授ください。
宜しくお願いいたします。

投稿: しゅうまい | 2007年3月 5日 (月) 22時41分

定款の変更による持分会社の種類の変更について質問させてください。
 
 株式会社の組織変更の効力は 効力発生日に生じます(745条1項)また、特例有限会社の株式会社への商号変更は 登記をする事によってその効力を生じます(整備法45条2項)
 それでは、定款の変更による持分会社の種類の変更は いつ効力を生じるのでしょうか?定款の変更が効力を発生した日と考えて良いですか? 

投稿: maru | 2007年3月 6日 (火) 01時09分

場違いの質問かもしれませんが、可能であれば(可能な範囲で)ご教示下さい。

社団法人日本監査役協会の策定・公表する「監査役監査基準」というのは、事実上の指針でしかなく、いかなる意味においても法的な効力を持つものではないと思っておりますが、そういう理解で宜しいでしょうか。

すなわち、個社の監査役が同協会の監査基準に従う/従わないは全くの任意であり、それにより監査役の善管注意義務にはいささかも影響を与えないということですよね? また、企業会計審議会やJICPA(?)の策定・公表する各種「基準」のように「一般に公正妥当と認められる監査の基準(または慣行)」にもなりようがないものですよね?

同協会は加入強制の仕組みはありませんし、監査役の資格要件、懲罰とも関係のない、その意味では全くの「任意」団体に過ぎませんので、そういうことになる筈ですが、最近、「財務報告に係る内部統制」の「評価・監査」における「統制環境」の一項目として、これを挙げる(例示に過ぎないものと思っておりますが)人(監査法人など)がいるもんですから、少し気になるところです。

投稿: cancer | 2007年3月 6日 (火) 07時39分

初めましてサミー様。

私は、非上場会社で3月に株主総会を予定しておる会社で働いております。
3月1日に、急にストックオプションを付与するということが決まり、
株価の算定が総会までに間に合わないかもしれないので、
抜け道をいろいろと探しているところです。
その探している時に疑問点が出てきたので
サミー様に教えて頂きたいのです。

会社法236条に新株予約権の内容が書いてあります。
その内容は、
1項 当該新株予約権の目的である株式の数
2項 当該新株予約権の行使に際して出資される財産の価額又はその算定方法

238条に募集事項の決定とあります。
その内容は、
1項 募集新株予約権の内容及び数
その内容とは236条1項と2項にで株式の数と
価額又はその算定方法と定められています。

239条には募集事項の決定の委任とあります。
その内容は、
募集事項の決定を取締役に委任できると定められてます。

ということは、239条の例外を使えばストックオプションの件は
総会で決議しなくてもいいということにならないのでしょうか?

240条では、公開会社における募集事項の決定の特則が定められています。
241条では、株主割当の場合は非公開会社は原則は株主総会の特別決議と書いてあるのですが、
定款に特別の規定がある場合は、取締役又は取締役会と定められていますが、
この241条は株主割当の場合ですので、私が探した限りでは239条が使えないということを書いた条文が見当たらないのです。

それとも、そもそも「募集」という概念が取締役と従業員以外を指しており、236条を採用するしかないという事なのでしょうか?

それと、236条2項で、価額(行使価格)または算定方法となっておりますので、どちらかを選択して記載すればよいということなのでしょうか。

今の弊社の状況ですと、取締役会でストックオプションの細かい内容を決めて(税理士から算定結果が出たら、行使価格を入れて後付で議事録を作成することができる)、株主総会の特別決議にて、ストックオプション全体について書き、算定方法のみを記載する方法が時間的にベターなのではないかと考えております。

ちなみに、ここでいう算定方法とは
(1)純資産方式(2)類似会社比準方式、等を指していますか?

教えて下さい。

投稿: idhiro | 2007年3月 6日 (火) 14時52分

サミー先生、重ねての質問をお許しください。

買収合戦花盛りの今日、
経営者が適切な買収防衛策を導入しないことによる
善管注意義務違反を問われる可能性があるのでしょうか?

グリーンメールなどで、売り抜けられたとしても、
会社に損害が生じてなければ問題はないと思いますが、
買収者によって経営陣が入れ替えられ、
重要資産の売却やノウハウの流出、資産を売却して高配当させた場合など、
会社に損害が生じる可能性もあるのではないかと思うのです。

このような場合に、買収者の買付に応じなかった株主から、
(重要資産を売却した買収者が送り込んだ経営陣に対しての
 損害賠償というのが筋だとは思いますが)
「適切な買収防衛策を導入しないことにより被った会社の損害」
として、旧経営陣が株主代表訴訟を提起される可能性はあるのでしょうか?
またそれは認められるのでしょうか?

サミー先生のお考えをご教示いただけたら幸いです。

投稿: 防衛担当新人 | 2007年3月 6日 (火) 16時34分

会社法203条3項の読み方について質問致します。
同項柱書きによりますと、「・・・次の各号の区分に応じ、当該各号に定める方法によって定めなければならない。」とあります。そして、同項3号には、「当該募集事項及び第1項各号に掲げる事項を取締役会の決議によって定めることができる旨の定款の定めがある場合(次号に掲げる場合を除く。) 取締役会」とあります。そうしますと、定款で、「取締役会の決議で定めることができる」という定めをしている場合、上記柱書きからしますと、必ず取締役会で決議しなければならないように読めるのですが、それでよろしいのでしょうか?定款で、単にできると定めているだけなので、株主総会で決議することは差し支えないように思うのですが、上記柱書きから、株主総会決議で定めることは許されないというのは不合理なように思うのですが?

投稿: もも | 2007年3月 6日 (火) 17時22分

上 様

本日のお題と異なるので申し訳ありません。会社法の世界で、取締役会の計算書類の承認と監査役の監査の順番が変更になりました。
そこで、素朴な疑問ですが、取締役会+監査役会の会社で、監査権限を会計監査に限定した中小会社において、剰余金の配当について再度、監査役の監査を受けて、適正意見をだされたものを、取締役会において、その金額を法令・定款に定める適法の範囲内で、増減し、監査役の監査をうけずに、そのまま、定時総会を開催することは可能なのでしょうか。できるとして、その根拠はどの条文からよみとるのでしょうか。教えてください。総会・取締役会の承認事項となっていますが、特定取締役が作成し、特定監査役が受理し、監査役が適正と意見したものを取締役会で、修正することができるものなのかわかりません。教えてください。

投稿: bara3 | 2007年3月 7日 (水) 21時49分

 株主との合意による自己株式の取得についての質問させてください。発行会社と株主との売買成立日はいつになるのでしょうか?

 ①申込期日(会159条2項)
 ②申込期日は株主に売主となる権利を割り当てる日であって、その後に発行会社と個々の株主が売買を行う。したがって、売買成立日は個々の株主によって異なる。
 
 ①と解した場合は、株券発行会社であっても株券の引渡しは効力発生要件ではないと解することになると思われます。会128条1項との関係が不明です。

投稿: aritam | 2007年3月31日 (土) 17時20分

株主提案議題についてご教授願います。
1.当該会社は当期の定時株主総会で取締役の任期満了による改選時期
2.株主から、この役員改選にあたり提案があり議題に載せるよう要求を受けた
3.会社は、この提案を受けいれることが出来ないので、(招集通知の開催目的  に記載しない)法で定められている株主提案権の「総会の8週間前まで」とい  う期間を考慮に入れ、株主提案を排除する為、総会開催日を早目に設定開催  することを決定した
以上の状況で、
イ.会社及び取締役&監査役の行為に法的な問題は無いか
ロ.株主提案を受けた後に取締役会で総会開催日を決定した場合でも,全く招   集通知に記載せずに放置してよいか
ハ.提案した株主が、招集通知を入手後「総会に出席し席上」で会社の原案に   対し修正提案をする事は有効か
ニ.上記の修正提案が有効である場合、それを受けて当日の総会の場で賛否を  問わなければならないのか
尚、当該会社は非公開会社の大会社です

投稿: osarumochi | 2007年4月19日 (木) 14時59分

議決権行使についての書面投票制度の採用について、取締役会の決議があれば、次年度以降の株主総会では決議が不要である。という法的根拠はどこにありますか?

投稿: 象さんのポットですたい | 2007年5月24日 (木) 00時07分

お忙しいところ申し訳ありません。
どうしても腑に落ちないのでお教え下さい。

会社法108条2項1号では、発行可能種類株式総数及び
「当該種類の株主に交付する配当財産の価額の決定の方法、剰余金の配当をする条件その他剰余金の配当に関する取扱いの内容」
を定めなければならないとあり、
同3項では、
「前項の規定にかかわらず、同項各号に定める事項(剰余金の配当について内容の異なる種類の種類株主が配当を受けることができる額その他法務省令で定める事項に限る。)の全部又は一部については、当該種類の株式を初めて発行する時までに、株主総会(取締役会設置会社にあっては株主総会又は取締役会、清算人会設置会社にあっては株主総会又は清算人会)の決議によって定める旨を定款で定めることができる。この場合においては、その内容の要綱を定款で定めなければならない。
とあります。
2項と3項を素直に読めば、
”定款への定めは、前項(2項)だけでいいのだが、前項のうちの全部又は一部についての決定については、その株式の内容として、実際にその株式を発行するとなったときに、(取締役会等での)決定ができると定めてもいいよ”」と解釈するのではないかと思うのです。

この場合、2項1号の「当該種類の株主に交付する配当財産の価額の決定の方法、剰余金の配当をする条件その他剰余金の配当に関する取扱いの内容」の記載から解釈するに、配当財産が金銭の場合でも具体的金額まで定める必要はないと思うのですが、学者さんの本その他一般に出回っている書籍では、
”配当財産が金銭の場合は、本当は定款上に具体的金額まで記載しなければならないのだが、実際に発行するまでには、社会情勢の変化等で適正価格が変動するだろうから、そのときまで決定を猶予している」といったニュアンスで書かれています。

また、会社法基本通達(平成18年3月31日第782号)では、P14~P16において、実際に発行する決議をし、同時に具体的な金額を決定した場合は、それまで、「1株当たり300円を限度として先に配当する」という定めをしていた場合は、「1株当たり300円を先に配当する」というように、確定額として登記を変更しなければならないとされています。

そもそも、優先配当株式だからといっても会社に剰余金がなければ無配の場合もあるわけですし、「1株当たり300円を先に配当する」と定めても、あわせて、
「300円に達しない場合であっても、その不足額は翌期以降填補しない」と
定めれば、結局250円の場合でも何ら問題ないわけです。

さらに、実際に発行する際に確定額である300円と定めてしまったら、その額が
その株式の内容として確定するので、
同じ(だと思っていた)株式を追加で優先額250円で発行しようというときは、
実は同じ株式ではなく、違う株式となり、定款変更が必要となるのだと思います。

長い前置きになってしまいましたが、
条文上は、配当財産が金銭の場合、具体的な金額まで定めなさいと書かれていない(と解釈できる)ので、
①最終的には、発行するときまでに具体的金額を定める必要があるというのは本当に正しいのでしょうか?
②正しい場合、大変不躾なお願いですが、私のヘリツクを覆すその理由をお教え下さい。

投稿: よっパー | 2007年11月21日 (水) 22時20分

質問 会社法34条についてご教授願います。会社法34条中に「1.発起人は、設立時発行株式の引受け後遅滞なく、・・・・・・」
とありますが、遅滞なくとは具体的にはどのくらいの期間内を指すのでしょうか。例えば発起人が一人の場合に払込が一年後であったとしても設立登記は有効なのでしょうか。

投稿: 法タマゴ | 2009年6月21日 (日) 14時48分

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