« 【入門】発起人の権限(3) | トップページ | 附属明細書の記載事項 »

2007年1月25日 (木)

【入門】発起人の権限(4)

 前回は、発起人の権限と設立費用の関係についてお話ししましたが、一点だけ、設立費用について、補足します。

 会社法の本を読んでいると、たまに
「発起人が設立前に支出した費用を第三者に支払った場合は、発起人は、定款に記載されている費用の限度で、検査役の調査や裁判所の監督・創立総会の承認を経たことを条件として、会社に求償することができる」
という記述があります。

 この記述には、不正確な点がいくつか紛れていますが、どこか、分かりますか?

 まず、変態設立事項について、「創立総会の承認」というものはありません。
 発起人は、検査役の報告内容を、創立総会に提出しなければいけませんが、それは報告事項であり、「承認」は不要です。もっとも、創立総会が変態設立事項について定款変更をすることはできます。

 次に、変態設立事項の記載がある場合、検査役の調査が必要であり、裁判所が、不当であると認める場合には、変更命令が発せられますが、変態設立事項の効力が認められるかどうかは、「定款への記載の有無」だけが要件であり、検査役の調査(それに続く裁判所への報告等を含め)は、要件となっていません。
 変態設立事項の記載がある場合、33条10項の例外要件を充たさない限り、検査役の報告に関する書面を添付しなければ、設立の登記ができませんから、事実上、「定款に記載はあるが、検査役の調査を受けていない」という場面は極めて希ですが、条文の正確な理解のために、検査役の調査は要件ではないということは認識しておいた方がいいと思います。

 余談めいた話は、そのくらいにして、今日は、
  開業準備行為
についてお話ししましょう。

③ 財産引受け
 前三回で、何度もお話ししたように、財産引受けというのは、発起人が、設立前に、設立後の会社のために財産を購入することです。
 発起人が、設立のために必要な財産(定款を印刷するための用紙等)を購入するのは、財産引受には含まれず、設立事務で使う財産以外の財産の購入が財産引受になります。
 
 当然のことですが、財産を「売却」することは、財産引受にはなりません。
 設立前に、商品を売ったりすると事業をしたことになってしまい、「会社の成立前に当該会社の名義を使用して事業をした者は、会社の設立の登録免許税の額に相当する過料に処する。」(979条1項)ということになるので、注意してください。

 さて、定款に記載の「ある」財産引受が、設立後の会社に効果が帰属する(=会社が財産を取得する代わりに、代金の支払い義務も負う)ということは争いはありません。
 また、定款に記載の「ない」財産引受は、設立後の会社に効果が帰属しないという点も争いがありません。

 争いがあるのは、後者の場合(定款に記載のない場合)に
 設立後の会社が「追認」することができるか。
ということです。

 この問題については、理屈で説明するパターンと、28条の趣旨から説明するパターンの2種類の説明の仕方があります。

 理屈で説明する場合は

 ・追認否定説 設立中の会社は、設立を目的としているから、その実質的権利能力は、原則として、設立準備行為にのみ及ぶから、例外である28条2号の要件を充たさない以上、当該財産引受は、実質的権利能力の範囲外の行為となり、絶対的無効である。

 ・追認肯定説 設立中の会社の実質的権利能力は、開業準備行為にも及んでいるから、28条2号の要件を充たさない場合でも、効果帰属の余地はある。

という対立であると説明します。
 
 難しいことを言っているようですが、自然人に置き換えて説明すると、
 追認否定説 「死人であるサミーさん=権利能力なし」を本人として、無権代理人が行為を行った場合、その行為は、追認しようがない
 追認肯定説 「生きているサミーさん=権利能力あり」を本人として、無権代理人が行為を行った場合、追認することができる。
と言っているような話で、大した理屈ではありません。
 
 しかし、この理屈による説明は、「設立中の会社の実質的権利能力」という明文のない世界において、お互いにマニアックに論争しているだけですから、どちらの説に立つにせよ、会社法28条2号の趣旨から実質的権利能力の範囲を説き起こさざるを得ません。

 とすると、実質的権利能力の範囲などという理屈っぽい話は止めて、
 28条2号の趣旨
 =円滑な開業のために発起人に財産引受を認めているが、財産の価額を不当に高く評価する等して会社の健全な設立を害することがないように、原資定款への記載を要求している。
という立法趣旨を実現するためには、追認を認める方がいいのか、認めない方がいいのか、という点から論じれば十分であると思います。

 この点について、追認肯定説は、
   会社は、追認する義務はないので、有利と思えば追認すればいいし、不利なら追認しなければいい。
   例えば、財産引受契約後に、財産が値上がりしている場合には、新たに契約を結び直すよりも、追認して、昔の価格で締結した契約を選択する方が得でしょ。
と主張しています。さらに、追認肯定説は、旧商法時代は、財産引受の規定(特に検査役の選任・裁判所の変更命令)の趣旨を没却しないように、
  「事後設立の規定を類推適用すべきである」
というフォローをしていました。私も、司法試験受験時代は、追認肯定説を採っていましたので、肯定説の言い分も分からないわけではありません。

 しかし、会社法では、事後設立は、変態設立事項ではなくなり、検査役の検査等は不要になりました(総会決議は必要です)から、財産引受の手続と事後設立の手続に大きな差が生じてしまいました。

 それにもかかわらず、「有利な場合にのみ追認すればよい」という考えを取ってしまうとどうなるでしょう。
 例えば、松真さんが90%、湯水さんが10%の株式を引き受ける予定で、二人が発起人となって会社を設立するとしましょう。
 松真さんが、自分の持っている中古のHなDVDを1本3万円で、会社に買わせようと考えたとき、松真さんは
  財産引受を定款に記載するためには、発起人全員の同意が必要だけど、湯水さんは、こんな値段じゃ納得しないだろうなあ。
  しかも、検査役に検査されて、裁判所に報告されると、裁判所の変更命令が出される可能性もあるな。今の民事8部の裁判官は、昔、一緒に仕事をしていた後輩だから、俺が、HなDVDを3万円で売りつけたと分かると恥ずかしいし。
  定款に書かずに、設立後に代表取締役になってから、追認した方がいいな。
と考えるかもしれません。そのことを解答例では
  「当初から追認を予定して法定の手続を無視した財産引受をすることを誘発するおそれがある」
と表現しています。

 また、財産引受契約の相手方が第三者の場合である場合、追認肯定説に立つと、発起人が、定款に記載のない財産引受をもちかけ
  「必ず追認するから心配しなくていいよ」
とか言いそうですが、追認否定説だと、そういう話もできませんから、その意味でも追認否定説の方が、定款に記載のない財産引受契約の締結の抑止につながります。
 
 そうした点からすれば、追認否定説の方が、
  発起人は、設立事務の担当者であり、業務の決定を行う立場にはないから、財産引受という業務に密接に関連する行為は、法定の要件を充たしたときだけ認められる特別な行為である
という28条の趣旨に合致すると思うので、解答例も判例と同様、追認否定説を採っています。

④ 財産引受以外の開業準備行為

 次に財産引受以外の開業準備行為です。事務所の賃貸や事業資金の借入等が、これにあたります。

 さて、28条は、この財産引受以外の開業準備行為については、何も触れていませんから、当該行為には、28条は適用されません。

 28条の適用がないものとしては、
  ① 設立を直接の目的とする行為(28条4号かっこ書)
がありましたが、こちらは、
  発起人が定款に記載されていなくても当然に「できる」行為
ということで、28条が適用されません。

 これに対し、今回の④財産引受以外の開業準備行為は
  発起人が、定款に記載しても、そもそも行うことが「できない」行為
ということで、28条が適用されないという違いがあります。

 ①も④も、「28条の適用がない」という点では同じなのに、なぜ結論が正反対かというと
  発起人は、設立事務の担当者であり、設立事務はできるが、開業準備行為はできない
という「書かれざる原則」があるからです。
 そのため、28条という条文は
  設立に関する行為(28条1号3号4号)については、定款に記載がない限り、無効になるという「制限規定」として働き
  開業準備行為(28条2号)については、定款に記載があった場合には、有効になるという権限の「拡張規定」として働く
という2面性を持っていることになります。

 こうした考え方に対して
 財産引受以外の開業準備行為についても、28条2号を類推適用して、定款に記載があった場合には、有効にするべきである(28条2号類推適用説)
が存在します。

 この考え方は、開業準備をより円滑にできるようにしようという価値観に基づくものだと思いますが、発起人は、設立事務の担当者に過ぎないのですから、法律が認めた以上の開業準備行為を行わせるのは妥当ではありません。

 発起人は、経営の専門家として選任された者ではないのですから、定款に記載すれば、何でもできると考えるのは、会社の設立の健全性を害するおそれがあります(特に、28条2号類推適用説と③の追認肯定説が結びつくと、危険はもっと高まります)。

 こうした観点から、解答例は、28条2号類推適用説を否定して、財産引受以外の開業準備行為は、常に、無効であるという結論をとっています。

<最後に>
 4回にわたって、発起人の権限について説明してきましたが、私の考え方を一言でまとめれば
  28条を「発起人の権限」を定めた規定と考えれば、各論を含めて一貫して説明できるし、結論も妥当なところに落ち着く
ということです。
 判例実務と学説との対立が根深いところで、判例が目の敵のようにされるところではあるものの、私は、判例実務の方がよっぱど優れた見解だと思うのですが、いかがなものでしょうか。

(質問コーナー)
Q1
決算スケジュールで4週間または1週間を経過した日が土曜日の場合は・・・とい質問に対し、先生は「休みは、関係ないです。休みでも受け取ってください。」とご回答されておりますが、そうは言うものの、世の中の活動が休みであれば、現実不可能だと思います。本当に休みは関係ないのでしょうか。かなり納得いかないです。この場合は月曜日にあたる日ではないのでしょうか。必ずご回答願います。
投稿 ケンチャンの質問にさらに質問 | 2007年1月23日 (火) 21時11分
A1
 既に回答したとおりです。
 他の方もお答えになっていますが、起算日の調節や提出日を話し合うことで、対処可能な問題です。

Q2
 会社法789条3項括弧書きに(吸収分割をする場合における・・・)とありますが、どうして「吸収分割」の場合だけに限定されているのでしょうか?
吸収合併における吸収合併消滅株式会社の場合も、存続会社に不法行為によって生じた債務が承継され債務者が変わるわけですから、消滅会社の債権者への催告の重要性は変わらないと思うのですが。
A2
 まず、前提の確認ですが、789条3項は、債権者保護手続を二重公告によって簡略化できるという規定であり、債権者保護手続を不要にするものではありません。したがって、リスクが高いものだけについて簡略化を認めないという発想があります。
 合併の場合は、法人格が一つになってしまうのに対し、吸収分割の場合は、資産の一部しか移転せず、債務の切り離しに利用されるおそれがあるので、リスクの高い後者についてだけは、簡略化を認めていないのです。
 
Q3
会社法789条1項2号に、「債務の履行を請求することができない吸収分割株式会社の債権者」とありますが、具体例としてはどのような債権者の事を指すのでしょうか?
吸収分割は業務に関する権利義務が承継されるわけですから、承継された債務の債権者は基本的に吸収分割後吸収分割株式会社に対して履行を請求できないのではないのかなと思うのですが。
A3
承継会社に承継される債務の債権者です(承継後も分割会社が保証するような場合は除きます)。

Q4
会社法309条3項1号の特殊決議は、種類株式発行会社が同内容の定款変更をする場合には適用されないようなのですがなぜでしょうか?
問題集の解説などには、特別決議(309条2項前段11号)が適用されているのですが理由が記載されておらず分りません。
種類株式発行会社とそうでない会社とで、なにか大きな違いがあるのでしょうか?
投稿 虹色魂 | 2007年1月23日 (火) 22時31分
A4
種類株式発行会社では、複数の種類株式に一つ一つ譲渡制限を設けることができますが、「その発行する全部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設ける」ことはできません。

Q5
取締役会設置会社の業務執行取締役について
363条1項二号の取締役を選定する取締役会では、「どの程度」の決議内容が必要でしょうか。例えば、●●氏を専務取締役に任じる、としただけで担当業務の範囲を定めない場合、会社の全般的な業務を執行する権限(例えば、事務所の賃貸契約や取引に付随する機密保持契約の締結権限)があるのでしょうか。また、「常務取締役」でも結論は同じですか。
A5
専務・常務が何をするかは、各会社で決めることです。
通常は、分掌規程があって、その規定の範囲の権限があるはずです。
そういうものがないならば、決議の趣旨から推認するしかありません。

Q6
取締役会で平取締役をある事業部門の「分掌」(社内では担当取締役といってます。)とした場合、取締役会決議を経るべきものを除けば、その事業部門の全ての業務を執行できると考えて問題ありませんか。
A6
それも、各会社が決めることです。

Q7
従業員である部長課長等に一定の物品調達権限、契約締結権限等を与えているのですが、これは法的にはどのように論理付ければよいでしょうか。
投稿 新任取締役 | 2007年1月24日 (水) 00時10分
A7
 通常は、使用人に代理権を与えていると解釈するのだと思います。

Q8
私の会社で、定款の見直しをすることになりました。
閉鎖会社で、株式の譲渡制限については定款にすでに規定されているのですが、株式の質入や信託についても制限をかけたいのです。
(以前、オーナーの変更があり、旧オーナー側の株主がまだいるため、
旧オーナー側の株主から株式が拡散することを可能な限り防止したいのです。)

①会社法では、質権の設定自体は直接制限できないようなのですが、
定款で規定すれば、制限は可能なのでしょうか?

②定款での定めで制限ができないとしても、定款上の定めで、質権設定を
しにくくする方策はないでしょうか?
投稿 法務部員 | 2007年1月24日 (水) 11時07分
A8
 信託は、譲渡なので、譲渡制限がかかると考えていいでしょう。
 質入を制限するのは、なかなか難しいですね。定款で定めても、効力はないと思います
 実行時には、譲渡制限がきくので、拡散のおそれはないですが。
 質入を制限するために、会社と株主で契約を結ぶことは考えられると思います。

Q9
自己株式の消却について質問させて頂きたくお願いします。
企業会計基準委員会・企業会計基準第1 号「自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準」(最終改正平成18 年8 月11 日)には、以下の記述があります。
「45. 従来、本会計基準では、資本剰余金又は利益剰余金のいずれから減額するかは、会社の意思決定に委ねることとし、消却した場合に減額するその他資本剰余金又はその他利益剰余金(繰越利益剰余金)については、取締役会等の会社の意思決定機関で定められた結果に従い、消却手続が完了したときに会計処理することとしていた。しかしながら、会社計算規則において優先的にその他資本剰余金から減額することが規定された(会社計算規則第47 条第3項)ため、平成18 年改正の本会計基準では、これに合わせることとした。また、自己株式を消却したことにより、会計期間末におけるその他資本剰余金の残高が負の値となった場合には、その他資本剰余金を零とし、当該負の値をその他利益剰余金(繰越利益剰余金)から減額することとした(第12 項及び第42 項参照)。」
そこで、質問です。
上記会計基準によれば、その他資本剰余金がない場合、自己株式消却は繰越利益剰余金を減額することで会計処理するということになると思いますが、消却分に対応する繰越利益剰余金がない場合、自己株式消却の際に繰越利益剰余金をマイナス(負の値)にし、その後の定時株主総会において剰余金の項目間の計数を変更(別途積立金の取崩し)することにより繰越利益剰余金のマイナスを消す、という対応は法的に許されますでしょうか?
投稿 あつし | 2007年1月24日 (水) 14時44分
A9
 会社が、独自に、その他利益剰余金を、繰越利益剰余金と別途積立金に分けて計上している場合に、繰越利益剰余金をマイナスにしていいかどうかは、その会社が決めたルールにしたがって行うことです。

Q10
以前このブログで、会社法には「普通株式」という定義はなく、「普通株式」も「種類株式」だというお話がありました。
私もまさにそのとおりだと思いますが、多くの会社は「普通株式」の内容を定款で定めていません。
私としては、定めた方が良いと思うのですが、ちょっと恥ずかしいです。
大人の世界ではどうなっているのでしょうか?
投稿 パラリーギャル | 2007年1月24日 (水) 16時46分
A10
 特別の定めがないものを「普通株式」と呼んでいるので、その内容を定款で定めることはしていないのです。もし何かを定めても、会社法で定めた内容を確認したものにすぎないので、その定め自体に独自の効力はありません。

Q11
内部統制の関係でおたずねします。
監査役の職務を補助する使用人である、監査役室の長が出張をする場合、その出張命令をするのは会社の取締役ではなく監査役である必要があるでしょうか。
取締役が出張命令や出張旅費に関する承認行為を行うとしても、実際上は監査役の意思に反して否認することはないということであれば、特に問題視する必要はないと見てもよいでしょうか。
投稿 smoky | 2007年1月24日 (水) 17時15分
A11
監査役が、大阪支店の支店長であるA取締役の不正行為について秘密裏に調査しようとしているときに、A取締役の出張命令や出張旅費に関する承認行為が必要であるとすると、まずそうですね。

Q12
取締役会において、特別利害関係を有する取締役は「議決に加わることができない」とされており、100問の256頁に「当該決議につき議決権を有しないばかりでなく、当該決議に至る審理に加わることもできないと解される。」とありますが、当該議案の内容の説明者になることは問題ないでしょうか?

例えば、取締役・会社間の自己取引の承認議案などにおいては、当該取引の当事者である取締役(=特別利害関係人)が最も当該取引内容に詳しいはずですし、説明もできないとなれば、それこそ十分な審理・決議ができないと思われます…。
投稿 グッジョブ | 2007年1月24日 (水) 17時29分
A12
取締役会に参加している取締役が、特別利害関係取締役に説明を求めることはできます(1月30日訂正)

Q13
本日のQ4の発起人の議決権基準と頭数基準につき、ご丁寧な説明をありがとうございました。
先生は、募集設立のお話をされていましたが、取締役会を置かない会社(設立後は株主総会で代表取締役を選定する会社)の発起設立の場合には、発起人が設立時代表取締役を選定するのは、設立時取締役と設立時代表取締役の地位が一体ですので、共に株式引受人(出資者)としての立場ととらえ、発起人の議決権基準でよろしいでしょうか(1000問では、この場合も頭数基準にみえますが)。
以前は、会社設立前の登記に絡む事項では、取締役会の議事録を付けていた(発起人の頭数基準が適用になる場面はなかった)のですが、会社法では、発起人の権限が増えてしまい、困惑しています。
投稿 教えて下さい2 | 2007年1月25日 (木) 00時08分
A13
 「設立時取締役と設立時代表取締役の地位が一体」の意味がよく分かりませんが、代表取締役を定めないのならば、発起人の議決権の過半数で設立時取締役を選ぶだけですよね。
 それを超えて、設立時取締役の中から設立時代表取締役を選定するのならば、それは頭数基準です。

Q14
累積投票について質問させてください。
会社法347条(種類株主総会における取締役の選任)では、会社法342条(累積投票による取締役の選任)の規定を読み替えていないのですが、種類株主総会においては、累積投票による取締役の選任をすることができないものと考えてよいでしょうか。
理由も簡単で結構ですので教えてください。お願いします。
投稿 H.K. | 2007年1月25日 (木) 02時01分
A14
 種類株主総会では、累積投票請求権はありません。

Q15
2006年12月22日改正後会社計算規則第59条第2項第3号の読み方についてです。

①完全子会社同士(兄弟会社間)の無対価吸収合併ではイとロのいずれが適用になるのでしょうか(あるいはそれ以外?)。
②完全子会社同士(子孫会社間)の無対価吸収合併ではイとロのいずれが適用になるのでしょうか(あるいはそれ以外?)。
③①と②でロが適用になるとすると、合併契約書において、会社計算規則59条を適用する旨の記載をすることを要するのでしょうか。

特にイの読み方が分かりませんでした。1項で2項を見ろと言っておきながら、2項で1項を見ろと言っているので、たらいまわしにされているような気がしてしまいます。
2項の1号と2号を満たしていれば、(1項を満たしていることになり、)自動的に2項3号イを満たしていることになるのでしょうか。
投稿 まいたけごはん | 2007年1月25日 (木) 10時18分
A15
 2項3号イの「すべき場合」は、1項とは関係ありません。会計基準で、1項の規定に従って計算すべき場合を意味します。したがって、1項と2項でたらい回しにしているわけではありません。
 会計基準どおりの処理をしてください。

Q16
会計監査人設置会社で且つ監査役会設置会社における計算書類の監査に関して質問させてください。

①株主に対して行う提供計算書類の提供に関しては、監査役「会」の監査報告で足りますが(会社法437条、436条、会社計算規則161条1項3号ホ)、
②計算書類の備置(会社法442条)に関しては、「各」監査役の監査報告が必要である、と聞きました。

②を裏付ける根拠条文、及び、①と②で取扱いが異なる根拠をご教示くださると幸いです。本店に来社すれば、より詳細な情報を得られるようにするためでしょうか?

投稿 ヒゲマン | 2007年1月25日 (木) 11時11分
A16
 監査役会設置会社は、監査役が監査報告を作り、監査役会も監査報告を作成します。442条は、単に「監査報告」と規定していますから、双方が対象になります。
 これに対し、437条は、法務省令に方法を委任し、規則161条1項3号ホにおいて、監査役会設置会社においては監査役会の監査報告でけを提供すればいいと規定されています。
 なぜ違うかといえば、株主に提供する場合に、似たようなものをいくつも提供しても意味がないから監査役会のものだけで十分だし。逆に、閲覧においては、監査役会の監査報告の検証のために、監査役の監査報告を見たいという人もいるからです。

|

« 【入門】発起人の権限(3) | トップページ | 附属明細書の記載事項 »

コメント

サミー先生、質問をお許しください。(もし、既出でしたら申し訳ございません。)
千問のQ694に「剰余金の配当の原資」のご説明がありまして、その他資本剰余金とその他利益剰余金のどちらを減少させるかは、株式会社が適宜定めるとされております。(ちなみに、既出かもしれませんが、根拠条文が「計45条1項2号・2項2号」となっているのは、「計46条1号・2号」の誤植でしょうか?)
それで、質問なのですが、「その他利益剰余金」がマイナスの場合でも、「その他利益剰余金」をさらに減少させて、剰余金の配当の原資とすることができるでしょうか?というものです。もちろん分配可能額の範囲内で配当する場合です。また、逆のケース(「その他資本剰余金」がマイナスの場合に、「その他資本剰余金」をさらに減少させて、剰余金の配当の原資とすること)はいかがでしょうか。

投稿: こころん | 2007年1月25日 (木) 23時39分

すみません、補足ですが、上のような質問をするのは、原資が利益剰余金か資本剰余金かで、税務上の扱いが異なるらしいからでございます。

投稿: こころん | 2007年1月25日 (木) 23時42分

本日のQ13、質問が悪く、お許し下さい。
設立分野ですので、商事法務を見ると岩崎局付のご担当かも知れません。
要するに、取締役会を置かない会社(設立後は株主総会で代表取締役を選定する会社)では、成立後は、株式数に応じて取締役も代表取締役も定めるわけですし、このような会社は、葉玉先生が10月の商事法務で執筆されたように、代表権の付与という構成を取らず、取締役と代表取締役の地位が一体であるとみているわけですが、なぜ、設立段階では、設立時取締役は発起人の議決権基準になり、設立時代表取締役は発起人の頭数基準になるのか(成立後と違う整理をしたのか)が、どうしても分からないのです。

担当者の皆さんで御検討になった末での結論なら、なぜ成立後と異なる結論にされたのかが知りたいです。もちろん、立法に100%はないと思いますので、未解決の問題であれば、そうと分かることが重要だと思います。
何度もすみませんが、よろしくお願いします。

投稿: すみません | 2007年1月26日 (金) 00時15分

サミー先生、こんにちは!

定款変更に伴う任期満了(332)の場合、権利義務の承継(346)は生じるのですか?
欠員ではなく、全員いないのだから、全員選び直すというのはわかりますが、
定款変更決議と選任決議までの間に日数がある場合は、権利義務が生じていると解して良いですか?
既出だったらすみません。

投稿: 法学ベイビー | 2007年1月26日 (金) 00時54分

すみません。もう1つご教示ください。
会社法442条1項2号で、臨時計算書類の備置き期間が「臨時計算書類を作成した日から5年間 」と定められておりますが、この「作成した日」とは、株主総会(あるいは取締役会)の承認を受けた日ではなく、実際に作成が終わった日という意味である、という理解でよろしいでしょうか?

投稿: こころん | 2007年1月26日 (金) 00時56分

サミー先生、こんにちは。

「社外役員」の要件の判定について、「千門の道標」Q397では、「当該取締役がB社の業務執行取締役であった時点においてB社がA社の子会社でなかったならば、現時点で子会社であるとしても、社外性は認められる」と説明されています。
これを株式移転の場合に当てはめて考えると、設立される完全親会社の社外取締役を選任する場合、「子会社となる会社」の業務執行取締役であったものが完全親会社の成立と同時に退任すれば、完全親会社における社外役員としての要件を満たすことになると思われますが、この理解で正しいでしょうか?

以上、よろしくお願いします。

投稿: | 2007年1月26日 (金) 08時59分

 サミー先生こんにちは。ご教授ください。

1.会計監査人と株主総会
 398条2項は、「定時株主総会において会計監査人の出席を求める決議があったときは、会計監査人は、定時株主総会に出席して意見を述べなければならない」とします。
 ここに出てくる2つの「定時株主総会」は、同一の総会を指しているのでしょうか。そうだとすれば、会計監査人は、総会には出席義務がないものの、呼び出されたらすぐに出席可能であるという状態で総会会場の近くで待機しておく必要があるということでしょうか。

2.設立時株主
 65条1項は、「設立時株主」を「50条1項又は102条2項の規定により株式会社の株主となる者」と定義しています。
 「設立時株主」が「株主」になる瞬間は、両条を読めば分かります。では、発起人や一般人が「設立時株主」になる瞬間というのは、いつなのでしょうか。ともに出資の履行時でしょうか。

投稿: 探偵 | 2007年1月26日 (金) 09時00分

非常に明快で、説得力あるご説明に、すごいな~と思っていた最後の最後で、
→【入門】会社法であそぼ(4)
 こういう単純なことやってしまう、そんなサミー先生が好きです(笑)。

(軽く受け流して下さいね。冗談ですから(笑))

投稿: トライヤン | 2007年1月26日 (金) 09時52分

サミー先生 こんにちは

ここ最近盛り上がっていた、決算スケジュールにおける監査報告の提出についてのレスを見ていて、一つ気付いた点があるので質問させてください。

計算規則の規定では、監査役が監査報告を提出すべき期間として、先ずは最低でも4週間の期間を与えるものと読めます。しかし、4週間を下回る期間を、予め取締役と監査役の法的合意により決めることはできないが、事実行為として監査役が4週間より前に提出することは構わないですよね?

だとすれば、取締役が監査役に対して次のような催促をすることは有効なのでしょうか。

「○月○日までに監査報告をいただければ、有難いんですが…。」
「○月○日に総会を開催したいんで、早めに監査報告をいただけないでしょうか」

また、、複数の取締役がいる会社で、監査報告を受けるべき特定取締役が決まっていない場合には、いずれか1人の取締役に対して通知すれば足りるのでしょうか?

くだらない質問で申し訳ないです…。
お忙しいようであれば、無視して下さって構いません。

投稿: ここあ | 2007年1月26日 (金) 11時15分

サミー様

ひとつ質問がありますので、ご教授ください。
普通株式のみを発行している会社が、発行済の普通株式の一部(例えば、10%について、無議決権株式とする)を種類株式に変更することは、会社法上可能となるのでしょうか。

文献を読む限り、旧商法では、株主全員の同意があれば、普通株式の一部を種類株式に変更することが可能であるとする解釈があり、登記も認められているようでした(稲葉威雄著編「実務相談株式会社法 補遺」(商事法務)54頁)。

会社法においては、当該普通株式の内容の変更は、会社法322条第1項第1号ロの株式の内容の変更に該当し、普通種類株主総会の特別決議を得ればよいのでしょうか。それとも会社法第321条によって種類株主総会の決議事項ではないものとされ、旧商法下のように全株主の同意を得ることが必要となるのでしょうか。それとも別の手続が要求されるのでしょうか。

よろしくお願いします。

投稿: ネロ | 2007年1月26日 (金) 14時58分

サミー様、株式会社の清算手続の経過措置について教えてください。
会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第108条では、会社法施行前に生じた旧商法第404条各号に掲げる事由により旧株式会社が解散した場合における新株式会社の清算について、なお従前の例による旨が規定されておりますが、旧商法第406条ノ3第1項により解散がみなされた場合の株式会社の清算手続の経過措置については明確に規定されておりません。当該事由により解散した場合、その清算手続は旧商法と会社法のどちらの手続によるべきでしょうか。本件のようなケースの場合で、債権者保護手続の一つである官報への公告掲載を旧商法に従って3回行っている会社もあるのですが、他方でみなし解散となった会社は当時の株主や取締役が不明になっている場合もあり旧商法にのっとって手続をするのが難しいところもあります。旧商法で定める清算手続よりも簡便な手続となる会社法で清算手続ができれば、会社の実態に合った清算手続を執ることができるのではないかと考えています。宜しくお願いいたします。

投稿: きゅーちゃん | 2007年1月26日 (金) 15時51分

サミー様、清算株式会社の代表者について教えてください。
会社法第483条第1項ただし書において、「代表清算人その他清算株式会社を代表する者」とありますが、前者の「代表清算人」と後者の「その他清算株式会社を代表する者」とで何らかの違いがあるのでしょうか。同条第3項では、代表清算人の選定方法について、「定款の定めに基づく清算人の互選」とありますが、定款においてこのような規定のない清算株式会社が清算人の互選により代表清算人を定めた場合であっても、かかる選定は法的効力を有さないのでしょうか。それとも、同条第1項の「その他清算株式会社を代表する者」を選定したとして、有効に効力を生じるのでしょうか。また、かかる選定が仮に有効である場合、代表清算人として登記することに問題はありませんでしょうか。
宜しくお願いいたします。

投稿: きゅーちゃん | 2007年1月26日 (金) 16時50分

先生に、株主資本等変動計算書についてお伺いさせてください。

財務諸表等規則99条において、
「株主資本等変動計算書は、様式第四号により記載するものとする。」
とあり、様式は各項目が横並びになるもののみ認められていると思うのですが、
これは招集通知と併せて株主に提供するものについても適用されるのでしょうか?
それとも、各項目を縦に並べる様式も認められるのでしょうか?

招集通知状のサイズが縦長なため、検討しております。
どうかご教授いただければと思います。

投稿: マルコ | 2007年1月26日 (金) 17時39分

サミー先生、いつもお世話になっております。
貸借対照表要旨の公告に関する細かい質問なのですが、明確に解説の
ついている資料が見つからず困っております。よろしくお願い致します。

会社計算規則第168条2項の「・・・引当金ごとに他の負債と区分しなければ
ならない。」の解釈及びその結果としての取り扱いが分からず悩んでおります。

利害関係人の数が多い等の理由から、通常は、公開会社の開示(=公告)の
方が、非公開会社の開示(=公告)よりも、その内容を詳細に表示することを
求められると思うのですが、当該168条2項及び同条4項の規定はこの真逆で
あるように読めてしまいます。

つまり、168条4項で、公開会社について「・・・重要な適宜の項目に細分しな
ければならない。」と規定されている結果、会社が行う重要性の判断いかん
により、当該引当金の個別表示を割愛することも可能となっています。
一方、168条2項で、非公開会社について「・・・引当金ごとに他の負債と区分
しなければならない。」と規定されているため、当該引当金の個別表示を
強制され、当該個別表示を割愛する余地はなくなっています。
これは、前段落で説明した、
・公開会社→詳細公告が強制される
・非公開会社→選択により非詳細公告も可能
という通常の感覚に反する気がするのです。
当該168条2項と同条4項の関係及び解釈の仕方を教えてください。

また、官報に掲載されている最近の実例を見る限りでは、引当金ごとに個別
表示をしている非公開会社の実例は皆無です。この場合、上記の解釈を前提
としますと、168条2項に反した公告を行っている非公開会社がほとんど、
という状況になっていると思われますが、これはどのような取り扱いになって
いるのか教えてください。

以上、細かい点で恐縮ですが、当該条文を書かれた方の意図も併せて
ご教授ください。

投稿: のっぽ | 2007年1月27日 (土) 01時40分

サミー先生、少し前の記事の質問で申し訳ないのですが。
2006年12月 5日 (火)「清算会社等に関する質問」のQ2について、
『清算合同会社が完全親会社となる株式交換は,対価が,持分以外ならば,可能です。』
との御解答でしたが、株式会社ではできず(会509条1項3号)、合同会社ではできるとした理由がいまひとつ分かりません。
株式会社と合同会社の性質の違いに由来するもののようにも思えますが、
あえて結論を分けた理由をお教えいただければ幸いです。
宜しくお願い致します。

投稿: 耳呈 | 2007年1月27日 (土) 10時50分

サミー先生こんにちは。会社法の本質とは関係ないのですが、教えてください。
会社法の条文には様々なところに「使用人」ということばが出てきますが、「使用人」には昨今よく利用する「派遣社員」は含むのでしょうか?私は、一般には使用人は雇用関係があるものであり(例:民法308条。また法律用語辞典なども雇用関係がある者とされているようです)、「派遣社員」は使用人には含まれないが、896条・975条にいう「従業者」には含まれる、と解しますがいかがでしょうか?
(にしても、何故「使用」人なのでしょうかね?「被用」人のような気がしますが。
「被用者」という言葉は年金関係で出てきますよね。
googleで「被用人」を検索すると中国語?のサイトが並びますね。)

投稿: 悩めるパパ | 2007年1月27日 (土) 17時02分

サミー先生、社外取締役に関して2点ご教示ください。

①株主総会で社外取締役として選任された者を、その後の取締役会で役付取締役(会長)に選定しても「社外性」は保たれるのでしょうか?
会長は取締役「会の長」として職務の執行だけを行い、業務の執行はしないと整理すれば社外性は保たれると思うのですがいかがでしょうか?

②「常勤の社外取締役」というのはあり得ますでしょうか?

投稿: 一目 | 2007年1月27日 (土) 20時24分

サミー先生教えてください。

会社の事業目的は定款で定める事項なので、その内容を変えるとなると株主総会で定款変更の決議が必要となるところです。
急に新規事業を立ち上げることになった場合、その新規事業が定款に事業目的として記載されていない場合は臨時総会を招集して定款変更するしかないのでしょうか?次の定時総会で「後付」で定款変更するのは問題がありますでしょうか?

投稿: 東人 | 2007年1月27日 (土) 20時51分

お世話様でございます。
株主、役員すべて東京在住のもので株式会社を設立するよていですが、その会社の本店を青森に置くことになっております。ここで質問なのですが、処理をスムーズに行うため、東京で定款作成から役員選任等すべてのことを終わらせてから、青森に出向き現地の公証人に定款認証をしてもらい、その足で法務局にて登記をしようかとおもっていますが、公証人の認証が手続きの最後になるのは何か問題になるのでしょうか?条文上、なんの問題も無いように思えますが、ご指導おねがいいたします。

投稿: 法務1年目 | 2007年1月28日 (日) 22時38分

このようなブログの存在を知って感動しています。
受験生だけでなく、実務家の方も会社法を学び続け、立法担当者を交えて思考を高めあう。素晴しいブログだと思いました。

僕は受験生なんで主として入門編を読ませてもらっています、御多忙なのは承知ですが、出来れば100問を週に1問こなす位のペースでやって頂けないでしょうか?

投稿: ロースクール2年生 | 2007年1月29日 (月) 00時21分

度々申し訳ありません。

1/25のQ&A12で、「取締役会に参加している取締役が、特別利害関係取締役に説明を求めることはできない」旨、ご回答をいただきましたが、会社法356条1項によれば、「取締役は、次に掲げる場合には、取締役会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない」(取締役会設置会社)とありますので、自己取引承認決議においては、特別利害関係取締役本人が、審議および採決に先立ち、取締役会で説明することはむしろ求められているのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

もちろん、説明を終えた後に、審議および採決に加わることはできないですが。

投稿: グッジョブ | 2007年1月29日 (月) 11時33分

サミーさま、いつもブログで楽しく勉強させていただいております。ありがとうございます。

日割配当と四半期配当に関して、お教えください。
会社法では日割配当が禁止されましたが、旧商法下の新株予約権は、日割配当を行わない場合は発行決議において配当起算日を定める必要がありました(旧商法第280条の20第2項第11号)。
当社は、旧商法下の新株予約権について、日割配当を回避するため、「新株予約権の行使により発行された株式に対する最初の利益配当金または中間配当金は、行使が4/1~9/30までになされたときは4/1に、10/1~翌年3/31までになされたときは10/1に、それぞれ新株が発行されたものとみなして支払う」と定めておりました。
当社は今般、四半期配当の実施を考えているのですが、この規定との関係が気になっております。この規定が適用されると、たとえば7/1に行使があった場合、6/30を基準日とする第1四半期の配当についても支払うことになります。
この規定は日割配当の回避が目的であり、日割配当が禁止された今、この規定自体を不適用とすることは可能でしょうか。基準日株主でない者に配当を支払うことはできないのではないかと考えます。
それとも、この規定に従い、配当を支払う必要がありますでしょうか。

投稿: しん | 2007年1月29日 (月) 13時08分

サミー先生,未熟学生である私に,教えてください。

相殺禁止(208条3項)についての質問です。同項は,「出資の履行をする『債務』と株式会社に対する債権とを相殺することができない」と規定しています。この『債務』という言葉が引っかかります。

債務というからには,債権の発生原因である契約,事務管理,不当利得,不法行為のいずれかがなければならないと思いますが,申込み+割当てが「契約」という理解なのでしょうか。これを前提とすると,この契約により,「出資の履行をする債務」(208条3項)と「出資の履行をすることにより募集株式の株主となる権利」(4項・5項)が発生するという理解でよろしいでしょうか。また,割り当てる株式数が申込株式数よりも少ない場合には,民法の議論では,割当てが新たな「申込み」となり,「承諾」がない感じです。さらに,出資の不履行(208条5項)が契約の終了原因となるという理解でよろしいのでしょうか。

投稿: とむ | 2007年1月29日 (月) 15時41分

監査役制度に関する質問です。

書面による監査役会決議が許容されないことと、監査報告は現に監査役会(会議)を開催して作成することを必ずしも要しないことととの整合性がどうしても理解できません。

(監査役会の)監査報告の作成は監査役会の職務とされているのは法上明らかです。他方、取締役会とは異なり、監査役会の場合は書面による(持ち回り)決議が不可なのも法上明らかです。とすれば、監査役会の監査報告は現に監査役会(会議・・・TV会議やTEL会議を含む)を開催して作成しなければならない筈です。(現に旧法下ではそのように理解されていた筈です。)

この謎を解く鍵は、監査役会監査報告は、監査委員会監査報告と異なり、「決議」ではなく、「審議」により作成するということにあるのでしょうか?

期末に近づき、まもなく監査報告を作成する時期になります。是非ともご教授願えればと思います。

投稿: ぽっぽー | 2007年1月29日 (月) 23時21分

サミー先生、こんにちは。ひとつ質問させてください。
株式会社同士の合併の際、合併の効力発生日をもって消滅会社は解散するため、消滅会社の監査役は、存続会社の監査役として新たに任命されない限り、合併の効力発生日をもってその任を終えるものと理解しています。
ここからが質問ですが、例えば、決算期が3月の消滅会社が4月1日に合併する場合、その前日(3月末日)までの会計年度の決算については、消滅会社の監査役による監査と監査報告は不要なのでしょうか? あるいは、存続会社の監査役が代わりにこれらを行うのでしょうか? 仮に監査報告を行う場合は、存続会社の株主総会で行うのでしょうか?
ご多忙のところ恐縮ですが、よろしくご教示願います。

投稿: やむ | 2007年2月 1日 (木) 12時26分

ご質問
会社法202条3項についてご質問させて下さい。
同条項によりますと、「・・・次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める方法によって定めなければならない。」とあり、3号で、取締役会で定めることができる旨の定款の定めがある場合には取締役会決議とあります。そうすると右のような定款規定があると、必ず取締役会決議で定めなければならないように読めます。しかし、定款で取締役会決議によって定めることができるという「できる規定」にしているにもかかわらず、取締役会決議でしなければならないというのは矛盾していないでしょうか。定款に取締役会決議で出来るとし規定していても、株主総会決議で決めることは何ら差し支えないように思えるのですが。

投稿: もも | 2007年2月28日 (水) 16時50分

ご質問
会社法202条3項についてご質問させて下さい。
同条項によりますと、「・・・次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める方法によって定めなければならない。」とあり、3号で、取締役会で定めることができる旨の定款の定めがある場合には取締役会決議とあります。そうすると右のような定款規定があると、必ず取締役会決議で定めなければならないように読めます。しかし、定款で取締役会決議によって定めることができるという「できる規定」にしているにもかかわらず、取締役会決議でしなければならないというのは矛盾していないでしょうか。定款に取締役会決議で出来るとし規定していても、株主総会決議で決めることは何ら差し支えないように思えるのですが。

投稿: もも | 2007年2月28日 (水) 16時55分

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 【入門】発起人の権限(4):

« 【入門】発起人の権限(3) | トップページ | 附属明細書の記載事項 »