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2007年1月23日 (火)

【入門】発起人の権限(3)

 前回は、発起人の行為を分類した上で、その分類は28条と、次のように関連しているという話をしました。
 A 設立準備行為 ①設立を直接の目的の行為・・・・・28条4号かっこ書
         ②設立のために必要な行為・・・・・28条4号
 B 開業準備行為 ③財産引受・・・・・・・・・・・・28条2号
         ④財産引受以外の開業準備行為・・・条文なし

 そして、
 判例・100問 28条=発起人の権限の範囲(会社に効果帰属する範囲)
         →発起人がその権限の範囲で自ら費用を支出した場合は、求償可能
 学説の多く  28条4号≠発起人の権限の範囲
         →発起人の権限の範囲について独自の理論で解釈を示す
という意見の対立があるところだというところまで、お話ししたと思います。

 今日は、上記①と②の行為について、順次、発起人の権限が及ぶかどうかを検討していきたいと思います(開業準備行為③④は次回に回します)。

① 設立を直接の目的とする行為

 ①の行為は、定款認証の手数料、定款に係る印紙税など設立に必要不可欠な費用であり、設立前に支払をしなければ、設立手続きが進まないので、普通、設立時に未払いということは考えられないものです。
 あえて言えば、払込取扱銀行の手数料・報酬は、払込取扱銀行がボーッとしていれば、未払いということも理論的には考えられますが、まあ、普通はない。
 
ですから、従来から「発起人の権限の範囲か?」ということは、あまり論じられてきませんでした。

 言い換えれば、①の行為にかかる費用については、発起人が払った上で、それを会社に求償するしかないのが普通なので、
 「定款に記載がなくても、発起人の会社に対する求償権を制限されないものは何か」ということだけが、関心事だったわけです。

 ところが、会社法になって、発起設立では、払込金を、設立前に、払込取扱銀行から下ろしてきて、それを設立費用の支払に充てることができるようになりました。

 そのため、旧商法のように「発起人の求償権の制限」の問題だけではなく、
   「発起人が、払込金(設立中の会社が実質的に所有する金銭)から設立費用を支払うことができるのは、どの範囲か?」
という問題が生ずることになったのです。設立中の会社が実質的に所有する金銭は、設立後には、当然に、会社の財産となるものですから、後者の問題は、まさに「発起人の権限」の問題として把握されるべきものです。

 この問題について触れられた基本書はあまり見たことがないのですが、私は、28条と発起人の権限をリンクさせて考えるべきであるという立場なので、

  ①の行為は、28条4号かっこ書で、定款の記載にかかわらず、「その効力」(28条)を生ずる=発起人の権限の範囲内になる

と考えていますし、②の行為についてどのような見解に立つ人も、この範囲内では、発起人の権限を認めるのではないかと思うのです。
 もちろん、未払い設立費用について、会社に一切効果帰属を認めないという後記A説に立つ論者の立場を理論的に突き詰めていけば
    発起人には、設立中の会社の実質的な所有に属する金銭の処分権はない
    =払込金から、登録免許税等を払うこともできない。
という結論を取ることになるのかもしれませんが、そのような考えは、発起設立について、払込保管証明制度を廃止し、払込金を設立費用に支出することができるようにした改正の趣旨に反するでしょう。

 ですから、おそらく①の行為については、そんなに大きな論点は存在しないのではないかと思います。

② 設立のために必要な行為
 
 これまで、盛んに論じられてきたのは、「②の行為が発起人の権限の範囲に属するか」という点です。

 何度もいいますが、私は、28条4号は、発起人の権限の範囲をも定めたものだと考えていますので、「定款に記載のある範囲では、会社に効果が帰属する」という判例と同じ見解に立っています。

 これに対し、学会では、この判例の見解では、不都合な場合があるから、今では
  「誰一人、この見解に立つものはいない」
と言われています。

 ここまで言われながら、判例の見解を支持する私は、変わり者のように思われるかもしれませんが、決して、変人と思われるために、判例を指示しているわけではありません。
 学説が「不都合」と指摘する点が、全く不都合ではないから、判例を指示しているのです。

 この不都合な点というのは、
  発起人が設立のために必要な行為を複数行った場合において、それらの行為によって生ずる債務の総額が定款に記載された費用を上回るときに、どの行為が会社に帰属し、どれが帰属しないかを判断することができない
という点であるといわれています。

 この問題意識は、もともと、定款において、財産引受と設立費用の記載の仕方に違いがあるところに起因しています。つまり、

 財産引受(28条2号)
 =定款に、財産の内容及び価額・譲渡人の氏名を記載する
 (例えば、東京都千代田区霞が関1-1-1の土地333平米・10億円・譲渡人法務太郎)
 →この場合、財産が特定されているから、有効なものと、無効なものは定款を見れば、すぐ分かる。

 設立費用(28条4号)
=定款に、株式会社の負担する設立に関する費用(28条4号)の総額を記載することもできる
 (例えば、総額1000万円以内)
→ 費用の内容が特定されていないから、どの費用が有効で、どの費用が無効になるかが、定款を見ても、分からない。

という考え方ですね。

 しかし、私は、この問題意識が、いまいち、分かりません。
 
 まず、発起人の権限の話を外れて、普通の代理の事例を想定してみます。

 例えば、株式会社正直法務が、松真さんに「1000万円の範囲内で、Hな本を買付けしてきてくれ」と頼んだとしましょう。
 そのとき、松真さんが、最初に、人妻管理出版で700万円分、Hな本の購入契約をし、その後、ロリロリ文庫で500万円分の購入契約をしてきたら、人妻管理出版の契約は有効であり、ロリロリ文庫の契約は、無権代理(越権代理)になるだけです。
 契約が代理権の範囲内で行われたかどうかを、「契約時に判断する」という点は争いないはずであり、私の知る限り、代理の議論の中で
  授権行為において、具体的な財産が特定されていないから、どの契約が有効になるか、無効になるか、分からなくなる
という話は聞いたことはありませんし、「対象が特定されていないから、発起人の権限を認めない」という学説の考え方は
  財産を特定しない限り、代金総額を限定する方法等で、代理権を授与することは認めない。
と言っているのと同じで、どうにも理解できないのです。

 もちろん、設立費用の総額によって、発起人の権限が制限されるとすると、契約の相手方は、契約をする時点で
   設立費用の余力があるかどうか
を調査しなければならないという負担を負うことになります。
 しかし、相手方は、その調査が面倒くさければ、発起人個人と契約をするか、発起人に個人保証をしてもらえば、十分であり、相手方の保護を考える必要はありません。

 しかも、この「財産が特定できない」という問題は、実は、財産引受の場合でも生ずるのです。
 財産引受は、不動産等の特定物だけが対象になるわけではなく、種類物も対象になります。
 そうすると、
  発起人が、複数の契約によって、定款記載の数量よりも多い種類物を購入した場合、どの契約が有効になるか。
という問題はやはり生ずるのです。
 その場合、譲渡人が特定されているので、最初の契約から順番に数量を足していって、定款記載の数量を超えた時点の契約が無効になると考えるのでしょうが、この考え方は、設立費用について、先ほど説明した考え方と同じであり、こういうことを考え始めると、学説が、なぜ財産引受と設立費用を区別するのか、その理由がいよいよ分からなくなるのです。

 ちなみに、学説は
 A説 ②の行為は、一切、会社に効果帰属しない。
 B説 ②の行為は、全部、会社に効果帰属する。
 C説 ②の行為は、会社にも帰属するし、発起人にも帰属する。
という3説に分かれていますが、
 A説は、会社が最終的に設立費用を負担しなければならないことが明かな場合でも、設立後に、発起人が一回自腹を切ってから、会社に求償するというルートを取らなければならなくなり、不合理です。
 しかも、①で述べたように、会社法では、発起人の権限は、設立後の問題だけではなく、設立前の払込金の使用にも関わっているので、設立前に、払込金を設立費用に一切使ってはいけないという結論は、改正の趣旨に明らかに反します。

 B説・C説は、逆に、設立費用として定款に記載した額を超えても、会社に効果帰属すると考えるわけですから、何のために28条4号で変態設立事項にしたのか、その趣旨が分からなくなります。また、財産引受については、定款の記載の有無で効力を決するのに、なぜ設立費用は、そうではないのか、そこに合理的な区別がつくとは思いません。

 普通に考えれば、
 会社が最終的に負担すべき設立費用ならば、会社が義務を負い、
 会社が最終的に負担すべき設立費用でなければ、会社は義務を負わない
というのが、もっとも合理的な結論だと思うのです。

 また、学説は、どの見解も
  28条4号≠発起人の権限
と考えているわけですが、なぜ28条という同じ条文の中で、4号だけ「その効力を生じない」の解釈が異なるのか、合理的な説明がつくのでしょうか?

 現物出資(1号)、財産引受(2号)、発起人の報酬(3号)については、定款に記載があれば、その効力を生ずることは争いがないはずです。

 普段は、あまり語られない話ですが、現物出資も、財産引受も、発起人の報酬も、すべて契約によるものですから、28条の「その効力を生ずる」というのは、これらの契約が会社に効果帰属するということを意味しており、発起人の権限の範囲を画するものということができます。
 それなのに、なぜ4号だけ、「発起人の権限を定めたものではない」と解釈することができるのでしょうか?

 また、学説の中には、設立費用(4号)は、もっぱら発起人と会社との関係を定めたものであるとする見解(A説)があります。

 確かに、旧商法の立案担当者の気持ちとしては
   変態設立事項は、会社と発起人との間の契約について、濫用されるおそれがあるから、それを定款で制限する
という考えがあったのでしょう。旧商法において、財産引受や事後設立が変態設立事項とされる趣旨を「現物出資の潜脱防止」と説明していたのは、まさにその名残りなのだもと思うのです(なお会社法では事後設立は変態設立事項ではなくなりました)

 ところが、「財産引受」の規定は、
  発起人以外の者との間の契約
にも適用されますし、旧商法は、
  発起人等とは全然関係のない、会社設立後の代表取締役と第三者との契約
である事後設立ですら、変態設立事項にしていたのですから
   変態設立事項=発起人と会社との契約
という構図は、実は、旧商法時代から崩れていたといわざるをえません。
 財産引受や事後設立を採り入れた以上、変態設立事項は、「発起人の権限の範囲」を定めた規定と解釈するしかなくなったのではないかと思うのです。

 事後設立が変態設立事項から除外された会社法においても、財産引受契約に、発起人以外の第三者との間の契約も含まれる点は同じですから
  28条=発起人と会社との関係を規律したもの
と解釈するのは困難であり、やはり
  28条=発起人の権限の範囲を規律したもの
と考えるのが妥当だと思います。

 なぜ、判例の見解が、学説として廃れてしまったのか、学説史的には面白いかもしれませんが、処理の合理性という点からも、条文構造の観点からも、28条4号の設立費用については、判例の見解が妥当でしょう。

次回は、開業準備行為についてお話しします。

(質問コーナー)
Q1
先日,取締役の特別利害関係について質問した者です。宜しくお願いいたします。
改正会社計算規則58条及び59条の適用範囲について,まだあまり文献がないため困っておりますが,次のような理解でよろしいでしょうか。
1 取得の場合 → パーチェス法 → 会計規58Ⅱ①(ただし,逆取得の場合には会計規58Ⅱ⑤)
2 持分の結合の場合 → 持分プーリング法 → 会計規59
3 共同支配企業の形成の場合 → 持分プーリング法に準じる方法 → 会計規58Ⅱ⑤
4 共通支配下の取引等の場合
 ①一般の共通支配下間 → 会計規58Ⅱ②(ただし,対価の全部が存続会社の株式であるか又は無対価の場合には,任意的に会計規59)
 ②親子会社間 → 会計規58Ⅱ③
 ③子孫会社間 → 会計規58Ⅱ④
投稿 yasuko | 2007年1月22日 (月) 18時09分
A1
 会計基準との関連をあまり言いたくはないですが、まあ、そうですね。

Q2
サミー先生、ご回答願います。決算スケジュールの件ですが、会計規158、160条では、4週間を経過した日であるとか、1週間を経過した日とありますが、その経過した日が土曜日にあたる場合は、翌週の月曜(土日に会社、会計事務所が休みとすると)になるのでしょうか。またはこの場合、会計士さん、監査役会は、金曜日までに提出義務が発生するのでしょうか。
すいません、悩んでおります。何卒よろしくお願い申し上げます。
投稿 ケンチャンの質問 | 2007年1月22日 (月) 22時08分
A2
 休みは、関係ないです。休みでも受け取ってください。

Q3
 前回のQ8に関連してですが、ということは、持分会社相手の親子関係の判断については、無限責任、出資額に関しては考慮せず、議決権数等で判断するということで宜しいでしょうか? つまり、株式会社相手の判断基準と同じであると。
投稿 サミーさん頑張れ! | 2007年1月22日 (月) 22時51分
A3
 施行規則第3条と第4条以外に判断基準はありません。

Q4
立案された皆さんは、発起人の頭数基準説をとっているようですが、なぜ、取締役会設置会社の設立時取締役の選任は明文で発起人の議決権の過半数で決める(会社法40条)としながら、取締役会を置かない会社については、明文はないですが、発起人が設立時代表取締役を直接選定することも解釈上認められ、その場合には、同様に役員の選任なのにもかかわらず、なぜ、発起人の頭数で決すると考えるのでしょうか。
 議決権基準か頭数基準かは、事柄の実質に応じて決めるべきで、単に規定がないところは常に頭数によるとするのは疑問にも感じるのですが。。。
立案に際してどのようにお考えだったか、教えて頂けると幸いです。
投稿 教えて下さい | 2007年1月22日 (月) 23時25分
A4
 発起人は、設立事務の責任者であると同時に、出資者でもあります。
 つまり、発起人による決定には、設立事務の責任者としての決定と、出資者としての決定の両者があり、前者は、取締役が複数いる場合と同じ取扱い(頭数の過半数)をするのが妥当であり、後者は、株主総会や創立総会と同じ取扱い(議決権の過半数)をするのが妥当です。
 事柄の性質に応じて決めるべきというのは、おっしゃるとおりですが、事柄の性質に応じて検討したところ(例えば、募集設立の時に、創立総会が決定に関与できるような事項は、出資者として決定に関与する事項と考えるべき)、今の条文に落ち着いたのです。
 なお、「頭数の過半数」の規定を置かずに、「議決権の過半数」だけ規定を置くのは、旧商法時代からの名残です。
 また、設立時代表取締役の選定は、役員の選任ではありません。代表権の付与行為です。設立においては、定款に定めを置かない限り、創立総会に代表権の付与権限はありませんから、代表権の付与は、出資者としての決定ではありません。とすると、原則どおり、設立事務の一つとして、発起人の頭数の過半数で決めるべきだという考えです。

Q5
会社法の条文に使用されている用語の違いについて教えてください。
かなり前(2006年3月18日)のQ4で会社法438条の提出と提供についての解説
が為されていますが、その解説では「提供」は電磁的方法で情報を提供する場合の概念とされています。そういたしますと、437条は「提供」となっていますので、計算書類や事業報告の株主への提供は電磁的方法に依らなければならないということになるのでしょうか?また、会社法301条1項では、株主総会参考書類や議決権行使書について「交付」とされていますが、上記の解説からすると「提出」ではないのでしょうか?301条2項では、「電磁的方法により提供」となっており、単純に「提供」とはなっていませんが、提出、提供、交付はどのように使い分けされているのでしょうか?
投稿 四苦八苦 | 2007年1月23日 (火) 00時55分
A5
 「提供」という文言は、一般には、情報の提供のことを意味しますので、それだけで、「電磁的方法による提供」を意味するわけではありません。
 437条は、招集通知に際して、計算書類等に関する情報を提供する手段を法務省令で定めるための規定ですから、同条の提供は、「電磁的方法」に限りません。
 438条は、「提出し、又は提供し」と対として使われているので、「提供」は、電磁的方法であることが特定できます。
 301条1項の「交付」は、用例に従っているだけです。

Q6
だいぶ前の記事なのですが
http://blog.livedoor.jp/masami_hadama/archives/50316846.html
「上の図で,親会社の取締役等が子会社の会計監査人になれるように○がついていますが,子会社の会計監査人の欠格事由になりますので,その点を訂正いたします。」とあるのですが
ここでいう取締役等は執行役も含むのでしょうか?
取締役の欄と執行役の欄の○が×になるということですか?
投稿 兼任禁止の図 | 2007年1月23日 (火) 12時35分
A6
 執行役も、×です。

Q7
Q&A4について、便乗させてください。
商業登記の通達(H18.3.31-782)には、次のように書かれています。
1の(9)設立時取締役及び発起人の権限の見直し
会社の成立前は、定款記載の最小行政区画内における本店の所在場所の決定、支店の所在場所の決定、支配人の選任、株主名簿管理人の決定等は、定款に別段の定めがない限り、発起人の議決権の過半数によることとなる。
これは、変更になったと考えて良いのでしょうか?
投稿 パラリーギャル | 2007年1月23日 (火) 13時11分
A7
まあ、昨日のQ&A4を読んで、そういうことを聞かないのが、大人の世界です。

Q8
1/22のQ&Aの7に関連して質問させていただきます。「非取締役会設置会社においては、自己取引・利益相反取引の承認は株主総会で行うことになると思いますが、定款により議長となる者が当該決議において特別利害関係人に該当する場合、議長を交代する必要がありますでしょうか?」との質問に、「議長の交代は不要だと思います。」とご回答いただきましたが、特別利害関係人が“取締役会”において、議決に加わることはもちろん議長になることについても否定的な判例がありますが、株主総会の場合は違うのでしょうか?
投稿 悩める株式課員 | 2007年1月23日 (火) 14時02分
A8
100問にも記載があると思いますが、取締役会における特別利害関係人は、取締役会の議事に加わることもできないと解するのが通説です。ですから、株主総会とは違います。

Q9
 会社計算規則159条には、会計監査人は会計監査報告の内容の通知に際し、独立性に関する事項、業務の継続方針、「会計監査人の職務の遂行が適正に行われることを確保するための体制」(以下、まとめて「品質管理体制等」という)を通知しなければならないとしています。
 ただし、すべての監査役が既に当該事項を知っている場合は、この限りではないとも書かれています。
 また「品質管理体制等」に関する通知を受けた監査役は、その内容を確認し、「消極的な保証」のレベルの保証をすべきとの某大学教授の意見を読みました。
 当社では監査役が期初に監査法人から監査計画・監査方針の説明を受ける際、上記の「品質管理体制等」に関する説明も同時に受けています。
 この場合、下記の考え方で問題ないでしょうか?
①期初の説明で「すべての監査役が既に当該事項を知っている」ことになるので、期末に会計監査報告の内容の通知を受ける際、改めて「品質管理体制等」に関する通知を受ける必要はない。
②ただし、監査役は会計監査報告の内容の通知を受ける際、「品質管理体制等」が実際どのように運用されたかを会計監査人へ質問すること等により、その内容を再確認することが望ましい。
③「品質管理体制等」に関する通知を基に、監査役が会計監査人の「品質管理体制等」を「保証」する必要はないが、会計監査人の監査の方法を相当であると判断するための参考事項として、監査役(会)の監査報告に記載することが求められている。
投稿 迷える仔羊 | 2007年1月23日 (火) 14時33分
A9
 監査役は、会計監査人の監査の方法又は結果が相当かどうかを判断しなければいけませんので、②は、「望ましい」という訓示よりは強いでしょう。
 ③は、「保証」の意味がよく分かりません。

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コメント

本日のQ2に関して質問させて下さい。決算スケジュールで4週間または1週間を経過した日が土曜日の場合は・・・とい質問に対し、先生は「休みは、関係ないです。休みでも受け取ってください。」とご回答されておりますが、そうは言うものの、世の中の活動が休みであれば、現実不可能だと思います。本当に休みは関係ないのでしょうか。かなり納得いかないです。この場合は月曜日にあたる日ではないのでしょうか。必ずご回答願います。

投稿: ケンチャンの質問にさらに質問 | 2007年1月23日 (火) 21時11分

時間差で更新されてしまい、質問が上手く受け取ってもらえなかったと思いますので、こちらに再度「コメント」させてもらいます。

司法書士を目指している者です。
御忙しいとは思いますが、以下の質問に対する解答をよろしくお願いします。

①会社法789条3項括弧書きに(吸収分割をする場合における・・・)とありますが、どうして「吸収分割」の場合だけに限定されているのでしょうか?
吸収合併における吸収合併消滅株式会社の場合も、存続会社に不法行為によって生じた債務が承継され債務者が変わるわけですから、消滅会社の債権者への催告の重要性は変わらないと思うのですが。

②会社法789条1項2号に、「債務の履行を請求することができない吸収分割株式会社の債権者」とありますが、具体例としてはどのような債権者の事を指すのでしょうか?
吸収分割は業務に関する権利義務が承継されるわけですから、承継された債務の債権者は基本的に吸収分割後吸収分割株式会社に対して履行を請求できないのではないのかなと思うのですが。

③会社法309条3項1号の特殊決議は、種類株式発行会社が同内容の定款変更をする場合には適用されないようなのですがなぜでしょうか?
問題集の解説などには、特別決議(309条2項前段11号)が適用されているのですが理由が記載されておらず分りません。
種類株式発行会社とそうでない会社とで、なにか大きな違いがあるのでしょうか?

以上、次元の低い質問かもしれませんがよろしくお願いします。

投稿: 虹色魂 | 2007年1月23日 (火) 22時31分

サミー先生

いつも楽しく勉強させていただいてます。
日頃より、解明しようと色々あたってみたものの分からないことがあり、はじめてコメントいたします。

取締役会設置会社の業務執行取締役について

①363条1項二号の取締役を選定する取締役会では、「どの程度」の決議内容が必要でしょうか。例えば、●●氏を専務取締役に任じる、としただけで担当業務の範囲を定めない場合、会社の全般的な業務を執行する権限(例えば、事務所の賃貸契約や取引に付随する機密保持契約の締結権限)があるのでしょうか。また、「常務取締役」でも結論は同じですか。

②また、取締役会で平取締役をある事業部門の「分掌」(社内では担当取締役といってます。)とした場合、取締役会決議を経るべきものを除けば、その事業部門の全ての業務を執行できると考えて問題ありませんか。

③従業員である部長課長等に一定の物品調達権限、契約締結権限等を与えているのですが、これは法的にはどのように論理付ければよいでしょうか。

基本的なことなのかも知れませんが、実務的な書籍をみてもこれといった答えがみつからず困っています。何卒ご教示ください。

投稿: 新任取締役 | 2007年1月24日 (水) 00時10分

>この場合は月曜日にあたる日ではないのでしょうか。必ずご回答願います。

サミーさんが条文の解釈をしたうえで一定の回答をしているのですから、質問者も、「かなり納得いかないです。」というような「感覚」を示すだけでなく、そのように解釈すべきであるという自分なりの根拠を示して質問すべきではないでしょうか。

投稿: 横からすみません | 2007年1月24日 (水) 08時37分

>世の中の活動が休みであれば、現実不可能だと思います

とありますが、どうして(どのあたりが)不可能なのでしょうか。日本中のありとあらゆる全ての仕事がストップすれば、理解できなくもないですが・・・

現実は、これまでずっとどこの会社・会計士等でも、休日になる前までに行うか、起算日を調整するか、さもなくば休日に行っています(やっていないのは、よほどの小さないい加減な会社か、担当者のチョンボでしょう)。立法も、週に1~3日くらいの休日やGW・年末年始くらいは、 当 然 に 想定しています。

本当に休みは関係ないと思うのでしたら、条文で個別企業の休日のことまで明記していない以上、自己責任の世界ですから、ハイリスクを承知でやってみてはいかがですか。サミーさんの回答は、サミーさんの解釈であって、裁判所の解釈ではありませんし(もちろん立法府の解釈でもない)、当然なんの責任も回答義務も負っていません。そのことをわきまえて、再質問をすべきだと思います。

投稿: 横からすみませんの横からさらにすみません | 2007年1月24日 (水) 10時58分

先生

質問です。
私の会社で、定款の見直しをすることになりました。

閉鎖会社で、株式の譲渡制限については定款にすでに規定されているのですが、株式の質入や信託についても制限をかけたいのです。
(以前、オーナーの変更があり、旧オーナー側の株主がまだいるため、
旧オーナー側の株主から株式が拡散することを可能な限り防止したいのです。)

①会社法では、質権の設定自体は直接制限できないようなのですが、
定款で規定すれば、制限は可能なのでしょうか?

②定款での定めで制限ができないとしても、定款上の定めで、質権設定を
しにくくする方策はないでしょうか?

ネット上の情報や、文献もあたりましたが、なかなかよいものが見つからず、
先生のブログにたどりつきました。
大変恐縮ですが、ご教示くださるとありがたいです。
よろしくお願いいたします。

投稿: 法務部員 | 2007年1月24日 (水) 11時07分

自己株式の消却について質問させて頂きたくお願いします。

企業会計基準委員会・企業会計基準第1 号「自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準」(最終改正平成18 年8 月11 日)には、以下の記述があります。

「45. 従来、本会計基準では、資本剰余金又は利益剰余金のいずれから減額するかは、会社の意思決定に委ねることとし、消却した場合に減額するその他資本剰余金又はその他利益剰余金(繰越利益剰余金)については、取締役会等の会社の意思決定機関で定められた結果に従い、消却手続が完了したときに会計処理することとしていた。しかしながら、会社計算規則において優先的にその他資本剰余金から減額することが規定された(会社計算規則第47 条第3項)ため、平成18 年改正の本会計基準では、これに合わせることとした。また、自己株式を消却したことにより、会計期間末におけるその他資本剰余金の残高が負の値となった場合には、その他資本剰余金を零とし、当該負の値をその他利益剰余金(繰越利益剰余金)から減額することとした(第12 項及び第42 項参照)。」

そこで、質問です。
上記会計基準によれば、その他資本剰余金がない場合、自己株式消却は繰越利益剰余金を減額することで会計処理するということになると思いますが、消却分に対応する繰越利益剰余金がない場合、自己株式消却の際に繰越利益剰余金をマイナス(負の値)にし、その後の定時株主総会において剰余金の項目間の計数を変更(別途積立金の取崩し)することにより繰越利益剰余金のマイナスを消す、という対応は法的に許されますでしょうか?

投稿: あつし | 2007年1月24日 (水) 14時44分

サミー先生、ご回答ありがとうございました。
大人の世界は難しいですね。世間知らずで申し訳ありません(笑)
以前このブログで、会社法には「普通株式」という定義はなく、「普通株式」も「種類株式」だというお話がありました。
私もまさにそのとおりだと思いますが、多くの会社は「普通株式」の内容を定款で定めていません。
私としては、定めた方が良いと思うのですが、ちょっと恥ずかしいです。
大人の世界ではどうなっているのでしょうか?

投稿: パラリーギャル | 2007年1月24日 (水) 16時46分

内部統制の関係でおたずねします。
監査役の職務を補助する使用人である、監査役室の長が出張をする場合、その
出張命令をするのは会社の取締役ではなく監査役である必要があるでしょうか。
取締役が出張命令や出張旅費に関する承認行為を行うとしても、実際上は監査
役の意思に反して否認することはないということであれば、特に問題視する必要
はないと見てもよいでしょうか。

投稿: smoky | 2007年1月24日 (水) 17時15分

いつも勉強させていただいております。早速ですが質問がございます。

取締役会において、特別利害関係を有する取締役は「議決に加わることができない」とされており、100問の256頁に「当該決議につき議決権を有しないばかりでなく、当該決議に至る審理に加わることもできないと解される。」とありますが、当該議案の内容の説明者になることは問題ないでしょうか?

例えば、取締役・会社間の自己取引の承認議案などにおいては、当該取引の当事者である取締役(=特別利害関係人)が最も当該取引内容に詳しいはずですし、説明もできないとなれば、それこそ十分な審理・決議ができないと思われます…。

どのように考えれば宜しいでしょうか?

投稿: グッジョブ | 2007年1月24日 (水) 17時29分

休日の扱いについて面白いやりとりがありますね(このブログのコメント欄では珍しいのでは?)。
3月決算会社はどのみちGWの時期に重なる訳ですし、何も新法により初めて出くわす問題でもない訳です。また、いつが会社休業日であるかは完全に個別の話でしかありません(暦どおりに営業・稼動しない会社は山ほどありますね)。
休日に仕事なんかできるか、という感覚があるとすれば、それは会社法ではなく労働法の問題ではないでしょうかね(特定取締役、特定監査役、公認会計士・・・雇用契約ではないので労働法は適用されんか?!)。
失礼しました。

投稿: やじほうす | 2007年1月24日 (水) 23時29分

本日のQ4の発起人の議決権基準と頭数基準につき、ご丁寧な説明をありがとうございました。
先生は、募集設立のお話をされていましたが、取締役会を置かない会社(設立後は株主総会で代表取締役を選定する会社)の発起設立の場合には、発起人が設立時代表取締役を選定するのは、設立時取締役と設立時代表取締役の地位が一体ですので、共に株式引受人(出資者)としての立場ととらえ、発起人の議決権基準でよろしいでしょうか(1000問では、この場合も頭数基準にみえますが)。
以前は、会社設立前の登記に絡む事項では、取締役会の議事録を付けていた(発起人の頭数基準が適用になる場面はなかった)のですが、会社法では、発起人の権限が増えてしまい、困惑しています。

投稿: 教えて下さい2 | 2007年1月25日 (木) 00時08分

サミー先生
累積投票について質問させてください。
会社法347条(種類株主総会における取締役の選任)では、会社法342条(累積投票による取締役の選任)の規定を読み替えていないのですが、種類株主総会においては、累積投票による取締役の選任をすることができないものと考えてよいでしょうか。
理由も簡単で結構ですので教えてください。お願いします。

投稿: H.K. | 2007年1月25日 (木) 02時01分

サミーさん、こんにちは。
1月18日に質問させていただいた者です。どうしても分からないので再度質問させてください。
2006年12月22日改正後会社計算規則第59条第2項第3号の読み方についてです。

①完全子会社同士(兄弟会社間)の無対価吸収合併ではイとロのいずれが適用になるのでしょうか(あるいはそれ以外?)。
②完全子会社同士(子孫会社間)の無対価吸収合併ではイとロのいずれが適用になるのでしょうか(あるいはそれ以外?)。
③①と②でロが適用になるとすると、合併契約書において、会社計算規則59条を適用する旨の記載をすることを要するのでしょうか。

特にイの読み方が分かりませんでした。1項で2項を見ろと言っておきながら、2項で1項を見ろと言っているので、たらいまわしにされているような気がしてしまいます。
2項の1号と2号を満たしていれば、(1項を満たしていることになり、)自動的に2項3号イを満たしていることになるのでしょうか。
理解不足で恐縮ですが、ご教示の程よろしくお願いいたします。

投稿: まいたけごはん | 2007年1月25日 (木) 10時18分

先生

会計監査人設置会社で且つ監査役会設置会社における計算書類の監査に関して質問させてください。

①株主に対して行う提供計算書類の提供に関しては、監査役「会」の監査報告で足りますが(会社法437条、436条、会社計算規則161条1項3号ホ)、
②計算書類の備置(会社法442条)に関しては、「各」監査役の監査報告が必要である、と聞きました。

②を裏付ける根拠条文、及び、①と②で取扱いが異なる根拠をご教示くださると幸いです。本店に来社すれば、より詳細な情報を得られるようにするためでしょうか?

投稿: ヒゲマン | 2007年1月25日 (木) 11時11分

サミー先生、こんにちは。

「社外役員」の要件の判定について、「千門の道標」Q397では、「当該取締役がB社の業務執行取締役であった時点においてB社がA社の子会社でなかったならば、現時点で子会社であるとしても、社外性は認められる」と説明されています。
これを株式移転の場合に当てはめて考えると、設立される完全親会社の社外取締役を選任する場合、「子会社となる会社」の業務執行取締役であったものが完全親会社の成立と同時に退任すれば、完全親会社における社外役員としての要件を満たすことになると思われますが、この理解で正しいでしょうか?

以上、よろしくお願いします。

投稿: naga | 2007年1月25日 (木) 18時46分

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