【入門】発起人の権限(1)
先日のアンケートで、このブログの検索の話が出ましたが、実は、私は、よく
http://krungtheep.exblog.jp/i10
というブログを参照しています。
mashi_japanさんという方が管理されているようなのですが、ライブドア時代を含めて、記事が分類されているので便利です。
困ったときは、参考にされるといいと思います。
なお、mashi_japanさんへの連絡方法が分からないので、無承諾でご紹介いたしましたが、もし紹介するのがまずいということであれば、コメント欄にその旨書いていただければ、この紹介部分は削除いたします。
今日は、第15問「発起人の権限」です。
問題文
「株式会社の発起人の行為によって生じる権利義務のうち、どのような範囲のものが、設立の登記とともに、当該会社に帰属することになるのか。」
発起人の権限については、典型的な論点であるにもかかわらず、初心者が理解できない分野の代表格です。
私なりに、なぜ初心者が理解できないのか、その理由を考えてみますと
① 発起人が、実際に、どんなことをやっているか、よく分からない。
② 発起人の権限の話と、変態設立事項(設立費用や財産引受)の関係が分からない。
③ 発起人の権限と設立中の会社の話の関係がよく分からない。
という三重苦に苦しんでいるのではないかと思います。
そこで、まず、①から③までを簡単に説明してから、解答例の解説に映っていきたいと思います。
1 発起人は、どんなことをやっているか。
(1) 発起人というのは、要するに、会社を設立しようとしている人です。
ですから、会社の設立をするための事務は、基本的には、全部、発起人がやります。
以前、お話ししたとおり、会社の設立のためには、最低限、①定款の作成、②社員の確定、③機関の具備、④設立の登記という4つの手続きをする必要があります。
いつものよう例を挙げて説明しましょう。
松真さんと湯水さんは、本屋を開くため、株式会社正直法務を設立することにしました。その時には、次のような設立手続きを行います。
① 定款の作成
発起人の松真さんと湯水さんは、二人で話し合って、定款の内容を決め、パソコンとプリンタと紙を買ってきて、定款の内容を入力して、印刷しました。
そして、松真さんと湯水さんは、その定款を、街角にある公証人役場に持って行き、「認証」してもらいました。「認証」というのは、公証人に、定款の必要的記載事項が書いてあるか、発起人全員の意思に基づいて作られたものか等を確認してもらうことを言います。
公証人は、公務員ですが、私達と違って定収はなく、手数料収入で生活しています。この認証の手数料は、現在、5万円です。
(注)この時点までで
・誰がどんな名義でパソコンなどを買ってきたのか。
・パソコン・プリンタ・紙は、誰のものか。
・認証手数料は、誰が支払うのか。その精算はどのように行われるか。
等の問題が生じています。
② 社員の確定
松真さんと湯水さんは、定款で設立時出資額を100万円に決めていたので、1株1万円(一人50万円で50株ずつ)を引き受けることにしました(発起設立)。
そこで、湯水さんは、ホーム銀行に「湯水金使(ゆみずかねし)」名義で普通預金口座を開設し、そこに50万円を入金し、松真さんも、その口座に50万円を振り込み送金しました(この場合、ホーム銀行が「払込取扱銀行」になります。)
(注)
発起設立をするときは、「普通預金」口座でよいので、通常、手数料等はかかりません。また、ホーム銀行に、「この口座は払込み用ですよ」と知らせる必要もないので、ホーム銀行は、何も知らない間に、払込取扱銀行になっている場合もあります。
これに対し、募集設立をするときは、ホーム銀行に払込保管証明書を発行してもらわないと、設立の登記ができませんので、払込の前に、湯水さんは、ホーム銀行との間で、株式払込取扱委託契約を締結し、湯水金使名義の「別段預金」口座を開設します。
そして、松真さんと湯水さんが、この別段預金口座に50万円ずつ振込をすると、ホーム銀行が「払込保管証明書」を発行してくれるので、それを持って、法務局に、設立の登記を申請することになります。この場合、ホーム銀行に、払込保管証明書の発行手数料等を支払う必要があります。手数料は、銀行や払込金の額によって違いますが、普通、数千円から数万円です。
③ 機関の具備
正直法務は、定款で特に機関を定めなかったので、発起人の二人で話し合って、湯水さんを設立時取締役(設立の時に取締役になる人)に選任しました。取締役会がないので、湯水さんは、自動的に設立時代表取締役にもなります。
(注)
機関の具備には、普通、お金はかかりません。
④ 設立の登記
設立時代表取締役の湯水さんは、司法書士に頼んで、設立の登記をしてもらいました。
(注)
このとき、法務局に支払う「登録免許税」と司法書士に支払う手数料が必要です。
以上のように①から④までの手続が最低限必要な行為です。
⑤ さらに、松真さんと湯水さんは、実際には、設立後すぐに商売が始められるように
a 商品を仕入れておく。
b 本店にする事務所を借りる。
c 「正直法務ブックセンター 2月1日堂々オープン! 従業員募集中(私達とちへどをはきながら一緒に働いてみませんか?)」と広告をうつ。
等の行為(開業準備行為)も一緒にやるのが普通です。
2 変態設立事項との関係
松真さん達が、①から⑤の行為をやるときには、何かとお金がかかります。
では、このお金は、誰が支払うのでしょうか。
(a) 設立前にお金を支払わなければならないときは、株式会社正直法務がまだ生まれていない以上、松真さん達が、個人のお金で支払うのが普通です。例えるなら、妊娠したママが、生まれてくる子供のために、ベビー服やベビーベッドを買ってあげるのと同じですね。
もっとも、ママが、子供が生まれた後に
洋服代とベッド代を支払え。
等ということは、通常ありませんが、発起人である松真さん達が、正直法務の設立後に
「設立のために使ったお金を、立て替え払いしているので、その分のお金を下さい。」
と請求することはできます(発起人の会社に対する求償権)。
そうでないと
「松真さんが定款の認証手数料を払い、湯水さんが登記費用を払う」
というような役割分担をしたときに、不公平が生じるおそれがあります。
しかし、無制限に発起人が立て替え払いをしたお金を会社に請求できることとすると、過大な費用を支払ってしまうような発起人があらわれかねません。
例えば、松真さんが、設立のコンサルタントをしたサミーさんに、10億円のコンサルタント料を支払ったからといって、それを全額会社に請求することができるとすると、会社が、設立当初から、松真さんに10億円の立替金の支払債務を負担することになり、生まれ立てで瀕死の状態になってしまいます。
そこで、会社法は、「株式会社の負担する設立に関する費用」については、定款に記載しない限り、その効力を生じないこととして(28条4号)、発起人の会社に対する求償権を制限して、会社に過剰な負担が生じないように配慮しているのです。
このように会社の財産が設立時から毀損されないようにするため、28条は、設立費用の他にも、財産引受(2号)や発起人の報酬(3号)も、定款の記載がない限り、効力を生じないこととしています。
財産引受というのは、発起人が、設立前に会社の事業で使う物を購入する契約を結ぶことをいいます(要するに、売買契約の一種です)。発起人の報酬は、発起人が設立事務をしてくれた事に対する会社からのお礼です。そして、このような28条各号の列挙事由は、一般に「変態設立事項」と呼ばれています。
なお、私も、たまに
この変態!
と言われることはありますが、「変態」には
(1)形や状態が変わること。また、その変わった形や状態。
(2)「変態性欲」の略。また、その傾向のある人。
等の意味があり(goo辞書より)、変態設立事項の変態は(1)、「この変態!」は(2)を意味するので、誤解をしないようにしてください。
(b) さて、設立前に、設立費用等を支払う方法は、もう一つあります。
これは、発起設立だけで許されている方法なのですが、払込取扱銀行(ホーム銀行)の発起人名義の口座から現金を下ろしてきて、それで設立費用を支払うことができます。
募集設立の場合には、設立の登記をしない限り、発起人の別段預金口座から現金を下ろすことはできませんから、発起人が、設立前に必要な費用を立て替え払いするしかありませんが、発起設立は、発起人名義の普通預金口座に払込金を預金しているので、それを下ろして、設立費用に充てることができるのです。
この場合、設立費用に充てた現金は、口座の名義こそ、発起人である「湯水金使」になっていますが、松真さんが払込みをしたお金もその口座に入金されていることからも分かるように、実質的には、会社の財産となるべきお金です。
ですから、湯水さんが、払込金から設立費用を支払った場合には、(a)と違って、設立後に、会社に対して求償することはできません。
(b)の場面では、あまり問題が生じないような感じがしますが、実は、湯水さんが、
定款で定めた設立費用の額を超えて、払込金から設立費用を支払った場合にどうなるのか?
という問題が、会社法の世界では存在します(旧商法では、発起設立でも払込保管証明が必要だったので、この問題は生じませんでした)。これを、どう考えるかについては、(c)とも関連しますので、(c)で検討しましょう。
(c) (a)(b)は「設立前」にお金を支払う話でしたが、「設立後」にお金を支払わなければならない場合は、どうなるんでしょうか。
設立前は、会社が存在しない以上、発起人が払うしかなかったわけですが、設立後は、会社という法人格が存在するので
発起人が支払うべきなのか、会社が支払うべきなのか。
という問題が生じます。
法的に言い替えれば、発起人が行った行為が、発起人に効果帰属するか、それとも、会社に帰属するかということです。
ある人の行為(契約等)の効果を、会社に帰属させるためには、代表権又は代理権が必要です。
ご承知のように、会社の代表者は、代表取締役又は代表執行役ですし、発起人は、会社から代理権を授与されたわけでもありませんから
発起人の行為が、会社に帰属するなんていうことはないんじゃないの?
という感じもします。
しかし、28条2号の財産引受は、
「発起人が、株式会社の成立後に(成立を条件に)、会社が財産を譲り受けることを約束すること」
を意味し、同号は、定款にその財産の価額や譲渡人の氏名等を記載すれば、「効力」を生ずることを前提にした規定ですから
発起人は、28条2号の要件を充たす限り、会社が財産を譲り受ける契約を締結する権限(=成立後に会社に効果帰属させるための代表権のようなもの)を持っている。
ということができます。
例えば、前記⑤のaで述べたように、正直法務が、設立後に、すぐに本屋を開けるように、湯水さんが法務関係の本を、松真さんは客寄せのためのHな本を、出版社から仕入れる契約を結び、代金の支払いは、設立後の2月末に支払う約束をしたとしましょう。
このように発起人が、設立後に、会社の財産にするものを購入する契約が財産引受です。
同じことを実現するために、松真さんが、まず個人でHな本を購入し、代金も自分で支払い、正直法務の設立後に、そのHな本を正直法務に購入してもらうという方法もあります。
しかし、松真さんが、Hな本を個人で購入したことが奥さんに知られた場合のリスクはあまりにも高いですし、会社の事業で使う商品なのに、一旦、個人のお金を出したくないというのが、松真さんの気持ちでしょう。
これに対し、松真さんが、発起人として、会社の成立を条件に、会社がHな本を購入する契約(本の所有権は会社に帰属し、代金の支払い義務も会社が負担する契約)を結べば、松真さんの家庭に荒波は生じません。
そこで、会社法は、開業を円滑に行うことができるようにするため、「設立の責任者」に過ぎない発起人に、「事業の準備」をする権限を特別に与えているのです。
しかし、先ほど申し上げたように、発起人が、不要な物を買ったり、高い買い物をしたりすると、設立の健全性を保つことができないので、会社法は、財産引受を定款の変態設立事項とすることで
定款に記載した場合だけ、発起人の権限を認める
ということにしています。
詳しくは、各論で述べますが、ここでは
28条2号(財産引受の規定)は、発起人の権限を定めた規定であることについては、争いはない
ということを覚えておいていただきたいと思います。
ちなみに、発起人の報酬(28条3号)も、発起人が会社に対して報酬を請求することができる範囲を制限するものですが、報酬請求権は、会社と発起人との間の報酬契約によって生ずるものですから
28条3号(発起人の報酬)も、会社との間の報酬契約を締結する発起人の権限を定めた規定である
ということができます。
そして、問題になるのが
28条4号(設立費用)の規定が、発起人の権限を定めた規定と言えるか?
ということであり、これが第15問の主たる論点の一つなのです。
3 設立中の会社
設立中の会社というのは、定款の作成等によって会社の実体は形成されたが、登記未了であるため、法人格を取得していない段階におけるその「実体」のことをいいます。
この設立中の会社は、一般に「権利能力なき社団」の一つと言われます。
私は、その考え方に反対するわけではないものの、同窓会などの普通の権利能力なき社団では、社団財産の帰属形態は「社員の持分のない総有である」とするのが判例・通説なので、「設立中の会社について「持分がない」と言い切って良いのだろうか?」という疑問はもっております。ただ、その話は、深入りすると危険なので、ここでは、「権利能力なき社団」だということを覚えておきましょう。
この「設立中の会社」という概念は、会社法には規定がないのですが、払込金や発起人が会社設立のために取得した財産等が、会社の設立によって、当然に会社に帰属することとなることを説明するために分かりやすいので、「設立中の会社」の存在を認めるのが通説になっています。
例えば、
「松真さんが、設立前に、パソコン・プリンタ・紙を買ってきて、定款を作成しましたが、そのパソコンや印刷物は、誰のものなのでしょうか」
という問いに対して、
「設立前には、株式会社正直法務は存在しないので、その時点では、会社のものではない」
と答えざるをえません。
しかし、「お金を出した松真さんの単独所有だ」とか、「発起人2人の通常の共有だ」とか考えると、会社が設立した後に、
松真さんが、会社に売却しない限り、印刷物等の所有権が移転しない
ということになり、大変、面倒くさいです。
また、募集設立の場合において、財産の購入時には存在しなかった引受人も、共有の主体になるのだろうか、という疑問も生じます。
そこで、
① 設立手続中には、「設立中の会社」という権利能力なき社団が存在しており、発起人は、その実質的代表者となる。
② 発起人が、その権限の範囲内で行った行為は、設立中の会社に実質的に帰属する。だから、発起人が設立のために購入した財産は、設立中の会社のものになる。
③ 会社の設立によって、設立中の会社は、同一性を保ったまま、法人格を取得するから、発起人が、特に売買等をしなくても、設立中の会社に実質的に帰属していた財産は、会社の財産となる。
という説明がされているのです。
①から③までには、それぞれ理論を超えたレトリックが存在するのですが、これはこれで分かりやすいので、私もよく説明として利用します。
しかし、このメジャーな説明を理論的に推し進める人がいて、会社の権利能力や代表者の代表権の範囲と同じ議論を設立中の会社に持ち込み
(a) 設立中の会社の実質的権利能力の範囲は、何か。
(b) 発起人の権限は、何か。
等が論じられることがあります。
私は、個人的には、もともとレトリックの入った説明をどんなに論理的に説明しようとしてもしょうがないし、どうせやるなら、徹底的に、通常の「権利能力なき社団」との違いに踏み込んで検討してもらいたいと思っていますが、初心者の皆さんにそれを言っても困るだけでしょう。
そこで、大事なことだけお話しすると
・ 設立中の会社は、発起人の行為が、設立後の会社に帰属することの分かりやすい説明に過ぎないので、そういうものと思って解答する。
・ 設立中の会社の実質的権利能力の論点は、条文から、かけ離れた議論であるし、特殊な説に立たない限り、結論に影響を与えないので、あえて論ずる必要は少ない。
・ 実際の問題において、発起人の行為が成立後の会社に帰属するかどうかは、発起人の権限がその行為に及んでいるかどうか(28条の解釈を含む。)ということを論ずれば足りる。
ということを覚えておきましょう。
次回は、各論に入ります。
(質問コーナー)
Q1
またまた質問させてください。下記の事例は可能でしょうか?
①定款に107条の定めをしたが、実際には普通株式のみ発行
②定款に108条の定めを2種類したが、実際には普通株式のみ発行
③定款に2種類の種類株を定め、実際には1種類の種類株と普通株式の発行
④例えば、役員選解任の種類株式だけ必要な場合、1つダミー株と役員選解任の定めを定款にしますが、今までの普通株式はそのままで、役員選解任のみ発行することは可能でしょうか?それとも、この普通株式に何かしらの変更を加える必要があるのでしょうか(例えば、他の種類株式に変更する等)?
宜しくお願い致します。
投稿 サミーさん頑張れ! | 2007/01/16 1:28:52
A1
「普通株式」というのは、会社法にはない概念ですが、とりあえず、特別な定めが何もない株式ということでお答えします。
普通株式と種類株式については、次の記事を参考にしてください。
http://app.blog.livedoor.jp/masami_hadama/tb.cgi/50329193
①できません。
②③この場合、種類株式の一つとして、普通株式が確保されているんでしょうか?普通株式を入れて、合計3種類ならできますし、合計2種類ならできません。
④取締役等選解任権付株式を1種類だけ発行するという意味が分かりません。当該制度を誤解しているのではないでしょうか?
Q2
サミー先生、Q14とQ15のご回答有難うございます。
従業員の日常業務は代理権に基づくとのご回答でしたので、この従業員の代理権は会社(本人)の授権に基づくので、業務執行者の死亡により消滅しないとの法律構成だと思います。私は消滅すると考えていたのですが、それは従業員の代理権は、株主総会により代表権の委任を受けた業務執行者の授権に基づくもの、と考えていたからです。つまり、本人が当該会社で、業務執行者が代理人、従業員が復代理人との立場になるので、業務執行者による従業員への授権行為は、(授権行為を委任類似の無名契約ととらえると)民法653条1号の類推適用により消滅する、と解釈されるのではないかと考えていたのです。
従業員の代理権を会社からの直接の授権ととらえると、業務執行者の代表権(こちらも会社からの直接の授権)と並列的に従業員の代理権がある形になり、実態(従業員と業務執行者には上下関係がある点)とそぐわない気がするのですが、この点は如何でしょうか?
投稿 NK | 2007/01/16 3:20:56
A2
従業員への授権契約は、会社との間で締結されたものであり、業務執行者は法的効果の帰属主体ではありません。このような場面で、民法653条1項が類推適用されると、代表者が死ぬと、会社の締結した委任契約の全てが影響を受けてしまいますので、それはないでしょう。
Q4
Q20に関連してですが、322条1項1号括弧書きで111条1項又は2項に該当するものを除外しているのは、「当該括弧書きの行為は、立法技術上の観点(株主全員の同意を決議とは整理していないので、111条1項の行為を322条及び324条で規定できなかった等)から別の条文(111条1項又は2項)で決議が必要な旨を規定しているから重ねて規定する必要はないため」と理解しているのですが、これで宜しいでしょうか?
投稿 NK | 2007/01/16 3:22:19
A4
そんなところでしょう。
Q5
① 自己新株予約権の処分について、会社法上の差し止めの制度はありません。
しかし、違法な処分をしようとする場合には、何らかの法的根拠により差し止められる可能性はあります。
とのご回答ですが、違法な処分とはどのようなものになりますでしょうか。
例えば、取得した新株予約権を、会社が好きな会社に割り当てた場合(買収防衛において、ホワイトナイトへの割当といった場面が想定されます)、
あり得るとすれば、取締役の善管注意義務違反、当該予約権の行使に対する新株発行無効(判例の流れを見るに、厳しいと思いますが・・・)くらいでしょうか?
何か思い当たる根拠があれば、イメージでも結構ですので、教えて頂ければ幸いです。
投稿 かおるん | 2007/01/16 11:25:40
A5
差止めについては、簡単に語ることができない難問です。
Q6
取締役の一人に募集株式を割り当てることが予定されており,取締役会において募集事項を決定する場合についてです。
旧商法下では,当該取締役は特別利害関係人ということで,新株発行事項を決定する取締役会決議には参加できないという理解をしておりました。
これに対し会社法下では,募集事項の決定と割当先の決定とが明示的に別個の決定事項とされたということで,当該取締役を必ずしも募集事項の決定から排除する必要はなく(又は排除してはならず),「割当先の決定」について議案を分けた上で,その利益相反の承認(又は会社法204条2項の決議)に参加できないことになるのではないか,という問題意識を持っております。
投稿 yasuko | 2007/01/16 12:33:14
A6
理論的には、おっしゃることは分かるのですが、第三者への有利発行の場合を考えれば分かるとおり、募集事項の決定を行う場合に、取締役が絶対に特別利害関係人にならないとは言い切れないように思います。
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