【入門】資本三原則(3)
3 資本充実の原則
(1)定義
資本充実の原則というのは,一般には,
株主が資本に見合うだけの財産を現実に会社に拠出しなければならない
という原則だと言われています。
大昔,私が,商法を勉強し始めたころは,純粋かつ無邪気だったので
100万円の株式を引き受けた人が,現実に100万円を出資しないと,債権者がその100万円について強制執行することができないから,資本充実の原則は当然だな。
と「誤解」していました。
その後,旧商法を勉強していくうち,徐々に,その誤解が解けていき
① 会社は,出資された100万円を元手にして,いろいろなものを買ったり,他人に貸付をしたりするので,その100万円自体が,債権者の強制執行の対象となるとは限らない。
② 旧商法では,引受人が出資をしないまま,設立された場合でも,引受人の出資義務は残るとされていたので,会社債権者は,会社の引受人に対する出資履行請求権を差押えて,強制執行することができる(「現実の出資」がなくても,強制執行は可能だった)。
③ 引受人が100万円を出資した後,代表取締役が,その引受人(株主)にその100万円を貸し付けたら,債権者にとって,現実の出資がなかったのと同じことになってしまう(見せ金は,まさに,そういう状態を最初から企図してやることですね)。
というようなことに気づき
「現実に拠出する」という行為は,「債権者」の保護のために,本当に役に立つのか?
という疑問がわいてきました。
受験時代は,それはそれで「きっと頭のいい人は,何か考えがあって,そう説明しているに違いない」と思いつつ,なんとなく答案を書いていればよかったのですが,会社法の立案担当者になると,そういう,いい加減な説明では許されません。
(2)旧商法の問題点
そこで,資本充実の原則が,債権者の保護にどのように役に立つかを,真剣に考えてみると,旧商法上の制度は,債権者保護という観点からは,多数の問題をはらんでいることが分かりました。
例えば,引受人は「現実に財産を拠出しなければならない」と言いながら
引受人が,払込未了のまま,設立された場合でも,株主になる
というルールが採用されていましたし
資本金は,株式の発行価額をベースに算定する
というルールは,
払込未了であっても,株式が発行された以上,資本金が計上される
ということを意味していました。
つまり,一般論としては,「資本充実の原則が採用されている」,と説明しながら
制度上は,現実の拠出がなくても,資本金が増える
という制度だったわけです。
旧商法は,そうした矛盾をカバーするために,発起人等の払込担保責任等を認めていたのですが
払込担保責任は,所詮,会社の発起人に対する債権に過ぎない
のですから,「現実の拠出」がない点では同じです。
このように,旧商法の下で,不十分な資本充実の原則が実現されていなかったのは,
払込みの有無とは無関係に,先に,資本金の額が決められていた
からでした。
(3)旧商法において現実の拠出が要求された理由は何か。
この「先に資本金の額を決める」ルールは,前回説明した「資本確定の原則」の下では,
定款で資本金を定めたのだから,その資本金が現実に拠出されるまでは,会社の設立を認めないよ。
拠出した引受人と,拠出していない引受人との間で不公平が生ずるし(株主間の公平),
現金や現物ならば,事業に使えるけど,引受人への債権じゃ,事業のために使いにくいからね(健全な設立)。
と簡単に説明することができます。
また,資本確定の原則が放棄された後,旧商法は,定款で「設立時に発行する株式の総数」を定めることを要求したわけですが,その旧商法のもとでも,
株主間の公平・会社の健全な設立
という観点からは,現実の拠出が義務づけられていることは,それなりに説明できたのだと思います。
さらに,旧商法のもとでも
株主が,間接有限責任しか負わないということを正当化するためには,会社に対する出資義務を履行済みであることが要求される。
と説明することもできたでしょう。
ところが,資本充実の原則についての一般的な説明では,そうした「株主の保護」等の観点からの説明よりも,「債権者の保護」という観点からの説明を強調しようとしていました。
この説明が,資本充実の原則についての理解を難しくしたような気もします。
(4)債権者の保護とは何か。
以前にも説明しましたが,会社の設立前の時点では,会社の債権者は,存在していません(発起人の権限内の行為により,将来,会社の債権者になる人はいますが)。
また,新株発行の場合にも,資本充実の原則は適用されるわけですが,新株発行という行為は,特殊な場合を除き,会社の純資産を増やす行為なので,新株発行時の会社債権者にとっては,プラスになりこそすれ,マイナスにはならないのです。
例えば,現在,純資産がマイナス1億円の債務超過の会社があるとしましょう。この会社に,株式の引受人が1億円の出資をしてくれれば,その1億円は,すべて債権者の引き当てになるのですから,債権者は,大喜びです。
しかし,その債権者は,もともと債務超過の会社と取引をしていた以上,本来,債権の全額を取り立てできなくても仕方がないはずであり,たまたま,1億円を出資してくれる人が現れたからといって,その予想外の期待を保護する必要はありません。
このように,
引受人が「現実の拠出」を行わなくても,債権者にとっては,現状よりもマイナスになるわけではなく,具体的な債権侵害は生じない。
というのは,誰も否定することのできない客観的な事実であり,この点が次回説明する
「資本維持の原則」との最も大きな違い
です。
こうした事実を前提に「資本充実の原則」を「債権者の保護」という観点から説明するとすれば
① 株主になれば,会社財産に対する一定の支配力を持つことになり,その点では,債権者よりも有利な立場に立つのだから,現実に財産を拠出していない引受人(リスクを十分に負担してない引受人)には,株主としての権利を行使させるべきではない。
と説明するか
② 資本充実の原則を採用すれば,資本金の額は,
「一旦は会社に資本金の額に相当する財産が現実に拠出された」
ことを表すので,それを公示することによって,その会社と取引をする者が
「この会社は,少なくとも,資本金が増えた時点では,資本金程度の財産を用意することができる力があったんだな」
という情報を与えることに意味がある
と説明するか,のどちらかになると思います。
ところが,旧商法は,
① 現実に財産を拠出していない者でも株主になることができたので,①の要請を満たしていなかったし
② 払込未了でも,株式が発行されれば,資本金の額が増えていたので,②の要請も満たしていなかった
のです。
とすると,実は
旧商法には,債権者保護のための,資本充実の原則は,存在しなかった。
というのが正解なのではないでしょうか(笑)。
少なくとも,債権者保護のための資本充実の原則が不十分であったということは否めません。
なぜ,旧商法が,そのような不完全な資本充実の原則を取っていたかというと,
① 前回話したとおり,資本確定の原則を廃止したときに,株主保護等のための制度を作ったが,それが,債権者保護という観点からは,あまり良い制度ではなかった。
② 資本金と株式との相互依存関係を断ち切ろうとしていたが,断ち切れなかった。
ということが原因であると思います。
定款で直接資本金の額を定める資本確定の原則にせよ,株式の「発行価額」をベースに資本金を定める制度にせよ,「払込みの有無にかかわらず,資本金の額が定まる制度」の下では,資本金の額に見合うだけの財産が現実に拠出されない場合が生ずるのは仕方ありません。
(5)会社法における資本充実の原則
以上のような旧商法の問題点を克服するために,会社法は
① 設立時であろうが,新株発行時であろうが,現実の拠出をしない限り,絶対に株主になれない。
② 資本金の額は,発行価額ではなく,「現実に拠出された財産の価額」をベースに定める
ということにしました。
この会社法のルールのもとでは,先ほど説明した債権者の保護のための①の要請も,②の要請も満たすことができます。
その意味で,私は
会社法によって,はじめて完全な資本充実の原則が採用された
と言ってもいいのではないかと思うのです。
他方,仲間の郡谷さん・岩崎さんは,論文で,従来の不完全な資本充実の原則を批判した上
資本充実の原則は廃止された
と論じています。
実際,引受人が現実の拠出を要求される理由は,株主間の公平であったり,間接有限責任の徹底という側面が大きいので,無理に「債権者の保護」を持ち出す必要性が乏しいのは事実ですし
定款等によって「先に」資本金が定まり,その資本金に見合うだけの財産が現実に拠出される
という意味の「資本充実の原則」は廃止されたので,郡谷さん・岩崎さんの論文は正しいと思います。
また,会社法は
充実した部分だけが,資本金になる
と言っているので,「資本充実の原則」というより
充実資本の原則
と呼んだ方がいいのかも知れません。
ただ,表現の問題よりも,中身の方が大切なので,初心者の皆さんは,
① 資本充実の原則でいう「債権者の保護」とは何か
② 会社法が,現実の拠出を要求しているのはなぜか。
③ 会社法における資本金の定め方は,旧商法と何が違うか。
ということを,本日の記事をもとに理解していただいた上
資本充実の原則は,リニューアルされて実効性が増した。
と考えるのが,よいのではないかと思います。
(次回に続く)
(質問コーナー)
12月8日のQ9の補足
「会社法207条9項1号の「募集株式の引受人に割り当てる株式の総数」とは,旧商法280条ノ8但書と同様に現物出資者に対して与える株式の総数のことを指すのですか。それとも旧商法とは異なり文字通り,現物出資者か金銭出資者かを問わす,今回割り当てる全株式の総数を指すのですか。」という質問に対し,「文字通りと読むのが素直でしょうね。」と答えましたが,私としては
「文字通り,現物出資者に対して与える株式の総数です」というつもりでした。
同僚から指摘を受けて,質問をよく読むと,「文字通り」が,「全株式の総数」の方にかかっていることに気がつきまして,私の答えでは誤解を与えてしまうので,謹んで訂正いたします。
Q1
新株予約権についてです。
募集株式の発行等に関し、旧法では新株引受権の制度が存在していました。会社法では、これも新株予約権として整理されたということですが、「割当てを受ける権利」は、そのままで新株予約権として譲渡することが可能でしょうか?それとも、権利株の譲渡を禁ずる規定に引っかかり、新株予約権の無償交付(277)にしなければしてはならないことになるのでしょうか。
投稿 しーぽん | 2006/12/10 1:07:17
A1
割当てを受ける権利は,譲渡することはできません。
譲渡するなら,新株予約権でやってください。
Q2
募集株式の発行における通知の件です。
株主割当の際、202条4項の通知が必要ですが、その後、再び203条1項の通知が必要になるように読めます。
いずれも申込の勧誘と思われるので、ダブルでするのは無駄なように思えるのですが、どうすべきでしょうか?
いろいろ文献を探したところ、前田11版では、203条1項通知がいらないような書き方ですし、江頭株式会社法では、両方いるが通常は一緒にすればよい、というような書き方でした。
はて?
投稿 しーぽん | 2006/12/10 1:08:12
A2
株主割り当てでも,203条1項の通知は,必要です。202条4項の通知と兼ねることはできます。
Q3
株式等交付請求権とはいったい?
会社法は新株予約権制度を充実し、種々雑多なものをここに統合したように考えていたのですが、ふと計算規則を眺めていると、87条8項に「株式等交付請求権」なるものがあがっています。
新株予約権以外の権利であって、当該株式会社に対して行使することにより、当該株式会社の株式の交付を受けることができる権利をいう、と定義してあるのですが、ウウム。
いったい新株予約権とどこが違うというのでしょうか?
投稿 しーぽん | 2006/12/10 1:08:47
A3
擬似ストックオプション等のことです。
Q4
サミー様
分かりやすい入門講義をいつもありがとうございます。
今回の入門講義の中で質問があります。
> ② 新株発行を,出資者の集まりである株主総会ではなく,経営の専門家である取締役会で決めることができるようにする(授権資本制度・新株発行の権限を株主総会)
という部分のかっこ書の中の「新株発行の権限を株主総会」という記述は,「新株発行の権限は,原則株主総会にあるが,一定の場合には取締役会が新株発行できる」と考えてよいでしょうか?
勉強不足のため,的外れな質問であったらすみません。。。
投稿 まち | 2006/12/10 12:18:08
A4
旧商法における授権資本制度の導入時の説明であることを前提にお話しすると,新株発行の権限は,有利発行以外は,取締役会が,有利発行の場合は株主総会が持っているということになるでしょう。「原則株主総会」という説明の仕方は,ややミスリーディングです。
Q5
分割型会社分割を計画中ですが、分からないことばかりです。
1.対価は、抱合わせ株式は不可ですね。分割会社にとって自己株式の取得となりますが、155条で許容していません。
2.剰余金の配当として承継会社株式を分配する場合の端数処理の規定はないのでしょうか。234条に規定されていません。
3.施行規則178条2号や179条2号の意味が分かりません。分割対価の承継会社株式に代えて分割会社株式を交付してもよいという意味でしょうか、1号と同様に調整金のようなもので5%未満なら分割会社株式を含めてよいという意味でしょうか。前者とした場合に、分割型といえるのでしょうか。
4.分割会社で分割に伴い資本減少して、それを承継会社が引き継いだ形になっても(計算規則65条、81条)、旧商法の人的分割と構成が変わったから、登録免許税も旧商法の0.15%でなく、普通の増資と同じく0.7%になるという増税の見解がありますが、ほんとでしょうか。
投稿 KE | 2006/12/10 15:41:11
A5
1 不可です。
2 現物配当ですので,基準株式数を設定することなどにより端数調整は可能です。
3 178条2号等は,分割型分割とは関係ないです。
4 担当外なのでノーコメントです。
Q6
337条3項2号の読み方について教えてください。
まず、この条文は いったいどこで区切って呼んでいけばいいのでしょうか?「若しくは」があまりにも沢山入っていて区切りどころがわかりません。そして その結果として 私にとっては解釈不能になっています。
つぎに、 株式会社の子会社若しくはその取締役 という文言の中の「その」とは何を指すのでしょうか?株式会社の取締役なのか、株式会社の子会社の取締役なのか?それとも他の解釈があるのでしょうか?
投稿 maru | 2006/12/10 21:16:50
A6
{株式会社の子会社or当該子会社の(取締役、会計参与、監査役or執行役)}から,
(公認会計士or 監査法人)の業務以外の業務により継続的な報酬を受けている者
or
その報酬を受けている者の配偶者
Q7
取締役の任期短縮と比較して執行役の任期短縮について質問させてください。
取締役の任期を短縮するには 定款または株主総会の決議が必要です。(332条1項但書)
これに対して、執行役の任期は定款によってのみ短縮が可能です。(402条7項但書)
なぜ このような違いが生じるのか教えてください。
投稿 maru | 2006/12/10 21:18:07
A7
執行役は,株主総会で選任されないからです。
Q8
会社法施行規則182条5号について質問させていただきたいと思います。
会社法施行規則182条5号は、イで、「最終事業年度に係る計算書類等」とあり、「計算書類等」には「事業報告」が含まれますが、吸収合併存続会社に会社法施行後の事業報告がまだない場合には、最終事業年度に係る「営業報告書」で足りるのでしょうか。
投稿 ハニャ? | 2006/12/10 23:57:48
A8
営業報告書で結構です。
Q9
変態設立事項の検査役の調査
会社法33条に「発起人は、定款に変態設立事項の定めがあるときは、公証人の認証後遅滞なく、当該事項を調査させるため、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをしなければならないとあり、そして検査役は必要な調査を行い、裁判所に報告をしなければならない。そして、この報告を受けた場合、裁判所は変態設立事項を不当と認めたときは、これを変更する決定をしなければならない」旨の定めがあります。
(1)定款の附則の記載方法として「当会社の設立費用は、金500万円以内とし会社がこれを負担する。」というような総額記載でよろしいのでしょうか?
(2)すなわち、定款には詳細内訳項目(施行規則5条の項目、設立事務所の賃借料、設立事務員に対する給与、印刷費、広告費、創立総会の費用、司法書士登記費用、弁護士等による証明費用など)を記載してはおかないで、検査役の調査に対して、その求めに応じて、詳細内訳項目情報を提供することでよろしいのでしょうか?
(3)裁判所が不当と認める場合というのは、どのような場合が想定されるのでしょうか?会社の運営に支障をきたすことがないようにというのが趣旨だとすると、払い込み予定資本金に対しての一定の目安などがあるのでしょうか?因みに、設立資本金は2500万円の予定ですが、発起人全員で500万円程度の設立準備費用を想定して決めております。
投稿 KIRABO | 2006/12/11 0:45:37
A9
総額記載で足ります。
「不当」というのは,「不当」というしかありません。
目安はありません。
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コメント
略式・簡易組織再編の可否について、ご教示ください。
完全親会社が吸収分割承継会社、完全子会社が吸収分割会社となって、人的吸収分割を行う予定です。
両社とも、公開会社ではありません。
人的分割が「物的分割+剰余金の配当」と整理されたことにより、吸収分割の効力発生日において、吸収分割承継会社は、吸収分割会社に対して、吸収分割承継会社の株式を交付することになるので、略式・簡易組織再編はできないと考えますが、いかがでしょうか?
投稿: としお | 2006年12月11日 (月) 22時08分
『千問の道標』Q172で、株主の権利行使の方法については、定款または定款の定めによる委任に基づき株式の取扱等に関して定められる株式取扱規程等において合理的な制約を加えることは可能とされていますが、ここで「定款の定めによる委任に基づく株式取扱規則」として、定款にどのような記載があるべきか。」
ですが、従来、多くの会社の定款では、「当会社の株式に関する取扱及び手数料等は、法令又は定款のほか、取締役会で定める株式取扱規則による。」のように、 特に、株主の権利行使について触れていません。この定款規定を変更することなく、株式取扱規則に株主の権利行使の制限規定を取締役会決議で規定しても問題ないでしょうか。
投稿: んーー | 2006年12月12日 (火) 08時52分
サミー先生、お忙しいだろうに、いつもありがとうございます。大変参考になっております。
当社は会社法施行後、初の決算を向かえておりますが、附属明細書の記載事項についてわからないところがあります。ご教示戴けたら幸甚です。
事業報告の附属明細書では「第三者との間の取引であって、・・・利益が相反するものの明細」を記載するとありますが(会社法施行規則128条2号)、当社の取締役が代表取締役を務める当社の100%子会社Aは、この「第三者」に該当するでしょうか。「第三者」の意味がよくわかりません。
どうぞよろしくお願いいたします。
投稿: 決算です | 2006年12月12日 (火) 12時44分
会社法のブロクで大変おもしろそうブログがありましてので
訪問させて頂きました。
コーポレートガバナンスに退行している某会社に愛想を尽かしたので株式を
譲渡したいと思っております。
具体的には
1取締役会の廃止
2監査役の廃止
3取締役の任期を10年
4株式譲渡制限の規定設置
このような議題を臨時社員総会で議決しようとしている会社にはなんの未練もないので早速に株式の譲渡制限の議案に反対して買取請求をしたいと思っていますが
瑕疵なく会社に請求したく思っていますのでその手続きについて教えて下さい。
また買取価格のベースはやはり一株当たりの純資産価格が基本なのでしょうか?
投稿: ミュウジ | 2006年12月12日 (火) 12時49分
今回の話ですが、改正前商法につき、なぜ設立無効や打ち切り発行について触れないのか大変疑問に感じます。
それこそミスリーディングでは?
投稿: とーりすがり | 2006年12月12日 (火) 12時54分
略式組織再編や簡易組織再編の条文に「・・・である場合には、適用しない。」と規定されていますが、これは、株主総会に吸収合併契約等の承認権限がないというように読むのでしょうか。それとも、略式組織再編や簡易組織再編の要件に当てはまる場合であっても、あえて、株主総会で承認してもかまわないということなのでしょうか。私の勉強不足のための質問であると思われますが、どうぞよろしくお願いいたします。
投稿: ぷにたろう | 2006年12月12日 (火) 20時31分
千問のQ518 p377 縦5以降の文章について質問させてください。
まず、その文章を引用しますね。
「また、会計監査人である公認会計士が会計参与に選任され、就任した場合には、会計監査人の欠格事由に該当することになるので、会計監査人の資格を失う。」
とあります。ここでいう欠格事由とは 337条3項1号に掲げられた事由を指すのですか?
投稿: maru | 2006年12月13日 (水) 00時39分
219条1項について質問させてください。
ある本にこんな文章が載っていました。まず 引用します。
「219条1項の株券提供広告及び通知の期間は1ヶ月以上でなければならず、たとえ総株主の同意を得ても、これを短縮することはできない。この公告は株主だけではなく、他の利害関係人の保護をも目的とする強行規定であると解されるからである。」
この文章でいう「他の利害関係人」とは具体的にどのような人を指すのでしょうか?
投稿: maru | 2006年12月13日 (水) 00時41分
代表執行役についてご質問いたします。
1.代表執行役Aと執行役Bがいる委員会設置会社において、執行役の員数等について別段の定めをおいていない場合、Aが執行役を辞任すると、Bは420条の「この場合」に該当し、当然に代表執行役となると考えて宜しいのでしょうか?
2.代表執行役A、代表執行役B、執行役Cがいる委員会設置会社において、1と同様に別段の定めをおいていない場合、Aは代表執行役のみを自らの意思で辞任(執行役として残る)することはできないと考えて宜しいのでしょうか?
投稿: 南斗六星 | 2006年12月13日 (水) 08時38分
サミーさま、
議決権制限株式と取締役選解任種類株式の会社法における整理について教えてください。
具体的にいえば「取締役5名中2名のみを選任することができる」という内容の議決権制限株式の有効性ということです。
議決権制限株式は平成13年に規制緩和されたものの、それぞれ特定数の取締役の選任議案についての議決権を有することとすると、いずれの株式も、本来有する全取締役の選任について一部権利行使が制限されることになるため、議決権制限株式となってしまい、議決権制限株式の発行数量の規制に抵触し(改正前商法222条5項)目的を達成することができなくなってしまいます。そこで、平成14年改正で取締役の選任について内容の異なる種類株式を発行するときは、当該種類株主総会において選任することとし、議決権制限株式の数量制限に抵触することなく目的を達成できるようになりました。(商事法務1642号30頁)
そうすると、会社法のもとでは議決権制限株式の発行数量規制が公開会社に限って維持されているため(会社法115条)、理論的には非公開会社においては議決権制限株式を利用することによってこのような仕組みをつくることは可能であると思われます。
もっとも、このように考えると108条1項9号の説明がつかなくなります。
会社法を前提として整合的に理解するとすれば、議決権制限株式は、「議案」レベルではなく「議題」レベルのものと理解するのでしょうか?
投稿: 麦酒好きのLS生 | 2006年12月13日 (水) 16時37分
種類株主の保護について教えてください。
322条2項の定款の定めがある会社では、202条1項による株式引受人の募集に際して種類株主に損害を及ぼすおそれがあるときに、反対株主に対し116条の株式買取請求を認めております。
一方で、199条1項の決議による募集事項の決定に関しては、199条4項の種類株主総会の決議を要しない旨の定款の定めがある場合の反対株主の買取請求を認める条文が見あたりません。
これは私の見落としでしょうか?それとも後者の場合に買取請求を認めないとする理由があるのでしょうか?
投稿: 総務課の星 | 2006年12月13日 (水) 17時22分
サミーさんこんばんは。さっそく質問に入ります。
非取締役会設置会社において,下記のそれぞれの場合に,株主総会の決議により代表取締役の選定を行ったとき,当該選定に瑕疵はありますか。
1 定款に株主総会決議で代表取締役の選定を行う旨の定めがない場合(疑問点は349条3項の「定款の定めに基づく」は「株主総会の決議」にもかかるのか否か)
2 定款に「当社の代表取締役は取締役の互選により選定する」旨の定めがある場合(疑問点は定款により349条3項後段(株主総会での選定)を排除できるかということ)
3 定款に「当社の代表取締役は取締役の互選により選定できる」旨の定めがある場合(疑問点は,代表取締役の選定方法を1個に限定しないで,株主総会決議でも取締役の互選でもできるようにしてもよいか否か)
投稿: ポケット | 2006年12月13日 (水) 20時23分
設立費用について
会社法では施行規則5条の設立費用以外のものは定款に記載しなければ効力を生じないとあり、且つ963条で意識的に定款に載せなかった場合には罰則条項もあります。
一方、国税庁長官通達8-1-1では「定款記載を欠く設立費用」を設立後の会社の負担にすることを認めています。
会社法違反になることが法人税法では許容されているかのように読み取れるのですが、「会社法」と「国税庁長官通達」を実務上、どのように折り合いをつけるのかについてご解説いただければ幸甚です。
投稿: KIRABO | 2006年12月13日 (水) 23時45分
「充実資本の原則」って良いネーミングですね。気に入りました。
投稿: 権兵衛 | 2006年12月14日 (木) 14時01分
吸収合併に際しての代用自己株式交付について、ご教示ください。
①旧商法第409条ノ2に対応する条文が会社法では存在しないのですが、会社法第155条11号によって吸収合併と同時に取得する自己株式は、旧商法の時と同様に、合併に際して新株の発行に代えて交付することも可能だと考えますが、いかがでしょうか?
②上記①が可能だとした場合、吸収合併契約書に記載しておかなければ、存続会社の増加する株式数が不明になってしまうため、登記審査上、問題になってしまうと考えますが、いかがでしょうか?
投稿: としお | 2006年12月14日 (木) 22時14分
サミーさん始めまして。種類株式のところでどうにもよく分からないところがあり質問させていただきます。
拒否権付株式の株主や取締役等選任権付株式の株主というのは種類株主総会以外の普通株主総会でも議決権を行使できるのでしょうか?例えば合併について拒否権のついている種類株式が存在する場合、当該株式を持つ株主は①合併について決議する普通株主総会と種類株主総会のいずれでも議決権を行使できる②合併についてだけは普通株主総会では議決権を行使できず、種類株主総会でしか議決権を行使できない。いずれなのでしょうか?また、当該株主が株式買取請求をする時に反対の議決権の行使についても①両方の株主総会で反対の議決権行使が必要②種類株主総会での反対決議だけでよい。いずれなのでしょうか
他にも取締役の選任について拒否権付株式についても同様に当該株式の株主は取締役選任決議自体には関与できるのでしょうか?
また、召集通知などは別々に行わなければならないのでしょうか。それとも一括して行うこともできるのでしょうか
あと、拒否権についての種類株主総会を開くには対象が決まってからでないと召集手続きはできないのでしょうか?例えば、取締役の選任について拒否権付株式について、普通株主総会で取締役を5人選任⇒直ちに種類株主総会の決議にかける。とか、そこで一人だけ拒否された⇒直ぐに別人を選任⇒その人間だけ直ちに再度種類株主総会の決議にかけるというようなことは可能なのでしょうか。
拒否権についての普通株主総会と種類株主総会の関係についてイマイチイメージがつかめません。
また、取締役等選任権付株式を発行する時には取締役等選任権付株式において選出できる取締役の数についてはどうなるのでしょうか。定款に取締役の人数は5人以内とすると規定されてた場合、普通株式と取締役等選任権付株式の人数配分を決めるのはどうするのでしょうか。
この場合にはそもそもは定款に普通株式で何人・取締役等選任権付株式で何人というように定めるということなのでしょうか。それとも取締役等選任権付株式で何人選任できるとだけ定めておけばよいのでしょうか。
よろしくお願いします
投稿: 西郷どん | 2006年12月14日 (木) 23時04分
サミーさまよろしくお願いいたします。
10月25日のQ9に対する回答として、会社法施行前から存在する株式会社の定款の譲渡制限に関する規定につき、「当会社の株式を譲渡するには、・・・・・」から「当会社の株式を譲渡により取得するには、・・・・・」に変更したとしても、譲渡承認の機関について変更がなければ、変更登記の必要はないと答えていらっしゃいましたが、東京法務局で同様の事案につき相談したところ、会社が任意に変更して、定款の規定の文言と登記簿上の文言が異なることになった場合は変更登記が必要であるという回答をいただきました。会社法施行前から存在する譲渡制限会社の場合、整備法によるみなし規定により当然に「・・・譲渡により取得する・・・」という規定が存在することになるので、東京法務局のいうように、任意に変更する場面など存在しないような気がしますし、書面としての定款を書き換えてしまったら変更登記が必要だということであれば、すべての譲渡制限会社っで変更登記が必要ということになってしまうと思うのですが・・・。どのように考えればよいのでしょうか。
投稿: mieu | 2006年12月16日 (土) 13時43分