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2006年11月21日 (火)

【入門】債権者保護の態様(1)

 新・会社法100問[第2版]が書店に並び始めました。
 著者の一人なので,冷静に見ることはできませんが,実務家,ロースクール生,司法試験・公認会計士・司法書士・行政書士を目指す人などなど,会社法を身につけようとする人にとって、本当に役に立つツールになっていると思います。
 読者の能力に応じて,いろいろな使い方ができるように工夫されているので,ぜひ使ってみてください。

 さて,本日から,新・会社法100問[第2版]の3つ星問題を解きながら,会社法の基本を説明していこうと思います。

 本日は,第3問(62頁)
 「各種の会社における債権者保護の態様について述べよ。」
です。

1 問題の分析
 こうした一行問題について答える場合には,問題文の一語一語を自分で読み替えながら,自分が書こうとする論文の全体像を把握することが重要です。
 
 例えば,「各種の会社」という言葉を
  株式会社・合同会社・合資会社・合名会社
と読み替え,「債権者保護の態様」という言葉を
  一般債権者の保護(=会社からの財産流出対策)
と読み替えるのです。
 もっとも,「債権者保護」という言葉は,初回にもお話ししたとおり,多義的であり,「取引の安全」とか
「被害者の保護(会社の業務執行者の行為によって損害を被った者の保護)」とか
いう意味で用いられることもありますから,その点も意識する必要はあります(http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/12567483)。

 そうしたことを理解した上で,各種の会社ごとに,一般債権者の保護(+取引の安全・被害者の保護)の制度として、どのようなものが存在するかをリストアップして,それを順次,説明していくというのが、解答の基本的な枠組みです。

2 民法の一般債権者の保護制度との関係
 「一般債権者の保護」というのは,どんなことを言うのでしょうか。

 例えば,松真さんが,サミーさんから,会社法100問100冊を32万円で買って,引渡しを受けたとしましょう。
 サミーさんは,松真さんに32万円の支払を請求する権利(債権)を持っている債権者ですが、一般債権者の保護のための制度というのは,こうした場面で
 「サミーさんが,確実に,松真さんから32万円の支払いが受けられるようにする制度」
のことを言います。

 では、どんな場面で一般債権者の保護のための制度が必要だと思いますか。
 松真さんが債権相当額の財産をもっているのならば、サミーさんは,松真さんの個人財産に対し、強制執行をすることができますので、特別な保護は必要ありません。
 逆に,松真さんが最初から借金まみれで、金を返す能力がなかった場合には,サミーさんは,「見る目が無かった」とあきらめるか、警察に「詐欺だ」と相談しにいくかしかありません(先取特権を行使する余地はありますが)。
 ですから,「一般債権者の保護」として,特別な制度を設けなければならないのは
  本来,松真さんの個人財産に対して強制執行すれば,満足を得ることができるはずなのに,
  松真さんが,個人財産を他人に流出してしまう等して、債権者が満足を得ることができない場合
ということになります。
 具体的に、民法で「一般債権者の保護制度」と言えば
  詐害行為取消権・債権者代位権
がこれに当たります。

 会社が債務者である場合にも,債権者がこれらの権利を行使することができるのは,当然ですが、それにもかかわらず,会社法が「一般債権者の保護」のために特別な規定を置いているのは,なぜかと言えば、それは、会社法には
  社員は,会社財産について,債権者に劣後する地位にある
という特別なルールがあるので、そのルールを潜脱するような会社の行為を防止するためです。

 すなわち,会社が解散して,会社財産を分配するときには,まず債権者が配分を受け,その後、残余財産を社員で分配するというルールを守るのが嫌になって、会社が、解散する前に、社員に対し財産を流出させ、社員を債権者よりも事実上優先させてしまうようなことを防止したいのです。

 例えば、正直法務という会社の財産が
  現金50万円・債務50万円(つまり、資産-負債=純資産が0円)
の場合において、債権者は、現金50万円を取り立てれば、自己の債権50万円の満足を得ることができますが、正直法務が、その現金50万円を社員の松真さんに配当したり、払い戻しをしたりしてしまうと、正直法務の財産は
  現金0円・債務50万円
になって、債務の取立ができなくなってしまいます。
 こうした「会社から社員への財産の流出」という会社特有の問題への対処が、会社法では求められているのです。

3 会社財産の流出対策
(1)合名会社・合資会社
 それでは、会社法は、どんな一般債権者の保護制度を設けているのでしょうか。

 まず、前回の社員と債権者の関係を思い出してください。
  合名会社の社員や合資会社の無限責任社員は
   会社の債権者に対して,直接無限責任を負っています
から,会社から社員に財産が流出しても,債権者は,無限責任社員に債権の全額について直接追及することができます。

 先ほどの事例で、正直法務が合名会社だとすれば、無限責任社員の松真さんに50万円が払い戻さされても、債権者は、松新さんから50万円を取り立てることができるのです。

 このように、債権者は、会社財産で満足を得られない場合には,必ず無限責任社員から債権全額の支払いを受けることができるのですから,この「直接無限責任」は,究極の会社財産の流出対応策ということができます。
 逆に、会社財産が社員に流出しても,社員から取り戻せる以上、会社財産が社員に流出すること自体を事前に止めるための特別な制度は不要であるということになります。

 なお、「合資会社において,無資力者を無限責任社員にした上で、有限責任社員に会社財産をどんどん流出させることについて会社法上の歯止めがないのは、まずいのではないか」と心配する人がいるかもしれませんが
  会社が、有限責任社員に対して、その人に配分されるべき利益額を超えて配当をすれば、債権者は、その超過額を含めて、有限責任社員に直接責任を追及することができます(623条・580条2項)
ので、ご心配には及びません。

(2)株式会社・合同会社
a 財源規制
 これに対し,株式会社の株主と合同会社の社員は,「間接有限責任=無責任」ですから,会社財産が株主・社員に対して流出してしまった場合、合名会社や合資会社と同じような方策を採ることはできません。

 例えば,正直法務の財産が現金0円・負債0円である場合に、サミーさんが、正直法務に、会社法100問100冊を32万円で売ったところ,正直法務は,すぐに、これをインターネット・オークションに出品して35万円で売却したとしましょう。
 正直法務は、最初無一文だったとしても、商売をすることにより手に入れた35万円でサミーさんに32万円を返済すれば、サミーさんは、何の不満もありません。
 ところが、正直法務が、その35万円を株主である松真さんに配当したとしたら、サミーさんが,正直法務に対し,強制執行をしようとしても,
  「無い袖はふれない」
ので、満足を得ることができません。
 そこで,サミーさんは,実際に35万円を受け取った松真さんに
  「あなたの会社の債務なんだから,うちの債権32万円をあなたに払ってもらいたい」
と請求することになるのでしょうが,もし,会社法が特別な制度を設けなければ,松真さんは
  「いやいや,株主は間接有限責任ですから」
と言って、支払いを拒否するでしょう。

 そこで,こうした事態を避けるために,株式会社と合同会社では
  会社財産が社員に流出することを制限する
という制度を設けているのです。
 
 さて、ここで問題となるのは,「どの程度まで制限するか」ということです。

 この点,「株式会社は,一切,株主に財産を流出させてはならない」というルールであれば,非常に分かりやすいのですが,払戻しも、配当もできないような会社に出資する人はいないので,ある程度は,会社から株主への財産流出を認める必要があります。

 他方,「会社が,債務超過(会社の資産から負債を引いた数がマイナスであること)になるような場合は,社員に配当してはいけない」というルールも考えられますが,これでは
  詐害行為取消権の場合と同レベル
の保護しか与えないということになってしまい,会社法で特別な制度を設ける意味がありません。
 
 そこで,会社法は,詐害行為取消権の場合より少しレベルを上げて,株式会社や合同会社では
  社員である間は,社員の出資額については払い戻しをしてはならない(払戻の制限)。
  会社が事業等を行うことにより,出資額以上に純資産(=資産-負債)が増えた場合には,その増えた分(剰余金)に限って,配当してもよい。
というルールを原則としています。

 簡単に言えば,松真さんが,正直法務に,100万円を出資した場合に、正直法務がその100万円を元手に事業をして,それを120万円に増やしたときには,20万円の配当ができるが,出資額100万円については松真さんに払戻しをすることはできない、ということです。

 本来,一般債権者の保護という点からは,詐害行為取消権のように「債務超過の場合=プラス・マイナス0のレベルを下回った場合」に配当を禁止すればよいはずなのに,なぜ株式会社や合同会社では、出資額を基準に財産の流出を制限しているのでしょうか。

 「東インド会社時代から、株式会社は、そのようなルールだった」という歴史的な理由もあるでしょうし、形式的な理由として
 株式会社や合同会社は,間接有限責任のもと,会社財産の独立性が強く求められるから,一旦,出資財産が,会社財産になった以上,会社が解散して,その独立性が失われない限り,これを社員に返還すべきではない。
ということもあげられるでしょう。

 より実質的な理由としては,
  詐害行為取消権は,実質的に債務超過になるかどうかで要件が判断されるのに対し,社員への財産の流出の制限は、計算書類上の数字によって判断されるから,ある程度の余裕(バッファ)を残しておかないと,実質的に債務超過になるような財産流出が行われる可能性が高くなる
ということにあります。

 分かりにくいでしょうから、この実質的理由をもう少し掘り下げます。
 計算書類には,
① 決算期(例えば,毎年3月31日)において,資産と負債がどの程度をあるかを表示する「貸借対照表」(BS)や
②1事業年度にどの程度の費用で,どの程度の収益を上げたかを表示する「損益計算書」(PL)
があります。これらの計算書類は,できるだけ,現在の会社の財産状態や収益力を表すように工夫されていますが,それを完全に反映させることはできません。
 たとえば,正直法務が,会社法100問の[初版]を2800円で購入したときは,その購入価格が「簿価」として資産に計上されますが,[第2版]が出ると,[初版]を2800円のまま売るのが難しくなり,[初版]の時価は下がってしまうでしょう。
 しかし,会計帳簿の簿価を,刻々と変わっていく時価に応じて書き直していくのは,手間がかかりすぎて,事実上,ムリなので,会社の資産の中には,実際には,簿価ほどの価値がない「含み損」を抱えたものが含まれています。

 また,計算書類を作るのは手間がかかるため,計算書類は、1年に1回だけ作ることになっていますから,事業年度(1年間)の途中で大きな損失が生じたとしても、実際にそれが計算書類に反映されるのは、次の決算のときという「時間のズレ」が生じます。

 他方,会社が、払戻や配当等会社財産を社員に流出させる行為をする場合に,一々,「実質的な債務超過になるかどうか」を確認しなければならないとするのは,判断の難しさや手間を考えると現実的ではなく
  計算書類上の数字をベースにして,社員への流出を許す範囲を定める
必要があります。

 そこで,
   計算書類上,算定される純資産額がプラスでも,実質的には,含み損や当期損失によって債務超過に陥っている場合に備えて,出資相当額についてはバッファとして払戻をし制限すべきである
という政策判断が,株式会社と合同会社では採用されているのです。

 さらに,出資の払戻(=社員の地位を失う代わりに,出資した財産の返還を受ける)を制限しても,配当(=社員の地位はそのままで,会社から財産の交付を受ける)が自由にされるのでは,払戻を制限した意味がなくなるので、株式会社や合同会社では、
  純資産額が出資額を割り込んだ場合には、配当を制限する
という原則も、採用されています(株式会社では、「資本維持の原則」と呼ばれています)。

 以上のように,株式会社や合同会社で採用されている払戻・配当の制限のことを,一般に,
 財源規制
と呼んでいます。
 「財源」という言葉は,会計的な言葉なので,今日は,詳しくは説明しませんが
 配当をするときに,出資金を減らして配当してはならず,剰余金を減らして配当しなければならない(剰余金がなければ,配当できない)
という程度の意味だと覚えておけば十分でしょう。

 本日は、財源規制の基本を話したところで、かなり長くなったので、次回に続くことにしましょう。

(質問コーナー)
Q1
民法の法人の部分の改正はいつからでしょうか?
投稿 東洋 | 2006/11/18 18:27:29
A1
まだ全然決まっていません。

Q2
 取得条項付株式と取得条項付新株予約権の違いについて質問させてください。
 取得条項付株式を発行する場合、定款の定めが必要です。(107条2項)
 これにたいして、取得条項付新株予約権を発行する場合、定款の定めは必要ありません。すなわち、新株予約権の内容として株主総会の決議により募集事項で定めることでたります。(236条1項7号、238条1項1号、2項)
 この違いは なぜ生じるのでしょうか?
投稿 maru | 2006/11/18 22:04:18
A2
取得条項だけではなく、新株予約権の内容そのものが、定款で決める必要はありません。
新株予約権は、単なる債権だからです。

Q3
246条2項について質問させてください。
民法上は相殺につき相手方の承諾は不要です。
ところが、246条2項では 相殺について会社の承諾を必要としています。これは なぜなのでしょうか?
 また 承諾が必要な場合まで 相殺と呼んでも良いのでしょうか?
投稿 maru | 2006/11/18 22:06:28
A3
 相殺を認めると、現物出資ではなく、金銭出資としていたはずのものが、現物出資と同じことになってしまうからです。

Q4
今更なのですが、社外役員の責任限定契約での質問です。
その契約をするための定款の記載ですが、たとえば「社外役員は1000万円以上は最低でも払わなければならない」といったような内容の定款の記載をするならば、法定最低責任限度額以上の額ならば、社外役員毎に責任額を変えて契約していいんでしょうか?そうでなければ、報酬が高い社外役員と、報酬がゼロ(もしくはそれに近い)役員では、ちょっと責任に落差ができてしまう気がしまして。
投稿 M.N | 2006/11/18 23:21:24
Q5
表現がややこなれていませんが、そういう契約もできます。

Q5
会社法100問を購入したのですが、葉玉先生が書かれた勉強法について質問があります。サイの力のところで、本試験で応用が効くような論証能力の身につけ方が書かれていますが、②のところの「問題となる文言」と「争点」の違いがわかりません。会社法に直接は関係ないのですが、おねがいします。
投稿 blue | 2006/11/19 19:56:10
A5
「文言」というのは、条文の文言です。
その「文言」について、解釈に違いがあるから論点になるわけですが、どうして、そのような解釈の違いが生じるのかが「争点」です。

Q6
A株式会社が、B株式会社の100%親会社である場合に、Bを分割会社、Aを承継会社として、吸収分割を行います。
これを、無対価で行うことは可能でしょうか。
投稿 moremi | 2006/11/20 9:15:18

A6
 可能です。ただし、資本金は増えません。

Q7
募集株式発行時の資本増加限度額の計算についてなのですが、募集株式がすべて自己株式だった場合には、必ず資本金は増加しないのでしょうか。資本増加限度額の計算方法の計算式であてはめると、必ずしもそうならないのではないかと思うのです。理論ではわかっているつもりなのですが、確実に理解できません。どうか御教示下さい。
投稿 柴里達徳 | 2006/11/20 9:18:09
A7
 自己株式の処分では、資本金は増えません。

Q8
前回のA9に「業務執行取締役の定義を見てもわかるとおり、取締役が業務執行をした瞬間に、業務執行取締役になってしまいます。取締役の業務は、取締役会に参加して決議に参加することです。」とありますが、これでは社外取締役が取締役会の決議に参加できなくなってしまいます。例示するのであれば、「取締役会以外の場でライン決裁などに参加すること」の方がよろしいのではないですか?
投稿 通りすがり | 2006/11/20 13:30:21
A8
 質問に引きずられて、うっかり、取締役の「業務」と書いてしまいましたが、取締役の「職務」と言った方がよかったですね。
 ただ、業務執行の「意思決定」は、業務執行ではないので、意思決定に参加するだけでは、社外性は失われません。

(前回の解答の補足)
前回のQ12
議決権行使書面を利用する場合、参考書面の発送、招集通知発送期間などいろいろな規制が出てきますが、非公開会社であり株主の200程度の会社である場合、実務では議決権行使書面ではなく委任状を送っているようですが、この場合は「委任状」なので、会社法301条等の適用はないと考えていいのでしょうか?また会社の作成した議決権行使書面に準ずる形式で作成された「委任状」は会社法でも適法なのでしょうか?
投稿 英坂 | 2006/11/17 11:22:53
A12
委任状勧誘府令にしたがったものならば、301条は適用されませんが、そうでなければ、301条が適用されます。
会社法における「委任状」は、特に様式はありません。

*以上の回答をしたところ、友人から、この答えでは、「委任状勧誘府令に従った委任状を送っていれば、298条1項3号の決議をしていても、301条の適用がない。」あるいは「委任状勧誘府令に従っていない委任状を送ることは、298条1項3号の決議をしたことになる。」というように読めて、ミスリーディングではないかという指摘がありました。
 私は、質問の「株主200程度」というところを見落としていて、「委任状を送れば、株主総会参考書類や議決権行使書面を交付しなくてもよいか」という質問だと勘違いしていましたが、よく読むと、もともと、書面による議決権行使を義務づけられていない会社のことだったということに気がつきました。
 そうすると、この質問の趣旨は
 「委任状を送ることを決めても、298条1項3号の決議をしていることにはならないので、301条の適用とかはないですよね?」
ということでしょうから、答えは
 「委任状を送ることを決めただけでは、書面による議決権行使をすることを決めたことにはなりません」
ということになります。
 

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コメント

合資会社の有限責任社員が死亡した場合
 旧商法161条では、合資会社の有限責任社員が死亡した場合、その相続人が社員となると定められていましたが、会社法608条1項では、この規定を定款で定めることが出来るとされています。
 従来から存在する合資会社の場合、このような定款の規定はなく、また、整備法でも旧商法の期待があるものと看做す規定もありませんが、このような合資会社の有限責任社員が死亡した場合、どのような手続により、誰が入社するのでしょうか。

投稿: 橋爪伸由 | 2006年11月21日 (火) 10時26分

サミー様、親会社・子会社について教えてください。例えば、A株式会社(代表取締役甲)とB株式会社(代表取締役乙)は、お互いに相手の株式は全く所有していないときは、親会社とか子会社ということはない、と考えて良いのでしょうか。また、この場合、甲は、A社の株式の過半数を所有し、B社の株式の全部を所有してB社の平取締役をも兼任するような場合でも、A社・B社は互いに親会社・子会社という関係にはならないのでしょうか。

投稿: はりこのトラ | 2006年11月21日 (火) 20時15分

上記の続きですみません。A社とB社は取締役会構成員数がともに4名で、そのうちの2名が兼任した例でございます。

投稿: はりこのトラ | 2006年11月21日 (火) 21時04分

100問第2版、かなり手を入れていただいたようで、感激です。
一問一答式テスト1200問が入ったこともうれしいですが、
強調文字(黒太字・赤字)まで見直されていて、
ここまで手のはいった第2版なんて、見たことありません。
初版のときに劣らない大変な労力がかかったのではないでしょうか。
ありがとうございました。
使い込んでボロボロにしつつ、会社法の解釈能力を身につけさせていただきます。

投稿: さば缶 | 2006年11月21日 (火) 22時53分

監査役の選任に関する監査役の同意(343条)と会計監査人の選任に関する監査役の同意(344条)について質問させてください。
 
 監査役がある場合において、取締役が監査役の選任に関する議案を株主総会に提出するには 監査役の同意を得なければいけません。(343条1項)
 また、監査役がある場合において、取締役が会計監査人の選任に関する議案を株主総会に提出するには 監査役の同意を得なければいけません。(344条1項1号)
 ところが、344条は 会計監査人の解任を総会の目的にすること(344条1項2号)及び会計監査人を再任しないことを株主総会の目的とすること(344条1項3号)にも 監査役の同意が必要と定めています。
 この様に、343条1項と344条1項で 監査役の同意の範囲が異なる理由についてご教授ください。
 

投稿: maru | 2006年11月21日 (火) 23時06分

新株発行無効の訴え(828条1項2号)について質問させてください。

 この場合 公開会社では 提訴権者は効力が生じた日から6ヶ月以内に 訴えを提起しないといけません。(828条1項2号)
 ところが 非公開会社では 提訴権者は効力が生じた日から1年以内に訴えを提起すればよいとされています。(828条1項2号括弧書)
 この違いはなぜ生じるのでしょうか?

投稿: maru | 2006年11月21日 (火) 23時07分

新・会社法100問[第2版]買いました。

いろいろな用途に使えていい本ですね。オレンジ色も好きです。

で、早速ですが、457頁のWhat's Missing935の「正」に、「会計監査権限しか有しない監査役も、監査役である以上、取締役に報告する義務を負う(382条)。」とありますが、本当でしょうか。会社法第389条第7項によると、382条の適用は排除されているように読めますので、ご確認頂ければ幸いです。

御ブログの2006年11月10日 (金)エントリー「会計監査限定監査役」にも、「小監査役には,381条から386までの規定が適用されないため,取締役会への出席権もなく,会社を代表して訴訟をすることも,違法行為の差し止めもできず,不正行為を見つけたときの報告義務すら課されていないので,小監査役は,定時総会前の会計監査以外には,ほとんどやることがないのです。」とあり、不正行為発見時の報告義務がないとあります。

P.S. 細かいことで恐縮ですが、What's Missingという英語は正しい英語なのでしょうか。What's Missingだと、「足りないものは何でしょう?」「行方不明は何でしょう?」みたいなニュアンスだと思うのですが。

投稿: ぞう | 2006年11月21日 (火) 23時31分

決算スケジュールについてご質問させてください。
会計監査人が監査報告を取締役等に通知する期限は、旧法では4週間以内、会社法では4週間を経過した日となっていますが、そうしますと、4/20に計算書類を提出しますと、旧法では5/18、新法では5/19となり1日違ってくるのでしょうか。つまり、新法の経過した日は、中4週間の間隔があるという理解でよろしでしょうか。

投稿: 会社法漬け | 2006年11月21日 (火) 23時52分

特定監査役および特定取締役の選定のメリット、デメリットを教えてください。また、それぞれの選任機関はあるのでしょうか。お願いします。

投稿: 会社法はつらい | 2006年11月21日 (火) 23時56分

What's Missing は、「(誤った見解を述べている人の)理解が足りないのは、どこですか?」的に受け取ればよいでしょうか。
What's Wrong の方がより直接的でしたね。
ま、記号にすぎないので、気にならないですが。

投稿: ぞうさんのしっぽ | 2006年11月22日 (水) 00時32分

「転換社債型新株予約権付社債」について質問させてください。

新・会社法で取締役1名の会社を設立します。
しかし、友人2人も将来この会社に参加する予定で50万円ずつ
拠出してもらい、正社員になったときに株式に転換して資本金にする
予定です。

いろいろと調べた結果、「転換社債型新株予約権付社債」に
するのがよさそうなのですが、適当な契約書の雛形が見つかりません。

行使期間を1年くらいに設定し、転換の条件に「正社員になったとき」
というようなことを検討しておりますがどのようなことを記載すれば契約書
として成立するのでしょうか?

よろしくお願いいたします。

投稿: しゅんたろう | 2006年11月22日 (水) 01時24分

100問2版P66(二)(4)についてお伺い致します。

会社分割における承継会社が、①分割会社の債務を承継しない場合、かつ、②分割会社に対価を交付しない場合においても、承継会社の債権者保護手続は799条1項2号により要する、と考えて宜しいのでしょうか?

P66・P67を読んでいて、もしかしたら要しないのかな、と疑問に感じたので…

投稿: 南斗六星 | 2006年11月22日 (水) 09時11分

取締役会設置会社における「業務執行取締役」についてご質問させてください。

前々回A9で「取締役が業務執行をした瞬間に、業務執行取締役になってしまいます。」とありますが、その者と取締役会で業務を執行する取締役として選定された者との違い何でしょうか。
前者は取締役会で選定されていないため、363条2項の報告義務はないのでしょうか?

投稿: たあ | 2006年11月22日 (水) 10時54分

旧人的分割は、物的分割時に剰余金の配当を行うことで同様の効果を乗じさせることとなりますが、この剰余金の配当においては、準備金の積立て(計規45)は、要するのでしょうか。除外規定を発見できません。宜しくお願い申し上げます。

投稿: 真野禎太 | 2006年11月22日 (水) 15時42分

11/21のQ6・A6(100%子会社B社から親会社A社への無対価吸収分割)に関連して3つ質問させて下さい。(1)この場合分割承継会社であるA社の計上すべき株主資本について適用される会社計算規則の条項は、第67条に従って第64条となるという理解で間違いないでしょうか。分割型吸収分割ではない為同規則第65条、第66条は適用されず、また対価が株式でない為第64条も直接は適用されませんが、共通支配下なので第63条の時価評価も適切ではないということで、第67条に従うと思ったのですが。(2)分割会社B社の株主資本については分割のみによっては変動しない(必要なら減資等の手続を別にとる)ということになるのでしょうか。(3)この分割を商法時代の実務に従い分割型吸収分割で行おうとした場合、A社は株式を最低1株B社に交付し、それを現物配当として効力発生日にB社から受領し、自己株式として消却する(またはそのまま保有する)という手続をとることになるのでしょうか。

投稿: T.S. | 2006年11月22日 (水) 18時25分

 こんにちは。毎日このブログを楽しく読ませていただいています。
 第二版を読んでいて、誤植と思われるものを発見しました。
 P68(三)の三行目と(四)の五行目にある「承諾をしなかった債権者」は、828条2項の文言からして、「承認をしなかった債権者」ではないでしょうか?
 ご確認をお願いします。

投稿: 鉄牛 | 2006年11月22日 (水) 22時22分

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