【入門】所有と経営の関係
今日は、「所有と経営の関係」について、お話しします。
1 出資とは、何か
第一回で、社員というのは、「会社を作った人である」と説明しました。
これは、会社は、
社員の意思表示によって生まれ、成り立つものである
ということをイメージしてもらうために使った言葉です。
ただ、会社は、公益法人と違って、社員が、お金儲けをするために作るものですから、会社の社員になるためには、単に定款を作るだけではダメで、
お金儲けの元手(現金等の経済的利益)を会社に出さなければならない
ことになっています。
社員が、会社に対して、経済的利益を移転させる行為を「出資」といいます。
「出資」は、通常は、お金や土地・建物のような
「財産」
がほとんどですが、合名会社や合資会社では、「会社の業務執行社員として働くことにより、会社に経済的利益を与える」という労務出資等も認められています。
では、なぜ、社員になるために、出資をしなければならないのでしょうか?
例えば、松真さんと湯水さんが会社を作ったものの、松真さんは、金も出さず、働きもせず、もっぱら、湯水さんが、資金を出して、昼は営業、夜は出版のための原稿書きに徹して、くたくたになりながら、商売をしていたとしましょう。
この「何も出さない、何もしない」松真さんが、会社に利益が出たときに限って、会社にやってきて
俺も、定款に社員と書かれているんだから、配当をくれよ。
と言ったら、どうでしょう。
湯水さんは、あまりの虫の良さに
ブチ切れ
ますよね。それとも、愛があれば乗り越えられるのでしょうか?
いやいや、松真さんが、絶対君主ならば、いざしらず、資本主義社会においては、
金も出さない、働きもしないような奴は、何の利益も得られない
というのが会社法のしきりです。
つまり、出資は、会社から利益の配分を受けるための「賭け金」であり
リスク・テイクしなければ、リターンはない
というルールが採用されているのです。
このように、社員は、会社に出資することにより、会社が得た利益の分配を得ることができるという特徴を持っているので、一般的には
「社員」=「出資者」
という定義が用いられます。
ですから、皆さんも、社員の定義を聞かれたときは「出資者のことです」と答えて欲しいのですが、単に金を出すだけではなく、会社への加入の意思表示をすることも、社員の重要な要素であることも忘れないでください。
2 所有と経営
社員が、出資した財産は、会社という貯金箱に入り、社員の財産ではなくなってしまいますから、社員は、その財産を処分することはできなくなります。
何度もいいますが、会社財産を処分する権限は、社員ではなく、業務執行者が持っているのです。
しかし、社員は、出資財産に対する権利を失う代わりに、
会社に対する権利(定款を作ったり、誰を会社の業務執行者にするか決めたりする権利)
を得ます。
この会社に対する権利のことを、通常、「社員権」と呼びます。
この「社員権」については、いろいろ難しい話はあるのですが、その話も会社法の具体的な条文の解釈にはあまり影響しないので、ここではパス。
この社員権は、所有権ではありません。会社は、観念的な存在であり、「物」ではなく、所有権の客体にはなりませんから。
しかし、会社法の制度を説明をするときには、社員権が会社の組織等を自由に決定できる権限であることを捉えて、
「社員は、会社の実質的所有者である」
「株主は、株式会社の実質的所有者である」
等と説明することはあります。
ただし、勘違いしてはいけないのは、社員には、会社財産を直接処分する権限がないので、社員だというだけでは、会社財産を運用して商売をする権限はないのです。
商売(会社の行う商売のことを、会社法では「事業」といいます。)をやるのは、あくまでも、貯金箱ロボットの操縦者である「業務執行者」です。
業務執行者は
どんな従業員を雇うか。
何を仕入れ、何を売るか。
資金繰りのために、どこからお金を借りてくるか
などなど、日々、いろいろなことを決めながら、事業を営み、会社財産を殖やしていく責任を負っています。
日常用語でいえば、業務執行者は、会社の経営者ということができるでしょう。
ところで、この「経営」という言葉は、法律用語ではありません。
一般社会では、「どんな定款変更をするのか」、「誰を取締役にするか」ということも、経営の一貫として捉えられていますが、会社法で「経営」という言葉を使う場合には、会社の基本的な枠組みを決めることは、必ずしも含まれておらず、「会社の業務を執行すること」という意味で使われている場合が多いのです。
そこで、このブログでも、経営というのは、業務執行という意味で使うことにしましょう。
3 所有と経営の関係
では、株式会社と持分会社では、「所有」と「経営」は、どのように関係しているでしょうか。
(1) 株式会社
株式会社の業務執行権を誰が持っているかということを規定した条文は、次のように、実に複雑です。
原則 取締役(348条)
例外 取締役会設置会社では、代表取締役(363条1号)及び業務担当取締役(同条2号)
例外の例外 取締役会設置会社のうち、委員会設置会社では、執行役(418条2号)
この複雑怪奇さの原因は、後日説明することとして、今は、
株主(株式会社の社員)には、業務執行権がない=所有と経営が分離している
ということだけを確認しておきましょう。
つまり、株主が、業務執行をしたいのならば、株主であるというだけではダメで、株主総会で
取締役に選任されなければならない(329条1項)
ということです(なお、代表取締役(362条2項3号)・執行役(402条2項)になりたければ、「取締役会」で選ばなければなりません)。
また、取締役の全員が株主ではない、つまり、出資をした人が全く業務執行をすることができないという事態も許容されています。
このように、株主に業務執行権が認められていないのは、
株主が変わっても、会社の経営に影響を与えないようにすることにより、株主を無個性化する
ことにあります。
無個性化というのは、「誰が株主になってもよい」ということです。
いつもの具体例で説明しましょう。
公務員の松真さんと湯水さんが、会社の経営をするためには、公務員をやめなければいけません。
そこで、二人が
「もし商売が失敗したときのことを考えると、公務員をやめるというのはリスキーだな」
と思うのならば、株式会社を設立し、会社を経営してくれそうな民間人のサミーさんに頼んで、取締役になってもらえばいいのです。
「株主に業務執行権がない」と言うと、ネガティブな響きがありますが
株主は、業務執行をしなくてもよい。
出資さえしておけば、後は、配当が来るのを待つだけ。
というと「株主って、楽そうだな。」と思うでしょ?
株主の無個性化は
経営することができない人(経営能力がない人)でも株式会社に出資をすることができるようにする
という効果を持っています(経営能力がないというのは、やれば経営できるかもしれないが、様々な事情で経営することができない人も含みます)。
難しい言葉で言えば
「社会に散在する少額資本を結集するためには、株式会社の社員の地位を無個性化する必要がある」
ということになるでしょう。
また、株主の無個性化は
株式の譲渡を自由にする
ためにも重要です。
例えば、松真さんと湯水さんが100万円ずつ出資して、株式会社正直法務を設立し、公務員を辞めて、取締役として一生懸命働いていたところ、株式会社ワクワク・ブックスが
正直法務を100%子会社にしたいので、その株式をそれぞれ1億円で売ってください。
そして、これからも松真さんと湯水さんのお二人に経営をお願いしたい。
と申し入れてきたらどうしますか。
もし、会社法で
株主が業務執行をしなければならない
というルールがあると、松真さんと湯水さんは、株を売りたくても売れません。
会社にとっても、株主が株式を譲渡すると、経営に支障を来すというのならば、株式の譲渡を制限せざるをえないということになるでしょう。
しかし、株式会社では、株主の地位が無個性化されており、株式の譲渡により、誰が株主となっても、基本的には経営に影響を与えることはないので、株式譲渡の自由(127条)を認めても、不都合は生じにくくなっています。
このように、所有と経営を分離し、株主の地位を無個性化することは、①出資を容易にしたり、②株式譲渡の自由を認めやすくするために役立つので、「事業がうまくいったときには、社員を増やして、会社の規模をどんどん大きくしていきたいというオープンな会社」である株式会社の基本的なルールとして採用されているのです。
(2) これに対し、持分会社は、590条で
社員は、定款に別段の定めがある場合を除き、持分会社の業務を執行する。
と規定されています。
言い換えれば、持分会社では、
所有と経営が一致
しています。
持分会社は、「家族や仲間同士でずっと運営していきたいクローズドな会社」「組合的会社」として作られた会社なので、組合と同じように、社員が自ら業務執行をすべきであるというルールが採用されているのです。
たとえば、先ほどの事例で、もし松真さんと湯水さんが持分会社を作っていたとしたら、ワクワクブックスが、松真さん達の持分を買い上げて、100%子会社にした後に、松真さん達に業務執行をさせようと思っても、それは不可能です。ワクワク・ブックス自身が業務執行社員となりますから、松真さん達を職務執行者にするという裏技はあるものの、その場合でも、法的には、業務執行は、ワクワクブックスが行っていることになります。
不便と言えば不便なわけですが、持分会社というのは、クローズドな会社であることに存在意義があるのですから、その不便さこそが、持分会社の持ち味なのです。
4 所有と経営の分離の程度
以上のように、会社法は
株式会社=所有と経営が分離している会社
持分会社=所有と経営が一致している会社
という分類をしていますが、「所有と経営の分離」というのは、法律用語ではないため、その意味を正確に理解しておく必要があります。
たとえば、
株主も取締役になれば、業務執行をすることができるし
社員も、定款で業務執行をしない旨定めれば業務執行をすることができない
ので、実態としては
事実上、所有と経営が一致している株式会社
もあれば、
99%出資している社員が業務執行をすることができない持分会社
も存在するのです。
「所有と経営の分離」というのは、「業務執行者が株主である必要はない」という制度の話であって、実態がどうかは、別次元なのです。そこのところを理解してもらうために、会社法100問では、
「所有と経営の制度的分離」
という言葉を使っています。
また、所有と経営を分離するかどうかは、理論的に導かれるものではなく、政策的に決められるものです。
たとえば、株式会社も、大昔は、
「取締役を株主から選ばなければならない」
というルールがあり、所有と経営が一致していました。
逆に、持分会社は、現在
「業務執行者は、必ず社員でなければならない」
というルールを採用していますが、これは、持分会社が、組合の延長線で考えられた制度であるがゆえに、伝統的に設けられているルールに過ぎず、立法論としては、社員でない者を業務執行者として定めることも不可能ではないと思います。
しかし、立法論をつべこべいっても仕方がないので、初学者の皆さんとしては、会社法は
株式会社の業務執行者は、必ずしも株主である必要はない。
持分会社の業務執行者は、必ず社員でなければならない。
という制度を採用しているということを踏まえた上で、なぜ、そのような制度を採っているのかについて、3で説明した理由を理解することが第一歩でしょう。
所有と経営の分離について、もう少し深く知りたい方は次の記事を参考にしてください。
http://app.blog.livedoor.jp/masami_hadama/tb.cgi/50055547
http://app.blog.livedoor.jp/masami_hadama/tb.cgi/50875623
(質問コーナー)
Q1
利益相反取引について一点質問がありますのでご教授ください。
親子会社間の取引に取締役会の承認が必要か否かについて、稲葉ほか編著「実務相談株式会社法3〔新訂版〕」(商事法務研究会)240頁以下では、「甲・乙両会社が、親子会社の関係にあり、かつ、甲社が乙社の全株をもっているときは、両会社間に利害の対立は全くないですから、いずれの取締役会の承認を要しない」とし、「一部の株式を親会社以外の者がもっている場合には、甲・乙両社間にまったく利害の対立がないとはいえない」として、両会社の取締役会の承認を要すると説明がなされています。
会社法においても上記の解釈をとって問題ありませんでしょうか。
投稿 華金 | 2006/11/10 17:06:29
A1
条文の文言に形式的には反するので、全く問題ないと言い切るのは躊躇を覚えますが、そのように解釈することも可能でしょう。
Q2
葉玉先生の旬刊商事法務NO1778の代表取締役の論文を読みたくて、
分売で注文し、それが今日届き読んでおりました。
その論文の中のP11の表について疑問があるので、質問したく思い、書き込ませていただいてます。
前提が、取締役A、代表取締役B(株主総会決議により選定)です。
その前提において、
株主総会でBを解職する決議なし→直接or間接選定方式でAを代表取締役に選定、という事実が新たに生じた。
この場合に、「退任する代表取締役」の欄において、
BはAの選定の効力発生日に退任、とあるのですが、
次の「就任・継続する代表取締役」の欄では、
A→選定の効力発生日に就任。就任登記必要。
B→代表取締役たる地位を失わない。重任登記不要。
とあります。
退任なのに、代表取締役の地位を失わない、とはどういうことなのでしょう?
この場合、Bの解職の決議がなされていないのですから、そもそもBは退任しないと思うのですが・・・
投稿 ユーノス | 2006/11/10 19:11:11
A2
今、手元に商事法務がないので、正確なことはいえませんが、その事例では、Bの解職決議がない場合には、Bは退任しません。
Q3
今日は非公開会社が譲渡制限規定を廃止し、公開会社になった場合の役員(取締役・会計参与・監査役)の任期についてご教授ください。
332条4項3号によれば、「その発行する株式の「全部」の内容として・・株式会社の承認を要する旨の定款の定めを廃止する定款の変更」の場合、任期満了すると規定されています。この点に関し、「全部」の文言を反対解釈して、「一部」の公開の場合は任期満了しないのでしょうか?それとも「株式の全部の内容」の文言に着目し、一部公開にする場合でも公開会社になるので(2条5号参照)、任期満了するのでしょうか?後者の解釈を妥当と考えますが如何でしょうか?(後者の解釈を当然と考えておりましたが、ある書籍にこの点につき疑義がある旨の見解を示唆されている著者の方がいらしたので質問させて頂きました。)もし前者の解釈をとられる場合は理由も教えていただければと思います。また、万が一、取締役の任期の解釈と監査役の任期の解釈で異なる見解を取られる場合はその理由も教えてください。(同じような規定の仕方で、同じ趣旨と思われるので、同じような解釈を取られるとは思いますが、念のため。)
投稿 NK | 2006/11/11 2:32:38
A3
非公開会社が一部の株式について譲渡制限を廃止する場合も、任期は満了します。
Q4
会社法585条1項の解釈についてお教えください。
合名会社合資会社において、出資は必ずしも設立段階または成立後の入社時に履行されなくともよく、履行の時期・程度は自由に定めることができますよね。
それでは 582条1項の 「その出資をすることを怠ったときは」とは、上記の自由に定めた履行の時期・程度を基準として怠ったと
解釈するのでしょうか?
投稿 maru | 2006/11/11 20:07:30
A4
会社が定めた履行時期に履行しなかったときのことを規定しています。
Q5
株主割当てについてお伺いいたします。
会社法202条1項2号の「申込期日」と199条1項4号の「払込期日」とを同じ日として定めることは可能でしょうか?
同じく株主割当てで、202条1項各号の事項を定める決議日と同項2号の「申込期日」とを同じ日とすることはできますか?
投稿 南斗六星 | 2006/11/11 23:57:02
A5
申込期日と払込期日を同じ日とすることはできると思います。
決議日と申込期日は、202条4項の通知との関係をどう考えるかですね・・。ちょっと保留します。
Q6
会社法の下で,持分会社にも資本制度が採用されていることが前提とされている条文がありますが(資本金の減少についての620条以下),持分会社の資本の減少とか資本の増加は,いつの時点で生じたと考えるべきなのでしょうか?有限会社法のときのように,変更登記をした時点で生じるのでしょうか?
A6
効力発生日と定めた日です。
登記は基準になりません。
Q7
会社法199条5項では「募集事項は、第一項の募集ごとに、均等に定めなければならない。 」とされていますが,株主に新株引受権が与えられる場合に,その一部を内容の異なる株式を発行した場合,その発行価額を他よりも高額に設定してもよいのでしょうか?
A7
問題の意味がわかりません。株主に株式の割当を受ける権利を与えるのならば、内容の異なる株式を発行するということはないはずですが。
Q8
新株予約權証書が発行される場合,株式の申込をなす者は,申込を新株予約權証書によるか,株式申込証によるかを選択することができるのでしょうか?
投稿 冥王星の帝王 | 2006/11/11 23:59:38
A8
新株予約権の行使の場面のことを質問されているのでしょうか。
証券発行新株予約権を行使するときは、証券を株式会社に提出しなければいけません。
株式申込証なるものは、会社法には存在しません。
Q9
サミー先生、「株式会社」の内容について教えてください。色々な箇所で「株式会社は、・・・○○しなければならない」と規定されていますが、この場合の「株式会社」とは、株主総会、取締役会、代表権のある取締役、又は、代表権のある執行役のみを内容とし、監査役や各委員会、代表権のない取締役、従業員等は含まれない、との理解で宜しいでしょうか?
投稿 NK | 2006/11/12 23:55:39
A9
条文の内容によります。たとえば、107条2項だと、定款変更ができるのは、株主総会だけですし、115条だと、措置の内容によって、決定機関・執行機関が異なります。
Q10
会計監査限定監査役(「小監査役」)についてご教示ありがとうございました。
ただ、「そもそも、小監査役に、何のために取締役会に出席させようとするのか、意味がわかりません。」というのが理解に苦しんでいます。
以前にもお書きしましたが、千問P366の「監査役の監査の範囲を会計に関する事項に限定した会社の監査役であっても、自らの権限の範囲内において、報告聴取徴収権や子会社調査権等を有しており(389条)、当該権利行使のために取締役会への出席が必要となる場合もありうる。」との関係です。
書面取締役会制度への異議申述権や、取締役会への招集通知発送について、何度か質問させていただき、その度にご教示いただき、大変にありがたかったのですが、その根本的な問題意識としては、「小監査役の権限が拡大する場合もありうる」ためだと認識していたからです。取締役会の招集通知を受領できなければ、取締役会への出席の機会そのものがなくなってしまい、結果として、小監査役の権限を奪ってしまうことになるため、それを防止するために、会社自治権の範囲としての任意的定款規定(無効と解されてしまいましたが)で、小監査役の権限を補完しようと考えたのです。
千問P366の当該記述は、ご見解変更ということになるのでしょうか?
投稿 としお | 2006/11/13 10:08:01
A10
千問も、小監査役に取締役会への出席権まで認めたものではありません。報告徴収権を行使する場合に、取締役会が小監査役を任意に呼んで、小監査役がその場で徴収する場合もあるということを書いているだけです。
したがって、見解を変更しているわけではありません。
Q11
ストックオプション(取得条項付新株予約権)と287条の関係で悩める仔羊をお救いください。
「新株予約権の行使の条件」
発行時において当社の取締役および従業員であった者は、行使時においても当社の役員または従業員であることを要する。
「会社が新株予約権を取得することができる事由及び取得の条件」
前号に規定する条件に該当しなくなったため新株予約権を行使できなくなった場合は、当社は当該新株予約権を無償で取得することができる。
上記の新株予約権において、新株予約権者が退職した場合、ただちに287条が適用されてしまうのでしょうか?私見としては、287条は未来永劫行使する可能性が消滅した場合(例えば、行使期間の経過)に適用されると考えており、本件の場合は、退職者が復職する可能性が残っていますし、会社が自己新株予約権を取得後第三者に譲渡すれば行使は可能ですし、287条は適用されないのではないかと思うのですが。
ものの本には、ストックオプションで退職者が出た場合に287条が適用される旨が書かれていることが多いのですけど、そちらが正しいのでしょうか。だとすると、本件新株予約権の取得条項は無効ということになりますか?これが正しいとすると、自己新株予約権についても、行使できない以上取得後即消滅するとなるべきで、矛盾する様な気がしてならないのですが。
投稿 みなと | 2006/11/13 17:19:55
A11
頻出の質問ですが、そのような条項では、287条が適用されるとは限りません。
取得後、自己新株予約権を従業員に交付すれば、行使できるようになるような条項の場合には、287条は適用されません。
Q12
事業譲渡に関する467条第2項(469条第3項の通知の内容を含む)の「株式に関
する事項」とは、単に自己株式を取得することを説明すればよろしいのでしょうか?
155条10号では、事業を譲り受ける場合には自己株式を取得できることとなっていますが、この規定との関連でしょうか?
投稿 橋爪伸由
A12
自己株式の種類・数等株式に関する事項を説明してください。
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コメント
入門第3回の書き直し、ごくろうさまでした。
そして、ありがとうございます。
しっかり身につけさせていただきます。
投稿: さば缶 | 2006年11月14日 (火) 01時31分
サミーさん、会社内部の者(株主以外)の定款閲覧権について教えてください。
1.取締役、監査役その他の役員には定款閲覧権がありそうにも思うのですが、会社法上の明文の規定はどうにも見当たりません。これは、定款の性質上認められると考えればよいのでしょうか。
2.また、労働法でいうところの被用者(従業員)、会社法なら支配人・使用人および会社法のターゲット外の一般従業員には、定款閲覧権が無いという理解で良いのでしょうか。
3.そもそも、定款は「会社の憲法」などと表現されますが、憲法のように広く公開する必要はなく、会社法31条の定めがあることを考えるとむしろ原則非公開、と考えて良いものなのでしょうか。
4.会社法31条2項との関係(被用者は賃金債権者?)、会社法348条3項4号および362条4項6号との関係(定款適合確保の体制維持のために従業員へ定款を公開すべき?)、会社法911条および915条との関係(登記で公開するのだから少なくとも従業員へ定款を公開しても同じ?)、ならびに公証人法との関係(同法では利害関係人への公開を認めているのだから会社の定款も同じ?)といったあたりも併せて教えていただけると、とても嬉しく思います。
投稿: 迷い人 | 2006年11月14日 (火) 02時36分
会社法第399条に会計監査人の報酬の決定については、監査人の「同意」を得なければならないとあります。
この「同意」というのは、例えば第436条で計算書類等は取締役会の「承認」を受けなければならない、という「承認」とは、何がどう違うのでしょうか。
基本的なことで恐縮ですが、宜しくご教示下さい。
投稿: いまさらシロー | 2006年11月14日 (火) 18時45分
会社法128条1項但書について ご教授ください。
なぜ 自己株式の処分による株式の譲渡については 株券を交付しなくても その効力を生じるのでしょうか?
投稿: maru | 2006年11月14日 (火) 18時55分
千問Q539における兼任禁止について質問させてください。
千問p397上部における「親会社は 子会社の取締役の選任決議の際に 通常 その監査役が子会社の取締役への就任を承諾することを知りうる立場にあり」とは具体的にどの様な場合をさすのでしょうか?
また、p396下部によると 子会社の取締役が親会社の監査役に選任された場合でも 当然には子会社の取締役の職を辞任することにはならないのですよね。これは、子会社は親会社の監査役の選任決議の際に 通常 その取締役が親会社の監査役への就任を承諾することを知りうる立場にないから、その取締役が辞任の意思表示をしたとみなすことができないのでしょうか?
投稿: maru | 2006年11月14日 (火) 18時56分
サミー先生、いつも勤務時間外にボランティアでのご回答有難うございます。
今日は募集株式の発行について教えてください。
「非公開会社かつ取会設置会社で、株主割当による募集株式の発行を株主総会で決議した場合、割当の決議を取締役会でしなければならない。」。この規範が正しいことを前提にした場合の条文操作等について間違いがないか確認させてください。
1 非公開会社の募集事項の決定は、株主総会決議(199条2項)
2 しかし、株主割当の場合は、取会設置会社の場合、取会決議でも株主総会決議でも良い(202条5項で199条2項の不適用)(不適用ということは、定款に定めのない限り、株主総会に決議権限がないということでしょうか?)
3 本件では、株主総会で決定した。
4 募集株式が譲渡制限株式であるので、原則として、取会で割当の決議をしなければならない(204条2項括弧書き)。
本件のように株主総会で株主割当の決定をしたのにも関わらず、別途取会の割当決議が必要であるのは、株主全員が申し込むとは限らないし、株主割当であっても204条1項2項が適用され、株主総会で決議した募集事項の数よりも取会で減少できる権限があるので、別途取会決議が必要。
以上のような理解で宜しいでしょうか?
投稿: NK | 2006年11月14日 (火) 22時32分
サミー様、お忙しいところ恐縮ですが、過去の質問に対する解答につきまして
ご教示ください。
10月15日のQ3と11月2日のQ6につきまして、私には、同じ内容の質問で答えが違うように思えてしかたないのですが、両問の違いについてご教示願えない
でしょうか?
所謂「内部統制システム」に関する取締役会決議は、増資直後の事業年度末日
に係る定時株主総会の直後の取締役会で決議すればよいのでしょうか、それと
も、増資直後(定時株主総会前)の取締役会で決議するべきなのでしょうか。
投稿: 四苦八苦 | 2006年11月14日 (火) 22時44分
すいません、訂正です。2の株主割当の場合、202条3項4号・309条2項5号により、株主総会特別決議ですね。根拠条文を間違えました。本件では、定款の定めがない会社を前提にするので、原則通り株主総会で決議した場合だとして、4の様な理解で間違いがないか教えてください。
投稿: NK | 2006年11月14日 (火) 23時40分
こんにちは。いつも興味深く読んでおります。
ところで、持分会社(合名、合資)について質問があります。
株式会社の場合は、清算人の登記がされると、代表取締役の登記は抹消されますが、持分会社(合名、合資)の場合は清算人の登記がされても無限責任社員の登記は抹消されません。
そうすると、清算持分会社の代表権は清算人だけでなく無限責任社員にもあると考えてよいのでしょうか?
具体的には、清算持分会社の無限責任社員と第三者との間で締結された契約は有効になるのでしょうか?
また、この場合、代表者印の扱いはどうなっているのでしょうか?無限責任社員の印鑑と清算人の印鑑が両方とも並存して登録されているのでしょうか?
法定清算人で無限責任社員=清算人の場合で答えていただけると幸いです。
(要するに、代表者の肩書きが無限責任になってるということで清算人と同一人なのですが.....)
投稿: novaexpress | 2006年11月15日 (水) 00時41分
すいません。補足です。
具体的には仕事で『清算合資会社から自然人への所有権移転の不動産登記申請で、合資会社の側の印鑑証明書の代表者の肩書きが「無限責任社員」になっている。登記簿には同一人が無限責任社員と清算人として登記されている。』という事例で登記申請がとおるのかというが問題になったのです。この点は法務局に問い合わせて、大丈夫ということで解決したのですが、どうも理屈では納得できないのです。清算人の登記がされているのに、無限責任社員の印鑑が生きていることに違和感があるのですが?
投稿: novaexpress | 2006年11月15日 (水) 00時53分
株主総会議事録への署名または記名押印について、ご教示ください。
商業登記規則61条4項1号に該当する場合を除き、作成者の署名または記名押印を要さないとされていますが、そうはいっても、従来からの慣行と議事録の真正担保のために、定款で署名義務者を定める会社は、実務上、多数存在しています。
株主総会議事録への署名または記名押印義務は、「会社法が、文言上、定款で別段の定めができることを明示していない」場合であるため、当該定款規定は無効であり、かつ、取締役の忠実義務違反も問われることはないため、任意的記載事項として当該定款規定を設定した会社は、会社法上は、ムダな努力をしたことになってしまうのでしょうか?
投稿: としお | 2006年11月15日 (水) 12時22分
サミーさん
定款の定めによる監査範囲の限定(389条)に関して教えてください。
①第1項括弧書き内の「及び」の意味なのですが、「かつ」と言う意味でしょうか?つまり、監査役会と会計監査人の両方を設置していない会社が、定款で監査役の監査範囲を会計に限定することが出来るのでしょうか?それとも「または」の意で、そのどちらかを設置していれば定款で限定できないということでしょうか?
②旧商法時代からの会計監査限定の監査役は、会社法上も(大会社になったり公開会社にならない限り)会計監査限定の監査役とみなされていると思いますが、この限定に関する定款の変更はいつまで猶予されるのでしょうか?
投稿: ネットくん | 2006年11月15日 (水) 13時47分
サミーさん
定款の定めによる監査範囲の限定(389条)に関して教えてください。
①第1項括弧書き内の「及び」の意味なのですが、「かつ」と言う意味でしょうか?つまり、監査役会と会計監査人の両方を設置していない会社が、定款で監査役の監査範囲を会計に限定することが出来るのでしょうか?それとも「または」の意で、そのどちらかを設置していれば定款で限定できないということでしょうか?
②旧商法時代からの会計監査限定の監査役は、会社法上も(大会社になったり公開会社にならない限り)会計監査限定の監査役とみなされていると思いますが、この限定に関する定款の変更はいつまで猶予されるのでしょうか?
投稿: ネットくん | 2006年11月15日 (水) 13時47分
サミーさん
定款の定めによる監査範囲の限定(389条)に関して教えてください。
①第1項括弧書き内の「及び」の意味なのですが、「かつ」と言う意味でしょうか?つまり、監査役会と会計監査人の両方を設置していない会社が、定款で監査役の監査範囲を会計に限定することが出来るのでしょうか?それとも「または」の意で、そのどちらかを設置していれば定款で限定できないということでしょうか?
②旧商法時代からの会計監査限定の監査役は、会社法上も(大会社になったり公開会社にならない限り)会計監査限定の監査役とみなされていると思いますが、この限定に関する定款の変更はいつまで猶予されるのでしょうか?
投稿: ネットくん | 2006年11月15日 (水) 13時47分
会社法百問をみて、質問させていただきます。
会社法100問の67頁には、利益の配当のところで、「合同会社は間接責任を維持するため、利益額を超えて配当を行なった場合でも、配当を受けた社員に対する支払請求権(623条1項)について、民法の債権者代位権の特則として会社債権者が配当を受けた社員に対して金銭を支払うことを請求することができる(630条2項)ようにしているだけで、社員の直接責任が生ずることとしていない」とありますが、これは、会社債権者は、社員に対して直接自己に支払うように請求できるという規定なのでしょうか。それとも、会社債権者が社員に対して、当該社員が会社に支払うよう請求できるという規定なのでしょうか。
私は、最初は前者だと考えたのですが、テキストに「間接責任を維持するため」とありますので、後者の意味なのでしょうか。
投稿: なつ | 2006年11月15日 (水) 17時39分
今、質問を再度読み返していたら、同じ私の質問が3つもupされていました!不手際したみたいですみませんm(_ _)m
もう一つ質問させてください。
役員(特に取締役)の責任免除・軽減に関してです。私の理解では、
①免除は総株主の同意。
②軽減は、
a)株主総会決議による事後の軽減
b)定款に規定+取締役会決議による軽減
c)定款に規定+責任限定契約による事前の軽減
と言う体型だと思うのですが、この内、社外取締役を特に明示したのは②c)だけですので、それ以外の取締役(業務執行取締役)の責任免除・軽減は、免除は①、軽減は②のa)とb)のみと言うことなんですが、それで宜しいですか?
投稿: ネットくん | 2006年11月15日 (水) 18時45分
Q5のご解答有難うございました。
はじめは、「期日」というものは、午前0時であり、決議日と申込期日を同じにはできないと思ったのですが、千問Q278で公開会社の第三者割当てで、決議日と払込期日を同じにすることは可能と書かれていましたので、できるのかな、と思いました。
ただ、2週間の意味が、201条3項の2週間は総株主の同意で、まったく必要なくなるのに対し、202条4項の2週間は短縮できるのみであると思われましたのでご質問いたしました。宜しくお願いいたします。
投稿: 南斗六星 | 2006年11月15日 (水) 19時02分
サミーセンセー教えてください。
内部統制システムに関する取締役会決議の内容は、一度事業報告に記載したら、内容を変更しない限り、翌事業年度以降の事業報告に記載する必要はないのでしょうか?
また、監査報告への記載についてはいかがでしょうか?
投稿: 迷える子羊 | 2006年11月15日 (水) 23時53分
いつも楽しく勉強させて頂いております。
比率算定時には債務超過ではなかった消滅会社が、合併時に債務超過になっていた場合について質問させて頂きます。
このようなケースでも会社法上問題なく合併できると思いますが、合併に対する賛否や株式買取り請求権行使の有無を判断する事前備置き書類等の内容と合併時の状態に違い(株主にとって不利な変更)が生じるような場合、株式買取り請求権等を行使していない株主が取れるほかの自己救済手段というのはあるのでしょうか?
投稿: ヤサオトコ | 2006年11月16日 (木) 11時47分
先生教えて下さい。募集株式発行時の資本増加限度額の計算についてなのですが、募集株式がすべて自己株式だった場合には、必ず資本金は増加しないのでしょうか。資本増加限度額の計算方法の計算式であてはめると、必ずしもそうならないのではないかと思うのです。理論ではわかっているつもりなのですが、確実に理解できません。どうか御教示下さい。
投稿: 柴里達徳 | 2006年11月17日 (金) 14時15分