会計監査限定監査役
昨日,入門第3回を一生懸命書いて,夜にアップしようと思ったら,うっかり,その原稿に別の文書を上書きしてしまい,消え去りました。
私は,そのまま気が遠くなり・・・・起きたら朝でした(嘘です)。
いずれにせよ,同じものを,すぐに書き直す気になれなかったので,今日は,気分転換に
会計監査限定監査役(長いので「小監査役」といいます)に対する通知
についてお話ししましょう。
酔っぱらいさんから,次のような質問をいただきました。
「前回のA4について。出席権が認められないことと定款の定めが無効であることの関係が全然分かりません。出席権と通知の定めは無関係だと思います。決議に瑕疵を生じることは定款の定めを無効とする理由にはならないと思います。
」
前回のQ4は,
「小監査役に取締役会の招集通知をしなければならないという定めを置くことができるか」
という問題でしたが,取締役会の招集通知は,取締役会に出席する人のための通知なので,出席権のない人には,取締役会の招集通知を発する義務はありません。
それにもかかわらず,定款で,取締役会に出席することもできない小監査役に対する通知を義務づける定めを置くということは
「定款で,法律の定める招集手続きよりも重い手続を課してよいのか」
という問題になると思います。
定款で,どのような事項を定めることができるのかということについては,以前の記事で47thさんと議論をさせていただきましたが,私達は,会社法に規定している事項については,会社法が,文言上,定款で別段の定めができることを明示しているかどうかということで判断しています。
そして,取締役会の招集手続を定めた,368条は,定款で別段の定めをすることを許容していません。
したがって,設問に対する答えは,
定款で,368条に定められた者以外への招集通知を義務づけることはできない
ということになります。
では,
なぜ,そのような定めをすることができないのか
というと,そのような定めを有効だとすると,その通知をせずに取締役会を開催すると手続に瑕疵が生じ,決議が無効となるおそれがあるため
取締役会の開催を法定の手続きよりも,困難にしてしまう
ことになるからです。
ちょっとくらい面倒くさくなってもいいじゃないか。
と思うかも知れませんが,例外を一つ許せば,どこまでが限界か,不明確になります。
「取締役会を開催する場合には,株主全員に通知しなければならない」という定めや
「港区のサミーさんに内容証明郵便で通知しなければならない」という定めなど,
そのような定めに違反した取締役会の決議が有効かどうかをいちいち考え始めると,きりがありません。
そもそも,小監査役に,何のために取締役会に出席させようとするのか,意味がわかりません。まして,出席権のない小監査役に,招集通知を送って,何の意味があるのかもよく分かりません。
そういうことを考えていくと,条文に書いてない以上,そのような定めは無効と解するのが妥当であり,どうしてもやりたければ,法律の外の世界で,通知すれば十分だと思います。
ただし,小監査役に対する取締役会の招集通知をしたり,取締役会に出席させたりする場合には,一つ気になることがあります。
それは,そのようなことをやれば,当該監査役が,事実上,業務執行の監査権限を有するものと見られ,会社が倒産したりしたときは,第三者に対する任務懈怠責任等を追及されるおそれがあるということです。
会社法389条が,非公開会社に会計監査権限の定めを認めているのは
うちの嫁さんを監査役にして,給料を払いたいけれども,会社が潰れたときに,嫁さんにまで責任を負わせるのは忍びない。
というニーズに応えるためです。
旧商法では,監査役の設置が義務づけられていましたから,監査役の権限を業務監査にも広げる改正を行うときに,監査役を奥さん,子供,親戚にしている中小企業から大変な反対があり,小会社の監査役については,会計監査権限しか有しないという政治的な決断がされました。
会社法の制定のときも
監査役が任意設置になったので,監査役は,常に,業務監査権限を持つことにして,それが嫌なら監査役を置かないという方が合理的ではないか?
という話も持ち上がったのですが,結局は
既に監査役として給料を貰っている人もいるんだから,現状維持じゃなきゃ困る。
という大きな声があったので,非公開会社については,定款で小監査役にしてもいいという政治的な決断が下されました。
もちろん,小監査役も,仕事を全くしないわけではなく(きっと,そうだと願っています。),会計監査を行う職務は負っています。
ただ,小監査役には,381条から386までの規定が適用されないため,取締役会への出席権もなく,会社を代表して訴訟をすることも,違法行為の差し止めもできず,不正行為を見つけたときの報告義務すら課されていないので,小監査役は,定時総会前の会計監査以外には,ほとんどやることがないのです。
というよりも,やることがないようにして,責任を負わないように配慮しているのです。
それにもかかわらず,定款で,取締役会に出席権・出席義務を定めたり,招集通知を送ることを定めれば,
その定めは,何のために小監査役を取締役会に出席させるのか
という疑問が生じ,それは,とりもなおさず
小監査役という名目にはなっているが,実質は業務監査権限があるんだろう
ということになると思います。
それでは,せっかく会社法が,責任軽減のために置いた小監査役の制度が無になってしまいますよね。
また,389条の定めを廃止するときには,小監査役の任期が終了しますが(336条4項3号),これは,小監査役の責任が重くなることに配慮したものです。
ですから,もし,定款で,小監査役に法定の権限以上のものを与えることを認めるとするならば,
その定款の変更時に任期満了にしないとまずい
はずですが,そのような規定はなく,むしろ監査役の任期は,定款をもってしても短縮することはできませんから,任期との関係でも,小監査役の権限を強化する定めを有効とするのはムリが生じます。
以上のような観点から,招集通知の受領権を含め,小監査役の権限を増やすような定款の定めは無効であるというのが結論です。
くどい感じの説明になってしまいましたが,酔っぱらいさん,分かっていただけたでしょうか。
(追伸1)
酔っぱらいさんから「前回のA5について。お答えにならないのは自由ですが、政治的な問題という意味が全然分かりません。政治的な問題だといって裁判所が解釈を控えることができるでしょうか。」というコメントをいただきました。
私が政治的な問題といったのは,この部分は,議員立法によるものなので,私達が,うかつに解釈を披露すると,発案者と違う解釈を喧伝する可能性があり,国会と法務省の関係という政治的な問題に発展するおそれがあるということです。
政治的な問題だといって,裁判所が解釈を控えることはできませんが,その代わり,国会から当該裁判所に問い合わせがいくこともありません。
それに対し,行政は,議員立法については,その意思を最大限に尊重しなければならないので,裁判所とは,立場が全く違うということをご理解いただきたいと思います。
ちなみに,裁判所も,裁判を起こさない限り,解釈を示してくれませんので,電話やメールで,とりあえずの解釈を答えてくれる行政の方が親切といえば親切です。
(質問コーナー)
前回のQ1の補足
施行規則27条4号により自己株式を取得できる場合には、他社のSOの行使の対価として自己株式の交付を受ける場合、取得条項付SOの取得の対価として自己株式の交付を受ける場合のほか、他社の取得請求権付株式の対価として自己株式の交付を受ける場合も含まれますか。契約によるコールオプションの場合どうでしょうか。施行規則2条3項14号の定義には含まれるのではないかと思いますがいかがでしょう。
次にこの場合、分配可能額規制を受けないように思いますがいかがでしょうか。
投稿 ik | 2006/11/06 0:07:35
この問いに対して,私が
「取得請求権を行使した場合に対価としてA種株式の交付を受けることができるB種取得請求権付株式ならば,「新株予約権等」に該当しそうですね。
新株予約権以外で,契約によって株式の交付を受けることができるコールオプションが可能ならば,「新株予約権等」に該当すると思います。」
と答えたところ,仲間から
「ikさんは,取得請求権を行使した対価として,自己株式を受けることができるかということを聞きたいのではないんでしょうか」
と指摘を受けました。
私は,「新株予約権等」に該当するかという質問だと思って答えていたのですが,もし,ikさんのご質問が
「会社が,取得請求権を行使したり,コールオプションを行使して,自己株式を取得することができるか」
ということであれば,答えはNOです。
27条4号は「当該他の法人等が当該新株予約権等の定めに基づき取得することと引き換えに」とあり,これは,当該新株予約権等に取得条項が付されている場合のことを意味します。
ちなみに,昨日の私の答えは,「株式を対価とする取得条項付株式やコールオプションも新株予約権等に該当するから,それに取得条項が付されていて,その取得の対価として自己株式を取得することはできる」という意味ですので,誤解が無いようお願いします。
A1
11/8のA4に関連して、会社法355条の取締役の忠実義務について、ご教示ください。
定款の定めが無効と解された場合、定款規定を無視して、会社法370条の取締役会の決議の省略において会計監査権限限定の監査役に異議を述べさせる機会を与えなかったり、取締役会の招集通知を行わなくとも、取締役が忠実義務違反を負うことはないのでしょうか?
もしあるとするならば、事実上、会社内部においては、定款規定は効力が生じることになると思うのですが、いかがでしょうか?
投稿 としお | 2006/11/08 10:39:09
A1
定款の定めが無効ならば,その無効な定めに取締役が拘束されることはありませんので,忠実義務違反にはなりません。
もっとも,定款の定めが無効かどうかは,明らかではない場合もあるので
「憲法違反の法律に行政は従う義務があるか」
という論点と同じく,
定款の定めに重大かつ明白な瑕疵がある場合には,取締役は,その定めに従う義務がないが,そうでない場合には,従う義務がある
という考え方もありうるかもしれません。
もっとも,裁判で無効とされた定款に従わなかった取締役の責任を追及するのは,困難でしょうから,あまり実益がないような気がします。
Q2
【入門】株式会社と持分会社の
3 株式会社とは、何か。の
7段落目最後の行の
「もし、その会社が公開会社ならば、取締役会という業務執行者の集まりにおける多数決で決めることができます(199条3項)。」
という文章において199条3項が引用される理由がよくわからないのですが、
「・・・多数決で決めることができます(201条1項。ただし199条3項を除く。)。」ではまずいですかね?
投稿 やっぱり会社法初心者 | 2006/11/08 12:32:55
A2
すいません。もちろん,それで結構です。当初,「199条3項以外の場合」と書いていたのですが,ちょっとした拍子に消してしまっていました。
Q3
補欠の役員の選任決議について質問させてください。
役員の改選が全くない定時総会で,329条2項の補欠役員の選任決議をすることはできますか?
既に選任されている補欠役員の選任の効力は,原則としてその定時総会までなので,役員の改選が全くない定時総会でも当然に補欠役員の選任決議をすることができるものと考えていました。ところが,何気なく条文を(文字通り)眺めていると,2項の「前項の決議をする場合には」という文言が目に入り,1項の役員の選任決議の際に限られるようにも読めました。
2項の「前項の決議をする場合には」とは何を意味するのでしょうか?
よろしくお願いいたします。
投稿 たつきち | 2006/11/08 12:36:27
A3
「前項の決議をする場合」という文言は,役員も選任していないのに,補欠役員を選任することはできないということを表したもので,既に役員の選任決議をした場合も含まれています。したがって,役員の選任決議をしない総会で,補欠役員を選任することも可能です。
Q4
前回のQ6で社外取締役に関してのご回答ありがとうございます。
問題意識としては、
①社外取締役としての登記は、911条3項21~23号の場合のみ義務づけられるので、それ以外の場合には、社外取締役としての登記はすぐには必要ないのでしょうか?
②仮に、登記は必ず必要だったとしても、当該取締役は業務執行をしていないので、いわゆる非常勤取締役となり、任務懈怠とはならないのではないか?
ということです。
社外取締役の定義は分かるにしても、社外取締役の業務(任務)がはっきりせず、頭が少し混乱しています。
よろしくお願いします。
投稿 ネットくん | 2006/11/08 12:38:57
A4
義務づけられている場合以外には,社外取締役の登記は不要です。
ちなみに,社外取締役には,職務はあっても,業務執行はできません(したら,社外ではなくなります)。
社外取締役の職務は,取締役会における議論・議決や不正行為を見つけた場合の報告等,会社法で「取締役」がやらなければならないことです。
Q5
469条3項及び4項について質問させてください。
469条3項は 事業譲渡等をしようとする株式会社は 株主に対して通知しなければならない 旨の原則を定めています。
これに対して 469条4項は 通知を公告をもって代えれる例外を定めています。具体的にあげるならば 4項1号では 事業譲渡等をする株式会社が公開会社である場合 4項2号では 事業譲渡等をする株式会社が第467条第1項の株式会社の決議によって事業譲渡等にかかる契約の承認をうけた場合 を要件にしています。
この様な例外(469条4項)の趣旨(なぜ原則に対して例外となりうるか等)をご教授ください。
投稿 maru | 2006/11/08 16:09:32
A5
1号は,公開会社では,会社の承諾なく,株式の譲渡ができるので,株主名簿に記載されたものに通知するよりも,公告で,株主名簿に記載されていない現在の株式の保有者に公告した方が適切な場合があるからです。
2号は,すでに株主総会の招集通知で,株主に通知しているので,再度,通知をする必要性が少ないからです。
Q6
828条2項の提訴権者について質問させてください。
828条2項6号から12号までに 組織変更・組織再編行為関係の訴訟事件における提訴権者が あげられています。そして6号から11号までをみると 承認をしなかった債権者があがっています。
ところが12号をみると 承認をしなかった債権者があがっていません。
なぜ 12号にだけ 承認をしなかった債権者があがっていないのでしょうか?
投稿 maru | 2006/11/08 16:12:16
A6
ごめんなさい。ただ,謝るのみです。
Q7
監査役を1名しか置かない場合でも、そのものを社外監査役として選任できるが、そのものは常勤でなければならない。という認識でおりますが、まちがいないでしょうか?間違いなければ、会社(非公開、中会社)の監査役が税理士である場合、月1度程度の会社へ出社で常勤として認められるのでしょうか?宜しく御願い致します。
投稿 がるれお | 2006/11/08 16:43:05
A7
監査役は,常勤でなくてもよいです(監査役会で選定した常勤監査役以外は)。
Q8
株主総会の招集権者(296条3項)について質問させてください。
最高裁判例を見ると、株主総会決議の取消事由として、代表取締役以外の取締役が招集した点に招集手続に瑕疵があり、適法な招集手続を経ていない株主総会は法律上の株主総会ではない、というのをよく見受けます(最判昭45・8・20、最判昭60・12・20など)。これらの判例について、旧法下での招集権者は「代表取締役」であったが(これも明文がないのでよく分かりません)、新法では、296条3項が単に「取締役」と規定しているように、代表取締役以外の取締役も招集権者ということでよろしいのでしょうか。
試験上、代表取締役でない取締役が取締役会決議(298条4項)を経て株主総会を招集した場合に、今でも株主総会決議の瑕疵として争えるのか、という点が疑問なので、質問させていただいた次第です。
投稿 ふみん | 2006/11/08 18:12:57
A8
株主総会の招集は,業務執行ではないので,代表取締役以外の取締役でも招集できます。
Q9
先日は会計監査人の機関性についてお教えいただきありがとうございました。
さて,その件で追加質問ですが,今日江頭先生の教科書を読んでいたら,以下のような記述に出くわしました。
「会計監査人の会社法上の地位 会計監査人と会社との関係は,会計参与の場合に類似するが,計算書類の作成権限を有する会計参与と異なり,『役員』には含まれない。したがって,会社の『機関』とも解されていない」(江頭・株式会社法541頁)
この記述によると,会社法326条の規定にもかかわらず,江頭先生は実質的な機関概念に照らして,会社法上も会計監査人は機関でないという説をお取りになっているということでしょうか。
投稿 T.I.ネットワーク | 2006/11/08 18:29:02
A9
江頭先生がどうお考えかはわかりませんが,「役員」と「機関」は,違います。
たとえば,執行役は,役員ではありませんが,機関です。
同じように,会計監査人も「株主総会以外の機関の設置」の節に置かれていることから明らかなように,会社法では「機関」といて取り扱っています。
その理由は,会社法100問をご覧下さい。
Q10
会社法施行規則22条において,「法第133条2項に規定する法務省令で定める場合」を定めていますが,
同条2項は,「前項の規定にかかわわず,株式会社が株券発行会社である場合には,法第133条2項に規定する法務省令で定める場合は,次に掲げる場合とする。」と規定しており,株券発行会社である場合には,同条1項の適用は排除されているように思えます。
しかるに,同条1項9号においては,株券喪失登録者について規定がなされています。
株券喪失登録ができるのは,株券発行会社のみである(会社法221条)ことを考えると,規則22条1項9号は,どのような場合を規定しているのか疑問に思い,質問させて頂く次第です。
投稿 正宗 | 2006/11/08 19:22:45
A10
22条1項9号は,株券発行会社の間に株券喪失登録をした者がいる場合に,1年を経過しないうちに,株券廃止会社に移行してしまった場合を想定しています。その場合,株券廃止会社になった後でも1年を経過したら,単独で名義書換を請求することができます。
Q11
1.書面決議について(取締役会の決議の省略のことですよね?)
①メールの同意文書を保存する場合,電磁的記録を保存するか,メールを
プリントアウトしその紙を保存するかのどちらかを行えばOKということで
しょうか?今までも類似の質問があったのですが,明確に理解できません
でしたのでお願いします。
Q11
メールで同意したのならメールです。
ただ,メールをプリントアウトした文書で意思表示をしたという場合には,プリントアウトです。
Q12
②複数の提案があった場合で,その中の一部につき取締役もしくは監査役の
同意が得られなかった場合,同意しなかった役員名や理由を明示する
必要はあるのでしょうか?また,当該提案があったこと自体を議事録に
記載する必要はないのでしょうか?
A12
理由は不要です。
決議の省略ができない場合だから,議事録自体作成する必要がありません。
Q13
③ 代表取締役の選定議案を書面決議で行う場合,選定だけなら出席役員の
記名押印は不要だが,就任登記も考えているなら記名押印はしないと
いけない,という結論でよいでしょうか?
A13
取締役会設置会社は,代表取締役の就任承諾が必要なので,その取締役会決議の議事録をもって就任承諾としたければ,記名押印が必要です。
Q14
事業報告における「会社役員の状況」で、会社法施行規則121条6号にある「当事業年度中に辞任した会社役員」について、ここにある「辞任」については「前回の定時株主総会で辞任した」役員も対象とされているのでしょうか?
前提として、同119条2号で「前回の定時株主総会の翌日~期末までの役員」が開示対象となる旨規定されていますので、「前回の定時総会で辞任した」役員の場合には開示対象外と考えていますが、いかがでしょうか?
投稿 naga | 2006/11/09 10:50:30
A14
前回の定時総会で辞任した役員は,含まれません。
Q15
持分会社を作ってみたいと思っています。
法590条3項の「持分会社の常務は、各社員が単独で行うことができる。」の「常務」とはなんでしょうか。ほとんど使わない言葉なので、しっくりきません。
日常業務、でしょうか。
投稿 Junior Comptroller | 2006/11/09 15:34:40
A15
日常業務のことです。
Q16
こんにちは。定款の変更について、前々から疑問だったことを質問させてください。
まず、設立時に、株式会社の場合、公証人の認証をうけて定款を確定しますよね。その後、会社を運営していく過程で定款の変更をした場合、実際問題として、定款の書いてある紙に赤線でもひいて書き直すのでしょうか?大幅な変更をした場合、真っ赤っかですね。それとも一から作り直していいんでしょうか?
変な質問ですみません。よろしくお願いします。
投稿 ひよこ | 2006/11/09 16:42:20
A16
定款には,「書面」という意味と「ルール」という意味の二つがあります。
定款の変更とは,「ルール」の変更なので,そのルールが変わった場合に定款という「書面」を一から作り直すことは,何も問題ありません。
Q17
株主への利益供与の責任についてご教示ください。
①近々、会社が、その株主Aと不動産の賃貸借契約を結ぶ予定です。その賃借料(賃貸料)の設定には気をつけたほうがいいでしょうか?
賃貸料(賃貸料)が近隣相場に比べて不当に高い(安い)場合、株主への利益供与として取締役が責任を問われることはあるでしょうか?
②会社が、その株主Aの配偶者が代表取締役を務めるB株式会社と上記のような不当に高い(安い)賃貸借料で契約する場合でも、株主への利益供与として取締役が責任を問われることはあるでしょうか?
③また、このような株主への利益供与の問題を考える際には、その株主の議決権比率は無関係でしょうか?(たとえば、上場企業で、その1単元の株式しか持たない株主の場合でも留意する必要があるのでしょうか?)
投稿 コイヘルペス | 2006/11/09 22:19:30
A17
①細心の注意を払うべきです。不当に安い場合には,株主の権利に行使し,利益を供与したものと推定されます。
② 株主に直接利益を供与しなくても,利益供与の責任を問われることはあります。
③ 議決権比率は全く関係ありません。
Q18
合同会社について質問します。よろしくお願いいたします。
合同会社で既存社員から社員以外の者への持分一部譲渡による加入の場合に、一部譲受人が社員として加入する時期は法604条2項により定款変更をした時だと思います。
同3項は、「新たに社員となろうとする者はが定款変更をしたときに出資に係る払込又は給付を履行していないときは完了した時に、合同会社の社員となる」と規定していますが、この規定は持分譲渡による加入の場合にも適用がありますか。
例えば11月10日譲渡契約及び定款変更、11月13日譲渡金の支払いの場合に適用がなければ10日に社員となり、適用があると13日に社員になると思いますので。
投稿 keipyon | 2006/11/10 11:44:40
A18
譲渡人に譲渡金を渡したかどうかは,社員になる時期とは関係ありません。設立で言えば,11月10日に社員となります。
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コメント
サミー先生、いつもブログの更新をして頂き本当に有難うございます。
今日は非公開会社が譲渡制限規定を廃止し、公開会社になった場合の役員(取締役・会計参与・監査役)の任期についてご教授ください。
332条4項3号によれば、「その発行する株式の「全部」の内容として・・株式会社の承認を要する旨の定款の定めを廃止する定款の変更」の場合、任期満了すると規定されています。この点に関し、「全部」の文言を反対解釈して、「一部」の公開の場合は任期満了しないのでしょうか?それとも「株式の全部の内容」の文言に着目し、一部公開にする場合でも公開会社になるので(2条5号参照)、任期満了するのでしょうか?後者の解釈を妥当と考えますが如何でしょうか?(後者の解釈を当然と考えておりましたが、ある書籍にこの点につき疑義がある旨の見解を示唆されている著者の方がいらしたので質問させて頂きました。)もし前者の解釈をとられる場合は理由も教えていただければと思います。また、万が一、取締役の任期の解釈と監査役の任期の解釈で異なる見解を取られる場合はその理由も教えてください。(同じような規定の仕方で、同じ趣旨と思われるので、同じような解釈を取られるとは思いますが、念のため。)
以上の点、宜しくお願い致します。
投稿: NK | 2006年11月11日 (土) 02時32分
会社法585条1項の解釈についてお教えください。
合名会社合資会社において、出資は必ずしも設立段階または成立後の入社時に履行されなくともよく、履行の時期・程度は自由に定めることができますよね。
それでは 582条1項の 「その出資をすることを怠ったときは」とは、上記の自由に定めた履行の時期・程度を基準として怠ったと
解釈するのでしょうか?
投稿: maru | 2006年11月11日 (土) 20時07分
すいません。上記の質問 冒頭部分は
会社法582条1項の解釈についてお教えください と書きたかったのです。訂正いたします。
投稿: maru | 2006年11月11日 (土) 20時09分
株主割当てについてお伺いいたします。
会社法202条1項2号の「申込期日」と199条1項4号の「払込期日」とを同じ日として定めることは可能でしょうか?
投稿: 南斗六星 | 2006年11月11日 (土) 23時38分
同じく株主割当てで、202条1項各号の事項を定める決議日と同項2号の「申込期日」とを同じ日とすることはできますか?
以上宜しくお願いいたします。
投稿: 南斗六星 | 2006年11月11日 (土) 23時57分
はじめまして,サミー先生。ちょっと欲張りですみませんが,3つほど質問させて下さい。
①会社法の下で,持分会社にも資本制度が採用されていることが前提とされている条文がありますが(資本金の減少についての620条以下),持分会社の資本の減少とか資本の増加は,いつの時点で生じたと考えるべきなのでしょうか?有限会社法のときのように,変更登記をした時点で生じるのでしょうか?
②会社法199条5項では「募集事項は、第一項の募集ごとに、均等に定めなければならない。 」とされていますが,株主に新株引受権が与えられる場合に,その一部を内容の異なる株式を発行した場合,その発行価額を他よりも高額に設定してもよいのでしょうか?
③新株予約權証書が発行される場合,株式の申込をなす者は,申込を新株予約權証書によるか,株式申込証によるかを選択することができるのでしょうか?
投稿: 冥王星の帝王 | 2006年11月11日 (土) 23時59分
サミー先生、「株式会社」の内容について教えてください。色々な箇所で「株式会社は、・・・○○しなければならない」と規定されていますが、この場合の「株式会社」とは、株主総会、取締役会、代表権のある取締役、又は、代表権のある執行役のみを内容とし、監査役や各委員会、代表権のない取締役、従業員等は含まれない、との理解で宜しいでしょうか?
投稿: NK | 2006年11月12日 (日) 23時55分
会計監査限定監査役(「小監査役」)についてご教示ありがとうございました。
ただ、「そもそも、小監査役に、何のために取締役会に出席させようとするのか、意味がわかりません。」というのが理解に苦しんでいます。
以前にもお書きしましたが、千問P366の「監査役の監査の範囲を会計に関する事項に限定した会社の監査役であっても、自らの権限の範囲内において、報告聴取徴収権や子会社調査権等を有しており(389条)、当該権利行使のために取締役会への出席が必要となる場合もありうる。」との関係です。
書面取締役会制度への異議申述権や、取締役会への招集通知発送について、何度か質問させていただき、その度にご教示いただき、大変にありがたかったのですが、その根本的な問題意識としては、「小監査役の権限が拡大する場合もありうる」ためだと認識していたからです。取締役会の招集通知を受領できなければ、取締役会への出席の機会そのものがなくなってしまい、結果として、小監査役の権限を奪ってしまうことになるため、それを防止するために、会社自治権の範囲としての任意的定款規定(無効と解されてしまいましたが)で、小監査役の権限を補完しようと考えたのです。
千問P366の当該記述は、ご見解変更ということになるのでしょうか?
投稿: としお | 2006年11月13日 (月) 10時08分
神様、仏様、サミー様、ストックオプション(取得条項付新株予約権)と287条の関係で悩める仔羊をお救いください。
「新株予約権の行使の条件」
発行時において当社の取締役および従業員であった者は、行使時においても当社の役員または従業員であることを要する。
「会社が新株予約権を取得することができる事由及び取得の条件」
前号に規定する条件に該当しなくなったため新株予約権を行使できなくなった場合は、当社は当該新株予約権を無償で取得することができる。
上記の新株予約権において、新株予約権者が退職した場合、ただちに287条が適用されてしまうのでしょうか?私見としては、287条は未来永劫行使する可能性が消滅した場合(例えば、行使期間の経過)に適用されると考えており、本件の場合は、退職者が復職する可能性が残っていますし、会社が自己新株予約権を取得後第三者に譲渡すれば行使は可能ですし、287条は適用されないのではないかと思うのですが。
ものの本には、ストックオプションで退職者が出た場合に287条が適用される旨が書かれていることが多いのですけど、そちらが正しいのでしょうか。だとすると、本件新株予約権の取得条項は無効ということになりますか?これが正しいとすると、自己新株予約権についても、行使できない以上取得後即消滅するとなるべきで、矛盾する様な気がしてならないのですが。
長くなって申し訳ありませんが、ご教授くださいませ。
投稿: みなと | 2006年11月13日 (月) 17時19分
サミーさん、Q.11以下の質問にご回答いただきありがとうございました。
書面決議=取締役会の決議の省略のつもりで質問させていただきました。
本当に助かりました!
事業報告の兼職の記載に関する質問については、質問の仕方が悪かった
のかもしれず、申し訳ありませんでした。
特に分からないのは、付属明細書の「明細」が想定している内容です。
お時間があるときにご教授ください。宜しくお願い致します。
投稿: とっぴー | 2006年11月14日 (火) 00時15分
サミー先生、利益相反取引について質問です。
A株式会社の代表権のない取締役であるPは、B株式会社の代表取締役をつとめている。A会社保有の建物をB会社が買い取ろうとしている場合、以下のそれぞれの会社において取締役会の承認は必要になるのはどの場合でしょうか。QはA社の代表取締役、RはB社の代表権のない取締役、A社B社とも取締役会設置会社です。
①A社をQが代表、B社をPが代表して取引する場合
②A社をQが代表、B社をRが代理して取引する場合
③A社をPが代理、B社をPが代表して取引する場合
④A社をPが代理、B社をRが代理して取引する場合
ここで、③の事例ではA社B社とも取締役会による承認が必要であることはわかりますが、その他の事例について、利益相反をどのように考えればよいのかがわかりません。
2号の問題と解すべきか、3号の問題と解すべきか、どのような場合にどの点が利益相反とされるのか、代表取締役の場合と平取の場合でどのような差異がでてくるのか、といった点で混乱しています。
356条の一応の意味はわかっても、具体的な事案においてどのような場合に利益相反となるのかがはっきりとわかりません。
ご教授いただければ幸いです。
投稿: 土橋 | 2006年11月14日 (火) 22時31分
当社は3月決算の非公開会社です。事業報告に、昨年5月に取締役会で決議
された会社法施行規則123条の「株式会社の新株予約権等に関する事項」が
記載されました。
この場合、123条は公開会社に適用される事項なので、監査役監査報告に「新
株予約権等に関する事項は任意の記載事項で、監査役の法的監査の対象外
なので、監査を行わなかった。」と記載することは法的に問題ないと考えます
が、間違っているでしょうか。
以上
投稿: どら猫 | 2016年5月 6日 (金) 16時23分