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2006年11月24日 (金)

払込金額以上の払込み

最近,問い合わせがあった
  払込金額以上の払込み
についてお話ししたいと思います。

 募集株式の引受人の募集を行う場合には,「払込金額」又は「その算定方法」を定めなければいけません。

 では,取締役会で,払込金額を1900万円と定めたところ,引受人から2000万円の払込みがあったとしたら,資本金はいくらになるのでしょうか。
 また,約束以上に払い込まれた100万円は,一体,どう評価されるのでしょうか。

 旧商法では、実際の出資額である払込金額が発行価額以上となることを許容しつつ、資本金として計上すべき額は発行価額を基準に定めるとの取扱い(いわゆるプレミアム発行)が行われていました。
 ですから,会社法になっても,プレミアム発行気分で,「払込価額」を超える払い込みをしている会社が,何社かあります。

しかし,会社法では、旧商法の取扱いを改め
  払込金額は,確定額であり
  払込金額を確定額として定めることができない場合には「算定方法」による
ことになっています。つまり,「算定方法」ではなく「払込金額」を定めた場合には
  払込金額と出資額は常に一致する
という取扱いにしているのです。

以上を前提に,先ほどの例について検討してみましょう。

(1)まず,募集事項で1900万円を「払込金額」として定めた場合には,1900万円が出資額となり,残り100万円の超過部分は贈与等として評価されることになるでしょう。

 なお,登記をするときに,払込みを証する書面として「2000万円」の払込みの証明を持ってきたとしても,1900万円以上の払込みがあったことは証明できますので,資本金を1900万円とする登記の申請をすることは可能です。
 しかし,資本金等増加額は1900万円なので,資本金を2000万円とする登記をすることはできません。
 
(2)他方,募集事項で「1900万円以上で,現に払込があった額」という算定方法の定めた場合には,2000万円が出資額になります。

 もっとも,募集事項が「払込金額 1900万円」と記載されていても,入札等によって募集を行う場合には、「1900万円以上で入札により決定される最高の払込金額として現に払込がされた額」という意思が読み取れますので,その場合は,「算定方法」を定めたものと解することはできるでしょうね。
 また,入札の方法によらない場合であっても,募集事項の意思解釈により,「1900万円以上で,現に払込があった額」と解釈することができるならば,資本金を2000万円にすることはできます。

 このように意思解釈の問題で,救済することができる場面があるものの,「プレミアム発行」を行う場合には,「算定方法」を定めなければならないということを頭に入れて,疑義が生じない形で募集事項を定めるようにするのがプロだと思います。

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コメント

会社分割における承継会社の債権者保護手続きのご解答有難うございました。
100問2版頑張って読んでます。

なるべく自分で調べるように努力はしているのですけど…
多分、またすぐに質問すると思いますがその時は宜しくお願いいたします。

投稿: 南斗六星 | 2006年11月25日 (土) 10時03分

サミーさんはじめまして。いつも楽しく勉強させていただいております。
簡易合併において、存続会社の反対株主の意思表示は、公告または通知の日から2週間以内に存続会社に通知するとされております(会社法796条4項)が、
①通知は到達主義が適用されるのか。
②反対株主は、反対の通知をする日に株主名簿上に記載または記録されてい る株主であれば行使できるのでしょうか。
また、同簡易合併の反対株主の買取請求において、反対の意思表示を存続会社に通知した株主のみが、買取請求を行使できるのでしょうか。

投稿: ろっき~ | 2006年11月25日 (土) 10時40分

本日は、質問ではございません。サミー様、お忙しい中をいつもご親切にお答えくださってありがとうございます。それを申し上げたくて。ところで、このサミー様のブログの最初(10月2日)で、サミー様は、会社法に詳しくて親切でとのことで、ここまでは、無条件で認めますが、「スケベ」な「オヤジ」のところは、疑っております。前段はともかく、「オヤジ」ではない方もお答えくださっていらっしゃるのでは、と想像しております。これから、暮れに向かい、お忙しく、寒くなりますが、皆様、お体を大切になされて、今後も、ご教示ください。

投稿: はりこのトラ | 2006年11月25日 (土) 16時09分

はじめましてサミー先生。 私は会計士試験受験生ですが、サミー先生の
プログでいつも勉強させてもらってます。 自分は会社法に対して苦手意識
が強かったのですが、サミー先生の入門編における解説は予備校の講義や市販の解説書と比べて格段に分かりやすく、理解を深めるのに重宝しております。お忙しい中大変だとは思うのですが、
設立、機関、組織再編などの分野の入門編も期待しています。

投稿: ゴンゴン | 2006年11月25日 (土) 17時13分

株式相互保有規制について質問させて下さい。お互いの株式を25%づつ持ち合っている5社の非公開会社の株式会社があります。このまま議決権相互保有規制を適用すると議決権を行使する者が誰もいなくなるので、会社法規則67条1が適用され、すべての会社の議決権が復活すると考えてよろしいのでしょうか。よろしくお願いします。

投稿: うさぎ | 2006年11月25日 (土) 17時59分

2006年11月22日 (水)の質問コーナーQ6に対して返事を頂いた者です。
私の質問の仕方が不味く 意味を伝えることが出来ませんでした。そこで、Q6に対するフォローをいたしますので、出来ればもう一度検討してくださると嬉しいです。

Q6
 監査役の選任に関する監査役の同意(343条)と会計監査人の選任に関する監査役の同意(344条)について質問させてください。
 監査役がある場合において、取締役が監査役の選任に関する議案を株主総会に提出するには 監査役の同意を得なければいけません。(343条1項)
 また、監査役がある場合において、取締役が会計監査人の選任に関する議案を株主総会に提出するには 監査役の同意を得なければいけません。(344条1項1号)
 ところが、344条は 会計監査人の解任を総会の目的にすること(344条1項2号)及び会計監査人を再任しないことを株主総会の目的とすること(344条1項3号)にも 監査役の同意が必要と定めています。
 この様に、343条1項と344条1項で 監査役の同意の範囲が異なる理由についてご教授ください。
投稿 maru | 2006/11/21 23:06:43
A6
 すいません。質問の意味がよくわかりません。「同意の範囲」とは,何を意味しているのでしょうか。


343条1項で同意が必要なものは ①監査役の選任に関する議案を株主総会に提出することです。
一方344条1項で同意が必要なものは①会計監査人の選任に関する議案を株主総会に提出すること②会計監査人の解任を株主総会の目的とすること③会計監査人を再任しないことを目的とすること です。
 つまり343条1項では①選任についてだけ同意が必要です。344条1項では①選任に加えて②解任③再任に対して同意が必要です。
 この様に343条1項と344条1項では同意の範囲が違いますよね?結論として、私が意味したい「同意の範囲」とは 343条1項=① 344条1項=①②③というような幅 を指します。そして なぜ この範囲(幅)に違いが出るかが知りたいのです。

※ 2度も質問して大変迷惑をかけてしまいますね。本当にすいません。
※※ わたしが何か重大な理解ミスをしていたら さらにすいません。

投稿: maru | 2006年11月25日 (土) 20時58分

サミー先生、本日は「特別の利害関係を有する取締役」(369条2項 以下、特別利害取締役)についてご教授ください。
1 「特別利害取締役」にも取会の招集通知を発しなければ違法か?(「特別利害取締役」にも出席権はあるのか?)違法だとすると、「特別利害取締役」1人が招集手続の省略(368条2項)に同意しなかった場合、招集手続は省略できないのか?
2 「臨席を求めることはできる」(100問第1版258頁)とあるが、「臨席」した「特別利害取締役」にも議事録への署名義務(369条3項)があるのか?(「臨席」と「出席」は違う概念か?)
3 競業取引又は利益相反取引をする取締役(365条)、及び、取締役等による責任の免除の決議(426条)をする場合の当該責任を負う取締役、は「特別利害取締役」か?
以上の点ご教授ください。宜しくお願いいたします。

投稿: NK | 2006年11月26日 (日) 01時52分

いつも楽しく勉強させて頂いています。今日は質問をさせて頂きます。
A社(既存の会社)が12月31日を効力発生日とする新設分割を行い、新設分割設立会社Bを設立します。そして同日(12/31)B社の株主総会を開催し、同日(12/31)を効力発生日とする新設分割決議を行い、新設分割設立会社C社を設立しようと考えています。株式買取請求の通知は吸収型と異なり総会前の事前通知は必要とされていないので問題ないと思っていますが、書類備置開始は本来、総会の2週間前から行う必要があるかと存じます(803Ⅱ)。設立されたばかりのB社は、事前の書類備置き後、最短でも設立後2週間以上経過してからでないと新設分割の決議を行い、その効力を発生させることはできないのでしょうか?ちなみに分割手続において新設分割会社(B社)の債権者保護手続は不要のケースを想定しています。

投稿: | 2006年11月26日 (日) 15時00分

いつも拝見させていただいています。

合同会社の設立について伺いたいことがあります。

578条本文では、
合同会社設立時、社員になろうとする者は、定款作成後設立登記までに、
全額の払い込みもしくは全部の給付をしなければならない
とされています。

そこで、ある「社員になろうとする者」が、払い込みもしくは給付をしなかったとき、
当該会社の設立はどのような形でなされることになるのでしょうか?

いろいろテキストを見ながら、一応2通り考えてみたのですが、

Ⅰ.582条1項が、「出資をすることを怠ったときは、当該社員は...」と規定していることから、出資を怠った者も「社員」として含めて、会社が設立される。

Ⅱ.640条に、合名・合資会社から合同会社に変更するため定款変更する場合、社員が定款変更後の合同会社に対する払い込みを完了した日に、その変更の効力が生じるとあることから、582条1項を合同会社の設立の場合には適用されないと考えて、新たに合同会社を設立する場合についても、定款変更(640条)の場合と同様に、全員の出資が完了していないと、設立ができなくなってしまう。したがって、設立したいのであれば、株式会社の設立の場合のように、出資を怠った者は失権(36条3項、63条3項)させて、その人を除いて会社が設立されることになる。

合同会社については、36条3項や63条3項のような失権規定が見当たらないような気がしましたので...。
単なる理解不足だったら申し訳ないのですが、ご教授お願い致します。

投稿: 博多っ子(ロー未修1年) | 2006年11月26日 (日) 21時20分

サミーさん、早速にご教示いただきありがとうございます。
ここ数ヶ月の胸のつかえが取れました!
322条1項を例示列挙説と解すれば結果が異なる、というご指摘についても留意いたします。

投稿: マメ | 2006年11月27日 (月) 09時24分

 11/22 Q15(人的分割時の準備金の積立て)について、もう少し、教えてください。①計規66の特例に拠らず、すなわち、分割承継法人の株主資本を適当に定めない場合には、剰余金の配当と同様の処理を行うこととなるので、準備金の積立て(計規45)の適用がある、ということでよろしいでしょうか。
 ②計規66の特例がある場合にも、「これにより生じたその他資本剰余金等を原資とする剰余金の配当等を行うという処理を行うこととなる。」(計算詳解P.457)とのことですので、準備金の積立て(計規45)の適用がある、ということでよろしいでしょうか。

投稿: 真野禎太 | 2006年11月27日 (月) 10時01分

サミーさん、こんにちは。

株主総会の議決権の行使期限に関する質問ですが、

①書面投票制度を採用する場合、議決権行使書には「行使期限」の記載が必要とされていますが(会社法施行規則66条1項4号)、「特定の時」を定めない場合、つまり、同69条により「総会前日の会社の営業時間まで」とみなされる場合において、「時刻」までの記載が必要とされるのでしょうか?
「特定の時」を定めない場合であっても、行使期限を記載する旨の規定があるので、「○月○日まで」の記載は必要と思いますが、時刻については前述の69条により明文化されていることもあり、特段の記載は不要では、と思われるのですが、いかがでしょうか?

②書面投票制度において「特定の時」を定めた場合、その日と招集通知の発送日との間には「中2週間以上」あることが必要とされていますが、特定の時を「総会前日の営業時間より後ろに」設定した場合、具体的には、営業の終了時刻が17時である場合に、議決権の行使期限を「総会前日の21時まで」と定めると、「特定の時」を定めたとみなされ、結果として「招集通知の発送から総会前日まで中2週間以上」必要となるのでしょうか?
特定の時を定めたとしても、それが法定期限(株主総会の前日の営業時間)以降である場合には、原則どおり株主総会の日から期間計算をすることで足りるのでは、と思うのですが、いかがでしょうか?

以上2点、ご回答の程よろしくお願いいたします。

投稿: naga | 2006年11月27日 (月) 13時35分

サミーさん、こんにちは。
いつも楽しく勉強させて頂いてます。
組織再編の株式買取請求についてご質問させて下さい。
合併や株式移転の際の反対株主の株式買取請求は、その反対株主が所持する株式の一部買取ということも認められるのでしょうか。条文を素直に読むと、買取の際に、株式買取請求に係る株式の数を明らかにするとあるので、一部買取もできるように読めますが、制度の趣旨からすると一部買取というのは認められないように思います。
不勉強なもので、ご回答いただければ幸いです。

投稿: サブマリン | 2006年11月27日 (月) 14時17分

いつも、勉強させて頂いております。
この欄にて、質問してよいか悩みましたが、
論点解説・新会社法、269ページ・図表4-3 株式会社の機関構成において、
④にあたる機関構成がないのは、誤植でしょうか。
機関構成について考えたところ、12ではなく、11通りしか考えつかなかったので、質問させていただきました。
失礼します。

投稿: ki | 2006年11月27日 (月) 16時35分

サミー先生,教えて下さい。

ロースクールで勉強している者です。基本的なことが分からないので,教えてください。

取締役会決議を経ないでなされた代表取締役の行為は,民法93条が類推適用されます(百問331頁)。他方,利益相反取引は,相対的無効です。これらは法令違反行為であり,第三者を保護する要請がある点では同じですが,なぜ,法律構成が異なるのでしょうか。両者の違いは,過失のある第三者の保護の点にあると思いますが,どのような衡量が背後にあるのでしょうか?

投稿: 初心者 | 2006年11月27日 (月) 22時27分

基本的な質問で恐縮です。792条、812条の準用条文をどのように読んで人的分割とするのでしょうか?

投稿: 東洋 | 2006年11月27日 (月) 23時15分

商法559条の運送取扱人と商法569条の運送人は同一人物になることもあるとの理解でよろしいでしょうか?

投稿: 東洋 | 2006年11月27日 (月) 23時18分

 「千問の道標」のQ306と株券喪失登録との関連についてご教示ください。

Q306には、会社法219条3項により無効となった株券は「金銭等の交付を受ける権利を表彰した有価証券であると解するべき」とされ、当該有価証券を紛失した場合は公示催告により除権判決を得ることができる旨が解説されております。

 一方で、会社法221条をみると、「第219条第3項の規定により無効となった株券」が株券喪失登録請求が可能であるように思えます。

 会社法219条3項により無効となった株券の再発行手続きは「公示催告による除権判決」なのでしょうか? また、「株券喪失登録請求」なのでしょうか?それとも、どちらか選択が可能なのでしょうか? 

投稿: からあげ | 2006年12月20日 (水) 00時14分

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