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2006年10月24日 (火)

100問の使い方(初心者編)

 新会社法100問2版は,順調にいけば,11月中旬には,書店に並ぶようです。

 ダイヤモンド社さんのお話によれば,初版のときには品不足が著しかったので,初版よりも多めに刷るみたいですが,会社法ブームも去り,競合の本も沢山出たためか,あまり強気の数を刷るわけではないようです。2版が初刷で絶版ということにはならないでしょうが,勉強を早めにしたい人は,予約しておいた方が安全かもしれません。この時期に1月待たされると,時間的にはかなり厳しくなりますから。

 葉玉さん自身も,法務省から去っていきましたが,他の会社法立案担当者の会のメンバーも,ほとんど全員が法務省民事局から去ってしまったため,端から見ていても,改訂作業は大変そうでした。

 初版のときは,みんな
「とにかく実務家や受験生に対して,一刻も早く,会社法に関する総合的な情報を提供しなければならない」
という使命感をもって,時間優先で書いていましたが,今回は,この1年間の議論を踏まえて,論証を磨きつつ,初心者から上級者まで,誰にでも使いやすく,分かりやすいものにするということを主眼にじっくりと改訂しているように思います。

 私が,見た限りでは
1 初心者は,とりあえずComprehention Test(確認テスト)だけを全部解く。
2 次に,What's Missing(間違い探し)を全部解く。
3 1・2で間違ったところを再度,見ながら,3つ星の論文問題の答案構成をする。
というだけでも,相当な実力がつくのではないかと思います。

 まあ,それだけで,論文が書けるようになるほど甘くはないでしょうが,時間の足りない人の即効薬としての効力は高いでしょう。

 他方,答案の方は,ご承知のように,論点の拾い方もハンパではなく,論述も
「本当に,よく,ここまで書きますね。実は,暇なんですか?」
というくらい詳しく書かれています。実務家や研究者が見ても,読み応えがあるでしょう。

 私が勉強していたころに,こんなに詳しい論述があれば,苦労は少なかったと思いますが,初心者は,長いというだけで,根気が続かず,挫折しがちになるのが世の常です。

 そこで,ズボラな私の論文勉強法をひとつお教えします。

 それは,
初心者が,長い論文を読むときは,論文の中の記述を
A 条文を引用したり,条文の内容を単に説明している部分
B 条文の趣旨を説明している部分
C 反対説や自説を述べている部分
の3つに分類して,記述の横に,A,B,Cと書き込んでいく
というものです。

 こうした単純作業を入れると,集中力がとぎれにくくなりますし,内容をそれなりに理解しないと分類できないので,理解力も高まります。

 また,この作業をすると,
「実は,論文の中には,Aの部分がすごく多い」
ということに気がつくはずです。これは,基本書だって,普通の論文だって同じで,実は,条文の内容を単に説明するだけで,すごくスペースを取るのです。

 このことは,
論文を書くときに,必要となる条文を探してきて,六法を見ながら,その内容をかみ砕いて書くだけで,かなりの分量が稼げる
=条文を探し出す力さえ,あれば,それなりに論文の骨格はできあがる
ということを意味します。

 こうした骨格に,Bの条文の趣旨という肉付けをして,書けるようになれば,残りのCは,
  塩こしょう
みたいなものです。
 全く塩こしょうをかけないと,味気ないですが,その場の状況で,適当な分量を加えればなんとか,形の整った論文になるのではないでしょうか。

 私は,わりとユルい感じの論文スタイルで,論文試験に合格したので,根気のない学生さんは,以上の勉強法を参考にしてみてください。

<追伸>

 昨日のQ4で,親会社が孫会社に現物出資をする場合の資本金増加額の話について
「すいません。通常の現物出資を前提に答えました。共通支配下なら、帳簿価格の範囲で資本金の増加額を決めることになります。」
と答えました。
 この答えは間違っていませんが,親会社が,孫会社に現物出資をするときに,共通支配下の取引になるのは,「事業」を現物出資したときです。
 事業以外のものを現物出資したときの会計処理は,会計基準ではよく分からないところですが,通常の現物出資と同様,時価と考えるのが妥当ではないかと思います。

(質問コーナー)
Q1
   会社法782条などの「吸収合併契約等備置開始日」についてお尋ねします。
例えば、11月1日に、合併契約を締結する旨の取締役会決議を行って当該合併契約を締結した後、同日、会社法300条の規定に基づき(あるいは全員出席総会で)招集手続を経ずに臨時株主総会を開催してその合併契約を承認したとします。
この場合、当該臨時株主総会の2週間前の日が会社法782条などの「吸収合併契約等備置開始日」に当たるとすると、その日にはまだ備置すべき合併契約書が存在しません。
このような場合には、次のどれが正しいのでしょうか。
1.備置すべき書類が完成した日から備置すればよい。従って、11月1日から備置する。
2.上記のような事例では、会社法300条の規定に基づく(あるいは全員出席総会による)招集手続を経ずに開催する臨時株主総会は不可となる。
3.その他
ところで、氷屋さん、とは、郡谷さんですよね。新キャラかと思いました。
投稿 みひろ | 2006/10/23 0:25:13
A1
782条2項1号に「第三百十九条第一項の場合にあっては、同項の提案があった日」とあります。
したがって,提案の日から備置を開始すれば足ります。

Q2
減資・剰余金の配当について質問です。
BS上の資産の部が現金・預金1200万円、負債の部が0円、純資産の部が資本金1000万円、剰余金200万円の場合において、資本金の額を1000万円減資する決議と、減資が効力を生じるのを条件に1200万円の剰余金の配当を行う決議を行ったとします。
このような剰余金の配当は、財源規制を無視したもので違法な配当になると思いますが、葉玉さん時代のブログに「違法配当も配当としては当然に有効である」旨が重ね重ね記されていたと記憶しています。
本件のような配当も配当としては有効であり、事実上出資財産全額の払戻を受けることが可能と考えますが、いかがでしょうか?
また、本件のように債権者がいないようなケースでは、配当を行った会社側に債権者等に対する責任は生じないと思いますが、このような手続を行った場合に生じうる問題点というのがあればご指摘いただければ幸いです。
投稿 スケスケ | 2006/10/23 8:29:08
A2
 減資をすれば,分配可能額が1200万円になる場合に,減資を条件に1200万円の剰余金の配当を行う決議は,「財源規制を無視」してはいませんので,有効です。
 決議のときに分配可能額はなくても,配当のときに分配可能額があれば,461条に違反しません。
 ただし,出資するときから,減資して全額払戻を受けるつもりだった場合には,見せ金として,払込自体を無効にされる可能性もあります。

 ちなみに,「違法配当が有効である」ということと,「事実上出資財産全額の払戻しを受ける」ということは,別です。
 たとえば,質問の事例で,1000万円の減資をせずに,配当すれば,その配当は有効ですが,株主は,交付を受けた金額を会社に返還する義務を負います。
 また,違法配当は有効でも,違法配当罪は成立します。

Q3
Q9で回答を頂いた猫太郎です。登記原因にも勿論興味はあります。しかし,質問の真意は,取締役兼代表取締役Aが死亡した場合,取締役としては民法653条1号により退任し,①代表取締役としては,取締役と代表取締役の地位は未分化であり別個の委任契約が存在しないため,代表取締役であるための資格(会349Ⅲ,同362Ⅲ)を失うことで退任すると考えるのか,それとも②代表取締役イコール取締役であるため,取締役と同一の原因で退任すると考えるのか,そのいずれかをお聞ききしたかったのです。
また,これは死亡だけでなく,取締役としての退任事由が生じた場合に共通していえることなのかも気になっています。改めて質問させて頂ければと思います。
投稿 猫太郎 | 2006/10/23 11:49:25
A3
 法的にいえば,「死亡」すれば,権利義務の帰属主体になりえないので,取締役と代表取締役の関係をどのように考えるにしても,取締役・代表取締役は,「死亡」により,その地位を失います。こう考えれば,同一の原因でしょう。
 また,取締役としての委任契約は,受任者の死亡により終了しますが,その場合に,取締役の地位を失う結果,代表取締役の地位も失うと考えることもできれば,取締役の委任の内容として代表取締役となることが含まれているのだから,取締役としての委任契約が終了すれば,当然に代表取締役の地位も消滅すると考えることもできるでしょう。
 以上のように「死亡」に関して言えば,取締役の地位の喪失原因と,同一の原因と,異なる原因が混在しているということができます。

Q4
9月決算会社の非公開会社で、17年9月末には中会社、同年12月に減資により小会社となったものの、商法特例法27条により小会社特例規定は適用されず、会社法施行日まで監査役の権限に会計監査限定はありません。
会社法施行日に整備法53条により定款に会計監査限定の定めがあるものとみなされるところですが、監査権限の維持のために、法の施行を停止条件として会計監査限定の定めがないものとする旨の定款変更決議をあらかじめ行っておいた場合(経過措置本70ページ)、
1)監査役の任期には変更がないのでしょうか、
2)それとも会社法施行日に、会社法336条4項3号の定款変更が効力発生したものとして、監査役の任期が満了するのでしょうか。
会社法336条4項3号が監査役の権限の限定が解除される点を意識しているのであれば、1)が合理的だと考えます。しかし、ほんの一瞬だけみなし規定が置かれ、次の瞬間それが廃止されているという気もしなくもないので、迷っています。
投稿 Junior Comptroller | 2006/10/19 20:05:58
A4
監査役の任期は変更されません。

Q5
185条の無償割当てができる株式は,自己株式のほかに、何がありますか?
(募集株式の方式では、対象となる株主全員に,申し込ませる必要がある〔擬制可能かもしれませんが〕上に、払込金額をゼロ円にすることはできないはずです)
あまりにも基本的な質問で恐縮ですが、ほかに具体例が思いつきません。
投稿 らくだ | 2006/10/23 15:04:17
A5
無償割当てについて,根本的な誤解があると思います。
無償割当ては,会社が,株主に対し,自己の株式を無償で発行する特別な制度であり,株式分割のようなものです。

Q6
サミーさん。解散手続に関してご質問させてください。
旧商法407条では、会社が解散したときは、株主へその旨の通知を発しなければならないと定められておりました。
会社法には同様の条文が見当たりませんが、会社法の下では、このような通知は発しなくてもよいという理解でよろしいでしょうか。
投稿 ガバナンス | 2006/10/23 15:07:15
A6
発する必要はありません。

Q7
合同会社へ出資して加入する場合や現在社員である者が追加出資をする場合に全額を資本剰余金にして資本金を増加させないことはできますでしょうか。
株式会社ですと法445条で2分の1は資本金にしなければならないと思いますが、合同会社には法445条のような規定がないので全額資本に組入れなくてもよいように思いますので。
投稿 keipyon | 2006/10/23 16:36:05
A7
2分の1以上というような制限はないので,資本金を全額組み入れなくても結構です。

Q8
サミー様、取締役の「増員」の意義について教えてください。1000問のQ422のケースでは、補欠にならない取締役のことが記載されていましたが、例えば、5名在任の取締役の内、1名だけ辞任し、「後任者」として1名を選任した株式会社の、定款には、「3名以上7名以下の取締役を置く」「補欠または増員により選任された取締役の任期は、前任者又は他の在任取締役の任期の残存期間と同一とする」との規定がある場合、当該「後任者」取締役の任期は、「増員」とみなして、他の取締役と同時に任期満了となる、と考えて良いのでしょうか。
投稿 会社法難民 | 2006/10/23 19:32:13
A8
それは,定款の解釈問題なので,私は答えようがありません。
増員と「みなす」かどうかではなく,増員に「あたるか」どうかですね。
取締役の任期は短縮することができますから,定款の定め方次第で,可能な場合もあるでしょう。

Q9
 従来は、定款で「当会社の株式の譲渡には取締役会の承認を要する」とか「株式の譲渡には取締役会の承認を要する」と規定していましたところ、これを改正にあわせて「株式の譲渡による取得には取締役会の承認を要する」というように変更しましたが、登記は変更しておりませんでした。(ちなみに、全部の株式が譲渡制限株式です)
 商事法務1739号38ページでは、「会社法においては、譲渡制限株式の定義として、「譲渡について当該株式会社の承認を要すること」ではなく、「譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要すること」の表現を用いると解説されていますが、このような定款の変更の場合にも、「登記の内容と定款の内容が実質的に同一」と考えて変更登記は不要と考えてよろしいのでしょうか?
投稿 実務初級EX | 2006/10/23 19:54:15
A9
施行前から譲渡制限会社である場合,登記は「取締役会の承認」のままになっています。
ですから,登記を変更する必要はありません。

Q10
自己株式の合意取得について質問させてください。
 自己株式の合意取得では原則として、株主総会の授権決議(156条1項)及び取締役会の取得決議(157条1項2項)が必要です。
 ただ、この株主総会の授権決議と取締役会の取得決議との関係がわかりません。例えば、156条1項1号で 取得する株式の数を定めているのに、157条1項1号で再び、取得する株式の数を定めていることが分かりません。
 また、156条1項2号で株式を取得するのと引換えに交付する金銭等の内容及びその総額を定めているのに、157条1項3号で再び、株式を取得するのと引換えに交付する
金銭等の総額を定めていることもわかりません。
 さらにいうならば、156条1項2号で定める 株式を取得するのと引換え
に交付する金銭等の内容及びその総額と 157条1項2号で定める株式一株を取得するのと引換えに交付する金銭等の内容及び数若しくは額又はこれらの算定方法 がどう違うのかわかりません。
これらの関係もしくは違いについてご教授願います。
投稿 maru | 2006/10/24 1:40:30
A10
 自己株式の取得は,株主総会で,あらかじめ取得の枠を決めて,その枠の中で,取締役会が,誰から何株を取得するかを決めます。
 たとえば,156条の株主総会決議で,「決議の日から1年間に,合計1000株を,1億円以内で取得してよい」と決めます。
 そして,取締役会で「いっぺんに買わず,6月末と9月末と12月末の3回に分けて,取得することにしよう」と考えた場合には,3月末の取得の前に,「3月末を申込み期日として,300株を1株8万円で買うことにしよう」と決めます。その後,6月と12月にも,それぞれ,何株ずついくらで買うかを決めていくのです。この取得の都度に行われる決定が157条の決定です。

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コメント

サミー先生、Q1にお答え下さり、ありがとうございました。
「第三百十九条第一項の場合」とは、そういう意味(提案をした場合)なんですね。目からウロコと申しますか、あたりまえと申しますか・・・勝手に一人で「全員が賛成した場合」とか「株主総会の決議があったものとみなされた場合」だと思い込んでおりました。お恥ずかしい・・・。

投稿: みひろ | 2006年10月24日 (火) 23時53分

サミー様
はじめて質問させていただきます。

174条「相続人等に対する売渡請求」において
会社が直接買い取るのではなく、
会社が売渡先を指定できることを定款に定める
ことは可能でしょうか。

相続人の株式を売渡請求を利用して
会社の指定する者に買取させたいと考える場合、
(相続人→会社→指定人)
という流れよりも
(相続人→指定人)
の方が結果は同じなのですが
手続きが簡便になると思います。

174条の考え方についてご教授頂けますでしょうか。
また174条において会社が売渡先を指定できない場合
その理由を教えて頂けると大変助かります。

よろしくお願い致します。

投稿: tora | 2006年10月25日 (水) 00時06分

サミーさん、Q9で、明解なご回答をいただき、ありがとうございました。ここ数ヵ月間、明解な答えが得られないなか、頭の中の霧が吹き飛んだ気分です。
また、今日は、「ABCの原則」をご教示いただきありがとうございました。択一の話しに続き、ものすごくためになりました。まとめて、机にはっておこうと思います。今後とも、よろしくお願いいたします。

投稿: 実務初級EX | 2006年10月25日 (水) 09時45分

Q2でご回答いただいたスケスケです。
早速ご回答いただきありがとうございました。
「決議のときに分配可能額はなくても,配当のときに分配可能額があれば,461条に違反しません。」についてですが、本件のようなケースで配当の時にも分配可能額がない場合、
①違法配当ではない(配当決議、配当行為自体には違法性はない)
②462条あるいは465条1項10号の責任が生じるのみ
という考え方で宜しいのでしょうか?
この場合、465条1項10号ロについてですが、
設例のように減資後、資産の部1200万円、資本金0円、剰余金1200万円となり配当時においても同様の資産状況の中1200万円全額を配当した場合、株主・取締役の責任はどのようになるのでしょう?465条2項ので取締役の責任については免除可となっていますが・・・
剰余金の配当を行う場合、461条2項との関係で配当時に最低でも300万円の純資産を残した形にしておかなければならないと思うのですが、この基準を満たさずに配当がなされてしまった場合(本例のように配当時においても減資直後と同じ資産状況のようなケース)、株主・取締役は誰にいくらのどういった義務を負担するのでしょうか?
何度も条文その他を読んでいるのですが、そのあたりが理解できません。
お多忙と存じますが、再度ご教示いただければ幸いです。

投稿: スケスケ | 2006年10月25日 (水) 10時06分

株式無償割当ての件でご回答いただき、ありがとうございます。
毎回のまずい質問で、すみません。
無償割当ての実質が株式分割と同じというのは分かるのですが
無償割当は、(ぱかっと割れる)分割と異なり、
割り当てるための株式の存在が必要ですよね?その株式が、
①既に発行され、自社が保有している株式に限られるのか、
②割当てるために新規に発行することもできるかが、
わからないのです。
神田先生の会社法第八版P105には
「新株の割当て(自己株式の交付も可)」とあり、
②のように読めます。一方、
無償割当ての条文には株式分割の条文と異なり、
発行可能株式総数に関する定款変更の特則がありません。
これは「新株を発行して無償割当てすることは禁じられず、
基本的に株式分割に準じた手続で行うことが可能だが、
当該発行により発行可能株式総数を超える場合は、
通常の定款変更の手続を採ることになる」ということでしょうか?

投稿: らくだ | 2006年10月25日 (水) 11時20分

事業報告の質問です。
当社は、現在非公開会社で中会社です。決算は12月
今年の11月に臨時総会をして、譲渡制限をはずす予定です。
この場合、3月の定時総会は、施行規則の附則6条の適用は
無いと考えて用のでしょうか。
いくつか過去に質問があったかもしれませんが、
譲渡制限をはずした段階ですぐに公開会社の仲間入り
資本金5億を超え、定時総会で計算書類の承認を得てからのち
大会社の仲間入りと言う認識でいいのでしょうか?
よろしくお願い致します

投稿: あっ!と法 無 | 2006年10月25日 (水) 12時11分

サミーさん、監査役会の権限について教えてください。
「会社に対する取締役の責任免除に関する議案の同意権」、「会社が取締役を補助する為の訴訟参加に関する同意権」は、以前は商法特例法で監査役会の権限とされていたと思いますが、会社法では「『監査役』とあるのを『監査役会』とする」という規程がないようです。
実務上、監査役会における監査役全員一致決議という形で同意したこととしてよいでしょうか?

投稿: トボッケー | 2006年10月25日 (水) 13時48分

 サミーさま 初めて質問いたします。ご指導、よろしくお願いします。
 「2006年08月09日 人的分割」 でのアンサーで、葉玉先生に次のように教えてもらいました。この回答に関連して、お教えいただきたいことがあります。

 下のQ3の 2、平取Bについていえば、第三者(相手方会社)のために当社との間で行う取引であり、10月17日公表の企業会計基準第1号「関連当事者の開示に関する会計基準」の用語の定義5、には、「関連当事者との取引」に含まれるとあります。また、Q3の1、の取引についても同様です。会社法ではこの会計基準とは異なる扱いとなるのでしょうか?

Q3
 貸借対照表の注記事項のうち、取締役・監査役に対する金銭債権の総額(会社計算規則134条6号)の対象範囲と関連当事者との注記(同140条)の記載対象となる取引の範囲についてお教えください。
次の取引は対象となりますか?
1、会社が取締役のために第三者とする取引(いわゆる間接取引)
  例:取締役が代取をしている他の会社のために債務者である銀行に対し保証する取引

2、当社の代取Aと相手方の会社の代取Cとの間の取引
  当社:代取A、平取B 相手方:代取B、代取C とする。

3、会社が監査役のために第三者とする取引(いわゆる間接取引)

4、当社の代取Aと相手方の会社の代取Cとの間の取引
  当社:代取A、監査役B 相手方:代取B、代取C とする。

Posted by MALLORCA at 2006年08月08日 16:01
A3
1から4まで通常はどちらの対象にもならないと思いますが、事情によっては、関連当事者に該当することはあるかもしれません。
                                          以上

投稿: MALLORCA | 2006年10月25日 (水) 14時04分

Q4の追伸有難うございました。某監査法人において検討した結果、やはり、サミー様のおっしゃるとおり、通常の現物出資には、計算規則37Ⅰ①ハの適用はなく、結局、売買と同じだということで、「時価」ということになりました。本当にいろいろ有難うございました。

投稿: moremi | 2006年10月25日 (水) 19時37分

サミーさん、QA4のご回答ありがとうございました。

定時総会で決議する変更定款にはもちろん監査役の会計限定はありませんので、登記担当官に「監査役がいなくなっていますよ」と指摘されたら、定款のみなし条項自体がないので監査役の任期は変わらないのだと説明してみます。

今後ともよろしくお願いします。
計算本も買ったのに、計規が改正になるのですよね、やれやれ。

投稿: Junior Comptroller | 2006年10月25日 (水) 20時05分

千葉局の扱いで、司法書士法人の電子証明書のほかに、資格証明書を要する。というのです。
理由は、範囲・制限が確認できない。とのこと。
代表社員・特定社員 A
社員・特定代表社員 B
代表社員・特定代表社員 C
外省略 とします。
A・Bにも電子証明書が出るのでしょうか。出るとしたら必要でよね。
Bは、印鑑届けもできないでしょうか。

特定代表社員A・同Bは共同して代表する。
との登記は可能だと思いますか。通達からは可能としかとれない。
特定代表社員Aは、どこの従たる事務所のみ代表する。
という規定しか予定していないと私は思うのです。

行政書士法人の場合は
特定代表社員Aは、入管業務のみ代表する。
とかしか予定していないと思うのです。

投稿: みうら | 2006年10月25日 (水) 20時06分

商業登記規則18条2項1号で、第9節を除き以下同じ。とありますが、第1章にそもそも節がありません。
どういう意味ですか。

投稿: みうら | 2006年10月25日 (水) 20時07分

サミー先生、いつも楽しく拝見しております。今日も宜しくお願いいたします。
34条1項では「発起人は・・・引受け後遅滞なく・・金銭の全額を払い込み(を)しなければならない。」と規定されていますが、この点に関し、93条1項で設立時取締役の事前調査が許容されている(千問Q66)のと同じく、事前払込も許容されるが、近接した日付であることを要求するという運用が登記実務ではなされているとお聞きしております。先日設立登記の際、登記申請日より1ヵ月半前に口座開設のため1000円を振り込み、その後定款認証日より1週間前に29万9000円を振り込み、計30万円を「設立に際して出資される財産の価額又はその最低額」(以下、「出資額」)とした登記を申請したところ、1ヵ月半前の1000円に関しては、「近接」性を満たしていないと法務局の方から指摘を受けました。私は何回かに分けて「出資額」を振り込んだ場合、「近接」性の判断は、定款認証日と最終の払込日(本事例では、29万9000円を振り込んだ時点)ですべきと思いますが、如何でしょうか?例えば会社設立を考えるサラリーマンが毎月5万円を貯金して1年後60万貯まった時点で会社設立をしようとした時、1年前の時点から「近接」性を判断されるのは不合理だと思います。また、「近接」性の判断は、当該会社の「目的」をも考慮すべきだと思います。具体的には鉄道会社のように設立に多大な準備が必要とされるような会社の場合、「近接」性は通常の会社より長めに考えるべきではないでしょうか?もっとも実務的には「近接」とは2週間のことである、と決めていただくのがやりやすいのですけど。
別件ですが、「振込み」は良いが「入金」は不可、との運用がなされているともお聞きしますが本当でしょうか?通帳を忘れた者が振り込んだ場合は良くて、通帳を持参したものが入金した場合は不可、との運用は合理性がないと思いますが。
開業率向上のため設立手続きを簡素化し、ただ健全な設立のため最低限の規制は置き、あとは事後規制に委ねる、というのが会社法の意図するところだとすれば、現在の運用は不合理な面があるのではないかと思います。御意見を頂戴できれば有難いです。

投稿: NK | 2006年10月25日 (水) 20時58分

いつもご回答いただきありがとうございます。
株式の内容の変更についての質問です。
非公開会社(全ての株式について譲渡制限のみ定めている)で、一部の株式を取得条項付株式に転換する場合には、何条が適用されるのでしょうか?110条では、発行する全ての株式の内容を変更する場合に適用されるようですし、111条だと、種類株式発行会社を対象にしているようですので、この場合には適用できないのではないかと思っています。
よろしくお願いします。

投稿: リー | 2006年10月26日 (木) 11時06分

サミー様 現物出資財産の「給付」についてご質問させてください。
この給付とは、「所有権の移転」という意味で宜しいのでしょうか。①「引渡し(占有の移転・登記必要書類の交付)」②「対抗要件」を備えることまで意味しているのでしょうか。
①については、旧法下の下級審判例で、登記に必要な書類が会社に交付されなければ無効とする判例(東京地判S38.10.31)があるようですし、そうすべきように思います。
②につきましては、設立に関する会社法34Ⅰでは、「発起人全員の同意があるときは」対抗要件は、「会社の成立後」にすることができるとの規定がありますが、会社法208Ⅱは「給付しなければならない」とのみ記載するにとどまっております。旧法では、設立の規定が準用されていたのですが、会社法では、それが見当たりません。募集株式の発行の場合も、対抗要件を備えるのは、払込み期日又は払込み期間の末日(株主となる日)以降であっても構わないと思いますが、いかがでしょうか。
どうぞ、よろしくお願い致します。

投稿: moremi | 2006年10月26日 (木) 11時34分

サミーさん、葉玉さん同様、お忙しいところをご対応いただきいつもありがとうございます。
サミーさんご登場当初は、あまりに丁寧な応答に、「これでは燃料切れするんじゃないか」と心配しましたが、最近は簡にして要になってきましたので安心いたしました。
先週、某社のセミナーで葉玉さんによく似た方をお見かけしました。本物だったとすれば、まだ公務時間中も会社法に関与しておられるということですので心強く思いますが。
(そのセミナーは、私の印象ではイマイチでした。ほとんど法令の説明に留まっており、付加価値が少なかったためです)

さて、一点質問させていただきたく存じます。
施行規則76条2項3号では「現に監査役であるときは(その)地位及び担当」を書くべきこととなっておりますが、監査役の「担当」とは何でしょうか?
(地位は、常勤/非常勤でしょうね。特定監査役についても記載すべきでしょうか?)
よろしくお願い申し上げます。

投稿: S.N. | 2006年10月26日 (木) 15時25分

譲渡制限株式について承認を受ける事柄が、商法時代は「株式の譲渡」だったことに対し、会社法では「株式の譲渡による"取得”」とその言い方が変わりましたが、単に言い回しの違い(意味は同じ)と理解すればよいのでしょうか?それとも「株式の譲渡」という表現だけではカバーできない状況が想定されているのでしょうか?

投稿: ヤサオトコ | 2006年10月26日 (木) 16時33分

会社法433条の帳簿閲覧権についてご教示ください。株主が会社に対し、
帳簿閲覧権を行使した際、会社が当該株主に対して「秘密保持契約を
締結しない限り、閲覧に応じることはできない」することは適法でしょうか。
433条2項各号のいずれかに該当することを会社が立証しない限り、困難
であるようにも思うのですが、いかがでしょうか

投稿: SMOKY | 2006年10月26日 (木) 17時35分

株式の譲渡制限の承認機関を取締役会としている取締役会設置会社が、解散の登記を申請する際、同時に株式の譲渡制限に関する規定の変更(承認機関を取締役会以外の機関とする)の登記をする必要性はあると考えますが、必ず解散と同時にしなければならないのでしょうか。
旧商法時代は、解散すると株式の譲渡は停止すると考えられ、譲渡制限規定はそのままとされてきましたが、会社法では、解散後に株式を譲渡することについて、特に制限する規定がないめ、解散後も株式の譲渡が可能とされ、解散すれば取締役会設置会社でなくなるめ、譲渡制限規定を解散登記と同時に必ず変更しなければならない。との考えがあるため。

投稿: hi | 2006年10月27日 (金) 01時04分

社外監査役について
 公開会社である大会社の場合、会社法328条2項で監査役会の設置が義務付けられ、会社法335条3項でその員数は3人以上で過半数が社外監査役でなければならないこととされています。
 今般、公開大会社である甲社が、乙会社の株式の過半数を取得し、乙会社を会社法2条3号の子会社としました。甲会社の監査役Aは、社外取締役となっていますが、乙会社の取締役を兼任していました。この場合、Aは甲会社の社外監査役としての要件(会社法2条16号)を充たさないこととなり、社外監査役を退任するこになると考えますが、この場合、社外監査役の登記を抹消する登記申請は、どのようにすればよいのでしょうか。また、甲会社の監査役が3人の場合、会社法335条3項の要件を充たさないこととなりますが、いずれの時期までに新たな社外監査役を選任すればよいのでしょうか。

投稿: 橋爪伸由 | 2006年11月17日 (金) 15時58分

会社法第175条第2項についてご質問です。
定款の規定に基づき相続人等に売り渡し請求をしようとする際の株主総会の決議についてですが、条文には「買取請求の対象となる株式を有する者は議決権を行使することができない」とありますが、その者が相続の対象となる株式以外にもともと株式を有していたような場合、この株式についても議決権行使することができなくなってしまうのでしょうか?
少し前のQ&Aで、拒否権付種類株式を相続した場合、会社法第175条第1項の決議につき拒否権は議決権ではないから行使できるかもしれない旨の回答がありましたが、相続前から有していた種類株式の拒否権行使は当然に可能と解してよいのでしょうか。

投稿: SBT | 2006年11月17日 (金) 20時52分

サミーさん 初めて質問いたします。初学者ですので、的外れな質問かもしれませんが、どうか教えてください。
自己株式の消却についての決議機関についての質問です。
取締役会設置会社の場合、取締役会の決議でやることは条文に書かれているのでわかるのですが、非取締役会設置会社の場合、どこの機関が決めるのでしょうか?
江頭先生の株式会社法によると、「株主総会の決議(309条1項:普通決議)を要する」とあるのですが、会社法の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて(民商782号通達)によると、取締役の過半数の一致で決議できるようにも読めます。
どちらが正しいのでしょうか?それとも、私が考え違いをしているだけで、どちらも正しいのでしょうか?

投稿: tsutumi2000 | 2006年11月21日 (火) 02時25分

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