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2006年10月 3日 (火)

はじめまして

 はじめまして。サミーです。
 昨日、葉玉さんから引き継ぎを受け、このブログを書くことになってしまいました。

 実は、葉玉さんからは
「スケベなおやじという設定だから、よろしく。」
ということしか引き継いでいませんので、若干戸惑い気味です。
 私も男ですから、スケベであることは否定しませんが、仕事で遅くなったときに、カプセルホテルに泊まってビデオを見るのが趣味であること以外は、真面目な日常生活を営んでいますので、葉玉さんの設定に反して、実直なブログを目指したいと思います。

 本日は、ブログという不特定人に向けたものを書くのは初めてで、少しアガッてますから、このへんで質問コーナーに移ります。

 いたらないところも多々あると思いますが、これから、よろしくお願いします。

(質問コーナー)
Q1
 数日前の記事で、「昭和25年改正前は、株主総会万能主義で、取締役に各自代表だった。昭和25年改正後は、株主総会万能主義は有限会社に任せて、株式会社は、株主総会の権限を限定して、所有と経営の分離を進めた。平成17年の会社法は、昭和25年改正前に近い状態になった。というブーメラン現象が起こっただけ。」とありましたが、会社法295条2項の取締役会設置会社は、昭和25年改正後と同じなのではないでしょうか。
なぜ、取締役会設置会社も含めて昭和25年改正前に近い状態なのか、教えて頂けませんか?
A1
 株式会社の性質を考えるときに、特定の機関設計の会社だけを捉えて旧商法の株式会社と近いかどうかを論ずるのは、妥当ではないと思います。
 たとえば、「委員会設置会社については、昭和25年改正前とは違うのではないか」と言われれば、「はい。昭和25年改正前には委員会設置会社はありませんでした」と答えるしかありません。
 また、「取締役会設置会社では、取締役会の設置が義務づけられているので、旧商法と同じだ」と言われることがありますが、取締役会の設置を法律で強制しているわけではなく、定款で自律的に設置しているのですから、その存立基盤は、昭和25年改正前と大きく異なります。
 昭和25年改正は、法律で取締役会の設置を強制し、かつ、株主総会の権限を制限するという立法政策を採ったのですから、例えば、株主総会の決議事項である「定款で定めた事項」とは何かを考えるときでも、その立法政策を前提に
「定款で定めることができる事項には限界があり、業務執行の決定を株主総会で行うことはできない」という解釈が出てきやすい。
 それに対し、会社法は、取締役会を設置せず、かつ、株主総会の権限を制限しないを株式会社の基本に置き、会社が、定款で任意に取締役会を設置することを選択したときに、295条2項が適用されることになります。
 言葉を変えれば、295条2項を適用するかどうかは、会社の任意なのですから、295条2項は、会社の通常の意思を類型化した規定に過ぎず、「定款で定めることができる事項には限界がない」という解釈につながりやすい。
 このように、機関については、ある機関構成におけるある特定の条文だけを捉えて旧商法の株式会社と同じかどうかを論ずるのは、本質を見失うように思います。
 それを前提に、取締役会設置会社と旧商法の株式会社で何が大きく異なるかというと、「代表取締役を取締役の一種と考え、取締役との分化を否定している」というところでしょう。昭和25年改正は、取締役から業務執行権を奪い、「取締役自体は機関ですらない」ということを前提にして、代表取締役を取締役から分化させることが改正の柱でしたから。

Q2
 取締役会設置会社の代表取締役の選定について、9ページの1段目では、会社法362条2項3号により取締役会で選定するとされていますが、同ページの3段目の注「定款で代表取締役を選定できると解される」とありますが、これは、設立に際してのみならず、常に定款で定めることが可能と考えてよろしいのでしょうか?
A2
 解釈問題ですが、千問の道標では、設立時代表取締役について定款で定められると解釈していますから、設立時代表取締役以外でも、可能と解するのが整合的であると思います。このように解釈することが、定款で「代表取締役の選定」を株主総会の決議事項とすることができるという解釈とも整合的です。
ただし、取締役の任期との関係で、その定款の定めは2年間しか効力は有しないことになるでしょう。

Q3 
 同ページ2段目の「他方・・・」以下の定款を定めた場合、先日の質問の例のBCに代表権が付与され、その旨の登記がなされることとなりますが、BCについては過去に印鑑証明書の添付がなされたjことのないケースが多々生じますが、この場合、商業登記法施行規則61条の趣旨に反することになるのでは? (旧規則第82条について、虚無人を防止するための趣旨と理解しています。)
A3
 問題の所在が把握できませんが、就任承諾が必要かどうかという問題と、印鑑証明書の添付の要否は、必ずしも一致しないのではないでしょうか?

Q4
 下記のような質問が来ました。私は、可能と考えますが、「発起人全員で決めるのだから、よさそうにも思いますが、可とすると、事実上の信用労務出資を認めることに通じます。また、株主平等(109条)は設立前にも影響する営利社団の基本原則と解します。 」との考えにより不可とする考えもありますが、いかがでしょうか?
 発起設立の56条までには、募集設立の58条3項にあるような募集条件均等の規定が見当たらないのですが、ということは、発起人が払い込む金額は「1株あたりは不均等」でもいいということでしょうか?
 具体的には、現物出資もからむのですが、
・発起人A : 現金出資 5000万円・5000株 → 10000円/1株・発起人B : 現物出資 500万円・5000株   → 1000円/1株
A4
 発起設立では、不均等でも構いません。引受条件の均等性は、株主になる前の話ですので、株主平等の原則は、直接影響を与えません。

Q5
サミーさん、はじめまして。株主所在不明の場合の株式の売却についてお聞きしたいことがあるのですが、所在不明等の株主の株式を会社法第197条2項の規定により売却する場合、前提要件として、同条第1項各号を満たさなければなりませんが、同2号の「剰余金の配当を受領しなかった」とは、剰余金の配当が5年間無配だった場合も含まれると解してよいのでしょうか?
A5
 2項の売却は、1項の規定による競売に代えて行うものですから、1項の適用がなければ、行うことはできないと解されます。
 無配の場合は、株主の意思が不明ですから、2号の「剰余金の配当を受領しなかった」に含まれないと解されます。

Q6
早速ですが、上記Q12のご回答について、
条文上の根拠は第何条になるのかご教示いただけませんでしょうか?
A6

吸収分割の場合には,789条4項5項です。

Q7
旧試験の短答試験で、以前、”60点を目指す勉強法は全く違う”といった旨の話をされていましたがどのように違うのでしょうか。
私にとっては、60点はともかく、55点以上を取る事ですらまだ見えません。
来年が50点前後の合格ラインになりそうである以上、それに備えたいのです。
ご教授いただけたら、幸いです。
A7
葉玉さんと違って、受験テクニックは素人ですから、それを前提に聞いていただきたいのですが、葉玉さんの言いたかったことは、
「満点を採るためには、完全に網羅的で正確な知識を身につけた上、択一的な論理的思考力を養うために過去の択一問題の選択肢の選び方について全部暗記するくらいの勉強をしなければならないから、時間がいくらあっても足りない。そんな勉強をするな。」
ということを言いたかったのではないでしょうか。

Q8
民事局付検事として長らくご活躍だったとのこと。私もそういう方面で働きたいという思いを持っているのですが、今更ながらふと疑問に思った事があります。それは(会社法関係の質問ではないので非常に恐縮ですが)、国家公務員試験を通過して法務省で働いていらっしゃる方々とは、どういう具合で仕事の分担をなさっていたのかということです。会社法立案担当者の会には法務省の方はいらっしゃらなかったように思うのですが・・・。検事はより専門的な集団という具合なのでしょうか。お答えを頂戴できると大変嬉しいです。
A8
民事局付の中には、国家公務員試験を合格した方もいらっしゃって、検察官・裁判官と同じ仕事をしています。ただ、登記や戸籍等の行政に携わっている方の方が多いと思います。

Q9
会社法の判例でしばしば登場する「合理的に~」とはどういう判断基準なのでしょうか?具体的な判例を交えて教えていただけると助かります。
「~は合理性がない」など合理的という言葉であいまいに片付けられているような気がしていつも腑に落ちません。
何が合理的でないのか・・・・いつもそこで引っかかってしまいます。
A9
「合理的に」と書かれている判例を検索するのは大変なので、ご勘弁いただきたいと思います。
「合理的」という言葉があいまいに使われているかどうかは、判例によります。
私達が判例を読むときには、「合理的」という言葉を重視しているわけではなく、合理性を基礎づける事実や論理を見ていますから、「合理的」という言葉にこだわる必要はないのではないでしょうか。

Q10
その論文試験の発表も、あと1ヵ月後となりました。口述試験に向けて勉強しているのですが、葉玉先生なら口述試験についても意見や面白い話があるのではないかと思い、お聞きしたくて、書き込むことにしました。
 口述試験の対策、ご自身の思い出など、なんでもいいので(←無責任な聞き方ですが)、もし何かあればぜひ教えていただきたいと思います。
A10
 葉玉さんでなくて申し訳ありませんが、私が口述試験を受けたときは
・定義をしっかりと言えるようにする。
・どんな質問がきても、黙り込むことがないようにするために、普段、あまり勉強しないようところを中心に勉強し、択一・論文でよく勉強したところは勉強しない。
・試験委員の質問に簡潔に答えるようにするため、それぞれの論点について一言で結論を言ってみる。
というようなことをやりました。

Q11
「A1
1回目でも,修習生は,給料がもらえなくなりました」
という記述は、どのような意味ですか?
修習生はしばらくの間は給与制を維持するということで、貸与制には切り替えらないですよね?
A11
裁判法67条2項の改正により給与制は廃止されますが,その施行は平成22年11月1日ですので,それまでは,給与制は維持されます。

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コメント

サミーさんはじめまして。
ブログを引き継いでくださり、ありがとうございます。

ところで、質問コーナーでは、質問者の名前を書いていただけないでしょうか。
よろしくお願いします。

投稿: エル | 2006年10月 3日 (火) 21時55分

サミーさん、お待ちしておりました。
大丈夫です!
男性がスケベでなかったら人類が滅びます。
それに、葉玉先生よりも親切でスケベな方は、きっと
いません。
どうか、お体に気を付けて、できるだけ長くブログを続
けてくださいませ・・・。

投稿: みひろ | 2006年10月 4日 (水) 00時55分

ご質問させていただきます。剰余金の配当の効力日とはいつを指すのでしょうか。総会、役会の決議日または支払開始日のどちらでしょうか。
①今度の取締役会で中間配当金を決議するのですが、会社法は効力発生日を 決議とありますが、当然支払開始日を決議するのでしょうか?
②個別注記表、株主資本等変動計算書で効力発生日を記載するようになってい  ますが、これも支払日ですか?
  また、この6月の株主総会では効力発生日については、特に決議しませんで  したが。とりあえずこれも支払日でよいですか。
ご指導願います。

投稿: 会社法初級 | 2006年10月 4日 (水) 01時19分

法務省が意見募集にかけている省令の改正の趣旨について、簡単にご説明いただければ幸いです。

投稿: 名無しさん | 2006年10月 4日 (水) 17時35分

サミーさん、はじめまして。
以後よろしくお願いします。

さて、吸収分割に関する質問ですが、ある会社(A社)が、吸収分割により事業に係る権利義務の一部を他社(B社)に承継させる際、承継先であるB社の代表取締役がA社の代表取締役でもある場合、A社における分割契約の承認取締役会の議決には、A社の代表取締役は「特別利害関係人」として加わることができないのでしょうか?

但し、「B社はA社の完全子会社ではない」ことを前提としています。

会社法356条に定める「取引」の概念に、会社分割による事業承継が含まれるかどうか、といった内容になるかと思いますが、ご解答の程よろしくお願いいたします。

投稿: naga | 2006年10月 4日 (水) 17時59分

サミーさんこんにちは。
今日は、立案担当者の方々が書かれた文献の記載について教えてください。
「立案担当者による新・会社法の解説」88頁の中段後ろから2行目に、会社法になって株式の買受け及び減資・減準備金の場合に一般的に種類株主総会が必要とされなくなったことの理由として、「株式の買受けおよび剰余金の配当に統合された資本金等の減少に伴う払戻しについては、原則として定款の定めに基づかなければ種類ごとに格別の取扱いをすることができない」とあります。
しかし、減資+自己株取得として行う場合は、定款に定めがなくても種類ごとに異なる取扱い(減資の後、ある種類の株式のみ買い受ける)ができるのではないでしょうか。
この記載の意味について教えてください。
宜しくお願い致します。

投稿: ジェフリー・サルポン | 2006年10月 5日 (木) 00時47分

サミーさん、こんにちは。
すみません、以下の事項につき、ご教示願います。。
1.「業務の執行」と「職務の執行」の区別について
会社法では、取締役や監査役がする仕事に関し、「業務の執行」と「職務の執行」とは明確に区別しているようです。これに関し、「論点解説新・会社法(初版)」のQ398では、「業務の執行」とは、「会社の目的である具体的事業活動に関与すること」を意味する旨の記述があり、「職務の執行」については、具体例を掲げて説明されています。
ここの記述を読んでみても、私の悪い頭では、これら二つの仕事の線引きが難しいです。私の頭では、「職務の執行」とは、「会社法における取締役や監査役の個々の仕事を遂行すること」をいい、取締役については、会社の売上に絡む職務を執行すれば、「業務の執行」をしたことになり、監査役については、「業務の執行」は有り得ず、「職務の執行」だけをしたことになるのかな? と考えます。
なにか分かりやすい線引きみたいなところを教えて頂けませんでしょうか。

2.いわゆる名目上の役員に対し支給する報酬等について
例えば、会社法施行前からある株式会社で、代表取締役以外の取締役や監査役で、実際には名前だけでなんらの仕事もしていない役員がいるケースがあると思います。このような名目上の役員に対し報酬等を支給している場合、その報酬等には、「職務執行の対価」としての性格がないように思います。だとすれば、このような報酬等の支給は、違法になるのでしょうか。

以上、宜しくご教示願います。

投稿: とっちー | 2006年10月 5日 (木) 10時56分

サミーさん、こんにちは。
恐縮ですが、剰余金の配当について1点ご教示下さい。

「剰余金の配当がその効力を生ずる日」を定めるにあたり、その日を当該配当の決議を行う日の半年先で、翌事業年度となる日を定めることは可能でしょうか。

葉玉先生の「引退宣言」の日の質問コーナーでは、基準日から3ヶ月を超えるケースのお話がありましたが、基準日を定めずに配当決議を行う(非公開会社ではあり得る話だと思います)とすれば、効力発生日における財源規制の問題が生じるリスクはあるものの、翌事業年度に配当を支払う決議も可能だと思われますが、いかがでしょうか。

よろしくお願いいたします。

投稿: たろすけ | 2006年10月 5日 (木) 17時06分

サミーさん、はじめまして。
お忙しいところ、恐縮ですが、質問させてください。

日本の株式会社なのですが、取締役3名中、2名が英語を母国語とする外人さんで、1名が日本人です。代表取締役の外人さんは英語しか解さず、取締役会は英語でなされています。ちなみに監査役の3名は日本人ですが、みな英語で会議に参加しております。

この会社の取締役会の議事録ですが、英語で作成しても、その議事録は会社法369条3項の「議事録」といえるのでしょうか。

日本語版の議事録が正文ということになると、代表取締役の外人さんは、日本語をまったく解さないし、もう一人の外人さんの取締役も漢字があまり読めないので、日本語版を作ったうえで、英訳を作成し、日本語版は、英訳と同じであるといってサインをしてもらうことになると思います。

しかし、サインをする外人取締役2名は、自分がサインをする日本語版が英語版と本当に同じかどうかは判断できない以上、日本語版が正文というのも変な気がするのですが、いかがでしょうか。

ちなみに、この会社の株主は、外国会社1社で、閉鎖会社です。

また、この会社の株主総会も、英語で行われる予定です。外国会社の社員が1名日本にやってきて、株主として権利を行使しますが、その社員は英語しか解しません。

この株主総会の議事録を英語で作成した場合、これは会社法318条1項の「議事録」といえるのでしょうか。

以上、ご回答いただければ幸いです。

投稿: 会社法苦手 | 2006年10月 5日 (木) 19時20分

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