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2006年9月20日 (水)

株式の一部のみについての内容の変更

 株式の内容の変更の記事に対して、内藤卓さんから、次のような質問を頂きました。

「既発行の普通株式の一部を別の種類の株式に内容を変更する場合、従来は株主全員の同意があれば可と解されていましたが、本日のお話の論理からすると、この点についても株主総会の特別決議で可とお考えのように感じました。私は、会社法の下では特別決議で足りると解してもよいのではないかと考えていますが、いかがでしょうか。」

結論から言えば、その場合には、やはり「株主全員の同意」が必要であると思います。

内藤さんが質問されているのは、例えば、普通株式の株主について、ある株主はA種類株式、ある株主はB種類株式にするという変更のことですよね。

普通株式を丸ごとA種類株式に変更するのは、一昨日の記事に書いたとおり、原則として、株主総会の特別決議で足りますが、株主XにはAを、株主YにはBを、と分けて変更する場合には、「株主平等の原則」に配慮する必要があるでしょう。

 株主平等の原則は、種類が異なれば、別異取扱いを許しますが、同一種類の株式については、株式数に応じた取扱いを要請します。株主XにはA種類株式を、株主YにはB種類株式をという取扱いは、株式数に応じた取扱いということはできず、原則として許されません。

 もっとも、株主平等の原則は、少数派株主の保護のための制度なので、少数派株主を含め、株主が全員同意するならば、例外を認めても良いというのが、通説的な考えです。

 それで、従来から、株主が全員同意すれば、ある種類の株式をAとBに分けるということを許容してきましたし、会社法でも、許容することになると思います。

 本当言うと、今まで、全員同意でこのような変更を許してきたこと自体に若干違和感があり、会社法上も、そのような株式の内容の変更は、どんな手続でできるのか、不明確な点もあるので、あまりお勧めしたくはありませんが、むきになって否定するほどのことではないですよね。

(質問コーナー)
Q1
初歩的な質問で恐縮ですが、取締役・監査役の選解任についての種類株式の発行主体について質問がございます。
108条1項但書によりますと、委員会設置会社は、108条1項9号の取締役・監査役の選解任についての種類株式を発行することはできません。
そして、その理由として、例えば前田庸先生の『会社法入門〔第11版〕』(有斐閣、2006年)109頁は、「委員会設置会社においては、指名委員会が株主総会に提出する取締役の選解任に関する議案の内容を決定する権限を有し(404条1項)、このことと種類株主によって取締役を選任することとは矛盾するからである」としています。
ですが、何故、矛盾するのかがよく分かりません。
投稿 ロースクール生 | 2006/09/17 22:48:31
A1
取締役・監査役選任権付株式がある場合、「種類株主総会」で取締役・監査役を選任することになりますが、指命委員会は、「株主総会」に議案を提出する委員会です。
もし取締役・監査役選任権付株式を導入してしまうと、指名委員会は、仕事がなくなってしまいます。

Q2
 株式会社が持分会社に組織変更する場合、総株主の同意が要求されています(会社法第776条第1項)が、素直に読めば、株主総会の法定決議事項とされていないように読めます。すると、取締役会設置会社においては、定款で定めない限り、たとえ全員出席、満場一致であっても、株主総会では決議できず(第295条第2項)、個別に同意書を徴求しなければならないことになりますが、そういう解釈でしょうか。
 また、自己株式が存する場合、この総株主の同意には、発行会社自らの同意も含まれる(除外する規定がないので)ということになりますが、そういう解釈でしょうか。
投稿 内藤卓 | 2006/09/18 17:38:45
A2
全員出席満場一致の決議があれば、それを株主総会と見るかどうかは別として、全員の同意に当たります。その同意の証明方法を、同意書とするか、「議事録」とするかは、登記の問題ですね。

Q3
葉玉先生が以前、教壇に立たれていた、LEC司法試験課の最新パンフ(商品コード:LV06025)17ページに、12月開講予定の講座として、
『新会社法100問徹底整理講座』
『C-BOOK会社法徹底攻略講座』
が掲載されており、紹介文には、
・立法担当官の視点から、わかりやすく解説いたします。
・立法担当官以外の見解にも言及します。
との記載がありました。
もしかして・・・、上記2講座と担当者は、葉玉先生でしょうか??
投稿 輝光 | 2006/09/18 23:37:00
A3
残念ながら、私は、公務員なので、そのような連続的な講座を受け持つことはできません。

Q4
9/17のQ2にて質問させていただいた者ですが、ご回答有難うございます。
取締役会の決議の省略には、「成立」という概念がないと言うことで、以下のようなケースでは法律関係がどうなるのかと疑問に思いました(ちなみに、下記①~③とも、取締役の全員から同意があった後に、監査役が異議を述べたケースを想定してます。)
①決議があったものとみなされた日(監査役の誰からも異議がなく、取締役の全員の同意が揃った日)に議事録を作成し、その議事録を本店に備え置いたが、その後、監査役から異議が述べられた場合に、その議事録は意味のないものになるのか。
②決議があったものとみなされた日以降に、取締役が、当該みなし決議に基づく一定の行為を行った後に、監査役から異議が述べられた場合に当該行為の効力、
③監査役から異議を言わないことを確認したが、監査役の気が変わり、異議を述べた場合の効果
投稿 ひょっとこ | 2006/09/19 8:51:43

A4
①「意味のないものになるか」というのは、ちょっと抽象的な言い回しですね。みなし決議が効力を失った以上、議事録の備置義務は消滅すると思われます。
② 取締役会の決議がないにもかかわらず、代表取締役が行為をした場合の効力ですから、民法93条の類推適用だと思います。
③ 監査役が一旦「異議を言わない」と言った以上、錯誤等の特段の事情がない限り、異議権は、その時点で喪失するものと考えます。したがって、その後に異議を述べても無効だと思います。

Q5
お世話になっております。369条の「議決に加わることができる」取締役についてご質問します(既出でしたら申し訳ありません)。「議決に加わることができない取締役」は2項の特別利害関係を有する取締役だけでしょうか?それ以外にも「議決に加わることができない」という場面はあるのでしょうか?(現状では,ないという理解でよいでしょうか)
投稿 akiko | 2006/09/19 15:38:47
A5
特別利害関係人だけだと思います。

Q6
合併対価の柔軟化の施行延期について,千問912で「会社法の施行後1年間は,金銭を対価の全部または一部とする合併等も許されない」(附則4項関係)の「…合併等」の中に「対価を交付しない合併」は含まれるのでしょうか。先生のブログのバックナンバーでは,「無対価吸収合併はできると思います」と1行でコメントされていますが,その理由は旧法409条4項においても「支払を為すべき金額を定めたるときは」の文言から「支払を為すべき金額を定めない場合」も想定できるとの解釈が可能だから,ということでしょうか。
 また,仮に現時点において無対価吸収合併が許されないとの立場に立ったとしても,存続会社と消滅会社とがいずれも同一の親会社の完全子会社であった場合,実際問題として,会社債権者を害することも,株主を害することも全く想定できないので,かかる合併が問題となる場面は想定できないように思えるのですが,いかがなものでしょうか。
投稿 すみたにさん | 2006/09/19 20:39:58
A6
現在は、旧商法が適用されているのではなく、経過措置で、合併の規定を読み替えています。その読み替えられた規定を見れば、無対価合併ができることは明らかです。

Q7
設立時に、無配の種類株式=甲種、無議決の株式=乙種株式の2種類を発行する場合、会社法32条1項2号に定める「設立時発行株式と引換えに払い込む金銭の額」は、種類ごとに異なる額を定めてもよいのでしょうか?
投稿 よっち | 2006/09/19 20:48:58
A7
発起人の引受条件は、もともと均等性が要求されていません。
募集設立の引受人の条件は、均等性が求められますが、種類ごとに均等であれば足ります。

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コメント

初めて投稿させていただきます。

株式の一部のみについての内容の変更については、総株主の同意が必要とのことですが、109条2項の場合はいかがでしょうか?

109条2項の場合、非公開会社のみという制約はありますが、決議(309条4項)は総株主の同意まで必要なく、一部の株主の議決権を奪うことができます。この場合、登記には反映されるものではなく、登記簿上は普通株式だけだが、定款をみれば議決権のない株主も存在することが分かるという理解をしています(違っていたら御指摘願います)が、109条2項を使えば、株式の一部のみについての内容の変更を総株主の同意なく実現できるのではないでしょうか。


投稿: 葉玉門下生 | 2006年9月20日 (水) 15時51分

吸収合併等の手続き及び新設合併等の手続きにおける株主への通知(785条3項本文・797条3項・806条3項)について質問させてください。
 まず、吸収合併の手続きにおいて、株式会社等は効力発生日の20日前までに株主に対し通知をする必要があります。(785条3項本文・797条3項)
 一方、新設合併等の手続きにおいて、株式会社等は決議の日から2週間以内に株主に対し通知をする必要があります。(806条3項)
 このように、吸収合併等の手続きと新設合併等の手続きでは、株主への通知の起算法及び起算日数が異なります。(吸収では、効力発生日の20日前まで。新設では、決議の日から2週間以内)
 この様な違いが生じる理由についてお教えください。

投稿: maru | 2006年9月20日 (水) 17時47分

 ご回答ありがとうございます。
 想定事例は、経営者株主(100%所有ではない。)がその所有している普通株式の一部を種類株式に転換するものです。
 少数株主保護の視点から言えば、不利益を受ける株主の同意が得られるのであれば、敢えて株主全員の同意を要求する必要はないように思います。
 会社法上認めてよいか否か明らかではないが、株主全員の同意があればよいであろうという考え方もありますが、実務的には便宜ですが、個人的には若干疑問です。
 全部取得条項付種類株式を用いる等その他の手法により、同じ結果を実現できると解される以上、それによるべきだとも考えますし、また、それらの手法による場合特別決議だけで実現できる以上、本件でも特別決議で足りると解してもよいように考えます。

投稿: 内藤卓 | 2006年9月21日 (木) 01時19分

 初めて投稿させていただきます。

初学者+独学ゆえ、皆さんと次元がちがう質問なのですが・・・

「電子広告会社は電磁的公示の方法によるバランスシートの公開ができない。」
とありますが「電磁的公開あるいは公示」と「電子広告」のちがいがよく分かりません。どちらもインターネットによる公開だと思っていたのですが・・・教えてください。

投稿: ろーひー | 2006年9月21日 (木) 01時25分

デフォルトとは、利用者が何も操作や設定を行なわなかった際に使用される、あらかじめ組み込まれた設定値。というパソコン用語的な意味でつかっているのですよね。わからない人にはわからないかなと思いました。

投稿: デフォルト | 2006年9月27日 (水) 23時59分

大会社について質問いたします。
負債が200億円を超える貸借対照表の決算となって(資本金は2億円)、3ヶ月後の株主総会で決算が承認された時点から大会社の扱いとなるとすると、会計監査人の監査を受けるのは翌年の決算ですね。その時点では、負債が再び  200億円を割り込んでいても、大会社として会計監査人の監査を受けるのですか。ご教示下さい。了

投稿: 迷える社会人 | 2006年11月17日 (金) 11時34分

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