2010年1月 3日 (日)

明けましておめでとうございます。

新年明けまして、おめでとうございます。

私は、日本で一番早く初日の出を拝むために、家族共々北海道にやってきました。

が・・、ここ数日、暴風雪が続いており、初日の出どころから、楽しみにしていたスキーもほとんどできず、ホテルの部屋で子守に励んでおります。

一部には、このブログは「もう更新されない」というまことしやかな噂もあったらしいのですが、しぶとく更新しております。

 個人的には、一度もやめようと思ったことはなく、私のブログ執筆時間である金土日曜の夜が、いろいろな事情(子供の世話とLOSTというドラマ)で埋まってしまい、更新できなかっただけです。

 振り返ってみれば、2009年はブログ更新が極端に少なく、皆様のご期待に応えることができませんでした。
Twitterも、なかなかコツがつかめず、全然呟いていませんし、2009年は、ネットからやや距離を置いた1年になってしまいました。

 しかも、このような不義理をしているにもかかわらず、昨年12月24日の日本経済新聞「ビジネス弁護士ランキング」では、並み居る大先輩弁護士を差し置き、昨年に引き続き
    第1位
という栄誉をいただきました。

 投票していただいた皆様や、紙面を見てお祝いをして頂いた皆様の暖かいお気持ちに感謝の念でいっぱいです。

 この日経弁護士ランキングは、ランキングの常として、賛否両論あることは存じています。

 私自身、弁護士の仕事は不定形で幅広く、その能力に点数はつけられないと思っていますから、「一番を取ったから、俺がチャンピョンだ」などと驕っているわけではりません。

 しかし、アンケート回答者の皆様の心に、一瞬でも私の名前が浮かび、「葉玉に1票」と思ってくださったかと思うと、泣きたいほど嬉しいのも事実です。

 弁護士は侍ですから、
  「仕事を引き受けた以上、他の弁護士に負けない仕事をする」
のは当たり前ですが、私の理想は
   「人の心に残る仕事をする」
ことであり、弁護士になって2年半、「心に残る仕事をするためにどうすればよいか」をずっと考え続けてきました。

 より速く、より深く、より親切に、より安く、より的確に仕事をするためには、どうすればよいか。
 誰にも解決できない問題をどう解決すればよいか。
 揺れ動く人の心をどう動かしたらよいか。

 答えは一つではなく、しかも、現在地に安住しようとすれば、すぐに時代に取り残されてしまいます。
 試行錯誤の連続で、悩むこともあれば、落ち込むこともあります。
 そして、プロである以上、限られた時間の中で、日々、決断し、仕事を進めていかなければなりません。

 そうした試行錯誤の中で、日経弁護士ランキングは、
    私の歩んできた道を評価していただいた方が沢山いること
を確認できる貴重な機会であり、私の心の支えとなっています。

 日本経済新聞から賞金がでるわけではありませんし、ランキングに載ったから沢山仕事が来るということもありません。

 しかし、ランキングの得票は、私の自信の支えであり、改善への原動力となります。

 重ね重ね、ご支援いただいた皆様へ感謝の意を表するとともに、今年も一層自分自身に磨きをかけ、皆様のお役に立てるよう全力を尽くすことをここに誓わせていただきます。

 また、このブログやTwitterにつきましても、なるべく改善の努力を続け、今年の年末には、皆様から
   2009年に比べると2010年は良かった。
   ワールドカップにおける日本チームの活躍程度には、葉玉もがんばった。
と評価いただけるようにがんばりたいと思います。

 もちろん、ワールドカップにおける日本チームの活躍がどの程度になるかは、今のところ、神のみぞ知るところでありますが。

 とにかく、今年も一年よろしくお願い申し上げます。

(質問コーナー)
Q1
吉本のゴーイングプライベートが、民法709条を根拠に差止請求がされましたが、会社法360条を使う場合との関係でのメリットデメリットを教えてください。
投稿: ほいほほい8 | 2009年10月29日 (木) 09時58分
A1
吉本の件は、差し支えでノーコメントです。

Q2
会社法の条文の文言の表現について質問なのですが、
「会社の本店」と記載されている部分と
「会社の住所」と記載されている部分がありますが
この違いに意味はあるのでしょうか?
投稿: やんま | 2009年11月 4日 (水) 16時30分
A2
基本的には、「本店」と書いてあるはずです。
住所は、個人・会社含めて一般的な意味で「住所」とされていることが多いと思います。

Q3
基準日制度について、立案を担当された葉玉先生にお聞きしたいのですが、
基準日制度を採用した場合、実質的には株主ではないが、株主名簿上は株主であるAがいたとします。
会社としては、Aが実際はBに株式を譲渡しており、Bが真の権利者であるという事実をを立証可能なほど把握していたところ、議決権行使に際し、Aが株主総会にやってきたため、Aの議決権行使を会社が拒んだとします。

基準日制度ができる前の判例では、株主名簿上の株主でないものを会社の危険において、株主として扱えるし、江頭先生は、判例への反対説に際して実質的な権利帰属に応じて柔軟な対応をすべきだとされていますが、

これは基準日制度をとっている会社にもあてはまるのでしょうか。

株主名簿上の株主に権利を与えるという基準日制度の性質上、実質株主を株主として取り扱うことは、株主名簿上の株主において、権利行使をさせなかったとして、常に株主総会の決議取消事由になりますでしょうか。

私としては、実質的に権利帰属していなかった以上、決議取消の訴えの利益がないかなと思ったのですが、教科書等には、原告適格は株主あ名簿上の株主で足りるともかいてあり、こんがらがっています。
投稿: まんや | 2009年11月 5日 (木) 14時15分
Q4
会社側から真の株主の権利行使を認めることは可能です。
理由は会社法100問に載っています。

Q5
特別利害関係人についてですが、A社の定款に株式の譲渡・取得に際して取締役会決議が必要であると規定されているために、B社の所有するA社株式のC社への譲渡に際してA社で取締役会決議を行なう場合は、B社の取締役を兼任しているA社取締役は特別利害関係人として議決に参加できないのでしょうか?ご教示下さい。
投稿: ponyo | 2009年11月 6日 (金) 10時29分
A5
取締役というだけなら特別利害関係人にはならないでしょう。

Q6
取締役選任権付株式が存するとき、取締役は種類株主総会の決議によってのみ選任することの論拠がよくわかりました。

お忙しいところ重ねてで恐縮ですが、先生のご回答を踏まえ、以下の2点についてご意見を伺いたく存じます。
1)A・B・C3種の株式を発行し、そのうちAのみを取締役選任権付株式とし、その内容として2名の取締役を選任することとしている会社において、3名の取締役を選任する場合について:
千問のQ392によれば、Aの種類株主総会において2名を選任し、残りの1名は、当該株式以外の種類の株式(B・C)の株主によって構成される種類株主総会によって選任されますが、これではB・Cについて法・定款の明文なくして108条2項9号ロの共同選任の定めを擬制することになります。
先生のご回答のとおり、取締役の選任は「定款の定めに従い」各種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議によって選任すべきであり、「定款に従」えば、「取締役はAの種類総会による2名しか選任できない=3名の選任はそもそも不可能」とすべきではないでしょうか。
(以下、この考え方を以下「N説」と呼びます。
N説は、「取締役選任権付種類株式は通常の株主総会の議決権のうち取締役選任に係るものを当該株式に委譲したもの」という構成が可能なのもよい点だと考えます)
2)取締役会設置会社(=取締役の法定員数は3人以上)が、無議決権株式Cと普通株式を発行しているところへ取締役選任権付種類株式A・Bを発行し
・A・Bはそれぞれ2名の取締役を選任する
・A・Bはいずれも通常の株主総会では議決権がない
・取締役の定数は4名以内
としている場合について:
千問のQ392によれば、Aの全部を会社が取得した途端に、無議決権株式Cについて、取締役選任権が発生します。
また、更にBの全部を会社が取得した途端に、A・Bでは法定員数の取締役を選任できないので112条によってA・Bの選任権は廃止されたものとみなされ、通常の株主総会で取締役を選任することになり、Cの上記権利は消滅します。
Cの権利内容がかように外的要因により変動するのは不自然ではないでしょうか。
なお、N説で「取締役選任権付種類株式は通常の株主総会の議決権のうち取締役選任に係るものを委譲したもの」と構成すれば、通常の株主総会の議決権が消滅したり復活したりするのは説明容易です。
しかし、N説は取締役選任権付種類株式の取得シチュエーションにおいては千問説より一層不自然で、Aの全部を会社が取得した場合、Bでは法定員数の取締役を選任できないので112条によってその選任権は廃止されたものとみなされ、通常の総会で取締役を選任することになります。すなわち、Bは通常の総会で議決権を持たないので、本来の権利である2名の取締役選任権までも失う(オフサイドトラップ?!)という問題があります。
上記の問題は定款の設計によって解決可能ですが、かなりテクニカルですね。
(千問説では、1)においてAを取締役選任権付株式と定めれば反射的にB・Cも取締役選任権付株式となるということですから、Bの取締役選任権を排除するには、Aを取締役選任権付株式と定める一方でCが残りのすべての取締役を選任すると規定するしかないということですね)
よい弁護士さん・司法書士さんを選びコストを払わないと大穴ができそうです。
法務局さんも大丈夫でしょうか??
いずれにしても、千問説とN説の両立はあり得ませんので、ぜひご見解を伺いたく存じます。
投稿: ラッシャー木村 | 2009年11月 6日 (金) 23時12分
A6
すいません。質問の趣旨が分かりません。
法務局については、法務局に直接問い合わせをする方がよいと思います。

Q7
葉玉先生は挫折を感じられた事はありますか? もし感じられる時は、どうやって乗り越えられてこられたのでしょうか?お聞きしたいです。 それから、やはり高学歴(東大卒)で良かった…と思われる時はどんな時ですか?
投稿: コスモス | 2009年11月 7日 (土) 12時13分
A7
「挫折」の定義次第ですが、失敗は多いです。
やりたかったことを諦めたことも多いです。
でも、沢山のことを諦めたからこそ、人は高いところに上っていけるのです。
子供のころは、沢山の選択肢がありますが、その代わり、何もできません。
挫折を繰り返し、自分のパワーを注ぎ込めるところを見つけることが成功の秘訣だと思います。

なお、高学歴で良かったと思うことは、あまりありません。親が喜んでくれたのは、良かったと思いましたが。
高学歴をめざすプロセスで、様々な方法論が身につくことが最大の財産なのではないでしょうか。

Q8
設立の無効確認とかの828条は「訴えをもってのみ」と書かれておりますけども以降829条、830条、831条と、いずれも「訴えをもって」としか書かれておりません。株主総会の決議取消とかは訴え以外でもできるということでしょうか。
投稿: | 2009年11月 8日 (日) 03時47分
A8
決議取消は、訴えでなければできません。
決議無効・不存在は、訴えがなくても、主張できます。

Q9
株式の配当ですが、特に定款の定めのないなかで、株主総会の決議で株式の配当を抽選で行い(持株数に応じてくじをひく回数をきめるような状態)、当選した株主だけに配当するのは株主平等原則、その他法令に反し取消事由となるのでしょうか。

投稿: 現役マジシャン | 2009年11月 8日 (日) 22時35分
A9
配当を抽選でやるのは、違法とされる可能性が高いでしょう。
方法を工夫すれば、似たようなことをやれないわけではありませんが。

Q10
特例有限会社の役員変更について教えてください。
取締役2名、代表取締役1名の特例有限会社において、現在の代表取締役が代表取締役の地位のみを辞任し、もう一人の取締役を代表取締役にしたいと考えています。
現在の定款は、会社法改正に対応しておらず、「取締役会の決議をもって社長一名を選任する。社長は会社を代表し~」となっております。このような規定がある場合、代表取締役の地位のみの辞任および新代表取締役の選任はどのような方法によればよいのでしょうか。
これを機に会社法対応の定款に改め、それにしたがって新代表取締役を選任するのがよいのではとも考えます。その場合、代表取締役の選任方法は「株主総会で選任する」とするつもりです。
もしこのように改めた場合には、現代表取締役の代表取締役の地位のみの辞任にあたり、辞任を承認する株主総会の決議が必要となるのでしょうか。取締役会で選任するとの旧規定に従って選任された代表取締役の辞任であっても、定款変更後は辞任の意思表示のみで辞任することはできないと考えますがいかがでしょうか。
投稿: 新人 | 2009年11月13日 (金) 09時15分
A10
 質問が沢山絡み合っていて、何をやりたいのかよく分かりません。
 代表取締役が代表者を辞任して、取締役の協議で代表者を選定すればよいのではないでしょうか。
 詳しくは、商事法務の私の論文を見てください。

Q11
随分時間がたってしまい、恐縮なのですが、
2007年2月16日の記事についてお伺いしたいことがあります。
http://app.m-cocolog.jp/t/typecast/221025/188743/16858064?page=2

以下、引用です。

「Q3 以下のケースで、どの時点の株主名簿記載の株主をもって、権利を行使させるべき株主と扱うべきかを記載してみました。
②剰余金の配当請求権者
→剰余金の配当決議を承認した株主総会開催日

A3 
②剰余金の配当の効力発生日の株主です。」

上記先生のご回答の根拠について、自分なりに調べたのですが、
文献等がなく、大変困っております。
もしよろしければ、思考過程を教えていただけないでしょうか?
投稿: 初学者 | 2009年11月13日 (金) 23時42分
A11
 基準日を定めなければ、常に「現在の株主」が権利者となります。
そして、具体的な配当請求権が生ずるのは、効力発生日なので、効力発生日の株主に剰余金が配当されます。

Q12
A株式会社(資本金額10億円の公開会社・監査役会設置会社)は、2007年度決算において、実際には剰余金の額が5000万円しかなかったにもかかわらず、架空の売り上げを計上する等の違法な会計処理によって、5億2000万円の剰余金があるとして、株主に対して1株あたり600円、総計3億円の剰余金配当を実施するとともに、剰余金のうち2億円を資本金に組み入れて、株主に対して1株につき0.2株分の株式の無償割当を行った。
この場合の法律関係を先生はどのようにお考えになりますか。
投稿: つっぴー | 2009年11月15日 (日) 22時35分
A12
すいませんが、その5億2000万円の計算書類が確定したかどうかが、問題文からは読み取れません。
 確定していなければ、配当は違法配当になり、資本金の増加は、無効事由が生じる(ただし、資本金の増加無効の訴えが必要)、株式無償割当は有効ということでしょう。

Q13
会社法326条1項は、「1人又は2人以上の取締役を置かなければならない。」となっていますが、「1人以上の取締役を置かなければならない。」としておけば、日本語として2人以上も含んだ規定になるのではないでしょうか!?

そうすると、326条1項の「2人」という文言は必要ないということにはならないでしょうか!?わざわざ「2人」という文言が入っているのはなぜでしょうか!?
投稿: 学部弐年生 | 2009年11月19日 (木) 11時04分
A13
法律の用例に従ったに過ぎません。

Q14

こんにちは、司法試験の受験生31歳です。
今後のこと悩んでます。現在試験に合格できてないので、本当に試験に合格できるか、そしてほんとうに法律家の仕事をしたいのかどうかということです。

仕事を辞めて3年挑戦したのに受からないので、諦めようかなとも思っています。
でも、このまま諦めてるのはもったいないとも考えてもいます。
また、自分の生活の糧を得るために働かねばならないわけですし。
実際、法律家が向いてるのかなんて自分にはわからないのですが
何か良いアドバイスがあればお願いします。
投稿: 悩み中の受験生 | 2009年11月24日 (火) 00時35分
A14
法律家になりたければ、がんばる。
なりたくなければ、やめる。
それ以上でも、それ以下でもありません。
法律家に向いているのか向いていないのかなんて、あなたにも、私にも、他のだれにも分かりません。
私だって、自分が法律家に向いているかどうかなんて、考えたこともありません。
法律家になりたかった。だから、試験を受けた。それだけです。
「なりたい」という気持ちが薄いのならば、やめればよいでしょう。
それとも、誰かが、あなたに「法律家になってほしい」と期待しているのでしょうか?
もし、そうならば、その人のために、法律家になりたいのかどうかを考えればよいだけです。

Q15
優先株の普通株転換は良く聞くのですが、普通株の優先株転換(ex.自己株式を優先株に転換して割り当てる)というスキームは法律上可能なのでしょうか?商売上、可能な範囲で教えてください。
①資本金を増やしたくないので自己株式の割り当てで対応したい、②議決権をとられたくないため、優先株での割り当てしたい、③現在保有している自己株式はすべて普通株、の3点が要望と前提です。
投稿: | 2009年11月25日 (水) 18時18分
A15
可能です。

Q16
取締役選任権付株式の件。
平成14年商法改正に関する参考書を見ると、
・取締役選任権付株式を発行すると、通常の株主総会で取締役を選任することはない
・取締役選任権付株式を発行する場合は、取締役選任権を持つすべての株式についてその内容を規定する必要がある
というような記述がありました。
やはり、千問の説明に無理があり、取締役選任権付株式の株主の種類株主総会で2名の取締役を選任できるとだけ決めた場合は3名以上の取締役選任は無理、というのが妥当な結論と考えます。
投稿: ラッシャー木村 | 2009年11月29日 (日) 18時55分
A16
14年改正と会社法は規定ぶりが違います。

Q17
11月25日のセミナーに参加させていただきましたが、あまりの構想の薄っぺらさに唖然としました。

どの項目についても、「経済界からは○○という反対意見もあったが、我々としてはこのように整理しました」と根拠なしに結論のみを述べるだけ。なぜこれまでの制度の修正ではダメなのか、なぜ新たな仕組みが必要なのか、なぜ新たな制度で現下の課題に対処できると言えるのか、まったく説明がありません。

また、マスコミ的に大変注目を浴びた従業員代表監査役についても、講師曰く「定年間近の従業員から選ぶことになるのではないか」。会場からも「そんな人が経営陣に意見できるはずない」と呆れた質問が出る始末。それに対する回答が「従業員と言っているだけだから、局長や部長から選べばよい」。え?何ですかそれ?

全体的には、結局は、いかに海外投資家の歓心を得るか、支持基盤たる労働組合の要望を(表面的に)叶えるか、にだけ着目した机上の空論としか思えません。

検討内容の実態を知るという意味では貴重な機会であり、このような企画自体には感謝しておりますが、TMIのような立派な法律事務所の創立20周年を記念するには極めて不適切だったように思われます。
投稿: y | 2009年11月29日 (日) 23時49分
A17
TMIは、公開会社法案に賛成しているから、この講演会を開いたのではありません。
皆さんが情報を早く知ること、そして、それに対する意見を立案プロセスにそそぎこむことが重要であるという考え方から、講演会を開催させていただきました。
私は、大久保先生は、聞く耳をもった政治家であると思いますし、講演会の質問にも誠実に回答されていました。
ですから、ぜひ、公開会社法案の問題点を民主党にぶつけてください。
私が手伝えることがあれば、お手伝いしていきたいと思います。

Q18
都道府県の条例とその都道府県下の市町村の条例で違いがあったらどっちが勝ちますか
投稿: 内藤 | 2009年12月10日 (木) 00時14分
A18
都道府県の事務と、市町村の事務は異なりますので、単純に「どっちが勝つ」ということはありません。
市町村の条例が勝つことは十分ありえます。

Q19
監査役の退職慰労金について質問させてください。
100問の76問における総会決議は具体的な金額等を取締役会に委ねているので387条1項に違反する、とあります(442頁)。
それでは、施行規則84条2項に基づいて、一定の基準に従い一任することが許される場合とはどのような場合なのでしょうか。
具体的な金額等を取締役会に委ねなければ許されると思われますが、それは具体的にどういった一任の仕方なのでしょうか。
投稿: hicka-chin | 2009年12月10日 (木) 00時39分
A19
監査役の独立性を害さない一任の方法を具体的に考えるのは、大変、難しいです。

Q20
刑事訴訟法の判例百選を読めば読むほど、伝聞例外の絶対的特信情況の特信性(特に信用すべき情況でされたもの)のあてはめの相場観(違法適法の判断)が分かりません。
答案を書く際、受験上、これを参考にすれば良いというものはございますでしょうか。
参考となる良い基準(相場観)がありましたら御教授頂けますでしょうか。
投稿: 最後の旧司受験生 | 2009年12月12日 (土) 12時08分
A20
相場観というのは、特にないですね。
調書の作成時期や作成状況等を具体的に検討するというだけです。

Q21
12月13日の日経朝刊1面の記事「株主配慮の増資促す」の最後あたりに「会社法は株主の保有株と同じ数の新株予約権を割り当てることを義務づけている」とあります。またその直前に「新株予約権を使った株主割当増資は今もルール上は実施できるが、2006年施行の新会社法の影響で資本を倍に増やす増資しかできなくなった」とあります。しかし教科書や関連条文(241条)あるいはブルドックソース事件のことを考えても、東証規則はともかくとして、会社法でそのようになったという根拠がわかりません。たいへん恐縮ですが、この記事の成否と根拠をお教えいただけませんか(日経には訂正が出ていないことを電話確認済みです)。よろしくお願いいたします。
投稿: | 2009年12月14日 (月) 09時27分
A21
 会社法は、株主割当てについて、株主に割当を受ける権利を与える方法と、新株予約権の無償割当てを行う方法を用意しています。後者は、株主が新株予約権を譲渡できるという点にメリットがありますが、端数処理規定がないという点をどう考えるかが問題となりました。
 私は、「1株につき1.2とか、0.2の新株予約権を割り当てることもできる」と思うのですが、当局は、1株につき「1.2」はいいけど、「0.2」は駄目ではないかという見解を取ったのです。
 それで、実務的には、1株につき0.2新株予約権を割り当てるということができず、1株につき1新株予約権を与えるが、その新株予約権を行使しても0.2株しかもらえないという方法を採ることになり、その調整が必要であったということです。

Q22
しつこく取締役選任権付株式です。
あらためて旧商法を見直すと、第222条第7項で
「全部の種類の株式に付・・・定むることを要す」
「その種類の株主が取締役・・・を選任することの”可否”」
となっており、取締役を選任できない種類の株式を含め全種類につき選任権の内容を規定すべきことや、通常の株主総会で選任しないことが明確になっていたのですね。
この点、会社法の規定は不十分だと思います。
千問のQAはその穴を解釈でカバーしようとしたのでしょうけれど、商法からの継続性を考えても前記コメントのN説を採るべきだったと考えます。
(会社法第112条は旧商法第257条の5と同内容とわかりました。ある種の取締役選任権付株式が取得されると別の種類の取締役選任権付株式がその選任権を失う可能性は旧商法時から潜在したのですね)
投稿: ラッシャー木村 | 2009年12月21日 (月) 22時16分
A22
会社法の規定を不十分と見るか、フェイルセーフを置いたと見るかの違いだと思います。

Q23
少し古いですが、11月13日開催のTMI「企業不祥事と報道対応」に出席させて頂きました。先生のパワフルな93分間の熱烈なセミナーに感動、抱腹しました。御多忙でしょうが、このような機会を増やすことにより、クライアントは増え続けることと思います。
投稿: K2 | 2009年12月25日 (金) 16時56分
A23
ありがとうございます。
このセミナーは、リアルな対応方法が多いため、ご好評を頂いていますが、例が具体的過ぎて、不祥事の例としてあげた会社さんに失礼な言動をしているのではないかと心配になることも多いのが玉に瑕です。

Q24
来年からローの既習者コースに入学する者です。
新司法試験の選択科目の選び方について質問させてください。
私は、企業再生を専門にする弁護士を目指しています。
なので、倒産法を選択するとおそらくその関係の事務所の就職では
有利かと思います。
ただ、労働法が一番人数も多く実力が反映されやすいと思われる事、
あまり労働法が大好きな人もいなさそうな事、という2点の理由から
新司法試験に受かりやすいのは労働法だと考えています。
この場合どちらを選択するのがいいでしょうか?
労働法を選択しても、就職活動の時に
「試験的な受かりやすさから労働法を選択しました。倒産法は修習中に
勉強します。」
と言えば、企業再生専門の法律事務所の就職において不利になる事は
ないでしょうか?
あるいは労働法の方が試験に受かりやすい、という前提から間違っている
のでしょうか?
ご教示して頂けると幸いです。
投稿: F | 2009年12月25日 (金) 18時26分
A24
倒産法を仕事でやりたいのならば、倒産法を勉強すべきです。
実務にでて体系的な知識を身につけようとすると大変です。
就職には、別に何をとっても関係ないと思いますが。

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2009年10月29日 (木)

公開会社法講演会など

ご無沙汰しております。
「あっ」と気づくと前回更新から2ヶ月たっておりました。
仕事も色々やっていて、それなりに忙しいのですが、このブログを書く時間と決めている週末が、子供のための時間で埋められてしまうと、本当に更新中断期間がすぐに延びてしまいます。子供が4人いると、運動会に3回でなければならなかったり、成績が下がると即席家庭教師に早変わりしたり、本当に忙しいです。まあ、子供のための時間は、きつい時間ではありますが、楽しい時間でもあるので、削ろうという気持ちにはなれませんが。

さて、本日は、お知らせと近況報告をいくつか。

1 公開会社法講演会

まずは、公開会社法講演会のご案内です。
題して
 民主党公開会社法プロジェクトチーム事務局長が語る
      「公開会社法」

ご承知のとおり、、民主党政策集に盛り込まれている「公開会社法の制定」が注目を集めています。
IFRSへの対応で戦々恐々としている上場企業にとって、公開会社法がどういうものになるのか、内容が明らかになっていないだけに不安いっぱいというところであり、私も、上場企業のクライアントの皆様とミーティングのたびに、
「葉玉先生、公開会社法どうなっているか、知っていますか?」
という話題がでます。

民主党は、公開会社法プロジェクトチーム(PT)を結成し、2-3年以内には公開会社法を制定する方向で検討を進めていますが、実は、その検討結果は、いまだ公表されていません。

巷では、日本取締役協会が公表した
  「公開会社法要綱案」
の解説を行うセミナーが開催されているものの、
民主党の「公開会社法」と「公開会社法要綱案」は、似て非なるもの
です。
 私も、様々な筋から民主党の公開会社法案の情報を集めて,内容をそれなりに掴んでいますが、もし、公開会社法が成立すれば、上場企業の実務はかなり大きな変更をよぎなくされると思います。

そこで、私は、「上場会社の皆様の不安を少しでも和らげることができたらいいな」という思いから、
    私が、不正確な情報を皆さんにお伝えするより、
  民主党公開会社法PTの事務局長である参議院議員の大久保勉先生に直接公開会社法を語っていただくことが一番よいのではないか
と思い、大久保先生と親しくされているTMIの坂井豊弁護士と一緒に、このセミナーを企画し、大久保先生の快諾を得て、このたび、実現の運びとなったわけです。

詳細やお申し込みは、TMIのホームページを見ていただきたいのですが
http://www.tmi.gr.jp/information/topic/20091027.00002002.html?PHPSESSID=d79ff623baea845d4083dc8f33f47814

開催日時やプログラムの内容は次のとおりです。

【開催日時】
平成21年11月25日(水)午後4時30分 開場
【場所】 
アカデミーヒルズ タワーホール
東京都港区六本木6丁目10-1 六本木ヒルズ 森タワー49階
【プログラム】
1. ご挨拶にかえて(午後5時~午後5時10分)
  ~ 公開会社を取り巻くコーポレートガバナンスの現況 ~
  TMI総合法律事務所 弁護士 葉玉 匡美
2. 講演(午後5時10分~午後6時30分)
  「公開会社法がめざすもの」
  民主党公開会社法プロジェクトチーム事務局長
  参議院議員 大久保 勉 先生
3. 質疑応答(午後6時30分~午後7時)
4. 懇談会(午後7時~午後9時)
【お申込期間】
10月27日(火)午後2時~11月5日(木)午後6時

当日は、大久保勉先生からPTにおける検討状況について語っていただくだけでなく、質疑応答により、参加者の皆様の不安や疑問を一掃していただく時間を設ける予定です。
また、講演会後には、大久保勉先生や当事務所の公開会社法研究チームの弁護士との懇談会を開催し、
より詳細な情報交換をしていただくこととしております。

公開会社法セミナー数あれど、大久保先生が直接語り、しかも、参加者が大久保先生と直接対話できるセミナーは、TMI総合法律事務所のこのセミナー以外にはありません。

しかも、無料。

しかも、六本木ヒルズの49階というすてきな空間で、美しい夜景を見ながら熱く公開会社法を語り合う懇談会あり(もちろん、これも無料)。

TMI総合法律事務所が創立20周年を記念して送る今年最大の企画です。

テーマの性質上、参加者は、上場企業又はその子会社の役職員の方に限定させていただきますし、応募多数の場合は抽選とさせていただきますが、
 「この講演会に参加せずして公開会社法を語ることなかれ」
と言われるような充実した講演会にしたいと考えておりますので、ふるってのご参加をお待ちしております。

2 日経ネットプラス「法務アリーナ」

 日経ネットプラスにおいて、最近、「法務アリーナ」というコーナーができました。
 岩倉先生や三宅記者という有名人が、すでに法律に関するホットなテーマについて記事を書かれていますが、私も、
「鳩山政権は納税者の権利守れ」
http://netplus.nikkei.co.jp/forum/law/t_560/e_2258.php
という税務訴訟等に関連する記事を書きました。

登録が必要なので、若干、面倒ではありますが、無料ですし、記事の内容も非常に充実しています。
コメント欄もあって、記事の内容について自由にコメントがつけられるというところが、ネットらしいおもしろさ。

私は日経新聞の回し者ではありませんが、登録されても損はないと思います。

3 「略式株式交換と株式買取請求権」
 以前、このブログでも取り上げました略式株式交換と株式買取請求権について論文を書きました。
 旬刊商事法務10月5日15日合併号
 「略式株式交換と株式買取請求権」

この分野については、弥永先生や郡谷先生の優れた論文があるものの、私もその論戦に参加したいと思い、裁判の経験を踏まえて執筆させていただきました。

 なお、この論文では、私は、弥永先生と違う見解を採っており、昔、違法配当の論文でも弥永説を批判していたので、私と弥永先生は仲が悪いのではないかという噂もありますが(笑)、そんなことはありません。
もちろん、私が一方的に弥永先生とは懇意にさせていただいていると思い込んでいるだけの可能性は否定しません。

弥永先生は、実務の動向に敏感で、誰よりも早く実務の関心の高いテーマの論文を書かれる素晴らしい先生であり、それ故に、私が関心領域について論文を書こうとすると,自ずと弥永先生の論文を引用し、弥永先生のご意見についての見解を示さざるをえないということであります。

M&Aの実務において、株式買取請求権の問題が大きくクローズアップされているので、興味ある方はぜひご一読ください。

<質問コーナー>
Q1
ポルシェが行ったワーゲンに対するTRSを利用したスキームについてどのように思われますか?
投稿: busynary | 2009年8月24日 (月) 23時50分
A1
ちょっと語れない事情がありますので、ご勘弁を。

Q2
過去記事に、未修に進学した人の3年間の勉強進度の目安がありますが、既修の場合は異なるのでしょうか?
投稿: 瑠璃 | 2009年8月25日 (火) 01時53分
A2
3年と2年では違いがありますが、基本的には、卒業後の司法試験の時に、どのような力が必要かを考えて、その時点から遡る形で計画を立てればよいと思います。

Q3
一般民事の事務所に就職しようと思っているのですが、司法改革の大混乱の中にあるため、まともな就職口はほとんどない状況で、仮に就職できたとしても、その後の顧客開拓はかなり厳しい状況のようです。

以前先生は、スーパーマーケットのような法律事務所(誰でもできるたぐいの案件を安くこなす事務所)が今後できるだろうとブログで述べられておりましたが、私もそのように思っています。

今のところ、それに近い事務所は、債務整理を大量の事務職員を私用して大量に処理している事務所であるように思われますので、そういう事務所に就職して、法律業務のシステム化を学ぶと共に、債務整理以外の他分野についても業務を広げていけたらいいなと思っております。

ただ一方において、そういう債務整理系の事務所は、非弁まがいの事務所として、法曹仲間からはきわめて評判が悪いです。

葉玉先生は、そういう債務整理系の事務所に就職することについて、どのようにお考えでしょうか?
投稿: bengoshi | 2009年8月25日 (火) 02時23分
A3
 債務整理は、通常の法律事務所でも収入源になっていますので、何をもって債務整理系の事務所というか難しいのですが、評判の悪い事務所には就職しない方が安全だと思います。

Q4
>私は、自分で言うのもなんですが、人並み以上に悲惨なトラブルに巻き込まれてきましたが、
>それを乗り越えられたのは、守るべき人がいたからだと思います。
とのことですが、このことについてお伺いしたいことがあります。長文ですし、何を書いているのか全く分からなければ申し訳ありません。
私も、家のことで非常に悲惨なトラブルにあっております。そして、その問題は、法律的要素が相当大きくからむ問題です。(建物や土地として、純粋に家の問題ということではなく、血縁や親戚の問題の方が大きく占めております。)それがさらに具体的に何かは、法律相談も数名の弁護士に受けておりますのでここでは書きません。

しかし色々と、法律相談に不満があります。弁護士の前では言えませんが、数名の弁護士に相談しましたが、みな、アドホックなその場限りの採算性のみを見て、長期的視野が欠落している解決(仮にA案とする)を出してきます。しかし、このA案は、私には、ローカルオプティマイズ、部分最適のように思います。(無論、私の方に、法律的知識が全くなく、依頼の仕方がまずかった部分もあります。)私のやって欲しい解決(仮にB案やC案とする)を言うと、「B案やC案をやれと言うなら法律的にできないことはないが弁護士の費用の費用倒れだ。この案件はA案でやるしかない。」「A案でやらないなら辞任する」の類の意見です。やってくれというならやると言った弁護士もいましたが、A案しかないと言っているような方で、どうもやりたくなさそうでしたから、そんな方に頼むとどんなやり方をされるか分からないので、その人にはお願いしませんでした。しかし、A案は、私の人生という長期的視野に立った場合、全くのローカルオプティマイズ、部分最適のように思え、むしろ弊害の部分もあるように思え、人生トータルで見たら、B案、C案に私には思えるのです。

 こうしたことを、何度か繰り返すうちに、私は思いつきました。私が弁護士であれば、もっと自分にあった方法を思いつくのではないか、と。
 直感としては、弁護士の数人に相談した感じからとしては、私が弁護士あったならば、短期的な視野に基づく解決ではなく、長期的視野にたった解決を取れそうな気がします。
  しかしながら、そもそも、私は、弁護士を職業にすることなんて全く考えていませんし、ご存知の通り、弁護士の資格を得るためには、膨大な手間がかかりますので、普通の家は、普通にうまくいっているのに、なんで、うちの家の場合だけが、あんなやつのために、私だけがそこまで尋常ならざる労力を割かなければならないのか、という思いもあります。

(無論、弁護士の資格を取れば、そのプライベートの問題の解決の手助け以外にも、ちょっとは色々良いことがあるかもしれませんが、それを差し引いても、手間がかかりすぎます。)

 長くなってしまいましたが、先生にお伺いしたいのは、「弁護士であった」からプライベート上でも、色々、問題が防げた、と感じられたことはありましたでしょうか。
投稿: 質問 | 2009年8月25日 (火) 19時15分
A4
私は弁護士生活3年目なので、「弁護士」というより「法律家」としてお答えしますと、法律家であったことが、プライベート上で起こった極めて大きな困難をいくつも乗り越えることができたと感じられたと思います。
ただ、あなたが、自分の問題を解決するために弁護士になるのは本末転倒であり、そのコストがあれば、弁護士に沢山のお金を払ってあなたの思う理想的な解決を図ればよいと思います。
 実際、弁護士費用を考えると金銭的には割にあわないが、どうしても解決しなければならない問題(たとえば、名誉毀損など)も沢山あります。

Q5
会社法354と908①の関係の論点です。
僕は354は908①の例外規定とする説を採ってます。
この問題が生じる典型例は、
代取を退任したAがいて退任登記は完了している。
しかしAに社長の名称がついていて、Aが取引した場合ですよね。
この場合にAが退任していて代取でないことについて、悪意擬制されるので
(911③14号、908①)、この論点が問題になるのはわかります。
事案
Bが代取で登記(911③14号)されている。
この場合に社長の名称を付されたAが取引をした。
(Aは代取ではなく、代取の登記もされていない。)
筋①
この場合、Aについては登記がされていない以上
第三者に悪意擬制(同条項号、908①)がされるのは
「Bが代取」
ということだけで、
「Aが代取ではない」
という悪意擬制はされない。
そうすると本件の論点は問題にならない。

筋②
Bが代取の登記をされていることをもって、
「Aが代取ではない」と登記がなされているのと同じと考える。
そうするとAが代取でないことについて悪意擬制がなされるので
本件論点が問題となる。

僕は筋①が正しいのかなと考えているのですが、
筋②を前提にした参考答案を見た事があるので
よくわからなくなっています。
投稿: 大学生F | 2009年8月28日 (金) 00時23分
A6
一般には、筋②と考えているように思います。

Q7
試験に受かるまでは、彼女をつくらないほうがいいですか?
投稿: ロー生 | 2009年8月28日 (金) 08時33分
A7
溺れなければ、つくってもいいと思います。

Q8
私は行政書士をやっていて、先生のブログで勉強させてもらっています。
ところで、法律に関する質問じゃないのですが、お聞きしたいことがあります。それはご長男をどのように教育をされていたかということです。
私にも8歳、5歳の子供がいるのですが、先生のご長男のように難関に向かっていく子供になってもらいたいと思い、いろいろ自分なりに教育しているつもりなのですが、彼らは未だに甘ったれです。上の子は今(8/28)泣きながらたまった夏休みの宿題をやっているありさまで、親として実に情けなく思っております。
先生はご長男をどのようにして、そんな頑張る子に育て上げたのか、教えていただけないでしょうか?
投稿: 一行書 | 2009年8月28日 (金) 19時49分
A8
うちの子も甘ったれなので、ご質問を見て戸惑っている次第です。
私には、まだ子育てについて語るほどの実績も自信もございません。
子供を、励ましたり、甘やかしたり、脅したり、怒ったり、日々、戸惑いの中で子育てしています。

Q9
自分は様々な論点の論証を作成して暗記し、本番ではそれを使うという風に勉強していたんですが、合格者の答案を検討すると新司法試験だと規範、論証をがっちり書くという風な答案は求めていないように思えます。(実際に期末試験でそうでした。)
今後もこのような勉強方法を続けていくべきでしょうか。
それとも判例の理解などを中心にして、旧司ではやった論証暗記は捨てるべきでしょうか。
今後の方針に悩んでいます。アドバイスお願いします。
投稿: | 2009年8月28日 (金) 23時29分
A9
論証の「暗記」という発想が私にはありません。
キーワードは暗記すべきでしょう。
判例の結論も暗記すべきでしょう。
しかし、新司法試験でも論証が不要になったわけではありません。
論証を訓練することにより、リーガルマインドが身につくので、論証の勉強は必要不可欠でしょう。

Q10
 会社法とは関係が無いですが最高裁裁判官の国民審査について、弁護士さんが意見広告に名前を連ねておられましたので此処に書き込みさせたいただきまして御意見御批評をいただければ幸いです。
  そこで意見として出されていた一票の価値ですが、
 学説では、1:2程度は是認し得る範囲とする意見が有力説ですが、広告主さんたちはこれを支持しなかった(と云うか1人1票を認めなかった)裁判官たちに罷免の投票行動を呼びかけていましたが
 これって良いの?と疑問を感じました。
1. 裁判官の良心の独立を脅かす事ではないのか
  (裁判官も思想信条は自由でしょう。広告打つのも自由ですが、結論が気に食わないからと云って、ああ云った広告は不適切かと思います)
2. 国民の生活に根ざした意見か?
    と云いますのも、サミーさんも既に御存じとおり、健康保険は 政府管掌
   健康保険から協会管掌健康保険に制度替えしています。
   この場合(来年以降ですが)各都道府県ごとに一般保険料が定められ、
   最大3.3倍の差が、保険料額に生じ得る事となります。
   同じ、療養の給付・高額療養費etc.の給付を受けるのにです。
    協会の都道府県ごとにおかれた各支部は、財政の均衡を保つために毎
   事業年度ごとに見直しを行う事とされていて、私どもの奈良をはじめとする       高齢化が進みつつある地域と、東京・南関東周辺の様に若年労働者が
   集まり、他地域と比較してサミーさんの様に高額所得者がたくさんいる地域
   とではその保険料に、今後差が生じて来るのは明らかです。
    もし仮に広告主の主張通り、単純平等の定数を割り当てれば東京・南関
   東地域選出の議員比率が高くなり、如上の健康保険上の不平等は完全に
   固定化され、益々、地方は疲弊する事と為るように思えてなりません。
    TMI所属の高名な弁護士さんも広告主に居られましたが、弁護士として運動を
   するのなら、自らの利便だけに捉われず、国民全体の平等を少しは頭にお
   いて頂きたいと思います。
    (高給取りだから、医療費に限らず湯水の如くお金を使える立場にある方
   にはチョット分かりにくいかも知れませんね)
投稿: 行書 | 2009年9月 1日 (火) 10時53分
A10
 私は、個人的には、1:3くらいは格差があってもよいという見解を採っており、意見広告の立場には反対ですが、意見広告そのものについては、別段、何の問題もないと思います。
 表現の自由ですから、いろいろな意見が国民の目に触れ、国民が自分で考える機会となることが一番重要です。

Q11
株式会社で譲渡制限のある会社で、平成18年2月期決算にあたり、
・平成16年4月に就任した任期2年内の最終決算期の定時株主総会終結のときまでが任期の取締役
・平成16年4月に就任した任期4年~の監査役
の役員について、定款では3ヶ月以内に定時株主総会をすることになっているので、会社法の施行を待って平成18年5月1日に臨時株主総会を開き、定款でそれぞれの任期を10年とする定めをした後、(同日中に)定時株主総会を開催しました。
自分の中では、こうしたことにより平成16年4月の就任時点から10年の任期に伸長されたものと考えていますがどうなのでしょうか?
最近登記簿を見直して急に不安になったので…。
投稿: kさん | 2009年9月 2日 (水) 11時55分
A11
よいです。委任契約が延長されることを監査役が承諾しているかは一応問題となります。

Q12
利息制限法の関係なのですが,
金融機関が1000万円の融資手数料として実行日に5万円徴求した場合,
利息制限法の範囲内である4109円を超える4万5891円は元本に充当される
と思うのですが,どうなのでしょう?
5万円×365/1÷1000万円×100=182.5%の利息の問題もあると
思うのですが・・・
投稿: jm | 2009年9月 2日 (水) 16時24分
A12
元本からの天引きですので、995万円を元本として以後の制限利息を計算します。
その時点での5万円は、利息の徴求とは考えません。

Q13
現在、欠損状態の会社なのですが、配当は当然、財源規制にかかり無理ですが、そのような会社が資本減少をして、その全額をその他資本剰余金とすることは可能でしょうか?
投稿: 会社法実務家 | 2009年9月 2日 (水) 17時54分
A13
できます。

Q14
法文学部4回生の会社法ゼミ所属の者です。会社法にちなんだ卒業論文のテーマとしておすすめなものはありますか?また、参考にするような文献があれば教えてください。
投稿: てんこ | 2009年9月 4日 (金) 19時05分
A14
自分の好きなことをやるのが一番です。

Q15
政権交代の興奮の中、「公開会社法」「従業員代表の監査役選任義務付け」という話が地味に現実化していますが、先生の意見を聞かせてください。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-11313220090902
個人的には、「従業員の利益を守りましょう」という目的から、「従業員代表を監査役に入れる」という手段になっている点に、論理の飛躍がある気がします。
「従業員の利益は、本来、労働法で規制すべき分野であり、なぜ会社法という分野で規律する必要があるのか」という法律のすみわけの問題もありますし、「多数組合の意を受けた監査役が、非正規労働者の利益を害し、正規労働者の利益を守る判断をする場合には、どうするのか」という疑問、「日本の会社法では、会社の経営をするのは、取締役なのであるから、監査役に選出してどんな意味があるのか?」という原理的な疑問、「代表訴訟の対象になる監査役になりたがる従業員代表がどれだけいるのか」などなど。
「事務所のセミナーで答えるぜ」という場合は、セミナーの予定を教えてください。
投稿: ぐうたらP | 2009年9月 6日 (日) 17時35分
A15
セミナーで大久保先生に答えてもらいましょう。

Q16
会社法332条により、1年内に決算期が2回来る会社であれば、通常4回目
(最終)の決算期に関する定時株主総会までが任期となる、との理解で良い
でしょうか。
 先日、332条の「2年」は「事業年度2期」と言う意味なので、1年に2回決算期
が来る会社は任期は約1年になる、との回答を他で聞いたもので混乱しております。
A16
4回目です。

Q17
1月末が決算期の会社の決算期を平成18年7月に「2月末」に変更した場合、従前からの役員(平成18年3月就任)の任期は、本来、平成20年1月末の決算期に関する定時株主総会の終結までのところ、平成20年2月末の決算期に関する定時株主総会の終結まで、と少し伸びてしまう、との理解で良いのでしょうか。
投稿: 補助人 | 2009年9月 8日 (火) 18時20分
A17
会社法的にはできますが、税法上、ある事業年度を1年1か月にするのは難しいのではないでしょうか。

Q18
私の会社と権利能力なき社団とで締結した契約書がありまして、これは有効なものと言えるのでしょうか。債務は権利能力なき社団の構成員に総有的に帰属するから、実害はないのかもしれませんが。この団体とはさらに別の契約を締結する話もあり、どうしたらよいものやら悩んでます。
投稿: 荒木 | 2009年9月 8日 (火) 23時21分
A18
権利能力なき社団としての実体があれば、有効です。

Q19
昨日新司法試験の合格発表があったようですが、
合格者数は前年から減員となったようです。
当局によれば、
「合否の判定基準は変わっていない。能力のある人が2043人にとどまった」と述べているようですが、
これについて先生はどうお考えになりますか?
受験生のレベルがあちら側の要求水準に達していれば、
当初の予定通り2500人~受からせていたと思いますか?
投稿: ファン | 2009年9月11日 (金) 10時46分
A19
まあ、大人の事情でそうなったのでしょう。

Q20
会社法の条文・規則を通読していると、グッタリと疲れ切ってしまうのですが、葉玉先生は、すべての条項をすべて覚えていらっしゃるのでしょうか?
投稿: 都市丸 | 2009年9月12日 (土) 22時09分
A20
会社法の条文を暗記するほど暇ではありません。

Q21
私は、今年の新司法試験択一で落ちた者です(一回目です)。
択一試験に落ちていることがわかってからは、必死になって勉強してきました。
私は現在40歳であり、合格しても就職状況が厳しいと思われることから、来年はどうしてもどうしても上位合格したいのです。
上位合格するには何が一番必要ですか?
投稿: いち | 2009年9月12日 (土) 23時29分
A21
基礎があり、かつ、現実を見据えた説得力を供えた答案でしょうね。

Q21
わたしは再来年の新司法試験を受験する者です。
新司法試験についての質問があります。
論文過去問(等)を時間を計って解く(実際に書く)という勉強をしはじめたのですが、その際何か気をつけるべきことがあったら教えてください。

特に、解いた後どうすればよいかが気になります。
私は大学の教授や予備校の先生や新司法試験合格者といった方に答案を見てもらったり、ましてや添削をしてもらったりといった環境にありません。
そこで、受験生同士でゼミを組んで答案を見せ合い良い点・悪い点を指摘しあうという方法を採ろうと考えています。
しかし、私はその方法を採用することに少し不安を感じています。私が危惧しているのは、
①ゼミを組むのはみな受験生ということなので、答案を見せ合って検討しても正しい指摘ができないのではないか。
②他人との能力の違いがあり自分のレベルに合わない
③無駄なおしゃべりなどをしてしまう
④他人に合わせなければならなくなり、自分の計画に支障をきたす
といったおそれがあるんじゃないかと思うからです。先生はどのように考えられますか?上記のような受験生だけのゼミを組んで答案を見せ合うことに大きな価値があると思われますか。それとも、出版や公表されている解答例・出題趣旨等を見て自分で検討したほうが効率がよいと思われますか?
投稿: jukensei | 2009年9月12日 (土) 23時41分
A21
友達同士で添削し合えばよいと思います。
実力はともあれ、他人の答案を採点することに大きな意味があります。
また、ペースメーカーにもなります。

無駄なおしゃべりをするかどうか、自分の計画に支障を来すかどうかは、あなた次第です。

Q22
私は検察官になることを目指しています。
そのきっかけはドラマなど些細なものですが、以来検察官という職業に興味を持ち、裁判傍聴に赴いたり、法学部に進学し、進路決定において就職活動と法科大学院のいずれにするか悩んだときも、検察官という職種を知ってから抱いていた「なりたい」という気持ちが払拭されず、就職活動という選択肢を納得のいく形できるまで考え抜き、その選択肢を切る、という作業を行いました。

そして、現在は大学院の2年生となったわけですが、これから大切なことは新司法試験へ向けた勉強はもとより(というかこの道を選んだ以上落ちたときのことを考える暇はないです)、合格後、短い修習期間で、検察官という仕事を自分が本当にやりたいのか、ということを改めて考え直し、かつ、その気持ちを検察の方たちに言葉と行動で示すということが具体的に求められてくると思っています。

そこで、、大学院生の段階でも検察の方と会える機会には積極的に赴く、そして、何よりも社会で起きている具体的な事象と大学院生で想像できる範囲内になる検察官像とを見比べて、検察官に何ができるのかを考え抜く、といことをしていこうと思っています。

ですが、なかなか検察にできること、検察がやるべきでないこと、という点について自分なりの具体的な考えに行き着く(大学院生段階で求められるレベルで)には至っていません。
なにか、この点について先生からアドバイスありましたら、ぜひよろしくお願いいたします。
投稿: 法科大学院生 | 2009年9月14日 (月) 10時56分
A22
あまり深く考える必要はないので、まずは司法試験に合格してください。
そして、検事に応募してください。
検事にならないと、検察ができることも、やるべきでないことも、具体的に考えることはできません。

Q23
私は,問題を読んで,ウンウン考えながらできる限りの答案の構成を考え,答案例をじっくり読んでいます.
ですが,答案例を読むだけだと今ひとつ頭に入りません.

過去問の答練は,上記のようなドロナワの記憶だけで点数を取って来ました.
なので,この勉強方法では自分の実力だとはいえない不安な気持ちで一杯です.

答案例を丸写し(模写する)する勉強は,力が付くと思いますが,自分で作ってきた論証や語句の言い回しの違う部分があり,頭に入れるのが大変です.
また,ただやみくもに覚えるものを増やしてしまう心配があり,単なる模写では効率的だとは思えない,という固定観念があります.

そこで,葉玉先生に「私はどうしたらいいですか」と言うのも,ちょっと自主性に欠けるなと思い,どうしたらよいか少し考えてみました(笑;).

・私が答案例を読んでいく中で,自分の用意ししている論証の部分をピックアップする
・上記部分は,自分の言い回しに変える.
・記憶しやすいように答案例の長さを短くする
・上記3つを念頭に,答案例を何度も書いて覚える.

考えた割には,これしか浮かびません.

そこで
(1)葉玉先生が論文の勉強で,上記以外に工夫されていらっしゃったことがありましたら教えていただけますでしょうか?

(2)葉玉先生は,「答案例」としてではなく,「構成」の形にとどめておいた問題のほうが多かったでしょうか?
 それとも逆に,「構成」の形にまとめるのがほとんどで「答案例」の形にしたものは重要問題(自分の苦手な問題など)・・・という風に,じぶんなりに臨機応変に変えていらっしゃいましたか?
投稿: ミナミアルプス | 2009年9月15日 (火) 16時31分
A23
答案例の丸暗記なんて、意味がないです。
答案構成をたくさんやること。
個別の論証については、キーワードと論理の流れ、結論を覚えること。
答案を沢山、書き捨てること。
(自分が書いた答案は捨てていました。二度と読まないので。)

Q24
組織変更について質問させてください。
Ⅰ 持分会社から株式会社への組織変更
組織変更をする持分会社の社員に対する株式の割当て(746条6号)は、
①株式会社に組織変更する前なので株主平等原則が働かない
②199条5項のような規定(「均等」)がない
ことから
社員の出資の額にとらわれる必要はなく均等に定めなくとも良い
という理解で正しいでしょうか?
※ 持分に代わる金銭等の交付はなし という前提です。

これに対して
Ⅱ 株式会社から持分会社への組織変更
では、
①199条5項のような規定(「均等」)はない、ものの
②株主平等の原則(109条1項)が働くので
社員の出資の価格(744条1項3号ハ)は
株主の持株数に比例して定める
という理解で正しいでしょうか?
※ 種類株式発行会社ではない、金銭等の交付はない(744条1項5号)という前提です。
投稿: 登記職人見習中 | 2009年9月18日 (金) 02時28分
A24
 株式会社から持分会社への変更は、株主全員同意なので、株主平等の原則は気にしなくてよいと思います。

Q25
会社法第750条では「吸収合併存続株式会社は、効力発生日に、吸収合併消滅会社の権利義務を承継する。 」 とありますが、
存続会社には契約の申込みの意思表示までも包括承継されるのでしょうか?
もしされるならば、承諾者は存続会社に承諾をすれば有効に契約は成立することとなるのでしょうか??
ぶしつけで申し訳ありませんが、根拠等も含め教えていただければ幸いです。
投稿: zetman108 | 2009年9月23日 (水) 14時50分
A25
包括承継という概念は、消滅会社に生じているすべての法的効果が存続会社に承継されるということなので、申込みの意思表示も包括承継されます。

Q26
利益相反取引と取締役の責任について質問させてください。

A社が関連会社のB社に貸付をした場合にB社を代表した代表取締役甲が
A社の取締役を兼ねていたのであれば利益相反取引としてA社において取締役会決議が必要になると思います(365条1項・356条1項2号)。

そしてその貸付が焦げ付いて返済不能になった場合にA社を代表して貸付けた取締役と甲に対して423条1項責任を問おうとするのであれば、貸付の当否について経営判断原則を考慮するまでもなく任務懈怠が推定されることとなると思います(423条3項1号、2号)。

この場合において429条1項責任を問おうとしたときには
任務懈怠は推定されないのでしょうか?429条1項も会社に対する任務懈怠であって、この場合の423条1項と同じ内容なのではないかと思うのです。
投稿: 白くまさんの友達 | 2009年9月25日 (金) 03時59分
A26
429条1項の責任については、直接には,推定規定は適用されませんが、事実上のすいていは及ぶでしょう。

Q27
今回は、法科大学院卒業生の需要について質問があります。
司法試験に合格しておらず(三振含む)、かつ正社員としての就業経験がない法科大学院卒業生について、法務職の需要というのはどの程度あるのでしょうか。企業や業界の雰囲気などはどうなっているのでしょうか。
投稿: べしべし | 2009年9月26日 (土) 07時27分
A27
普通の大学院卒並でしょう。

Q28
法曹としての有能さと、順位は、どれほど関連があると思われますか。当然、成績もよし、それにプラスアルファが理想と思いますが、有能とされる弁護士の方は、司法試験の順位も、よかったのでしょうか。仮に、順位以外に気をつけるべきことがあるとするならば、何を伸ばすことを、修習中、心がけたらよろしいと思いますか。
投稿: | 2009年9月26日 (土) 11時22分
A28
順位は、結果ですから、順位を上げるよりも、実力をあげる方が大事です。
修習では、「証拠から見える事実」が何かを知り、「今、証拠はないけど、きっと将来証拠が見つかるはずの事実」を見抜く努力をしましょう。

Q29
TMIは、予備試験組から採用する場合、何を重視するのでしょうか。
また一般に、司法試験と修習時の成績ではどちらを重視するのでしょうか。
投稿: | 2009年9月26日 (土) 19時08分
A29
予備試験だからといって、何か特別な考えはないと思います。
なお、修習前に採用しているので、修習時の成績はみていないですね。

Q30
ネット上で様々な会社の合併公告を見ると、「吸収合併存続会社:『会社法第796条第3項』に基づき合併承認総会は開催しません。吸収合併消滅会社『会社法第784条第1項に基づき合併承認総会は開催しません。」とされているのが非常に多く、吸収合併消滅会社について796条「第1項」を根拠に総会が不要としているものは皆無にも見えます。

吸収合併消滅会社が784条1項ならば、存続会社は796条「3項」ではなく「1項」とするほうが、総会承認が必要という例外(同条1項および3項の但書)にあたらないことが多いのが通常と思われるところ、なぜ「3項」を根拠にあげる公告が多く、「1項」を根拠にあげている公告が皆無なのか(または極端に少ないのか)疑問です。

私は、吸収合併消滅会社が被支配会社の場合、消滅会社においては784条1項で総会不要、存続会社においては796条「1項」で総会不要という理解なのですが、この理解が間違っているのでしょうか?
投稿: | 2009年9月29日 (火) 11時40分
A30
その理解は間違っています。
796条1項は、消滅会社が存続会社の株式の90%以上を有している場合(支配会社の場合)です。

Q31
金商法167条は、例えばA社がB社株式を公開買付することを決定した場合、その情報を知っている者X(A社社員)は、公表されるまで、B社の株式を買ってはいけないということを定めているものであって、XによるA社株式(自社株式)の購入は規制されていない・・・という認識であっていますでしょうか?

感覚的に、実際に公開買付をすることを決定したA社にとっても重要事実のような気がするので、XはA社株式(自社株式)も買ってはいけないんじゃないかと何となく思えてしまいました。

あるいは、このケースでのXによるA社株式(自社株式)の購入の規制については、一つ前の166条でカバーできているのでしょうか?

投稿: 金商法 初心者 | 2009年10月 2日 (金) 16時15分
A31
167条で禁止されるのは、B社株式の購入です。
もちろん、A社が他社について公開買付を行うことが、A社にとっての166条の重要事実となる場合はありえます。

Q32
100問3版が発売予定というのを聞いたんですが、年内には出るんでしょうか。
投稿: K | 2009年10月 2日 (金) 18時10分
A32
出ません。
発売の具体的予定もありません。

Q33
判例百選における判旨解説を読むべきか否かの選別基準はありますか?
また葉玉先生の受験時代と現在とでその違いがあれば、それもご教示ください。
投稿: 学部3年 | 2009年10月 4日 (日) 17時10分
A33
解説は不要です。良い解説もありますが、10秒くらい読んで、意味不明ならば、無視でもかまいません。

Q34
特別利害関係株主が株主総会で議決権を行使すると著しく不当な決議となる可能性が高い場合について質問させてください。

 特別利害関係株主は一般の株主と同様に株主総会において議決権を行使してなんら差し支えありません。しかし、決議を行使すると著しく不当な決議となるならば決議取消しの訴えを提起されかねません。(会社法831条1項3号)
 それでは、特別利害関係株主が議決権を行使したら著しく不当な決議となりそうな議案にたいして他の株主は全員賛成することが分かっている場合、且つ、特別利害関係株主が出席しないと定足数をみたさない場合(会社法309条1項)にはどのように対処すれば良いでしょうか?
 議決権自体を行使できるからといって行使すれば、取消しの可能性がうまれてしまう、だからと言って、議案を承認する必要性が高い場合です。
(他の株主はすべて賛成しているので株主からの取消し訴訟提起は考えられない、しかし取締役や監査役からの提起の可能性はあるという前提です。)

定足数を排除する定款変更決議を事前に行っておけば、特別利害関係株主以外の賛成で議案は成立しますし、議決権を行使しないので取消しの恐れもありません。ただ、やはりこういう方法は技巧的な気もします。
なにか良い手はありませんか?
投稿: 登記職人見習中 | 2009年10月 8日 (木) 22時38分
A34
 決議の結果が著しく不当にならないようにすればよいのです。取消の可能性に必要以上におびえる必要はありません。

Q35
以前、「代表訴訟の対象となる責任」の稿で、代表訴訟で勝訴判決を得ても、株主が強制執行する手段がないという代表訴訟の致命的欠陥と書かれておられましたが、そこのところを、もう少し詳しくお教え願えないでしょうか。
稿: 色即是空 | 2009年10月13日 (火) 16時22分
A35
そのまんまですが、民事執行法には、代表訴訟の規定が適用されないので、株主が債権者でない以上、強制執行手続きをすることができないということです。

Q36
「入門」募集株式の発行(3)(2007年2月14日)の最後の説例について質問させてください。
まず確認ですが、この例で、配当優先株式を著しく安い価格で割当を受ける権利を与えるのは、松真さんのみですよね。湯水さんにも同じ権利を与えるとすれば、当該株主の有する種類の株式と同一でない種類のものを割当てることになるため、202条1項の適用対象外となりますよね。
そうだとすれば、このケースでは、平等に扱うべきでない種類株主について、全株主を平等に扱ってしまうことにはならないのではないでしょうか?
また、仮に、湯水さんにも同じ権利を与えることにすれば、322条は気にしなくてよいことになるのでしょうか?
投稿: 色即是空 | 2009年10月16日 (金) 14時58分
A36
すいません。問題意識がわかりません。
なお、湯水さんに同じ権利を与えると,他の種類株主に不利になりますので、322条が適用されると思います。

Q37
経営判断の原則は、法令違反について適用されないということでしたが、法令の要件が抽象的な場合はどうなるのでしょうか。

例えば、定款の目的の範囲外の行為として民法34条違反であることを理由に、423条1項の任務懈怠責任を追及されたような場合が挙げられます。

この場合、目的の範囲内かどうかは取締役にとって明らかではありません。
そこで、目的の範囲について経営判断の原則が適用されるのではないかという疑問が友人との議論において生じました。

私は、この問題については善意・無過失で争えばよく、経営判断の原則は登場しないと考えるのですが、いかがでしょうか?
投稿: 別の法科大学院生 | 2009年10月20日 (火) 15時53分
A37
目的の範囲内か否かは、客観的に裁判所が認定することなので、経営判断原則は関係ありません。

Q38
ある種類の株式の発行済の全数が自己株式となっている場合において、この株式について分割を行うことは許されるでしょうか?
(発行可能株式総数・発行可能種類株式総数には余裕があるものと仮定します)
動機はご明察とは存じますが、近い将来自己株式を処分する構想があり、そのために自己株式の数を増やしておきたいというものです。

発行済の一部のみが自己株式の場合は分割の効果が自己株式にも及ぶと解されており、上記を妨げる規定はないと思いますが、いかがでしょうか。
自己株式を分割することへの法的な意味づけは困難で、上記のような姑息な動機しか考えられないのがネックだと思いますが。
投稿: えぬ | 2009年10月20日 (火) 23時15分
A38
株式の分割は可能です。

Q39
千問のQ392について疑問があります。
(先般、司法書士の内藤卓先生のブログで話題になった点です---内藤先生にいろいろとお教えいただきましたが、千問の記述については疑問がありますので、葉玉先生に伺います)

上記Qには、「3人の取締役を選任する場合において、ある取締役選任権付株式の内容として2名の取締役を選任することとされている場合、当該株式の種類株主総会において2名を選任し、残りの1名は、当該株式以外の種類の株式の株主によって構成される種類株主総会によって選任される」という例が記載されております。

この例が、「A・B・C3種の株式が発行されておりAのみが取締役選任権付株式」のような設定を想定しているとすれば(素直に読めばそう読めます)、上記記述は以下の点で不適当であると考えます。
1)B・Cについて明文なくして108条2項9号ロの共同選任の定めを擬制することになる(会社法のどこを読めばそのような擬制ができるのでしょう?)
2)Cが無議決権株式の場合も、取締役選任についてだけ突然議決権が発生することになる

「取締役選任権付株式が存在するときは通常の株主総会で取締役が選任されることはない」という前提であれば、「Q392の例でA・B・C3種の株式が発行されておりAのみが取締役選任権付株式ならば、取締役はAの種類総会による2名しか選任できない=3名の選任はそもそも不可能」ということになろうと思います(内藤先生のご見解もそうであると理解しております)。
いかがでしょうか?

もっとも、商法時代からの流れを知らずに素直に会社法を読めば、「取締役選任権付株式の種類総会によって選任される以外の取締役は通常の株主総会で選任される」ということになると思いますが(私もそう読みましたし、実務界が取締役選任権付株式を使う意図とも整合すると思います)。
投稿: ラッシャー木村 | 2009年10月21日 (水) 22時00分
A39

347条1項で、329条1項を読み替えますと

 役員(取締役、会計参与及び監査役をいう。以下この節、第三百七十一条第四項及び第三百九十四条第三項において同じ。)及び会計監査人は、株主総会(取締役については、第百八条第二項第九号に定める事項についての定款の定めに従い、各種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会)の決議によって選任する。

となります。

さらに、取締役の部分だけ抜き出しますと

 取締役は、第百八条第二項第九号に定める事項についての定款の定めに従い、各種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議によって選任する。

となります。
 つまり、種類株主総会の決議によってのみ、選任するわけです。条文上、株主総会の決議で選任することはありません。

Q40
お忙しい先生の状況を察しますが、そうではなくて、先生の体調不良とかいうことはないですよね。
あまりの更新のなさに心配になります。
投稿: 常連 | 2009年10月22日 (木) 08時57分

更新のないのが元気な証拠でしょう。
それだけ渉外弁護士というのは激務だということですよ。
長文のエントリーを推敲したり種々雑多な質問に応えたりする余裕などなく、できるのはつぶやく程度だと思います。
葉玉先生、お仕事がんばってください。
ブログはいいですから、睡眠の確保と家族サービスを優先してくださいませ。
投稿: ロム専ですが・・・ | 2009年10月24日 (土) 01時53分
先生は激務なんですよ…
でも忙しいという言葉は 使われないのでは!? 何故なら忙しい…は心を亡くすとも言いますね。
きっと先生はお元気ですよ私はお見かけしましたから。更新して頂けたら皆様も安心されるし喜ばれるとは思っています。
投稿: 佐倉 | 2009年10月24日 (土) 23時57分
つまり、…
「現在、本業が忙しくてブログを更新できる暇がありません。
 コメントや質問して頂いた方々には申し訳ありませんが、
 今しばらくお待ち下さい。」
程度の内容の更新もできない程、激務なのですね。30秒ぐらいあればできるとは思うのですが、それすらもできない程、激務なのか。凄いね。
確かにブログなんて義務じゃないけどね、それまでここでコメントや質問等に応えてきたという自らの行動による事実があり、そこに対する信頼があるからこそ、ちゃんと礼儀を尽くした上で質問等をしてきている人達がいる(たとえ全員でなくても)。
だったら、その信頼ぐらいは裏切らないようにするというのが、これまで自分のとってきた行動に対する責任じゃないのかな(あくまで道義上の話ね)。
何も、全部質問に答えてくれなんては言ってない。それこそ義務があるわけじゃないんだから。でも、上記のように、忙しくてできないんです、ぐらいあれば、そういった人達もちゃんと理解してくれるでしょう。「先行行為」みたいなもんですかね。
いろいろ価値観は人それぞれかもしれないけど、そういう行動が人と人との信頼を基礎づけるものなんじゃないかなと思うけどね。
投稿: うるさ型 | 2009年10月25日 (日) 01時08分
A40
 どうもご心配をおかけしてすいません。
 仕事もそれなりに忙しいのですが、ブログの更新ができなかったのは、プライベートや本の執筆が忙しいというのが本当のところです。
 このブログは、通常、金曜の夜から日曜のどこかで書くのですが、ここ最近、子供の勉強を教える時間に膨大な時間を取られたり、運動会(子供が四人もいるので、幼稚園、小学校、中学校と3回もありました)やら学校の行事が多かったり、冠婚葬祭が続いたりで、書く気力がわいてきませんでした。
 なお、私は、道義的責任などと考え始めると、書くのがおっくうになるので、うるさ型さんのような考え方はしていません。
 好きなときに書くというのがブログの良さですから、最近、会社法のネタも少なくなっているので、何が何でも更新しようという感じにならないのも、更新しない理由のひとつでしょうね。
 商事法務を見ていても、「これは、面白い」と思えるネタがあまり見つからなくて。

Q41
新会社法100問の51問目(新司法試験サンプル問題)なのですが、
資料4の3.会議の目的事項に貸借対照表及び損益計算書"報告"の件とありますが、
資料2の定款には会計監査人設置会社であることが読み取れません。
つまり会社法第439条の会計監査人設置会社の特則の"承認"の省略は使えないはずなのでそこも問題とするべきではないでしょうか。
A41
まあ、問題文から会計監査人設置会社と読み取るのでしょう。

Q42
これは素朴な疑問なのですが、会社法96条では定款は創立総会(つまり募集設立の場合)では自由に変更はできるのに対し、会社法30条では発起設立の場合は定款の変更には公証人による再認証を必要としています。
この違いはどこからくるものなのでしょうか。
例えば、商号の変更等の場合でも発起設立の場合は定款の再認証(高額!)を受けなければならないのは酷な気もしますが...
投稿: アボガド | 2009年10月25日 (日) 02時07分
A42
96条は、募集設立では、原始定款の作成に加わっていない引受人がいるので、不服があれば変更できるようにしているだけで、間違い直しや、思い直しのための規定ではありません。

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2009年8月24日 (月)

Twitterを始めてみました

最近、少し気になっていた「Twitter」を始めてみました。
http://twitter.com/MHADAMA

Twitterをご存じない方のために簡単に説明すると
 登録者が140字以内で「つぶやく」(書き込みをする)と、それを「フォロー」している登録者に、そのつぶやきが伝わる
というものらしいです。

私も、どういうものか、よく分からないので、この2日ほど試してみましたが、なんとなく楽しそうなので、本格的にやってみることにしました。

興味ある人は、twitter.com に登録して、私をフォローしてみて下さい。

このシステムの最大のポイントは、1回140字という字数制限ですね。

ブログだと、それなりのちゃんとした文章を書かなければならないと思って、書き込みの精神的ハードルが高いのですが、140字だと、どうせ1-2文しか書けないので、とりあえず思いつきを書き込める。

この書き込みハードルの低さが、今の私には心地よいです。

私が連載していた脱時空勉強術の「10分勉強法」のようにハードルを下げることにより、少しでも前に進むという発想が活発な議論を生み出すのかもしれません。

「ブログの書き込み頻度が落ちているのに、余計なものを始めるな!」
という声が聞こえそうです。もっと聞こえそうなのは
「先生、そんな暇があったら、ちゃんと原稿をあげてください。8月20日が締め切りだったでしょ」
という京美人編集者の声ですが、ちょっと現実逃避しながら、原稿は書きますので、許して下さい

(質問コーナー)
Q1
商事法務さんのHPの近刊案内によれば、
「一問一答新・会社法」の改訂版が出るとの
ことですが、「論点解説新・会社法 千問の
道標」についても、改訂の予定はありますで
しょうか?
差し支えない範囲でお教えいただけると幸い
です。
投稿: 独眼流 | 2009年8月21日 (金) 15時36分
A1
たぶん、今、お話しするのは、商事法務的に差し支えがあります。

Q2
葉玉先生、こんにちは。
先日、『なぜ、デンマーク人は幸福な国をつくることに成功したのか どうして日本では人が大切にされるシステムをつくれないのか』(ケンジ・ステファン・スズキ著)を読み、民主党など現野党が掲げる大きな目標のひとつである「福祉の充実」程度では今とあまり変わらないのではないかと思っています。
それはさておき、実際に旅行されてみていかがでしたか?
旅先で起こった面白いお話など、お聞かせいただければ嬉しいです。
投稿: ruru | 2009年8月21日 (金) 17時41分
A2
デンマークは、旅行者にとっては、必ずしも幸福な国ではなかったです。
なにせ、物価が高いです。おまけに、間接税25%。これを経験すると、日本の消費税の5%がすごく軽く思えます。
福祉の国は、そこに住んで、年を取ったり、病気をしたりしたときに幸せを感じられるんでしょうね。

Q3
はだま先生は、いろんな事件や、トラブルを解決されてきたと思うのですが、困難を乗り越えてきている精神的強さはどこからきているのですか?またどうすれば強くなれますか?
 弁護士やサラリーマンでも最近うつ病などにかかってしまう人が増えています。うつ病やストレスをためない秘訣あれば教えて下さい。
 実際わたしの知り合いでもうつ病の人いるんですが、怠けているように見えるのですが、なんて声かけてればよいのでしょうか?
投稿: 受験生 | 2009年8月21日 (金) 18時56分
A3
 私は、自分で言うのもなんですが、人並み以上に悲惨なトラブルに巻き込まれてきましたが、それを乗り越えられたのは、守るべき人がいたからだと思います。

Q4
利息に関係ある話なんですが、
弁護士業や税理士業は、商行為になるのですか??
私は、士業は、営利性がないから商行為に該当しないと考えるのですが。
A4
商行為には該当しません。

Q5
質問が、錯綜しますが、423条の任務懈怠は、何年前の任務懈怠まで追求できるのでしょうか??5年でしょうか、10年でしょうか??
同様に、士業の債務不履行も5年前までの責任しか追及できないでしょうか??
投稿: 質問 | 2009年8月21日 (金) 23時03分
A5
10年です。

Q6
 会社分割については、828条1項により一定の期間内に訴えをもってのみ主張することができると規定されていますが、同条の期間経過後に、債権者が民法に基づいて会社分割を詐害行為だとして取り消したり、破産管財人が破産法に基づいて会社分割を否認することはできるのですか?立法に携わった葉玉先生のご意見はどうでしょうか?
投稿: 法科大学院生 | 2009年8月22日 (土) 16時58分
A6
債権者異議手続きの対象となっている債権者は、詐害行為取消はできません。
その対象となっていない債権者については、争いあるものの、私は、詐害行為取消の対象になると考えます。ただ、それは、特定の財産の取り戻しのための制度であり、会社分割の効力を全体的に否定することはできません。

Q7
過払い訴訟の場合、払い過ぎた分は、不当利得で返還請求できると思うのですが、
これも時効が適用されて、10年前に払いすぎた分までしか、返還請求できないのでしょうか??
それとも、30年間、払い続けてきた場合、30年分請求できるのでしょうか??
時効と不当利得の関係がよくわかりません。
投稿: 過払い | 2009年8月23日 (日) 21時56分
A7
 基本的には、30年分請求できると考えられているようです。

Q8

 こんにちは。僕は今年東大に入学した者です。僕は昔から検事に興味があったのですが、経済的事情と法曹界の将来性が不透明なことから司法試験ではなく行政公務員を目指そうと考えていました。しかし、最近予備試験の存在を知り、色々と予備試験の事を調べた結果、今から公務員試験と予備試験を併願して、学部生のうちに予備試験に合格できれば検事を目指し、駄目なら当初の予定通り公務員又は企業に一般就職するという計画なら、お金や時間がかからないし失敗したときの進路変更も容易なのでいいのではないかと考えました。(こういう事を考えているのは僕だけかなと思ってましたが、周りの友人に聞いてみたところ同じようなことを考えている人が他大の人も含めて数人いました。)

ところがある日、とある機会に某大学の某教授が予備試験について予想外の事をおっしゃっていました。

「これからはロースクールの教育を受けたというプロセスを経ることが重視されるから単に一発試験に早く受かっただけでは評価されない。」
「ロースクールの歴史が長いアメリカでも、単に司法試験に受かっただけでは全く評価されず、出身ロースクールとロースクールの成績が重視される。」
「予備試験は政治的妥協でやむを得ず出来た制度で本来必要のない制度だ。大学生が予備試験を目指すのは好ましくない。」
「ロースクールが出来たのは旧司法試験のような一発試験に合格するために予備校で丸暗記型の勉強をする者が多かったからだ。プロセスを経ていない一発試験型の人が駄目なので今の制度になった」
「法曹を目指したいのなら予備試験の事など考えずに、奨学金を使ってでもロースクールを目指すべきだ。」

 というようなことをその教授はおっしゃっていました。一発試験に早く受かれば検事任官に有利になると思っていたので、教授の意見だと僕の計画は全然駄目だということになりそうです。前置きがかなり長くなりましたがここで質問です。

 仮に学部在学中に予備試験に合格して、翌年新司法試験に高順位で一発合格した場合でも、有名ロー出身者と比べて就職面で不利なのでしょうか?僕は特に検事に強く興味があるのですが、検事を志望する場合、予備試験出身者がロー出身者と比べて不利益に評価されるということはないのでしょうか?弁護士の場合も事務所によっては有名ロー出身者じゃないと面接すらしてもらえないとか、ロー在学中に内定を出す事務所が多いので合格発表後に事務所訪問しても手遅れだという話を耳にしますし…。

 もし予備試験ルートの合格者がロー出身の合格者と比べて不利だとしたら、学部在学中に予備試験に合格した場合でもローに進学しなければ検事になるのは難しいのでしょうか。あくまでも予想で構わないのでよろしければコメントお願いします。

投稿: 大学1年生 | 2009年8月23日 (日) 22時34分
A8
予備試験に関することは、今は、誰も分かりません。
ただ、私の感覚では、予備試験や司法試験の成績が良ければ、検事にはなれると思います。

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2009年8月21日 (金)

利息制限法等の改正

お盆前後に夏休みをとって、家族でオランダとデンマークに行ってまいりました。

どちらの国も、最高気温が20度前後で、湿度も低く、過ごしやすい恰好の避暑地でした。
もっとも、子供4人の世話でクタクタになるので、夏休みというより、夏の重労働という感も無きにしもあらずでしたが・・・・。

さて、本日は、普通の企業にはあまり関係のない話ですが、利息制限法と出資法の改正についてお話をいたします。

 営業的金銭消費貸借の制限利率を年20%に統一すること等を内容とする利息制限法・出資法等の改正法が、遅くとも来年6月まで(当時の国会答弁によれば今年の12月ころを目処)に施行されます。

 この改正法は、制限利率の統一のほか
 1みなし利息となる契約締結費用等の制限
 2 保証料の制限
等も内容となっており、特に1については、金融機関の実務上、かなり深刻な問題が生じています。

「みなし利息」というのは、金銭消費貸借に関して債権者が債務者から受領した手数料等を利息とみなして、制限利率を超えるかどうかを判断するものです(利息制限法3条)。

 ただし、3条但書によって、契約の締結及び債務の弁済の費用については、みなし利息とならない旨定められており、従来は、この3条但書を柔軟に解釈することにより、様々な手数料等をみなし利息の認定から外すことができました。

 ところが、悪徳金融業者にとっては、3条但書は、悪用のしがいのある規定であり、契約締結費用や債務の弁済費用名目で、法外な手数料等を徴収し、実質的に制限利率を超える金利を取っているととの批判も強かったのです。

 そこで、改正法は、営業的消費貸借については、この3条但書の範囲を制限し
1 公租公課の支払に充てられるべきもの(印紙代など)
2 強制執行の費用、担保権の実行としての競売の手続の費用その他公の機関が行う手続に関してその機関に支払うべきもの
3  債務者が金銭の受領又は弁済のために利用するATM等の利用料(利息制限法施行令で定める額の範囲内のものに限る。)
の3つ以外は、すべて「みなし利息」となることとし、利息制限法施行令は、ATM等の利用料を1回の受領額又は支払額が
    1万円以内の場合 105円
    1万円を超える場合 210円
と定めました。

 この利息制限法は、サラ金のみならず、銀行、証券、保険会社等の金融機関の金銭消費貸借にも適用されますから、現在、金融機関は、ATM等の利用料についての見直しを迫られています。

 もちろん、理論的には、ATMの利用料がみなし利息になっても、制限利率を超えないのならば、難の問題もありません。

 しかし、総合口座貸越や繰上償還が可能な貸付の場合、債権者が、少額の貸付金を超短期間(たとえば、1日)で返済する場合もありうるので、たとえ、210円という利用料であったとしても、年利換算すれば、制限利息を超えるリスクがあるため、
   ATM利用料がみなし利息とならないような工夫
が必要となっています。

 特に最近は、債権者である金融機関とは異なる金融機関のATMを利用して貸付や返済が行われる場合があり、その場合のATM利用手数料は、ATMを設置している金融機関(ATM設置銀行)の指示により、一旦、債権者である金融機関(カード発行銀行)が管理している債務者の口座から引き落として、カード発行銀行が一旦受領する形を採っていることが多いため、対応が難しいのです。

 私は、この問題の解決策について、以前
「ATM利用に関する利息制限法・出資法改正への対応」(週刊金融財政事情 2009年6月22日号 32頁)
という論文を書きました。

 詳しく書くと面倒くさいので、要点だけ言えば
  解決策1 ATM利用料を105円又は無料にする
  解決策2 みなし利息となる可能性がある場合には、ATM利用を拒否する。
  解決策3 ATM設置銀行が手数料の引き落としを指示するのではなく、カード発行会社が、みなし利息とならない手数料を引き落とす
   
という解決策があるという内容です。

 このうち、解決策1は、本来利息制限法とは関係のない預金の預け入れや引き出しについてまで、利用料を下げざるをえなくなるため、収益への影響が大きく、なかなか採用しづらいと言われています。

 解決策2は、シンプルな方法であり、私の知る限り、いくつかの金融機関は、この方法を採用しようとしているようです。
 もっとも、ATM利用を拒否するということは、現状よりも顧客の利便性の低下をもたらすことになります。特に債務者が借入金の返済をするためにATMを利用しようとしたときに拒否されると、債務者としては
  期限までに返済しようと思ったのに、なんでATMが利用できないんだ!
と怒ることもあるでしょう。

 その点、解決策3は、利用者の利便性を損なわず、かつ、収益へのインパクトも最小限に抑えられる点で優れていますので、お勧めです。

 ただ、解決策3をもう少し細かく分類すれば、ATM設置銀行がカード発行会社に指示するときに
  解決策3-1 手数料抜きの金額の引き落としを指示する
  解決策3-2 手数料込みの金額の引き落としを指示する
という2つの方法があり、金融機関によって、どちらを採るのか分かれているところです。

 解決策3-1が、法的には最も問題のない、私の一押しの解決策であり、カード発行銀行徴求方式と言われています。

 しかし、このカード発行銀行徴求方式は、ATM設置銀行が「手数料抜き」で指示をするという点で、現状とは違う取り扱いをすることになるため、ATM設置銀行が承諾してくれないと実行することができません。

 そのため、解決策3-2を取ろうとしている銀行も多数あります。

 この方法は、ATM設置銀行は、従来どおり、手数料込みの金額を指示するので、たとえば、顧客が1万円の出金を依頼したときに、手数料が210円だとすれば、ATM設置銀行はカード発行銀行に「1万210円」を引き落とすよう指示を送ります。
 他方、カード発行会社は、1万円で105円を超える手数料をとると、みなし利息となるので、顧客の口座から「1万105円」を引き落とすわけです。

 この方法は、実務上は、実現しやすい方法なのですが、問題なのは
  実際には105円しか手数料を取っていないのに、顧客が、ATMから発行を受けるレシートには、手数料が「210円」と表示されてしまう
ことです。
 もし、顧客が、そのレシートを証拠として、帳簿上、「210円」を経費としてしまうと、実際には105円しか経費が生じていないので、顧客に税務上の問題が生じてしまうリスクがあります。
 また、そのような場合、顧客の帳簿上の預金残高と、実際の預金残高が異なることになるため、顧客が混乱する可能性もあります。

 こうした問題は、ATM設置銀行が顧客のクレームに対する対応を迫られることにもなりかねず、ATM設置銀行としては避けたいという気持ちもあるのではないでしょうか。

 以上のように現時点においては、どの対応策も一長一短であり、なかなか先行きが見えません。実際に金融機関間の契約・規則の見直しやシステム対応が必要となることもあり、金融庁や法務省が中心となって混乱を避けるための措置を講じてくれると助かります。

 また、ATM利用料の問題以外にも
  海外ATMの利用料の問題
  繰上償還手数料の問題
  残高証明書の問題
など、みなし利息をめぐる問題は山積している割には、検討が遅れている金融機関も多いように見受けられます。

 なかには大変対応が難しい問題もあり、早めに検討を始めなければ、施行日までに対応できないということにもなりかねません。

 最近、金融機関は、割賦販売法の改正に伴う提携ローンの問題など、法改正時にはあまり予想していなかったような問題への対応を迫られていて、若干、可哀想な感じですが、コンプライアンス重視のご時世のなか、無視するわけにもいかないので、粛々と対応策を実施していくしかないでしょう。

(質問コーナー)
Q1
「監査のための文書化は、必要悪である」というのは、まったくそのとおりだと思うのですが、実際に監査を受ける立場の人間からすると、法定され、監査が義務付けられると、膨大な手間とコストがかかるが法律は守らなければならないのでいかんともしがたく、方やCPAも監査基準があるため、そのとおりにやらなければサインできないという実体があり、サインされなければ、上場会社として上場の維持はできないという厳しい現実があります。
弁護士はクライアントの意向に沿った意見書を無責任に(失礼ながら金さえ出せば何でも解釈で片付けられるのか、社会正義というものはどこにあるのかという意見書を多々見たことがあります)書きますが、会計の世界はがんじがらめでどうにもならないということもご理解ください。
事態の改善はどこの会社も腐心しているところでしょうが、行うは難しとが現状ではないでしょうか。
投稿: 廣嶋精一 | 2009年8月11日 (火) 09時58分
A1
お気持ちはよく分かります。
ただ、私は、「CPAも監査基準があるため、そのとおりにやらなければサインできない」「会計の世界はがんじがらめでどうにもならない」という問題ではなく、個々の監査人が、金融商品取引法の内部統制報告制度の趣旨を理解し、自己の責任逃れのために過剰に保守的な対応を取らなかったら、事態はかなり異なっていたと思います。
 金融庁が、監査人の過剰対応に対し、火消しに回ってからは、それなりに沈静化しましたが、制度論としては、監査人が神様のごとく各企業に過剰な文書化を求めるような場合には、企業が、金融庁に対し、「監査人の監査の適正性についての審査」を求められるような歯止めがあったら面白いかもしれません。

Q2
2009年8月 2日 (日)
今まで、会社成立後の代表取締役に司法書士報酬を請求して、定款に記載がないからといって断られたことはありません。そのため、①成立後に代表取締役に請求すれば、払ってくれると思います。 という回答はその通りだと思います。
ただ、代表取締役が定款に会社法28条4号の株式会社の負担する設立に関する費用の記載がないから払わないと主張すれば司法書士報酬を請求することはできないのでしょうか?会社法28条4号の壁を乗り越える法律構成はどのようにすればよいのでしょうか?
A2
 乗り越えられません。発起人に請求してください。

Q3
②の回答は、28条=発起人の権限の範囲を規律したもの なので定款に記載のない設立に関する費用を払込金から支払った場合は定款違反である。しかし、それは内部的なものであり発起人と会社との関係にすぎない。そこで、司法書士はあまり気にする必要はないという意味だと解してよいでしょうか?
投稿: 登記職人見習中 | 2009年8月11日 (火) 21時45分
A3
 違います。成立後の代表取締役が発起人の支払うべき債務について第三者弁済することはできるということです。

Q4
会社法100問の私の理解だと、
2と3が駄目(株主平等原則違反)な理由は
「株式の数に着目した合理的な取扱いでないから駄目!」
ということでしょうか。
A4
 そうです。

Q5
こんにちは、司法試験受験生ですが、質問させてください。
最近、従来会社法では認められなかった利益の資本組入が計算規則の改正で
認められるようになったと聞きました。
しかし、受験生としては計算規則までフォローしていないので、よくわかりません。
会社法で認めていないものを規則の改正で認められるようになる意味も
なんだかちょっと納得できないです。
わかりやすく解説して頂けないでしょうか。
投稿: 受験生 | 2009年8月18日 (火) 14時38分
A5
その他利益剰余金の資本組み入れの可否は、もともと会社法上、省令委任されているものであり、「会社法で認めていないもの」ではありません。

Q6
Twitterをやってみるおつもりはありませんか。
投稿: こやぎ | 2009年8月20日 (木) 09時44分
A6
試しにやってみたいと思いますが、とんでもないことを口走りそうで、やや怖いところです。

Q7
・非公開の小会社です。(譲渡制限)
・取締役会はあり、定期開催をしてます。
・合併の話があり、手法として株式の移転(譲渡)で
 行うとしてます。
・株の売買は100%で考えています。

この場合、取締役会での株式の譲渡承認の決議で
すむことになりますが、全役員(3名)がそれぞれ株主
である場合、全員が利益相反に該当してしまうことに
なりますが、全員が該当する場合は相反にはならずに
全員が決議参加できると考えて良いのでしょうか。
投稿: ご苦労さん | 2009年8月20日 (木) 15時38分
A7
 ABCが取締役として、Aのときは、BCで決議すればよいでしょう。

Q8
商法15条には、「商人」が商号を譲渡する場合について定められていますが、
会社法にはそれに相当する定めはありません。(定めがありましたら、すみません。)
株式会社が商号を譲渡することは可能でしょうか?また、譲渡できるとした場合、商法15条のように「事業とともに譲渡」する必要はないのでしょうか?
投稿: ご教示ください | 2009年8月20日 (木) 17時09分
A9
 株式会社も商号を譲渡することは可能です。この場合、事業とともに譲渡する必要はありません。

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2009年8月11日 (火)

「内部統制って何?」出演後記

予告どおり、先週月曜日に「クローズアップ現代」に出演してまいりました。

おかげさまで、クライアントの皆様をはじめ、事務所のスタッフから遠い親戚まで様々な方に見ていただいたようで、出演後、メールや電話を沢山いただきました。

本番前に、NHKのスタッフの方から
  「すいませんが、携帯の電源を切っておいてください。この番組が生放送ということを知らずに、本番中に「お前がテレビに出てるよ」とかけてくる人がいるので。」
と注意されたことが身にしみてよく分かりました。

演劇少年だった私としては、本番の3時間前まで
   生放送なので、過激な発言をしても誰も止められない。
   企業の監査法人やコンサルへの不満をぶちまけた方が盛り上がるだろうか。
という「盛り上げ至上主義」に傾きつつあったのですが、本番の1時間半ほど前から行われた国谷さんやスタッフとの打ち合わせの中で、皆さんが「内部統制について少しでも視聴者の方にわかりやすく問題点を伝えたい」という視点から、真剣に議論しているのを聞いているうち
   「この熱意に誠実に応えたい」
という気持ちの方が強くなり
   要点を簡潔にわかりやすく話す
ということを重点にして発言しました。

 なにせ
   一般視聴者には「金融商品取引法」という言葉はなじみがないから、使わない方がいいです。
など専門家の私にとっては、なかなか厳しい縛りもありましたし、私の性格を知る人は
  葉玉にしてはおとなしすぎる。
  NHKだから台本どおりなのだろう。
と感じられたかもしれません。

 しかし、実は、ぜんぜん台本というものはなく
  1 本番前の打ち合わせで、国谷さんの色々な質問に私が答えていく
  2 私の答えの中で番組の趣旨に沿った質問と答えを選んでいき、大まかな順番を決める。
  3 スタッフが、その流れを簡単にメモする
というのが、番組前の準備で、その後、
  生放送で、国谷さんの質問に対し、メモに書かれていることについて、その場で回答する
という、ほとんどブッツケ本番に近い感じの真剣勝負が行われているのです。

 しかも、前半と後半、それぞれ4分強という絶対的な時間制限があり、しかも、国谷さんも、事前の打ち合わせとは違う即興的な発言をされるので
  国谷さんとの会話の中で、メモにあがっている内容を、時間内にきっちり話す
というのは、かなりの職人芸を要するところです。

 本番中の私は、残り時間を示す時計をチラチラみながら
   あと2分30秒で、国谷さんの質問があと2問あることを考えると、この話は30秒くらいで切り上げよう。
とか
   うっ、ディレクターから、あの話は入れてほしいといわれたが、最後に国谷さんに10秒は渡さなければいけないだろうから、あの話は5秒くらいで終わらせなければ間に合わない。
とか、自分の頭脳の80%程度は、時間管理に使用されていましたから
  とても、冗談を言えるような心理状況ではなかった
というのが正直なところです。

 ただ、私が、番組を通していいたかったことは
   内部統制は、企業の円滑かつ適正な運営のために、会社の風通しをよくすることに目的があり
   監査のために内部統制があるのではない。
ということでした。

 昨年からの「文書化騒動」について企業の方から質問を受けるたび
  文書化は手段であって、目的ではないのに・・
という歯がゆい思いをしてきました。

 理想的にいえば、内部統制に対する監査というのは、非破壊検査のように、現在効率的に動いている業務の流れを阻害しないような形で監査するべきであり、「監査のための文書化は、必要悪である」という自覚が必要だと思います。

 内部統制は、会社内部の風通しを良くして、トップの指示が末端に迅速に届き、末端の把握したリスクがすぐにトップに伝わってくるようにするシステムなのですから、業務の性質にかかわらず、現場に「監査するために、こういう文書を作れ」と押し付けるのは、本末転倒です。

 番組でも申し上げましたが
   「風通しを良くするための内部統制において、紙を要求することにより、紙が風を遮っている」
という状態を改善することが、今年の内部統制の課題であろうと思います。

(質問コーナー)
Q1
会社法100問に関する質問がございます。
183ページの承認を得ずに行われた譲渡制限株式の譲渡の効力についての
記述で、「当事者間では有効であり…会社に対抗することができないに
とどまる。」とあるのですが、これは相対的無効説、有効説いずれの見解に
立脚した記述なのでしょうか?
百選20事件の北村先生の解説などを見ると有効説のように思えたのですが、
「当事者間『では』有効」という部分にひっかかり、質問させていただきました

投稿: 引き続き受験生 | 2009年8月 5日 (水) 14時21分
A1
この部分は、すでに立法的に解決済みであり、承認なく譲渡制限株式を取得した
者も「取得者」という地位を有することとなります。
 この取得者という地位は、会社に対し、譲渡により株主たる地位が移転したと
いうことは主張できない(その意味では、会社との関係では譲渡の効力を対抗で
きない)が、譲渡承認請求はすることができる(会社や指定買取人が買い取る場
合には、取得者から買い取るという意味では、会社との関係でも譲渡は有効と主
張できる)というものです。
 これを相対的無効説というか、有効説というかは、言葉の問題に過ぎません。

Q2
葉玉先生、はじめまして。
株主平等原則の適用範囲を考え出したらよくわからなくなりました。
もしよろしければご回答ください。

株主平等原則(109①)は
株主を、数及び内容に応じて、平等に取り扱うものとされますが、
例えば以下のような場合なら、どう考えるのでしょうか。
(株主平等原則に反するか否か)
●1.種類株式を一方的に不利にする
A種類株式=1株5円  100株1議決権
B種類株式=1株10円 1株1議決権

→内容に応じて平等なのでOK?(株式を購入するのは自己責任)

●2.株主総会の質問時間を株式数に比例させる
1株=1分
1株の所有者は1分
100株の所有者は100分

→数に応じて平等(かつ比例的)なのでOK?

●3.株主総会の席順を株式数に応じて決める
株式数が多いほど前の席に座れる

→株式数に応じて平等なのでOK?
投稿: てつを | 2009年8月 5日 (水) 23時31分
Q2
会社法100問を見てもらえば、分かります。
1は、OK。
2と3は、駄目です。

Q3
前回、これを書いたの私なんですが、

>実際、妻が医師として働いている姿を見てうれしく思いますし、
それは、この人が結婚してくれたからでしょう。
またこの人にも嫌われていたら、その人についても、
「女にフラれることが・・・」となっていたことは容易に予測できます。

まぁ、言い合っても仕方ないことなのですが、
先生は、恋愛がからむと、感情をこめて「女」と言っていると言っておられます
が、
「女にフラれることが、自らの間違いの証明であるならば、
私は、数え切れないくらい間違いを起こしてきたことになります。」という
文脈の場合でこめられている感情は恋愛というよりも、
「自分をふったこ憎たらしいやつめ」という
憎しみのようなもののように思えてならないんですよ。
ふられた原因としては、先生の方に問題がある可能性も排除できないのに。
投稿: うーん・・・ | 2009年8月 6日 (木) 01時00分
A3
「うーん・・」さんと私の恋愛観は、全く違うようです。

私にとって女を愛するということは、
「裏切られても、傷つけられても、その人のために尽くし続ける」
ということです。

「うーん・・」さんの発言を見ていると
  相手が自分を好きになってくれたから、自分も相手を好きでいられる。
  相手が自分を憎んだら、自分も相手を憎くなる。
ということを前提にされているようですが、その愛は、「自分が相手から好かれ
たい」という欲を充たすための自己愛ではないでしょうか。

 私は、ふられたからといって、嫌いになることはありませんし、まして憎むこ
となどありません。
 むしろ、「かなえられない愛」「傷つついた愛」ほど、振り返ると、純化され
、心に刻み込まれるように感じます。

 「愛されるより、愛する方がよい」という私にとっては、「愛がかなえられな
いから、憎たらしい」というような発想は、あまりなじめません。

 若干、マゾっぽいですが、「踏まれても蹴られても愛し続ける」方が幸せなよ
うに思います。

Q4
新株予約権の行使に際しての現物出資につき、会社法281条2項後段と285条1項3号
は以下のような理解で正しいでしょうか?

 新株予約権者は、現物出資をする場合において当該財産の価額が236条1項2号の
価額に足りないとき、その差額に相当する金銭を払い込まなければならない(281
条2項後段)。
 そして、検査役の調査により(284条)、当該財産の価額が236条1項3号の価額
に著しく不足する場合には当該不足額を支払う義務を負う(285条1項2号)。
 すなわち、281条2項後段は、そもそも出資された財産の価額が出資される全体
の財産の価額(236条1項2号)を下回るときに、その不足分を金銭で補わせるもの
である。他方、285条1項2号は、募集事項決定後に出資財産が値下がりすること等
によって、募集事項決定の際に見込んでいた価値(236条1項3号)を有さなくなっ
たときに、その不足分を填補させるものである。
投稿: きむ | 2009年8月 9日 (日) 11時44分
A4
285条1項2号は、不公正な払い込み価額であることについて、通謀がある場合ですから、募集事項決定後の値下がりは予定していません。

281条2項後段は、現物出資財産の時価を問題にしているわけではなく、「第2号の額」が1000万円で、定められた現物出資財産の価額が「800万円」なら、200万円を現金で払い込めと言っているだけです。

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2009年8月 2日 (日)

クローズアップ現代に出演します

先週の金曜日に「株式懇話会」の懇親会に参加させていただきました。
日頃からお世話になっている方にご挨拶をしてまわったのですが、皆さん口をそろえたように
  最近、ブログの更新が遅いぞ―。
という趣旨のことをおっしゃいますので
    ぐっ・・すいません。がんばります。
と頭を下げっぱなしでした。

 それで、帰宅後、ブログを書こうと思ったものの、正直
   最近は、会社法に関する実務も固まってきて、若干ネタ切れきみ
ではあります。正確に言うと
   ネタがないわけではないが、テクニカル過ぎて、分かる人にしか分からない
というものが増えた
というところでしょうか。T&Aマスターで連載しているSammy's Cafeも
   「パンデミックに対する法的対応」
という会社法とは無関係のネタになってしまいましたし、最近の商事法務を見ても、会社法よりも金商法とかのネタの方が多いような気がします。

 「会社法であそぼ。」も、少し範囲を広げて、金商法や独禁法でも遊ばないといけないかなあ、という感じでしょうか(今までもインサイダー等若干やってきましたが)。

 何はともあれ、本日は、「お知らせ」をさせていただきます。
 
 本日(8月3日)月曜日の夜7時30分からの
   NHK クローズアップ現代
に、なんと
  私がスタジオゲストとして生出演
いあします。

以下「http://www.nhk.or.jp/gendai/yotei.html」からの引用です。
8月3日(月)放送予定
“内部統制”って何だ?
~不正やミスと闘う企業の模索~(仮題)

「情報漏洩を防ぐためUSBメモリーは決して社外に持ち出さない」。「贈収賄の疑いを避けるため取引先から来た贈り物は必ず送り返す」...。今、全国の企業や組織で、不正や不祥事、ミスなどのリスクを未然に防ぐためのルール作り、「内部統制」が進められている。背景にあるのは、日本企業の中で相次いだ数々の不正や不祥事の結果、企業に対して周囲から向けられるようになった厳しい目線がある。たった一度の不正や不祥事が企業の信頼を一気に失墜させかねないのだ。ところが、経営側が内部統制を押し進める一方で、現場からは、"過度な内部統制"は業務効率を落としたり、人間関係を悪化させかねないといった疑問の声も出はじめているという。「リスク管理」と「業務効率やクリエイティビティの維持」をどう両立させるのか。あるべき内部統制を模索する企業の取り組みを紹介する。
(NO.2776)

スタジオゲスト : 葉玉 匡美さん
    (弁護士)

テレビ出演というと、私は、先日、こっそり
  「ウチくる」に、本村健太郎先生の昔なじみとして出演
しましたが、本業ではなかったので、特に告知をしませんでした。ただ、このブログでは
    事前に教えて欲しかった。
という声をいただきましたので、今回は、本業に関連することでもあり、事前に宣伝させていただきます。

テーマは、上にもありますとおり
  内部統制
です。

 私も知らなかったのですが、クローズアップ現代は、「生放送」であり、私が明日何を語るかは、神のみぞ知るところです。

 先日、立案担当者の飲み会で、某公認会計士に対し、
   「今度、内部統制についてクローズアップでコメントするんだけど、『内部統制で、どこそこの監査法人は・・・と企業に要求して金融庁から怒られた」とか、「どこそこの監査法人の系列コンサルが・・・・・とかやってボロもうけしていた』とか爆弾発言したら、まずい?」
と言ったところ、某公認会計士から
    「そこは、ピーッっていれてもらってください」
と言われました。
 それで、私は
   「生放送なので「ピーッ」って入れられないんだけど」
と言うと、某公認会計士は
   「じゃあ、私は、そのことを聞かなかったことにしてください。放送後に協会から「なんでお前は体を張って止めなかった」って言われるかもしれない。」
とおっしゃっいましたので、もし、本番で、私が、不適切な発言をした場合には、某公認会計士は事前に聞かなかったということにしてあげてください。

冗談はさておき、内部統制報告制度元年をなんとか乗り切った企業さんも、乗り切れずに「重要な欠陥」を指摘された企業さんも、一度
      内部統制って何のための制度なんだろう
と冷静に振り返り
   業務の効率化のための内部統制
という切り口で内部統制を改善するためのきっかけにしていただければと思います。

 放送後にスタジオ見聞録をアップさせていただきますね。

(質問コーナー)
Q1
 発起設立についての司法書士報酬を成立後の株式会社に請求する方法について疑問点があります。(今まであまり考えずに仕事をしてきましたが、考えだすとわからなくなりました。)
 司法書士報酬は会社法28条4号の株式会社の負担する設立に関する費用にあたると考えています。そして、大審院の昭和2年7月4日判決の考え方にたつと、定款に株式会社の負担する設立に関する費用につき記載がない限り債権者(司法書士)は成立後の株式会社に報酬を請求できないこととなります。
 しかし、この報酬請求をするだけのために定款に費用額を記載し且つ検査役を選任して設立登記を申請することは現実的ではないと考えます。
(※ 検査役の選任は変態設立事項の要件ではないが、選任しないと設立登記の申請は不可能という理解を前提)
①上記の不都合性を回避し、成立後の株式会社に適法に司法書士報酬を請求するいい構成はないのでしょうか?
 また、上記と関連してもうひとつ質問させてください。
 設立前に、設立費用等を支払う方法として払込取扱銀行(ホーム銀行)の発起人名義の口座から現金を下ろしてきて、発起人が設立費用を支払うことが考えられます。
②この場合も、定款に設立費用につき記載があるからこそ、発起人の権限内の行為となり現金をおろして設立費用を支払うことができるという理解で正しいでしょうか?つまり、定款に設立費用の金額記載のないまま、発起人が口座から現金を引き出し設立に関する費用を支払うことはできないですよね?
以前の記事にもありましたが、
http://kaishahou.cocolog-nifty.com/blog/2007/01/1_d401.html
自分の理解が正しいのか自信がないのでご教示ください。
投稿: 登記職人見習中 | 2009年7月17日 (金) 01時36分
A1
①成立前に発起人が払込金から出したり、成立後に代表取締役に請求すれば、払ってくれると思います。
②発起人が、定款に記載のない設立に関する費用を払込金から支払った場合は、発起人と会社との関係になるので、司法書士の皆さんはあまり気にする必要はないと思います。

Q2
行政書士の業務についてです。
 わたしは行政書士の資格をもっているのですが、「この資格で食えないよ」「いややり方次第だよ」とか色々きくのですが、実際のところどうなんでしょうか?
 弁護士のみが訴訟代理できる、行政書士はできないというの違いだと思うんですが。それほどこの違いは大きいものででしょうか?

 また、法律の実務の経験がないのですが、いきなり開業するよりも、他の事務所で経験させてもらったほうがよいのでしょうか?
投稿: 質問者 | 2009年7月17日 (金) 19時09分
A2
 弁護士でも司法書士でも行政書士でも、資格だけでは食べられない時代ですね。
 なお、行政書士と弁護士の違いは訴訟代理だけが問題なのではなく、行政書士は、紛争に関して法律のアドバイスをすると弁護士法違反になるというところが大きいのだと思います。

Q3
こんにちは。いつも拝見しています。
今回の記事もとても勉強になります。
> もっとも、振替口座簿では、B社の有するA社株50株が、Xの口座に記録されてい
> るので、B社は、Xに対し、A社株50について、B社の口座を振替先口座とする振
> 替の申請を求めることになるでしょう(不当利得返還請求権)。
ウワサですが、実務上の扱いとして、買い取り請求の事案では
ホフリさんは反対株主Xへの増加記録をしない扱いをしてくれる(らしい)、
と耳にしたことがあります。
先生のおチカラで、ホフリさんの正式な取り扱いという言質をとっていただけると
発行会社の実務担当者は喜ぶと思うのですが・・・(笑)
投稿: 読者R | 2009年7月18日 (土) 15時26分
A3
この問題は、保振に持ち込まれるタイミングにもよるので、一律な取り扱いは難しいところでしょう。困ったときは、相談してください。

Q4
会社法マスター115講座 第3版について

P17 会社の機関設計(1)-総論 図表7-1
会社:「会計監査人設置会社」※委員会設置会社を除く
義務づけられる機関:「監査役(327Ⅲ)」
上記項目が記載されていないのはなぜでしょうか。何か意図ないし意味
があったりするのでしょうか。
投稿: LAW | 2009年7月21日 (火) 23時35分
A4
特に意図はないように思います。
会計監査人は、業務監査ができる監査役がいないとおけないです

Q5
先生が執筆された商事法務1778号の「代表取締役の就任・退任」がすごく役に立っております。その中で、一つ分からないことがありますので、何とぞご教示ください。
定款の定めに基づき取締役の互選により選定された代表取締役が退任する場合のご説明において、「取締役の互選により、●●を解職する決議」、「取締役の互選により、解職を決定した場合」といった表現があり、「互選」という字面からは「取締役全員一致で“選ぶ”」というイメージがあり、「互選により解職」という表現がスッと頭に入ってこなかったのですが、「互選」とは、会社法348条2項と同じく「(取締役の)過半数の決定」と置き換えてもよろしいものでしょうか?

また、その場合、解職を決める互選においては、解職対象の取締役が参加しなくても問題ないでしょうか? 会社法348条2項によれば、非取締役会設置会社では、利害関係を有する取締役も過半数の決定に参加できると読めるため、気になっております。
投稿: 悩める株式課員 | 2009年7月22日 (水) 13時58分
A5
349条は、互選で代表取締役を定めるという規定しかないので、解職も法律上は「互選」によることになりますが、過半数の決定と置き換えるのは、かまいません。
 解職の際に、利害関係を有する取締役を互選から排除することができるかどうかは、なかなか難問ですね。
 定款で定めれば、よさそうですが。

Q6
予選された取締役(監査役)の任期についての質問です。
【前提】
1.いずれも弊社の完全子会社であるX社(存続会社)とY社(消滅会社)が、平成22年4月1日を効力発生日とする吸収合併を行う。
2.合併を機に役員体制を変更するため、X社において3月中に臨時株主総会を開催し、効力発生時期を4月1日とする取締役(監査役)の追加選任決議を行う。
3.X社の事業年度末は、3月末日である。
4.X社の定款には、「定時株主総会は6月に開催する」との規定がある。
5.X社の定款には、取締役の任期が「1年」であることのほかには別段の規定はなく、当該追加選任決議においても、任期について別段の決議はされていない。

上記前提において、平成22年3月開催のX社臨時株主総会で、同年4月1日付で追加選任された取締役(監査役)が同日から就任した場合、当該取締役(監査役)の任期は、A,Bのどちらなのでしょうか。

A:取締役(監査役)の任期は、平成22(25)年6月定時株主総会終結の時まで。
⇒ 株主総会で選任したのが3月××日である以上、任期の起算点は3月××日。

B:取締役(監査役)の任期は、平成23(26)年6月定時株主総会終結の時まで。
⇒ 選任決議の効力発生が4月1日である以上、任期の起算点は4月1日。

先生編著の「千問の道標」のQ390を参照したところ、同書では「株主総会の決議で、選任決議の効力発生時期を遅らせることとしたとしても、任期の起算点については、選任決議の日と解すべき」とあることから、Aが正解なのだと思います。

しかしながら、同書には「会社法では、任期の起算点を株主総会のコントロールが及ぶ「選任時」とすることとした」ともあることから、「4月1日効力発生」という停止条件付であることを株主が承知して決議している以上、「任期の終期が株主総会の意思に反する事態が生じ」ているとは言えず、Bでも良いような気がします。それでも、やはりAが正解なのでしょうか。

なお、株式会社を事業年度初日(4月1日)に設立登記する場合、設立時取締役の選任は3月××日でしょうから、上記と同様の問題が発生するのでは(特に、取締役の任期が「1年」のケースは?)…と思うのですが、この場合はどのように解したら良いのでしょうか。
投稿: ツェーベーツェー | 2009年7月23日 (木) 21時42分
A6
Aです。決議の効力発生日を5年後にすれば、そこから選任の効力が生じるというような制度は妥当ではない(取締役はそのときの株主が選任すべきです)ので、選任時を起算点にしています。
設立前に選任されても、1年以内に事業年度は終了しないので、そのときは、最初の事業年度の終了に係る総会の終結時まででしょう。

Q7
すいません。私の考え方が間違えではなかったかと思いご質問です。
公開会社が第三者割当増資を行なう場合において、割当先から予め定められた払込期日当日に、金銭が用意できないとの連絡があったので、社長は取締役会を開き、払込期日を翌日に変更しようとしたのですが、可能だったでしょうか。
私は払込期日の2週間前までに株主通知、公告又は金商法4条届出が必要なことを考えると、期日を変更する場合も通知等が必要であり、2週間の期間をとる必要があると考え、反対したのですがいかがでしょうか。
投稿: スポーティーひげ | 2009年7月26日 (日) 00時01分
A7
 当初の募集手続きと、変更後の募集手続きは同一性が認められるので、払込期日を後ろにずらすことは、可能です。
 その場合、払込期日は、通知・公告・届出事項なので、変更後の内容を通知・公告・届出が必要ですが、安全を取るならば、スポーティーひげさんが考えられたように、プラス2週間後に払込期日を変更した方がよいと思います。
 実際に発行されてしまえば、必ずしも、株式発行の無効原因にはならないと思います()判例は、通知・公告を欠く場合には、無効事由になるとしていますが、この事例では差し止めの機会は与えられていますので)。

Q8
私は,司法試験の受験生です.私は社会人なので,旧試験を受験している者です.
私から先生へ,3点質問させてください.
よろしくお願いいたします.
1.
現在私は,いま(7月下旬),秋からの答案練習会に向けて,各科目の基礎固めをしています.
基礎は,何度も繰り返すものだと思います.確かに少し飽きてきていますが,我慢して身につけようと努力中です.
具体的な内容は,受験指導校等の論証を,自分の覚えやすい言い回しや接続詞を使いながら加工しつつ,実際に自分の手でノートに書き,同時に記憶をすることを繰り返すというものです(毎年同じ内容ですが・・・)
そこで
・上記の学習方法は,基礎固めとしてふさわしい内容でしょうか?
・今の時期に行うべき足りないものがあるとしたら,それは,何でしょうか?
2.
私は,上三法では民法の債権総論・各論,刑法では刑法全般(すみません)が苦手です.
ですが,商・訴訟法も今の時期からどんどん進めないとというあせりもあり,私の心は空回りしています.
なので,私は6科目を平均的に学習しています.
学習内容は,上記の1.に述べた内容を行っております.
そこで
・6科目を平均的に勉強すべきか・・・それとも,
・上三法の復習が先で,商・訴訟の基礎固めはその後・・・か
先生のご経験もあわせて,アドバイスいただけますでしょうか?
3.手形法についてです.
商法の論文試験対策において,私は,手形法は一番手薄です.
(自慢できません.反省しております)
そこで・・・
商法の科目において,手形法は,十分出題可能性があるので気合を入れて勉強すべきか?
について,教えていただけますでしょうか?
(聞くは一時の恥.そんなの「当たり前だ」という回答も承知で質問させていただきます.)
投稿: ミナミアルプス | 2009年7月29日 (水) 10時46分
A8
1 まあ、いいんじゃないでしょうか。ただ、択一も解いた方がいいと思います。
2 商法訴訟法に力を入れた方がいいと思います。
3 手形法は、やるべきです。ただ、会社法の3分の1くらいの時間でしょうか。

Q9
おそれいりますが、取締役会の実務について、ご教授いただけないでしょうか。
A社の代表取締役Xが、B社の取締役に就任することになりました。
A社、B社ともに取締役会が組織され、事業内容が同業種であり、営業地域も近接しております。
また、A社はB社より、例年、A社の売上高の2~3%を占める規模の取引があり、今後も同様の取引が見込まれます。
B社にとってA社との取引は、売上高の20~30%程度を占めます。
取引内容としては、A社からみて、B社への業務委託や、B社の派遣労働者の受け入れです。

この場合、Xは、A社B社の両方の取締役会で、競業取引の承認や報告(会社法356条1項1号、365条2項)が必要でしょうか。
それとも、承認と報告はB社のみでよろしいでしょうか。
また、作成する取締役会議事録は、包括的な承認や報告でよろしいでしょうか(規則101条3項6号イ)。
投稿: PHS派 | 2009年7月31日 (金) 10時04分
A9
Xが、B社で業務執行を行わないという前提ならば、356条1項の報告と承認はB社だけです。その際は、包括的な承認で結構です。
ただし、A社との関係で忠実義務違反等の問題もありますから、A社においても類似の報告と承認は取った方がよいのではないでしょうか。

Q10
弁護士の先生の恋愛事情って、今迄勉強しかしてこなかったので、
経験が少ないよう勝手に思ってるんですが、実際のところどうなんでしょう?
美人秘書と恋愛ができたりするものなんでしょうか?
受験生の間に恋愛なんてなかなかできないし。。
投稿: まめしば | 2009年7月14日 (火) 18時41分
A10
恋愛経験の少ない弁護士もいれば、恋愛経験が多すぎて秘書の間で要注意との申し送りがされる弁護士もいます。
秘書と結婚する人もいますから、それは人それぞれではないでしょうか。

<女か?、女性か?>
番外Q1
「女」と呼ばなければ感情がこもらないという辺り、男社会だなぁと思いました。そして、弁護士というのはこれほど一般人と感覚が異なるんだと思い、改めて司法制度改革の必要性を感じた次第です。こういう感覚を持ってる弁護士には、絶対相談したくないと思います。早く改革が進んで市民と同じ感覚を持った弁護士が増えることを祈るばかりです・・・(無理っぽいですけど)
投稿: 通りすがり | 2009年7月16日 (木) 23時57分

>市民と同じ感覚を持った
「女」と呼ぶほうが感情がこもるというほうがよっぽど市民感覚に近いとおもうんですけど。。演歌の世界もそうですし。
フェミニストって呼称などの形式だけをおもんじるようなきがします、
投稿: 通りすがり2 | 2009年7月17日 (金) 19時01分

添削です
「女」と呼ばなければ感情がこもらないという辺り、男社会だなぁと思いました。

→①「女」と呼ばなければ感情がこもらないという辺り、先生も男だなぁと思いました。

  または

→②「女」と呼ばなければ感情がこもらないという辺り、弁護士の世界も男社会だなぁと思いました。

そして、弁護士というのはこれほど一般人と感覚が異なるんだと思い、改めて司法制度改革の必要性を感じた次第です。

→①そして、先生はこれほど一般人と感覚が異なるんだと思い、改めて司法制度改革の必要性を感じた次第です。

  または

→②そして、弁護士というのはこれほど私達女性と感覚が異なるんだと思い、改めて司法制度改革の必要性を感じた次第です。

こういう感覚を持ってる弁護士には、絶対相談したくないと思います。

→①私は先生には、絶対相談したくないと思います。

   または

→②現在の弁護士には、絶対相談したくないと思います。

早く改革が進んで市民と同じ感覚を持った弁護士が増えることを祈るばかりです・・・(無理っぽいですけど)

 → ①の文脈ならば、相談可能な弁護士は存在するので、この文章は不要です。②の文脈ならば、「早く改革が進んで私達女性と同じ感覚を持った弁護士が増えることを祈るばかりです・・・(無理っぽいですけど)」となります。

 論理的に破たんしている文章を見てしまうと直したくなるのが癖なので、すいません。
            よう
 ①、②ともに、私自身の考えではありません。

 私自身は先生の考え、好きですよ。

 白夜行の書き込みも、法律家としては、これに感動してしまうとか言ってしまうのはリスキーなのではないかと思うのですが・・・余計な御世話ですね。

 暑いですけど、がんばってください。

 では 
投稿: 文章が破綻してますよ(笑) | 2009年7月17日 (金) 22時32分
番外A1
 「女」と「女性」は、ほぼ同義であり、そこに人それぞれが思いを込めるから、言葉の面白さがあるのだと思います。
 私は、自分の感じる語感が、それほど社会的常識から外れているとは思っていませんが、そう感じる人がいることを否定するものでもありません。不愉快になられたのであれば、申し訳ないと思います。
 ただ、一定の思想のもとで「言葉狩り」をされるのは、好きではありません。

番外Q2
「女」と書くこと自体は問題ないと思いますが、

「女にフラれることが、自らの間違いの証明であるならば、私は、数え切れないくらい間違いを起こしてきたことになります。」

という文章からは、女性蔑視的なものが感じられない訳でもありませんね。

まぁ、この先生は、本人も認めていらっしゃいますが、外見的にはぜい肉も多く、決して良い先生ではありません。他にも、女性関連のことでは、このブログで、変な発言を、多数繰り返しておられます。
あまり、ピリピリしてもしなくても、と思いますが。
投稿: うーん・・・ | 2009年7月27日 (月) 01時33分
それじゃ、
「男にフラれることが、自らの間違いの証明であるならば、私は、数え切れないくらい間違いを起こしてきたことになります。」

と女が書いたら男性蔑視なのですか?

「男」「女」で十分です。いちいち「性」をつけて何になるんでしょうか。
どう思われますかK俣先生。
投稿: はあ? | 2009年7月28日 (火) 11時47分

番外A2
 私は、女性を崇拝する傾向にあるものの、女性蔑視は全くないと自分では思っています。
  女性の社会進出にも賛成ですし、女性が社会的に受け入れられにくい部分があるという現実の中で、少しでもお手伝いができたらと思っています。
 実際、妻が医師として働いている姿を見てうれしく思いますし、妻が三男を出産したときには、出産直前から約1ヵ月間、自宅勤務をしながら、食事を作ったり、育児をしたりしていたこともありました。
 私は、小さい頃から、働く母の後姿を見て育ち、女性が家庭と仕事を両立する難しさを垣間見てきたから、「女性を助けたい」と思うのかもしれません。

 外見的にぜいにくが多いのは、妻からも常々指摘されていますので、ダイエットに励みたいと思います。

また、検事時代・弁護士時代を通じ、事件の解決のために、いろいろと策謀を巡らせることから、よく仲間から「腹黒いですねえ」と言われますので、「良い先生ではない」といわれると、返す言葉もありません(笑)

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2009年7月14日 (火)

振替株式の株式買取請求権

前回、株式買取請求権の話題を書きましたので、その関連で
   振替株式の株式買取請求権
についてお話しします。

 株式買取請求権には
   116条(譲渡制限等の付加の定款変更)
      469条(事業譲渡等)
      785条(吸収系組織再編の消滅会社等)
      797条(吸収系組織再編の存続会社等)
      806条(新設系組織再編の消滅会社等)
があり、その効力発生日(株式の移転の効果が生ずる日)は
  1 吸収合併・株式交換の場合の785条 吸収合併・株式交換の効力発生日(786条5項)
    2 新設合併・株式移転の場合の806条 新設会社の設立の日(807条5項)
    3 それ以外 代金支払日
とされています。

他方、振替法には、3の場合を念頭においた
  代金の支払いと振替の同時履行(振替法155条)
の規定は置かれていますが、1や2の場合の特則は置かれていません。

 そのため、上記1や2の場合に、実務上、どう取り扱ったらいいのか、ということが問題となってます。

 ここでは、
 上場会社であるA社とB社が、B社を完全子会社化するため、A社の振替株式を対価とする株式交換(交換比率2対1)を行う場合に、B社の株主XがB社に対して100株の株式買取請求権を行使した
という事例をあげて説明します。

 まず、この事例において、会社法では、どのような権利関係になるかを概観すると
<株式交換の効力発生日前>
 XがB社株100株を保有
<株式交換の効力発生日>
 ① XのB社株100がB社に移転
 ② B社が取得したB社株100は、株式交換によりA社に移転
 ③ B社にA社株50が割り当てられる。
ということになります。

 これに対し、振替口座簿の記録は            
<株式交換の効力発生日前>
 Xの口座にB社株100株記録されている
<株式交換の効力発生日>
 Xの口座のB社株100が抹消され、A社株50が記録される
   (B社株は、振替株式ではなくなるので、どこにも記録されない)
 B社の口座には何も記録されない
ということになります。

 このように会社法が予定している法律効果と振替口座簿の記録が対応していないので、
  会社法の法律効果のとおりに、振替口座簿の記録を合わせる処理を行うのか
    振替法が優先されて、振替口座簿のどおりの法律効果が生じるのか
ということが問題となります。

 特に問題になるのは、会社法の法的効果の①の部分、すなわち
  株式交換の効力発生日に、Xの保有するB社株式100株は、B社に移転するのか
というところです。

 というのも、振替法140条は
  振替株式の譲渡は、振替により、譲受人の口座に増加記録がされなければ効力が生じない
というルールを採用しているので
  XからB社へ振替が行われていないので、株式の譲渡の効力が生じないのではないか
とも考えられるからです。

 これを法的に表現すれば
  振替法140条は、会社法786条5項の特則か?
ということになります。

 株式買取請求権は、株主と会社との間で売買契約を成立させる権利です。したがって、株式買取請求権の行使による株式の移転は、基本的には、売買契約による株式の譲渡と捉えるのが素直でしょう。

 とすれば、振替法140条は、「振替株式の譲渡」についての特則なので、振替がない以上、株式の移転の効力は発生しないと考える見解もあります。

 ただ、このような解釈を採った場合

   Xが、株式交換の効力発生日の前日までに、B社に対して買取対象株式の振替をしていなければ、効力発生日の株主は、Xのまま

となり、XにA社株式が割り当てられてしまいます。

 他方、B社は、効力発生日までにB社株式を取得することができなかったので、A社株式の割当を受けることはできません。
 また、Xが行使した株式買取請求権については、Xが株式交換によりB社株式を失った以上、B社に対しB社株式を交付することはできなくなり、Xの義務の履行不能となります。そして、B社のXに対する代金支払い債務も、危険負担の債務者主義により、消滅します。
 つまり、
   Xの株式買取請求権は、効力を失う
ことになります。

 このように振替法140条を会社法786条5項の特則と捉えれば
  XがB社に対して株式買取請求権を行使する場合には、効力発生日の前日までに、買取対象株式をB社の口座に対し振替を完了させること
が法律上要請されることになるわけですが、
  振替の申請から振替の完了まで4営業日程度が必要なので、株式買取請求権が、株式交換の効力発生日の直前に行使されると、効力発生日までに振替が完了しない
という問題は解決することができません。

 そのため、本来、会社法上、株式買取請求権が行使可能であるにもかかわらず、事実上、これを行使することができない場合が生ずることを認めていいのか、という批判を受けることになるでしょう。

 それでは、このような不都合を避けるために
  振替法140条は、会社法786条5項には適用されない
という考え方はできないでしょうか?

 振替法140条は、「譲渡」に関する規定ですから、たとえば、株式交換による完全子会社株主から完全親会社への株式の移転のように「譲渡」以外の移転には適用されません。

 そして、会社法786条5項は、
  株式交換の効力発生日において、株式買取請求権の効力が発生しなければ、完全子会社が自己株式を取得することができなくなる
という問題を回避するために、本来、双務契約においては認められるべき代金支払義務と株式移転義務の同時履行を認めず、
  法律上、強制的に完全子会社への株式移転を認める規定
であり、同項による株式移転は、当事者の契約に基づく「譲渡」には該当しないものとも考えられます。

とすれば、会社法786条5項の株式移転については、振替法140条は適用されず、
  説例のXからB社への株式移転は、株式交換の効力発生日に効力を生ずる
ことになります。

 そして、B社がB社株式を取得することができれば
 ② B社が取得したB社株100は、株式交換によりA社に移転
 ③ B社にA社株50が割り当てられる。
という会社法の予定している法律効果が生ずるので、株券の電子化前の取り扱いとほぼ同様の取り扱いが可能になります。。

 もっとも、振替口座簿では、B社の有するA社株50株が、Xの口座に記録されているので、B社は、Xに対し、A社株50について、B社の口座を振替先口座とする振替の申請を求めることになるでしょう(不当利得返還請求権)。

 この際、Xは、B社による代金の支払いと、A社株50の振替の申請の同時履行の抗弁を主張することができるか、という点は難しい問題ですが、本来、代金の支払いと同時履行の関係にあったB社株の代替物としてA社株が記録されたことを考えると、同時履行を認める方が公平であるように思います(条文上の根拠がないので、これを否定するという見解もありうるでしょう)。

 以上のようにB社の株主Xについては
    1 株式交換の効力発生日前に振替が完了しなければ、株式買取請求権の効力が失われるという解釈
    2 株式交換の効力発生日に株式買取請求権の効力が発生し、完全子会社であるB社はXに対してA社株の振替の申請を求めることができる
という二つの考え方がありえますが、個人的には、2の方がマイルドで会社法と整合するので気に入っています。

 実務では、まだ固まりきっていないようにも思うので、今後の実務の進展が楽しみなところです。

(質問コーナー)
Q1
お聞きしたいのは、先生は、
①どのような基準で参照すべき文献を検索されるのでしょうか。
②また、どのような基準で、文献の取捨選択を行うのでしょうか。
③さらに選択した文献はどのように管理してますでしょうか。
 (ワープロでまとめる作業などはなさいますか)
膨大な量の情報がある場合の上記基準などについて、先生の術法を教えていただければと思います。
投稿: やまだ | 2009年7月 2日 (木) 13時27分
A1
 ① 検索の仕方は、問題によって様々ですが、最近は、判例、文献検索のデータベースが充実してきているので、まず、データベースで検索します。そして、原典をあたって、参考文献として掲げられているものをさらに調べるという感じが多いのではないでしょうか。
② 取捨選択は簡単です。最高裁判例は尊重する。地裁判例はあまり尊重しない。文献は、論理的に正しいと思うものは尊重する。非論理的なもの、商法改正や会社法で上書きされたものは、尊重しない。
③ 文献の管理は、データベースの結果は、1つのファイルに貼り付けます。文献は、重要部分のみ、PDF化してそのファイルに貼り付けるか、同じフォルダに保存します。

Q2
都内私大ローのW大、K大、C大、以上3校のうち、H22年4月入学者から、W大が定員を1割削減することを公式にプレスリリースしたようです。また、K大も「定員削減を検討中」とのことです。

そんななか、ひとりC大だけが「定員削減は予定していない」と文科省のご意向に頑なに逆らい続けています。
C大にはやはり、相応の報復措置が下されるのでしょうか。
投稿: 佐々木歓一 | 2009年7月 5日 (日) 02時53分
A2
 私は、文科省の役人ではないので、分かりません。
 行政指導に対して、「報復」したら行政法上問題ですが。

Q3
Q5に対する回答で、「女」と書かれていますが、女性から見たら不愉快です。
常識のある人なら「女性」と書くべきではないでしょうか。
大変ガッカリしました。
投稿: ひと | 2009年7月 5日 (日) 14時36分
こんばんは。いつもは読むだけですが、他の方のコメントでどうしても気になった
ので、一言書き込みます。
>女性から見たら不愉快です。
あなたとあなたの周りにいる女性だけが「女性一般」ではないでしょう。
>常識のある人なら「女性」と書くべきではないでしょうか。
どのような「常識」でしょうか。私が不勉強で知らないだけかもしれませんが、
「女」という言葉がそれほど避けなければならない言葉だとは思いませんが。
>大変ガッカリしました。
がっかりされるのは自由ですが、ブログ主に何を期待されておられますか。
投稿: John | 2009年7月 9日 (木) 00時14分
「女性」「女」論争はよく耳にするので、是非葉玉先生の御意見を御聞きしたいと思います。
私の意見としては、「女」と呼ばれることを不愉快と感じる女性は、男性のことを「男」と呼ぶことは果たしてないのでしょうか。一般的に、「男」という表現は差別的な表現とはされていないように思われます。男性については「男」という表現も一般的に使用されるにもかかわらず、女性は「女」と表現するべきではないというのは、一歩間違えると逆差別にもつながりかねませんし、また、そのように感じる女性は意識し過ぎ(あえて強い表現を使えば、男性以上の特別扱いを求めている)と言えるかもしれません。Lady Firstが当然のエチケットとされているアメリカでも、そのような特別扱いを逆に不愉快と感じる女性が増えているとよく聞きます。体力差もありますし、子育ての問題等もありますから、当然のことならが何でもかんでも男性と女性は同じように扱われるべきだとは思いません。もっとも、上記のような呼称についてまで拘られるというのは、少々行き過ぎではないかというのが私の意見です。

投稿: 男 | 2009年7月13日 (月) 09時17分

A3
 不愉快になったとすれば、すみません。
 でも、私の日本語の感覚では
   恋するのも、別れるのも、男と女
と思っています。
 「男と女」という映画がありましたが、「男性と女性」というタイトルではピンときません。
 男性と女性というのは、統計や論文の中で、性のカテゴリーや一般的な名称として使うのには適していますが、恋愛という情念の世界では、「男」「女」じゃないと、気持ちがこもりません。

Q4
株主名簿閲覧請求と、計算書類閲覧請求の拒否事由は同じですが、これは両者パラレルに考えていいということでしょうか。
会社にとって不利益の程度が株主名簿閲覧請求されるほうが高いとの思えるのですが、株主にとっては株主名簿閲覧請求のほうが不利益が高いとも思えるのですが、どのようにかんがえればいいでしょうか?
投稿: ほいほほい7 | 2009年7月 5日 (日) 16時15分
A4
なんとも答えにくいですが、過去の記事を参照してください。

Q5
完全親会社(A)とその完全子会社(B)があるとします。Bがその事業の一部(X事業)をAに会社分割の方法により移転し、Aはそれに対して分割対価を交付しなかったとします。他方で、BはX事業の他にY事業を営んでいて、Y事業については今後も営むことを予定しています。この場合、BはY事業の債権者との関係で債権者異議手続を履践する必要があるでしょうか?わざわざA株式の還流(AからBへ、そしてBからAへ)を行うのも面倒ということで対価を交付しない扱いとしているという意味では実質面では分類としては昔の人的分割(税務的には分割型分割(国税庁も一定の要件のもとにこのように理解していますね。))ですが、会社法の規定で債権者異議手続が必要とされているのは、吸収分割株式会社が効力発生日に全部取得条項付種類株式の取得又は剰余金の配当をすることについて吸収分割契約において定めている場合とされており(会社法第789条第1項第2号括弧書)、本件では、全部取得条項付種類株式の取得又は剰余金の配当はないことから、法解釈上は、債権者異議手続は不要と解さざるを得ないように思いますがいかがでしょうか。
投稿: 会社分割大好きおじちゃん | 2009年7月 6日 (月) 15時05分
A5
分割会社の承継対象となっていない債権者は、債権者保護手続きは不要です。

Q6
たとえば、株券発行会社で、譲渡制限株式を譲渡して、未だ株式の名義書換え未了の場合に、株主総会が開催された場合に、譲渡人に招集通知がなされなかったため、譲渡人が株主総会決議取り消しの訴えを提起し、会社としては、譲渡人の株主の地位を争っているという事例を考えた場合、招集通知もれという取消事由該当性の話の前提として、譲渡人は会社に株主であることを対抗しうるかということを論じることになると思います。

譲渡人が株主の地位にあるかどうかというのは、訴訟要件である「株主」(会831①)に該当するのかという、原告適格のところで論じるべき問題なのか、それとも、本案の取消事由の有無のところで論じるのか、どちらなのかがわかりません。
株主名簿上はいまだ譲渡人名義なので、形式的には「株主」に当たるとして、本案で実質的に判断するのか、それとも、原告適格の問題のところで、実質的に株主と言えるか、判断するのか…わかりません。
投稿: ロー3年生 | 2009年7月 8日 (水) 21時00分
A6
会社法100問を読んでください。
旧司法試験の過去問に載っています。

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2009年7月 1日 (水)

略式株式交換と株式買取請求権

6月29日号の日経ビジネスの「ビジネス弁護士ランキング2009」で
   総合部門 第2位
   M&A・企業再編・買収防衛策部門 第4位
に評価していただきました。
 投票していただいた方には、心より感謝します。
 特に顧問や個別案件についても評価していただいていたことは、心底うれしかったです。
 これからも、目の前の案件の解決に全力を尽くしますので、よろしくお願い申し上げます。

 さて、先週、先々週は、株主総会で忙しかったんですが、その間を縫って、5件も裁判があり、私は、毎日のように総会会場であるホテルと東京地方裁判所を渡り歩いていました。

皆様もご想像のとおり、私は、会社法関係の訴訟が多く、訴訟ならではの面白い論点もあるので、このブログでも時期を見ながらご紹介したいと思います。

ただ、訴訟係属中の事件は書きづらいので、本日は、すでに終了している
  略式株式交換における株式買取請求権行使者の株式価格の決定申立事件
についてお話をしたいと思います。

事案の概要は次のとおりです。

1 S社は、上場企業であるD社の株式の90%以上をTOBで取得した後、完全子会社化するため、S社とD社は、株式交換契約を締結した。
2 この株式交換において、D社は、基準日を定めて臨時株主総会を開催し、当該総会で株式交換が承認された。
3 X社は、当該総会の基準日後に株式を取得し、D社に対して株式買取請求権を行使したが、D社は、「基準日後の株式取得者は、株式買取請求権を行使することができない」として買取を拒否した。

以上の事案において、私は、株主のX社側の代理人として対応いたしました。
本来、私は、発行会社側の代理人になることが多いのですが、この問題は会社法の解釈上、大変興味深いので、X社のご依頼をお受けすることにしました。

この事案のように発行会社が株式買取請求権の存在を否定した場合、株主としては、代金の支払いを求めたいところですが、代金が決定しないことには、代金支払請求訴訟を提起することはできません。

そこで、こういうときには、発行会社と株主との間で協議がまとまらないという理由で、価格決定の申立(非訟事件)を行うのが一番適切な解決法だと思います。

価格決定の申立は、株式買取請求権の行使が有効であることを前提とした申立ですから、本事案では、発行会社は、その申立てに対し
「株式買取請求権は存在しないから、申立は不適法却下すべきである」
と主張しました。

 つまり、株式買取請求権があるのかないのかは、
   申立が適法とされ価格決定のプロセスに入るのか
   申立が不適法却下されるのか
というレベルで判断されることになるわけです。

この申立ての争点に入る前に、株式交換において完全子会社となる会社側の株式買取請求権について、前提知識の確認をしておきまししょう。

完全子会社となる会社側の株式買取請求権は、785条に規定されており
(1) 株主総会の決議を要する場合(2項1号)
イ 当該総会で議決権を行使できる株主は、反対の通知をし、実際に反対した者だけが株式買取請求権を行使できる(1号イ)。
ロ 議決権を行使することができない株主は、全員株式買取請求権を行使することができる(1号ロ)
(2) 株主総会の決議を要しない場合(2項2号)
 すべての株主(効力発生日の前日までに株式を取得した株主)が株式買取請求権を行使することができる
ということになっています。

たとえば、通常の株式交換は、「株主総会の決議を要する場合」なので、1号が適用され、普通株式しか発行していない会社であれば、1号イが適用されることになります。
 1号ロは、議決権制限株式の株主のことをいい、株主総会の「基準日後に株式を取得した株主」は議決権を行使することはできませんが、1号ロの適用はなく、株式買取請求権を行使することができないとするのが通説です(争いはありますが、実務では、この考え方で確立しています)。

こうした解釈を前提に、この事案では、
  略式合併の要件を満たしているため、本来、2号に該当して株式買取請求権を行使することができた株主が、会社が「任意の株主総会」を開催することにより、1号が適用されることとな、「基準日後に株式を取得した株主」として買取請求権を行使することができなくなってしまうのか?
ということが問題になりました。

実は、略式株式交換ではなく
  簡易組織再編
においては、「任意の株主総会」を開催し、その株主総会の基準日後に株式を取得した株主については、株式買取請求権の行使を認めないという有力な見解があります(武井一浩先生と郡谷大輔先生が論文を書かれています)。

私も、簡易組織再編については、
  組織再編契約の締結の時点では、効力発生日において簡易要件を充たすのか、充たさないのか、不明の場合があるため、株主総会の決議をスケジュールに組み込む必要がある
という理由から、任意の株主総会を開催すべき場合があることは認識しています。

 ただ、任意の株主総会を開催したとしても、基準日後に株式を取得した株主の株式買取請求権を制限することができるかどうかは、別問題です。

 理論的には、任意の株主総会を開催しても、簡易要件を満たした場合には、基準日後株主にも買取請求を肯定するという見解はありうるでしょうし、少なくとも、会社が、買取請求を封ずるために、株主総会を開催したような場合には,株主の保護のために、買取請求を認めるべきであるという見解もありうるでしょう。

 私は、簡易組織再編については、任意の株主総会を開催しても、必ずしも承認されるとは限らない状況であれば、組織再編の当否を問う株主総会を開催することは合理的であり、場合によっては、基準日後株主の買取請求を制限するという解釈もありうるのではないかと思いますが、常に制限することができるというのは、行き過ぎであるようにも思えます。
 少なくとも、簡易要件を定款で変更し、当該組織再編が、簡易要件に該当しないという形式を整えた上で、基準日後株主の買取請求権を行使する方が安全でしょう。

他方、略式株式交換については、任意の株主総会を開催することにより、基準日後株主の買取請求権を制限することには、かなりの違和感を感じざるを得ません。

 簡易組織再編と略式組織再編は、株主総会の決議を要しない場合として、同じ条文に規定されているので、なんとなく同じようなものと捉えがちですが、

 簡易組織再編は、当該組織再編が会社に与える影響が軽微であることから、総会を省略したもの(株主構成によっては、総会を開催しても、承認されるかどうか分からない)であるのに対し
 略式組織再編は、組織再編の相手方が90%以上を保有する株主であり、承認されるのが確実であることから、総会を省略したものである

という大きな違いがあります。

 そもそも、略式要件を満たした状態で、なぜ「任意の株主総会」を開催するのでしょうか?
 開催しても、承認されることは確実であり、簡易要件を満たす場合の任意の株主総会のように「株主の意思を確認する」という合理性はありません。

 結局、当該総会は、基準日後株主の株式買取請求権の行使を制限する目的で開催されたものと考えるのが素直であり、私は、会社法上の株主保護制度を、合理性のない総会を開催するだけで、無力化するのはおかしいと主張しました(相手方は、「新株予約権の償却のために株主総会を開催する必要があった」のだから、785条1項1号が適用されると主張しましたが、私は、「本来、償却できない新株予約権を償却するために任意の株主総会を開催することは、新株予約権者の利益を害するものであり、合理性がない」と反論しました)。

785条1項1号の文言を見ても、株主総会の決議を「要する場合」と規定されており、株主総会の決議を得た場合というような表現にはなっていません。
 略式要件(784条1項)を充たせば、783条の適用が除外され、株主総会の決議を「要しない」ことは明らかであり、このように「要しない場合」に任意に株主総会を開催したとしても、「要する場合」に変化することはないと思うのです。

実際の裁判では、もう少し、肌理の細かい議論をして学術的にも大変興味深い論争をしたのですが(相手方の代理人にも、有名な会社法学者が名を連ねていらっしゃったので、炉論争というのにふさわしい議論でした)、最終的には、裁判所(当初は単独でしたが、後に合議になりました)は
  株式買取請求権を認めざるを得ないので、価格についての主張をしてください
という指揮をされ、
  略式株式交換では、任意に株主総会の決議を得ても、基準日後株主の株式買取請求権を制限することはできない
という結論になりました。

 私は、自説が採用されて、とりあえず何らかの勝ちは得られると思ったのですが、その後、価格についての協議が長引きそうだったため、申立ての取り下げることとなり、結局、裁判という形で、裁判所の判断が示されることはありませんでした。

 最近は、株式買取請求権を行使する株主が増え、その点を巡る紛争が頻発しているので、個人的には、地裁の決定を見たかったものの、クライアントの意向が最優先なので、特に残念という気持ちはありません。

ただ、この案件で交わされた議論や裁判所の判断は、実務に役に立つと思いましたので、このブログで簡単にご紹介しました。そのうち、商事法務かどこかで論文を書いてみようかなと思っています。

 なお、登記手続では、簡易要件・略式要件を備えていても、任意の株主総会を開催して、議事録を添付すれば、組織再編の登記をすることはできます。その意味で「任意の株主総会」が認められるかどうか、という話と、その株主総会の開催で基準日後株主の株式買取請求権を制限できるか、という話は区別して理解していただければ幸いです。

(質問コーナー)
Q1
連結対象の会社がないのなら、いらないのでは。
投稿: | 2009年6月16日 (火) 00時46分
A1
適用除外規定がないので、義務がないとはいいづらいというところです。
義務があるけれども、連結対象がないのだから、単体と同じと考えるのが落ち着きどころでしょうか。

Q2
委員会設置会社において、内部統制(ガバナンス)の不備により当社において様々な不祥事が起きたとします。
 株主がその不祥事の責任を追求し解任を求める場合、取締役兼代表執行役(社長)の責任としてその社長のみを解任するか、416条1号1項・2項の取締役会の任務懈怠として取締役全員を解任するか、または監査委員の任務懈怠を重視し解任するか、どれが最も理論的でしょうか。
投稿: kuma | 2009年6月16日 (火) 02時50分
A2
論理の問題ではないですね。

Q3
> という法律家ならすぐに気づく大きな穴があるのですが・・。
二人が本当に隠したかったのは、最初の殺人そのものではなく、
雪穂が売春させられていたことです。
たとえ、少年法で守られているとはいっても、雪穂が売春させられていた事実を
他の誰にも知られたくないという気持ちが 2人には強かったのです。
投稿: 白夜行ファン | 2009年6月16日 (火) 07時26分
白夜行」は、原作も(のほうが)面白いですよ。
投稿: EQⅡ | 2009年6月16日 (火) 12時37分
白夜行は原作とドラマで描かれ方が全く違うので、是非原作を読んでいただきたいと思いました。
投稿: | 2009年6月17日 (水) 18時43分
A3
小説は、ドラマよりも知的・理系的、本格的な推理小説で、これも傑作です。余韻が多く、解釈の余地が大きいところが傑作たるゆえんでしょう。ただ、このまま連続ドラマにするのでは、視聴者がついてこれないから、ネタばらししながら、心の動きを演出をする必要があったのでしょう。
二人が何を隠したかったかについては、ドラマでは、時効に焦点があたっていましたから、殺人事件という方が強いのかと私は感じました。小説では、時効の要素はほとんどないし、雪穂は自分が売春させられた事実を義理の娘にほのめかしているし、よりミステリアスです。小説の雪穂の方がずっと強く、ミステリアスで、スカーレット的です。

Q4
会社の解散手続きについて質問なのですが、
清算人が弁済等の手続きを経て、残余財産の確定をする際に
実務上、財産目録等を作成しますが、この財産目録等に関しては
会社法492条3項の株主総会の承認決議は不要なのでしょうか。

法務省の方に電話で問い合わせをしたところ、株主総会の決議は必要だと言われました。法律上、作成が求められていない財産目録等に対して492条3項の決議が必要なのか疑問ですし、実務上は、清算人の決定もしくは清算人会の決議で残余財産を確定してしまい、株主に分配する処理をするところがほとんどだと聞きます。いったい、どちらが正しいのでしょうか。
投稿: おおい | 2009年6月16日 (火) 23時58分
A4
492条3項の財産目録以外に実務上作成される残余財産の確定の際の財産目録は、株主総会の承認の対象ではありません。

Q5
ろくにデートもせずに勉強ばかりしていてたら、彼女にフラれました。
僕は間違っていたんでしょうか。
(家族法に、妻のいいつけは守らなければならない。彼女には精一杯サービスしなければならない。と、ちゃんと書いてあれば、法令遵守したんですが…)
投稿: ニャア | 2009年6月17日 (水) 19時09分
A5
女にフラれることが、自らの間違いの証明であるならば、私は、数え切れないくらい間違いを起こしてきたことになります。

Q6
会社法360条について質問させてください。

先生は、「会社法の実務」の講義の中で、360条の法令違反には、善管注意義務は含まれないのが通説であるとおっしゃっていましたが、どの文献を見ても、善管注意義務が含まれると記載されています。

先生のお考えは、講義レジメに記載されているだけで、千問、百問、115講座を見ても書かれていないのですが、何か他の論文に書かれていますか?

今年の新司法試験の問題で類似の論点が出題されましたが、法令違反に善管注意義務違反は含まれないと論述したのは周りで私だけで不安を感じています。できましたら、右法令違反の解釈についてご教授していただけると助かります。
投稿: | 2009年6月18日 (木) 01時25分
A6
「通説」というのは言い過ぎでしたが、経営判断原則の問題となる狭義の善管注意義務については、監査役・株主の経営判断と取締役の経営判断が異なる場合に、事前の差し止めまで認めてよいか、という問題意識で、これを否定する見解はあります(百選にも少数説として紹介されています)。
 狭義の善管注意義務違反も差し止めの対象となる「法令違反」であるという見解が現在は一般的なようですが、取締役が行為を行う前に、株主が、当該行為を経営判断原則の適用のない著しく不合理な行為と立証するのは困難であり、実際には、否定説と肯定説は紙一重だと思います。

Q7
もし、定款変更が株主総会で決議された後に、明らかな誤植が見つかった場合、やはりこの誤植は、のちの株主総会で定款変更議案として決議しなければ修正できないのでしょうか?
投稿: mina | 2009年6月18日 (木) 22時33分
A7
考え方にもよりますが、私は、誤植は、総会の決議無く、修正できると考えます。

Q8
>outputが足りません。それと、穴埋めについての解き方のノウハウが足りないのでしょう。
過去問は1度解答したものですが、既出の問題を時間はかって解くの有益ですか?
あと、穴埋めのノウハウについてどこでならえばよいしょうか?
先生が講師をされていたとき択一の指導をどのようにされていました?
投稿: 受験生 | 2009年6月19日 (金) 21時02分
A8
過去問は、間違いをしなくなるまで、何回も解きます。
穴埋めのノウハウは、予備校で聞いたり、自分で試行錯誤して身につけます。

Q9
 A22のご教授ありがとうございました。
 実はこの案件は家族経営の中小企業で,発行済み株式の9割を保有していた社長が死亡して,会社を継いだ長男が社長となったが,共同相続人が相続について争っているので,この株式も遺産分割ができていないという事例です(他の相続人は長男を共有株式の代表者とすることに同意しません)。
 そこで,定時総会の時期となったので,被相続人名義の株式はどう扱えばいいですかという相談がきました。被相続人名義の株式に係る議決権が株主総会の定足数算定の基礎に入ると考えると,そもそも株主総会が成立しないし,長男が保有する残り1割の株式に係る議決権のみで株主総会決議ができるとすると,1割の議決権だけで本当にいいのだろうかという疑問が湧きます。先生は実務上は工夫しているので問題にならないとおっしゃっていましたが,具体的にはこういう場合も何か方策があるでしょうか。
 上記の補足です。会社の方から議決権行使を同意すればいいのではとも考えたのですが,こういう事例で社長という地位を利用して自分自身の権利行使を認めることは公正さに欠けますし,長男も,他の相続人から会社にどういう責任追及がされるかわからないので,できればそれはしたくないと考えています。
投稿: ポケット | 2009年6月20日 (土) 10時43分
A9
 具体的な案件は、オウンリスクで解決をお願いします。

Q10
農地も現物出資できるのですか??
加えて、会社法に禁止する条文、文言がないので、
どんな不動産でも現物出資可能となるのでしょうか??
投稿: 大志 | 2009年6月20日 (土) 16時58分
A10
株式会社でも農業ができる場合もあるので、農地も現物出資できる場合はあるでしょう。ただし,一般的には、農地を株式会社に移転することはできないので、現物出資は困難であると思います。

Q11
社債の総額を当該種類の各社債の金額の最低限で除して得た数が50を下回る場合って、要はどういう意味でしょうか。
投稿: 簡単かもしれませんがご質問 | 2009年6月21日 (日) 01時35分
A11
15億円の社債券、5億円の社債券、5000万円の社債券が発行されたら、20億5000万円を5000万円で割ります。すると、答えは41ですから、50を下回っています。そういう意味です。

Q12
葉玉先生は学生時代に麻雀をかなりやっていたそうですが、
世間で黙認されている程度のレートのかけ麻雀は違法でしょうか?

同窓会とかで麻雀をすることになっても
最高で1、2万円くらいしか動かないレートであっても
お金を賭けることは拒否すべきでしょうか?
投稿: F | 2009年6月22日 (月) 21時42分
A12
お金をかけることは、賭博罪の例外には該当しないので、レートがどういうものであれ、基本的には賭博罪の構成要件に該当します。
ただ、同窓会で点ピンでやるくらいの麻雀を摘発する警察はいないと思います。

Q14
先生はお若い頃からハードワーカーでいらっしゃるとお見うけしますが、こだわりの健康法はありますか?
投稿: 山道 | 2009年6月22日 (月) 22時04分
A14
健康法をやっていないので、不健康です。

Q15
はじめまして。
先生のこのブログで会社法を勉強させていただきたく
コメントを書かせていただきました。
またよろしければ、私のブログとリンクを
貼らせていただければと思います。
投稿: 総務コンサルタント | 2009年6月23日 (火) 21時53分
A15
どうぞ、ご自由にリンクして宇田債。

Q16
24歳で、今年の2月から本格的に法律を勉強し始めた初心者です。
民法はとても興味深く楽しく勉強出来ているのでスイスイ進むのですが、会社法になるとと興味はあるものの、どうしても出て来るの言葉や、実際の生活からはかけ離れた内容のため分かり難いイメージを持ってしまいます。
慣れるしかないと言われればそれまでですが、何か良い方法はないものでしょうか?
投稿: まるこめ | 2009年6月25日 (木) 08時37分
A16
良い先生に話を聞くことがもっとも早道です。
次のコメントも参考にしてください。
 まるこめさんへ、企業小説を読んで少しでもイメージを持ちやすくするのがよいのではないでしょうか。私(47期)が受験生だった頃は、無味乾燥な鈴木会社法しか基本書がなく、それこそ予備校の手助けがなければ会社法の本を読むことすら地獄でした。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。かろうじて企業小説を読んだものの、清水一行と城山三郎しか著者がいず、これまた砂を噛むような思いをしたものです。
 今は、高杉良・牛島信・真山仁・・・むしろ枚挙に暇がありません。肝心なのはあくまで企業小説は会社法学習のスパイス、切欠に過ぎないと割り切ること。企業小説を読むことが楽しくなりすぎてしまえば、タダの読書家になってしまい、受験生ではなくなってしまいます。そういうバランス感覚も大事でしょうね
投稿: ろぼっと軽ジK | 2009年6月25日 (木) 17時31分

Q17
ご無沙汰しております。A12ですが、
>①462条は、債権者保護のための責任だからです。462における株主は、平等に配当をもらった立場であり、責任を追及する立場ではありません
850条4項の文言からすれば、462条の取締役の対会社責任は代表訴訟で追及可能であることが前提であるように思われますが、いかがでしょうか。
なお、462条に該当しない場合(たとえば監査役等)には、違法配当により役員等が423条により対会社責任を負うことはないのではないかと考えており、この点では葉玉先生のA12は正しいのではないかと考えております(という趣旨をブログで書いたところ、同業者からは批判されましたが(笑))。
投稿: 大杉謙一 | 2009年6月26日 (金) 09時33分
A17
株主は、取締役に対して、代表訴訟で、462条の責任を追求することは可能です。
株主vs株主と異なり、取締役は、善管注意義務を負っているので、取締役が会社に与えた損害を追求することを禁止する必要はないということでしょう。
特に善意の少数株主であれば、代表訴訟を起こす意味は大きいと思います。
逆に悪意の大株主だと、代表訴訟を起こすのは、訴権の濫用になるでしょう。

私は、462条は、423条の特則(損害額のみなし規定)と考えており、462条に該当しない者も423条を根拠に責任を負う場合はありうると思います。実際には、違法配当の前提として、粉飾決算が行われることがほとんどなので、あまり実益はない議論かもしれませんが。

Q18
新司法試験の受験生です。
このところ、法科大学院生を中心に、新司法試験に関する署名活動が行なわれています。
内容は、
1 新司法試験合格者数の目安維持、
2 司法修習の給費の継続
を法務大臣と最高裁に嘆願するものです。
http://syomei.seesaa.net/

私は、法科大学院を通じた法曹養成制度の立て直しにとって、上記の施策がベストかどうかはともかく、少なくともプラスに働くだろうと考え、署名活動に賛同しています。上記の施策は制度の信用を回復ないし維持させる方向にあるからです。
先生はどのように思われますか?
投稿: おおや | 2009年6月26日 (金) 16時42分
A18
私は、法科大学院を通じた法曹養成制度の立て直しには、法科大学院のカリキュラムをより実践的なものにし、学生のトレーニングを重視する方式に変更することが重要だと思います。「受験勉強」的かどうかなどを気にしながら、学生を教育しなければならないのは、ナンセンスです。

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2009年6月16日 (火)

2ヶ月間のご無沙汰でした。

皆様、お久しぶりです。
ふと気づくと2ヶ月近く更新していませんでした。このブログ史上、最長不更新記録であります。

更新しようという気持ちはあったものの、土日は家事育児で疲れ果て、たまに早く帰ることがある平日の夜は、ついドラマにはまってしまい、ブログを書く心の力が枯渇していました。

特に最近は、「白夜行」というドラマにはまり、「花より男子」に続き、DVDBOXを大人買いして、深夜に涙を流しながら見ていました。
「白夜行」は、視聴率はとれなかったものの、私の見た日本のドラマの中では、3本の指に入る傑作です。

白夜行は、11歳の男の子が、初恋の女の子を買春していた自分の父親を殺し、その女の子は男の子を守るため、その犯行を自分の母親がやったように偽装して母親を殺し、二人は。その後も、その時の犯行を隠すため、次々と犯罪を重ねながら大人になっていくという悲惨な話です。が、二人の心のつながりが純粋で、悲惨さや無残さを超えた切なさを感じるドラマでした。
 雪穂という主人公を演じる綾瀬はるかは、これまで、いまいち表現力が不足している女優という印象を持っていました。しかし、このドラマでは、雪穂が残酷な行為を繰り返しても、彼女の持つ変わらない清廉な美しさにその残酷さが飲み込まれてしまい、見る者は「理性では許せないけど、感情としてはつい許してしまう」という不思議な感覚を覚えます。まさにキャスティングの妙です。

「11歳の時の二人の殺人事件」というこの物語の背骨となるエピソードについては
「刑事未成年だし、少年法があるんだから、時効なんか待たなくても、さっさと警察に自首すれば、すぐに太陽の下で二人で手をつないで歩けるのに」
という法律家ならすぐに気づく大きな穴があるのですが・・。
まあ、無粋なことを言わずに見ると、得がたい感動が得られると思います。

さて、本日は、長期間の不更新により、質問がたまりまくっていますので、とりあえず、それに回答し、心の負担を軽くしたいと思います。

次回から会社法ネタを考えますので、今後ともご愛読のほどよろしくお願い申し上げます。

(質問コーナー)
Q1
さっそくですが、本日のQ1後段に対するご回答は、合併対価として、本合併により承継した自己株式ではなく、別途、新たに株式を発行して交付した場合を想定されたものでしょうか?
自己株式(本合併により承継したものを含む。)のみを交付した場合、発行済株式総数は増加しないものと理解しております。
投稿: まーや | 2009年4月22日 (水) 17時40
A1
もちろん自己株式のみ交付すれば、発行済株式総数は増加しません。

Q2
株式併合の結果、単元株式数の上限規制に抵触する場合、①そもそもそのような株式併合が制限されるのか、②それとも単元株式数の効力に影響(無効又は一部無効)が生ずるのか、③いずれにも何ら影響はないのか、どうなのでしょうか。

投稿: 猫太郎 | 2009年4月23日 (木) 10時47分
A2
株式の併合を制限する条文はないので、単元株式数の定款の定めが188条2項違反で無効になると解します。

Q3
私は、法科大学院に進学したばかりなのですが、先日、自動車を運転していて、不注意にもオービスにやられてしまいました(スピード違反)。その場所だけ制限速度が低く設定されており、赤切符確実な状態です。

青切符は反則金ですみますが、赤切符だと、罰金刑を受け、犯罪者として扱いを受けることになります。

法務省の管轄する司法試験に影響するのかが心配ですが、どうなのでしょうか?
検察庁の保管する記録に前科が永遠に残ってしまうのでとても心配です。
投稿: 地方人 | 2009年4月24日 (金) 00時03分
A3
司法試験には影響しないと思います。

Q4
自己株式を銀行借入金の担保として、差入れることに問題はないでしょうか。?
また、差入れに際して、取締役会決議等の手続は不要でしょうか。
担保権が実行されれば、発行済株式数が増加するため、取締役会の決議等が必要かと思ったのですが・・・・・。
投稿: | 2009年4月24日 (金) 20時16分
A4
自己株式の担保差し入れは、難しい問題です。
担保差し入れも、自己株式の処分ですから、本来、199条の手続が必要ですが、質権の場合、払込みを想定できません。譲渡担保なら、工夫することで、やれないことはありませんが、結構テクニカルです。

なお、自己株式の処分は、発行済株式総数は増加しません。

Q5
このたび、A社の事業を全部B社(A社はB社の100%子会社)に譲渡して、A社は解散することになりました。
簡易+略式事業譲渡に該当するケースなのですが、この場合、Aは解散するため株主の株式買取請求権の行使は不可となりますが、譲受会社であるB社の株主には買取請求権の行使が可能なのでしょうか?
事業の一部ではなく全部を譲受けるため条文を見ると必要のような気もします。
ただ、必要とする根拠もわかりません。
投稿: 法務部員 | 2009年4月26日 (日) 02時07分
A5
事業の全部の譲り受けは、「事業譲渡等」に該当し、469条によりB社の株主も、株式買取請求権を行使することができます。

Q6
会社法444条3項で連結計算書類の作成義務が規定されていますが、該当する会社であっても子会社がいない場合は連結計算書類を作成しなくてもいいのでしょうか。それとも、大会社である有報提出会社に子会社がいないとは法は考えてないという理解で正しいでしょうか。あるいは、連結の対象となるべき子会社がない旨を連結計算書類に記載するのでしょうか。
投稿: 短答が近くて忙しい50歳 | 2009年4月27日 (月) 13時41分
A6
連結計算書類の作成義務はあると考えざるをえないでしょう。

Q7
適格合併における株式端数の処理について質問させてください。(市場価格のない株式であることが前提です。)
 合併においてはその比率によりどうしても株式端数が生じてしまうと考えております。
 その場合、まずは、消滅会社側で株式分割 無償割当等の処理を行い端数がでないようにすべきと考えております。
 ただ、上記の処理にもかかわらず適格合併において端数が生じる場合はどうすべきなのでしょうか?
 私見では、会社法234条2項に基づき、市場価格のない株式を裁判所の許可を得て売却し、同条4項により買い取ろうとも考えております。また、この場合は法人税基本通達1-4-2により合併対価とはならないので適格合併には抵触しないことも理解しております。
 ただ、小規模の合併において裁判所の許可を得てまでして競売に代わる許可を得なければならないとすれば費用が多大になってしまいます。だからといって、端数処理につき234条の手続きによらず金銭等ですましてしまえば適格合併の要件にあたらないように思われます。
 このような、適格合併における端数処理について何か良い知恵はないのでしょうか?ご多忙のところ大変申し訳ありませんが、どうぞご教示いただけませんか?よろしくお願いします。
投稿: 登記職人見習中 | 2009年4月27日 (月) 22時15分
A7
 端数の生じ方によって対応策が異なりますので、一般論として教えるのは難しいですね。

Q8
僕は,検察官を目指していた修習生ですが,検察官になることができませんでした。今は志望者が多く,競争が激化しているようです。うまく気持ちを切り替えることができず,少し悩んでいます。何かアドバイスをいただけませんか。
投稿: poi | 2009年4月28日 (火) 23時46分
A8
自分の希望職種につけない人は、日本全国に山のようにいます。
現実を見てください。

Q9
善管注意義務違反と過失の区別について質問させてください。
葉玉先生の立証責任の分配論、すなわちどちらがどのような事実を立証するかという点については、概ね共感することができました。

しかし、そのような観点のみから任務懈怠と過失の区別の議論を進めることが果たして妥当なのか疑問があります。
つまり、先生の指摘される立証責任の分配の観点は、「間接反証」の問題や「事実上の推定」の問題として解消可能な点ばかりであり、かならずしも先生のいう帰結(善管注意義務違反と過失はあらゆる場合に区別可能であり、区別しなければならないという帰結)を導かないように思います。つまり、善管注意義務と過失とを(一定の場合に)同じく考えたとしても解決可能な問題と思います(つまり、②、③の類型に関しましては、善管注意義務と過失とを同じく考えたとしても、先生のおっしゃるような妥当な結論を導くことは可能だと思います。)。

葉玉先生は、暗黙のうちに民法にいうところの善管注意義務の意味と会社法にいうところの善管注意義務の意味とを区別しているように見受けられますが、会社法330条の「委任に関する規定にしたがう」との規定の存在により、条文上厳しいように思います。

民法上の委任契約における善管注意義務違反は、個別具体的な事情をもとに判断されることと解されており、まさに過失の問題と重なるように議論されていると思います。このことからすると、会社法においても、善管注意義務違反の意味は、同じように解釈されるのが本来的なところではないでしょうか。

先生のご説明は、おそらく、会社法の場面においては、民法と異なり、善管注意義務違反の判断を、「取締役が具体的に把握していた情報ではなく、会社が把握していた情報を前提とすべきである」との見解に立ち、取締役が具体的に把握していたかどうかなどの点は過失の問題で議論すべきとのお考えだと思います。

しかし、この問題も結局は、会社が把握していた情報を前提として著しく不合理な決定がされた場合には、個々の取締役についても民法上のものと同じ善管注意義務違反が一応推定されるが、個々の取締役に関する事情について取締役側が主張・立証をすることによって、その推定を妨げることができるという説明で十分であると思います(つまり、あえて会社法上の善管注意義務を民法のものと別異に考える必要はないと思いますし、善管注意義務を民法のものと同義で捉えれば善管注意義務と過失の区別はやはり困難と言わざるをえないと思います。)。

以上のように考えると、おそらく、民法の善管注意義務と会社法の注意義務とを別異に捉える実質的な理由(ある意味形式的ですが)は、会社法428条が「任務懈怠」と「責めに帰すべき事由」を分けているという点を説明できるという点です。しかし、428条にとらわれると今度は以上に述べたような330条との整合性を欠いてしまう結論を招く気がいたします。

とりとめがなくなってしまい申し訳ございませんが、何かしらのレスをお願いいたします。

投稿: AAA | 2009年4月28日 (火) 23時52分
A9
任務懈怠と過失を分けて考えない見解でも、実質的に立証責任の転換を図ることは理論的に可能ですが、間接反証にせよ、事実上の推定にせよ、ある事実から経験則によって導かれる事実があるからこそ、できることであり、取締役の責任が問題となる事例で、本当にそのような経験則が存在するか、微妙です。
 また、当該見解は、会社が法令違反行為を行った場合についてまで、「過失」として一体的に考えるのでしょうか。私は、簡単に分けられる事例についてまで、一体的にとらえた上、過失の立証責任を請求者側に負わせるのはおかしいと思います。
 330条は強行法規であり、契約自由を前提とする善管注意義務とは異なります。もし会社法が民法の議論をそのまま適用するつもりならば、330条など不要のはずで、なぜ330条が置かれているのかを考える必要があります。
 善管注意義務の内容は、民法では、第一次的には、契約の内容に関する当事者の意思解釈から導かれるのに対し、会社法330条は、そのような考え方を採りません。民法における善管注意義務の議論が、強行法規を前提としたときにどれほど通用するのかを検討する必要があると思います。
 また、「428条にとらわれると今度は以上に述べたような330条との整合性を欠いてしまう結論を招く気がいたします。」という考え方はおかしいと思います。会社法の善管注意義務を解釈するのですから、428条や330条が存在することを前提に解釈すべきであり、428条や330条と矛盾する解釈をすることは採用できません。

Q10

はじめまして,取調の可視化に関するお答えに疑問があります。
>可視化するならば、短時間の取調べに留める必要があります。これは、録画コストだけではなく、録画した取調状況を、裁判関係者(検事・弁護士・裁判官・裁判員)が見るコストを考えると不可避です。

とありますが,すべての取調を録画しても,それをすべて見る必要はないはずです。可視化は,任意性を疑わせるような取調があったか無かったかを判断するためですから,被告人が不当な取調があったと主張する時期の取調の録画だけを見ればよいはずです。取調の最初から最後まで任意性を失わせる不当な取調べをすることは考えがたく,仮に最初から最後まで不当な取調であったのなら,最初だけ見ればわかるはずです。
取調の全過程が可視化されると,不当な取調は抑制されるはずですから,任意性がないとの主張自体なくなり,録画を見る機会そのものは不要になると思います。

投稿: インビーム | 2009年4月30日 (木) 02時15分
A10
そんなに単純なものではありません。
まず、被告人が、時期を特定できるとは限りません。特定できなければ、全部見ていくしかありません。
また、一言で任意性が飛ぶことは希であり、任意性を疑わせるような言動を丹念にたどってはじめて取調官の言動が被告人の自白に与えた影響を明らかにすることができます。
 また、取調の全課程が可視化されても、自白したことが不利だと考える被告人が任意性の主張をすることは、絶対になくならないと思います。すべての被告人が合理的な行動をとるわけではないのえす。もし抽象的な任意性の主張をする被告人がでてきたら、検事も弁護士も裁判官も全部見なければならなくなります。

Q11
そこで、ひとつ教えて頂きたいのですが、新会社法では、株主総会後の決算の訂正が認められるけれど、いくつか条件を満たさないといけないと聞いたのですが、どのような条件かご存知でしょうか?

私の勤めている日本支社の、親会社が子会社を作り、その子会社と契約を結ぶことになったのですが、そこが2008年度分のサービス料を払うと言ってきたのです。 もう決算も株主総会も終わった今ごろになって。 (もともとそういう契約だったのですが、12月の締めになっても何も言ってこないので)
投稿: 利絵子 | 2009年4月30日 (木) 15時42分
A11
おっしゃるような事例では、決算の訂正は無理だと思います。

Q12
①847条で212条1項の支払を求める訴えが規定されているのに、なぜ462条の支払を求める訴えは規定されていないのか?
②212条1項2号については取締役の支払義務が規定されている(213条)のに、なぜ212条1項1号について、取締役の支払義務が規定されていないのか?
投稿: さとう | 2009年5月 2日 (土) 16時39分
A12
①462条は、債権者保護のための責任だからです。462における株主は、平等に配当をもらった立場であり、責任を追及する立場ではありません
①1号は、取締役と通じることが要件となっているので、何も規定しなくても423条の責任が生じるからでしょう。

Q13

葉玉式方法論マニアです。脱時空勉強術などの先生独自の方法論はどのようにつくり上げたのですか?そのような方法論は実践の中でつくり上げられるとしても、単に試行錯誤を繰り返しているだけでは方法論は生み出されませんよね。なにかヒントをください。なにかの本を読むべきでしょうか。

投稿: デューイ | 2009年5月 3日 (日) 00時13分
A13
私は、中学高校時代の試験勉強に始まる試験人生の中で身につけました。
本を読むよりも、人から聞いた話などが多かったです。

Q14

【個別株主通知の受付票について】
大変お忙しい中恐縮ですが、前々回の記事「会社訴訟・非訟と個別株主通知」に関して、質問させてください。

この記事の中で、

>受付票は、振替法が義務づけている制度ではありませんが、
>株主が口座管理機関に個別株主通知の請求をしたときには、
>必ず交付される実務になっていますので、
>  個別株主通知をしたこと
>  請求日
>  株式数
>等を確認するには最適です。
とあります。
しかし、受付票に、「株式数」は記載されないように思えるのですが、いかがでしょうか??

私が何か基本的なところで勘違いしているだけかもしれないのですが、実務で悩んでしまっているので、なにとぞ御教示をお願い申し上げます。
投稿: HH | 2009年5月 4日 (月) 15時00分
A14
すいません。確かに株式数は受付票には記載されませんでした。

Q15
これまではずっと就職をするつもりだったのですが、どうしても医療過誤の問題に関わりたいとの思いを抱いたことから、今年になって法律の勉強を始めました。
1月から勉強して今やっと七法を一回ししたところです。

質問なのですが、今年未習コースを受験し入学すべきでしょうか?

私としては、司法試験の基礎はロースクールで習っても自分で勉強しても同じように身に付くのではないかと思うこと、また来年の旧試と既習を受験するという身近な目標を立てることでより危機感をもって勉強できるのではないかと思うことから、今年も無謀ながら既習のみチャレンジしてみようかと思うのです。

ただ、既習のみの受験だと浪人の可能性が高まるのも事実です。親は私に学生の身分がなくなるのは嫌だという思いが強いこと、浪人して一人で勉強するよりもロースクールに入学したほうが勉強がはかどるのではないかということ、入試や就職で不利になるのではないかということから、今年の未習受験を薦めています。

特にロー入試の段階で大学既卒者は不利に扱われるのかを考えると、私も不安になります。(就職についてはGPAや新試の成績での挽回も可能かと思うので)
投稿: aki | 2009年5月 5日 (火) 20時58分
A15
akiさんの実力が分からないので、適切なアドバイスをすることは困難ですが、浪人するより、未習に入った方がいいと思います。

Q16
会計監査人設置会社における計算書類の承認特則要件の件です。

会社計算規則が平成21年4月1日に改正されたことにより、同規則135条(改正前163条)が規定する承認特則要件は、「次の各号(監査役設置会社であって監査役会設置会社でない株式会社にあっては、第3号を除く。)のいずれにも該当すること」とされ、改正前同規則と比較すると(括弧書き)が追加されました。

改正前においては、改正前163条が規定する承認特則要件は「次のいずれにも該当すること」とされ、改正前163条3号に「会計監査報告に係る監査役会又は監査委員会の監査報告に付記された内容が前号の意見でないこと」とあるため、計算書類について定時株主総会の承認を要しない株式会社は、監査役会設置会社または委員会設置会社に限定されている、と解されていたように思います。(それとも、改正前においても、監査役会設置会社でない監査役設置会社は、承認特則を適用することが可能である、と解されていたのでしょうか。)

この度の改正によって、「監査役設置会社であって監査役会設置会社でない株式会社にあっては、第3号を除く」と確認的に記載がされたことにより、監査役会設置会社でない監査役設置会社においても、会計監査人設置会社であって、かつ、改正後135条1,2,4,5号の要件すべてに該当すれば、承認特則の適用が可能である、との認識でよろしいでしょうか。
投稿: ツェーベーツェー | 2009年5月 5日 (火) 22時43分
そうです。

いつもどんな質問にも答えてくれる葉玉先生に甘えて、ひとつ知恵をお貸しください。

Q17
まったく勉強もしないし、人格向上の努力もしない親が子供に向かって「勉強しなさい!努力しなさい!」といいます。
子供は「自分だって勉強も努力もしないくせに!」といいます。

このとき、親と子供はどちらが正しいのでしょうか?理由は?
私はやっぱり親のほうが正しいと直感的に思うのですが、理由がはっきりしません。
知恵をお貸しください。

投稿: 相談者 | 2009年5月 7日 (木) 04時30分
A17
親が正しいでしょう。
親は、子供に向かって「お父さんのような人生でよければ、勉強も努力もいらないよ。でも、結構、悲しいよ」と言えば、子供はゾッとするでしょう。

Q18
3年ほど前からこのブログを楽しませていただいているものです。
特例有限会社の株式の譲渡承認のことでどうしてもわからないことがあり、ここでお伺いしても良いものかどうか迷ったのですが、お伺いさせていただきます。

甲さん:特例有限会社Xの株式を100%所有している。
Cさん:甲さんの子供
特例有限会社X:取締役は代表者の甲さんとその妻乙さん

このたび、甲さんの所有しているX株をすべてCさんに贈与しようと考えているのですが、
この場合、甲さんはX社に対して譲渡承認申請をすると思うのですが、
その申請を受けたX社は特別利害関係者である甲さんしか株主がいないので、
決議が出来ないと思うのですが、この場合どのようにすれば合法的にX株を贈与できるのでしょうか?
投稿: 会社法を独学で勉強しているサラリーマン | 2009年5月 7日 (木) 22時29分
A18
株主全員の同意があるから、贈与できます。

Q19
市民運動的な株主代表訴訟の提訴を行ない、訴訟の追行過程において政治的、社会的目的の達成に拘泥する訴訟活動を行なう場合、「悪意」(847条8項)が認められるとともに、提訴請求権の濫用(847条1項但書)にも当たるのでしょうか?提訴請求権の濫用と担保提供の関係がよくわかりません。

投稿: ただし | 2009年5月 8日 (金) 01時10分
A19
847条8項は、取締役に対する損害をあたえる場合、847条1項ただし書は会社に対する損害を与える場合です。

Q20
葉玉先生の母校の、東大法学部の最優秀層(及びそれに準ずる方々)は、予備試験がスタートすれば、

・学部3年時に予備試験に合格
・学部4年時に新司法試験に合格

というルートを経由して法律家を目指すであろうことは想像に難くなく、それ故にこそ、旧司浪人や3振法務博士の方々にとって、予備試験につけ入る隙は、残念ながら、微塵も残されていないのではないかなぁ、と危惧しています。

この点について、先生はどのようにお考えでしょうか。

投稿: 石田三之介 | 2009年5月 8日 (金) 12時28分
A20
私の頃の旧司法試験では、東大法学部の3年4年がかなり受験していましたが、現役で合格する数は一握りで、その多くは、他大学を含む浪人でした。あまり心配はいりません。

Q21
答案練習会に参加すべきかどうかの相談です。
 ロースクールで無料の択一が月に2回の頻度で答案練習会があります。参加すべきでしょうか。頭に入ってないものを練習しても仕方ないように思う一方、強制的に問題を解くことはいいことだと思い決めかねています。先生はどう思われますか。
 ちなみに、私はロースクール未修2年生です。普段の勉強内容は、授業の予習復習に加えて、基本書や問題集等を使って会社法100問の巻末に紹介されているような勉強をしています。ですから、択一はほとんど手をつけていません。
投稿: tora | 2009年5月11日 (月) 20時01分
A21
参加してください。書くことにより、何を学ぶべきかを実感できます。

Q22
ひとつ教えていただきたいのですが,会社法106条本文の「権利を行使することができない」との規定ぶりからすると,株主が亡くなり相続人の共有状態にあるが,相続人が紛争中で会社法106条本文の通知がなく,かつ,会社の方から同条但書の同意をしない場合,当該共有株式については,定足数算定の基礎となる「議決権を行使することができる株主の議決権」(会社法309条1項他)に算入しないという考え方でよろしいでしょうか?
投稿: ポケット | 2009年5月12日 (火) 13時05分
A22
あまり考えたことはありませんでしたが、理屈の上ではそうなりそうですね。
ただ、相続時の名義書換請求で、共同相続ならば、必ず代表者を記載させるように実務上工夫しているので、あまり起こらない問題かもしれません。

Q23

択一試験の勉強方法で質問です。

解答への到達スピードが遅いのが今悩みです。
その原因として、憲法や刑法の穴埋めの事務作業が遅いんですが、
どのような勉強が効果的でしょうか?
1問3分以上は確実にかかっています。

INPUTが足りないのか、output足りないのでしょうか?

択一の合格レベルというのは各肢の○、×を即答できるレベルをさすのでしょうか?

投稿: 択一受験生 | 2009年5月13日 (水) 12時52分
A23
outputが足りません。それと、穴埋めについての解き方のノウハウが足りないのでしょう。

Q24
 葉玉先生、こんばんわ。論文答練の選び方について質問させてください。

 以前、「添削の内容はあまり気にしなくてよい」との回答をいただきましたが、解説講義についてはどうでしょうか。
 受講を考えていた答練の解説をストリーミングで見てみたのですが、そこでの解説は「論点の知識」は講義してくれますが、一番重要な「どのような処理手順で解いていくか」についてはストリーミングの中では説明がありませんでした。
 葉玉先生は添削の内容と同様、解説講義についても内容はあまり気にしなくてよいとお考えでしょうか。
投稿: 不孤 | 2009年5月14日 (木) 19時59分
A24
講義は、誰が講師かによって、ぜんぜん違います。論点解説でも、いい講義なら受けた方がよいと思います。

Q25
①見せ金について払込取扱い機関が悪意・重過失である場合に
かかる機関が保管証明責任(64条2項)を負うとの見解があります。
保管証明責任は64条2項の文言を見ると、
「金銭の返還に関する制限」を
「成立後の株式会社に対抗できない」と書かれており、
例えば預け合いの場合に払込金の返還を拒否できないと事だと思います。
しかし、見せ金の場合には、預け合いと異なり
借入金を返済するまでは払込金を引き出せない
との特約がないため
もともと拒否できないのではないでしょうか?
とすれば、見せ金の場合の保管証明責任とは何を意味するのでしょうか?
A25
その考え方は、私は取りえないと思っています。

Q26
②対内的にも対外的にも取締役のような業務をしているが取締役ではない
いわゆる事実上の取締役に429条1項を類推する見解があります。
しかし事実上の取締役に対会社の場合にも、
423条1項を類推し責任追及する
事は可能でしょうか?

ちなみに私はできないと考えてます。
第3者にはその者が取締役かわかりにくいので保護する必要があるのに
対して
会社にとってはその者が取締役であることは明らかだからです。
このような理解で正しいでしょうか?
投稿: F | 2009年5月15日 (金) 19時31分
A26
そういう考え方でもよろしいと思います。

Q27
「89年版私の司法試験現役合格作戦」の中に葉玉先生の体験記「『今年はだめだ。来年に賭けよう』では一生受からない」を発見しました。体験記の中では、論点ブロックのカード化、参考答案の論理の流れのまとめが具体的な勉強方法として挙げられていましたが、カードの内容や論理の流れを答案等に再現できるレベルまで記憶するためにはどのような方法をとられたのでしょうか?(6月4日のセミナーでお会いできるのを楽しみにしています。)
投稿: ポニョ | 2009年5月17日 (日) 09時53分
A27
キーワードと流れは繰り返しカードを見て暗記し、あとは、たくさん論文を書いて文章化するという方法で記憶しました。

Q28
葉玉先生は、条文の素読は不要と考えていらっしゃるようですが、会社法・商法で択一9割以上を確実に確保するためには、どのような勉強方法が有効だと思われますか。
投稿: もも | 2009年5月17日 (日) 10時47分
A28
条文と関連づけながら、INPUT、OUTPUTを行う。
資料を限定し、繰り返し勉強する。たとえば、会社法100問を繰り返しやれば、たいていの問題は解けるようになるはずです。

Q29
A社を存続会社とし、B社・C社を消滅会社とする吸収合併をする場合、B社(又はC社)の吸収合併契約承認議案には、C社(又はB社)の最終事業年度に係る計算書類等の添付は不要となると考えてよろしいのでしょうか。
会社法施行規則182条6項1号を見る限り、存続会社(A社)の最終事業年度に係る計算書類等だけで良いように思うのですが...
投稿: 一服 | 2009年5月18日 (月) 14時36分
A29
そうです。

Q30

特別損失を計上した会社において、役員報酬を減額することは、当然のような気がしますが、各社のリリースを見ると、ほとんどの場合、監査役も報酬を返上しているようです。減額ではなく、自主返上ではありますが、会社が大きな損失を被るような状況に至ったのは、監査役にも責任があると考えるべきなのでしょうか?

投稿: ポニョ | 2009年5月18日 (月) 17時29分
A30
監査役には責任はないでしょう。

Q31
監査役が4名いて、補欠監査役を1名予選している(誰の補欠までかは定めていない)大会社において、任期を2年残している監査役と、任期を1年残している監査役が全く同時に辞任したという場合、補欠監査役はどちらの後任となるのでしょうか? 定款に、補欠として選任された監査役の任期は退任した監査役に任期の残存期間と定めている場合、どちらの補欠になるかにより、任期が違ってくるので、非常に気になりました。どちらの後任とするか、会社が選ぶことができるのでしょうか?
投稿: 悩める株式課員 | 2009年5月18日 (月) 20時26分
A31
補欠選任時の株主総会決議の趣旨によりますが、会社が選ぶことになると思います。

Q32
はじめまして。ロースクールのゼミで、356条の「承認」とは事前承認のことであり、事後承認は駄目だとの、生徒による発言がありました。理由は?と聞いたところ、『神田の基本書にそう書いてある。』でした。ただ、『神田の基本書に、理由の記述はない』とのことでした。事後承認はどうして駄目なのでしょうか?同条は、取締役に対する行為規範でもあるからという理由でよいのでしょうか?
投稿: 桜井 | 2009年5月19日 (火) 22時38分
A32
条文の書き方からして、事前承認です。事後承認は通常「追認」でしょう。
実質的にも356条の承認をえずに利益相反取引等をやれば、それが任務懈怠になり、取締役に損害賠償責任が生じます。取締役の責任は、株主全員の同意がなければ免除できませんから、取締役会の事後承認で責任が消えるのはまずいです。

Q33
インサイダー取引に関し、お教え願います。
従業員持株会における退職時の買取請求権(払い戻しをうける権利)の行使は、インサイダー取引の適用除外には該当しない、という理解で良いのでしょうか。
例えば、従業員が退職するに伴い、従業員が持株を持株会に戻し、払い戻しを時価でうけるとします。規約には特に定めがないため、たまたま従業員が退職する時期が重要事実の公表前であり、時価が重要事実の公表後には下がることが予見されていたにもかかわらず、退職したら自動的にそのときの時価で払い戻す、という運用がなされていた場合です。
こうした場合にはインサイダーに該当しないように、あらかじめ規約で時価の算定時期と、その払い戻し時期を制限し(1ヶ月後に払い戻す等)ておくことが賢明なのでしょうか。
それとも、そもそもインサイダーの適用除外に該当するから、特に定めておかず自動的に払い戻す、という運用でも問題ない、ということになるのでしょうか。

http://shoko-hajime.cocolog-nifty.com/blog/2008/06/post_e61c.html

こちらの見解では(単元未満株の買取請求権の場合ですが)、適用除外に該当しないと考えられるため、規約でインサイダー防止のための規定を定めておくべきだとは感じましたが。
投稿: | 2009年5月20日 (水) 11時09分
A33
時価で払い戻すのは、インサイダーになりえます。
ただし、規定の仕方によっては、知る前契約で適用除外になる可能性もあります。

Q34
423条3項3号による任務懈怠推定は、取締役会の承認決議に特別利害関係人が参加していた結果決議が違法無効である場合にも、依然として働くのでしょうか?
投稿: XYLA | 2009年5月20日 (水) 12時33分
A34
任務懈怠の推定は、いつでも働きます。

Q35
株主の死亡後の株主数のカウント方法について教えていただけませんか?
例えば、株主総数ABCの3名の会社があったとします。この場合において、株主Cが死亡し、Cの法定相続人がDE2名、遺産分割協議は成立しておりません。
 このとき、株主総数は3名とカウントするという理解で正しいでしょうか?
投稿: 登記職人見習中 | 2009年5月23日 (土) 01時02分
A35
「株主総数」は何のための数でしょうか?
名義書換がなければ、会社にとっては、3名です。

Q36
未修1年ですが、先生は論文を書く勉強がよいということなので、今は論証ノート作成と論文を書く勉強をしています。

これと並行して択一の勉強もすべきでしょうか?
去年から択一の配点が下がりあまり択一の勉強に比重を置くべきでないと思うので迷ってます。それとも、択一の勉強の過程で論文の能力も磨かれるのでしょうか。

また、ほぼゼロからですが来年の旧試を受けるという選択肢はどうでしょうか?先生のいうとおり試験勉強をする過程で能力がつくとも思えるのですが、いかんせん合格者数が低すぎて現実味がなさすぎて…。
投稿: ニシコイ | 2009年5月23日 (土) 21時13分
A36
択一は、1年のときから、習った分野の問題をどんどん解いてください。

旧司法試験は受ける必要ありません。

Q37
漢検協会理事が背任罪というニュースをみました。
自己(A)のペーパーカンパニー(B)に、会計事務の処理権限がある社員(A)が
自社(C)の通帳やカードを使って金を振り込んだならば、横領というより、背任でしょうか?
投稿: 新司法試験受験生 | 2009年5月24日 (日) 11時46分
A37
理論的には、背任が素直だと思いますが、実務では、業務上横領にすることもあります。
銀行預金というのは、難しくて、たとえば、預金者をだまして振り込み送金させれば、2項詐欺ではなく、1項詐欺で起訴している例がほとんどです。
この点については、私は、河上和雄古希記念論文集で、新しい「財物」概念が必要であるという論文を書いたことがあります。」

Q38
書面による議決権の行使と、委任状による議決権の代理行使が重複してなされた場合、これをどのように取り扱うべきでしょうか?
基本書や100問に記述が見当たらず、質問させていただきました。
投稿: ついでに | 2009年5月25日 (月) 01時27分

A38
最新の意思が優先するので、委任状による議決権代理行使の方が優先するのが原則です。
もっとも、委任状に議決権行使書面を添付させる等の方法により、重複行使を防止することも可能です。

Q39
昨日(5/26)日本監査役協会主催の経営リスクマネジメント講座で有意義で楽しいお話をありがとうございました。

さて、資本勘定の振替え(資本準備金⇒その他資本剰余金⇒損失の処理)には株主総会の決議が必要と理解していますが、ある会社で下記のような事例があることを発見しました。どんな問題があるでしょうか。

H17年3月期の株主総会(H17年6月)に「資本準備金をその他資本剰余金に振替える議案」が提出され決議されています。その結果、H18年3月末のBSでは資本準備金が減少し、その他資本剰余金が同額増加しています。

H18年3月期の株主総会(H18年6月)には資本勘定の振替えに関わる議案は提出されていませんが、H19年3月末のBSでは、その他資本剰余金が取り崩され、繰越利益剰余金の補填に充てられています。

株主総会の決議を経ず、「その他資本剰余金」を「その他利益剰余金」に振替えるというようなことができるのでしょうか。会社法違反のような気がするのですがいかがでしょうか。違反の場合、どのような是正が必要になるのでしょうか。

A39
その他資本剰余金を、その他利益剰余金に振替ることはできません。

そうした処理が故意に行われたとすれば、そもそも、当該計算書類は確定していないことになるかもしれません。
そうでなくても、過年度修正をする必要はありそうです。

Q40
私は公認会計士試験の受験生ですが、
利益相反取引規制について質問させてください。
会社が利益相反取引を行う場合で、株主総会または取締役会の承認がない場合の取引の効果については明文規定がなく論点となっていますが、私が使っている専門学校のテキストには
「この点、原則として無権代表行為として無効であると解する。なぜなら、承認を経た場合は民法108条を適用しないとする356条2項の反対解釈から承認を経た場合には民法108条違反の場合と同様、無権代表行為になると解されるし、取締役・執行役が地位を利用して会社利益を犠牲にすることを防止しようとした本条の実効性を確保するために、無効と解する必要があるからである。」
と、記述されています。
確かに代表取締役が承認を受けずに直接取引を行う場合には、
民法108条の適用により無権代表行為になりますが、
それ以外の場合、例えば代表権を有しない取締役が直接取引を
行う場合には民法108条の適用を受けず無権代表行為にはならない
ので上記の論証はあまりよくないのではないかと思うのですが、
投稿: 受験生 | 2009年5月27日 (水) 21時44分
A40
おっしゃるとおり、利益相反取引は、自己取引や双方代理より広いので、それを理由に無権代表とするのは、あまりよくないと思います。
判例・通説は、相対的無効説です。

Q41
特別決議は、3分の2以上の賛成多数で可決だと思います(会社法309条2項)。

そこで、当該会社での3分の2が4万であるときに、3万9千950の賛成票しか集まらず、反対票が2万であるとどうなるのでしょうか?

否決ということなのでしょうか??
しかし、そうすると賛成者の方が反対者より多くても事実上、反対者の意見が採用されたのと同じことになってしまい不当にも思えるのですが・・・・

投稿: 学部2年生 | 2009年5月30日 (土) 17時10分
A41
特別決議は、過半数ではなく、3分の2の賛成で決議が成立する以上、賛成者より反対者の数が少なくても、否決されるのは当然です。
その結論は、反対者の意見が通ったというよりも、「現状維持」となったというだけで、別に不当ではありません。

Q42
従業員持株会について質問です。
T&A №304の『SAMMY'S Cafe』拝見しました。

そのなかで、「重要事実を知っている者が、持株会からの退会することはインサイダー取引に該当しない。持株会が当該従業員のための株式の購入を行わないため」とコメントされていますが、退会時に、単元未満株式の買取・買増行為がある場合は、インサイダー取引に該当するという理解で宜しでしょうか?

該当する場合、インサイダー取引を回避するためには、退会時期を遅らせる措置をとる必要があるかと思いますが、これでは従業員にとって持株会の利便性が低くなります。退会時の単元未満株式の買取・買増行為をインサイダー取引に該当しないようにする方法はありますでしょうか?
(持株会と当該従業員のクロ・クロ取引といったことはできるのでしょうか?)
投稿: 紫陽花の時期 | 2009年5月31日 (日) 17時47分
A42
理論的には、単元未満株式の買取・買増がインサイダー取引に該当することはありえます。
回避手段は、いくつかありえますが、どの方法にしろ、丁寧に工夫しないとインサイダー取引と評価されるおそれがあるので、ここで紹介するのは差し控えます。
クロクロ取引も、一つの手段です。ただ、持株会の代表者に未公表の重要事実を完全に伝えきれるのか、守秘義務との関係は大丈夫か、代表者が持株会以外で取引できなくなるがそれでよいか等の問題はあります。

Q43
先日、新会社法の本を探しておりまして、先生の「論点解説 新・会社法 千問の道標」が、各論点間のリンクなどとても細やかに整理されて書かれていて、感動して買わさせていただきました。

私は今、昔に出来た合資会社について調べておりまして、恐縮ですが先生に質問させて下さい。

明治や大正時代に設立された合資会社の場合、今と貨幣価値が違いますので、会社の資本全部が「1000円」で、そのうち「100円」を有限責任社員Aさんが出資した、というような場合があると思います。

Aさんが今、この合資会社から退社する場合(Aさんご長命です)、この合資会社が成功してその企業価値が10億円相当になっていて、外部からの債務が0円ならば、Aさんは持分払戻で1億円を合資会社からもらえる・・・と思います(あってますでしょうか?)。

では、この合資会社が経営を失敗していて、債務が10億円ある場合、Aさんは、100円の責任を取ればよろしいのでしょうか?1億円なのでしょうか?それとも別個の法律か何かがあるのでしょうか?

稚拙なことを伺って申し訳ありません(むしろ、めちゃくちゃアホなことを伺っておりますような気が・・・(ノ_-。))。
ですが、何を見ましても、「千問の道標」Q769を拝見いたしましても、「出資の価額」という言葉しか見つけられないのです。
本当に100円でよいのでしょうか??
投稿: 六月 | 2009年6月 1日 (月) 18時20分
A43
100円の出資をすでに行っているのならば、Aさんは、既に責任を果たしており、何の責任も負いません。

Q44
株主総会を控え、剰余金の分配可能額のチェックをしていたところ、以下の疑問が出てきました。

・投資有価証券の含み損の場合は、「その他有価証券評価差額金」のマイナス金額を分配可能額から控除します。
・一方で、ヘッジ会計を適用中のデリバティブが評価損となった場合、評価換算差額金の「繰延ヘッジ損益」の値はマイナスとなりますが、こちらは控除しなくてもよいのでしょうか。
・計算規則の条文を見ても、有価証券と土地の再評価差額金が出てくるだけで、繰延ヘッジ損益は出てきません。
・レベルの低い質問で恐縮です。既出かもしれませんが、よろしくお願いいたします。
投稿: Tax | 2009年6月 4日 (木) 14時52分
A44
繰延ヘッジ損益は、分配可能額からの控除対象とはなっていません。

Q45
可視化に関する議論で、
「現在、自白の任意性で、「強要」に該当するような主張がされること自体非常に少なく、」
とおっしゃっておられるのですが、素朴な疑問として、であれば、録画しても、コストをかけて、裁判官や弁護士が見ることも少ないように思います。

足利事件のような事件で、自白の任意性や取調べの適法性を証言のみで争うことの方が遥かにコストがかかるし、勿論、無実の人を有罪にする可能性も高まるような気がするのですが・・・
投稿: ぞう | 2009年6月 9日 (火) 14時53分
A45
強要に該当するような主張がされないのならば、すべての刑事事件について録画する必要がないのではないでしょうか。
また、任意性の争われた事件で、20日にわたって取り調べられた被疑者の取調録画を全部見るのは、普通は、無理です。裁判員を20日間缶詰にして、毎日、被疑者の取調録画を見せるのが非現実的であるのと同じように、多数の事件を処理している裁判官、検事、弁護士にそれを全部確認させるのは非現実的です。
もし、そういう制度にするのならば、財務省が、録画の反訳の予算をつけてくれることが必要不可欠でしょう。

Q46
可視化とラフジャスティスのお話、大変興味深く拝見しました。

こちらに比べれば、マイナーな論点かもしれませんが、私個人としては、
「取調べ時の弁護士同席を認めること」のほうが、コストの点でも、より現実的かつ有効な人権保障の手法ではないかと思っております。
葉玉先生は、「取調べ時の弁護士同席の可否」をどうお考えですか?ご意見お聞かせ下さい。
投稿: しんじろう | 2009年6月11日 (木) 15時20分
A46
個人的には、取調時の弁護士同席を許したって構わないと思いますが、実際には、問題が山積みでしょう。たとえば、20日間にわたり弁護士を同席させることができる富裕な被疑者はいいですが、その資金のない被疑者は、どうにもなりません。
 そのため、この制度を機能させるためには、弁護士立ち会いのない取調べの拒否権を被疑者に与えることが必要ですが、取調受忍義務というイデオロギー的な問題の解決抜きに、そうした制度を採用することは困難です。

Q47
会社法改正前の,会社が不法行為責任を負う場合の適用条文について質問です。附則2条により,会社法350条が適用されるということでよいのでしょうか。裁判例においても,会社法350条を適用するものがあったり,旧商法261条3項等を適用するものがあったり,まちまちで,ぜひ御教示願いたいです。
投稿: KI | 2009年6月14日 (日) 23時18分
A47
会社法350条であると考えます。

Q48
司法試験の勉強に、音読は有効でしょうか?
ノートを作ることに、意味を感じなくなってきたのです。
先生のお考えをご教授いただけたらとても嬉しいです。
投稿: 音読マン | 2009年6月15日 (月) 21時39分
A48
長時間勉強するためには、五感を適宜使い分けしながら勉強するのが効果的です。
したがって、音読も有効な勉強法の一つです。

しかし、ノートを作ることも重要です。

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2009年4月22日 (水)

善管注意義務

1か月ほど前は、原稿書きの仕事が多くて死にそうだったのですが、その成果
が、また1冊の本になりました。

 会社法マスター115講座【第3版】
(ロータス21)
 本体 2400円+税

であります。

 先月出た
   株券電子化ハンドブック(商事法務)
は、実務本、特に弁護士に必携の本にしようという発想で作ったのに対し、会
社法マスター115講座【第3版】は、初学者から専門家まで、誰でも手軽に
利用できる本をめざした本です。

【第3版】は、私は、昨年、上智のロースクールで第2版を使って授業をした経
験を生かし、学習上も実務上も重要であるにもかかわらず、第2版では記述が
薄かった
   ○代表取締役
   ○善管注意義務と忠実義務
   ○役員などの報酬
   ○利益相反取引
   ○利益供与
   ○事業報告
を補充しました

また、
 「学習の効率化のために、本当に必要な判例だけを厳選した判例要旨集が欲
しい」
というロー生の要望を取り入れ、超重要判例集を巻末に載せています。

 しかも、編集中に、会社法施行規則・会社計算規則のパブコメが始まったも
のですから、
   日本で一番早く会社法施行規則・会社計算規則の改正に対応した本にし
よう
という野望に燃え、最新の会社法施行規則・会社計算規則に対応しました。

 会社法マスター115講座第2版は、会社法の教科書では3本指に入るくらい
売れている定評のあるテキストですし、実務家が会社法の全体像を知るために
必要十分な内容が詰まっているので、私が講師をしているDVD「会社法と実
務」
http://www.lotus21.co.jp/works/streaming/kaisha115/kaisha115_DVD.html
でもテキストにしていました。

この第2版をパワーアップした第3版は、幅広い層にお勧めできる本ですので、
会社法の本をお探しの方は、ぜひ書店で手にとって検討対象の一つに加えてい
ただければ幸いです。

 さて、本日は、会社法マスター115講座【第3版】発売を記念いたしまし
て、第3版で加筆した項目の一つである
   善管注意義務
についてお話ししたいと思います。

 善管注意義務については、取締役の責任(423条、429条)との関係を含め、
会社法で最も熱い議論がされているところです。

取締役の責任の発生要件である任務懈怠は、一般に
  善管注意義務違反のことをいう
と理解されており
 ○ 任務懈怠と過失は、同一要件か、別の要件か
 ○ どんな場合に善管注意義務違反となるか
 ○ 経営判断原則の内容と位置づけ
 ○ 内部統制構築義務との関係
等の重要な論点が目白押しです。

しかし、司法試験受験生を見ていると、これらの論点をバラバラに理解してい
ることが多いので、今日は、こうした論点の相互関係を踏まえながら解説しま
す。

まず、「任務懈怠と過失は、同一要件か、別の要件か」という論点です。

この論点については、契約責任論や任務懈怠と過失の区別の困難性を理由とし
て、これらを同一要件と見る見解もありますが、私は、会社法423条では、任
務懈怠と過失は別要件であると解するのが当然だと考えています。

会社法の善管注意義務は強行法規であり、契約自由の原則を基礎とする契約責
任論を適用する前提が欠けていますし、任務懈怠と過失は、明確に区別するこ
とができるから、同一要件と考える必要はないからです。

 私は、任務懈怠と過失の区別について議論が錯綜している理由は
 1 業務執行・意思決定・監督という異なる性質を持つ職務を区別しないま
ま、業務執行の面ばかりが強調されて議論されていること
 2 任務懈怠とは何か、ということを明確にしないまま議論されていること
の2点にあると思います。

 会社の業務の執行は、
 ①取締役会等の意思決定機関が意思を決定し
 ②代表取締役・業務執行取締役等の業務執行機関が、その意思決定に従って
業務を執行する
というプロセスで行われます。
 そして、①や②について、取締役は
 ③他の取締役や従業員の行為を監督
しなければなりません。

 ①から③の職務のうち、よく問題にされるのは、②の業務執行ですが、取締
役の責任の要件を考える上では、①や③に関与した取締役の任務懈怠も統一的
に考える必要があります。

 任務懈怠は、取締役の①から③の権限の行使が
①会社法その他の法令・定款・株主総会の決議に違反する場合(逸脱)
②自己又は第三者の利益を図る目的又は会社に損害を与える目的で行使される
場合(濫用)
③関連業界の通常の経営者を基準として事実に基づく判断が著しく不合理であ
った場合(著しく不合理な判断)
に認められます。

 任務懈怠と過失の区別が最も付きやすいのは、①の権限逸脱の場合です。
 
 たとえば、食品会社の代表取締役Aが、取締役会の決議に基づき、無許可で
医薬品を販売したとしましょう。

 この場合、代表取締役による販売行為は違法であり、任務懈怠となります。
また、その販売行為は、取締役会の決議に基づくものですから、その取締役会
の決議において賛成した取締役も、任務懈怠は認められます。

しかし、例えば、その取締役会の決議で、提案した取締役が、その医薬品を、
医薬品であると説明せず、他の取締役に対し、「外国で見つけてきたおいしい
お菓子です。」と説明していた場合はどうでしょうか。

そのように虚偽の説明がなされた場合、取締役ごとに事実に対する認識の差が
出てくるわけですが、取締役がどのような主観的意図をもっていたにせよ、薬
事法上の許可をえずに医薬品を販売したという違法行為に賛成したのですから
、客観的には任務懈怠を構成するものと考えるべきです(善管注意義務の一内
容である忠実義務(法令、定款等に従って職務を行うべき義務)に違反します
)。

 また、任務懈怠と過失を区別するということは、423条の立証責任の分配を
   任務懈怠=損害賠償の請求者が負担する
   善意・無過失=取締役が負担する
とすることを意味します(逆に区別しない見解では、取締役の悪意・有過失に
ついて請求者が立証責任を負担するということになります)。

 この立証責任の分配という点についても、会社の稟議書や説明資料等にアク
セスすることができない請求者(例えば、代表訴訟における株主)が、各取締
役の認識という主観的要素についてまで、立証責任を負うというのは酷であり
、任務懈怠と過失を区別する方が公平であると思います。

したがって、①の権限逸脱場面では、任務懈怠と過失は、会社の行為が、客観
的に法律に違反しており、取締役がその違法な行為を直接行ったり、その意思
決定に賛成したりしたか否かで、任務懈怠を判断すればよいわけです。

 ①の権限逸脱を、より細かく分類すれば、
 ①-a 行為そのものが法令等に違反する場合
 ①-b  法令等の定める手続に違反して行為が行われる場合
の2つになりますが、いずれにしても、ある行為が法令等に違反しているかど
うかは、客観的に判断することができますので、この点については、経営判断
原則が出てくる余地はありません。

 次に②の権限濫用については、外形上は法律違反の行為ではないが、主観的
意図により任務懈怠となる場合です。

 たとえば、代表取締役が、愛人関係の維持を目的として、取締役会の決議に
基づき、愛人の経営するクラブに適正な利息を付し、かつ、担保をとって多額
の融資を行ったところ、クラブの経営が傾き、担保も値下がりしたため、貸付
が焦げ付いたという事例を考えます。

 この場合は、代表取締役の「愛人関係の維持を目的」がなければ、③の「著
しく不合理な判断」という類型に入りますが、そのような下心がある場合には
、いくら適正な利息・担保を取っていたとしても、「善良な管理者」というこ
とはできず、善管注意義務違反になると解されます。

 つまり、請求者が、「愛人関係の維持を目的としていること」を立証するこ
とにより、代表取締役による融資が権限濫用による任務懈怠行為だと主張する
ことができます。

 この場合、代表取締役は、自己の濫用目的を立証されてしまっているわけで
すから、無過失の反証は、ほぼ不可能ですが、取締役会の決議に賛成した取締
役についても、「代表取締役の愛人関係の維持を目的とした融資」に賛成して
しまったのですから、任務懈怠が認められると考えるべきだと思います。

 取締役が、代表取締役が、他の取締役に対し、その主観的意図を隠していた
場合もありえますが、裁判所で濫用的意図があると立証されるような取引は、
不自然な取引であることが一般的であり、その主観的意図が立証されたときに
、その取引に賛成した取締役に任務懈怠を認めても過酷とはいえません。
 また、取締役は「そのような目的があるとは知らなかったし、実際に知るこ
ともできなかった」という事実を反証すれば、善意無過失で免責されるのです
から、取締役が無過失の立証責任を負担する方が公平であると思います。

最後に、③の「著しく不合理な判断」の類型についてお話しします。

 この③が、「任務懈怠と過失の区別が困難である」と言われる典型的な類型
です。

 たとえば、代表取締役が、通常人ならば絶対にやらないような高リスク低リ
ターンの取引を、取締役会の決議に基づき、行ったという事例を考えます。

 この場合、代表取締役は、法令等に違反する行為を行ってもいないし、権限
乱用の意図もありませんが、
「関連業界の通常の経営者を基準として事実に基づく判断が著しく不合理であ
った場合」
には、その行為は善管注意義務に違反するものと評価されます。

 よく経営判断原則という言葉を耳にしますが、この原則は
 取締役の判断が、関連業界の通常の経営者を基準として事実に基づく判断が
著しく不合理であると認められない限り、善管注意義務に違反しない
という原則であり、③を裏から表現したものです。

 この③の類型で「任務懈怠と過失の区別が困難」という話が持ち出されるの

  法律には、取締役が、どの程度のリスクファクターを認識すれば任務懈怠
が認められるかという明文の要件がない
ということに起因しています。

 すなわち、任務懈怠と過失を区別することができないという論者は
  取締役が、通常の経営者ならば、その行為を中止するほどのリスクファク
ターを認識していたのならば任務懈怠も過失も認められるし、
  それほどのリスクファクターについて認識がなかったのならば、任務懈怠
も過失も認められないはずである
と主張しているわけです。

 しかし、私は、この考え方は、各取締役の認識という過失の要素を「任務懈
怠」の判断要素に先取りしているため、区別ができなくなっているだけだと思
います。

 会社の業務執行は、代表取締役、業務担当取締役、取締役、部長、課長等沢
山の役職員の関与を経て行われるのが一般的であり、ある会社の行為について
、役職員が知っている情報や執行への関与の仕方はバラバラです。

 この認識や関与形態がバラバラな役職員が、決裁規程等に基づき、稟議をあ
げ、場合によっては、取締役会や株主総会の決議を得ることによって、「会社
としての」意思決定や業務執行が行われるわけです。

 このように、ある業務執行や意思決定が、取締役の任務懈怠となるかどうか
を判断する際には、当該業務執行が、集団的な意思決定プロセスを経て集団的
に執行されていることに鑑み、
 ①まず、業務執行自体や意思決定の内容が、会社が把握していた情報を前提
として著しく不合理なものであったかどうかを検討し、そのように客観的に著
しく不合理な意思決定や業務執行に関与した取締役については、任務懈怠を認

 ②各取締役が、当時自分に与えられていた情報や権限等を主張して善意無過
失を立証すべきである
と考えます。

以上のように「任務懈怠」と「過失」の判断プロセスを理解すれば、任務懈怠
と過失を混同することはなくなりますし、実際に行われている裁判も、このよ
うなプロセスで判断されていると思います。

なお、取締役の監督責任についても、①から③の善管注意義務違反の類型が妥
当します。

 ただし、監督権の行使は、多くの場合、不作為による善管注意義務違反が問
題となるため、若干、ひねりが必要で、次のように考えます。
① 権限逸脱 法令等に定められた具体的な監督義務に違反する場合
  (例) 取締役会への出席義務に違反し、欠席した。
      
② 権限濫用 自己の利益を図る目的で監督を怠った場合
  (例) 取締役が、代表取締役から賄賂を受け取り、代表取締役の行為に
ついて詮索することをやめた。

③ 著しく不合理 取締役が、通常の経営者であれば、当然に行使する監督権
の行使を行わず、その監督権の不行使が著しく不合理であるような場合
  (例)代表取締役の背任行為を知ったにもかかわらず、監査役や取締役会
に報告をしない場合
  部下が会社に損害を与える事実を知りながら、これを放置した場合

なお、内部統制システムの構築は、③の著しく不合理な監督権の不行使と言わ
れないようにするために行うもので、具体的には

 その企業の規模等に応じて、適切な内部統制システムが構築され、かつ、そ
のシステムが機能していることを監督すれば、個々の取引について具体的な監
督を行っていないとしても、監督責任を負わない

というものです(内部統制システムの構築については、経営判断原則の適用が
あると言われているのは、内部統制性システムの構築も、③の分類に属する事
項だからです)。

 以上のような任務懈怠と過失の判断プロセスは、取締役の責任に関する条文
構造とも整合的ですし、裁判実務にも沿っていると思います。また、経営判断
原則や内部統制システムの構築の位置づけを合理的に説明することもできます

 「任務懈怠と過失の区別ができない」と嘆くのは簡単ですが、きちんと整理
すれば、区別するのは簡単で、理論的にもすっきりするので、特に司法試験受
験生の皆さんは、頭を整理しておいてください。

(質問コーナー)
Q1
突然の質問で申し訳ありません。
100パーセント子会社による親会社の合併の場合、吸収合併される親会社が持
っている子会社の株式は、合併により存続会社たる子会社の自己株式となり、
子会社の株式資本から控除されるとされています。
合併に際し、吸収合併される親会社の株主に、存続する子会社の株式を付与す
る場合、登記事項としての発行済み株式総数は、子会社の自己株式の消却が行
われない限り、子会社の発行済み株式総数と合併に際して吸収合併された親会
社の株主に付与された株式数の合計になると考えますが、いかがでしょうか。
会計上の処理がなかなか理解できず、悩んでおります。
投稿: さぬきうどん | 2009年4月 1日 (水) 02時06分
A1
そのとおりです。
前段は、会計上の金額の問題、後者は株式数の問題です。

Q2
今回の論点について
「取引債務限定説は捨てました。」「今回の最高裁判決は、ある意味、ほっと
しています。」
とのことですが,本最高裁判決が
 『土地の所有権に基づくAへの真正な登記名義の回復を原因とする所有権移
転登記手続請求(主位的請求)』
について却下した原審判断を結論において是認し,
 『Aとその取締役である被上告人との間で締結された被上告人所有名義の借
用契約の終了に基づく,Aへの真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転
登記手続請求(予備的請求)』
を適法としたのであれば,取引債務限定説のように読めてしまうと思ったので
すが,読み方が間違っているのでしょうか。。。
会社法100問初版第1刷318頁では肯定されているCに対する移転登記請求も甲
株式会社の所有権に基づく請求とすれば,本最高裁判決に照らすと不適法却下
となってしまうのでしょうか?
投稿: 受験間近 | 2009年4月 1日 (水) 04時57分
A2
最高裁の射程をどう考えるかは難しいところです。
ただ、取引を取り消した場合の不当利得返還請求権には、代表訴訟を認めない
と都合が悪いでしょうし、物権変動的移転登記請求権も認めないと都合が悪い
でしょうから、真の意味での「取引債務限定説」は採れないんじゃないでしょ
うか。

Q3
4月1日の(質問コーナー)A12でご回答いただきありがとうございました。ご
回答は、「理論的にはおっしゃるとおりです。ただし、事業報告で書くべきと
きに書かなかったということで、独禁法違反行為のあった事業年度の事業報告
について不記載の違法があったことになります。また、処分があったときに重
要事実として書くべきであるという考え方もあるでしょう。」 ということで
すが、次の2点について確認させていただければと思います。
①「書くべきときに書かなかった・・・不記載の違法があった」とされており
ますが、当局の調査が入ったということを 『法令又は定款に違反する事実そ
の他不当な業務執行が行なわれた事実があるとき』 と判断しなければならな
いということになるのでしょうか。 調査に入られた時点では、会社は違法な
行為があったと考えておらず、処分があったときや調査の過程のなかで違法行
為と判断せざるを得ない状況になって初めて「違法行為があった」と考えると
思うのですが。
②「処分があったときに重要事実として書くべきである」という考え方は、
124条4号ニの内容として記載するのではなく、120条1項9号の内容として記載
するということでしょうか。
投稿: Oh NO! | 2009年4月 1日 (水) 09時32分
A3
① 主観をベースにするか、客観をベースにするかという問題です。私は、客
観的に独禁法違反行為があったとすれば、事業報告に書くべき義務はあるが、
違法性の認識がない場合には、記載者の悪意・過失の問題として処理するべき
だと思います。
 OhNO!さんのように考えるのならば、会社が違法性を認識した処分時に
事業報告に記載すべきであると考えるのが素直でしょうが、私は、客観説を採
ります。
② そうですね。

Q4
今回、ご質問させていただくのは、ロースクールの成績と就職についてです。
現在、私は、某都内私立ロースクールに通っています。先日今年度の履修科目
が決まったところです。
履修の際には、多くの学生が、GPAをあげようとして、いわゆる楽勝科目(
出席と1、2回の発表で履修者のほぼ全員にAがつく)をとろうとします。
そういう科目を中心に履修すれば、必修科目でミスをしてもGPAははねあが
ります。
ところで、いわゆる大手の事務所は、新司合格発表前に募集をするのでローの
成績を大きな考慮要素にしていますよね?
そうすると、上述したような楽勝科目でGPAをあげた人が有利になりはしな
いのでしょうか??
私は、はっきりいって楽勝科目の履修は、Aという成績は残るが、得られるも
のは少ないと思います。

私は、一年間ローで過ごしてみて、ローでは有能な先生の授業に真剣に取り組
めば、法的思考力はかなり研かれると実感しました。これは、新司のみならず
、二回試験にも役立つ土台になるものと考えています。

そのため、今期の履修も、楽勝科目とかではなく、思考力が研かれるであろう
授業を中心に履修しました。
しかし、そういった科目は、いわゆる楽勝科目ではないため簡単にAはつきま
せん(その中でAをとろうと努力するからこそ、力がつくのでしょうけど)。
っていっても、もう履修が決まってしまったので、後戻りはできないのですが
(笑)
先生は、採用に際して、ローの成績はどういった位置付けにあるとお考えです
か??
新司の順位は考慮なさらないのですか??
投稿: 新司まであと一年 | 2009年4月 1日 (水) 13時45分
A4
ローの成績も、新司法試験の順位も、当然、考慮の対象でしょう。
GPAをあげた人に有利なのは当然です。
あなたが、思考力が研かれる授業に取り組むのは、就職のためなのでしょうか
?自分に実力がつくのならば、就職とは関係なしに、その授業に没頭すればよ
いと思います。
GPAはあがらないけれども、就職で思考力が研かれる授業を受けたことを評
価してもらいたいということであれば、それを就職先に説得的にアピールすべ
きですが、相当難しいでしょう。

Q5
私は、今年ロースクール既習を卒業し、本試験を目前に控えているのですが、
ここにきて燃え尽き気味です。

ロースクール入学後すぐ母親の癌が発覚しまして、去年の夏季休講期間中に亡
くなりました。
1年目はそれなりに勉強したつもりでしたが、振り返ってみれば、やはり不足
だったかもしれません。
2年目は春から母の体調が悪化し、介護、通院により、時間が制約され、精神
的にも集中できず、春から開始した選択科目(労働法)の授業についていくの
がやっとで、それ以外は特にしていません。
夏休みはじめに入院し、危篤状態が続きましたので、家族で交代して病室に通
いつめたため、夏休みは全く勉強できませんでした。
葬儀終了後、2週間ほどで後期授業が開始し、やはり勉強不足と思われた労働
法と苦手意識のある行政法、会社法を中心に勉強し、1月の定期試験終了後は
総復習・記憶喚起を行ってきましたが、3月いっぱいで全科目を回し終えたま
した。

ところが、一通りやり終えたところ、今になってやる気喪失してしまいました
。いまさらですが、母が生きているうちに、部屋に引きこもって勉強などせず
に、もっと一緒にいてやればよかったなどと、考えても仕方のないことを考え
たり、他の受験生が勉強していないときに充分勉強していなった自分が受かる
わけないと客観的でないことを考えたりしてしまいます。

司法試験に受かるには客観的に実力も必要ですが、精神的な勢いも重要と思い
ます。先生なら、どう精神コントロールしますか。

投稿: ネネム | 2009年4月 1日 (水) 17時41分
A5
私の母が末期ガンの宣告を受けたとき、私は、検事3年目でした。
母は、会社を経営しており、急に入院となったため、私は、検事をしながら、
母親の看病と、実家の会社の経営の手伝い(資金繰り等)、そして、会社の売
却を同時にしなければなりませんでした。
私は、母が亡くなった後も、会社のM&Aがクロージングを迎えるまでの約5
年間は、「母が生きていたら、自分に何を望むのか」を考えて、自分や家族の
幸せ、そして、会社の従業員の幸せを実現するためにガムシャラにがんばりま
した。私は、会社の銀行借入で10億円の連帯保証をしていましたし、従業員
50人の生活を守らなければならず、「精神をコントロールする」という余裕
もなく、「やるべきことを精一杯やる」しかありませんでした。
ネネムさんが、受からないと思うならば、受からないでしょう。
でも、私の教え子には、試験の前年にお父さんが亡くなって、それでも旧司法
試験に合格した大学3年生の女の子がいました。
肉親の死があったからこそ、やるべきことをガムシャラにやったのだと思いま
す。

Q6
先生のポリシーは、「目の前の仕事を楽しんでやること」とおっしゃっていま
すが
その楽しみ方はどのような方法ですか?
成果か出て結果として楽しいと思うのか。それとも自分なりの楽しくするため
のグッツなどかあるのかなと思い質問させていただきます。
投稿: トモ | 2009年4月 1日 (水) 22時03分
A6
 自分の立てた作戦を確実に遂行するのは楽しいですし
 思う通りにいかないときに、苦しみ、工夫して、なんとかやり遂げるのも楽
しいです。
 楽しくするためのグッズは、「苦しさを楽しむ」マゾヒズムです。

Q7
司法試験論文試験において、法的三段論法が重要といわれていますが、あまり
よくイメージがわきません。

 ①法的三段論法とはどのようなものでしょうか。
 ②また、法的三段論法についてわかりやすく解説している本をご存知でした
ら、ご教示ください。
投稿: 不孤 | 2009年4月 2日 (木) 00時07分
A7
 会社法100問の最後にある勉強の仕方を見てください。

Q8
 さて、私は「5月には二度目の新司挑戦」という立場の者ですが、私も質問
させていただきたく思います。
 
 新司法試験について、予備校データによれば、現役組と浪人組の合格率にほ
とんど差がないということです(既修も未修も)。
 個々人の能力の差はあるにしても、手持ちの時間に大きな差がある以上、全
体として見れば浪人組の方が合格率が上がるに決まっていると思っていたので
、正直驚きです。
 例えば、時間をかけてもどうにもならない「何か」があり、司法試験では「
それ」が問われる側面もあるということなのでしょうか。
 是非、葉玉先生のご意見(できればそれについての対策も)をお聞かせ下さ
い。
投稿: べあ | 2009年4月 2日 (木) 01時04分
A8
 司法試験で1番になるかどうかは、才能もあるかもしれませんが、合格する
かどうかは、勉強時間によって決まります。
 通常、頭が良いと言われる人ほど沢山勉強し、才能がないと嘆く人ほど勉強
しません。
 未習か、既習か、司法試験受験歴があるかないか、など様々な要素が入り交
じっている現時点で、浪人と現役で比べるのはあまり意味はないです。

Q9
このたびの小沢代表公設秘書の逮捕につき、代表の検察批判には首肯しがたい
ところが多くあるのは同感です。
しかし、より一般的に、検察の問題として、
①政治資金規正法上の虚偽記載程度の被疑事実で、48時間+10日+10日の起訴
前勾留、そして起訴後勾留という長期の身柄拘束を続ける正当性につき、重大
な疑問があります。刑訴法上の要件を満たしているとは到底思えません。
付言すれば、自殺の可能性を危惧してのことと考えられますが、それが身柄拘
束を正当化できないことは当然で、脱法行為に他なりません。
次に、
②検察がマスメディアを通じて情報をリークし、世間に有罪の雰囲気を醸成す
る正当性も批判されるべきと考えます。
起訴前にも拘らず、記者クラブを通じ、情報を欲しがるマスコミを手玉にとっ
て、捜査状況・内容をリークし続ける行為は、著しく攻撃防御方法を欠く被疑
者・弁護人側に比して、極めてアンフェアでしょう。今回はこの傾向が顕著で
、不起訴や無罪が許されない(と思い込みすぎている)検察の自信のなさの表
れと思えます。
以上2点につき、お考えをお聞かせ願います。
投稿: そろそろ | 2009年4月 4日 (土) 18時29分
A9
① 政治資金規正法の虚偽記載「程度」という点が理解できません。法定刑も
軽いものではなく、また、企業献金を隠蔽するための虚偽記載であるならば、
罪状としても悪質です。刑訴法上の要件を充たしているからこそ、勾留状が出
たのだと思います。
 ちなみに、勾留されたのは、自殺の可能性を危惧したのではなく、罪証隠滅
のおそれがあったからだと思います。
② 検察が、捜査中にどの程度の事実をマスコミに公表するのかは、大変、難
しい問題です。検察が、マスコミからの取材を完全にシャットアウトすれば、
国民の知る権利を害するとして、批判されるでしょう。また、弁護人の中には
、マスコミのインタビューに答える人もおり、その点でアンフェアだとは思い
ません。
 ちなみに、刑事裁判は、捜査段階のマスコミ情報によって結論が左右される
ことはあまりないので、検察が「有罪の雰囲気を醸成」しても無意味です。
 また、被疑者・弁護人が「著しく攻撃防御方法を欠く」というのは誤った固
定観念です。被疑者は、一番、事件の核心部分を知っており、弁護人が適切に
被疑者から事情を聞き出せば、検察以上の証拠収集も可能な場合も多いのです
。実際、私は、刑事弁護もやりますが、必ずしも検察や警察より不利だとは思
いません。

Q10
私が今回の事件で一番疑問なのは,果たして今回の事件が(実質的な)刑法の
構成要件に該当するのか,ということです。
政治資金規正法では,個人献金は禁止しているが,政治団体からの献金は禁止
していないと理解しています。そうだとすると,仮に資金の拠出元が個人であ
ったとしても,それが政治団体を経由して献金されており,それが政治団体名
義で報告書に記載されている以上,少なくとも刑事罰に処するのは困難なので
はないでしょうか。
確か,だいぶ前の記事で,見せ金について預け合いの刑事罰の規定を「類推」
することはできない,とおっしゃっていましたが,実質的に云々というのが,
刑事法においても妥当するのかどうか疑問に思います。
政治団体からの献金を政治団体からの献金として政治資金収支報告書に記載し
ている場合に,その政治団体が形骸化していて実質的には個人からの献金と同
視でき,それを認識している場合に,刑事罰を科せられるのはなぜなのでしょ
うか。
資金拠出元に関しては,普通は形式説(名義説)をとると思うのですが,こと
政治資金規正法の解釈においては,「法の趣旨を没却する」という言葉で刑事
罰を科すことが正当化されるものなのでしょうか。
投稿: 巷 | 2009年4月 5日 (日) 09時14分
A10
 私は、経済事件の捜査経験が長いせいか、特捜部の法律構成には、違和感を
感じません。政治資金規正法の趣旨が、真実を正確に記載することである以上
、ダミーにより形式的な要件を整える行為は、処罰の対象となると考えます。

Q11
>可視化はラフジャスティスの採用とバーターです。
この意味がよくわかりません。もう少し噛み砕いてお教えいただけないでしょ
うか?
操作・取調べの可視化が、裁判コスト(弁護側・検察側ともに)増加とバータ
ーであると言うのであればわかります。
しかし、なぜラフジャスティスとバーターになるのでしょうか?
むしろ可視化されれば、自白や検面調書の正当性などが高まるでしょうし、正
確な裁判に繋がるというのが一般的な考え方のように思います。
それとも、「捜査の可視化なんかされたら、弁護サイドからの突っ込みどころ
満載になってしまう。強引な自白強要もばれちゃうだろ!だから、ラフジャス
ティスにしてもらわんと、全員無罪になっちゃうじゃないか!」と言う意味な
んでしょうか?
(別に皮肉でもなんでもなく、純粋な疑問です)
捜査の可視化の是非、というのは、多くの一般人が疑問に思う部分ではないか
と思うので、ぜひ葉玉先生のお考えをお聞かせください。
投稿: きたろう | 2009年4月 6日 (月) 12時54分
A11
私がイギリスに在外研究にいったとき、可視化の最も進んだイギリスの被疑者
の取調べは、重大な殺人事件であろうと、30分くらいしか行われないことが
多いと聞きましたし、実際に裁判の証拠を見せて貰ったら、日本ではとても有
罪にならないような証拠で有罪になっている例が多数ありました。

可視化するならば、短時間の取調べに留める必要があります。これは、録画コ
ストだけではなく、録画した取調状況を、裁判関係者(検事・弁護士・裁判官
・裁判員)が見るコストを考えると不可避です。たとえば、20日間連続で10時
間ずつ取調べをしたビデオを、裁判関係者が全部見るのは現実的ではありませ
ん。かといって、反訳させると、さらに莫大なコストがかかります。

短時間の取調べで、事実認定しようとするならば、少ない供述証拠で(犯行に
至る経緯や動機等が不十分でも)、被疑者や参考人の供述の矛盾や変遷等もあ
まり気にせずに、事実認定をしなければなりません。
これがラフジャスティスです。
現在、自白の任意性で、「強要」に該当するような主張がされること自体非常
に少なく、私は、そのような観念論ではなく、より良い事実認定のプロセスを
確保するためには、可視化などない方がよいと思います。

Q12
非上場子会社の80%の株式を親会社が持っており、子会社の取締役3名のうち
、2名が親会社の取締役です。(子会社代表取締役は親会社取締役です。)こ
の場合、子会社取締役会で親会社に対する配当の決議ができるのでしょうか?
投稿: 細マッチョ | 2009年4月 6日 (月) 17時53分
A12
 配当の決議は可能です。配当との関係では特別利害関係はないと考えます。

Q13
「剰余金の配当議案」の記載についての質問ですが、会社法454条1項1号では
「配当財産の種類」を決議しなくてはならない、とされています。
この点について、一般的には「1株当たり金○円」など記載することによって
、種類を金銭とすることを特定されていますが、これについて「金○円との記
載では、配当財産の種類を金銭と特定したことにはならない」とする見解が存
在するようです。
「金○円」と記載した場合でも、「金銭で○円」という意味を含む表現であっ
て、配当財産の種類は特定されていると思いますが、いかがでしょうか? 
投稿: | 2009年4月 7日 (火) 17時13分
A13
「金○円」で、当然、金銭として特定されています。

Q14
司法試験の勉強をしているものです。
勉強しながら、法律家は紛争解決を仕事にするものだと思っています。
自分はほとんど日常では争いごとやケンカをしたことありませんから、紛争の
中に自らはいっていって仕事をできるのかな・・と思ってしまい不安になるこ
とがあります。もし、紛争解決できればとてもやりがいが感じられる仕事だと
思っていますけど
そうはいっても資格をとってから考えるのもよいでしょうか?
投稿: 受験生 | 2009年4月 8日 (水) 10時51分
A14
資格をとってから考えてください。

Q15
金商法上の内部統制におけるリスクマネジメントは、会社法上の内部統制にお
けるリスクマネジメントに包含されると考えても良いのでしょうか?もし、包
含されると考えた場合、金商法上のリスクマネジメントも、弊社の「内部統制
システム構築の基本方針」中の「損失の危険の管理に関する規程その他の体制
」で定められた方針に従って整備されることになると思うのですが、いかがで
しょうか?
投稿: ゴリマッチョ | 2009年4月 9日 (木) 15時22分
A15
基本的には、そのとおりです。
詳しくは過去の記事を見てください。

Q16
 いわゆる取締役選解任権付株式により選任された取締役の任期は,選任後2
年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時
までなのでしょうか?
 選任・解任は,種類株主総会で行うにもかかわらず,会社法上は,定時株主
総会の終結時が任期満了の時点とされていることに疑問を感じています。
投稿: 司法書士X | 2009年4月11日 (土) 16時20分
A16
 そのとおりです。種類株主総会は、定期的に行うものではないので、任期の
基準には向かないんです。
 今の規範であれば、定時総会と同時に種類株主総会を開くので、問題ありま
せん。

Q17
代表取締役(A)を同じくする甲、乙会社間で土地の売買契約を締結する場合
に、取締役の決議においてその代表取締役Aは議決権を行使できるかにつき質
問させてください。
この場合当然に利益相反になりますが、代表取締役Aが特別利害関係人にあた
り議決権を行使できるか否かにつき疑義があります。
 登記実務では、この場合は会社間の取引なので(会社と取締役の取引ではな
い)Aは特別利害関係人にあたらないと解しているようです。(日本法令 事
項別 不動産登記のQ&A200選 登記研究139号49項 454号131項)
 また、特別利害関係人の具体例としては基本書には取締役と会社間の取引と
記載しており、代表取締役を共通する会社間の取引における代表取締役と記載
したものを目にしたことはありません。
 ただ、私見としては、本事例のAは「決議」(会社法369条)に利害関係を持
たないわけがないこと、会社を代表して行う場合にも 取締役の忠実義務違反
をもたらす恐れのある個人的利害関係(特別の利害関係)があると言えるので
はないかと考えております。
 現状の登記実務のあり方及び私見の是非につきご意見を伺えれば幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
投稿: 登記職人見習中 | 2009年4月12日 (日) 03時46分
A17
 代表取締役が共通の場合、利益相反取引になるのですから、特別利害関係が
あると考える方が素直だと思います。
 実務上は、一人会社の一人社長みたいな場合が多いので、特別利害関係の範
囲を広げると、違法な議事録ばかりが出てきて大変ですから、緩い方が楽です
が、コンプライアンスの見地からすれば、自分の利益相反取引について、自分
で一票投じるのは、あまりよろしくないので、特別利害関係があるとして処理
する方がよいと思います。

Q18
早速ですが、新司法試験の勉強の仕方について質問させて下さい。
私は、択一の会社法・商法9割(今は、5割にも届かない状態ですが。)を目
指して、判例六法の素読を始めました。
引用条文が多い章は、なかなか次の章に行けず、大変です。
時間を掛けてやっているのだから、漫然と読むのではなくポイントを押さえて
読みたいと思っています。
私なりに、
①主体(ex.「取締役」なのか「取締役会」なのか)
②ただし書き
③文末(「できる」なのか「しなければならない」なのか)
に気を付けて読んでいますが、その他素読をする際に気を付けることがあれば
、アドバイスを頂ければと思います。
投稿: もも | 2009年4月12日 (日) 14時07分
A18
素読はしなくていいんじゃないでしょうか。

Q19
取締役の責任について質問させてください。

423条も429条も任務懈怠が要件だと思うのですが、
文言上、423条は「任務を怠った」と直接的に書いてあるのに対し、
429条は「職務を行うについて」としかありません。
このように表現が違うのはなぜでしょうか?
投稿: くそべて | 2009年4月14日 (火) 09時28分
A19
歴史です。

Q20
「特別の利害関係」は取締役候補者としての欠格事由に該当するのでしょうか

また「特別の利害関係」を整理して理解するためには、どの条文を取り上げれ
ばよいでしょうか?
投稿: ポニョ | 2009年4月14日 (火) 18時28分
A20
欠格事由ではありません。
後段の質問はよく分かりません。
取締役会の議決権と、利益相反取引と、計算書類等ですか?

Q21
現在未修1年のロー生です。
ロースクールの教授は予備校本は論理が見につかないと口をそろえて言います
がそれは本当ですか?
私としては予備校本のほうがわかりやすいので新司対策として問題ないのなら
予備校本メインでやりたいのですが…。
科目ごとの意見や予備校本を使うとき気をつける点などもできればお伺いした
いです。
投稿: SS | 2009年4月15日 (水) 01時09分
A21
基本書でも論理が身につかないものが多いので、予備校本メインでも良いと思
います。

Q22
わが社は中小の同族会社ですが、親族の役員が退職する際は、その役員が保有
する株式を会社がいったん買取り、会社がその子息等に売渡してその者が役員
に就任するといった形をとっています。

そういった決まり事が、定款にではなく、取締役会が規定する株式取扱規定で
定められています。
しかも、その規定には「株式保有資格」という項目があり、株主が死亡したと
きや株主が役員の場合はその退任時に「保有資格」がなくなり、会社指定の譲
受人に譲渡する義務が盛り込まれています。

さらに、会社の決算が赤字でも一期限りなら株式の配当を行うという規定まで
あります。

最近総務?になったばかりなので、正直こういった株式取扱規定が通常のもの
かどうかもわかりませんが、これをこのまま会社法下の現行法規にも通用する
ものなのでしょうか?

また訂正するにしても定款で定めるような株主の権利義務などを株主総会の下
位機関である取締役(取締役会非設置)が定める株式取扱規定にゆだねる事は
適切なのでしょうか?
投稿: 中小企業の総務かな? | 2009年4月15日 (水) 15時56分
A22
その株式取扱規則は、法的には、効力がなさそうですね。
定款できちんと定めれば、法的に有効なものも作れそうですが。

Q23
会社法100問について質問させていただきます。
今,100問の各問題を1枚の紙にまとめて,短時間でざっと復習できるようにし
ております。なので,合計100頁になる予定。
そこで,質問です。
①会社法100問の使い方として,このような方法は適切でしょうか。
②まとめるにあたって,パソコンでも良いのでしょうか。パソコンのほうが早
いし見直すのにきれいだし。答案を書くわけではなく,ノートだからパソコン
でもいいのかなと。
投稿: こんにちは。 | 2009年4月16日 (木) 15時28分
A23
①②ともよろしいと思います。

Q24
強制わいせつ罪の上告審判決で逆転無罪判決がありました。
警察庁で痴漢捜査の検討会議もするそうです。

これまでは目撃者がなくたとえ立証が難しい場合であっても、無実の証明に成
功しない限り、有罪になることが多かったと思います。
今後冤罪のおそれが減るのは良いことですが、同種の事件の場合に、捜査がい
っそう難しくなりそうです。

痴漢の被害に会われた方は大変な心の痛み・苦しみをもっているのはわかりま
す。しかし、満員電車で間違われるのだけは勘弁して、と思ってしまいます。
痴漢捜査のあり方について先生のお考えをお聞かせください。
(疑われた場合の有効な対処も教えていただけますとなお嬉しいです!)
投稿: 満員電車 | 2009年4月17日 (金) 00時34分
A24
痴漢に限らず、被害者の証言しかない事件は沢山あります。私は、被害者の供
述の信用性も、事件ごとに異なるのだから、今回の最高裁判決も、「被害者の
供述しかなければ、無罪」という話ではないと理解しています。
 私の捜査の経験上も、被害者の供述だけで起訴したときもありますし、被害
者の供述だけでは無理と判断して不起訴にしたときもあります。このあたりは
、捜査側で、妙なルールを作らずにケースバイケースで対応した方がよいと思
います。
 
Q25
 会社法マスター115講座第3版を丸沼書店で購入した者です。臨時計算書類
の承認についてご教示賜りたくお願い申し上げます。
 千問のQ713で「臨時計算書類が株主総会の承認を経ずに確定した場合、株主
総会への報告をすることも要しない」とありますが、会社法マスター115講座
第3版 P.179では、一定の要件を満たせば報告で足りるとの記載があります
。441条4項ただし書の法務省令の要件に該当する場合には株主総会の承認は
不要だということはわかりましたが、この場合株主総会への報告は必要なので
しょうか。
投稿: 短答が近くて忙しい50歳 | 2009年4月17日 (金) 16時48分
A25
報告は不要です。

Q26
最近、条文との付き合い方に悩んでおります。
どんな問題であっても、条文があれば先に一言でも触れておかないと、どうし
ても気がすまないのです。 
 
例えば、違法な逮捕に引き続いて勾留請求できるかという論点がありますが、
参考答案などでは、「・・・勾留請求が認められるかが問題となる」と、いき
なり論点の問題提起に入っています。
でも自分の場合、まず勾留請求の条文を指摘しておかないと、どうしても気が
すまないのです。
 
条文を指摘すること自体は大事なことだと思うのですが、例えば訴訟物が売買
代金支払請求である場合でも、民法555条に一言だけでも必ず触れてしまい
ます。
 
条文があるなら条文を指摘して、
解釈はそのあとだと思うのです。
しかしこれは、論文の書き方という観点からは妥当でしょうか?
わざわざ民法555条まで挙げたりするのは細かすぎますかね? 
投稿: ぶるぼん | 2009年4月17日 (金) 21時16分
A26
条文を書くことは良いことです。

Q27
今年の4月1日付の施行規則、計算規則の改正を受けて、4月16日付で、日
本監査役協会の「監査報告の雛形」が一部改正されていますが、その解説では
「今年の3月決算会社が作成する監査報告については、計算規則の条数改正(
具体的には「会計監査人の職務の遂行に関する事項(159条→131条)」
)によって、改正後の条数を記載することになるが、施行規則の改正による条
数変更(具体的には「支配に関する基本方針(127条→118条)」)につ
いては、事業報告作成の経過措置により、改正前の条数を記載する」と言及さ
れています。

この内容について、計算規則の改正については、特段の経過措置が存在しない
ことから、対応が必要となることは理解できるのですが、施行規則の改正につ
いては、あくまで「事業報告の作成」について、従前の例によるとされている
ことから、事業報告作成後の監査報告で記載すべき条数については、監査報告
作成時の条数(118条)を記載すべきと考えるのですが、いかがでしょうか

投稿: naga | 2009年4月18日 (土) 07時23分
A27
難問ですね。監査報告は、事業報告を監査した結果を記載するので、事業報告
の記載と揃えるべきだという考え方もありえます。
分かりやすければ、どちらでもいいと思いますが。

Q28
株主提案権が行使された際の招集通知の記載について、会社法305条では、
その「議案の要領」を招集通知に記載する旨規定されていますが、書面投票に
よる場合にも、「狭義の招集通知」には「議案の要領」の記載が必要となるの
でしょうか?

施行規則93条は「株主提案」による議案の記載を定めていますが、これによ
り参考書類にその内容が記載されるので、同74条4項の「重複記載を避ける
」規定によって、狭義の招集通知には要領の記載は不要と考えますが、いかが
でしょうか?
投稿: | 2009年4月18日 (土) 07時42分
A28
招集通知の記載は、省略できません。

Q29
今度新司法試験を初めて受けるロー卒業生です。
既修なのですが旧試験の経験はありません。
択一の勉強について質問させてください。

これまで、択一は新試験の過去問(民法は旧もやりました)で勉強しました。

刑法や憲法について、新試験の過去問であれば、8~9割とれるのですが、
模試では、なかなか伸びず、平均点を下回るほど悪いです。

新試験は過去問がまだ量が少ないためにそういった穴ができてしまうのかもし
れませんが、予備校の問題や旧試験の問題を今からでもやり始めたほうがいい
のでしょうか。

記憶力が良くて、過去問を何回も解きなおしているうちに問題を覚えてしまっ
たようなのです。

傾向が旧と新ではかなり違うので、悩んでいます。
あともう20日前後しかないのも悩みですが。
投稿: まよまよ | 2009年4月20日 (月) 17時58分
A29
新試験の過去問だけでは、全く足りません。
予備校や旧試験の問題もやりましょう。
時間が足りませんが。

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